【文献】
Ogiwara A et al,L1.3: Late-News Paper: PS Polarization Converting Device for LC Projector Using Holographic Polymer-Dispersed LC Films,1999 SID INTERNATIONAL SYMPOSIUM - MAY18-20,1999,米国,1999年 5月18日
【文献】
Eunseong Seo et al,Polarization Conversion System Using a Polymer Polarization Grating,SID SYMPOSIUM DIGEST OF TECHNICAL PAPERS,米国,2011年 5月,Vol.42 No.1,540-543
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リターダ要素は、同一平面配列において並んで配置され前記レンズアレイのレンズレット要素のそれぞれと整列された2組以上の互い違いになっている遅延領域を含む、請求項1に記載のシステム。
前記偏光格子は、前記レンズレット要素から出力されたビームのそれぞれを、直交する偏光状態の第1および第2のビームに回折し、前記レンズアレイの前記焦点面において焦点の第1および第2の空間的にオフセットされたアレイを画定するように構成され、
前記リターダ要素は、前記レンズアレイの前記焦点面に配置されており、前記第1および第2のビームの前記直交する偏光状態を前記第1および第2のビームが伝播する方向のそれぞれを実質的に変更することなく直線偏光に変換するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記第2のレンズアレイは、前記リターダ要素から出力された前記光をコリメートして、約80%以上の直線偏光を含む、この偏光変換システムからの光出力を提供する、請求項9に記載のシステム。
前記偏光格子と前記リターダ要素との間、前記第1のレンズアレイと前記偏光格子との間、および/または前記リターダ要素と前記第2のレンズアレイとの間に配置された透明なスペーサ要素を更に備えている、請求項9に記載のシステム。
前記第1のレンズアレイと、前記偏光格子と、前記スペーサ要素と、前記リターダ要素と、前記第2のレンズアレイとは、モノリシックな光学要素を提供するように積層されている、請求項11に記載のシステム。
前記少なくとも1つのキラル液晶層は、そのそれぞれの厚さにわたり異なるねじれ角度だけ回転されたそれぞれの分子配向を有する第1および第2のキラル液晶層を含み、前記ねじれ角度の少なくとも1つは非ゼロである、請求項13に記載のシステム。
前記偏光格子と前記リターダ要素との間、前記第1のレンズアレイと前記偏光格子との間、および/または前記リターダ要素と前記第2のレンズアレイとの間に透明なスペーサ要素を提供するステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
前記第1のレンズアレイと、前記偏光格子と、前記スペーサ要素と、前記リターダ要素と、前記第2のレンズアレイとを積層してモノリシックな光学要素を提供するステップを更に含む、請求項22に記載の方法。
【発明の概要】
【0007】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態によると、偏光変換システムは、レンズ要素と、空間的に変動する局所的光軸を有する回折要素を備えた偏光格子と、リターダ要素とを含む。偏光格子は、レンズ要素から出力される光を受け取るように配列され、リターダ要素は、偏光格子から出力される異なる偏光状態の偏光を受け取り、異なる偏光状態のそれぞれを同一の偏光状態に変更するように配列される。
【0008】
いくつかの実施形態では、レンズ要素は、同じ平面すなわち同一平面構成において並んで配列された少なくとも2つのレンズレットを有するレンズアレイでありうる。
【0009】
いくつかの実施形態では、偏光格子は、レンズアレイとその焦点面との間に、または、焦点面においてもしくは焦点面の近傍に配置されうる。いくつかの実施形態では、リターダ要素は、同一平面構成において並んで配置された2組以上の互い違いになっている遅延領域を含む空間的なパターンを有する遅延板でありうる。リターダ要素の互い違いになっている遅延領域は、レンズアレイのそれぞれのレンズレットと整列させることができる。例えば、リターダ要素は、レンズアレイの焦点面に配置され、レンズアレイのレンズレットの焦点と整列させることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、レンズアレイの少なくとも2つのレンズレット要素を、入射光をそれぞれの光線またはビームに合焦するように構成することができる。偏光格子は、レンズレット要素から出力されるそれぞれのビームを回折して第1および第2のビームを生じさせ、レンズアレイの焦点面においてインターレースすなわち空間的にオフセットされている焦点スポットの第1および第2のアレイを画定するように構成することができる。第1および第2のアレイは、いくつかの実施形態では部分的に重畳することがありうるが、別の実施形態では重畳することはありえない。偏光格子から出力される第1および第2のビームは、直交する偏光状態を有しうる。リターダ要素は、第1および第2のビームの直交する偏光状態を変換して、その伝播のそれぞれの方向を実質的に変更することなく直線偏光状態を生じさせるように、構成することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、焦点スポットの第1および第2のインターレースされたアレイは、直交する円偏光されたビームによって画定されうる。例えば、第1のアレイは右手系の円偏光を有する第1のビームによって画定され、焦点スポットの第2のアレイは左手系の円偏光を有する第2のビームによって画定されうる。リターダ要素は、偏光格子から出力される右手系の円偏光を有する第1のビームと左手系の円偏光を有する第2のビームとを変換して、直線偏光を有する光ビームを生じさせることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、ルーバ付きリターダは、互い違いになっている遅延領域の光軸が約90度離れている1/4波長板でありうる。いくつかの実施形態では、リターダ要素は、1/4波長の遅延を提供する第1および第2の互い違いになっているストリップまたは領域を含みうる。ここで、それぞれのストリップにおける電場の2つの直交する成分の間で、第1のストリップは+90度の光遅延を提供し、第2のストリップは−90度の光遅延を提供する。互い違いになっているドメインのそれぞれの組は、第2のレンズアレイのローおよび/またはカラムにおけるレンズレットのそれぞれと整列させることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、偏光格子から出力される偏光は、反対の掌性(handedness)の直交する円偏光状態を有する発散ビームを含む。偏光格子から出力される発散ビームは、レンズアレイに入射する光の強度の約90%よりも高い強度を含みうる。レンズアレイに入射する光は、約±5度よりも大きい、約±7度よりも大きい、約±9度よりも大きい、または約±11度よりも大きい発散角度を有することがありうる。
