(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227525
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】多層繊維スリーブおよびその作製方法
(51)【国際特許分類】
B65D 59/04 20060101AFI20171030BHJP
D03D 11/00 20060101ALI20171030BHJP
B65D 85/04 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
B65D59/04
D03D11/00 Z
B65D85/04
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-506511(P2014-506511)
(86)(22)【出願日】2012年4月18日
(65)【公表番号】特表2014-512315(P2014-512315A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】US2012034060
(87)【国際公開番号】WO2012145389
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年3月4日
(31)【優先権主張番号】61/476,366
(32)【優先日】2011年4月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/524,454
(32)【優先日】2011年8月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル−モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】マロイ,キャシー・エム
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チョン・ファイ
(72)【発明者】
【氏名】ルーディ,リンウッド
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターズ,ダニー
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−509355(JP,A)
【文献】
特開平05−005242(JP,A)
【文献】
特開平02−234945(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0218002(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 59/04
B65D 85/04
D03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層繊維スリーブであって、
前記スリーブの対向端の間において前記スリーブの長手方向軸に沿って長手方向に延在する対向縁部を有する繊維壁を含み、
前記対向縁部は、前記スリーブの周方向のずれた位置に配置され、互いに重なり、前記スリーブの中央キャビティを画定し、
前記繊維壁は、対向する内側面と外側面とを有する内側層と、対向する内側面と外側面とを有する外側層とを有し、
前記内側層と前記外側層とは、互いに重なり、連結糸から形成され、
前記内側層と前記外側層とは、前記対向縁部の各々から延びる連結部を介して、前記内側層と前記外側層との各々に共通する糸により互いに一体に連結され、前記連結部は、半径方向に整列されるように互いに重なり、
前記外側層の前記内側面と前記内側層の前記外側面とは、前記連結部の間で互いに離れている、スリーブ。
【請求項2】
前記内側層と前記外側層のうち少なくとも1つは、前記対向縁部を重なり関係に付勢するヒートセット可能な横糸を含む、請求項1に記載の多層繊維スリーブ。
【請求項3】
前記内側層と前記外側層とは、横糸と縦糸とを有し、
前記連結部は、前記外側層の少なくとも一部の特定縦糸と織交ぜられた前記内側層の少なくとも一部の特定横糸と、前記内側層の少なくとも一部の特定縦糸と織交ぜられた前記外側層の少なくとも一部の特定横糸とを含む、請求項1に記載の多層繊維スリーブ。
【請求項4】
前記内側層の前記縦糸は、すべて前記内側層の内部にとどまり、前記外側層の前記縦糸は、すべて前記外側層の内部にとどまる、請求項3に記載の多層繊維スリーブ。
【請求項5】
多層繊維スリーブを作製する方法であって、
糸を織交ぜることにより、対向縁部の間に延在しかつ重なっている内側層と外側層とを有する繊維壁を形成するステップを含み、前記対向縁部は、対向端の間において長手方向軸に沿って長手方向に延在し、各々の前記対向縁部は前記スリーブの周方向のずれた位置に配置され、
前記内側層と前記外側層との各々に共通する糸により、前記対向縁部の各々から延びるように前記内側層と前記外側層とを前記内側層と前記外側層の重なり部にわたって互いに連結するステップとを含み、
前記外側層の内側面と前記内側層の外側面とを連結部の間で互いに離間させるステップをさらに含む、方法。
【請求項6】
