(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の液圧ノズルのそれぞれが、前記酸化機構と前記吸収塔の排出口との間における水平方向中心位置に対して前記排出口側に配置されている、請求項1に記載の湿式排煙脱硫装置。
前記液体噴出機構が、前記液圧ノズルに液体を供給する液体供給管と、前記液体供給管に取付けられる液体供給ポンプとをさらに有し、前記液体供給ポンプによって汲み上げられた液体が、前記吸収塔の外部から前記液体供給管を通って前記液圧ノズルに送られるように構成されている、請求項1に記載の湿式排煙脱硫装置。
【背景技術】
【0002】
大型の燃焼設備、プラント等で発生する排ガスには亜硫酸(二酸化硫黄、SO
2)等の硫黄酸化物(SO
X)が含まれるので、硫黄酸化物を除去すること(脱硫)が要求されている。そこで、アルカリ金属等のアルカリ性物質を含む吸収液を用いて排ガスを脱硫する湿式排煙脱硫装置(以下、「脱硫装置」という)が広く利用されている。脱硫装置には、石灰石膏法、水酸化マグネシウム法、水酸化ナトリウム法、アンモニア吸収法等が採用されている。特に、石灰石膏法は、多くの脱硫装置で採用されており、石灰石膏法では、多くの場合、石灰石(炭酸カルシウム、CaCO
3)を水に懸濁させることによって作成した石灰石スラリーが吸収液として用いられている。また、脱硫装置には比較的高い粘性を有する吸収液が用いられており、例えば、吸収液として石灰石スラリーを用いる場合、一般的に、石灰石スラリーの濃度を約10重量%〜約30重量%としている。
【0003】
典型的な脱硫装置は、吸収塔内に供給液を噴霧する噴霧機構と、吸収液を排ガスに効率的に気液接触させるために吸収塔の内部に貯まった吸収液を酸化させる酸化機構と、脱硫装置内で吸収液を循環させる循環機構とを備えており、このような構成において、吸収塔の内部で排ガスが噴霧機構から噴霧された吸収液と気液接触することによって脱硫され、吸収塔の内部に貯まった吸収液が酸化機構によって酸化され、かつ吸収液が循環機構によって脱硫装置内で循環して繰り返し使用されることとなる。
【0004】
しかしながら、吸収液の流動性が低い状態では、吸収液に懸濁された吸収剤が沈降する傾向にあり(以下、「スラリー沈降」という)、特に、吸収塔の内部に貯まった吸収液においてはスラリー沈降が発生し易くなっている。そこで、吸収塔の内部に貯まった吸収液を撹拌することが行われている。このような撹拌の手法については、例えば、特許文献1には、吸収塔の内部に貯まった吸収液内でプロペラを回転させることが開示されている。この回転するプロペラが吸収液を撹拌することとなる。また、特許文献2には、空気を噴出する複数の空気圧ノズルが、吸収塔の内部に貯まった吸収液に吸収塔の周方向に回転する渦流を発生させるように構成されていることが開示されており、具体的には、複数の空気圧ノズルが、渦流の回転方向に沿って傾斜すると共に吸収塔の周方向に間隔を空けて配置されていることが開示されている。この空気圧ノズルによる渦流が吸収液を撹拌することとなる。なお、多くの場合、このようなプロペラ及び空気圧ノズルは、主に、噴霧機構、酸化機構、及び循環機構と連動して、これらの機構と一緒に起動及び停止するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のようにプロペラを用いて吸収液を撹拌する場合、吸収塔の内部にプロペラが配置されることとなり、プロペラを回転駆動するために大掛かりな駆動機構が吸収塔に設けられることとなる。そのため、吸収塔の内部の構造が複雑になり、かつ吸収塔の内部の空間が狭くなっている。その結果、吸収塔の内部のメンテナンスが難しくなって、脱硫装置のメンテナンスが難しくなっている。さらに、大掛かりな駆動機構を設けることによって、脱硫装置が大型化することとなる。
【0007】
