(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の主題の第1の一面によれば、切削用インサートのインサートの上面および下面に開口する挿入穴が形成されている切削用インサートが提供される。インサートの上面の平面図では、切削用インサートおよび挿入穴は、共に、共通のインサートの縦軸線に沿って細長い長円形を有する。穴は、インサートの縦軸線に沿ってそれぞれ延びる第1の側面および第2の側面と、インサートの縦軸線に対して横方向にそれぞれ延びる穴の第1の端面および第2の端面とを含む。穴の第1の端面および第2の端面の少なくとも1つは、クランピングリップが形成される。
【0007】
本出願の主題の他の一面によれば、インサートの縦軸線を有する切削用インサートであって、対向したインサートの上面および下面と、インサートの縦軸線を横切って延びる対向したインサートの第1の端面および第2の端面であって、各端面が、インサートの上面および下面に連結される、対向したインサートの第1の端面および第2の端面と、インサートの縦軸線に沿って延びる対向したインサートの第1の側面および第2の側面であって、各側面が、インサートの上面および下面に連結されると共に、インサートの第1の端面および第2の端面に連結される、対向したインサートの第1の側面および第2の側面と、インサート上面、インサートの第1の端面、およびインサートの第1の側面の共通部分に画定されたインサートの第1の交点と、インサート上面、インサートの第1の端面、およびインサートの第2の側面の共通部分に画定されたインサートの第2の交点と、インサートの第1の交点からインサートの第2の交点へ延びる刃先と、インサートの上面および下面へ開口する挿入穴とを備え、挿入穴が、インサートの縦軸線に沿って延びる対向した穴の第1の側面および第2の側面と、インサートの縦軸線を横切って延びる対向した穴の第1の端面および第2の端面であって、それぞれが穴の第1の側面および穴の第2の側面に連結される、対向した穴の第1の端面および穴の第2の端面とを含み、インサート上面、切削用インサート、および挿入穴の平面図において、両方は、インサートの縦軸線に沿って細長い長円形を有し、穴の第1の端面および穴の第2の端面の少なくとも1つは、クランピングリップが形成される切削用インサートが提供される。
【0008】
本出願の主題のさらに他の一面によれば、工具本体の内側部分、およびそこから延びる工具本体保持部を備える切削工具本体であって、工具本体保持部は、仮想の保持面を有し、対向した保持用下端および保持用上端と、平行な対向した保持用第1の側面および保持用第2の側面であって、それぞれが保持用下端および保持用上端に連結され、それぞれが仮想の保持面の異なる側に位置し、それと平行である、平行な対向した保持用第1の側面および保持用第2の側面と、工具本体の内側部分からの工具本体保持部の対向した側部に位置し、保持用下端および保持用上端に連結される共に、保持用第1の側面および保持用第2の側面に連結される保持前端とを備え、保持用上端は、保持面に対して横方向に向けられると共に、保持用第1の側面および保持用第2の側面ならびに保持前端に連結されるインサートポケットの第1の支持部分と、保持前端から離間して配置されると共に、インサートポケットの第1の支持部分と保持面の両方に対して横方向に向けられるインサートポケットの第2の支持部分とによってのみ画定されるインサートポケットを備え、工具本体保持部は、インサートポケットの第1の支持部分に開口する留め具穴と、留め具穴に交わるねじ穴とをさらに備え、保持用上端は、インサートポケットの第1の支持部分で保持用連動装置を備え、インサートポケットの第1の支持部分は、保持面に沿った方向に延びると共に、そこに取り付けられた切削用インサートが保持面を横切る方向に横方向に移動することを防ぐように構成される切削工具本体が提供される。
【0009】
本出願の主題のさらに他の一面によれば、切削工具アセンブリであって、インサートポケット、インサートポケットに開口する留め具穴、ねじ穴、および付勢穴を有する切削工具本体と、留め具と、ねじ穴の中に受け入れ可能であり、ねじが形成された本体部およびねじアクチュエータ部(screw actuator portion)を備える付勢ねじと、付勢装置とを備え、留め具は、留め具穴の中に受け入れ可能であり、留め具本体の第1の凹みおよび留め具本体の第2の凹みが形成された留め具本体と、切削用インサートをインサートポケットに固定するように構成される留め具ヘッドとを備え、留め具本体の第2の凹みは、留め具本体の留め具の外周面から内向きに延びる第2の凹みの第1の当接面と、第2の凹みの第1の当接面から留め具の外周面へ延びると共に、留め具ヘッドからの第2の凹みの第1の当接面より遠くにある第2の凹みの第2の当接面とを備え、留め具本体の第1の凹みは、ねじアクチュエータ部によって留め具ヘッドをインサートポケットに向かう方向に付勢するように係合するように構成され、付勢装置は、付勢穴の中に受け入れ可能であり、付勢部材および付勢ばねを備え、付勢部材を留め具本体に対して付勢するように構成されており、付勢部材は、第2の凹みの第1の当接面を係合し、それによってインサートポケットから離れる方向に留め具ヘッドを付勢するように構成された付勢部材の第1の面と、付勢部材の第1の面に対して横方向に延び、第2の凹みの第2の当接面を係合し、留め具がインサートポケットから排出されるのを防ぐように構成された付勢部材の第2の面とを備える切削工具アセンブリが提供される。
【0010】
本出願の主題のいっそうさらなる一面によれば、以上および以下に記載の特徴のいずれかを有する切削用インサートと、以上および以下に記載の特徴のいずれかを有する切削工具本体とを組み合せて備える切削工具アセンブリであってこの切削工具本体は、留め具、付勢ねじ、および付勢装置をさらに備え、留め具は、留め具穴の中に配設され、留め具本体の第1の凹みおよび留め具本体の第2の凹みが形成された留め具本体と、切削用インサートをインサートポケットに固定するように構成される留め具ヘッドとを備え、留め具本体の第2の凹みは、留め具本体の留め具の外周面から内向きに延びる第2の凹みの第1の当接面と、第2の凹みの第1の当接面から留め具の外周面へ延びる第2の凹みの第2の当接面とを備え、第2の凹みの第2の当接面は、留め具穴からの第2の凹みの第1の当接面より遠く、付勢ねじは、ねじが形成された本体部と、留め具ヘッドをインサートポケットに向かって移動させるように留め具本体の第1の凹みに係合可能なアクチュエータの部分とを備え、付勢装置は、付勢穴に配設され、付勢部材と、留め具本体に対して付勢部材を付勢するように構成された付勢ばねとを備え、付勢部材は、第2の凹みの第1の当接面に係合してインサートポケットから離れる方向に留め具ヘッドを付勢するように構成された付勢部材の第1の面と、付勢部材の第1の面に対して横方向に延び、第2の凹みの第2の当接面に係合して留め具がインサートポケットから排出されるのを防ぐように構成された付勢部材の第2の面とを備える切削工具アセンブリが提供される。