前記対向端部の間において長手方向に延在する縦糸を前記対向縁部の間において幅方向に延在する横糸と織込むステップと、前記内側層と前記外側層のうち少なくとも1つに含まれた前記横糸のうち少なくとも一部をヒートセットすることにより前記壁を自己包み型の筒状構造に付勢するステップとをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記対向端部の間において長手方向に延在する縦糸を前記対向縁部の間において幅方向に延在する横糸と織込むステップと、前記内側層の少なくとも一部の特定横糸を前記外側層の少なくとも一部の特定縦糸と織込むステップと、前記外側層の少なくとも一部の特定横糸を前記内側層の少なくとも一部の特定縦糸と織込むステップとをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記内側層の前記縦糸をすべて前記内側層の内部に保持するステップと前記外側層の前記縦糸をすべて前記外側層の内部に保持するステップとをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2011年4月18日に出願された米国仮出願シリアル番号第61/476366号および2011年8月17日に出願された米国仮出願シリアル番号第61/524454号に基づく優先権の利益を主張し、その両方の開示の全体が引用によりこの明細書中に援用される。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、一般に保護繊維スリーブに関し、特に多層繊維スリーブおよびその作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.従来の技術
まず、繊維材料で個別の層を作製し、その後、二次作業において個別の層を互いに貼付けることにより、多層材料を作製することが知られている。たとえば、作製された所望の多層材料が、低摩擦などの一種類の特性を与える内側層と、絶縁性および/または耐摩耗性などの別の種類の特性を与える外側層とを必要とする場合には、第1作業で第1枚の繊維材料を作製し、第2作業で第2枚の繊維材料を作製し、その後、第3作業で、第1枚および第2枚の繊維材料とは別体の材料を介して、第1枚の繊維材料と第2枚の繊維材料とを接合することにより、多層材料を形成することができる。所望の特性を有する最終製品は得られるが、製造効率を犠牲にし、特に製造時に多数の作業により製造効率が悪くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、
図1Aおよび
図1Bの従来技術において示されたように、スリーブのキャビティ内に支持されている細長い部材または複数の部材の望ましくない暴露を防止する保護を提供するためには、たとえば配線または流体移送パイプなどのような細長い部材または複数の部材を第1スリーブ1で包み、その後第1スリーブ1を別体の第2スリーブ2で包むことが知られている。このような構成は、車両部品において特に有用である。スリーブ内の配線と車両の導電部材との間の電気アーク放電(通常短絡と呼ばれる)の電位を最小化するために、これらの車両部品は、車両衝突後の5秒以内に高電圧ユニットの電圧を60V以下に低減しなければならないという需要が高まっている。車両衝突時に、スリーブは、過度の集中的な負荷により損傷を受けることになる。したがって、生じた損傷によってスリーブ内の配線が露出されないように確保することのできる多層壁のスリーブが望まれる。独立し個別に包まれたスリーブは、最終的に所望の種類の保護を提供することができるが、コストがかかる。スリーブ1とスリーブ2とを互いに別々に製造し、その後別々に包み、さらに、場合によってスリーブ1,2を互いに固定する必要があるため、非効率的で高価である。さらに、スリーブ1,2を別々の材料から構成すると、通常スリーブ1,2によって占められた直径方向の面積が増加し、それによって貴重なスペースが占有される。このようなスペースは、簡単に作れない場合がある。さらに、別々のスリーブを使用して所望の保護を実現すると、1つのスリーブ部品を作るために、スリーブの数の倍の仕入および在庫を確保する必要があり、さらなる複雑さおよび費用を増加する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
多層繊維スリーブは、スリーブの対向端の間においてスリーブの長手方向軸に沿って長手方向に延在する対向縁部を有する繊維壁を含む。対向縁部は、互いに重なり、スリーブの中央キャビティを画定するように構成される。繊維壁は、対向する内側面と外側面とを有する内側層と、対向する内側面と外側面とを有する外側層とを有する。内側層と外側層とは、互いに重なり、連結糸から構成される。内側層と外側層とは、内側層と外側層との各々に共通する糸により、対向縁部に隣接する連結部において互いに一体に連結される。
【0006】
本発明の別の局面によれば、第1層および第2層は各々、対向する両端部の間において長手方向に延在する縦糸フィラメントと、対向縁部の間において幅方向に延在する充填糸フィラメントとを有する。第1層および第2層の一方の充填糸フィラメントの少なくとも1つは、第1および第2層の他方の縦糸フィラメントと連結される。
【0007】
本発明の別の局面によれば、第1層と第2層は、両方の長手方向に延在する対向縁部に隣接する箇所で互いに一体に連結され、対向縁部の間に延在する内側層と外側層との中間部は、互いに離れている。したがって、包む時に、内側層と外側層は、中間部内で互いに対して自由に移動することができる。 本発明の別の局面によれば、第1層および第2層の各々は、対向面を有し、第1層の一方の面は、第2層の一方の面に当接し、当接面は、当接表面の全体に亘って一体に連結される。
【0008】
