(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、金属製のホイールにゴム製のタイヤを装着した車輪について、路面からタイヤに伝わるランダムな振動がホイールとタイヤとの間の空気室の空気を振動させ、空気室の気柱共鳴周波数付近で共鳴現象(空洞共鳴)を生じさせ、気柱共鳴音とも呼ばれる騒音が発生する現象が知られている。そして、この騒音を低減するため、筒状の連通部を介して空気室に連通する副気室を内部に区画し、連通部及び副気室によってヘルムホルツ共鳴吸音器として機能するレゾネータ(共鳴器)がある。
【0003】
このようなレゾネータは、一般にブロー成形により製造される。すなわち、ダイスから供給された溶融樹脂を成形型間に挟み、ブローピンによって成形型内に空気を吹き込んで溶融樹脂をキャビティに密着させることで、副気室を内部に区画するレゾネータ本体を成形するとともに、成形型により挟まれた両側部が、ホイールのリム面に対向する保持部に係止される板状の係止部となる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このレゾネータの場合、両側に位置する板状の係止部によってホイールに対して係止するため、走行時の遠心力などに対して係止を確実に維持できるように、例えば板厚を大きくする必要がある。また、成形型の合わせ面すなわちパーティング面が係止部の先端部に位置するため、これら係止部の先端部にバリが生じるので、レゾネータをホイールに取り付ける際にバリが剥がれてホイールとレゾネータとの間に挟まらないようにするために、取り付け前に予めバリを高精度に除去するとともに、寸法検査などを行う必要がある。
【0005】
この点、レゾネータ本体の両側部に延出した係止部を、副気室の一部を区画する中空状とすることで、係止部の強度を向上するとともに、成形型のパーティング面を係止部の保持部に接触しない位置とすることで、バリの高精度な除去作業や寸法検査作業を削減し、製造コストを抑制した構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
しかしながら、このレゾネータの場合、係止部を中空状として強度を向上したので、保持部間に圧入する際に係止部が変形しにくく、取り付けに大きな力を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、製造コストを抑制しながら、ホイールに対して容易に取り付けでき、かつ、確実に係止できるレゾネータが望まれている。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、製造コストを抑制しつつ、ホイールに対する取り付けの作業性が良好で、かつ、ホイールに対して確実に係止できるレゾネータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載のレゾネータは、タイヤとこのタイヤが取り付けられたホイールとの間の空気室に配置されて騒音を低減するレゾネータであって、前記ホイールの周方向に沿って長手方向を有し、内部に副気室を設けたレゾネータ本体と、このレゾネータ本体に設けられ、前記副気室を前記空気室と連通させる連通部とを具備し、前記レゾネータ本体は、前記ホイールのリム面に対向する底板部と、この底板部に対して前記リム面と反対側に離間された上板部と、これら底板部と上板部とを両側部で連結してこれら底板部及び上板部とともに前記副気室を区画し、かつ、両側部に延出して前記リム面に対向する保持部に係止される係止部と、前記底板部の少なくともいずれかの側部に設けられた凹部とを備え、
前記連通部は、前記レゾネータ本体の長手方向の少なくともいずれかの端部に、前記上板部に対して一部が略面一となるように前記長手方向に沿って設けられ、前記凹部を除く前記底板部及び前記上板部の位置で前記レゾネータ本体の長手方向に沿ってパーティング面を有する成形型を用いてブロー成形されているものである。
【0011】
請求項2記載のレゾネータは、請求項1記載のレゾネータにおいて、凹部は、レゾネータ本体の長手方向と交差する方向に沿って、この長手方向に間欠的に複数設けられたものである。
【0012】
請求項3記載のレゾネータは、請求項2記載のレゾネータにおいて、係止部は、レゾネータ本体の長手方向に凹部とずれた位置にそれぞれ設けられたものである。