【0011】
本出願の主題の他の一面によれば、以上および以下に記載の特徴のいずれかを有する締め付け機構または切削工具の留め具または切削工具の付勢装置が提供される。
【0012】
上記は概要であり、上記の一面のいずれかは、他の一面または以下に記載の一面のいずれかに関連して説明される特徴のいずれかをさらに備えてもよいことが理解されよう。具体的には、単独または組み合せた以下の特徴は、上記の一面のいずれかに適用可能であり得る。
A.穴の第1の側面および穴の第2の側面は、それぞれ、クランピングリップを持っていなくてもよい。
B.穴の第1の端面と穴の第2の端面の両方は、クランピングリップが形成されていてもよい。
C.各クランピングリップは、インサートの上面とインサートの下面の間の位置でインサートの上面とインサートの下面から離間して配置される挿入穴の中に最も遠くに突出する突出部を備えてもよい。
D.インサートの第3の交点は、インサートの下面、インサートの第1の端面、およびインサートの第1の側面の共通部分に画定されてもよい。
E.インサートの第4の交点は、インサートの下面、インサートの第1の端面、およびインサートの第2の側面の共通部分に画定されてもよい。
F.インサートの第2の交点が、インサートの第4の交点に近いよりも、インサートの第1の交点は、インサートの第3の交点に近くてもよい。
G.インサートの下面は、インサートの縦軸線を横切る方向に切削用インサートが横方向に移動するのを防ぐインサートの連動装置が形成されてもよい。
H.連動装置は、インサートの下面に形成されると共にインサートの縦軸線に沿った方向に延びる溝を備えてもよい。この溝は、そのそれぞれの側に溝の主要な凹みおよび溝の隙間の凹みが形成されてもよい。それぞれの溝の隙間の凹みは、溝の主要な凹みとインサートの下面の間に延びてもよい。
I.インサートの上面の平面図において、切削用インサートの一部は、インサートの縦軸線を横切る方向にこの刃先または特定の刃先より遠くに突出することはない。
J.インサートの壁は、インサートの上面とインサートの下面、穴の第1の側面、およびインサートの第1の側面の間に画定されてもよい。
K.インサートの壁は、インサートの第1の壁部と、インサートの第1の壁部とインサートの第1の端面の間に位置するインサートの第2の壁部とを備えてもよい。
L.インサートの第1の壁部およびインサートの第2の壁部は、インサートの第1の壁部の幅およびインサートの第2の壁部の幅をそれぞれ有してもよい。インサートの第1の壁部の幅およびインサートの第2の壁部の幅は、穴の第1の側面からインサートの第1の側面まで、インサートの縦軸線に垂直な方向にそれぞれ測定され、インサートの第1の壁部の幅は、インサートの第2の壁部の幅より大きい大きさを有してもよい。
M.切削用インサートは、インサートの第1の壁およびインサートの第2の壁を備えてもよい。インサートの第1の壁は、インサートの上面およびインサートの下面と、穴の第1の側面、インサートの第1の側面との間に画定されてもよい。インサートの第2の壁は、インサートの上面およびインサートの下面と、穴の第2の側面と、インサートの第2の側面との間に画定されてもよい。
N.インサートの第1の壁およびインサートの第2の壁の各々は、インサートの縦軸線に垂直な方向に測定されるインサートの最小の壁幅を有してもよい。インサートの最小の壁幅は、0.7mm以上の大きさを有してもよい。
O.インサートの縦軸線に垂直な方向にインサートの第1の側面からインサートの第2の側面まで測定されるインサートの最大幅は、5mm未満の大きさを有してもよい。
P.挿入穴および切削用インサートの長円形は、共に長方形であってもよい。
Q.挿入穴は、長円形であってもよく、切削用インサートは、長方形であってもよい。
R.切削用インサートは、インサートの縦軸線に垂直な方向に延び、挿入穴の中心を通じて延びる挿入穴軸に対して180度の回転対称をさらに有してもよい。
S.保持用連動装置は、留め具穴の異なる側部上に配設された保持用連動装置の第1の部分および保持用連動装置の第2の部分を備えてもよい。
T.保持用連動装置の第1の部分は、保持用連動装置の第1の部分の最大幅の寸法を有し、保持用連動装置の第1の部分の最大幅の寸法は、保持用連動装置の第2の部分の最大幅の寸法より大きさが大きく、それらの両者は、保持面に垂直な保持幅方向の軸に沿って測定可能である。
U.インサートポケットの第1の支持部分は、保持面に対して傾斜されていてもよい。
V.インサートポケットの第1の支持部分は、長手方向に延びる支持部分の第1の傾斜部分を備えてもよく、長手方向に延びる支持部分の第1の傾斜部分は、保持用第1の側面に連結され、保持用第1の側面と鈍角の座面の第1の内角をなし、支持部分の第2の傾斜部分へ延び、支持部分の第1の傾斜部分と鈍角の座面の第2の内角をなす。
W.保持用連動装置は、隆起の形態であってもよい。
X.工具本体保持部は、留め具穴に交わる付勢穴を備えてもよい。
Y.付勢穴およびねじ穴は、同心上にあってもよい。
Z.切削工具アセンブリの締め付け位置における留め具の上面の平面図では、留め具ヘッドは、保持面に沿った方向に細長くてもよい。
AA.留め具ヘッドは、保持面に沿って離間して配置されている切削用インサートの第1のクランピングリップおよび切削用インサートの第2のクランピングリップを同時に締め付けるように構成されてもよい。
BB.留め具ヘッドは、切削工具アセンブリの締め付け位置において、穴の第1の側面と穴の第2の側面の両方から離間して配置されてもよい。
CC.切削工具アセンブリの締め付け位置における切削用インサートの平面図では、切削用インサートの各刃先は、保持面に垂直な方向に延びてもよい。
DD.第2の凹みの第1の当接面および付勢部材の第1の面は共に、平坦で互いに平行であり、付勢部材に係合するときに留め具の回転運動を防ぐようになっていてもよい。
EE.付勢部材および留め具は、取り外し位置と締め付け位置の両方、ならびにそれらの間の任意の中間位置で互いに接触するように構成されてもよい。
FF.留め具本体の第1の凹みは、第1の凹みの第1の小部分を備えてもよく、第1の凹みの第1の小部分は、留め具の外周面から延び、留め具の外周面と鈍角の内側の第1の凹みの第1の角度をなし、第1の凹みの第2の小部分へ延び、第1の凹みの第2の小部分と鈍角の内側の第1の凹みの第2の角度をなす。
GG.留め具本体の第1の凹みは、保持用縦軸線に沿っている付勢ねじの並進移動の方向に面する第1の凹みの第1の小部分と、第1の凹みの第1の小部分から留め具の中に延び、付勢ねじの並進移動の方向に対して傾斜されている第1の凹みの第2の小部分の面とを備えてもよい。
【0013】
本出願の主題をより良く理解すると共に、それが実際にはどのように実行できるのか示すために、次に、添付図面の参照を行う。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明において、本出願の主題の様々な一面が、記述される。説明のために、特定の構成および細部が、本出願の主題の完全な理解をもたらすように十分詳細に説明される。しかし、また、本出願の主題は、本明細書に示した特定の構成および細部でなくても実施することができることが、当業者にとって明らかである。