【0014】
いくつかの実施形態では、偏光変換システムは、同一平面配列において並んで配列されリターダ要素から出力される光を受け取るように配置されている少なくとも2つのレンズレット要素を有する第2のレンズアレイを、更に含んでいてもよい。第2のレンズアレイは、リターダ要素から出力される光を再度コリメートするように構成することができる。例えば、第2のレンズアレイは、リターダ要素から出力される同じ偏光状態を有する光ビームを受け取るように配置することができ、その少なくとも2つのレンズレット要素は、同じ偏光状態を有する光ビームをコリメートして、偏光変換システムからの実質的に直線偏光された光出力を提供するように構成することができる。リターダ要素は、互い違いになっているドメインのそれぞれの組が第2のレンズアレイの同じレンズレットを通じて光を集中させるように、第2のレンズアレイに対して整列させることができる。いくつかの実施形態では、実質的に直線偏光された光出力は、所望の直線偏光を有する約80%またはそれよりも多くの光(更にいくつかの実施形態では、87%以上)を含みうる。
【0015】
いくつかの実施形態では、偏光変換システムから出力される光は、第1のレンズアレイに入射する光の場合の約2倍以下であるエタンデュを有しうる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1および第2のレンズアレイは、それぞれのレンズレット要素が反対の方向を向いているように配列されている同様のアレイであってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、透明なスペーサ要素または層を、偏光格子とリターダ要素との間に配置することがある。例えば、このスペーサ層は、硬質もしくは半硬質ガラスまたはポリマ層でありうる。いくつかの実施形態によると、スペーサ層は、また、第1のレンズアレイと偏光格子との間に、および/または、リターダ要素と第2のレンズアレイとの間に、配置することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1のレンズアレイ、偏光格子、スペーサ要素、リターダ要素、及び第2のレンズアレイを、モノリシックな光学要素を提供するように整列させることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、リターダ要素は、米国仮特許出願第61/544,936号に記載されているように、少なくとも1つのキラル液晶層を含むマルチツイストリターダでありうる。なお、この米国仮特許出願の開示内容は、その全体を引用することによって本願の一部とする。例えば、リターダ要素は、それぞれの厚さにわたり異なるねじれ角度(twist angles)だけ回転されたそれぞれの分子配向を有する第1および第2のキラル液晶層を含みうる。なお、ねじれ角度の少なくとも1つは非ゼロである。
【0020】
いくつかの実施形態では、偏光変換システムは、偏光格子とルーバ付きリターダとの間に配置されたモノドメインの1/4波長リターダを更に含むことがある。モノドメインの1/4波長リターダは、偏光格子から出力される光を直交する直線偏光状態に変換するように構成することができる。ルーバ付きリターダは、モノドメインの1/4波長リターダから出力される直交する直線偏光状態を受け取り単一の偏光状態を出力するように配置されている、互い違いになっている1/2波長でゼロの遅延領域を含みうる。
【0021】
いくつかの実施形態では、レンズアレイに入射する光は、少なくとも部分的にコリメートされている場合がある。例えば、レンズアレイに入射する光は、いくつかの実施形態では、約±20度の範囲内で、または、約±10度の範囲内でコリメートされうる。別の実施形態では、レンズアレイに入射する光は、約±7度から約±9度の範囲内でコリメートされうる。他の実施形態では、レンズアレイに入射する光が、完全にコリメートされていることもありうる。更に別の実施形態では、レンズアレイに入射する光がコリメートされていない場合もありうる。
【0022】
いくつかの実施形態では、プロジェクタシステムは、本明細書で説明されている第1のレンズアレイへの入射光として提供される少なくとも部分的にコリメートされた光を出力するように構成された光源と、本明細書で説明されている第2のレンズアレイから出力される光を受け取るように配置され整列されているマイクロディスプレイと、マイクロディスプレイから出力される光を入力光として受け取るように配置され整列されている映写レンズとを含みうる。
【0023】
いくつかの実施形態では、バックライトユニットが、本明細書で説明されている第1のレンズアレイへの入射光として、偏光されていない光を出力するように構成された発光要素と、第2のレンズアレイから出力される光を受け取るように配列され整列されている導波管とを含みうる。いくつかの実施形態では、バックライトが、直視ディスプレイに提供されることがありうる。
【0024】
いくつかの実施形態では、通信システムが、赤外光源と、赤外光源によって出力される光を受け取り、コリメートされた光を本明細書で説明されているレンズ要素に出力するように配置され整列されたコリメータと、本明細書で説明されているリターダ要素から出力される光を受け取るように構成された光学要素とを含みうる。
【0025】
本明細書で説明されている別の実施形態によると、偏光変換システムを製造する方法は、空間的に変動する単一軸の複屈折を有する回折要素を備えた偏光格子を、レンズ要素から出力される光を受け取るように配列するステップと、リターダ要素を、偏光格子から出力される異なる偏光状態の偏光を受け取り異なる偏光状態のそれぞれを同一の偏光状態に変更するように配列するステップと、を含んでいる。
【0026】
以下の図面および詳細な説明によれば、いくつかの実施形態による他のデバイスおよび/または方法が、当業者にとって明らかになるだろう。上述した実施形態の任意のおよびすべての組み合わせに加えて、すべてのそのような追加的な実施形態は、本明細書に含まれ、本発明の範囲に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明が、より詳細に説明される。しかし、本発明は、多くの異なる形態での実施が可能であり、本明細書で述べられている実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、この開示が、徹底的かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に知らしめるように、これらの実施形態は提供されている。図面においては、層や領域のサイズおよび相対的なサイズは、明確さのために誇張されている場合がある。全体を通して、同一の番号は、同一の要素を示す。