【0013】
請求項
4記載のレゾネータは、請求項
1ないし3いずれか一記載のレゾネータにおいて、上板部及びこの上板部に対して一部が略面一な連通部に亘って連続しレゾネータ本体の長手方向に沿って溝部が設けられたものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のレゾネータによれば、凹部を除く底板部及び上板部の位置でレゾネータ本体の長手方向に沿ってパーティング面を有する成形型を用いてブロー成形することで、パーティング面に形成されるバリが、底板部及び上板部の両側部に延出する係止部に形成されず、バリの高精度な除去工程及び寸法検査工程などが不要となり、製造コストを抑制できる。底板部の少なくともいずれかの側部に凹部を設けたので、保持部間に取り付ける際の底板部の保持部への係りを抑制でき、ホイールに対する取り付けの作業性が向上する。係止部は、底板部及び上板部とともに副気室を区画する中空状なので、強度を確保でき、ホイールの保持部に対して確実に係止できる
。レゾネータ本体の長手方向の少なくともいずれかの端部に、上板部に対して一部が略面一となるように連通部を長手方向に沿って設けることで、ホイールの回転により生じる遠心力を有効に利用して副気室に入り込んだ水分を上板部に沿って連通部を介して空気室へと確実に排出できる。
【0015】
請求項2記載のレゾネータによれば、請求項1記載のレゾネータの効果に加え、凹部をレゾネータ本体の長手方向と交差する方向に沿って、この長手方向に間欠的に複数設けることで、これら凹部によって底板部の面剛性を向上できる。そこで、例えば高速走行時であっても安定した状態でホイールに確実に係止できる。
【0016】
請求項3記載のレゾネータによれば、請求項2記載のレゾネータの効果に加え、係止部をレゾネータ本体の長手方向に凹部とずれた位置にそれぞれ設けることで、係止部の位置での薄肉化をより確実に抑制でき、係止部によってホイールに対してより確実に係止できる。
【0017】
請求項
4記載のレゾネータによれば、請求項
1ないし3いずれか一記載のレゾネータの効果に加え、上板部及びこの上板部に対して一部が略面一な連通部に亘って連続する溝部をレゾネータ本体の長手方向に沿って設けることで、ホイールの回転により生じる遠心力をより有効に利用して副気室に入り込んだ水分を溝部に集め、上板部に沿って連通部を介して空気室へと確実に排出できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のレゾネータの第1の
関連技術を図面を参照して説明する。
【0020】
図1ないし
図5において、10はホイール装置で、このホイール装置10は、金属製のホイール11と、このホイール11に周方向にそれぞれ取り付けられた例えば複数のレゾネータ12とを備えたレゾネータホイールとも呼び得るもので、このホイール装置10にゴム製の図示しないタイヤを装着することにより、自動車の車輪が構成されている。
【0021】
そして、このホイール11は、リム部16と、このリム部16の内側に位置する図示しないハブ部と、これらリム部16とハブ部とを連結するディスク部18とを備えている。そして、リム部16には、ホイール11の幅方向の両端部に沿って形成された図示しないビードシート部と、これらビードシート部のさらに外端側からホイール11の径方向の外側に突設された図示しないリムフランジ部と、ビードシート部同士の間に位置してホイール11の径方向の内側に向かって凹設されたウェル部23とが設けられている。そして、ビードシート部に、タイヤのビード部を装着することにより、ホイール11のリム部16とタイヤとに囲まれて、環状の密閉空間である所定の容積の空気室25が構成されている。なお、リム部16のウェル部23は、タイヤをリム部16に組み付ける際に、タイヤのビード部を一旦落とし込むために設けられている。また、このウェル部23の底部であるリム面26には、各レゾネータ12が取り付けられる。
【0022】
そして、このウェル部23のリム面26には、ホイール11の径方向に沿って側部保持面としての側面28,28が立ち上げられ、これら側面28,28とリム面26とにより、レゾネータ取付部としての取付溝部29が形成されている。側面28,28の上端部には、リム面26に対向するように折り返された保持部33,33が突設されて、例えばホイール11の全周に亘って連続している。すなわち、保持部33,33は、リム面26に対して離間された位置でこのリム面26の上方に位置している。