【0016】
図1を参照すると、金属の切削作業用の切削工具アセンブリ10を示し、切削工具アセンブリ10は、切削工具本体12と、留め具18、付勢ねじ20および付勢装置22(
図5A)を含む各締め付け機構16によって切削工具本体12にそれぞれ固定可能である1以上の切削用インサート14と、を含む。
【0017】
この限定されない一例では、切削工具アセンブリ10は、回転工具であり、具体的には、切削工具本体12の工具中心点C
TPを通過する工具中心軸線A
TCの回りに(
図1に示した図において)反時計回りの工具の回転方向D
TRに回転するように構成される回転式スロット用金属の切削工具である。本出願の主題に従う切削工具アセンブリは、移動している被加工物を切削するように構成される、例えば、長方形ブレード型の非回転式の工具とすることもできると理解される。また、そのような回転式の工具または非回転式の工具は、その切削用本体に固定された単一の切削用インサート14を有するものであってもよく、または、設計要求に応じて複数の切削用インサートを有するものであってもよいことも理解されよう。
【0018】
切削工具本体12は、この限定されない一例では円盤状であり、内側本体の中央の開口12B付きで形成される工具本体の内側部分12Aと、工具本体の内側部分12Aの周縁から延びる少なくとも1つの工具本体保持部12Cとを含み得る。この限定されない一例では、工具本体の内側部分12Aの回りに円周方向に間隔をおいてそれぞれ配置される複数の工具本体保持部12Cがある。
【0019】
図2A、
図2B、および
図4A乃至
図5Bも参照すると、工具本体保持部12Cは、対向した保持用下端12Dおよび保持用上端12E(それぞれ、
図1および
図2B)と、平行な対向した保持用第1の側面12F1および保持用第2の側面12F2と、工具本体の内側部分12Aに対し工具本体保持部12Cにおける対向した面に位置する保持用前端12Gと、を含むことができる。
【0020】
保持用第1の側面12F1および保持用第2の側面12F2の各々は、保持用下端12Dおよび保持用上端12Eに連結され得る。保持用第1の側面12F1および保持用第2の側面12F2の各々は、仮想の保持面P
Hの異なる側に仮想の保持面P
Hと平行に位置していることができる。この限定されない一例では、保持面P
Hは、工具本体保持部12Cを二等分し、すなわち、保持面P
Hは、保持用第1の側面12F1および保持用第2の側面12F2の各々から等しい距離に位置する。
【0021】
保持幅方向の軸A
HW(
図2A)は、保持面P
Hに垂直に延び、逆向きに向いた保持用第1の横方向D
HS1および第2の横方向D
HS2を画定する。同様に、
図2Aの平面図において、保持面P
Hは、逆向きの保持用順方向D
HFおよび逆方向D
HBを画定し、
図2Bの正面図において、保持面P
Hは、逆向きの保持用上方向D
HUおよび下方向D
HDを画定する。
【0022】
保持用前端12Gは、保持用下端12Dおよび保持用上端12Eに連結されると共に、保持用第1の側面12F1および保持用第2の側面12F2に連結され得る。保持用前端12Gは、インサートポケット24を含み得る(
図5A)。
【0023】
インサートポケット24は、インサートポケットの第1の支持部分24Aおよび第2の支持部分24Bと、支持部分24Aの据付場所内に見とめられる保持用連動装置24Cとを含むことができる。
【0024】
インサートポケットの第1の支持部分24Aは、保持面P
Hに対して横切る方向に向けられ、保持用第1の側面12F1および保持用第2の側面12F2、保持用前端12Gに連結され得る。言い方を変えれば、インサートポケットの第1の支持部分24Aは、保持用上向き方向D
HUに向くように、向けることができる。より正確に言えば、インサートポケットの第1の支持部分24Aは、保持面P
Hに対して傾けられ得る。さらにより正確に言えば、インサートポケットの第1の支持部分24Aは、保持用第1の側面12F1から延びる縦軸線方向に延びる支持部分の第1の傾斜部分24A1と、インサートポケットの第1の支持部分24Aおよび保持用連動装置24Cに連結される支持部分の第2の傾斜部分24A2と、保持用連動装置24Cおよび保持用第2の側面12F2に連結される支持部分の第3の傾斜部分24A3とを含むことができる。
【0025】
支持部分の第1の傾斜部分24A1は、保持用第1の側面12F1と第1の鈍角の内角α1をなす座面を形成することができ、それによって、効率的な切屑排出性を促進することができる可能性がある。支持部分の第2の傾斜部分24A2は、支持部分の第1の傾斜部分24A1と鈍角の第2の内角α2をなす座面を形成することができる。支持部分の第3の傾斜部分24A3は、支持部分の第2の傾斜部分24A2と同じ平面にあり得る。
図4Bに最もよく示されるように、支持部分の第2および第3の傾斜部分24A2、24A3の傾斜は、保持面P
Hに対し垂直に向けられる切削用インサート14の刃先14F1に役立つように構成され得るものであり、それによって、切削効率を高める可能性がある。
【0026】
インサートポケットの第2の支持部分24Bは、保持前端12Gから離隔し配され得る。より正確に言えば、インサートポケットの第2の支持部分24Bは、保持用前端12Gと工具本体の内側部分12Aとの間に位置することができる。インサートポケットの第2の支持部分24Bは、インサートポケットの第1の支持部分24Aと保持面P
Hとの両方に対して横切るように向けることができる。言い方を変えれば、インサートポケットの第2の支持部分24Bは、保持用順方向D
HFに向けることができる。
図5Aに最もよく見られるように、この限定されない一例では、インサートポケットの第2の支持部分24Bは、保持用上方向D
HUおよび保持用逆方向D
HBに対し傾けられている。
図5Bに示されるように、そのような傾斜は、切削用インサート14の相補形の表面14C2の傾斜を補完するように構成され得る。
【0027】
インサートポケット24は、インサートポケットの第1の支持部分24Aおよびインサートポケットの第2の支持部分24Bによってのみ画定され得る。詳しく述べると、インサートポケット24は、例えば、保持用第1の側面12F1および保持用第2の側面12F2から、または、保持用前端12Gから保持用上方向D
HUに延びる複数の側面、即ち壁のような、付加的な複数の表面、即ち、壁を含まない。したがって、インサートポケットは、どちらの側面12F1、12F2の全長に沿って延びるいかなる支持部を含むことなく、仮想の保持平面P
Hを横切る方向に、および、工具中心軸線A