本発明の別の局面によれば、多層繊維スリーブを作製する方法を提供する。この方法は、糸を織交ぜることにより、対向端の間において長手方向軸に沿って長手方向に延在する対向縁部の間に延在しかつ重なっている内側層と外側層とを有する繊維壁を形成するステップを含む。この方法はさらに、内側層と外側層との各々に共通する糸により、対向縁部にそれぞれ隣接する内側層と外側層とを互いに連結するステップを含む。
【0009】
本発明の別の局面によれば、上記方法は、外側層の内側面と内側層の外側面とを連結部の間で互いに離間させるステップを含む。
【0010】
本発明の上記および他の局面、特徴および利点は、以下の現時点で好ましい実施形態および最良実施形態の詳細な説明、特許請求の範囲および添付図面に関連して考えればより簡単に理解できるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】従来技術に従って構成された2枚構造の多層スリーブを示す図である。
【
図1B】従来技術に従って構成された2枚構造の多層スリーブを示す図である。
【
図2】本発明の一局面に従って構成されたスリーブの概略斜視図である。
【
図2A】
図2のスリーブの壁の部分断面側面図である。
【
図2B】
図2のスリーブの壁の部分断面斜視図である。
【
図3】本発明の別の局面に従って構成された多層スリーブの概略斜視図である。
【
図3A】
図3のスリーブの壁の部分断面側面図である。
【
図3B】
図3のスリーブの壁の部分断面斜視図である。
【
図4】
図3のスリーブを構成するために使用された織りパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
現在好ましい実施形態の詳細な説明
図面をさらに詳細に参照すると、
図2および
図3は、本発明に従って構成された繊維スリーブを示している。この繊維スリーブは、目標部品に応じて選択された所望の種類の糸のモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントを用いて構成された多層の一体型壁を有する。理解すべきことは、耐摩耗性、接触する化学品に対する耐性、熱または炎に対する耐性、耐衝撃性などの所望の保護を達成するために、任意種類の糸および材料の適切な組合わせが可能であることである。さらに、図示のスリーブは、製織プロセスを用いて構成されているが、編成および編組プロセスを使用してもよいと考えられる。
【0013】
図2は、本発明の一局面に従って構成されたスリーブ10を示している。スリーブ10は、壁12を含む。壁12は、開放の対向端18,20の間にスリーブ10の長手中心軸13に沿って延在する対向縁部14,16を有する。対向縁部14,16は、軸13に平行または実質的に平行に延在し、壁12および/またはファスナーの材料に与えられたヒートセット付勢などによって互いに重なり合う関係に付勢され、壁12を管状構造に形成し、スリーブ10の中央キャビティ22を完全に画定する。図示のように、壁12は、製織プロセスなどの単一プロセスで一体に構成された内側層24および外側層26として図示された多層を有する。壁12の二層構造は、壁12を通ってキャビティ22の中で移送される内容物を暴露しないように増加した能力を提供するための十分な程度の剛性をスリーブ10に与えるとともに、必要に応じて隅でスリーブ10を湾曲することができる可撓性を維持する。キャビティ22内の内容物が高電圧配線などを含む場合に、このような構造は、特に有用である。
【0014】
図2Aおよび
図2Bにおいて最もよく示されるように、内側層24は、内側面28および外側面30を有し、外側層26は、内側面32および外側面34を有する。内側層24の外側面30および外側層26の内側面32は、当接しているそれぞれの外側面30と内側面32の全体に亘って互いに織交ぜられる。したがって、内側層24と外側層26とは、内側層24と外側層26とを互いに離れるように引張る傾向のある力に引張られても当接表面の全体に亘って不可分である。このような構成は、内側層24の糸の少なくとも一部を外側層26の糸の少なくとも一部と織交ぜて、または外側層26の糸の少なくとも一部を内側層24の糸の少なくとも一部と織交ぜて、または内側層24の糸の少なくとも一部を外側層26の糸の少なくとも一部と織交ぜてかつ外側層26の糸の少なくとも一部を内側層24の糸の少なくとも一部と織交ぜることにより、達成される。図示の実施形態において、内側層24の少なくとも一部の特定横糸35を外側層26の少なくとも一部の特定縦糸37の通り道に変位させることによって内側層24の少なくとも一部の特定横糸35を外側層26の少なくとも一部の特定縦糸37と織交ぜる。同様に、外側層26の少なくとも一部の特定横糸39は、内側層24の少なくとも一部の特定縦糸37と織交ぜられる。したがって、内側層24の縦糸41と外側層26の縦糸37とは、それぞれ内側層24と外側層26との内部において互いに完全に離れるとともに、内側層24の横糸35と外側層26の横糸39とは、互いに共有され、よって、それぞれ内側層24と外側層26との内部において延在する。
【0015】
スリーブ10を自己包み型のスリーブにしようとする場合に、内側層24の少なくとも一部の横糸35および外側層26の少なくとも一部の縦糸37は、たとえばPETモノフィラメントのような、ヒートセット可能な糸として提供される。当然ながら、壁12に増強された被覆および柔軟性を与えるために、たとえば適切なマルチフィラメント糸などの他の種類の横糸をヒートセット可能な糸とともに使用することができる。さらに、認識すべきことは、必要に応じてさまざまな難燃性糸および耐薬品性糸を横糸および/または縦糸に含むことができることである。
【0016】
