(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の洗浄装置は、一つのワークの穴とノズルが対向するように順番にノズルを移動させ位置決めして洗浄するため、洗浄時間が長くかかるという問題があった。また、特許文献1の洗浄装置は、一度に洗浄できる範囲が狭いため、多数の被洗浄穴が並んでいる場合や広範囲な面を洗浄する場合にノズルの移動時間が過大になり、生産性が低下するという問題があった。
また、特許文献1の洗浄装置のようにノズルを移動させると、ノズルに超高圧の洗浄液を供給する場合には、シール性を確保するための構成が複雑になるという問題があった。
【0006】
他方、特許文献2の洗浄装置は、ワークを多関節ロボットが把持し回転運動によって、ノズルに配向するため、ワークの移動軌跡を直線にするためには煩雑な制御が必要となるという問題があった。高圧噴流を用いた洗浄又はバリ取りを行う場合には、高圧噴流を精密にワーク外形状に沿って当てる必要がある。多関節ロボットでは、高い位置決め精度、繰り返し精度、又は軌跡精度が得られにくく、高い洗浄又はバリ取り効果を得ることが難しい。
また、ノズルから噴射した高圧水が直接に、又はワークに当たり跳ね返って間接に、多関節ロボットにかかる。多関節ロボットは精密製品であるため、高圧水との接触により破損しやすい問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、高圧洗浄にも好適に対応して洗浄作業効率を向上させるともに、多種多様なワークに柔軟に対応して生産性を向上させることができる洗浄装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、次の構成を取る。
本発明は、洗浄領域に配設されたノズルから洗浄液を噴出してワークを洗浄する洗浄装置であって、ベッドと、前記ベッドに設けられる移動装置と、前記洗浄領域に臨むように前記移動装置に配設され前記ワークを保持して移動させる送り台装置であって、第1の軸回りに回転自在な第1の回転サドルと、前記第1の回転サドルに配設され前記第1の軸と異なる方向
であって前記第1の回転サドルと共に回転する第2の軸回りに回転自在な第2の回転サドルと、前記第1の回転サドルを回転させる第1の駆動装置と、前記第2の回転サドルを回転させる第2の駆動装置と、を有する送り台装置と、前記ワークを保持できるように構成された流体圧シリンダを有し、前記第2の回転サドルに配設され、この送り台装置に配設され前記ワークを保持する把持装置と、流体供給源から前記流体圧シリンダに圧力流体を供給する流体供給手段であって、前記第1の回転サドル
の先端側に配設され
、前記第1の軸と同軸に固定される第1の軸体と、前記第1の軸体の外周に設けられ、前記第1の回転サドルと共に回転する第1のハウジングと、を有する第1の流体供給用回転継手と、前記第2の回転サドルに配設され
、前記第1の回転サドルに設けられた第2のハウジングと、前記第2のハウジングの内部に前記第2の回転サドルと一体となって回転可能に設けられた第2の軸体とを有する、第2の流体供給用回転継手と、前記流体供給源から前記第1の
軸体に圧力流体を供給する第1の流体通路と、前記第1の
ハウジングから前記第2の
ハウジングに圧力流体を供給する第2の流体通路と、前記第2の
軸体から
前記第2の回転サドルの内部を通って、前記流体圧シリンダに圧力流体を供給する流体通路と、を有する流体供給手段と、前記移動装置と前記洗浄領域との間を遮蔽し前記送り台装置が貫通するカバー装置と、を備え、前記第1の駆動装置と前記第2の駆動装置は、前記洗浄領域に対して前記カバー装置よりも外側に配設され、前記送り台装置によって前記洗浄領域まで前記ワークを移動して洗浄することを特徴とする。
【0009】
なお、以下の説明において、「洗浄」の用語は、ノズルから高圧の噴流(洗浄液、水、エア等)を噴射して行われる作業や処理等の動作を広く含み、特に限定して用いるものではなく例えば、穴加工によって形成されるバリ取りやエアブロも含むものとする。
【0010】
本発明に係る洗浄装置によれば、前記ワークを保持する把持装置が配設された前記送り台装置を移動自在に支持する移動装置を備えたことで、ワークを把持して、洗浄領域にワークを運び込み、ワークを把持したままで洗浄室内に配設されたノズルから噴射した噴流にワークを精密に制御してワークに噴流を吹き付けることができる。
【0011】
