特許第6227520号(P6227520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227520
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】内部パイロット式3ポート切換弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/07 20060101AFI20171030BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20171030BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   F16K11/07 J
   F16K31/06 305A
   F16K31/06 305Z
   F16K27/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-251100(P2014-251100)
(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公開番号】特開2016-114095(P2016-114095A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 新治
(72)【発明者】
【氏名】菊池 宏
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−132104(JP,A)
【文献】 特開2012−219861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00−11/24
F16K 27/00−27/12
F16K 31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプール弁体を往復動可能に収容する弁孔が形成されたボディを有し、前記ボディは、前記弁孔にそれぞれ連通し、且つ前記スプール弁体の軸方向において、一端側から他端側にかけて順に並んだ第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有し、前記ボディにおける前記スプール弁体の端部側にはパイロット圧作用室が設けられ、前記弁孔の内周面において、前記第1ポートと前記第2ポートとの間には前記スプール弁体の第1弁部が着座する第1弁座が設けられるとともに前記第2ポートと前記第3ポートとの間には前記スプール弁体の第2弁部が着座する第2弁座が設けられ、パイロット弁部のソレノイド部への電力の供給によって前記パイロット圧作用室にパイロット流体が供給されて前記スプール弁体が一端側へ移動する内部パイロット式3ポート切換弁であって、
前記第1弁部は、前記弁孔内における前記第1弁座よりも前記スプール弁体の軸方向一端寄りに設けられる第1弁室に収容されるとともに、前記第2弁部は、前記弁孔内における前記第2弁座よりも前記スプール弁体の軸方向他端寄りに設けられる第2弁室に収容され、前記ボディには、前記第1弁室に開口する第1パイロット流路と、前記第2弁室に開口する第2パイロット流路と、前記第1パイロット流路及び前記第2パイロット流路に連通する連通流路と、前記連通流路と前記パイロット圧作用室とを連通するパイロット供給流路とが形成され、前記第1パイロット流路及び前記第2パイロット流路には、前記連通流路への圧縮流体の流出のみを許容する第1逆止弁及び第2逆止弁がそれぞれ配設されており、
前記ボディには、前記連通流路に連通するとともに前記連通流路に流出した圧縮流体が貯留される貯留部が形成され、前記貯留部の容積は、前記パイロット圧作用室の最大容積よりも大きくされていることを特徴とする内部パイロット式3ポート切換弁。
【請求項2】
スプール弁体を往復動可能に収容する弁孔が形成されたボディを有し、前記ボディは、前記弁孔にそれぞれ連通し、且つ前記スプール弁体の軸方向において、一端側から他端側にかけて順に並んだ第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有し、前記ボディにおける前記スプール弁体の端部側にはパイロット圧作用室が設けられ、前記弁孔の内周面において、前記第1ポートと前記第2ポートとの間には前記スプール弁体の第1弁部が着座する第1弁座が設けられるとともに前記第2ポートと前記第3ポートとの間には前記スプール弁体の第2弁部が着座する第2弁座が設けられ、パイロット弁部のソレノイド部への電力の供給によって前記パイロット圧作用室にパイロット流体が供給されて前記スプール弁体が一端側へ移動する内部パイロット式3ポート切換弁であって、
前記第1弁部及び前記第2弁部は、前記弁孔内における前記第1弁座と前記第2弁座との間に設けられる弁室に収容されており、前記ボディには、前記弁孔内における前記第1弁座よりも前記スプール弁体の軸方向一端寄りに開口する第1パイロット流路と、前記弁孔内における前記第2弁座よりも前記スプール弁体の軸方向他端寄りに開口する第2パイロット流路と、前記第1パイロット流路及び前記第2パイロット流路に連通する連通流路と、前記連通流路と前記パイロット圧作用室とを連通するパイロット供給流路とが形成され、前記第1パイロット流路及び前記第2パイロット流路には、前記連通流路への圧縮流体の流出のみを許容する第1逆止弁及び第2逆止弁がそれぞれ配設されており、
前記ボディには、前記連通流路に連通するとともに前記連通流路に流出した圧縮流体が貯留される貯留部が形成され、前記貯留部の容積は、前記パイロット圧作用室の最大容積よりも大きくされていることを特徴とする内部パイロット式3ポート切換弁。
【請求項3】
前記ボディには、前記第1逆止弁及び前記第2逆止弁よりも前記圧縮流体の流通方向の下流側であって、且つ前記パイロット弁部よりも前記圧縮流体の流通方向の上流側に残った圧縮流体を外部へ排出可能なパイロット圧排出部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内部パイロット式3ポート切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部パイロット式3ポート切換弁に関する。