TCに沿って支持をもたらす。この程度に、インサートポケット24は、切削用インサート14に当接するように構成されるまさに2つの支持部分だけを含み得る。しかし、これら2つの支持部分のそれぞれ、インサートポケットの第1の支持部分24A、および、インサートポケットの第2の支持部分24Bは、本明細書に述べられるように、1以上の離散した支持部分の表面をそれぞれ、含んでもよいことが理解される。
【0028】
次に、
図5Aだけを参照すると、工具本体の保持部12Cは、留め具用穴26と、ねじ穴28と、付勢用穴30と、を含む。
【0029】
留め具穴26は、インサートポケットの第1の支持部分24Aに開口し、下方向D
HDおよび逆方向D
HBに沿って傾斜して工具本体保持部12Cに入ることができる。
【0030】
ねじ穴28は、雌ねじを含む。ねじ穴28は、保持用前端12Gに開口でき、ねじ穴28が留め具用穴26に交わるまで逆方向D
HBに工具本体保持部12Cに入ることができる。
【0031】
付勢用穴30は、留め具用穴26に交わり、そこから工具本体保持部12Cの中に入る、この限定されない一例では、逆方向D
HBの延在部である。
【0032】
この限定されない一例では、付勢穴およびねじ穴は、共通の保持用縦軸線A
HLに沿って同心である。保持用縦軸線A
HLは、この限定されない一例では、保持用順方向D
HF,および保持する逆方向D
HBに対応する(
図5A)付勢ねじ20の並進移動における順方向および逆方向を画定することができる。保持用縦軸線A
HLは、保持面P
H上にあり得る。
【0033】
保持用連動装置24Cは、溝、または、隆起を含むことができる。この限定されない一例では、保持用連動装置24Cは、隆起からなる。より正確に言えば、連動装置または隆起24Cは、留め具穴26の両側に配設された連動装置の第1の部分24C1および第2の部分24C2からなる。連動装置の第1の部分24C1は、連動装置の第2の部分の最大幅の寸法W
I2より大きさが大きい連動装置の第1の部分の最大幅のW
I1の寸法を有することができるものであり、双方の寸法は、保持用幅方向の軸A
HWに沿って測定可能である。連動装置24Cにおける異なる幅は、切削用インサート14のための安定した着座配置を助けることができる。より詳細には、そのような異なる幅により、安定性の向上のために連動装置の第1の部分24C1およびインサートポケットの第1の支持部分24Aに、保持用前端12Gと、保持用第1の側面12F1および保持用第2の側面12F2とに直接的に隣接できる連動装置の第2の部分24C2の両側にある2つの当接点24A4、24A5で、切削用インサート14が当接し、即ち、静止することを可能にする。
【0034】
連動装置24Cは、保持面P
Hに沿った向きに延びることができ、保持面P
Hを横切る方向にそこに取り付けられたインサートが(例えば、保持用第1の側方向D
HS1および第2の側方向D
HS2に)横方向に移動することを防ぐように構成され得る。連動装置24Cは、保持面P
Hに垂直となる先細り形状を有する断面を有することができる。
【0035】
図3Eを参照すると、切削用インサート14が、他に記載がない限り、
図3Aに示されたインサート上面の平面図を特に参照して形状が説明されながら、詳細に説明される。
【0036】
切削用インサート14は、超硬合金のような極めて硬い耐摩耗材料で、成形プレス(form−pressing)し結合剤内の炭化物粉末の焼結によってまたは粉末を射出成形する方法によって作られ得る。
【0037】
切削用インサート14は、インサートの向かい合う上面14Aおよび下面14B(下面14Bは、
図3Eに示されている)と、インサートの上面14Aおよび下面14Bにそれぞれ連結されたインサートの向かい合う第1の端面14C1および第2の端面14C2と、インサートの上面14Aおよび下面14Bにそれぞれ連結されると共にインサートの第1の端面14C1および第2の端面14C2にそれぞれ連結されるインサートの向かい合う第1の側面14D1および第2の側面14D2とを含む。
【0038】
切削用インサート14は、インサートの上面14Aおよび下面14Bに開口する挿入穴32をさらに含む。
【0039】
切削用インサート14と挿入穴32との両方は、インサートの共通の縦軸線A
ILに沿って細長い長円形を有する。この限定されない一例では、切削用インサート14および挿入穴32も、下面図(
図3E)、および、側面図/側断面図(
図3Cおよび
図3D)において長円形を有することに留意されたい。
【0040】
この限定されない一例では、切削用インサート14は、インサートの縦軸線A
ILに垂直な方向であって挿入穴の中心C
IAを貫通する挿入穴軸線A
IA(
図3Dに最もよく見られる)の回りに180度の回転対称である片面のインデキサブルインサート(indexable insert)である。代表的な実施例では、挿入穴軸線A
IAは、切削用インサート14のいずれかの表面または挿入穴32に交わることなく、挿入穴の中心C
IAを貫通している。言い方を変えれば、切削用インサート14は、インサートの幅方向軸線A
IWおよび挿入穴の軸線A
IAに沿って延びるインサート二等分平面P
IBで合流するインサートの両半体14E1、14E2からなる。
【0041】
図3Bを参照して以下さらに詳細に説明されるように、この限定されない一例では、インサート上面14Aに沿った対角線状に対向した第1の一対の交点14G1および第5の交点14G2は、インサート下面14Bにおいてそれぞれ連結される対角線状に対向した第3の交点14I1および第7の交点14I2からの距離M
I1の第1の大きさである。第1の交点14G1は、インサート上面14A、インサートの第1の端面14C1、およびインサートの第1の側面14D1の共通部分の交点に形成されるが、第5の交点14G2は、インサート上面14A、インサートの第2の端面14C2、およびインサートの第2の側面14D2の共通部分の交点に形成される。一方、インサートの上面14Aに沿った対角線状に対向した第2の一対の第2の交点14H1および第6の交点14H2は、インサートの下面14Bにおいてそれぞれ連結した対角線状に対向した第4の交点14J1および第8の交点14J2からの距離M
I1の第1の大きさより大きい距離M
I2の第2の大きさである。第2の交点14H1は、インサートの上面14A、インサートの第1の端面14C1、およびインサートの第2の側面14D2の共通部分の交点に形成されるが、第6の交点14H2は、インサートの上面14A、インサートの第2の端面14C2、およびインサートの第1の側面14D1の共通部分の交点に形成される。したがって、この限定されない一例では、切削用インサート14は、インサート二等分平面P
IBの回りに鏡面非対称性(mirror asymmetry)を有する。
【0042】
代替的に、本出願の主題による切削用インサートは、例えば、片面のノンインデキサブルインサートであってもよい。
【0043】
簡潔にするために、以下の切削用インサート14の説明は、2つの同一の半体14E1、14E2のうちの1つだけに主に関し、必要に応じて変更を加えて、他方の半体に適用可能な説明、および、代わりに同一の構成のしるしでもある数字「1」または「2」が付加された共通の参照数字により、なされる。