このようにして、本発明に係る洗浄装置は、把持装置によってワークを把持した状態で移動装置によってワークを洗浄領域まで移動させて、ワークを把持したままでノズルから洗浄液を噴出させて洗浄することができるため、自動化に適しワークの搬送効率および作業性を向上させて効率的な洗浄工程を行うことができる。
【0012】
本発明に係る洗浄装置は、ワークを洗浄領域まで移動させることで、洗浄領域においてノズルに対してワークの位置を合わせることができるため、ノズルを固定して配設することが可能となる。このため、簡単な構造の洗浄装置を提供することができる。
また、ノズルを固定して配設することで、ノズルへ洗浄液を送液する送液路の設計度が向上するため、流量、圧力、配置空間の制限が殆ど無く、高圧大流量の洗浄液を噴射することができる。このため、複数のノズルを自由に洗浄室内に配置することができるため、ワークの複数の洗浄箇所を同時に洗浄でき、洗浄時間を短縮することができる。
【0013】
本発明に係る洗浄装置は、移動装置と前記洗浄領域との間を遮蔽し前記送り台装置が貫通するカバー装置を備えたことで、移動装置に洗浄液噴流が侵入しない。このため、移動装置は洗浄液に晒されることがなく、長期間の運転に耐えることができる。
また、発明によれば、第1の回転サドルと第2の回転サドルとを備えたことで、ワークを2軸方向に回転させて姿勢を制御することができるため、ワークの傾斜面に形成された穴等に対しても自在に角度を調整して好適な洗浄を行うことができる。
このため、本発明に係る洗浄装置は、多種多様なワークに柔軟に対応して生産性を向上させることができる。
また、前記第1の駆動装置と前記第2の駆動装置は、前記洗浄領域に対して前記カバー装置よりも外側に配設されていることで、前記第1の駆動装置と前記第2の駆動装置が洗浄領域から隔離されて遮蔽されているため、回転駆動装置が洗浄液に触れることがなく、回転駆動装置の耐久性が高い。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の洗浄装置であって、前記洗浄領域を覆うように配設された洗浄室と、
前記ベッドに配設され、前記洗浄液を供給する高圧ポンプと、前記洗浄室内に設けられる複数のノズルブロックと、前記ノズルブロックにそれぞれ設けられる洗浄ノズルと、前記ノズルブロックと同数の開閉弁を有するバルブユニットと、前記開閉弁と前記高圧ポンプを接続する第1の洗浄液通路と、前記開閉弁と前記ノズルブロックとをそれぞれ接続し、前記ノズルブロックと同数設けられた第2の洗浄液通路と、を備える。
【0014】
本発明の請求項3に係る発明は、
請求項2に記載の洗浄装置であって、前記洗浄室に配設され外部から前記ワークを搬入出する搬入出口と、をさらに備え、前記送り台装置は、前記ワークを把持した状態で外部から前記搬入出口を通って前記洗浄領域に搬入し、又は前記ワークを把持した状態で前記洗浄領域から前記搬入出口を通って外部に搬出すること、を特徴とする。
【0016】
本発明の請求項4に係る発明は
、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の洗浄装置であって、
前記流体供給手段は、前記第2の回転サドルに配設され、流体カップリングを備えた連結装置を備え、前記流体カップリングを介して前記流体圧シリンダに圧力流体を供給すること、を特徴とする。
【0018】
本発明の請求項
5に係る発明は、
請求項1ないし請求項4
のいずれか1項に記載の洗浄装置であって、
前記送り台装置は、前記第1の駆動装置と第2の駆動装置を支持し中空形状部を有する送り台と、前記中空形状部の内部に配設され前記第1の駆動装置に連結された第1の伝達軸と、この第1の伝達軸の回転を減速して出力する中空軸からなる第1の出力軸を有する第1の減速装置と、前記第1の出力軸を貫通し、前記第1の軸と平行に前記中空形状部の内部に配設され前記第2の駆動装置に連結された第2の伝達軸と、この第2の伝達軸の回転を減速して出力し前記第2の軸と同軸である第2の出力軸を有する第2の減速装置と、を備え、前記第1の回転サドルは前記第1の出力軸に固定されて前記第2の伝達軸に回転自在に軸支され、前記第2の回転サドルは前記第2の出力軸に固定されていること、を特徴とする。
【0019】
本発明の請求項
6に係る発明
は、前記第1の流体通路と前記第2の流体通路は金属管で構成されている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の洗浄装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る洗浄装置は、超高圧洗浄にも好適に対応して洗浄作業効率を向上させると共に、多種多様なワークに柔軟に対応して生産性を向上させることができる。