【背景技術】
【0002】
3ポート切換弁は、5ポート切換弁に比べて、ポートの数が少なく、切換弁自体を小型化する上で好適な切換弁である。このような3ポート切換弁としては、例えば特許文献1に開示されているバランスポペット式電磁弁が知られている。バランスポペット式電磁弁は、ポペット弁が収容される弁孔が形成されたボディを有し、ボディには、ポペット弁の軸方向の一端側から他端側にかけて、供給ポート、出力ポート及び排出ポートが、この順序で並んで弁孔にそれぞれ連通するように形成されている。
【0003】
バランスポペット式電磁弁は、ボディに一体化されたソレノイド部を備える。ソレノイド部は、固定鉄心と、固定鉄心に対向配置された可動鉄心と、可動鉄心を固定鉄心から離間する方向へ付勢する鉄心用ばねとを備える。可動鉄心における固定鉄心とは反対側の端面にはポペット弁が当接している。ボディにおけるソレノイド部とは反対側には、ポペット弁をソレノイド部に向けて付勢する弁用ばねが配設されている。弁用ばねの付勢力は、鉄心用ばねの付勢力よりも小さくなっている。
【0004】
ソレノイド部のコイルへの電力の供給が停止されている状態では、鉄心用ばねと弁用ばねとの付勢力の差によって可動鉄心が固定鉄心から離間し、ポペット弁が弁用ばねに向けて移動する。その結果、供給ポートと出力ポートとの間がシールされて、供給ポートから出力ポートを介した流体圧機器への圧縮流体の供給が行われなくなっている。一方、ソレノイド部のコイルへの電力の供給が行われると、可動鉄心が鉄心用ばねの付勢力に抗して固定鉄心に向けて吸着され、弁用ばねによってポペット弁が付勢されてポペット弁がソレノイド部に向けて移動する。その結果、供給ポートと出力ポートとが連通して、供給ポートから出力ポートを介した流体圧機器への圧縮流体の供給が行われる。
【0005】
上記構成のバランスポペット式電磁弁は、ソレノイド部のコイルへの電力の供給が停止されているときには、供給ポートから出力ポートを介した流体圧機器への圧縮流体の供給が行われていない。そして、ソレノイド部のコイルへの電力の供給が行われると、供給ポートから出力ポートを介した流体圧機器への圧縮流体の供給が行われるノーマルクローズタイプとして使用される。
【0006】
ところで、バランスポペット式電磁弁において、供給ポートとして用いていたポートを排出ポートとして用いるとともに、排出ポートとして用いていたポートを供給ポートとして用いる場合がある。この場合、ソレノイド部のコイルへの電力の供給が停止されているときには、供給ポートから出力ポートを介した流体圧機器への圧縮流体の供給が行われるとともに、ソレノイド部のコイルへの電力の供給が行われると、供給ポートから出力ポートを介した流体圧機器への圧縮流体の供給が行われなくなるノーマルオープンタイプとして使用される。
【0007】
さらに、バランスポペット式電磁弁において、出力ポートとして用いていたポートを供給ポートとして用いるとともに、供給ポートとして用いていたポートを第1出力ポートとして用い、さらに、排出ポートとして用いていたポートを第2出力ポートとして用いる場合がある。この場合、ソレノイド部のコイルへの電力の供給が停止されているときには、供給ポートから第1出力ポートを介した流体圧機器への圧縮流体の供給が行われるとともに、ソレノイド部のコイルへの電力の供給が行われると、供給ポートから第2出力ポートを介した流体圧機器への圧縮流体の供給が行われる、所謂、A・B出力タイプとして使用される。
【0008】
このように、バランスポペット式電磁弁は、一種類のバランスポペット式電磁弁で、ノーマルクローズタイプ、ノーマルオープンタイプ及びA・B出力タイプに対応することができる。
【0009】
しかしながら、特許文献1のバランスポペット式電磁弁において、流体圧機器に供給される圧縮流体の流量を増大させるためには、ポペット弁のストロークを大きくする必要があるため、可動鉄心における固定鉄心への吸引力を増大させる必要があり、消費電力が増大してしまう。
【0010】
そこで、消費電力を抑えつつ、流体圧機器に供給される圧縮流体の流量を増大させるために、パイロット流体のパイロット圧を用いてスプール弁体を往復動させるパイロット式3ポート切換弁が考えられる。
【0011】
スプール弁体の両端部には、第1ピストン及び第2ピストンがそれぞれ装着されている。第1ピストンは、ボディにおけるスプール弁体の一端部に形成される第1ピストン室に往復動可能に収容されるとともに、第2ピストンは、ボディにおけるスプール弁体の他端部に形成される第2ピストン室に往復動可能に収容されている。第1ピストンは、第2ピストンよりも大径になっている。そして、第1ピストンにより第1ピストン室に第1パイロット圧作用室が区画されるとともに、第2ピストンにより第2ピストン室に第2パイロット圧作用室が区画されている。
【0012】
パイロット式3ポート切換弁は、第1パイロット圧作用室に連通する第1パイロット流路と、第2パイロット圧作用室に連通する第2パイロット流路とを備える。さらに、パイロット式3ポート切換弁は、第1パイロット流路を開閉するパイロット弁部を備えている。パイロット弁部は、ソレノイド部への電力の供給が行われることで開弁するとともに、ソレノイド部への電力の供給が停止されることで閉弁する公知の電磁弁である。なお、第2パイロット圧作用室には、第2パイロット流路からパイロット流体が常に供給されている。
【0013】
そして、ソレノイド部への電力の供給が行われることで、パイロット弁部が開弁して、第1パイロット流路から第1パイロット圧作用室にパイロット流体が供給される。その結果、第1ピストン及び第2ピストンの受圧面積の差からスプール弁体が第2ピストン室に向けて移動する。また、ソレノイド部への電力の供給が停止されると、パイロット弁部が閉弁して、第1パイロット流路から第1パイロット圧作用室にパイロット流体が供給されなくなる。その結果、第2パイロット圧作用室の圧力によって、スプール弁体が第1ピストン室に向けて移動する。このスプール弁体の移動により、供給ポート、出力ポート及び排出ポートの各々の連通状態が切り換えられる。