【0023】
各レゾネータ12は、ホイールレゾネータとも呼び得るもので、合成樹脂を用いてブロー成形により一体成形され、円弧状に湾曲されたレゾネータ本体36と、このレゾネータ本体36に突設された連通部37とを備え、全体として円筒状で、かつ、所定の円弧に沿って湾曲し、両側方向に線対称な形状となっている。
【0024】
レゾネータ本体36は、ホイール11の周方向に沿って長手方向を有する長手状に形成されている。このレゾネータ本体36は、リム面26と対向してこのリム面26と接触する底板部41と、この底板部41の上方(反リム面26側)に離間されて対向する上板部42と、これら底板部41と上板部42との長手方向に沿う両側部をそれぞれ連結する係止部43と、底板部41と上板部42との長手方向の両端部を連結する連結部44とを一体に備え、これら底板部41、上板部42、各係止部43及び各連結部44により、内部に副気室45を区画する中空状となっている。そして、各係止部43が各保持部33に保持されてレゾネータ12全体が取付溝部29に収容されることにより、このレゾネータ12がホイール11に対して固定されるようになっている。なお、以下、長手方向とは、レゾネータ本体36の長手方向を言うものとし、両側方向(短手方向)とは、レゾネータ本体36の長手方向と直交する方向を言うものとする。
【0025】
底板部41は、長手方向と直交する断面が全体としてリム面26へと向かう下方に凸状に膨出するようにU字状になだらかに(急峻に屈曲することなく)湾曲して形成されている。この底板部41は、両側部41a,41aから中央部41bに向けて徐々に下方に突出しているとともに、両側部41a,41aの曲率が中央部41bの曲率よりも大きくなっている。また、この底板部41は、上板部42よりも幅広に形成されており、両側部41a,41aが上板部42に対して側方に突出している。また、この底板部41の両側部41a,41aには、長手方向と交差(直交)する方向に沿って、凹部47,47が、長手方向に複数、間欠的に設けられている。すなわち、底板部41の各側部41aは、凹部47と非凹部48とが長手方向に略等間隔で交互に並んでいる。
【0026】
各凹部47は、上端部が各係止部43の下端部と連続する第1の曲面部としての上部湾曲部47aと、この上部湾曲部47aの下端部になだらかに連続する第2の曲面部としての下部湾曲部47bとを一体に備えている。そして、底板部41の両側部41a,41aに位置する凹部47,47は、両側方向に互いに対向する位置、すなわち長手方向に略一致する位置となっている。
【0027】
上部湾曲部47aは、両側方向の断面で見て、係止部43の背面側である下側に入り込むように湾曲している。すなわち、この上部湾曲部47aは、両側方向の中央部に向けてリム面26へと接近する下方へと傾斜するように湾曲している。また、この上部湾曲部47aは、上方に凸状に膨出する曲面の一部をなすように形成され、下部湾曲部47bに対して、湾曲の向きが反対となっている。このため、各凹部47は、底板部41(側部41a)に対して、上端部及び下端部から、上部湾曲部47aと下部湾曲部47bとの連続部に向けて徐々に深くなるように形成されている。
【0028】
下部湾曲部47bは、底板部41の中央部41bへとなだらかに連続するようにリム面26へと向かう下方へと凸状に膨出するようにU字状に湾曲している。この下部湾曲部47bは、例えば反対側の係止部43を中心とした円弧に沿って形成されており、底板部41の両側部41a,41aよりも曲率が大きく(曲率半径が小さく)なっている。
【0029】
上板部42は、長手方向と直交する断面が全体としてリム面26と反対側である上方に凸状に膨出するように逆U状に湾曲して形成されている。すなわち、この上板部42は、両側部42a,42aから中央部42bに向けて徐々に上方に突出しているとともに、両側部42a,42aの曲率が中央部42bの曲率よりも大きくなっている。
【0030】
各係止部43は、底板部41及び上板部42から側方に延出しており、本