また、吸収液は比較的高い濃度を有するので、前述のように空気圧ノズルによる渦流を用いて吸収液を撹拌する場合、高い粘性を有する吸収液に渦流を発生させるために、高い圧力の空気を空気圧ノズルから吸収液内に供給する必要がある。また、空気は吸収液の液面に向かって浮かぼうとするので、吸収液に渦流を発生させるために高い圧力の空気を吸収液内に送る必要がある。このように高い圧力の空気を空気圧ノズルに供給するためには、空気圧を発生させる機構(以下、「空気圧発生機構」という)を吸収塔に接近して配置することが望ましい。しかしながら、高い圧力の空気を発生可能とする空気圧発生機構は大型化して、脱硫装置が大型化することとなる。さらに、空気圧発生機構は、空気を高い圧力で供給するために空気圧発生機構の構造が複雑になっている。その結果、空気圧発生機構のメンテナンスが難しくなって、脱硫装置のメンテナンスが難しくなっている。
【0008】
また、前述のように、プロペラ及び空気圧ノズルは、主に、噴霧機構、酸化機構、及び循環機構と連動して、これらの機構と一緒に起動及び停止するように構成されている。そのため、脱硫装置が停止している場合、循環機構が停止するので、吸収塔の内部に貯まる吸収液は循環せずに流動性の無い状態になり、その結果、吸収塔内の内部に貯まった吸収液にスラリー沈降が発生することとなる。このような状態から脱硫装置を起動した直後では、プロペラ及び空気圧ノズルによって吸収液は十分に撹拌されていない状態になっている。従って、吸収剤の濃度が薄くなった吸収液が脱硫装置内を循環することとなり、また、吸収塔の内部で沈降した吸収剤が、吸収塔の内部における吸収液の流れを遮るおそれがある。すなわち、脱硫装置は、起動直後、安定して稼働できなくなっている。
【0009】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸収液を撹拌する機構をシンプルにすると共に、メンテナンスの容易化を可能とし、小型化を可能とし、かつ安定して稼働可能である湿式排煙脱硫装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決するために、本発明の一態様に係る湿式排煙脱硫装置は、内部で排ガスを吸収液と気液接触させることによって脱硫させる吸収塔と、前記吸収塔の内部に吸収液を噴霧する噴霧機構と、前記吸収塔の底部
の側面に配置されると共に、前記吸収塔の内部に貯まる吸収液に酸素を供給する酸化機構と、吸収液を前記吸収塔の底部
の側面に形成された排出口から前記噴霧機構に送る循環機構と、前記吸収塔の内部に、前記吸収塔の外部から汲み上げられた液体を噴出する液圧ノズルを有する一対の液体噴出機構とを備え、
前記酸化機構と前記吸収塔の排出口とが水平方向に互いに間隔を空けて配置されており、前記酸化機構と前記吸収塔の排出口との間にて、前記一対の液体噴出機構における液圧ノズルの噴出口が互いに対向した状態で、前記一対の液圧ノズルが、それぞれ、前記吸収塔の底部の互いに対向する側面に取付けられており、前記液体噴出機構が、前記噴霧機構、前記循環機構、及び前記酸化機構とは独立して起動かつ停止可能に構成されており、さらに、前記噴霧機構、前記循環機構、及び前記酸化機構を起動する前に、
前記噴霧機構、前記循環機構、前記酸化機構、及び前記液体噴出機構の停止中に前記吸収塔の内部に沈降した吸収剤を粉砕かつ微細化するように前記液体噴出機構を起動かつ稼働
する構成となっている。
【0011】
本発明の一態様に係る湿式排煙脱硫装置では、
前記一対の液圧ノズルのそれぞれが、前記酸化機構と前記吸収塔の排出口との間における水平方向中心位置
に対して前記排出口側に配置されている。
【0012】
本発明の一態様に係る湿式排煙脱硫装置では、
前記液体噴出機構が、前記液圧ノズルに液体を供給する液体供給管と、前記液体供給管に取付けられる液体供給ポンプとをさらに有し、前記液体供給ポンプによって汲み上げられた液体が、前記吸収塔の外部から前記液体供給管を通って前記液圧ノズルに送られるように構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、吸収液を撹拌する機構をシンプルにすると共に、湿式排煙脱硫装置のメンテナンスを容易化でき、湿式排煙脱硫装置を小型化でき、かつ湿式排煙脱硫装置を安定して稼働させることができる。
【0015】