【0014】
ところで、パイロット式3ポート切換弁には、供給ポートに供給された圧縮流体を第1パイロット圧作用室及び第2パイロット圧作用室に供給する内部パイロット式3ポート切換弁と、供給ポートとは別の外部から供給された圧縮流体を第1パイロット圧作用室及び第2パイロット圧作用室に供給する外部パイロット式3ポート切換弁とがある。外部パイロット式3ポート切換弁は、パイロット流体供給用の外部配管を別途設ける必要があるため、パイロット流体供給用の外部配管を別途必要としない内部パイロット式3ポート切換弁が用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第5486987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、内部パイロット式3ポート切換弁は、供給ポートと第1パイロット流路及び第2パイロット流路とが連通している。すなわち、供給ポートと第1パイロット流路及び第2パイロット流路との相対位置が一義的に決まっているため、バランスポペット式電磁弁のように、供給ポートとして用いていたポートを排出ポートとして用いるとともに、排出ポートとして用いていたポートを供給ポートとして用いることができない。
【0017】
内部パイロット式3ポート切換弁において、ノーマルクローズタイプ及びノーマルオープンタイプに対応しようとする場合、ノーマルクローズタイプに対応するスプール弁体と、ノーマルオープンタイプに対応するスプール弁体との2種類を用意しておく必要があるため、部品点数が増加するとともに部品の在庫管理に手間が掛かる等の問題が生じる。
【0018】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、一種類の切換弁で、ノーマルクローズタイプ、ノーマルオープンタイプ及びA・B出力タイプに対応することができる内部パイロット式3ポート切換弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決する内部パイロット式3ポート切換弁は、スプール弁体を往復動可能に収容する弁孔が形成されたボディを有し、前記ボディは、前記弁孔にそれぞれ連通し、且つ前記スプール弁体の軸方向において、一端側から他端側にかけて順に並んだ第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有し、前記ボディにおける前記スプール弁体の端部側にはパイロット圧作用室が設けられ、前記弁孔の内周面において、前記第1ポートと前記第2ポートとの間には前記スプール弁体の第1弁部が着座する第1弁座が設けられるとともに前記第2ポートと前記第3ポートとの間には前記スプール弁体の第2弁部が着座する第2弁座が設けられ、パイロット弁部のソレノイド部への電力の供給によって前記パイロット圧作用室にパイロット流体が供給されて前記スプール弁体が一端側へ移動する内部パイロット式3ポート切換弁であって、前記第1弁部は、前記弁孔内における前記第1弁座よりも前記スプール弁体の軸方向一端寄りに設けられる第1弁室に収容されるとともに、前記第2弁部は、前記弁孔内における前記第2弁座よりも前記スプール弁体の軸方向他端寄りに設けられる第2弁室に収容され、前記ボディには、前記第1弁室に開口する第1パイロット流路と、前記第2弁室に開口する第2パイロット流路と、前記第1パイロット流路及び前記第2パイロット流路に連通する連通流路と、前記連通流路と前記パイロット圧作用室とを連通するパイロット供給流路とが形成され、前記第1パイロット流路及び前記第2パイロット流路には、前記連通流路への圧縮流体の流出のみを許容する第1逆止弁及び第2逆止弁がそれぞれ配設されており、前記ボディには、前記連通流路に連通するとともに前記連通流路に流出した圧縮流体が貯留される貯留部が形成され、前記貯留部の容積は、前記パイロット圧作用室の最大容積よりも大きくされている
【0020】
上記課題を解決する内部パイロット式3ポート切換弁は、スプール弁体を往復動可能に収容する弁孔が形成されたボディを有し、前記ボディは、前記弁孔にそれぞれ連通し、且つ前記スプール弁体の軸方向において、一端側から他端側にかけて順に並んだ第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有し、前記ボディにおける前記スプール弁体の端部側にはパイロット圧作用室が設けられ、前記弁孔の内周面において、前記第1ポートと前記第2ポートとの間には前記スプール弁体の第1弁部が着座する第1弁座が設けられるとともに前記第2ポートと前記第3ポートとの間には前記スプール弁体の第2弁部が着座する第2弁座が設けられ、パイロット弁部のソレノイド部への電力の供給によって前記パイロット圧作用室にパイロット流体が供給されて前記スプール弁体が一端側へ移動する内部パイロット式3ポート切換弁であって、前記第1弁部及び前記第2弁部は、前記弁孔内における前記第1弁座と前記第2弁座との間に設けられる弁室に収容されており、前記ボディには、前記弁孔内における前記第1弁座よりも前記スプール弁体の軸方向一端寄りに開口する第1パイロット流路と、前記弁孔内における前記第2弁座よりも前記スプール弁体の軸方向他端寄りに開口する第2パイロット流路と、前記第1パイロット流路及び前記第2パイロット流路に連通する連通流路と、前記連通流路と前記パイロット圧作用室とを連通するパイロット供給流路とが形成され、前記第1パイロット流路及び前記第2パイロット流路には、前記連通流路への圧縮流体の流出のみを許容する第1逆止弁及び第2逆止弁がそれぞれ配設されており、前記ボディには、前記連通流路に連通するとともに前記連通流路に流出した圧縮流体が貯留される貯留部が形成され、前記貯留部の容積は、前記パイロット圧作用室の最大容積よりも大きくされている
【0022】