関連技術ではレゾネータ本体36の両側部に沿って長手方向に連続する長手状に形成されている。これら係止部43は、底板部41及び凹部47と連続する第1の壁部としての縦壁部43aと、この縦壁部43a及び上板部42と連続する第2の壁部としての当接面である横壁部43bとをそれぞれ備えている。そして、各係止部43の横壁部43bが各保持部33の背面側、すなわちリム面26に対向する下面に当接することでレゾネータ12が上方に抜け止めされ、各保持部33間に係止されるようになっている。
【0031】
各縦壁部43aは、各係止部43の最も外側の側部を構成するものであり、レゾネータ12をホイール11に取り付けた状態で各側面28に離間されて対向する部分である。これら縦壁部43aは、上端部が、長手方向と直交する断面が円弧状に湾曲した第1の連結部としての上部連結部43cを介して横壁部43bと連続しており、下端部が、底板部41の側部41aに対してなだらかに連続しているとともに、各凹部47の上部湾曲部47aに対して長手方向と直交する断面が円弧状に湾曲した第2の連結部としての下部連結部43dを介して連続している。そして、これら縦壁部43aの上下寸法L1は、各係止部43の剛性を確保するために可能最大寸法に設定されている。
【0032】
上部連結部43cは、ホイール11の保持部33とのラップ量を考慮した可能最小半径に形成されている。
【0033】
下部連結部43dは、ホイール11への取り付け性(組み付け性)を向上するために、可能最大半径に形成されている。したがって、この下部連結部43dは、上部連結部43cよりも大きい半径寸法を有する曲面状となっている。
【0034】
各横壁部43bは、各係止部43の最も上側の部分を構成するものであり、長手方向と交差(直交)する、すなわちリム面26と略平行な方向に沿って平面状となっている。これら横壁部43bは、外側の端部が上部連結部43cを介して縦壁部43aの上端部と連続しており、内側の端部が上板部42の側部42aに対して長手方向と直交する断面が円弧状に湾曲した第3の連結部としての内側連結部43eを介して連続している。そして、これら横壁部43bの短手寸法である突出寸法L2は、各保持部33とのラップ代やクリアランスが考慮された必要最低寸法に形成され、各係止部43の上板部42と連続する上側の形状起伏を緩やかにするようになっている。
【0035】
内側連結部43eは、上部連結部43cの半径寸法に対応して可能最大変形に形成され、係止部43の上板部42と連続する上側の形状起伏を緩やかにするようになっている。この内側連結部43eは、下部連結部43d及び上部連結部43cよりも大きい半径寸法を有する曲面状となっている。
【0036】
各連結部44は、底板部41と上板部42とを長手方向の両端部にて平面状に連結して副気室45の両端部を閉塞している。
【0037】
副気室45は、中空部とも呼ばれ、ホイール11の周方向に沿って長手方向を有する空間である。また、この副気室45は、連通部37以外に外部と連通する通路などを備えていない。
【0038】
連通部37は、副気室45を空気室25と連通させるもので、筒状をなし例えばレゾネータ本体36の上板部42の長手方向及び両側方向の中央部にて上方に突設されている。
【0039】
そして、空気室25を主気室として、副気室45の容量(体積)や連通部37の長さなどは、ヘルムホルツ共鳴吸音器の共鳴周波数を求める次の式を満たすように設定される。
【0040】
fo=C/2π×√(S/V(L+α×√S))
fo〔Hz〕:空気室25の共鳴周波数
C〔m/s〕:空気室25内部の音速
S〔m
2〕:レゾネータ12の連通部37の断面積
V〔m
3〕:レゾネータ12の副気室45の容量
L〔m〕:レゾネータ12の連通部37の長さ
α:補正係数
【0041】
なお、この共鳴周波数foは、空気室25の共鳴周波数に合わせて設定されるが、空気室25に備えられる複数のレゾネータ12について、全てのレゾネータ12を同一の設定とする他、空気室25に複数の共鳴周波数が認められる場合は、それぞれの副気室45と連通する連通部37の長さや断面積を異ならせてもよく、あるいは、空気室25の複数の共鳴周波数の平均値となるように設定することもできる。
【0042】
そして、このレゾネータ12は、本
関連技術ではブロー成形により製造される。このブロー成形の際には、