【0029】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語を、様々な要素、コンポーネント、領域、層および/または区域を記述するために用いるが、これらの要素、コンポーネント、領域、層、および/または区域が、これらの用語によって限定されるべきではないということは、理解されるであろう。これらの用語は、ある要素、コンポーネント、領域、層、または区域を、別の領域、層、または区域と区別するために用いられるにすぎない。したがって、以下で論じられる第1の要素、コンポーネント、領域、層、または区域を、第2の要素、コンポーネント、領域、層、または区域と称したとしても、本発明の教示内容から逸脱することはない。
【0030】
本明細書では、「〜の真下(beneath)」、「〜の下方(below)」、「〜の下側(lower)」、「〜の下(under)」、「〜の上方(above)」、「〜の上側(upper)」など、空間に関連する用語が、図面に図解されているある要素または特徴と別の要素または特徴との関係を記述する際に、その記述を容易にする目的で用いられている。これらの空間に関連する用語は、図面に示されている方位に加えて、装置が使用または動作される場合の別の複数の方位も包含することが意図されていることが、理解されるであろう。例えば、図面における装置が反転された場合には、他の要素または特徴の「下方」、「真下」、または「下」にあると記載されている要素は、他の要素または特徴の「上」の方向に存在することになる。このように、「〜の下方」または「〜の下」という例示的な用語は、上方と下方との両方の方位を含みうることになる。装置は、これ以外に向けられる(90度または他の方位に回転される)こともあり、その場合には、本明細書で用いられている空間に関連する用語も、場合に応じて解釈される。更に、ある層が2つの層の「間」にあると称されているときには、この層は、これらの2つの層の間にある唯一の層である場合と、1つまたは複数の層が介在している場合とがあることも理解されたい。
【0031】
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することは意図されていない。本明細書で用いられる単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうではないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。「〜を備える(comprise)」および/または「〜を備えている(comprising)」という用語は、本明細書において用いられると、述べられている特徴、整数(integers)、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことは、理解されるであろう。ここで用いられる「および/または」という用語は、関連してリスト化されている1つ又は複数の項目の任意のおよびすべての組み合わせを含む。
【0032】
ある要素または層が、他の要素または層に対して、「上にある」、「接続されている」、「結合されている」、もしくは「隣接している」と称されるときには、他の要素または層に対して直接的に、上にある、接続されている、結合されている、もしくは隣接している場合だけではなくて、両者の間に介在する要素または層が存在する場合もあることは、理解されるであろう。対照的に、ある要素が、他の要素または層に対して、「直接に上にある」、「直接に接続されている」、「直接に結合されている」、または「直接に隣接している」と称されているときには、両者の間に介在する要素または層は、存在しない。
【0033】
ここでは、本発明の理想化された実施形態(および中間的な構造)の概略的な図解である断面図を参照しながら、本発明の実施形態が説明される。よって、例えば、製造技術および/または公差の結果として、図解されている形状からの変動が生じることが予想される。このように、本発明の実施形態は、図示されている領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造によって結果的に生じる形状の偏差を含みうる。したがって、図面に図解されている領域は、本質的に概略図であり、それらの形状は、装置の領域の実際の形状を図解することを意図したものではなく、本発明の範囲を限定する意図も有していない。
【0034】
別の定義が与えられない限り、ここで用いられるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。また、一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術および/または本明細書の文脈における意味と矛盾しない意味を有すると解釈されるべきであり、ここで明示的に定義されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味に解釈されてはならないことが、更に理解されるであろう。
【0035】
本明細書では、本発明のいくつかの実施形態について、液晶(LC)材料と偏光格子の製造におけるその使用とを参照しながら、説明がなされる。液晶は、分子の秩序ある配列がその中に存在する液体を含みうる。典型的には、LC分子は、異方性であって、伸張した(ロッド状の)または平坦な(ディスク状の)形状のいずれかを有する。異方性分子の秩序ある配列(ordering)の結果として、大量のLCは、その機械的、電気的、磁気的、および/または光学的性質における異方性など、その物理的性質として異方性を示すことが多い。本明細書で用いられる液晶は、ネマティック相、キラルネマティック相、スメクティック相、強誘電性相、および/またはその他の相を有することがありうる。ロッド状またはディスク状であるという性質の結果として、LC分子の配向の分布が、光学的な応用では重要な役割を演じることがある。そのような応用では、LCアライメントが、アライメント表面によって命じられる場合がある。アライメント表面は、LCが表面に対して予測可能で制御可能な方法で整列するように、処理されうる。いくつかの実施形態では、アライメント表面は、LC層を通じて単一の領域を保証することがある。他の実施形態では、アライメント表面は、多くの領域および/または多くの不連続性を提供する場合がある。研磨されたまたは光重合されたいくつかのポリマを、本明細書で説明されている偏光格子を作成するためのアライメント層として用いることができる。また、液晶のアライメントの方法の追加的な例が、Crawfordらの米国特許第7,196,758号に記載されている。更に、本明細書に記載されているいくつかの構造は、スピンコーティングプロセスと液晶材料とのバランスによる精密な製造と関連する。本発明のいくつかの実施形態と共に用いられる追加的な構造および/または方法は、Escutiらの米国特許第7,692,759号に記載されている。この米国特許の開示内容の全体が、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0036】