本発明に係る洗浄装置は、ワークを把持した状態でワークを洗浄領域まで移動させて、ワークを把持したままでノズルから洗浄液を噴出させて洗浄することができるため、自動化に適しワークの搬送効率および作業性を向上させて効率的な洗浄工程を行うことができる。さらに、多数のノズルを適宜配設して、ワークの複数の穴を一度にノズルに配向させることで、洗浄時間を短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る洗浄装置10について、
図1から
図7を参照しながら説明する。
図1に示すように、洗浄装置10は、洗浄領域Eに配設されたノズルである洗浄ノズル22から洗浄液を噴出してワークWを洗浄し、送り台装置40によって洗浄領域EまでワークWを移動して洗浄する。
【0023】
洗浄装置10は、ベッド11上の後方に移動装置である直交軸形移動装置70を、前方に洗浄室15を備える。直交軸形移動装置70は数値制御される。洗浄室15は後方に大きな機械室開口18を備えている(
図2参照)。機械室開口18は上下左右方向に移動できるカバー装置14で覆われ、カバー装置14から、直交軸形移動装置70に配設された送り台装置40の先端部(送り台頭)のみが前方の洗浄室15内に貫通している。送り台装置40の先端部(送り台頭)には第1の回転サドル59が配設され、第1の回転サドル59上に第2の回転サドル47が配設される。第2の回転サドル47には着脱自在に構成されたジョイント機構等(不図示)からなる連結装置48が配設される。連結装置48は第2の回転サドル47上に、把持装置17を着脱可能に連結する。
【0024】
なお、以下の説明において、説明の便宜上、洗浄室15の前に位置する作業者(不図示)から見て左右方向をX軸、前後方向をY軸、上下方向をZ軸として説明するが、本発明に係る洗浄装置の向き又は軸名称を限定する意味ではない。
【0025】
ベッド11は強固な土台であって、その上部に洗浄室15、直交軸形移動装置70等を支える。また、ベッド11は、洗浄室15内にあふれ、又は噴出された洗浄液と、ワークWから排出された切りくず、加工油その他の異物、およびワークWから脱落したバリを洗浄液タンクへ送付する廃液通路(不図示)を備える。また、ベッド11は、直交軸形移動装置70、高圧ポンプ、各種バルブ等を制御する制御盤(不図示)及び数値制御装置である同期装置95を固定する。
【0026】
図2を参照して、対象物駆動装置であるワーク駆動装置13、および直交軸形移動装置70について説明する。
ワーク駆動装置13は、送り台装置40と、送り台装置40を移動自在に支持する直交軸形移動装置70と、直交軸形移動装置70を支持するベッド11と、を備えている。
左右方向移動ガイド機構73、73は、ベッド11上に平行に配設されている。ベッド11の上面に直交軸形移動装置70を囲むフレーム12が立設されている。X軸駆動装置86は、ベッド11に配設された第1のX軸駆動装置71と、フレーム12の上部に配設された第2のX軸駆動装置75と、同期装置95と、を備えている。第1のX軸駆動装置71と第2のX軸駆動装置75は水平方向(左右方向)に平行に設置され、同期装置95により、同期して移動コラム78をX軸方向に駆動する。
【0027】
第1のX軸駆動装置71は、第1のX軸ボールねじ74と、第1のボールねじ74を回転させる第1のX軸モータ72とからなる。第1のX軸ボールねじ74のナット(不図示)は移動コラム78の底面に固定される。第2のX軸駆動装置75は、第2のX軸ボールねじ77と、第2のX軸ボールねじ77を回転させる第2のX軸モータ76とからなる。第2のX軸ボールねじ77のナット(不図示)は移動コラム78の上部前方に固定される。
【0028】
直交軸形移動装置70はワークW(
図1参照)を移動させるため、その可動範囲が非常に大きい。そして、直交軸形移動装置70が移動させるのは後述する大型の送り台装置40であるため、移動コラム78も大きくなる。このため、左右方向移動ガイド機構73、73やX軸駆動装置86にかかる負荷モーメント、イナーシャは非常に大きい。そして、移動コラム78の移動に伴う歪みも大きくなる。しかし、移動コラム70の下部(底部)と上部とを別々のX軸駆動装置(71,75)で駆動し、これらを同期させることで、移動コラム78の歪みを抑え、各駆動装置に作用するモーメント及び負荷イナーシャを低減することができる。
【0029】