【0044】
次に、
図3Bを参照すると、切削用インサート14は、第1の端面14C1に形成され、インサートの第1の交点14G1からインサートの第2の交点14H1まで延びる第1の刃先14F1(第1の端部の刃先)をさらに含む。
【0045】
第1の刃先14F1は、いかなる形状とすることができる。この限定されない一例では、
図3Aおよび
図3Bの両図において、第1の刃先14F1は、まっすぐであるが、しかしながら、第1の刃先14F1は、湾曲されてもよく、または、湾曲部および直線部の小部分の両方を有してもよい。複数の図に見られるように、第1の端部の刃先14F1は、切削用インサート14の切削全幅W
C1に沿って延びる。
【0046】
図3Aを参照すると、この限定されない一例では、第1の刃先14F1に隣接したインサート上面14Aの少なくとも一部は第1のすくい面14K1を構成し、インサートの第1の端面14C1の少なくとも一部は逃げ面14L1(
図3B)を構成する。あるいは、インサートの第1の端面14C1の少なくとも一部はすくい面を構成することができ、インサート上面14Aの少なくとも一部は逃げ面を構成することができることも実現可能である。いずれの場合でも、すくい面14K1は、切りくずを処理する構成14R1を伴って形成することができる。この限定されない一例では、切りくずを処理する構成14R1は、挿入穴32とインサートの第1の端面14C1の間に位置し、インサートの縦軸線A
ILに垂直な方向に、すなわちインサートの幅方向軸A
IWに沿って延び得る細長い切りくずを処理する凹みとして構成される。
【0047】
次に
図3Bおよび
図3Cを参照すると、切削用インサートのインサートの第3の交点14I1は、インサート下面14B、インサートの第1の端面14C1、およびインサートの第1の側面14D1の共通部分に形成されるが、インサートの第4の交点14J1は、インサート下面14B、インサートの第1の端面14C1、およびインサートの第2の側面14D2の共通部分に形成される。
【0048】
インサートの第1の交点14G1は、(同一に離間して配置されたインサートの第5および第7の交点14G2、14I2に対して
図3Cに示される)第3の交点14I1からの第1の距離の大きさM
I1であり、第2の交点14H1は、第4の交点14J1からの第2の距離の大きさM
I2である。この限定されない一例では、第2の距離の大きさM
I2は、第1の距離の大きさM
I1より大きい。
【0049】
インサートの第1の端面の平面図において刃先が直線に従う実施例では、それは、所定の角度で傾斜することができる。この限定されない一例では、
図3Bにおいて、第1の刃先14F1は、インサートの幅方向軸A
IWおよびインサートの縦軸線A
ILによって画定された仮想のインサートの長手方向平面P
ILに対して鈍角の刃先の第1の角度α1で傾斜されるように示されている。同様に、インサートの第1の端面14C1の平面図において両方が直線に従うとき、そのような図において、第1の刃先14F1は、第2の刃先14F2と共に鈍角の刃先角の第2の角度α2を形成することができる。刃先の第1の角度α1は、0から30°までの間とすることができる。切削用インサートが挿入穴軸
線A
IAに対して180度の回転対称である場合、刃先角の第2の角度α2は、刃先の第1の角度α1の2倍である。
図3Bに見ることができるように、第1のエンド刃先14F1および第2のエンド刃先14F2は、インサートの縦軸線A
ILを横切る方向に、切削用インサート14の切削幅W
C1全体に沿って共に延びる。
【0050】
全ての場合において、切削用インサート14は、非刃先部分14M1、14M2を備えることができる。例えば、
図3Aに最もよく見られるように、以下にさらに述べられるようにインサートの第1の側面14N1および第2の側面の末端部14O1を含まないインサートの第1および第2の側面の部分と交わるインサート上面の縁部は、非刃先部分を構成することができる。非刃先部14M1、14M2は、金属被加工対象物(図示せず)を切削するように構成される形態、および/または、構造強度を持っていないエッジ部分として定義される。
【0051】
刃先間に配設された非刃先部分を備えるインサートの可能性ある利点は、切削用インサートは、割り出されたときに、一部でも以前に使用されていなかった刃先で切削を開始することができることをそれらが確実にすることができる。
【0052】
図3Aの図では、切削用インサート14の一部が、インサートの縦軸線A
ILを横切る方向に第1の刃先14F1より遠くに突出することはないことも留意されたい。加えて、
図3Bおよび
図3Cに示されるように、インサートの第1の側面14D1および第2の側面14D2、ならびにインサートの第1の端面14C1および第2の端面14C2は、インサート上面14Aからインサート下面14Bへ直線的な先細り形状で形成することができる。
【0053】
次に
図3Eを参照すると、インサートの第1の壁14P1は、インサートの上面14Aおよび下面14Bの相互間であって、穴の第1の側面32A1と、インサートの第1の側面14D1との
間に画定することができ、インサートの第2の壁14P2は、インサートの上面14Aおよび下面14Bの相互間であって、穴の第2の側面32A2と、インサートの第2の側面14D2との間に画定することができる。
【0054】
インサートの第1の壁14P1は、インサートの第1の壁部14Q1と、インサートの第1の壁部14Q1とインサートの第1の端面14C1の間に位置するインサートの第2の壁部14Q2とを備えることができる。インサートの第1の壁部14Q1および第2の壁部14Q2は、それぞれのインサートの第1の壁部の幅M
I3および第2の壁部の幅M
I4を有することができる。インサートの第1の壁部の幅M
I3および第2の壁部の幅M
I4は、穴の第1の側面32A1からインサートの第1の側面14D1まで、インサートの縦軸線A
ILに垂直な方向、すなわちインサートの幅方向軸
線A
IWに沿ってそれぞれ測定することができる。インサートの第1の壁部14Q1の最大幅は、インサートの第2の壁部14Q2の最大幅よりも大きい大きさを有することができる。
【0055】
インサートの第1の壁14P1および第2の壁14P2の各々は、穴の第1の側面32A1からインサートの第1の側面14D1まで、または穴の第2の側面32A2からインサートの第2の側面14D2まで測定可能なインサートの第1の最小の壁幅M
I5および第2の最小の壁幅M
I6を有することができる。インサートの最小の第1の壁幅M
I5および第2の壁幅M
I6の各々は、切削力に耐えるために0.7mm以上の大きさを有することができる。
【0056】
そのような最小の壁幅を維持する間でも、切削用インサートの全幅は、本出願の主題によれば、とても小さくすることができる。より正確に言えば、インサートの第1の最大幅M
