(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
赤外線ヒータを用いた暖房装置において、前記赤外線ヒータの輻射熱を受ける位置にある対象物の温度を検出する赤外線センサと、この赤外線センサによって前記対象物があらかじめ設定された発火危険温度に達したことを検出すると前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱が減少するよう前記赤外線ヒータを制御するヒータ駆動制御部と、前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱が減少しても前記対象物の温度が速やかに低下しない場合に警報を発する警報発生部と、前記赤外線センサの出力に基づいて前記ヒータ駆動制御部及び前記警報発生部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報装置。
前記赤外線ヒータを左右方向に首振り動作させる首振り機構を備え、前記ヒータ駆動制御部は、前記首振り機構を制御して、前記赤外線ヒータを左右方向に首振り動作するよう制御することを特徴とする前記請求項1記載の赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報装置。
赤外線ヒータの輻射熱を受ける位置にある対象物の温度を赤外線センサで検出し、この検出された温度があらかじめ設定された発火危険温度に達すると前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱が減少するよう前記赤外線ヒータを制御し、前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱が減少しても前記対象物の温度が速やかに低下しない場合には警報を発することを特徴とする赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報方法。
前記検出された対象物の温度があらかじめ設定された発火危険温度に達すると前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱を減少させる前記赤外線ヒータの制御は、前記赤外線ヒータのオンオフ制御で行うことを特徴とする前記請求項5記載の赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報方法。
前記検出された対象物の温度があらかじめ設定された発火危険温度に達すると前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱を減少させる前記赤外線ヒータの制御は、前記赤外線ヒータを左右方向に首振り動作させて行うことを特徴とする前記請求項5記載の赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報方法。
【背景技術】
【0002】
従来から、赤外線ヒータを用いた電気ストーブなどの暖房装置において、センサを用いることにより、赤外線ヒータからの輻射熱を吸収、蓄熱した物体における炎のない無煙燃焼である燻焼や、その後の発炎による火災を未然に防止する安全策は、種々知られている。そして、前記使用されるセンサとしては、第1に、赤外線や超音波等を送信し、対象物からの反射波を受信することにより、対象物の有無や対象物までの距離を検出する測距センサがある。また、第2に、近接あるいは接触する対象物の温度を検知する温度センサがある。また、第3に、対象物から放射される赤外線を受光し、その熱エネルギーによって、素子温度が上昇することで生じる電気的性質の変化により対象物温度を検知する赤外線温度センサがあり、この赤外線温度センサには、温度の相対的変化を検出するタイプと、温度自体を測定するタイプとがある。
【0003】
ところで、第1の測距センサには、対象物の材質によっては赤外線や超音波を吸収したり、透過させて、反射しないために、検知困難な場合があるという問題がある。また、第2の温度センサには、センサ周辺の温度変化しか検出できないという問題がある。また、第3の赤外線温度センサには、対象物自身の温度に依存して対象物から放出される赤外線と、外部から照射された赤外線を対象物が反射した赤外線と、対象物とは関係なくセンサが受光した赤外線との区別ができないので、対象物温度の検知を確実に行うことは困難であるという問題がある。したがって、これらのセンサを暖房装置の警報装置に使用する場合には、以上の問題点を考慮し、その対策が必要となる。