移動コラム78は、X軸方向に沿って移動し、垂直軸であるZ軸を備える。Z軸駆動装置は、移動コラム78に垂直方向に沿って平行に配設される上下方向移動ガイド機構81、81と、Z軸ボールねじ80と、Z軸ボールねじ80を回転させるZ軸モータ79とからなる。
Z軸上を垂直方向に移動するZサドル85は、X軸およびZ軸に垂直な方向のY軸駆動装置を備える。Y軸駆動装置は、前後方向移動ガイド機構83と、Y軸モータ82と、Y軸ボールねじ(不図示)と、前後方向移動ガイド機構83に移動自在に支持されたYサドル84と、を備えている。Yサドル84には送り台装置40が配設される。
【0030】
安全カバー(不図示)はフレーム12の外部に配設され、直交軸形移動装置70が移動する空間(以下、この空間を「機械室」と呼ぶ。)を外部と遮断する。機械室はカバー装置14によって洗浄領域Eを備える洗浄室15と遮断されるため、洗浄室15から洗浄液が侵入しない。
カバー装置14は、テレスコカバー又はジャバラが用いられる。
【0031】
図3および
図4を参照して送り台装置40を説明する。
図3は送り台装置40の動力伝達系及び流体配管の接続経路を模式的に表す。
図4は送り台装置40の横断面図である。
図4は第2の回転サドルを図示するため、第1の回転サドル59を90°回転させた状態で表している。
送り台装置40は、直交軸形移動装置70のYサドル84に配設され、直交軸形移動装置70によって3軸方向に自在に移動する。送り台装置40はカバー装置14を貫通して配設され、その後方部分及び内部は洗浄室15から隔離されている。送り台装置40を移動自在に支持する直交軸形移動装置70はカバー装置14よりも後方に配設されているため、直交軸形移動装置70が洗浄室15内の環境によって腐食することがない。
【0032】
送り台装置40は、中空円筒形状をなしたベース部材である送り台55と、送り台55の前方に回転自在に配設され、第1の軸87を中心に回転する第1の回転サドル59と、第1の回転サドル59上に配設され、第1の回転サドル59の回転軸と垂直方向の第2の軸88を中心に回転する第2の回転サドル47と、を備えている。第2の回転サドル47の先端に、把持装置17を連結する連結装置48が配設される。送り台55の後方にはハウジング50が固定され、ハウジング50には第1の駆動装置であるサーボモータ49及び第2の駆動装置であるサーボモータ41が固定される。
【0033】
なお、第1の軸87および第2の軸88は、異なる方向であれば良く、例えばその軸間の角度は、135°を成しても良い。第1の軸87は送り台55と同軸でなくても良く、第1の軸87と送り台55の中心は例えば135°としても良い。
また、サーボモータ49及びサーボモータ41は、サーボモータに替えて、ブレーキ付モータ又は、流体圧式回転シリンダを使用することができる。この場合には、回転を制限するメカストッパを併用する。流体圧式回転シリンダとしては、圧力流体として圧縮流体である圧縮空気を利用するエアシリンダ又は非圧縮流体である油圧を利用する油圧シリンダを利用できる。
【0034】
サーボモータ49の出力は、カップリング51により、歯車52に伝達され、歯車52及び歯車53により、回転可能に軸支された第1の伝達軸54に伝達される。第1の伝達軸54先端には小径歯車56が固定され、大径歯車57と噛合っている。大径歯車57は遊星歯車58の入力軸58aに固定されている。サーボモータ49の回転は第1の伝達軸54を通して遊星歯車58に伝達され、減速されて中空軸である出力軸58bから出力する。出力軸58bには第1の回転サドル59が、第2の伝達軸43をその回転軸として、回転可能に軸支される。小径歯車56、大径歯車57、及び遊星歯車58が第1の減速装置を構成する。
出力軸58bは、第1の出力軸を構成する。
【0035】
なお、遊星歯車58に替えて、サイクロイド減速機(特開2010−32038号公報参照)、偏心作動式ギアボックス(特表2012−506005号参照)、偏心揺動型歯車装置(特開2010−91073号公報参照)を利用できる。サイクロイド減速機は、減速機のサイズに比較して大きな駆動力を減速可能であり、好適である。また、小径歯車56、大径歯車57、及び遊星歯車58に替えて、出力軸が中空軸であって、中空出力軸の内部に第2の伝達軸43を貫通させることができ、入力軸と出力軸が平行なあらゆる減速機を採用することができる。
【0036】