本明細書で用いられる「重合性液晶」とは、重合可能な比較的低分子量の液晶材料を示し、本明細書で「反応性メソゲン」と記載される場合もあることは、当業者であれば理解するであろう。対照的に、「非反応性液晶」とは、重合しない比較的低分子量の液晶材料を示す。
【0037】
また、本明細書で用いられている「ゼロ次(zero-order)」の光は、入射光の方向と実質的に平行な方向に、すなわち入射角と実質的に同様の角度で伝播し、本明細書では「軸上(on-axis)」の光と称されることもある。対照的に、「1次」の光などの「非ゼロ次の光」は、入射光と平行ではない方向に伝播し、本明細書では、「軸外(off-axis)」の光と称される。本明細書に記載されている「部分的にコリメートされた(partially collimated)」光とは、相互に実質的に平行に伝播する光線または光ビームを意味しうるが、いくらかの発散を有する場合がある(例えば、光源からの距離によりビームの直径に差がありうる)。対照的に、「完全にコリメートされた(perfectly collimated)」光とは、発散をまったく有しない光線または光ビームを表しうる。
【0038】
本明細書で用いられる「透過性」の基板または「透明」な基板とは、入射光の少なくとも一部がその基板を通過することを許容するものであることは、当業者によって理解されるであろう。換言すると、本明細書に記載されている透過性の要素または透明な要素は、完全に透明である必要はなく、入射光の一部を吸収する場合もある。透明な基板は、いくつかの実施形態では、ガラス基板である。これと対照的に、本明細書に記載されている「反射性」の基板は、入射光の少なくとも一部を反射するものでありうる。
【0039】
本発明の実施形態は、伝統的なPCSアプローチにおけるいくつかの課題は偏光分離要素に帰すことができる、という認識から生じうる。特に、いくつかのアプローチでは小型の偏光ビームスプリッタのアレイ(PBSアレイとも称される)を用いることがあるが、そのようなアプローチでは、PBSアレイの光軸との関係で±5度から始まるより大きな角度で入射する光(本明細書では「軸外」の光とも称される)に対しては、効率が実質的に低下するという経験をする場合がある。効率のこの低下は、大部分が、偏光分割(splitting)要素または分離(separating)要素(すなわち、PBSアレイ)によって制限される。多くの光源がこれらの角度を超えて光を放出するにつれて、これが、現実の制限を生じさせる。PBSアレイは、また、製造においても問題を生じさせることがあり、複数の個々の要素が、必要とされる精度で整列させる際に、問題を生じうる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書では偏光変換システム(PCS)とも称される光要素の構成を提供する。この光要素は、偏光されていない入射光(例えば、多様で予測不可能な偏光を有する入力光)をより幅の広い角度範囲で受け取り、この偏光されていない光を、実質的に同一または単一の所望の偏光を有する光に変換する。なお、ここで、変換効率は約50%よりも高く、いくつかの実施形態では、約90%よりも高い。本発明の実施形態は、例えば、ほとんどの光源が(最もよい場合でも)部分的に偏光されていて部分的にコリメートされている、投影および直視ディスプレイシステムで用いることができる。
【0041】
特に、本発明の実施形態は、他の要素の中でも、偏光格子を用いて、偏光されていない入射光を、ほとんど損失なく、ほぼ完全に偏光された状態に変換する。そして、本発明の実施形態は、光学システムの中に容易に一体化されるように実装することが可能である。偏光格子は、軸上のビームの方向を変え、ほぼ等しい強度を有する2つの発散ビームを生じさせ、それによって、入射光の強度のほとんど(例えば、約95%を超える)が2つのビームの中に含まれる。こうして、偏光格子は、高い効率で、入射光の偏光状態と伝播する方向とを変更する(例えば、格子は入射光を偏光および回折する)。偏光格子は、周期的で空間的に変動する局所的な光軸を備えた複屈折材料であり、ホログラフィックなパターニングプロセスを用いて形成することができる。
【0042】
本発明の実施形態による偏光格子(PG)は、局所的な偏光状態とそれ自体を通過して移動する光の伝播方向との両方を周期的に変更する透明で、薄いフィルム状の、ビームスプリッタでありうる。例えば、PGは、偏光されていない光を、相当に大きな入射角と広い帯域幅とに対して、高い効率(約95%から99%)で2つの直交する円偏光に分割することができる。対照的に、従来型の直線偏光器は、入射光を単一の偏光状態に変換することによって動作し、その偏光状態の光が偏光器を通過して移動することを許可するのであるが、他の偏光状態の光を吸収してしまう。いくつかの実施形態では、PG、リターダ要素、それらの間にある要素、および/または本明細書で説明されている隣接要素は、1つまたは複数の重合された複屈折の液晶層を用いて実装することができる。別の実施形態では、PG、リターダ要素、それらの間にある要素、および/または隣接要素は、通過して移動する光の偏光に実質的に影響しない第1の状態と、通過して移動する光の偏光を変更する(例えば、光を、その反対または直交する偏光に変換する)第2の状態との間で切り替えられるように構成された複屈折液晶層を用いて、実装することができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態による偏光格子は、空間的に変動する単一軸の複屈折を有する(例えば、n(x)=[cos(πx/Λ),sin(πx/Λ),0])回折的な光要素であり、100%までの回折効率を提供することができる。本明細書で説明されている偏光格子は、Λを一定の格子周期として、例えばΦ(x)=πx/ΛまたはΦ(y)=πy/Λである線形位相プロファイルを実装することができる。角度Φは、PG基板の表面における局所的な光軸の向きを定義する。本明細書で説明されている偏光格子は、米国特許出願第60/912,044号および米国特許出願第60/912,039号に開示されている広帯域格子と類似している可能性がある。なお、これらの米国出願の開示内容は、引用することによって本願の一部をなすものとする。しかし、古典的な狭帯域のPG(例えば、米国特許第7,196,758号、Crawford et al.)も、同様に、本発明の実施形態で用いることが可能である。
【0044】
図1Aおよび1Bは、本発明の実施形態による偏光格子を含む偏光変換システムを図解している。
図1Bに示されているように、PG105の出力回折角度は、格子方程式であるsinθ
±1=λ/Λ+sinθ
inによって決定される。なお、ここで、λは波長、Λは格子周期、θ
±1およびθ
inはそれぞれ1次の回折角および入射角である。PG105を用いて、偏光されていない入射光を作成し、それを直交する偏光を有する2つのビームに分離することができる。そして、それ以降の要素を用いて、直交する偏光のそれぞれを同じ偏光状態に変換することができる。
【0045】
特に、