I7は、切削用インサート14の最も広い部分で測定可能であり、これは、この限定されない一例では、インサートの第1の交点14G1からインサートの第2の交点14H1まで(または同一のインサートの第2の最大幅M
I8)である。量的に表すと、インサートの最大幅M
I7、M
I8は、5mm未満の大きさを有することができる。
【0057】
図3Bに戻ると、インサート下面14Bは、インサートの縦軸線A
ILを横切る方向に切削用インサート14が側方移動するのを防ぐインサートの連動装置34を形成することができる。連動装置34は、インサート下面14Bに形成されると共にインサートの縦軸線A
ILに沿った方向に延びる形成された溝として構成することができる。溝34は、溝の主要な凹み34Aおよびその両側の溝の隙間の凹み34B1、34B2を形成することができる。切削用インサート14の各溝の隙間の凹み34B1、34B2は、主要な凹み34Aとインサート下面14Bとの間に延びることができる。
【0058】
連動装置34は、溝または隆起などの突出要素であり得ることを理解されよう。しかし、溝は、切削用インサート14の下面14Bの研削が望まれるときに有利であり得ることが分かっている。
【0059】
そのような構成の可能性ある利点は、その深さに対して極めて狭い幅を有する形状を(スロット形成、溝形成などによって)切削するように構成される切削用インサート14が提供され得ることであり得る。言い方を変えれば、切削用インサート14および挿入穴の位置合わせされた細長い形状は、挿入穴の中心を通じてインサートの縦軸線A
ILに垂直な方向に延びるインサートの縦軸線A
ILおよび挿入穴軸線A
IA(
図3D)の両方に垂直であるインサートの幅方向軸線A
IWに沿った方向のインサートの幅方向にインサートの第1の側面14D1からインサートの第2の側面14D2まで測定された比較的小さいインサートの最大幅を有するインサートをもたらすことができる。
【0060】
次に
図3Aおよび
図3Dを参照すると、挿入穴32は、インサートの縦軸線A
ILに沿ってそれぞれ延びる対向した穴の第1の側面32A1および第2の側面32A2と、対向した穴の第1の端面32B1および第2の端面32B2とをさらに備えることができる。
【0061】
穴の第1の端面32B1および第2の端面32B2は、穴の第1の側面32A1および第2の側面32A2に連結することができ、インサートの縦軸線A
ILを横切って延びることができる。
【0062】
穴の第1の端面32B1は、第1の刃先14F1に対して挿入穴の最も近い面である。穴の第2の端面32B2は、第1の刃先14F1に対して挿入穴のさらに遠い面である。
【0063】
図3Eに示されたインサート下面14Bの下面図を参照すると(以下の記述は、
図3Aに見られる図についても正しいことに留意されたい)、切削用インサート14および挿入穴32の長円形が示されている。
【0064】
より正確に言えば、(インサートの縦軸線A
ILに沿って測定された)インサートの第1の端面14C1と第2の端面14C2の最も近い点の間で測定可能なインサートの最小の長さの大きさM
I9は、インサートの第1および第2の側面の遠位点間で測定可能なインサートの縦軸線A
ILに垂直であるインサートの第1の最大幅の大きさM
I7または第2の最大幅の大きさM
I8より大きい。同様に(インサートの縦軸線A
ILに平行に測定された)穴の第1の端面32B1と第2の端面32B2の間の測定可能な穴の長さの大きさM
A1は、穴の第1の側面32A1と第2の側面32A2の間で測定可能な(インサートの縦軸線A
ILに垂直に測定された)穴の幅の大きさM
A2より大きい。この限定されない一例では、穴の幅の大きさM
A2は、インサートの第1の壁部の幅M
I3および第2の壁部の幅M
I4の各々よりそれぞれ大きい大きさを有することも留意されたい。
【0065】
切削用インサート14の長円形に関しては、(この限定されない一例では非刃先部分14M1、14M2によって構成される)インサートの第1の側面14D1および第2の側面14D2、ならびにインサートの第1の端面14C1および第2の端面14C2の大部分は、互いに平行であるように示され、したがって切削用インサート14の長円形は、より具体的には長方形であるとみなすことができる。インサートの第1の側面14D1および第2の側面14D2の小さな部分、すなわちインサートの第1の端面14C1および第2の端面14C2に隣接して位置するインサートの側面の末端部14N1、14O1は、この限定されない一例では非刃先部分14M1、14M2によって構成されるインサートの第1および第2の側面の残りの部分と鈍角のインサートの側面の角度βをなすことを留意されたい。加えて、インサートの第1および第2の交点14G1、14H1に形成される隅部、および同様の切削用インサート32の交点は、インサートの端面および側面14C1、14C2、14D1、14D2からわずかに外側に湾曲されおよび突出するように示されていることに留意されたい。側面についていくつかの非線形性が存在し、隅部がわずかに外側に突出するにも関わらず、切削用インサート14の周縁部は、円形、三角形、正方形、五角形等などの任意の他の規則形状と比べると長方形を形成するとみなされる。同様に、挿入穴の周縁部は、(他の実施例では、例えば長方形であり得る)長円形を形成するとみなされる。したがって、明細書および特許請求の範囲の目的については、切削用インサート14、および/または、挿入穴32が(
図3Aに示されるように)長円形または長方形形状を有すると定義されるとき、この定義は、他の規則形状に対する比較とみなされるべきである。
【0066】
図3Dを参照すると、穴の第1の端面32B1
には、第1のクランピングリップ32C1が形成される。この限定されない一例では、第1のクランピングリップ32C1は、インサートの縦軸線A
ILに垂直な方向に穴の第1の端面32B1に沿って延びる。第1のクランピングリップ32C1は、インサート二等分平面P
IBに対して傾斜されており、インサート上面14Aよりインサート下面14Bに近い軸方向位置で挿入穴の中心C
IAにより近い第1のクランピングリップの上部当接部分32D1を形成することができる。言い換えれば、第1のクランピングリップの上部当接部分32D1は、側断面図中
のインサート上面14Aからインサート二等分平面P
IBに向かって下方内向きに傾斜する。第1のクランピングリップ32C1は、挿入穴の中に最も遠くに突出する
突出部32E1を有することができる。突出部32E1は、インサートの上面14Aと下面14Bとの間に位置することができ、インサートの上面14Aおよび下面14Bから離間して配置される。本図では、第1のクランピングリップ32C1は、先細り形状を有するように示される。
【0067】