上記内部パイロット式3ポート切換弁において、前記ボディには、前記第1逆止弁及び前記第2逆止弁よりも前記圧縮流体の流通方向の下流側であって、且つ前記パイロット弁部よりも前記圧縮流体の流通方向の上流側に残った圧縮流体を外部へ排出可能なパイロット圧排出部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、一種類の切換弁で、ノーマルクローズタイプ、ノーマルオープンタイプ及びA・B出力タイプに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)は第1の実施形態における内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図、(b)はソレノイド部への電力の供給が停止された状態を示す内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図。
図2】(a)はソレノイド部への電力の供給が行われている状態を示す内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図、(b)はソレノイド部への電力の供給が停止された状態を示す内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図。
図3】(a)はソレノイド部への電力の供給が行われている状態を示す内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図、(b)はソレノイド部への電力の供給が停止された状態を示す内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図。
図4】(a)は第2の実施形態における内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図、(b)はソレノイド部への電力の供給が停止された状態を示す内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図。
図5】(a)はソレノイド部への電力の供給が行われている状態を示す内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図、(b)はソレノイド部への電力の供給が停止された状態を示す内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図。
図6】(a)はソレノイド部への電力の供給が行われている状態を示す内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図、(b)はソレノイド部への電力の供給が停止された状態を示す内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図。
図7】(a)及び(b)は別の実施形態における内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図。
図8】(a)及び(b)は別の実施形態における内部パイロット式3ポート切換弁を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、内部パイロット式3ポート切換弁を具体化した第1の実施形態を図1図3にしたがって説明する。本実施形態の内部パイロット式3ポート切換弁は、エアシリンダ等の流体圧機器に圧縮エア等の圧縮流体を供給して流体圧機器の駆動を制御するものである。
【0026】
図1(a)に示すように、内部パイロット式3ポート切換弁10は、スプール弁体11を往復動可能に収容する弁孔12が形成されたボディ13を有する。スプール弁体11には、その軸方向において互いに離間する第1弁部11a及び第2弁部11bが形成されている。第1弁部11a及び第2弁部11bの直径は、スプール弁体11の軸径よりも大きい。
【0027】
ボディ13は、弁孔12にそれぞれ連通し、且つスプール弁体11の軸方向において、一端側から他端側にかけて順に並んだ第1ポート31、第2ポート32及び第3ポート33を有する。弁孔12の内周面において、第1ポート31と第2ポート32との間には第1弁部11aが着座する第1弁座12aが設けられるとともに第2ポート32と第3ポート33との間には第2弁部11bが着座する第2弁座12bが設けられている。弁孔12内における第1弁座12aよりもスプール弁体11の軸方向一端寄りには、第1弁部11aが収容される第1弁室14が設けられるとともに、弁孔12内における第2弁座12bよりもスプール弁体11の軸方向他端寄りには、第2弁部11bが収容される第2弁室15が設けられている。よって、第1ポート31と第1弁室14とは連通しているとともに、第3ポート33と第2弁室15とは連通している。
【0028】
ボディ13におけるスプール弁体11の一端部側には、第1収容室16が形成されている。第1収容室16と第1ポート31との間は、スプール弁体11の一端部によりシールされている。第1収容室16には第1ピストン17が往復動可能に収容されている。第1ピストン17は、スプール弁体11の一端部に装着されている。そして、第1ピストン17により第1収容室16に圧力作用室18が区画されている。
【0029】
ボディ13におけるスプール弁体11の他端部側には、第2収容室19が形成されている。第2収容室19と第3ポート33との間は、スプール弁体11の他端部によりシールされている。第2収容室19には第2ピストン20が往復動可能に収容されている。第2ピストン20は、スプール弁体11の他端部に装着されている。第2ピストン20の外径は、第1ピストン17の外径よりも大きくなっている。そして、第2ピストン20により第2収容室19にパイロット圧作用室21が区画されている。
【0030】
ボディ13には、第1弁室14に開口する第1パイロット流路34と、第2弁室15に開口する第2パイロット流路35とが形成されている。また、ボディ13には、第1パイロット流路34及び第2パイロット流路35に連通する連通流路36が形成されている。連通流路36は、スプール弁体11の軸方向に沿って延びている。ボディ13には、連通流路36の一端部と圧力作用室18とを連通する流路37が形成されている。ボディ13には、連通流路36の他端部とパイロット圧作用室21とを連通するパイロット供給流路38が形成されている。圧力作用室18には、連通流路36から流路37を介して圧縮流体が常に供給されている。