図1Aに図解されているように、本発明の実施形態は、第1のレンズ要素110の後でPG105と波長板(wave plate)またはリターダ要素115との両方を配列することにより、高い偏光変換効率(典型的には、70〜95%)を達成するPCSデザイン100を提供する。偏光されていない入射光190は、レンズ要素110によって集中され、PG105によって、レンズ要素110の焦点面fにおけるそれぞれのスポットに合焦される2つのビームに回折される。焦点スポットは、PG105によって回折された1次のビームθ
+1、θ
−1に対応する。2つのスポットに合焦されるビームは、円偏光され、直交するまたは反対の掌性を備えている。例えば、
図1Aに示されているように、上側のスポットに合焦されているビームは、右手系の円偏光がなされ(RCP、実線で示されている)、下側のスポットに合焦されているビームは、左手系の円偏光がなされている(LCP、破線で示されている)。パターンを有するリターダ要素115は、2つの互い違いになっている遅延領域(本明細書では、「ドメイン」または「ゾーン」とも称される)を含み、レンズ要素110の焦点面fに配列されている。リターダ要素115は、広帯域の1/4波(quarter-wave)遅延を全体に提供するように構成されているが、2つのゾーンのそれぞれで異なる光軸(90度離れている)を提供する。更に詳しくは、
図1Aでは、リターダ要素115の上側のゾーンは、その光軸に対して+45度に向けられていて、PG105から出力される光の+90度の遅延または位相シフトを提供する。そして、リターダ要素115の下側のゾーンは、その光軸に対して−45度に向けられていて、PG105から出力される光の−90度の遅延または位相シフトを提供する。こうして、リターダ要素115は、2つの直交円偏光を、同じ偏光199(例えば、直線偏光)に変換する。PG周期Λは、中心波長λ(例えば、550nm)におけるまたはそれに近いコリメートされた光がこれら2つのゾーンの中心に回折されるように、選択される。この幾何学的配置により、回折角θ
±1=tan
−1(D/4f)が定義される。ここで、Dはレンズの直径であり、fは焦点距離である。PG周期Λは、格子方程式Λ=λ/sin(tan
−1(D/4f))を用いて計算される。
【0046】
本明細書で説明される本発明の更なる実施形態は、少なくとも1つのレンズアレイ(それぞれが少なくとも2つのレンズレット要素を有する)と、偏光格子と、ルーバ付き(louvered)リターダ要素または波長板とを含むモノリシックな配列を提供し、これらが共同して、偏光されていない光を、高い変換効率で偏光に変換することができる。例えば、
図2A(断面)と
図2B(斜視図)との実施形態に示されているように、偏光変換要素200は、第1のまたは前面マルチレンズアレイ210aと、偏光格子PG205と、スペーサ層220と、リターダ要素215(ルーバ付き1/4波長板LWPとして示されている)と、第2のまたは背面マルチレンズアレイ210bとを含んでいる。偏光格子PG205は、第1のレンズアレイ210aとその焦点面との間に、または、その焦点面にもしくはその焦点面の近くに配置することができる。ルーバ付きリターダ要素215は、第1のレンズアレイ210aの焦点面に、またはその近くに配置され、第1のレンズアレイ210aのレンズレット要素の焦点と整列させることができる。偏光格子205とリターダ要素215とを含む偏光変換要素200は、本明細書では、PGベースのPCSまたは「PG−PCS」要素とも称される。
【0047】
図2Aを参照すると、偏光されていない入力光290は、第1のレンズアレイ210aに入射し、それに受け取られる。第1のレンズアレイ210aは、レンズレット要素の約2から約20のまたは更に多くのローおよび/またはカラムを含むことがあり、いくつかの実施形態では、約7から約11のローおよび/またはカラムを含むことがある。入射光290は、少なくとも部分的にコリメートされている場合、完全にコリメートされている場合があり、またはいくつかの実施形態ではコリメートされていない場合さえある。例えば、入力光290は、約±20度以内に部分的にコリメートされている場合があり、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの次元では±10度以内にコリメートされている場合がある。特定の実施形態では、第1のレンズアレイに入射する入力光290は、約±7度から約±9度以内にコリメートされている場合がある。偏光格子205は、第1のまたは前面レンズアレイ210aから出力される光を受け取るように配置されており、リターダ要素215は、偏光格子205から出力される光を受け取るように配置されている。偏光格子205とリターダ要素215とによって生じる偏光の変化の組み合わせが、以下で更に詳細に論じられるように、ある等しい所望の偏光状態(直線偏光として図解されている)を有する出力光299を提供する。第2のまたは背面のレンズアレイ210bは、リターダ要素215からの出力光を受け取って方向付けるように配置されている。しかし、この第2のまたは背面のレンズアレイがすべての実施形態で用いられるわけではないことは、理解されるであろう。
図2Aおよび2Bでは、第1および第2のレンズアレイ210aおよび210bは、その凸レンズの表面が相互に対向しているまたは外側を向いている状態で配列されている類似のレンズアレイである。第1および/または第2のレンズアレイ210aおよび/または210bのレンズレットのそれぞれは、いくつかの実施形態では、約0.5ミリメートル(mm)から約2mmまでの寸法(長さ、幅、または直径)を有することがあり、平面図では正方形または矩形でありうる。スペーサ層220は、偏光格子205とルーバ付きのリターダ要素215との間に配置された硬質ガラスまたはポリマスペーサでありうる。また、追加的なスペーサ層を、レンズアレイ210aとPG205との間(
図2Cに示されている層220’など)、スペーサ層220とリターダ要素215との間(
図2Cに示されている層220”など)、および/またはリターダ要素215とレンズアレイ210bとの間(図示せず)に、提供することが可能である。
【0048】
図2Aおよび2Bに図解されているモノリシックなPG−PCS要素200は、例えば、映写(projection)の応用例に、実装することが可能である。プロジェクタにおける機能的PCSはコンパクトであるべきで、出力角度は再度のコリメーションを必要とすることがありうる。このように、レンズアレイ210aおよび210bは、入力および出力のそれぞれに配置されたマイクロレンズアレイ(MLA)として実装することができる。これらのMLAは、2次元(2D)アレイでありうるが、いくつかの実施形態では1次元(1D)でもよい。アレイ210aおよび/または210bのそれぞれのレンズレットは、
図1Aに示されている分離したレンズ要素110と類似の態様で機能する場合があり、結果的に、点在しているが空間的に分離した状態で(例えば