本発明における前述及びその他の目的、形態、及び効果は、以下の図面と関連付けて後述の発明の詳細な説明の記載から、当業者であれば、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る湿式排煙脱硫装置(以下、「脱硫装置」という)について以下に説明する。
【0018】
図1及び
図2を参照すると、脱硫装置1は、略ボックス形状に形成された中空状の吸収塔2を備えている。特に図示はしないが、この吸収塔2の内部には、亜硫酸(二酸化硫黄、SO
2)等のイオン酸化物(SO
X)を含む排ガスが送られ、送られた排ガスが吸収液によって脱硫された後に吸収塔2の外部に排出されるようになっている。なお、本発明の実施形態に係る脱硫装置1は石灰石膏法を採用しており、本発明の実施形態では、吸収液は、石灰石(炭酸カルシウム、CaCO
3)を吸収剤として用いた石灰石スラリーになっている。
【0019】
図1を参照すると、脱硫装置1は、吸収液を吸収塔2の内部に噴霧する噴霧機構3を備えている。噴霧機構3は複数の噴霧ノズル3aを備えており、複数の噴霧ノズル3aにはヘッダ管3bが接続され、吸収液s1がヘッダ管3bから噴霧ノズル3aに送られるように構成されている。吸収塔2の内部に噴霧された吸収液s1は吸収塔2の底部に貯まることとなる(
図1の貯まった吸収液s2を参照)。そこで、
図1〜
図3に示されるように、このように貯まった吸収液s2を吸収塔2の内部で排ガスを脱硫することに用いるため、脱硫装置1は、吸収塔2の底部に貯まった吸収液s2を、吸収塔2の底部に形成された排出口2a(
図3を参照)からヘッダ管3bの噴霧ノズル3aより吸収液流上流側(以下、「上流側」という)に送る複数の循環機構4を備えている。また、脱硫装置1は、吸収塔2の内部に貯まった吸収液s2に酸素を供給する複数の酸化機構5を備えている(
図1及び
図2の供給された酸素xを参照)。脱硫装置1は、吸収塔2の内部に貯まった吸収液s2に液体を噴出する一対の液体噴出機構6を備えており(
図1及び
図2の噴出された水wを参照)、この液体噴出機構6から噴出する液体は水になっている。なお、噴霧機構3、循環機構4、及び酸化機構5は、一体となって起動かつ停止するように構成されており、液体噴出機構6は、噴霧機構3、循環機構4、及び酸化機構5から独立して起動かつ停止可能に構成されている。
【0020】
噴霧機構3及び循環機構4の詳細について、
図1〜
図3を参照して説明する。
図1を参照すると、噴霧機構3の複数の噴霧ノズル3aは、ヘッダ管3bの吸収液流方向に互いに間隔を空けて配置されている。噴霧ノズル3aが吸収液を噴霧する方向は、下方から上方に向かう方向になっている。ヘッダ管3bは、脱硫装置1の水平方向に延びるように形成されている。
図1〜
図3を参照すると、循環装置1は、吸収塔2の底部とヘッダ管3bの上流側端とを接続する循環管4aを備えている。循環管4aには循環ポンプ4bが取り付けられている。吸収塔2の底部に貯まった吸収液s2は、循環ポンプ4bによって汲み上げられて、吸収塔2の排出口2a(
図3を参照)から循環管4aを通ってヘッダ管3bの上流側端に送られることとなる。
【0021】
酸化機構5の詳細について、
図1〜
図3を参照して説明する。酸化機構5は、吸収塔2の底部の側面に取付けられている。酸化機構5は、吸収塔2の排出口2aに対して水平方向に間隔を空けると共に排出口2aに対向するように配置されている。酸化機構5は、酸化機構本体5aから吸収塔2の内部に延びる酸素供給管5bを備えている。酸素xは、酸化機構5の酸化機構本体5aから酸素供給管5bを通って吸収塔2の内部に貯まった吸収液s2に送られることとなる。
【0022】
液体噴出機構6の詳細について、
図1〜
図3を参照して説明する。液体噴出機構6は、吸収塔2の内部に水wを噴出する液圧ノズル7を備えている。
図3を参照すると、液圧ノズル7は、略円形に形成された液体噴出口7aを有しており、液圧ノズル7に供給される水は、この液体噴出口7aを通って吸収塔2の内部に送られることとなる。一対の液圧ノズル7は、吸収塔2の底部の互いに対向する側面にそれぞれ取り付けられており、一対の液圧ノズル7の液体噴出口7aは互いに対向して配置されている。また、一対の液圧ノズル7は、一群の吸収塔2の排出口2aと一群の酸化機構5との間における水平方向中心位置Cより排出口2a側に配置されている。さらに、液圧噴出機構6は、吸収塔2の外部から液圧ノズル7に水を送る液体供給管8を備えている。液体供給管8には液体供給ポンプ9が取付けられている。液体供給ポンプ9によって所定の圧力で汲み上げられた水は、汲み上げによる圧力を保持した状態で吸収塔2の外部から液体供給管8を通って液圧ノズル7に送られることとなる。