【0031】
内部パイロット式3ポート切換弁10は、パイロット供給流路38上に設けられるパイロット弁部40を有する。内部パイロット式3ポート切換弁10は、パイロット弁部40が一つ設けられた所謂シングルパイロット型である。パイロット弁部40は、パイロット圧を制御するソレノイド部40a(図1(a)において破線で示す)を備えている。パイロット弁部40は、ソレノイド部40aへの電力の供給が行われることで開弁するとともに、ソレノイド部40aへの電力の供給が停止されることで閉弁する公知の電磁弁である。パイロット弁部40が開弁すると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21への圧縮流体(パイロット流体)の供給が許容されるとともに、パイロット弁部40が閉弁すると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21への圧縮流体の供給が遮断される。
【0032】
第1パイロット流路34には、連通流路36への圧縮流体の流出のみを許容する第1逆止弁51が配設されている。第2パイロット流路35には、連通流路36への圧縮流体の流出のみを許容する第2逆止弁52が配設されている。第1逆止弁51及び第2逆止弁52は、断面V字環状のリップシール51s,52sを有する。
【0033】
リップシール51s,52sよりも弁孔12寄りの圧力が、リップシール51s,52sよりも連通流路36寄りの圧力よりも下回っている場合には、リップシール51s,52sによって、第1パイロット流路34又は第2パイロット流路35を介した弁孔12と連通流路36との連通が遮断されている。一方、リップシール51s,52sよりも弁孔12寄りの圧力が、リップシール51s,52sよりも連通流路36寄りの圧力よりも上回ると、リップシール51s,52sが収縮し、弁孔12から連通流路36への圧縮流体の流出が許容される。
【0034】
ボディ13には、連通流路36に連通する貯留部53が形成されている。貯留部53には、連通流路36に流出した圧縮流体が貯留される。貯留部53の容積は、パイロット圧作用室21の最大容積よりも大きくなっている。なお、パイロット圧作用室21の最大容積とは、第2ピストン20が第2収容室19内において最も第1収容室16寄りに移動したときの、パイロット圧作用室21の容積のことである。
【0035】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
例えば、第1ポート31を、圧縮流体の供給源60に接続される供給ポートとし、第2ポート32を、流体圧機器61に接続される出力ポートとし、第3ポート33を、外部に接続される排出ポートとする。この場合、第1ポート31から第1弁室14を介して第1パイロット流路34に流入した圧縮流体は、第1逆止弁51のリップシール51sを押し退けて連通流路36、流路37及びパイロット供給流路38へ常に流出される。
【0036】
ソレノイド部40aへの電力の供給が行われると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21に圧縮流体が供給されて、第1ピストン17及び第2ピストン20の受圧面積の差から、スプール弁体11が一端側へ移動する。すると、第1弁部11aが第1弁座12aから離間するとともに第2弁部11bが第2弁座12bに着座する。その結果、第1ポート31と第2ポート32とが連通し、第2ポート32を介して流体圧機器61に圧縮流体が供給される。
【0037】
図1(b)に示すように、ソレノイド部40aへの電力の供給が停止されると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21への圧縮流体の供給が遮断される。すると、圧力作用室18内の圧力によって、スプール弁体11が他端側へ移動し、第1弁部11aが第1弁座12aに着座するとともに第2弁部11bが第2弁座12bから離間する。その結果、第1ポート31と第2ポート32とが非連通になり、第2ポート32を介した流体圧機器61への圧縮流体の供給が遮断される。よって、第1ポート31を供給ポートとし、第2ポート32を出力ポートとし、第3ポート33を排出ポートとすることで、上記構成の内部パイロット式3ポート切換弁10は、ノーマルクローズタイプとして使用される。
【0038】
図2(a)に示すように、例えば、第1ポート31を排出ポートとし、第2ポート32を出力ポートとし、第3ポート33を供給ポートとする。この場合、第3ポート33から第2弁室15を介して第2パイロット流路35に流入した圧縮流体は、第2逆止弁52のリップシール52sを押し退けて連通流路36、流路37及びパイロット供給流路38へ常に流出される。
【0039】
ソレノイド部40aへの電力の供給が行われると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21に圧縮流体が供給されて、第1ピストン17及び第2ピストン20の受圧面積の差から、スプール弁体11が一端側へ移動する。すると、第1弁部11aが第1弁座12aから離間するとともに第2弁部11bが第2弁座12bに着座する。その結果、第2ポート32と第3ポート33とが非連通になり、第2ポート32を介した流体圧機器61への圧縮流体の供給が遮断される。
【0040】
図2(b)に示すように、ソレノイド部40aへの電力の供給が停止されると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21への圧縮流体の供給が遮断される。すると、圧力作用室18内の圧力によって、スプール弁体11が他端側へ移動し、第1弁部11aが第1弁座12aに着座するとともに第2弁部11bが第2弁座12bから離間する。その結果、第2ポート32と第3ポート33とが連通し、第2ポート32を介して流体圧機器61に圧縮流体が供給される。よって、第1ポート31を排出ポートとし、第2ポート32を出力ポートとし、第3ポート33を供給ポートとすることで、上記構成の内部パイロット式3ポート切換弁10は、ノーマルオープンタイプとして使用される。