特に、穴の第1の側面32A1および第2の側面32A2は、クランピングリップをそれぞれ持っていないことが可能である。そのような構成は、より薄い切削用インサートの構成を可能にすることができる。穴の第1の側面32A1および第2の側面32A2に形成されて示される穴側面の突出32F1、32F2は任意であり、製造を容易にするために与えられ、いずれの場合でも、クランピングリップとして機能するように挿入穴32の中に十分に突出しないことが理解されよう。
【0068】
そのような締め付け機構16は、狭い/深い切り込みが必要とされない応用に使用されることが意図される場合、その開口(図示せず)の他の面に位置するクランピングリップを有するものを含む任意の切削用インサートが適切であり得ることが理解されよう。
【0069】
全ての場合において、挿入穴32は、ねじ山の構成を持っていなくてもよい。
【0070】
次に
図4A乃至
図5Bを参照すると、締め付け機構16がより詳細に説明される。
【0071】
留め具18は、留め具本体18A(
図5B中の留め具穴26に配設されて示される)と、切削用インサート14をインサートポケット24に固定するように構成される留め具ヘッド18Bとを備える。留め具18は、留め具首部18Cをさらに備えることができ、留め具ヘッド18Bを留め具本体18Aに連結し、留め具首部18Cは、留め具ヘッド18Bまたは留め具本体18Aよりより小さい直径を有する。
【0072】
留め具本体18Aは、留め具穴26内に配置され、適宜円筒形の留め具の外周面18Dが形成され、留め具本体の第1の凹み18Eおよび第2の凹み18Fは、留め具の外周面18Dから留め具本体18Aの中に延びる。
【0073】
留め具本体18Aは、細長くすることができる。
図5Bに示される締め付け位置において、留め具本体18Aおよび留め具穴26は、共通の留め具の軸A
Fに沿って同心上にある。
【0074】
留め具本体の第1の凹み18Eは、適宜平坦な第1の凹みの第1の小部分18Gを備えることができ、これは留め具の外周面18Dから延び、留め具の外周面18Dと 鈍角の内側の第1の凹みの第1の角度γ
1をなし、第2の小部分の面(18I)へ延び、第2の小部分の面(18I)と鈍角の内側の第1の凹みの第2の角度γ2をなす。この限定されない一例では、第1の凹みの第1の小部分18Gは、保持する縦軸線A
HLに沿っている付勢ねじの並進移動の方向に面し、第2の小部分の面(18I)は、保持する縦軸線A
HLに対して傾斜している。
【0075】
留め具本体の第1の凹み18Eは、ねじ山によって係合するように構成することができて、少なくとも保持する下方向D
HDに留め具ヘッド18Bを付勢する。留め具本体の第1の凹み18Eは、第2の小部分の面18Iを含む第1の凹みの第2の小部分18Hを備えることができる。第2の小部分の面18Iは、第1の凹みの第1の小部分18Gから留め具本体18Aの中により深く延びることができ、それと内側の鈍角の留め具の第1の凹みの角度γ
1をなす。第2の小部分の面18Iは、第1の凹みの第1の小部分18Gから留め具ヘッド18Bより近くに位置することができる。留め具の第1の凹みの第2の小部分18Hは、それと係合するように構成される相補的なねじアクチュエータ部20Bの形状に対応する先細り形状を有することができる。
【0076】
第1の凹みの第1の小部分18Gが存在しない場合、第2の小部分の面18Iは、留め具ヘッド18Bからさらに遠くに延びることを必要とし、したがって図示の実施例よりも留め具の軸A
Fと小さい角度γ
3(
図5B)をなすことが理解される。
【0077】
留め具本体の第2の凹み18Fは、留め具の外周面18Dから内向きに延びる第2の凹みの第1の当接面18Jと、第2の凹みの第1の当接面18Jから留め具の外周面18Dへ延びる第2の凹みの第2の当接面18Kとを備えることができる。第2の凹みの第1の当接面18Jは、平坦にすることができる。第2の凹みの第2の当接面18Kは、平坦にすることができる。第2の凹みの第1の当接面18Jおよび第2の当接面18Kは、互いに外部直角をなすことができる。第2の凹みの第2の当接面18Kは、留め具ヘッド18Bから第2の凹みの第1の当接面18Jよりも遠いものとすることができる。
【0078】
留め具ヘッド18Bは、細長くすることができる。
図4Aに示される締め付け位置における留め具の上面18Mの平面図では、留め具ヘッド18Bは長円形を有し、保持面P
Hに沿った方向に細長い。留め具ヘッド18Bは、保持面P
Hに沿った方向に留め具首部18Cより遠くに延び、それによって、保持面(P
H)に沿って離間して配置されている挿入穴32の第1のクランピングリップ32C1および第2のクランピングリップ32C2で切削用インサート14を同時に締め付けるように構成される。
【0079】
付勢ねじ20は、ねじが形成された本体20Aと、ねじアクチュエータ部20Bと、そのねじアクチュエータ部20Bからの付勢ねじ20の末端に形成されるねじ工具を受け入れる凹み20Cとを備える。
【0080】
ねじが形成された本体部20Aは、ねじ穴28の相補的な雌ねじに係合するように構成された雄ねじを形成することができる。
【0081】
ねじアクチュエータ部20Bは、留め具ヘッド18Bをインサートポケット24に向かって移動させるように留め具本体の第1の凹み18Eに係合するように構成された先細り形状を有することができる。
【0082】
付勢装置22は、付勢穴30内に配設され、付勢部材22Aと、留め具本体18に対して保持する順方向に付勢部材22Aを継続的に付勢するように構成された付勢ばね22Bとを備える。結果として、付勢部材および留め具は、全ての組み立てられた位置で(すなわち、取り外し位置および締め付け位置、ならびにそれらの間の任意の中間位置において)互いに接触するように構成することができる。
【0083】
より具体的には、付勢部材22Aは、円筒形形状を有することができる。付勢部材22Aは、その付勢部材の第1の端部22Dに位置する前方に面している付勢部材の第1の面22Cを備えることができ、その付勢部材の第1の端部22Dは、付勢ばね22Bに係合するように構成された付勢部材の第2の端部22Eに対向している。付勢部材の第1の面22Cは、留め具18の第2の凹みの第1の当接面18Jに係合して留め具ヘッド18Bをインサートポケット24から離れる方向に付勢するように構成することができる。付勢部材22Aは、付勢部材の第1の面22Cに対して横方向に延び、第2の凹みの第2の当接面18Kに係合するように構成され、留め具がインサートポケット24から排出されるのを防ぐ側方に面している付勢部材の第2の面22Fをさらに備えることができる。より具体的には、付勢部材の第2の面22Fは、付勢部材の第1の面22Cに直角に延びることができる。
【0084】
第2の凹みの第1の当接面18Jおよび付勢部材の第1の面22Cは、共に、付勢部材22Aに係合するときに留め具18の回転運動を防ぐために、平坦で互いに平行にすることができる。
【0085】
動作時、締め付け機構は、
図5Aに示されるように、取り外し状態とすることができる。付勢ばね22Bは、第2の凹みの第1の当接面18Jに付勢部材の第1の面22Cを押しやり、第2の凹みの第2の当接面18Kが付勢部材の第2の面22Fに衝突するまで保持する上方向D