【0023】
ここで、本発明の実施形態に係る脱硫装置1の使用方法について説明する。
【0024】
吸収塔2の底部に貯まった吸収液s2が、循環機構4のポンプ4bによって汲み上げられることによって、循環管4aを通って噴霧機構3のヘッダ管3bの上流側端に送られる。ヘッダ管3bに送られた吸収液は噴霧ノズル3aに送られて、噴霧ノズル3aによって吸収液が吸収塔2の内部に噴霧される。噴霧された吸収液s1は、吸収塔2の内部に送られた排ガスと反応して、排ガスに含まれる硫黄酸化物を吸収する。その後、噴霧された吸収液s1が、落下して吸収塔2の底部に貯まる。吸収塔2の底部に貯まった吸収液s2は、循環機構4のポンプ4bによって汲み上げられ、再び循環管4aを通ってヘッダ管3bの上流側端に送られて、排ガスの脱硫に用いられる。すなわち、吸収液は、吸収塔2、循環管4a、ヘッダ管3b、噴霧ノズル3a、吸収塔2の順に周回する経路を通って循環可能になっている。また、酸化機構5は、その酸素供給口5aから吸収塔2の底部に貯まった吸収液s2に酸素xを供給して、吸収塔2の底部に貯まった吸収液s2が酸化されることとなる。
【0025】
本発明の実施形態に係る脱硫装置1の吸収塔2の内部に貯まった吸収液s2の撹拌方法について説明する。
【0026】
液体噴出機構6を起動する。液体供給ポンプ9が、吸収塔2の外部の水を所定の圧力で汲み上げる。汲み上げられた水は、汲み上げによる圧力を保持した状態で吸収塔2の外部から液体供給管8を通って液圧ノズル7に送られる。液圧ノズル7に送られた水は、液圧ノズル7の液体供給口7aを通って吸収塔2の内部に貯まった吸収液s2に噴出される。液圧ノズル7から噴出された水wは、吸収塔2の内部に貯まった吸収液s2に渦流を発生させる。この渦流によって、吸収塔2の内部に貯まった吸収液s2が撹拌されることとなる。そのため、吸収塔2の内部に貯まった吸収液s2内で懸濁された吸収剤が沈降した場合(以下、「スラリー沈降」という)、このような撹拌によって、沈降している吸収剤が、吸収塔2の排出口2aと酸化機構5との間を中心に粉砕かつ微細化されることとなる。
【0027】
以上のように本発明の実施形態に係る脱硫装置1によれば、液圧ノズル7から噴出する水wが、吸収塔2の内部に貯まった吸収液s2に渦流を発生させて、この渦流によって、吸収塔2の内部に貯まった吸収液s2が撹拌されることとなる。従って、スラリー沈降が発生した場合、液圧ノズル7から噴出する水wによる渦流が、吸収塔2の排出口2aと酸化機構5との間を中心に、沈降している吸収剤を粉砕かつ微細化して、吸収液が、特に、吸収塔2の排出口2aと酸化機構5との間で十分に撹拌されることとなる。その結果、循環機構4の立ち上げとともに、酸化機構5から送られた酸素が、吸収塔2の排出口2aと酸化機構5との間で効率的に撹拌された吸収液に送られて、吸収塔2の内部に貯まった吸収液を即座に酸化することとなる。このように効率的に撹拌かつ酸化された吸収液が、吸収塔2の排出口2aに送られ、かつ脱硫装置1内を循環することになる。よって、脱硫装置1を安定して稼働させることができる。
【0028】
吸収液を撹拌するための構成が、液圧ノズル7から吸収液内に水wを噴出するという簡単な構成であるので、吸収液を撹拌する機構をシンプルにできる。また、吸収液を撹拌する機構は吸収塔2の内部の空間を占有しないので、吸収塔2の内部に広い空間を確保できる。その結果、吸収塔2の内部のメンテナンスを容易にでき、脱硫装置1のメンテナンスを容易にできる。また、脱硫装置1を小型化できる。
【0029】
液圧ノズル7から噴出される水wの比重は、従来用いられていた空気の比重より大きいので、液圧ノズル7から噴出される水wは吸収液内に水平に送り易くなっている。そのため、従来空気に加えていた圧力と比較して低い圧力で液圧ノズル7から水を噴出し、吸収液に渦流を発生させて、吸収液を十分に撹拌することができる。