サーボモータ41の出力は、カップリング42を介して、第2の伝達軸43に直接に伝達される。第2の伝達軸43は、第1の回転サドル59と同軸に回転可能に軸支されており、遊星歯車58の中空の出力軸58bの中心を貫通する。そして、第2の伝達軸43は第1の回転サドル59の回転軸として送り台の中心に配設される。第2の伝達軸43の先端には傘歯車44が固定される。傘歯車44と噛合う傘歯車45
が減速機46の入力軸46aに固定される。傘歯車44、45によってサーボモータ41の回転が垂直に伝達方向を変換される。この回転は遊星歯車である減速機46によって減速され、中空の出力軸46bから出力される。傘歯車44、45、及び減速機46は第2の減速
装置を構成する。出力軸46bには傘型の第2の回転サドル47が出力軸46bを貫通して回転自在に固定される。
出力軸46bは、第2の出力軸を構成する。
【0037】
なお
、減速機
46は遊星歯車に替えて、上述の減速機に代表される、入力軸と出力軸が同軸であり、出力軸が中空軸の減速機を利用することができる。
また、第1の減速
装置又は第2の減速
装置はサーボモータ49又はサーボモータ41の出力が十分に大きい場合、設けることを要しない。
【0038】
主に
図3に従って、流体供給源62から流体圧シリンダ68に圧力流体を供給する流体供給手段96について説明する。
流体供給手段96は、第1の回転サドル59に配設された第1の流体供給用回転継手61と、第2の回転サドル47に配設された第2の流体供給用回転継手60と、流体供給源62から第1の流体供給用回転継手61に圧力流体を供給する流体通路64と、第1の流体供給用回転継手61から第2の流体供給用回転継手60に圧力流体を供給する流体通路65と、第2の流体供給用回転継手60から流体圧シリンダ68に圧力流体を供給する流体通路66と、を備えている。
第1の回転サドル59の把持装置17側(先端側)には、第1の流体供給用回転継手61がその回転軸と同軸に配設される。第1の流体供給用回転継手61は、第1の回転サドルの回転軸と同軸に固定される軸体61bと、軸体の外周に回転可能に軸支され、第1の回転サドルと共に回転するハウジング61aと、で構成される。
【0039】
第2の回転サドル47の把持装置17と反対側(後端側)には、第2の流体供給用回転継手60が第2の回転サドル47と同軸に配設される。第2の流体供給用回転継手60は、第1の回転サドル59に固定されるハウジング60aと、ハウジング60aの内部に回転可能に軸支され、第2の回転サドル47の一部分である軸体60bと、から構成される。
【0040】
流体供給源62(
図3参照)はバルブユニット63に接続される。流体通路(配管)64、64は、バルブユニット63と第1の流体供給用回転継手61の軸体61bとを連通する。流体通路64は送り台55内部を通って、送り台55の先端部まで送られ、第1の回転サドル59の回転範囲の外部を通って流体供給用回転継手61に接続している(
図4参照)。流体通路65は、流体供給用回転継手61のハウジング61aから第1の回転サドル59の内部を通り、第2の流体供給用回転継手60のハウジング60aまで連通する。流体通路66は、軸体60b及び第2の回転サドル47の内部を通り連結装置48の流体カップリング67に連通する。
流体通路64、65、66は複数設けられ、把持装置17に配設される様々な流体機器とバルブユニット63とを連通する。バルブユニット63は多数の方向切換弁の集合体であって、流体供給源62から供給される流体を各流路へ切替える。
【0041】
2つの回転サドル59、47の回転軸と同軸に配設された流体供給用回転継手61、60とを流体通路64、65、66で接続することにより、自在に回転する第2の回転サドル47に圧力流体を供給することができる。供給された圧力流体は把持装置17がワークWを把持するために把持装置17の駆動源として使用される。
【0042】
流体通路65,66は流体供給用回転継手61、60により自在に回転するため、配管64,65,66は金属配管を使用することができる。送り台装置40の先端部分は洗浄室15内部を移動し、高圧の洗浄液、および洗浄液の蒸気に晒されるところ、流体圧を金属配管により供給することで配管に高い耐久性を与えることができる。
【0043】
第2の回転サドル47の先端側には、流体カップリング67を備えた連結装置48が配設される。連結装置48は、いわゆるワンタッチジョイントからなり、第2の回転サドル47と把持装置17とを正確な位置に連結し、連結と同時に、流体カップリング67によって圧力流体を把持装置17に供給する役割をもつ。
【0044】