図2Eに示されているように)、焦点面におけるスポットの2つの直交的に偏光されているグリッドとなる。格子周期Λおよび/または焦点距離fは、偏光変換を改善および/または最適化するように選択することができるが、入力光の発散とレンズレットの寸法に対する制限とによって、制約を受けることがありうる(例えば、達成可能なレンズ曲率、横方向のサイズ、および基板の厚さ)。入力発散角±θ
DIVがθ
±1=sin
−1(λ/Λ)と等しいかまたはそれよりも小さいときには、完全な偏光変換が生じることがありうるが、その理由は、それぞれの焦点面のスポットがその近接するパターン化されたリターダの上に重畳することがないのが典型的であるからである。しかし、±θ
DIV>θ
±1であるときでさえ、退化(degradation)は最少でありうる。上述した方程式は近似であり、光線トレースモデル化ツールを用いて改善されたまたは最適な設計を決定することが可能であることに注意してほしい。
【0049】
図2Aおよび2Bに示されているように、上述した層または要素は、モノリシックな要素200を提供するように、配列され、整列され、および相互に積層されている。モノリシックな偏光変換要素200は、層の間の界面(interfaces)の数と整列の要件とを減少させるから、それによって、変換効率を改善させ、機能の改善を容易にすることができる。特に、界面の数が減少することにより、界面反射に起因する損失を減少させることができ、また、PCS要素200の光学システムの中への整列を単純化することができる。更に、すべての要素を相互に積層化して、平坦でない面が外向きに面しているようにすることができる。また、モノリシック要素200は、追加的な固定手段なしで、他のデバイスまたはシステムの中に一体化させることがより容易になる。したがって、変換効率が高まるだけでなく、全体的な製造コストと一体化の複雑性が低下する。
【0050】
図2Cは、相互に積層化されて本発明の実施形態によるモノリシックな要素200を画定する
図2Aおよび2Bの個々の要素を図解している展開図である。
図2Cの実施形態に示されているように、1.0ミリメートル(mm)と0.3mmとの暑さを有する層が、偏光格子(PG)205とルーバ付き波長板(LWP)215のそれぞれのために用いられている。特に、PG205とLWP215とは、1.0mmと0.3mmとのガラス基板にそれぞれ積層されており、次いで切断される。切断された後で、PG205とLWP215とは、第1および第2のレンズアレイ210aおよび210bとの間で組み立てられる。ここで、0.4mmのガラス基板スペーサ層220がPG205とLWP215との間に存在している。追加的な透明なスペーサ層220’および220”を、第1のレンズアレイ210aとPG205との間と、PG205とLWP215との間に、それぞれ提供することも可能である。第2のレンズアレイ210bは、LWP215に隣接してまたは近接して配置することが可能であり、追加的な光学機器によってマイクロディスプレイ上に中継される前に出力を均一化し再度コリメートするために、第1のレンズアレイ210aと位置合わせ(registered)される。
図2A−2Cでは外向きの状態に(例えば、相互から離れる方向に向くように)図解されているが、いくつかの実施形態では、第1のレンズアレイ210aおよび/または第2のレンズアレイ210bの凸表面が、内向きに/PG205およびLWP215に向かう方向に、向いていることもあることが理解されるであろう。更に、第2のレンズアレイ210bは、第1のレンズアレイ210aと異なる場合もあるし、または、いくつかの実施形態では、両方共に除外されることもありうる。また、レンズアレイ210a、210bは対称的である必要はなく、いくつかの実施形態では、円形、楕円形、および/または多角形の底面を有していてもよい。
【0051】
図2Dは、
図2A−Cの偏光変換要素200で用いることができるルーバ付きまたはパターン付きのリターダ要素215の一部の拡大図である。パターン付きのリターダ要素215は、2以上のパターン付き領域を有する複屈折光学要素であり、これらの領域各々の内部では、光軸は一定であるが、周囲の領域とは異なっていて、それぞれの領域を通過する光の偏光状態を異なる態様で変更するように設計されている。
図2Dに示されているように、パターン付きのリターダ要素215は、同一平面配列において並んで配置されている2つ以上の互い違いになっている遅延領域(本明細書では、「ドメイン」または「ゾーン」とも称される)215a、215bを含みうる。特に、
図2Dは、1/4波長遅延の互い違いになっているストリップを図解しており、一方のストリップ215aは+45度の光軸を有し、他方のストリップ215bは−45度の光軸を有している。ルーバ付きリターダ215は、互い違いになっているドメイン(+45度、−45度)のそれぞれの組が第2のレンズアレイ210bの同じレンズレットを通過する光を集中させるように、第2のレンズアレイに対して配列することができる。換言すると、パターン付きのリターダ要素215は、ルーバ付き波長板(LWP)とも称されるが、いくつかの実施形態では、PG回折平面に対応する単一の寸法においてレンズレットごとに2つのゾーン215a、215bを有する。これらの2つのゾーン215a、215bは、同じ収色性の(achromatic)の1/4波長板遅延を提供するが、直交する光軸を用いる。LWP215は第1のレンズアレイ210aの焦点面の近くに配列されているが(例えば、焦点距離fにおいて、または、その近傍で)、直交する円形スポットの両方のグリッド(
図2Eに示されている)は、同じ直線偏光に変換される。
【0052】
いくつかの実施形態では、リターダ要素215は、異なるねじれを有する第1および第2のリターダ層を含む多層リターダを用いて、実装することができる。これは、例えば、米国仮特許出願第61/544,936号(代理人整理番号5051−805PR)に記載されている。この米国仮特許出願の開示は、引用することにより本明細書の一部となすものとする。特に、リターダ要素215は、反対の掌性の第1および第2のキラル液晶層を含むスタック構造でありうる。本明細書で説明されているルーバ付きリターダ215などのリターダは、光学的回転もしくは複屈折遅延またはそれらの組み合わせによる偏光の変更を達成することができるが、それ自体を通過する光の伝播の方向に著しく影響するまたは変更することはできない。対照的に、本明細書で説明されているPG205などの偏光格子は、それ自体を通過する光の屈折(すなわち、伝播方向の変更)を提供する。
【0053】
図2Eは、ルーバ付きリターダ要素215を通過して伝送される前の、本明細書で説明されているいくつかの実施形態による偏光格子205から出力された光を図解している。