【0004】
従来、第1の測距センサを用いたものとしては、電気ストーブのヒータ本体の前面上端近傍に測距センサを配置し、測距センサによる検出距離が設定距離未満の場合にその継続時間を計測し、この計測時間が設定した時間になると、布等がヒータ本体に被さったものと判断して、ヒータに対する電力供給を停止する構成が知られている(特許文献1)。
【0005】
また、第2の温度センサを用いたものとしては、電気ストーブのガード近傍に温度センサを配置して、その検出温度と温度上昇速度とを基準信号とを比較し、検出温度や温度上昇速度が異常基準値を超えた場合に、布等がガード面を覆ったものと判断して、ヒータに対する電力供給を停止する構成が知られている(特許文献2)。
【0006】
さらに、第3の赤外線温度センサを用いたものとしては、電気ストーブに、赤外線温度センサとしての焦電センサと、赤外線の入射を断続的に阻止するシャッタ板とを備えた人体等感知部を設け、この人体等感知部の感知方向を固定して、一定側から発せられた赤外線が入射するようにし、所定時間人体等を感知しない場合には、暖房対象物がないものとして、安全及び消費電力低減のために、ヒータに対する電力供給を停止する構成が知られている(特許文献3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の上記第1の構成によると、対象物までの距離を測定するもので、計測範囲内に対象物が存在するか否かは検出できるが、検出した対象物の温度は検出できないので、対象物が発火の危険性があるか否かを直接的に判別することはできないとともに、設定距離範囲外に電気ストーブから離れた位置にある対象物は検出できない、という不都合がある。また、上記第2の構成によると、センサの近隣及び接触する範囲での温度は検出できるが、対象物が離れた場所にあるときにはその温度を検出できないので、電気ストーブから離れた位置にある対象物が発火の危険性があるか否かを判別することできない、という不都合がある。さらに、上記第3の構成によると、対象物が離れた場所に位置していても、温度変化を検出することで、その存在は検出できるが、温度の値を検出するものではないので、対象物が発火の危険性があるか否かを判別することできない、という不都合がある。
【0009】
本発明は、このような不都合を解消して、赤外線ヒータを用いた暖房装置からの距離の遠近に関係なく、対象物の温度の値を確実に検出することにより、対象物自体の温度から発火の危険性を検出して、警報を発する暖房装置における警報装置及び警報方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため本発明の請求項1に係る赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報装置は、赤外線ヒータを用いた暖房装置において、前記赤外線ヒータの輻射熱を受ける位置にある対象物の温度を検出する赤外線センサと、この赤外線センサによって前記対象物があらかじめ設定した発火危険温度に達したことを検出すると前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱が減少するよう前記赤外線ヒータを制御するヒータ駆動制御部と、前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱が減少しても前記対象物の温度が速やかに低下しない場合に警報を発する警報発生部と、前記赤外線センサの出力に基づいて前記ヒータ駆動制御部及び前記警報発生部を制御する制御部と、を備えるものである。ここで、前記輻射熱の減少には、対象物が輻射熱を受けない状態も含むものである。
【0011】
同じく前記目的を達成するため本発明の請求項2に係る赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報装置は、前記請求項1発明の構成において、前記ヒータ駆動制御部は、前記赤外線ヒータをオンオフ制御するものである。
【0012】