流体カップリング67は、連結装置48が把持装置17と第2の回転サドル47とを連結すると第2の流体供給用回転継手60から流体圧シリンダ68等へ圧力流体を供給し、連結装置48が把持装置17と第2の回転サドル47とを分離すると圧力流体の供給を遮断する機能を有する。
【0045】
かかる構成により、種々の多様なワークWに対応できるように、種々の形状をなした把持装置17を着脱自在に装着することができる。
【0046】
すなわち、ワークWを把持する把持装置17は、ワークWの形状に合わせて種々設計する必要がある。そして、複数の種類のワークWを同時に生産する方法(混流生産)が取られた場合、ワークWの形状や種類が変わると、把持装置17を交換する必要がある。連結装置48は、流体カップリング67によって、送り台装置40の送り台頭に取付ける把持装置17を複数用意しておき、生産ラインに流通されるワークWに応じて、洗浄装置10が種々の把持装置17を着脱して、自動的に把持装置17を交換することができる。従って、混流生産においても、把持装置17を交換する作業を省くことができ、生産能力を向上させることができる。
【0047】
図3を参照して、把持装置17について説明する。把持装置17はフレーム90と、フレーム90に固定される、流体圧シリンダ68、着座ピン92、位置決めピン93、および着座検知用流体ノズル69を備えている。流体圧シリンダ68及び着座検知用の流体ノズル69は流体カップリング67を介して圧力流体が供給される。各デバイスに作用する流体圧はバルブユニット63により、その供給、減圧が制御される。
【0048】
ワークWは複数の着座ピン92によってフレーム上に着座し、位置決めピン93によって着座面上の位置が定められる。流体圧シリンダ68のピストン軸にはクランパ91が取り付けられ、ピストン軸の移動に応じてクランパが開閉する。クランパ91が閉じれば、ワークWは着座面に固定される。ワークWの着座面には流体ノズル69が設置され、ワークWの着座により、流体ノズル69が閉じられる。流体ノズル69がワークWの着座により閉じられると、流体ノズル69に接続された配管64内の圧力が供給圧近くまで上昇するため、圧力スイッチ94によりワークWの着座を検知することができる。なお、圧力スイッチ94に替えて圧力センサを利用することができる。
【0049】
洗浄室15は、洗浄液が噴射され、ワークWを洗浄(エアブロやバリ取り等の作業を含む。)する空間(洗浄領域Eおよび作業領域E)を提供する。洗浄室15はベッド11と密着し、その内部を洗浄装置10外部と遮断する。洗浄室15の遮断機能により、洗浄装置10の外部に洗浄液が漏出しない。洗浄室15はワークWを外部から搬入する搬入出口16(
図2参照)を備える。搬入出口16は搬入扉19より密閉される。
【0050】
洗浄室15内部には、洗浄領域(作業領域を含む)Eを構成する洗浄槽20が固設される。
図5及び
図6に従って、洗浄槽20及び高圧洗浄について説明する。洗浄槽20の底部には排水口26と、排水弁24が配設される。排水弁24は排水口26を開閉する。排水口26が洗浄槽20の容量に対して十分に大きいため、排水時間を非常に短くでき、洗浄時間の短縮に寄与する。排水弁24が排水口26を開閉できるように設置されているため、洗浄槽20には洗浄液を満たすことができる。排水弁24を備えたことで、洗浄槽20に洗浄液を満たしたり、排出したりすることができるため、洗浄装置10は気中洗浄および水中洗浄を選択的に行うことができる。
【0051】
給水配管23はクリーンタンク35と連通している(
図6(a)参照)。給水配管23の入口には給水弁36が備えられている。給水弁36は常時閉じており、給水の時だけ開く。給水弁36を開くと、クリーンタンク35に満たされた洗浄液がその水圧により、洗浄槽20に流入する。洗浄槽20には液面計(不図示)が設けられており、満水を検知したときに給水弁36を閉じる。クリーンタンクの水面を高く設定しておけば、クリーンタンク内の水圧によって給水するため、構造を簡便にすることができる。
なお、液面計の設置に替えて、給水弁36の開弁時間を制御するタイマーを設け、開弁時間を洗浄槽20が満水になる時間だけ給水弁36を開くことができる。
【0052】