図4に示す(一及び他の)成形型51,52を用いる。成形型51,52は、閉型状態で互いに突き合わせられる平面状の(一及び他の)パーティング面51a,52aと、レゾネータ12の外殻をなす(一及び他の)成形面51b,52bとを備えており、これらパーティング面51a,52aを突き合わせた状態で成形面51b,52b間に、溶融樹脂であるパリソンPが収容される空間部であるキャビティ53が区画されるようになっている。また、これら成形型51,52のパーティング面51a,52aは、成形面51b,52bの凹部47,47を除く底板部41及び上板部42に対応する位置、本
関連技術では、成形面51b,52bの底板部41及び上板部42の中央部41b,42bに対応する位置、すなわち係止部43,43に対して離間された位置となっている。このため、これら成形型51,52は、パーティング面51a,52aにてレゾネータ12の両側方向に互いに略線対称となっている。
【0043】
そして、例えば図示しないダイスによって上方から下方へと供給された円筒状のパリソンP(
図4(a))に対して成形型51,52を閉じることでキャビティ53内にパリソンPをセットする(
図4(b))。このとき、パリソンPの一部は、成形型51,52のパーティング面51a,52aにより挟み込まれる。続いて、キャビティ53内のパリソンPの内方に、図示しないブローピンを介して圧縮空気Aを噴射注入する(
図4(c))と、キャビティ53内のパリソンPが膨らみ、成形型51,52の成形面51b,52bに押圧されて密着する(
図4(d))。このとき、パリソンPは、キャビティ53の中央部、本
関連技術ではパーティング面51a,52aの位置から、両側方向に離間されるように成形面51b,52bに対して順次密着していく。したがって、レゾネータ12においては、底板部41及び上板部42の中央部41b,42bの位置でパリソンPが最も厚肉で、キャビティ53の中央部から最も遠い係止部43,43の位置でパリソンPが最も引き延ばされた薄肉の状態となる。
【0044】
両側方向の断面で見たときの係止部43,43及びその周囲の賦形をより詳細に説明すると、底板部41の両側部41a,41aの各非凹部48の位置では、そのなだらかな傾斜(曲面)に沿ってパリソンPが係止部43,43の縦壁部43aに向かって成形面51b,52bに順次密着した後、各係止部43の縦壁部43aに対して上部連結部43cに向かって下方から密着する。また、底板部41の両側部41a,41aの各凹部47の位置では、下部湾曲部47bから上部湾曲部47aへと、なだらかな傾斜(曲面)に沿ってパリソンPが係止部43,43の縦壁部43aに向かって成形面51b,52bに順次密着した後、各係止部43の縦壁部43aに対して下部連結部43dから上部連結部43cに向かって下方から密着する。このとき、下部連結部43dが可能最大半径に湾曲されているとともに、縦壁部43aの上下寸法L1が可能最大寸法の平面状であるため、特に凹部47によって上下に相対的に狭くなっている位置でもパリソンPが確実に成形面51b,52bに密着する。一方、上板部42の両側部42a,42aの位置では、そのなだらかな傾斜(曲面)に沿ってパリソンPが係止部43,43の横壁部43bに向かって成形面51b,52bに順次密着した後、内側連結部43eから上部連結部43cに向かって横壁部43bに沿ってパリソンPが引き延ばされるように成形面51b,52bに密着する。このとき、内側連結部43eが可能最大半径に湾曲されているとともに、横壁部43bの突出寸法L2が必要最低限となっているため、形状起伏が緩やかなので、成形面51b,52bに沿ってパリソンPが確実に引き延ばされ、局所的な薄肉部が形成されにくく、穴開きなどを生じることなく成形面51b,52bに確実に密着する。
【0045】
この後、成形面51b,52bに密着されたパリソンPが冷却されて硬化することで、中空状の中間体Mが所定の形状で賦形される。そして、この中間体Mを、成形型51,52を開いて脱型し(
図4(e))、連通部37の先端部を、上記の共鳴周波数の式に基づいて算出される所定の長さにカットするとともに不要部分であるバリBを除去することで、レゾネータ12が完成する。このバリBの位置は、レゾネータ12をホイール11に組み付ける際に保持部33,33に係止保持される係止部43,43から離間されているため、バリBの除去作業は、必要以上の精度が要求されない簡単なものとなる。