【0041】
ソレノイド部40aへの電力の供給が行われて、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21に圧縮流体が供給されて、第1ピストン17及び第2ピストン20の受圧面積の差から、スプール弁体11が一端側へ移動する途中では、供給ポートと排出ポートとが弁孔12を介して連通する。このため、弁孔12を介して、供給ポートと排出ポートとの間を流れる圧縮流体が存在し、連通流路36に流出する圧縮流体の流量が減少する。このとき、貯留部53に、パイロット圧作用室21の最大容積よりも大きい容積の圧縮流体が貯留されているため、貯留部53に貯留されている圧縮流体がパイロット供給流路38を介してパイロット圧作用室21に供給されることで、スプール弁体11における一端側への移動がスムーズに行われる。
【0042】
図3(a)に示すように、例えば、第1ポート31を第1出力ポートとし、第2ポート32を供給ポートとし、第3ポート33を第2出力ポートとする。この場合、第2ポート32からの圧縮流体は、第1弁部11a及び第2弁部11bのうち、第1弁座12a又は第2弁座12bに着座していない弁部11a,11bと弁座12a,12bとの間を通過して第1逆止弁51又は第2逆止弁52のリップシール51s,52sを押し退けて連通流路36、流路37及びパイロット供給流路38へ常に流出される。
【0043】
ソレノイド部40aへの電力の供給が行われると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21に圧縮流体が供給されて、第1ピストン17及び第2ピストン20の受圧面積の差から、スプール弁体11が一端側へ移動する。すると、第1弁部11aが第1弁座12aから離間するとともに第2弁部11bが第2弁座12bに着座する。その結果、第1ポート31と第2ポート32とが連通し、第1ポート31を介して流体圧機器61に圧縮流体が供給される。
【0044】
図3(b)に示すように、ソレノイド部40aへの電力の供給が停止されると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21への圧縮流体の供給が遮断される。すると、圧力作用室18内の圧力によって、スプール弁体11が他端側へ移動し、第1弁部11aが第1弁座12aに着座するとともに第2弁部11bが第2弁座12bから離間する。その結果、第2ポート32と第3ポート33とが連通し、第3ポート33を介して流体圧機器61に圧縮流体が供給される。よって、第1ポート31を第1出力ポートとし、第2ポート32を供給ポートとし、第3ポート33を第2出力ポートとすることで、上記構成の内部パイロット式3ポート切換弁10は、A・B出力タイプとして使用される。
【0045】
ソレノイド部40aへの電力の供給が行われて、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21に圧縮流体が供給されて、第1ピストン17及び第2ピストン20の受圧面積の差から、スプール弁体11が一端側へ移動する途中では、第1出力ポートと第2出力ポートとが弁孔12を介して連通する。このため、弁孔12を介して、第1出力ポートと第2出力ポートとの間を流れる圧縮流体が存在し、連通流路36に流出する圧縮流体の流量が減少する。このとき、貯留部53に、パイロット圧作用室21の最大容積よりも大きい容積の圧縮流体が貯留されているため、貯留部53に貯留されている圧縮流体がパイロット供給流路38を介してパイロット圧作用室21に供給されることで、スプール弁体11における一端側への移動がスムーズに行われる。
【0046】
第1の実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ボディ13には、第1弁室14に開口する第1パイロット流路34と、第2弁室15に開口する第2パイロット流路35と、第1パイロット流路34及び第2パイロット流路35に連通する連通流路36と、連通流路36とパイロット圧作用室21とを連通するパイロット供給流路38とが形成されている。第1パイロット流路34及び第2パイロット流路35には、連通流路36への圧縮流体の流出のみを許容する第1逆止弁51及び第2逆止弁52がそれぞれ配設されている。これによれば、一種類の切換弁で、ノーマルクローズタイプ、ノーマルオープンタイプ及びA・B出力タイプに対応することができる。
【0047】
(2)ボディ13には、連通流路36に連通するとともに連通流路36に流出した圧縮流体が貯留される貯留部53が形成されている。これによれば、貯留部53に貯留されている圧縮流体がパイロット供給流路38を介してパイロット圧作用室21に供給されることで、スプール弁体11における一端側への移動がスムーズに行われる。
【0048】
(3)第1弁部11aは、弁孔12内における第1弁座12aよりもスプール弁体11の軸方向一端寄りに設けられた第1弁室14に収容されるとともに、第2弁部11bは、弁孔12内における第2弁座12bよりもスプール弁体11の軸方向他端寄りに設けられた第2弁室15に収容されている。これによれば、第1弁部11a及び第2弁部11bが、弁孔12内における第1弁座12aと第2弁座12bとの間に収容されている場合に比べると、弁孔12内における第1弁座12aと第2弁座12bとの間を短くすることができる。よって、内部パイロット式3ポート切換弁10におけるスプール弁体11の軸方向に沿った長さを短くすることができ、小型化を図ることができる。
【0049】
(第2の実施形態)
以下、内部パイロット式3ポート切換弁を具体化した第2の実施形態を図4図6にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0050】
図4(a)に示すように、スプール弁体11の軸方向において、弁孔12内における第1弁座12aと第2弁座12bとの間には、第1弁部11a及び第2弁部11bが収容される弁室22が設けられている。第1パイロット流路34は、弁孔12内における第1弁座12aよりもスプール弁体11の軸方向一端寄りの第1連通室14Aに開口している。第2パイロット流路35は、弁孔12内における第2弁座12bよりもスプール弁体11の軸方向他端寄りの第2連通室15Aに開口している。よって、第1ポート31と第1連通室14Aとは連通しているとともに、第3ポート33と第2連通室15Aとは連通している。