同じく前記目的を達成するため本発明の請求項3に係る赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報装置は、前記請求項1発明の構成において、前記赤外線ヒータを左右方向に首振り動作させる首振り機構を備え、前記ヒータ駆動制御部は、前記首振り機構を制御して、前記赤外線ヒータを左右方向に首振り動作するよう制御するものである。
【0013】
同じく前記目的を達成するため本発明の請求項4に係る赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報装置は、前記請求項1〜3のいずれか1項の発明の構成において、前記赤外線センサは、サーモパイルまたはボロメータであるものである。
【0014】
同じく前記目的を達成するため本発明の請求項5に係る赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報方法は、前記赤外線ヒータの輻射熱を受ける位置にある対象物の温度を赤外線センサで検出し、この検出された温度があらかじめ設定された発火危険温度に達すると前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱が減少するよう前記赤外線ヒータを制御し、前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱が減少しても前記対象物の温度が速やかに低下しない場合には警報を発するものである。ここで、前記輻射熱の減少には、対象物が輻射熱を受けない状態も含むものである。
【0015】
同じく前記目的を達成するため本発明の請求項6に係る赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報方法は、前記請求項5の発明において、前記検出された温度があらかじめ設定された発火危険温度に達すると前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱を減少させる前記赤外線ヒータの制御は、前記赤外線ヒータのオンオフ制御で行うものである。
【0016】
同じく前記目的を達成するため本発明の請求項7に係る赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報方法は、前記請求項5の発明において、前記検出された温度があらかじめ設定された発火危険温度に達すると前記対象物に対する前記赤外線ヒータの輻射熱を減少させる前記赤外線ヒータの制御は、前記赤外線ヒータを左右方向に首振りさせる首振り動作制御で行うものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報装置によれば、暖房装置からの距離の遠近に関係なく、対象物が発火危険温度に達したことを検出可能になるとともに、この検出に際して赤外線ヒータが発する赤外線の対象物による反射、及び対象物とは無関係な赤外線の影響を受けないので、対象物の温度を精度よく検出して確実に警報を発することができるという効果を奏する。
【0018】
本発明の赤外線ヒータを用いた暖房装置における警報方法によれば、暖房装置からの距離の遠近に関係なく、対象物が発火危険温度に達したことを検出可能になるとともに、この検出に際して赤外線ヒータが発する赤外線の対象物による反射、及び対象物とは無関係な赤外線の影響を受けないので、対象物の温度を精度よく検出して確実に警報を発することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
はじめに、添付図面の
図1に基づいて、本発明に係る警報装置の好適な構成を説明する。
図2,
図8,
図13の暖房装置たる電気ストーブに設ける警報装置は、赤外線ヒータ1の輻射熱を受ける位置にある対象物の温度を検出するサーモパイルまたはボロメータからなる赤外線センサ2と、この赤外線センサ2によって前記対象物の温度があらかじめ設定された発火危険温度に達したことを検出すると前記対象物に対する前記赤外線ヒータ1の輻射熱が減少するよう前記赤外線ヒータ1を制御するヒータ駆動制御部3と、前記対象物に対する前記赤外線ヒータ1の輻射熱が減少しても前記対象物の温度が速やかに低下しない場合に警報を発する警報発生部たるアラーム部4及び警報表示部5と、前記赤外線センサ2の出力に基づいて前記ヒータ駆動制御部3、前記アラーム部4及び前記警報表示部5を制御する制御部6と、を備えている。