【0046】
これらレゾネータ12をホイール11に組み付ける際には、まず、ホイール11の取付溝部29に対して、一方の係止部43からレゾネータ12を取付溝部29へと傾斜状に挿入し、この一方の係止部43の先端部を一方の保持部33に当接させる(
図3(a))。次いで、この一方の保持部33に当接した一方の係止部43を支点として、図示しない治具などを用いてレゾネータ12の底板部41を他方の保持部33に摺動させつつ他方の係止部43側を矢印Xに示す方向に沿って回転させるように取付溝部29内へと下方に押し込む(
図3(b))。このとき、他方の保持部33に対向する底板部41の他方の係止部43の背面側の凹部47は、この他方の保持部33に対して干渉しない寸法である(一方の係止部43からの距離が一方の係止部43から他方の保持部33までの距離よりも短い)とともに、他方の係止部43と凹部47とが連続する下部連結部43dを両側方向の断面で見て可能最大半径を有する曲面状としたので、なだらかに湾曲する底板部41と他方の保持部33との当接(摺動)面積が減少し、比較的少ない挿入力で他方の係止部43を他方の保持部33に容易に係止できる。この結果、各レゾネータ12は、係止部43,43が保持部33,33に当接するとともに、底板部41の中央部41bがリム面26に当接することによってホイール11の径方向に対して抜け止め保持される。この状態で、各レゾネータ12は、ホイール11に対して長手方向をホイール11の周方向に沿わせ、かつ、長手方向と直交する両側方向をホイール11の幅方向に沿わせて取り付けられている。
【0047】
そして、これらレゾネータ12を取り付けたホイール11には、図示しないタイヤが取り付けられることで、ホイール11とタイヤとの間に空気室25が区画され、この空気室25に各レゾネータ12の副気室45がそれぞれ連通部37を介して連通する。そこで、各レゾネータ12がヘルムホルツ共鳴吸音器として機能し、車内騒音の一因ともなる、路面からタイヤに伝わるランダムな振動が空気室25の空気を振動させて発生する気柱共鳴音を効果的に低減する。
【0048】
このように、本
関連技術によれば、凹部47を除く底板部41及び上板部42の位置でレゾネータ本体36の長手方向に沿ってパーティング面51a,52aを有する成形型51,52を用いてレゾネータ12をブロー成形することで、パーティング面51a,52aに形成されるバリBが、底板部41及び上板部42の両側部に延出する係止部43,43に形成されず、バリの高精度な除去工程及び寸法検査工程などが不要となり、製造タクトの短縮、及び、治具や検具などの作成の必要がなくなるなど、製造コストを抑制できる。
【0049】
また、底板部41の少なくともいずれかの側部41a、本
関連技術では両側部41a,41aに凹部47を設けたので、保持部33,33間にレゾネータ12を取り付ける際の底板部41の保持部33,33への係り(接触面積)を抑制でき、ホイール11に対する取り付けの作業性が向上する。さらに、係止部43,43は、底板部41及び上板部42とともに副気室45を区画する中空状なので、単なる板状の係止部と比較して強度を確保でき、ホイール11の保持部33,33に対して確実に係止できる。
【0050】
また、凹部47をレゾネータ本体36の長手方向と交差する方向に沿って、この長手方向に間欠的に複数設けることで、これら凹部47が補強ビードとして作用するとともに、リム面26に当接する底板部41の中央部41bは、成形型51,52のパーティング面51a,52aに対応する位置であるため、他部分よりも厚肉となることから、擬似的なビードとなり、かつ、底板部41の係止部43,43と連続する両側部41a,41aをなだらかな傾斜(曲面)としたので、成形時の薄肉化を防止できるなど、底板部41の面剛性を向上できる。そこで、例えば高速走行時であってもレゾネータ12を安定した状態でホイール11に確実に係止できる。また、レゾネータ12をホイール11に対して圧入して取り付ける際に底板部41に変形などが生じることもない。
【0051】
特に、各係止部43は、縦壁部43aの上下寸法L1を可能最大寸法の平面状とすることで、成形型51,52への転写性を向上し、意図した製品寸法で各係止部43を形成できるとともに、横壁部43bの突出寸法L2を必要最低限とし、かつ、下部連結部43d及び内側連結部43eをそれぞれ両側方向の断面で見て可能最大半径を有する曲面状として形状の起伏を緩やかとすることにより、成形時の局所的な薄肉化を抑制できるなど、ホイール11に取り付ける際の圧入により変形しない充分な剛性を確保したレゾネータ12を成形できる。