図2Eに示されているように、PG205は、第1のレンズアレイ210aのレンズレット要素から出力されたそれぞれのビームを偏光および回折して、発散する第1および第2の偏光されたビームを生じさせ、第1のレンズアレイ210aの焦点面における焦点スポットの第1および第2のビームグリッドアレイ250rおよび250lを画定するように、構成されている。第1および第2のビームグリッドアレイ250rおよび250lは、インターレースされている、すなわち、空間的にオフセットされている。第1および第2のビームグリッドアレイ250rおよび250lは、いくつかの実施形態では部分的に重畳することがあるが、他の実施形態では重畳を生じることはない。偏光格子205から出力された第1および第2のビームは、直交する偏光状態を有することがある。例えば、第1のビームグリッドアレイ250rは右手系の円偏光(RCP、実線)を有する第1のビームによって画定され、第2のビームグリッドアレイ250lは左手系の円偏光(LCP、破線)を有する第2のビームによって画定されうる。リターダ要素215(第1のレンズアレイ210aの焦点面に、またはその近傍に配置されている)は、
図2Eに示されているビームグリッドアレイ250rおよび250lの第1および第2のビームの直交する偏光状態を、同一の偏光状態に変換するように構成することができる。例えば、リターダ要素215は、偏光格子から出力される右手系の円偏光を有する第1のビームと左手系の円偏光を有する第2のビームとを、
図2Aに示されているように、直線偏光299を有する光ビームに変換するルーバ付き1/4波長板であってもよい。
【0054】
本明細書で説明されている実施形態による例示的なPCSでは、PG205とLWP215とは、市販されている材料および過程を用いて製造することが可能であり、カスタムのマイクロレンズアレイ(MLA)210a、210bは、伝統的な方法を用いて製造することができる。例えば、いくつかの実施形態では、レンズアレイ210a、210bは、同一のMLAでもよく、5x9グリッドのレンズレットの中へのアクリル成形樹脂(プレキシグラス(登録商標)等)の射出成形によって形成することができる。なお、レンズレットはそれぞれが、1.4mmX0.77mmの四角の寸法と1.1mmの球曲率半径とを有している。レンズレットの外側表面には、単層の反射防止(AR)コーティングを適用することができる。LWP215を第1のMLA210aの焦点面に配置するのに、厚さが1mmのガラス製スペーサを用いることができる。PG205、LWP215、およびガラス製スペーサは、1平方インチ(0.00064516平方メートル)の基板上に製造し、その後でMLA210a、210bのサイズに一致するように切断することが可能である。これらの要素は、次に、例えばMLA210a、210bとLWP215とを位置合わせするまたは整列させるために偏光顕微鏡を用いて、共に固定することができる。結果的に得られるモノリシックなPG−PCS200は、約4mmの厚さでありうる。
【0055】
更に、いくつかの実施形態では、PG205とLWP215の一方または両方は、材料LIA−C001を光アライメントポリマとして用い、キラル液晶であるCB−15およびMLC−6247を用いてドープされた反応性液晶プレポリマ混合物RMS10−025(Δn〜0:16)を用いて、形成することができる。PG205およびLWP215の一方または両方は、厚さが1mmであるホウケイ酸ガラス基板の上に、スピンコーティングを用いて形成することができる。すべての要素を、光接着剤NOA−65を用いて相互に積層することができる。後述する特定の例では、PGは約3.6μmの周期を有するように形成されたが、これにより、UVレーザ偏光ホログラフィおよび方法を用いて、約530nmにおいて約±8.5度の1次回折角度が提供されうる。例えば、光アライメント層を基板の上に形成し、UVレーザホログラフィを用いてパターニングを行って、その上に周期的なパターンを画定することができる。また、液晶層を、液晶層の分子がアライメント層における周期的なパターンと整列するように、パターニングされた光アライメント層の上に形成することができる。次に、液晶層を重合することにより、PG205を画定する。
【0056】
本明細書で説明されている本発明の実施形態によって製造された偏光格子を用い、偏光のない入力光に対する全体の1次(η
+1+η
−1)回折効率が、様々な入力発散角度に対して測定された。特に、
図3には、可視レンジにおける入力光に対して3.6μmの格子周期を有するPGによって提供された1次光(η
+1+η
−1)に対する回折効率が図解されている。
図3の内部に設定されている写真は、偏光のない白色LEDの光の光出力を、本発明の実施形態によるPGによって回折されたものとして、図解している。
【0057】
図3のグラフに示されているように、PGは、実質的な発散角度(±11度を含む)を有する入射光に対して、1次(例えば、約95%よりも高い)への高い回折効率を提供する。特に、
図3で内部に設定されているグラフによって提供されている拡大図に示されているように、本発明の実施形態によるPGは、約±3度、±5度、±7度、±9度、±11度、またはそれよりも大きな角度の内部でコリメートされている入力光に対して、95%を超える効率を維持することができる。したがって、(本明細書で説明されているPG105および205などの)偏光格子は、PBSアレイよりも、入射/入力光に対して、より大きな角度範囲またはより幅の広い角度アパーチャにわたり、高い回折効率を提供することができる。PGによって提供されるこのより幅の広い角度アパーチャが、本明細書で説明されているPGベースのPCS要素がPBSアレイベースのPCSよりも高いスループットを提供することができる理由である。
【0058】
図4は、円偏光を直線偏光に変換するように構成されたLWPの偏光変換効率を図解している。
図4の内部に設定されているのは、交差する偏光器の間に配置されたLWPの絵であり、第2のルーバ付きではないQWPがLWPと偏光器との間に挿入されており、2つのLWP遅延領域/ゾーン(より暗いおよびより明るいゾーンとして図解されている)の間のコントラストを示している。
図4に示されている偏光変換効率は、±45度の光軸配向を有する広帯域1/4波長板(QWP)のように動作する、互い違いになっているドメインまたはゾーンを含むLWPを用いて達成された。なお、これは、米国仮特許出願第61/544,936号(代理人整理番号5051−805PR)に記載された方法を用いて制作されたものである。
【0059】
例えば、いくつかの実施形態では、LWPまたはそれ以外のリターダを、光配向(photo-alignment)材料を、平行移動ステージ上に設けられた幅が0.7mmであって透明なゾーンと不透明なゾーンとが互い違いになっているクロームマスクを介してUVランプに露出し、光配向材料をパターニングすることによって、形成されてもよい。この露出は、2つのステップからなるプロセスであり、直線偏光器を用いて、対応するゾーンが露出されるときに、露出方向を0度から90度に調整する。パターニングのなされたアライメント層は、相互の上にシーケンシャルにスタックされた第1および第2のLCポリマ層を用いてコーティングを行い、広帯域のQWP(本明細書では、マルチツイストリターダ(MTR)とも称される)を画定することができる。特に、第1のLCポリマ層をパターニングなされた光配向層の上に積層することにより、その分子構造が光配向層のパターンとその界面において整列し、その後で重合される。第1のLC層は、その厚さにわたりねじれている分子構造を有するキラルLC層でありうる。