【0021】
赤外線センサ2は、対象物の温度値を検出できるものであり、具体的には、上述のようにサーモパイルまたはボロメータが好適である。また、赤外線センサ2で検出する発火危険温度は、電気ストーブの使用環境に存在する発火対象物の発火温度を考慮して設定される。本実施形態では、例えば、新聞紙の発火温度290℃程度や木材の発火温度260℃程度を考慮するとともに、100℃〜150℃の低温発火も考慮して、発火危険温度を150℃〜200℃の範囲で10℃刻みで設定可能に構成し、通常は200℃に設定される。
【0022】
ヒータ駆動制御部3には、二つの実施形態がある。第1の実施形態は、赤外線ヒータ1をオンオフ制御して、温度検出対象物に対する前記赤外線ヒータ1の輻射熱を減少させるヒータオンオフ制御部たるヒータ駆動制御部3である。また、第2の実施形態は、電気ストーブが前記赤外線ヒータ1を左右方向に首振り動作させる首振り機構を備える構成の場合のもので、前記首振り機構を制御して、前記赤外線ヒータ1を左右方向に首振り動作するよう制御し、温度検出対象物に対する前記赤外線ヒータ1の輻射熱を減少させるヒータ首振り制御部たるヒータ駆動制御部3である。なお、前記ヒータ駆動制御部3は、ヒータ首振り制御部の場合にも赤外線ヒータ1のオンオフ制御機能は備えている。したがって、電気ストーブが前記赤外線ヒータ1を左右方向に首振り動作させる首振り機構を備えている場合でも、赤外線ヒータ1をオンオフ制御する第1の実施形態を採用することもできる。
【0023】
アラーム部4は、制御部6からの制御信号が入力すると警告音を発生するものである。警報表示部5は、例えば液晶ディスプレイからなり、制御部6から入力する制御信号に応じて、「反射物検知」または「危険 高温物体検知」と表示するものである。制御部6は、赤外線センサ2からの温度検出信号を受けて、検出温度が設定された発火危険温度である200℃以上の場合に、前記アラーム部4、警報表示部5、ヒータ駆動制御部3の動作を制御するものである。
【0024】
次に、上述した警報装置が設けられる電気ストーブの第1の実施形態、具体的にはヒータがオンオフ制御される実施形態について説明する。
図2に示すように、電気ストーブ11の本体12は、中空部12aを有する枠状の筐体で、前記中空部12aに対応位置して赤外線ヒータ部13が固定配置されている。この赤外線ヒータ部13は、前面が開放された筐体内に赤外線ヒータ1(
図1参照)を配置し、開放前面には防護網が設けられている。前記本体12の上部前面には、サーモパイルからなる左右一対の赤外線センサである、Rセンサ14とLセンサ15が、
図3で理解できるように、外側に所定角度傾けて配置されている。
【0025】
図3は前記各センサ14,15の検出範囲を示すもので、図中の白抜き矢印は赤外線ヒータ1による輻射方向を示している。また、前記本体12内には、前記各センサ14,15以外の警報装置の各構成要素である、ヒータ駆動制御部3、アラーム部4、警報表示部5、制御部6が配置されている。そして、前記ヒータ駆動制御部3は、ヒータオンオフ制御部として構成されている。
【0026】
続いて、電気ストーブ11における警報動作について、
図4のフローチャートに基づき説明する。この警報動作は制御部6によって制御されるものであり、後述する他の実施形態の警報動作においても同じである。まず、本体12に設けた図示していない電源スイッチをオン(ステップ101)にし、各センサ14,15をオン(ステップ102)にして、赤外線ヒータ1が赤外線を放射する通常動作が行われる(ステップ103)。
【0027】
そして、各センサ14,15のいずれか、あるいは両方が200℃の対象物を検出する(ステップ104)と、制御部6はヒータ駆動制御部3に制御信号を出力して、赤外線ヒータ1をオフ状態とし(ステップ105)、高温対象物に対する赤外線ヒータ1からの輻射を停止させる。あるいはこのステップ105で、赤外線ヒータ1をオフ状態にはしないで、その出力を1/2程度に減少させて、高温対象物に対する赤外線ヒータ1の輻射が半減するように制御してもよい。
【0028】
この赤外線ヒータ1のオフ、あるいは出力減少によって、高温対象物の検出温度が急激に下がった場合は、赤外線ヒータ1からの赤外線が対象物に反射されて200℃の高温がセンサ14,15で検出されたものと判断し(ステップ106)、警報表示部5に「反射物検知」と表示し(ステップ107)、赤外線ヒータ1をオン、あるいはその出力を通常状態に増加させて、通常動作に復帰する(ステップ108)。