高圧ポンプ27はクリーンタンク35内の洗浄液を10MPa〜100MPaまで加圧する。加圧された洗浄液は洗浄液通路29により、送液され、バルブユニット28により、各ノズルブロック21aないし21fに分配される。バルブユニット28には、分配される数と同数の開閉弁28aないし28gが備えられている。各開閉弁28aないし28fと各ノズルブロック21aないし21fは、洗浄液通路29aないし29fによりそれぞれ連通する。ノズルブロック21aないし21fにはそれぞれ洗浄ノズル22aないし22fが配設される。各ノズルブロック21は洗浄槽20の側面にそれぞれ配設され、複数の面から複数の方向でそれぞれの洗浄ノズル22aないし22fから噴流JaないしJfを噴出できる。多くの洗浄ノズル22(ノズル群22aないし22f)から洗浄液を同時に噴射できるため、数多くの噴流が洗浄槽20内に発生する。開閉弁28gは洗浄ランス25まで洗浄液通路29gにより連通している。
【0053】
洗浄ノズル群22を複数の洗浄経路に分割して噴射することで、同時に噴射する洗浄液の量を縮小することができる。洗浄ノズル群22をワークWの形状に合わせて配設することで、ワークWを効率的に洗浄することができる。多くの洗浄ノズル22を配設すると、高圧ポンプ27の必要な電気容量が増加する。洗浄ノズル22を複数のグループにグループ分けして、グループ毎に順番に噴射することにより、高圧ポンプ27の電気容量を削減することができる。
【0054】
図7を参照して、洗浄ランス25について説明する。洗浄ランス25は、垂直方向に細長い軸を有し、軸の先端部から水平方向に高圧水を噴射する。洗浄ランス25は回転可能に洗浄槽20下面付近に軸支されている。洗浄ランス25を使用する場合には、洗浄ランス25へ高圧水を供給し、洗浄ランス25を回転させる。その上で、ワークWの穴部Hを洗浄ランス25の上方に穴部Hの軸線が洗浄ランスの回転軸と一致するように位置決めする(
図7(a)参照)。その後、直交軸形移動装置70はワークWを、洗浄ランス25が穴部Hに挿入するように、ワークWを下方に移動させる(
図7(b)参照)。洗浄終了後、ワークWから洗浄ランス25が抜けるように、ワークWを上方に移動させる。洗浄ランス25は、回転しながらワークWの穴部H内を通過することで、穴部H内又は穴部Hに交差する穴部の洗浄を行う。また、洗浄ランス25は、穴部H内の交差穴部のバリに直接に高圧水を当てることにより、そのバリを除去することができる。
【0055】
なお、洗浄槽20は、水中におけるワークWの洗浄(水中洗浄)を行わない場合には備えることを要しない。洗浄室15内部に洗浄槽20を備えない場合、洗浄ノズル22又は洗浄ランス25は洗浄室15内部に直接配設される。この場合、洗浄ノズル群22に囲まれた領域が洗浄領域Eとなる。
【0056】
また、洗浄ランス25は洗浄槽20の下部から上下方向に沿って一つ配設したが、洗浄ランス25の設置方向や設置数はワークWのサイズ又は把持装置が把持するワークWの数、洗浄ノズルの設置方法に応じて適宜変更できる。例えば洗浄ランス25は把持装置17に把持するワークWの数と同数設置することができる。
【0057】
図1に示すように、洗浄室15内部には、エアブロパイプ30、30がベッド11に固設される。エアブロパイプ30、30は四角枠の形状を成し、エアブロノズル31、34がエアブロパイプ30の内側に向けて複数取付けられる。エアブロパイプ30にはエアブロ配管32が連通している。エアブロ用の乾燥空気は送風機33によって加圧され、エアブロ配管32を通じて、エアブロノズル31、34に供給される。
【0058】
なお、エアブロ用の乾燥空気としては、送風機33から送られる空気に替えて圧縮空気を利用することができる。また、エアブロノズル31、34は、パイプノズル、箒状ノズル、ナイフノズルを利用できる。
【0059】
本発明の実施形態に係る洗浄装置10は、ワークWを送り台装置40の先端部(送り台頭)に配設された把持装置17により洗浄室15の外部で把持する。そして、ワークWを把持したまま、搬入出口16(
図2参照)から洗浄室15内部の洗浄領域EにワークWを取込む。洗浄装置10は、直交軸形移動装置70により、洗浄室15内でワークWの位置および姿勢を適切に制御し、洗浄室15内部に固設された洗浄ノズル22にワークWを配向させる。洗浄ノズル22は、洗浄液を噴出し、洗浄液噴流JaないしJf(
図6参照)がノズルに配向されたワークWを洗浄する。
【0060】
洗浄ノズル22はノズルブロック21に多数設置されているため、洗浄装置10は同時にワークWの洗浄部位を多数洗浄することができ、洗浄時間の削減を図ることができる。ノズルブロック21がワークWの形状に合わせて設計されている場合には、ワークWをいくつか設計された姿勢及び位置に移動させるだけで必要な洗浄部位の洗浄を完了させることができる。
【0061】