図3は、本発明の別の局面に従って構成されたスリーブ110を示している。図において、上記に使用された参照番号に100を足して、上記に説明されおよび
図2に示された特徴と同様の特徴を示す。上記で説明したスリーブ10と同様に、スリーブ110は、壁112を含む。壁112は、対向端118,120の間に長手中心軸113に沿って延在する対向縁部114,116を有する。上記で説明したように、対向縁部114,116は、互いに重なり合う関係に付勢され、スリーブ110の中央キャビティ122を完全に画定する。また、壁112は、製織プロセスなどの単一プロセスで一体に構成された内側層124および外側層126として図示された多層を有する。
【0017】
図3Aおよび
図3Bにおいて最もよく示されるように、内側層124は、内側面128および外側面130を有し、外側層126は、内側面132および外側面134を有する。スリーブ10と同様に、内側層
124および外側層
126は、最初に層124,126を一枚の材料構成するのに用いられた単一のプロセスにおいて織交ぜられる。しかしながら、スリーブ10と異なり、内側層124および外側層126は、当接しているそれぞれの外側面30と内側面32の全体に亘って互いに織交ぜられておらず、対向縁部114と116に直接隣接する内側層124と外側層126との部分または区域136のみが互いに織交ぜられ、連結部136の間に延在する内側層124と外側層126との中間区域138が互いに離れている。このような構成は、以下のように達成される。すなわち、対向縁部114と116の近隣において、内側層124の少なくとも一部の糸を外側層126の少なくとも一部の糸の通り道に変位させることによって内側層124の少なくとも一部の糸を外側層126の少なくとも一部の糸と織交ぜて、または外側層126の少なくとも一部の糸を内側層124の少なくとも一部の糸の通り道に変位させることによって外側層126の少なくとも一部の糸を内側層124の少なくとも一部の糸と織交ぜて、または内側層124の少なくとも一部の糸を外側層126の少なくとも一部の糸の通り道に変位させることによって内側層124の少なくとも一部の糸を外側層126の少なくとも一部の糸と織交ぜてかつ外側層126の少なくとも一部の糸を内側層124の少なくとも一部の糸の通り道に変位させることによって外側層126の少なくとも一部の糸を内側層124の少なくとも一部の糸と織交ぜるとともに、中間区域において、内側層の内側面128と外側層の外側面130とを互いに離れるようにする。
【0018】
たとえば、
図4の織りパターンにおいて示されたように、内側層124の横糸の少なくとも一部は、外側層126の縦糸の少なくとも一部と織交ぜられることができ、および/または、外側層126の横糸の少なくとも一部は、内側層124の縦糸の少なくとも一部と織交ぜられることができる。図示された実施形態において、対向縁部114,116に隣接する内側層124または外側層126の一方にある複数の縦糸は、それぞれの縁部114,116の間に延在する幅の全長よりも小さい幅を有する所定の部分に亘って、対向縁部114,116に隣接する内側層124または外側層126の他方にある対応する複数の横糸と織交ぜられる。このような構成は、以下のように達成される。すなわち、内側層124または外側層126の一方にある縦糸を対向層124,126にある対応する横糸の通り道に移動させることによって縦糸および横糸を互いに交差するようにし、よって、内側層124と外側層126とを互いに連結する。
【0019】
図3に概略的に示された実施形態において、内側層124と外側層126は、対向縁部114,116に直接隣接したスリーブ110の全長に亘って延在する縁端部136に沿って互いに結ばれるまたは連結されるとともに、縁端部136の間においてスリーブ110の全長に亘って延在する、内側層124と外側層126の中間部138は、互いに完全に離れている。よって、自己包み型構成の壁112の場合、連結された縁端部136は、半径方向に整列されるように互いに重なる。対向縁部114,116に隣接する連結された縁端部136は、スリーブ10に一体型の構造を与えるとともに、所望の領域で所定の剛性を与え、その結果、製造時に内側層124と外側層126とが相対的に移動することを防止する。さもなければ、互いに離れてしわを生じさせる。一方、スリーブ10を包みかつスリーブ10を湾曲部および隅部で湾曲させるときに、内側層124と外側層126とが互いにわずかに相対移動することができるため、連結されていない中間部138は、スリーブ10に可動性を保つ能力を与える。これにより、連結部136の間に延在している、内側層124と外側層126との中間部138は、互いに完全に離れていて、よって、連結された縁部114,116を切断すると、互いに離れ落ちるであろう。このようにして、包み時にくずれを回避するために望まれた、内側層124と外側層126の中間部138の間にわずかな相対的な移動を可能にし、また、追加保護のために壁112の厚さをわずかに増加する。
【0020】
認識すべきことは、任意の場所においておよび任意の領域に亘って、内側層124または外側層126の一方の縦糸フィラメントを必要に応じて上部/下部の内側層124または外側層126の横糸フィラメントと連結することができることである。したがって、連結部136および非連結部138は、必要に応じてスリーブ壁112の任意の領域に形成することができる。
【0021】
明白なことは、上記の教示に照らして本発明に対し多くの修正および変形が可能であることである。したがって、本発明を具体的に説明した方法と別の方法で実施することができることを理解すべきである。