【0029】
ここで、すぐに高温検知動作に戻ると、反射物と判断された対象物の温度が200℃まで高まって、短時間で再び高温検出されてしまい、赤外線ヒータ1がオフ、あるいは出力減少となる。このように、短時間で赤外線ヒータ1がオン、オフ動作や、出力の増減を繰り返すのは、電気ストーブ11の使用者にとっては好ましいものではない。そこで、所定時間経過後に(ステップ109)、ステップ104に戻り高温検出動作を行う。
【0030】
電気ストーブ11の使用者が、反射物と検出された対象物を各センサ14,15の検出範囲外に移動すると、高温検出がされないので通常動作が継続されるが、前記対象物をそのままの状態に放置しておいた場合は、再度高温検出されて(ステップ104)、ステップ105以下の上述した動作を繰り返すものである。
【0031】
一方、上記ステップ106で、高温対象物の検出温度が下がりはするが、緩やかな低下の場合は、対象物自体が高温で、蓄熱状態からの熱の自然放出がされたものと判断する。また、同ステップ106で、検出温度が下がらなかったり、逆に上昇した場合には、前記蓄熱が増大しており、高温対象物が発火状態に移行する危険があると判断する。そして、このように判断されると、アラーム部4で警報音を発生させるとともに、警報表示部5に「危険、高温物体検知」と警報表示する(ステップ110)。そして、赤外線ヒータ1をオフにして動作を終了する(ステップ111)。
【0032】
次に、ヒータが首振り制御される実施形態について説明する。本実施形態の電気ストーブ21は、外観は
図2、
図3に示す、上述した電気ストーブ11と同一で、構成上異なるのは赤外線ヒータ部23の首振り機構(図示せず)を備え、
図5、
図6に示すように、赤外線ヒータ部23は本体22に対して左右方向に首振り可能に支持され、ヒータ駆動制御部3で前記赤外線ヒータ部23を左右に所定角度で首振り動作を行うことができる点だけであり、Rセンサ24及びLセンサ25や他の警報装置の構成要素も同一である。なお、前記首振り機構は、従来公知の構成である。このため、本実施形態の電気ストーブ21の構成の詳細な説明は、上述した電気ストーブ11の説明をもって換えることで省略する。また、警報装置については
図1に示す警報装置を備え、ヒータ駆動制御部3はヒータ首振り制御部として構成されている。
【0033】
続いて、上記電気ストーブ21における警報動作について、
図7のフローチャートに基づき説明する。まず、本体22に設けた図示していない電源スイッチをオン(ステップ201)にし、各センサ24,25をオン(ステップ202)にして、赤外線ヒータ1が赤外線を放射する通常動作が行われる(ステップ203)。そして、各センサ24,25のいずれかが200℃の対象物を検出する(ステップ204)と、制御部6はヒータ駆動制御部3に制御信号を出力して、赤外線ヒータ部23を検出したセンサ24,25とは逆方向に首振り動作させて停止する(ステップ205)。
【0034】
例えば、上記ステップ204でLセンサ25が高温対象物を検出した場合には、前記ステップ205で赤外線ヒータ部23は、
図5に示すように、同図上、右に首振り動作されて停止し、前記Lセンサ25の検出範囲は赤外線ヒータ1からの輻射を受けない状態となる。この状態で、検出範囲が赤外線ヒータ1の輻射範囲にあるRセンサ24は、オフにされて検出動作を停止する(ステップ206)。
【0035】
赤外線ヒータ1からの輻射を受けない状態となって、オン状態にあるLセンサ25の検出範囲内にある高温対象物の検出温度が、急激に下がった場合は、赤外線ヒータ1からの赤外線が対象物に反射されて200℃の高温が前記Lセンサ25で検出されたものと判断し(ステップ207)、警報表示部5に「反射物検知」と表示し(ステップ208)、赤外線ヒータ部23を左方向に首振りして初期状態位置の正面に向けて、通常動作に復帰する(ステップ209)。そして、Rセンサ24をオン状態にする(ステップ210)。
【0036】
なお、上記ステップ204でRセンサ24が高温対象物を検出した場合には、ステップ205で赤外線ヒータ部23は、