【0051】
次に、第2の実施形態の作用を説明する。
例えば、第1ポート31を供給ポートとし、第2ポート32を出力ポートとし、第3ポート33を排出ポートとする。この場合、第1ポート31から第1連通室14Aを介して第1パイロット流路34に流入した圧縮流体は、第1逆止弁51のリップシール51sを押し退けて連通流路36、流路37及びパイロット供給流路38へ常に流出される。
【0052】
ソレノイド部40aへの電力の供給が行われると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21に圧縮流体が供給されて、第1ピストン17及び第2ピストン20の受圧面積の差から、スプール弁体11が一端側へ移動する。すると、第1弁部11aが第1弁座12aに着座するとともに第2弁部11bが第2弁座12bから離間する。その結果、第1ポート31と第2ポート32とが非連通になり、第2ポート32を介した流体圧機器61への圧縮流体の供給が遮断される。
【0053】
図4(b)に示すように、ソレノイド部40aへの電力の供給が停止されると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21への圧縮流体の供給が遮断される。すると、圧力作用室18内の圧力によって、スプール弁体11が他端側へ移動し、第1弁部11aが第1弁座12aから離間するとともに第2弁部11bが第2弁座12bに着座する。その結果、第1ポート31と第2ポート32とが連通し、第2ポート32を介して流体圧機器61に圧縮流体が供給される。よって、第1ポート31を供給ポートとし、第2ポート32を出力ポートとし、第3ポート33を排出ポートとすることで、上記構成の内部パイロット式3ポート切換弁10は、ノーマルオープンタイプとして使用される。
【0054】
図5(a)に示すように、例えば、第1ポート31を排出ポートとし、第2ポート32を出力ポートとし、第3ポート33を供給ポートとする。この場合、第3ポート33から第2連通室15Aを介して第2パイロット流路35に流入した圧縮流体は、第2逆止弁52のリップシール52sを押し退けて連通流路36、流路37及びパイロット供給流路38へ常に流出される。
【0055】
ソレノイド部40aへの電力の供給が行われると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21に圧縮流体が供給されて、第1ピストン17及び第2ピストン20の受圧面積の差から、スプール弁体11が一端側へ移動する。すると、第1弁部11aが第1弁座12aに着座するとともに第2弁部11bが第2弁座12bから離間する。その結果、第2ポート32と第3ポート33とが連通し、第2ポート32を介して流体圧機器61に圧縮流体が供給される。
【0056】
図5(b)に示すように、ソレノイド部40aへの電力の供給が停止されると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21への圧縮流体の供給が遮断される。すると、圧力作用室18内の圧力によって、スプール弁体11が他端側へ移動し、第1弁部11aが第1弁座12aから離間するとともに第2弁部11bが第2弁座12bに着座する。その結果、第2ポート32と第3ポート33とが非連通になり、第2ポート32を介した流体圧機器61への圧縮流体の供給が遮断される。よって、第1ポート31を排出ポートとし、第2ポート32を出力ポートとし、第3ポート33を供給ポートとすることで、上記構成の内部パイロット式3ポート切換弁10は、ノーマルクローズタイプとして使用される。
【0057】
図6(a)に示すように、例えば、第1ポート31を第1出力ポートとし、第2ポート32を供給ポートとし、第3ポート33を第2出力ポートとする。この場合、第2ポート32からの圧縮流体は、第1弁部11a及び第2弁部11bのうち、第1弁座12a又は第2弁座12bに着座していない弁部11a,11bと弁座12a,12bとの間を通過して第1逆止弁51又は第2逆止弁52のリップシール51s,52sを押し退けて連通流路36、流路37及びパイロット供給流路38へ常に流出される。
【0058】
ソレノイド部40aへの電力の供給が行われると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21に圧縮流体が供給されて、第1ピストン17及び第2ピストン20の受圧面積の差から、スプール弁体11が一端側へ移動する。すると、第1弁部11aが第1弁座12aに着座するとともに第2弁部11bが第2弁座12bから離間する。その結果、第2ポート32と第3ポート33とが連通し、第3ポート33を介して流体圧機器61に圧縮流体が供給される。
【0059】
図6(b)に示すように、ソレノイド部40aへの電力の供給が停止されると、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21への圧縮流体の供給が遮断される。すると、圧力作用室18内の圧力によって、スプール弁体11が他端側へ移動し、第1弁部11aが第1弁座12aから離間するとともに第2弁部11bが第2弁座12bに着座する。その結果、第1ポート31と第2ポート32とが連通し、第1ポート31を介して流体圧機器61に圧縮流体が供給される。よって、第1ポート31を第1出力ポートとし、第2ポート32を供給ポートとし、第3ポート33を第2出力ポートとすることで、上記構成の内部パイロット式3ポート切換弁10は、A・B出力タイプとして使用される。したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)及び(2)と同様の効果を得ることができる。
【0060】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