HUおよび順方向D
HFに留め具の軸A
Fに沿って留め具18を移動させるものであり、この付勢部材の第2の面22Fは、留め具18の移動を阻止し、工具本体保持部12Cから留め具18が排出されるのを防ぐ。平坦な第2の凹みの第1の当接面18Jおよび付勢部材の第1の面22Cの継続的な係合によって、あらゆる位置で留め具18の回転運動を防ぐ。
【0086】
次いで、切削用インサート14は、その挿入穴32を通じて留め具ヘッド18Bを挿入することによってインサートポケット24に着座することができる。より正確に言えば、切削用インサート14は、唯一、インサートポケットの第1の支持部分24Aおよびそのインサートポケットの第2の支持部分24Bでインサートポケット24に接触する。さらにより正確に言えば、インサートポケットの第1の支持部分24Aは、2つの当接点24A4、24A5および保持用噛み合いの第1の部分24C1で接触されるだけである。
【0087】
工具(図示せず)は、ねじ工具を受け入れる凹み20Cに挿入され、回転させられ、付勢ねじ20を回転させ、したがって保持する逆方向D
HRに保持する縦軸線A
HLに沿って移動させる。付勢ねじ20は、第1の凹みの第1の小部分18Gの垂直な面に最初に接触し、続いてその第2の小部分の面18Iによって留め具18を移動させる。
【0088】
留め具18の移動は、留め具ヘッド18Bが第1のクランピングリップ32C1と第2のクランピングリップ32C2の両方を締め付けるときに止められる。単一のクランピングリップを用いた留め具の係合による締め付けを実現する留め具ヘッド、および/または、切削用インサートを設計することは実現可能であるが、2つのクランピングリップ、特に、2つの対向したクランピングリップを同時に締め付けること、切削用インサートのぶれに対して安定性についての可能性ある利点をもたらすことができると考えられる。
【0089】
これを実現するために、留め具ヘッド18Bは、留め具の軸A
Fおよび平坦な留め具の上面18Mを横切る方向に留め具首部18Cから延びる留め具の第1の丸い端部18Lと、留め具首部18Cから留め具の第1の丸い端部18Lから離れるように留め具の軸A
Fを横切る方向に延びる留め具の第2の端部18Nとを備えることができる。留め具の第2の端部18Nは、留め具の第2の端部の第1の表面18Oおよび第2の表面18Pを備えることができ、それらは、鋭い隅部を形成するように交わり、留め具の上面18Mおよび留め具首部18Cからそれぞれ延びる。
【0090】
特に、留め具の第1の丸い端部18Lは、第1のクランピングリップ32C1に係合するように構成することができ、留め具の第2の端部の第1の表面18Oは、第2のクランピングリップ32C2に係合するように構成することができる。留め具の第2の端部の第2の面18Pは、留め具18に対しての締め付けインサートの除去または取り付けを助けるように平坦にすることができる。
【0091】
留め具ヘッド18Bは、間隙36A、36Bを介して穴の第1の側面32A1および第2の側面32A2から離間して配置されていることを
図4Aにおいてさらに留意されたい。インサートの連動装置34および保持用連動装置24Cだけが、保持する横向きの第1の方向D
HS1および第2の方向D
HS2の切削用インサート14の移動を制限することが理解されよう。したがって、そのような構成のさらなる可能性ある利点は、全ての締め付け特徴が、切削用インサート14の外部境界内に位置し、それがそれを保持する切削工具保持部12Cより大きい寸法を有することを可能にするので、そのような切削工具アセンブリ10は、切削用インサート14の長さより長い切削深さを与えるように構成することができ、またはその少なくとも一部が、刃先を備えるということである。
【0092】
詳しく述べると、
図4Aに最もよく見られるように、インサートの第1の刃先14F1は保持面(P
H)に垂直な方向に延び、そのような延在部の幅W
C1は工具本体保持部12Cの幅W
P1より大きく、幅W
C1および幅W
P1は互いに平行な方向にとられている。したがって、概して切削用インサート14および切削工具アセンブリ10は、被加工対象物の比較的狭い切削を実現するように構成される。したがって、そのような切削の深さは、(保持する順方向D
HFに)限定されず、したがって、切削用インサート14または工具本体保持部12Cによって限定されない。そのような利点は、切削工具本体12および締め付け機構16の長手方向によって達成可能でもある(例えば、留め具18、付勢ねじ20、および付勢装置22の並びは全て、保持面P
Hに沿っている)。
【0093】
切削用インサート14の除去は、付勢ねじ20を逆方向に回転させることによって実行することができる。特に、付勢ばね22Bは、留め具18を
図5Aに示される位置に素早く付勢するように構成され、一方、付勢部材22Aは、工具本体保持部12Cからの留め具18の不必要な排出を防ぐ。
【0094】
この構成のさらなる可能性ある利点には、以下のものが含まれ得る。
− 切削用インサート上の円滑な切りくず排出。このことは、とりわけ、
留め具18および工具本体保持部12Cが、切削用インサート14上に延在しないこと、および/または
各クランピングリップ32C1、32C2が、インサート上面14Aから離間して配置されて、留め具ヘッド18Bが挿入穴32へ下降するのを助けることによる。
− 剛性要素(付勢ねじ20および留め具18)の使用が、(ジョー(jaw)のような構成などの)弾性要素で締め付けるより長い寿命を有することができるため、堅固な締め付け。
− 比較的より狭い切削が実現できる。これは、
少なくとも1つの刃先の傾斜
1または複数の刃先が切削用インサートの最も広い部分であること
による。
− 各クランピングリップ32C1、32C2が、インサート下面14Bから離間して配置されており、これによって、クランピングリップがインサート下面14Bと同一平面になっている場合よりも挿入穴32を通じての留め具ヘッド18Bの円滑な挿入を可能にすることができる。
− 締め付け機構16がインサートが割り出されるまたは交換されるときに完全に取り外されることになり得る部品を含まない(特に、付勢ねじ20は、切削用インサートを交換するときに除去されるように構成されず、むしろわずかな回転(例えば、1または2回)だけが意図され、極めて小さいねじは、数回連続して回転することが困難であり得ると共に、切削工具本体から取り除いた後に落とす、および/または、無くす傾向があるので、そのような構成は、切削用インサートの交換を容易にすることができる)。
【0095】
締め付け機構16および/または付勢装置22は、(説明した切削工具アセンブリ10および切削用インサート14のように)狭い/深い切削をもたらすように構成されていない切削工具アセンブリ、および/または、切削用インサートと共に使用されるときに有利である場合もあり得ることが、締め付け機構16、および/または、付勢装置22についての上記の可能性ある利点の全てに鑑みて理解される。