図6に示すように、同図上、左に首振り動作されて停止し、前記Rセンサ24の検出範囲は赤外線ヒータ1からの輻射を受けない状態となる。この状態で、検出範囲が赤外線ヒータ1の輻射範囲にあるLセンサ25は、オフにされて検出動作を停止する(ステップ206)。
【0037】
そして、赤外線ヒータ1からの輻射を受けない状態となって、オン状態にあるRセンサ24の検出範囲内にある高温対象物の検出温度が、急激に下がった場合は、赤外線ヒータ1からの赤外線が対象物に反射されて200℃の高温が前記Rセンサ24で検出されたものと判断し(ステップ207)、警報表示部5に「反射物検知」と表示し(ステップ208)、赤外線ヒータ部23を右方向に首振りして初期状態位置の正面に向けて、通常動作に復帰する(ステップ209)。そして、Lセンサ25をオン状態にする(ステップ210)。
【0038】
ここで、すぐに高温検知動作に戻ると、反射物と判断された対象物の温度が200℃まで高まって、短時間で再び高温検出されてしまい、赤外線ヒータ部23が首振り動作される。このように、短時間で赤外線ヒータ部23が首振り動作するのは、電気ストーブ21の使用者にとっては好ましいものではない。そこで、所定時間経過後に(ステップ211)、ステップ204に戻り高温検出動作を行う。
【0039】
電気ストーブ21の使用者が、反射物と検出された対象物を各センサ24,25の検出範囲外に移動すると、高温検出がされないので通常動作が継続されるが、前記対象物をそのままの状態に放置しておいた場合は、再度高温検出されて(ステップ204)、ステップ205以下の上述した動作を繰り返すものである。
【0040】
一方、上記ステップ207で、高温対象物の検出温度が下がりはするが、緩やかな低下の場合は、対象物自体が高温で、蓄熱状態からの熱の自然放出がされたものと判断する。また、同ステップ207で検出温度が下がらなかったり、逆に上昇した場合には、前記蓄熱が増大しており、高温対象物が発火状態に移行する危険があると判断する。そして、このように判断されると、アラーム部4で警報音を発生させるとともに、警報表示部5に「危険、高温物体検知」と警報表示する(ステップ212)。そして、赤外線ヒータ1をオフにして動作を終了する(ステップ213)。
【0041】
次に、ヒータが首振り制御される電気ストーブの別の実施形態を説明する。
図8に示すように、電気ストーブ31の本体32は、中空部32aを有する枠状の筐体で、前記中空部32aに対応位置して赤外線ヒータ部33が配置されている。この赤外線ヒータ部33は、前面が開放された筐体内に赤外線線ヒータ1(
図1参照)を配置し、開放前面には防護網が設けられている。前記赤外線ヒータ部33は本体32の台座39に公知の首振り機構(図示せず)を介して左右方向に首振り可能に支持され、ヒータ駆動制御部3(
図1参照)で前記ヒータ部33を左右に所定角度で首振り動作を行うことができる。すなわち、前記ヒータ駆動制御部3はヒータ首振り制御部として構成されている。
【0042】
本体32の上部前面の窓37から外部を臨むようにして、赤外線ヒータ部33と連動して首振り可能に、サーモパイルからなる3個の赤外線センサである、Rセンサ34、Mセンサ36、Lセンサ35が配置されている。
図9で理解できるように、中央に位置する前記Mセンサ36は、正面を向いて赤外線ヒータ部33前面と平行に配置されているが、左右両側に位置するRセンサ34とLセンサ35は、前記赤外線ヒータ部33前面に対して外側に所定角度傾けて配置されている。
【0043】
図9は前記各センサ34,35,36の検出範囲を示すもので、図中の白抜き矢印は赤外線ヒータ1による輻射方向を示し、38は高温検出対象物である。したがって、首振り動作がされない通常運転時には、Mセンサ36の検出範囲が赤外線ヒータ1による赤外線輻射範囲と合致し、Rセンサ34とLセンサ35の検出範囲は赤外線ヒータ部1による赤外線輻射範囲から外れている。また、本体32内には、前記各センサ34,35,36以外の警報装置の各構成要素である、ヒータ駆動制御部3、アラーム部4、警報表示部5、制御部6(
図1参照)が配置されている。
【0044】
続いて、上記電気ストーブ31における警報動作について、