図7(a)に示すように、ボディ13に、第1収容室16と外部とを連通する貫通孔13hを形成し、この貫通孔13hに柱状のパイロット圧排出ボタン55が挿入されていてもよい。貫通孔13hは、スプール弁体11の軸方向に沿って延びている。パイロット圧排出ボタン55の外周面には、第1収容室16と外部との間をシールする環状のシール部材55sが装着されている。また、パイロット圧排出ボタン55の外周面におけるシール部材55sよりも第1収容室16とは反対側には、溝部55aが複数形成されている。各溝部55aの一端は外部に開口するとともに他端はシール部材55sの手前で閉塞されている。第1ピストン17とパイロット圧排出ボタン55との間には、付勢ばね25が介在されている。
【0061】
上記各実施形態の内部パイロット式3ポート切換弁10では、ソレノイド部40aへの電力の供給が停止されて、且つ供給源60からの圧縮流体の供給が遮断されたときに、パイロット弁部40が閉弁するとともに、第1逆止弁51及び第2逆止弁52により弁孔12と連通流路36との連通が遮断される。このため、第1逆止弁51及び第2逆止弁52よりも圧縮流体の流通方向の下流側であって、且つパイロット弁部40よりも圧縮流体の流通方向の上流側には、圧縮流体が残っている。
【0062】
図7(b)に示すように、例えば、内部パイロット式3ポート切換弁10のメンテナンス等を行う場合には、付勢ばね25の付勢力に抗して、シール部材55sが第1収容室16内に位置し、且つ各溝部55aの他端が第1収容室16内に位置するまで、パイロット圧排出ボタン55を外部から押し込む。このとき、パイロット圧排出ボタン55が第1ピストン17に当接する。そして、このパイロット圧排出ボタン55を押し込む動作をし続けることで、第1収容室16と各溝部55aとが連通し、第1逆止弁51及び第2逆止弁52よりも圧縮流体の流通方向の下流側であって、且つパイロット弁部40よりも圧縮流体の流通方向の上流側に残っていた圧縮流体が、各溝部55aを介して外部に排出される。パイロット圧排出ボタン55を押し込む動作を解除すると、パイロット圧排出ボタン55は、付勢ばね25の付勢力によって、パイロット圧排出ボタン55を押し込む前の位置に復帰する。
【0063】
これにより、内部パイロット式3ポート切換弁10のメンテナンスの際に、第1逆止弁51及び第2逆止弁52よりも圧縮流体の流通方向の下流側であって、且つ前記パイロット弁部40よりも圧縮流体の流通方向の上流側に残った圧縮流体を外部へ排出することができる。よって、パイロット圧排出ボタン55は、第1逆止弁51及び第2逆止弁52よりも圧縮流体の流通方向の下流側であって、且つ前記パイロット弁部40よりも圧縮流体の流通方向の上流側に残った圧縮流体を外部へ排出可能なパイロット圧排出部として機能する。
【0064】
・ また、図8(a)に示すように、第1ピストン17を削除して、第1収容室16内に、スプール弁体11を第2収容室19に向けて付勢する付勢ばね25を収容してもよい。そして、ソレノイド部40aへの電力の供給が停止されて、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21への圧縮流体の供給が遮断されると、付勢ばね25の付勢力によって、スプール弁体11が他端側へ移動するようにしてもよい。この場合、付勢ばね25は、スプール弁体11とパイロット圧排出ボタン55との間に介在されている。
【0065】
図8(b)に示すように、例えば、内部パイロット式3ポート切換弁10のメンテナンス等を行う場合には、付勢ばね25の付勢力に抗して、シール部材55sが第1収容室16内に位置し、且つ各溝部55aの他端が第1収容室16内に位置するまで、パイロット圧排出ボタン55を外部から押し込む。このとき、パイロット圧排出ボタン55がスプール弁体11に当接する。そして、このパイロット圧排出ボタン55を押し込む動作をし続けることで、第1収容室16と各溝部55aとが連通し、第1逆止弁51及び第2逆止弁52よりも圧縮流体の流通方向の下流側であって、且つパイロット弁部40よりも圧縮流体の流通方向の上流側に残っていた圧縮流体が、各溝部55aを介して外部に排出される。パイロット圧排出ボタン55を押し込む動作を解除すると、パイロット圧排出ボタン55は、付勢ばね25の付勢力によって、パイロット圧排出ボタン55を押し込む前の位置に復帰する。
【0066】
・ 上記各実施形態において、第1ピストン17及び流路37を削除してもよい。この場合、第1収容室16内に、スプール弁体11を第2収容室19に向けて付勢する付勢ばねを収容する。そして、ソレノイド部40aへの電力の供給が停止されて、パイロット供給流路38からパイロット圧作用室21への圧縮流体の供給が遮断されると、付勢ばねの付勢力によって、スプール弁体11が他端側へ移動するようにしてもよい。
【0067】
・ 上記各実施形態において、第1逆止弁51及び第2逆止弁52の構成を、適宜変更してもよい。例えば、弁部材と、弁部材を弁孔12に向けて付勢するばねとから構成される逆止弁とし、弁孔12から第1パイロット流路34及び第2パイロット流路35に流入した圧縮流体が、ばねの付勢力に抗して、弁部材を押し退けて、圧縮流体における連通流路36への流出を許容するようにしてもよい。
【0068】
上記各実施形態において、流体圧機器61に供給される圧縮流体は、圧縮エアに限らず、圧縮された流体であれば他の流体でもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…内部パイロット式3ポート切換弁、11…スプール弁体、11a…第1弁部、11b…第2弁部、12…弁孔、12a…第1弁座、12b…第2弁座、13…ボディ、14…第1弁室、15…第2弁室、21…パイロット圧作用室、22…弁室、31…第1ポート、32…第2ポート、33…第3ポート、34…第1パイロット流路、35…第2パイロット流路、36…連通流路、38…パイロット供給流路、40…パイロット弁部、40a…ソレノイド部、51…第1逆止弁、52…第2逆止弁、53…貯留部、55…パイロット圧排出部として機能するパイロット圧排出ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8