エアブロノズル31、34は四角枠状に形成されたエアブロパイプ30、30の内側に多数設置されているため、ワークWをエアブロパイプ30、30の内側を通過させるだけでワークWに付着するほとんどの洗浄液を払い落とすことができる。
洗浄装置は数値制御装置により駆動するため、容易に洗浄プログラムを作成することができる。
【0062】
また、洗浄ノズル22を移動させる場合には、洗浄ノズル22へ高圧の洗浄液を供給する液体供給手段は、洗浄ノズル22の移動に対応できるように、柔軟性をもつホース、流体供給用の回転継手その他の可動部位を備える必要がある。この場合、液体供給手段は洗浄ノズル22の移動装置と干渉を防止し、洗浄ノズル22から噴射する高圧噴流に接触しないように設計する必要がある。すると、設計の制限が大きくなり、複雑な装置となる。
しかしながら、本実施形態に係る洗浄装置10は、洗浄ノズル22が固設されているため、液体供給手段は簡便な構成をとることができる。また、洗浄液通路29を固定できるため、その設計の自由度が高い。このため、本実施形態に係る洗浄装置10は、超高圧洗浄にも容易に適用することができる。
【0063】
また、直交軸形移動装置70は、ワークWを自在な姿勢で移動せしめることができる。ワークWのバリ取りを行う場合、バリの発生個所をなぞるように噴流をバリに当てる必要がある。移動装置が直線軸形移動装置であるため、回転節の組合せで構成される多関節ロボットに比較して、ワークWの位置決め精度、繰り返し精度または軌跡精度を高く設定可能である。このため、高いバリ取り能力を得ることができる。また、洗浄ランス25にワークWを挿入する場合において、洗浄ランス25とワークWとのすき間が狭い場合にも、洗浄ランス25とワークWとの干渉を防ぐことができる。
また、本実施形態の洗浄装置10は、移動装置が直線軸形移動装置70であるため、制御が容易であり、作業者が使用しやすい。
【0064】
多関節ロボットが重量物であるワークWを把持する場合には、多関節ロボットを構成する回転軸に大きな遠心力が作用するため、ワークWを高速に揺動させると位置精度を確保ことができない。
他方、本実施形態の洗浄装置10は、移動装置が直線軸形移動装置70であるため、ワークWを高速に揺動することができる。本実施形態の洗浄装置10は、洗浄ノズル20を4つの面に多数配設しているため、ワークWを揺動しながら上下することにより、広い面を一度に高圧洗浄でき、短い洗浄時間で高い洗浄効果を得ることができる。
【0065】
洗浄装置10は、その送り台装置40により、ワークWを振り回し、移動させる。このため、大きい移動スペースとストロークを要する。直交軸形移動装置70は移動コラム78にZサドル85を、Zサドル85にYサドル84を配設する構成により、配置スペースを節減できる。また、移動コラム78が大きな寸法をもち、その先端に大きなワークW及び送り台装置40を備えるため、X軸および移動コラム78に大きな負担がかかる。移動コラム78の上下を同期して駆動する2つのX軸駆動装置71、75を備えるため、移動コラム78の変形を抑え、移動コラム78、ベッド11の剛性を下げ、洗浄装置10を小型化することができる。
【0066】
送り台装置40は相互に垂直な2軸の回転軸を構成する第1の回転サドル59と第2の回転サドル47により、ワークWを把持する把持装置17を回転することができる。このため、送り台装置40は自在にワークWの姿勢を選択することができる。ワークWの姿勢を自在に選択できるため、複雑な形状のワークWに対しても的確な洗浄動作を取ることができ、その結果、ワークWに残留する異物の量を減少させることができる。また、ワークWに付着するバリを除去する場合には、バリに適した角度で高圧噴流を的中させる必要があるところ、送り台装置40がワークWに自在な姿勢を与える事ができるため、複雑形状のワークWの表面に付着したバリを除去できる。
【0067】
第1の駆動装置であるサーボモータ49及び、第2の駆動装置であるサーボモータ41は、洗浄領域Eに対して、カバー装置14よりも外側に配設されている。また、サーボモータ49、41の駆動力を伝達する機械要素は、送り台55内部に配設されているため、洗浄領域Eから隔離されている。
このため、サーボモータ49、41、移動装置70及び駆動力伝達系は洗浄液の噴流及び蒸気と接触しない。従って、本実施形態の送り台装置40、ワーク駆動装置13又は洗浄装置10は耐久性を得ることができる。
【0068】
以上の通り、本発明を実施形態に従って説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、仕様を適宜変更することができる。