図12のフローチャートに基づき説明する。まず、本体32に設けた図示していない電源スイッチをオン(ステップ301)にし、Mセンサ36をオン、Rセンサ24とLセンサ25はオフ(ステップ302)にして、赤外線ヒータ1が赤外線を放射する通常動作が行われる(ステップ303)。そして、Mセンサ36が200℃の対象物38を検出する(ステップ304)と、制御部6はヒータ駆動制御部3に制御信号を出力して、赤外線ヒータ部33を、右または左に首振り動作させて停止させる(ステップ305)。
【0045】
例えば、前記ステップ305で
図10に示すように、赤外線ヒータ部33が右に首振り動作されて停止した場合は、Lセンサ35の検出範囲に対象物38が位置するとともに、前記対象物38は赤外線ヒータ1からの輻射を受けない状態となる。ここで、検出範囲が赤外線ヒータ1からの輻射を受けているMセンサ36をオフとしてその検出動作を停止し、対象物38が検出範囲内に位置するLセンサ35をオンとする(ステップ306)。
【0046】
赤外線ヒータ1からの輻射を受けない状態となった対象物38を、オン状態にあるLセンサ35で検出した温度が、急激に下がった場合は、Mセンサ36で検出された200℃の高温は、赤外線ヒータ1からの赤外線が対象物38で反射されたものと判断し(ステップ307)、警報表示部5に「反射物検知」と表示し(ステップ308)、赤外線ヒータ部33を左方向に首振りして初期状態位置の正面に向けて、通常動作に復帰する(ステップ309)。そして、Mセンサ36をオンとし、Lセンサ35をオフとする(ステップ310)。
【0047】
なお、上記ステップ305で、赤外線ヒータ部33が左に首振り動作されて停止した場合は、
図11に示すように、Rセンサ34の検出範囲に対象物38が位置して、前記対象物38は赤外線ヒータ1からの輻射を受けない状態となる。この場合は、上記ステップ306で、検出範囲が赤外線ヒータ1からの輻射を受けているMセンサ36をオフとしてその検出動作を停止し、対象物38が検出範囲内に位置するRセンサ34をオンとするものである。このように、上記ステップ305における首振り動作の方向は左右いずれでもよく、首振り方向に応じてオンとなるセンサが決定される。
【0048】
ところで、上記ステップ310に続いて、すぐに高温検知動作に戻ると、反射物と判断された対象物38の温度が200℃まで高まって、短時間で再び高温検出されてしまい、赤外線ヒータ部33が首振り動作される。このように、短時間で赤外線ヒータ部33が首振り動作するのは、電気ストーブ31の使用者にとっては好ましいものではない。そこで、所定時間経過後に(ステップ311)、ステップ304に戻り高温検出動作を行う。
【0049】
また、電気ストーブ31の使用者が、反射物と検出された対象物38をMセンサ36の検出範囲外に移動すると、高温検出がされないので通常動作が継続される(ステップ303)が、前記対象物38をそのままの状態に放置しておいた場合は、再度高温検出されて(ステップ304)、ステップ305以下の上述した動作を繰り返すものである。
【0050】
一方、上記ステップ307で、高温と検出した対象物38の温度が下がりはするが、緩やかな低下の場合は、対象物38自体が高温で、蓄熱状態からの熱の自然放出がされたものと判断する。また、同ステップ307で、検出温度が下がらなかったり、逆に上昇した場合には、前記蓄熱が増大しており、発火状態に移行する危険があると判断する。そして、このように判断した場合には、アラーム部4で警報音を発生させるとともに、警報表示部5に「危険、高温物体検知」と警報表示する(ステップ312)。そして、赤外線ヒータ1をオフにして動作を終了する(ステップ313)。
【0051】
次に、ヒータが首振り制御される電気ストーブのさらに別の実施形態を説明する。
図13に示すように、電気ストーブ41の本体42は、中空部42aを有する枠状の筐体で、前記中空部42aに対応位置して赤外線ヒータ部43が配置されている。この赤外線ヒータ部43は、前面が開放された筐体内に赤外線ヒータ1(
図1参照)を配置し、開放前面には防護網が設けられている。前記赤外線ヒータ部43は本体42の台座49に公知の首振り機構(図示せず)を介して左右方向に首振り可能に支持され、ヒータ駆動制御部3により前記赤外線ヒータ部43を左右に所定角度で首振り動作を行うことができる。すなわち、前記ヒータ駆動制御部3はヒータ首振り制御部として構成されている。
【0052】
本体42の上部前面には、多素子、例えば8×8素子のサーモパイルからなる赤外線多素子センサ44が配置されている。