【0030】
本発明の実施形態に係る脱硫装置1によれば、液圧ノズル7が、吸収塔2の排出口2aと酸化機構5との間における水平方向中心位置Cより排出口2a側に配置されているので、循環する吸収液の経路である吸収塔2の排出口2a周辺で、沈降した吸収剤が効率的に粉砕かつ微細化されることとなる。よって、沈降した吸収剤が循環する吸収液の経路を塞ぐことが防止されて、脱硫装置1を安定して稼働させることができる。
【0031】
本発明の実施形態に係る脱硫装置1によれば、液体噴出機構6が、吸収塔2の外部から汲み上げられた水を、該汲み上げによる圧力を保持した状態で液圧ノズル7に供給するように構成されているので、液体供給管8及び液体供給ポンプ9のように、液圧ノズル7に水を送る機構をシンプルにでき、吸収液を撹拌する機構をシンプルにすることができる。
【0032】
本発明の実施形態に係る脱硫装置1によれば、液体噴出機構6が、噴霧機構3、循環機構4、及び酸化機構5から独立して起動かつ停止可能に構成されているので、例えば、脱硫装置1の主な機構である噴霧機構3、循環機構4、及び酸化機構5を起動する前に、液体噴出機構6を起動かつ稼働させてスラリー沈降を解消すれば、脱硫装置1を、噴霧機構3、循環機構4、及び酸化機構5の起動直後から安定して稼働させることができる。
【0033】
ここまで本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【0034】
例えば、本発明の第1変形例として、吸収液が、消石灰(水酸化カルシウム、Ca(OH)
2)、ドロマイト等を吸収剤として用いたスラリーであってもよい。脱硫装置1が、水酸化マグネシウム法を採用したものであってもよく、この場合、吸収液が、水酸化マグネシウム等を吸収剤として用いたスラリーであるとよい。脱硫装置1が、水酸化ナトリウム法を採用したものであってもよく、この場合、吸収液が、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム等を吸収剤として用いたスラリーであるとよい。脱硫装置1が、アンモニア吸収法を採用したものであってもよく、この場合、吸収液が、アンモニア等を吸収剤として用いたスラリーであるとよい。
【0035】
本発明の第2変形例として、噴霧ノズル3aが吸収液を噴霧する方向は、上方から下方に向かう方向、水平方向、斜め方向等であってもよい。
【0036】
本発明の第3変形例として、ヘッダ管3bは、湾曲部分、屈曲部分、上下方向に延びる部分、傾斜する部分等を含んでいてもよい。
【0037】
本発明の第4変形例として、吸収塔2が、略円柱形状、略円錐形状、略楕円柱形状、略楕円錐形状、略多角形状、略多角錐形状等に形成されていてもよい。
【0038】
本発明の第5変形例として、液圧ノズル7から噴出される液体が、水以外の液体、例えば、吸収液と同種の液体、吸収液に吸収剤を懸濁する前の液体と同種の液体等であってもよい。
【0039】
本発明の第6変形例として、吸収塔2の底部の対向する側面の一方側に、1つ以上の液体噴出機構6が設けられていてもよい。
【0040】
本発明の第7変形例として、複数対の液体噴出機構6が設けられていてもよい。
【0041】
本発明の第8変形例として、液圧ノズル7の液体噴出口7aが、略半円形状、略楕円形状、略半楕円形状、略多角形状、略星形状等に形成されていてもよい。
【0042】
本発明の第9変形例として、一対の液圧ノズル7の液体噴出口7aは、互いに対して吸収塔2の高さ方向、水平方向、及び/又は周方向にシフトして配置されていてもよい。
【0043】
本発明の第10変形例として、液体噴出機構6が、吸収塔2の底部に貯まった吸収液s2の液面に対して吸収塔2の高さ方向に間隔を空けた液体供給位置から液体を自然落下させることによって、吸収塔2の底部に貯まった吸収液s2を撹拌するように構成されていてもよい。特に、液体供給位置は、吸収塔2の底部に貯まった吸収液s2の撹拌を達成するために、吸収塔2の底部に貯まった吸収液s2の液面に対して吸収塔2の高さ方向に十分に間隔を空けた位置であると好ましい。