【0052】
さらに、レゾネータ12を両側方向に線対称とすることで、ホイール11に取り付けた後の製品安定性が向上し、高速走行時などであってもレゾネータ12に作用する遠心力が両側に等しく加わるので、がたつきなどを確実に防止できる。
【0053】
なお、上記の第1の
関連技術において、
図6に示す第2の
関連技術のように、係止部43をレゾネータ本体36の底板部41の両側部41a,41aにてレゾネータ本体36の長手方向に各凹部47とずれた位置にそれぞれ設け、長手方向に間欠的に配置してもよい。この場合には、係止部43,43の位置での薄肉化をより確実に抑制でき、係止部43,43によってレゾネータ12をホイール11に対してより確実に係止できる。
【0054】
また、
図7に示す第3の
関連技術のように、係止部43は、長手方向にさらに間引いてもよい。すなわち、機能上支障がない範囲で、係止部43はそのピッチや数などを適宜設定できる。
【0055】
さらに、エアコンプレッサなどを用いてタイヤに空気を充填した際には、空気と同時に水分も充填され、場合によっては副気室45内に水分が溜まることが考えられる。そこで、
図8及び
図9に示す第
1の実施の形態のように、レゾネータ本体36の長手方向の少なくともいずれかの端部、本実施の形態では一方の連結部44に、ホイール11の回転によって最も遠心力が加わる上板部42に対して上部が略面一となるように連通部37を長手方向に沿って設けてもよい。このとき、上板部42及びこの上板部42に対して上部が略面一な連通部37に亘って連続する溝部55をレゾネータ本体36の長手方向に沿って中央部42bに設けるとともに、上板部42を、両側部42a,42aから中央部42bへと溝部55に向かって(上方へと)傾斜させた逆V字状とすることが好ましい。すなわち、連通部37を、レゾネータ本体36のうち、ホイール11の径方向に最大に突出する位置と連通するように形成し、溝部55を、レゾネータ12のうち、リム面26からホイール11の径方向に最も遠い位置に形成することが好ましい。
【0056】
この場合には、ホイール11の回転により生じる遠心力により、副気室45の内部の水分が上板部42に付着するとともに、この上板部42の両側部42a,42aの傾斜に沿って、遠心力が最も作用する中央部42bの溝部55へと確実に集中され、例えば走行時あるいはブレーキ作動時などの減速時に、溝部55を介して連通部37から空気室25へと排出される。すなわち、遠心力を有効に利用して副気室45に入り込んだ水分を上板部42に沿って連通部37を介して空気室25へと確実に排出できる。この結果、副気室45内に水分が溜まることがなく、副気室45の容量の関数として設定されるレゾネータ12の共鳴周波数が安定し、安定した吸音性能を発揮できる。
【0057】
しかも、連通部37は、取付溝部29内に配置されてタイヤと対向しないため、タイヤの脱着時などに誤って傷つけたりすることもない。
【0058】
また、上記の第
1の実施の形態を、上記の第2の
関連技術あるいは第3の
関連技術と組み合わせてもよい。
【0059】
そして、ホイール11に対して圧入して組み付ける際に変形をより確実に防止するときには、例えば
図10に示す第
2の実施の形態のように、凹部47は、底板部41の一方の側部41aのみに設け、成形型51,52のパーティング面51a,52aの位置を、底板部41においては凹部47と反対側である他方の側部41a側に、上板部42においては一方の側部41a側にそれぞれずらすようにしてもよい。この場合には、最も厚肉となるパーティング面51a,52a近傍の位置を、リム面26に当接する底板部41の他方の側部41a側とするとともに、圧入される一方の係止部43をパーティング面51a,52aに接近させて、他方の係止部43よりも厚肉に形成することができ、ホイール11に対して圧入して組み付けるための剛性を充分に確保できる。但し、成形時のバリが係止部43,43に形成されないようにするために、パーティング面51a,52aの位置は、凹部47を除く底板部41の範囲内、及び、上板部42の範囲内とする
。