図14は前記多素子センサ44の検出範囲を示すもので、図中の白抜き矢印は赤外線ヒータ1による輻射方向を示し、48は高温検出対象物である。
図14に示す首振り動作がされない通常運転時には、対象物48は、赤外線ヒータ1による輻射を受けているので、
図15に示すように、多素子センサ44の検出範囲Xにおいて、赤外線輻射部分Y内に対象物48による赤外線放射検出部分Zが位置する状態で検出される。また、本体42内には、前記多素子センサ44以外の警報装置の各構成要素である、ヒータ駆動制御部3、アラーム部4、警報表示部5、制御部6(
図1参照)が配置されている。
【0053】
続いて、上記電気ストーブ41における警報動作について、
図20のフローチャートに基づき説明する。まず、本体42に設けた図示していない電源スイッチをオン(ステップ401)にし、多素子センサ44をオン(ステップ402)にして、赤外線ヒータ1が赤外線を放射する通常動作が行われる(ステップ403)。そして、多素子センサ44が200℃の対象物48を検出する(ステップ404)と、制御部6はヒータ駆動制御部3に制御信号を出力して、赤外線ヒータ部43を、右または左に首振り動作させて停止する(ステップ405)。
【0054】
例えば、上記ステップ405で
図16に示すように、赤外線ヒータ部43が右に首振り動作されて停止した場合は、
図17に示すように、多素子センサ44の検出範囲Xに対象物48は位置しているが、赤外線輻射部分Yは右側に移動するので、前記対象物48は赤外線ヒータ1からの輻射を受けない状態となる。ここで、赤外線ヒータ1からの輻射を受けない状態となった対象物48を、多素子センサ44で検出した温度が、急激に下がった場合は、多素子センサ44で検出された200℃の高温は、赤外線ヒータ1からの赤外線が対象物48で反射されたものと判断し(ステップ406)、警報表示部5に「反射物検知」と表示し(ステップ407)、赤外線ヒータ部43を左方向に首振りして初期状態位置の正面に向けて、通常動作に復帰する(ステップ408)。
【0055】
なお、上記ステップ405で、赤外線ヒータ部43が左に首振り動作されて停止した場合は、
図18,19に示すように、多素子センサ44の検出範囲Xに対象物48は位置しているが、赤外線輻射部分Yは左側に移動するので、前記対象物48は赤外線ヒータ1からの輻射を受けない状態となって、上記ステップ406での判断がなされる。
【0056】
ところで、上記ステップ408に続いて、すぐに高温検知動作に戻ると、反射物と判断された対象物48の温度が200℃まで高まって、短時間で再び高温検出されてしまい、赤外線ヒータ部43が首振り動作される。このように、短時間で赤外線ヒータ部43が首振り動作するのは、電気ストーブ41の使用者にとっては好ましいものではない。そこで、所定時間経過後に(ステップ409)、ステップ404に戻り高温検出動作を行う。
【0057】
また、電気ストーブ41の使用者が、反射物と検出された対象物48を多素子センサ44の検出範囲外に移動すると、高温検出がされないので通常動作が継続される(ステップ403)が、前記対象物48をそのままの状態に放置しておいた場合は、再度高温検出されて(ステップ404)、ステップ405以下の上述した動作を繰り返すものである。
【0058】
一方、上記ステップ406で、高温と検出した対象物48の温度が下がりはするが、緩やかな低下の場合は、対象物48自体が高温で、蓄熱状態からの熱の自然放出がされたものと判断する。また、同ステップ406で、検出温度が下がらなかったり、逆に上昇した場合には、前記蓄熱が増大しており、高温対象物48が発火状態に移行する危険があると判断する。そして、このような判断がされると、アラーム部4で警報音を発生させるとともに、警報表示部5に「危険、高温物体検知」と警報表示する(ステップ410)。そして、赤外線ヒータ1をオフにして動作を終了する(ステップ411)。
【0059】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、首振り動作は、一動作で停止するのではなく、停止せずに連続的に動作するものでもよく、この場合には対象物38,48が赤外線輻射範囲外に位置している状態で、対象物38,48の温度検出を行うものである。また、上述した各実施形態において、使用するセンサは、サーモパイルに替えてボロメータを使用してもよい。