図4の実施形態では、第1のLC層のディレクタ配向(director orientation)は、約−90度のねじれ角度だけ、その厚さにわたりねじれている。第1のLC層の厚さは、約1.36μmであった。第2のLC層は、第1のLC層の上に同様に積層することができ(第2のLC層の分子構造が、これらの界面において第1のLC層の分子構造と整列するように)、重合される。第2のLC層は、第1のLC層とは反対の掌性のキラルLC層でありうる。
図4の実施形態では、第2のLC層のディレクタ配向は、約+60度のねじれ角度だけ、その厚さにわたりねじれている。第2のLC層の厚さは、約0.83μmであった。
【0060】
依然として
図4を参照すると、円偏光された入力光がLWPの±45度のゾーンの1つの中に送られ、正確な、すなわち所望の直線偏光(例えば、S偏光)と、不正確な、すなわち不所望の直線偏光(例えば、P偏光)とを備えた光出力の一部が、測定された。測定された変換効率は、両方の±45度のゾーンに対して実質的に等しかった。
図4に図解されているように、LWPから出力される光は、可視的な範囲全体で、圧倒的に直線偏光されている(約97%よりも多くが正確な偏光を有し、約3%未満が不正確な偏光を有する)。市販の測定ツールを用いても、類似の測定値が得られた。
【0061】
上記で説明されている本発明の実施形態は、
図5Aおよび5Bにおいて図解されているように、市販の光線追跡シミュレーションツールの内部でモデル化され、後に組み立てられ、実験的にテストがなされた。
図5Aおよび5Bでは、入力側が左側を向くように示されており、偏光されていない光が第1のレンズアレイ210aに入る。第1のレンズアレイ210aの後には、偏光格子205、次にルーバ付き波長板215が続き、そして、この実施形態においては、右側にある出力における第2のレンズアレイ210bによって完結する。第1のレンズアレイ210aと、偏光格子205と、スペーサ層220と、ルーバ付きの波長板215と、第2のレンズアレイ210bとが、これらが光学的に結合されているように、または、要素の間に空気の界面が存在しないように相互に積層されて1つの部材となるように、配列されている。これによりモノリシックなPCS要素200が得られ、いくつかの伝統的な配列とは対照的に、いかなる追加的な固定装置も用いずに、すべての要素が接着またはそれ以外の態様で相互に積層されている。
【0062】
本発明の実施形態の偏光変換を示すために、光学的なシミュレーションツールも用いられた。特に、PCS要素200の面積をその入力面において満たす±7度の発散角度を備えた偏光されていない光源が、用いられた。
図5Aに示されているグラフは、本明細書で説明されているPCS要素を通過して伝播する前の入力光源の特性を図解している。
【0063】
レンズレット(1.25mmの球曲率半径と1x0.583mmの四角寸法とを有している)の7x12のグリッドと単一層の反射防止コーティングとを備えた2つの同一のレンズアレイが、第1および第2のレンズアレイとして用いられた。これらの2つのレンズアレイが位置合わせされたアライメントで約3mmの距離で配列され、スペーサを用い、それらの間にはどのような他の光学的要素も存在しないように光学的に積層されると、これらは、複眼レンズ(Fly-Eye-Lens)(FEL)を画定することができる。
図5Bは、
図5Aで画定されている光源が、本明細書で説明されている偏光格子とリターダ要素とを通過することなくこのFELに入射するときの、このようなFELの出力の例を図解している。
図5Bに示されているように、出力は、いかなる偏光変換も伴わず、入力と同じ偏光のままである。
【0064】
しかし、本発明の実施形態では、偏光格子205とルーバ付き波長板215とは、
図2A−2Cの例に示されているように、2つのレンズアレイ210a、210bの間に配置されている。第1のレンズアレイ210aは、それ自体を通過する光を合焦して、その焦点面において焦点スポットのアレイを画定するように構成されている。偏光格子205は第1のレンズアレイ210aとその焦点面との間に配置されているから、偏光格子205は、これらの光線を分割して、例えば
図2Eに示されているように、それぞれが直交する偏光状態を備えた焦点スポット250lおよび250rの2つのインターレースされたグリッドを生じさせる。ルーバ付き波長板215は、およそ、第1のレンズアレイ210aの焦点距離fの位置に配置されており、偏光格子205から出力される直交する偏光のそれぞれを、同じ偏光状態に変換する。第2のレンズアレイ210bは、ほとんど全体的に直線偏光されている、LWP215から出力される光を再度コリメートするが、正確な、すなわち所望の偏光は約90%であり、不正確な、すなわち不所望の偏光は約4%である。
【0065】
図6Aは、本発明のいくつかの実施形態によるPGベースのPCS要素600を含む例示的な光学的な設定を図解している。PCS要素600は、上述したPCS200と同様でありうる。
図6Aに示されているように、制御可能な発散角度(例えば、約3度から約11度がアパーチャ660によって許容される)を備えた広帯域で偏光されていない白色光源690が、PCS要素600への入力光を提供する。PCS600から出力される光は、回転マウントにおける直線偏光器680によって分析され、ファイバ分光計に接続されている積分球670の中に集められる。本明細書で論じられる結論では、偏光器680自体の吸収が完全に正規化されたことにより、完全なまたは損失のないPCSは100%の効率を示し、(PCSがまったく存在しない)空の測定は50%の効率を示す。
【0066】
図6Bに示されているように、約a±7度の発散角度を有する入力光源690からの光に対しては、PCS要素600から出力される光は、可視範囲(約520−650nm)のほとんどに対する約90%の正確な直線偏光(ここで、「正確」とは、例えば垂直な直線などの所望のPCS出力偏光を意味する)と、低い(約4%未満)不正確な偏光(ここで「不正確」とは、例えば水平方向の直線などの所望のPCS出力と直交する偏光を意味する)とを含んでいた。不正確な偏光は、典型的には、PBSキューブのようなクリーンアップ偏光用光学機器またはシート偏光器を用いて除去することができる。本発明の実施形態によるPGベースのPCS要素600によって達成されたこの90%のピークは、PBSアレイを備えた従来型のPCSよりも実質的に高い。
【0067】
例示的なPGベースのPCS600とそこからの出力ビーム699との写真が、
図6Cに示されている。出力ビーム699は、x方向とy方向とのそれぞれに、約±7度と±14度の発散を有しており、入力光源に対するエタンデュの予測される倍増を、優れた輝度と色の一様性とで確認している。本発明の実施形態によって提供される正確な偏光を伴う出力光のプロファイルが、
図6Dにおいて、極座標の等カンデラプロット(左側)と矩形のカンデラ分布プロット(右側)とで、
図6Dに図解されている。
【0068】
本発明の実施形態は、PCSの性能に負の影響を与える可能性があるいくつかのファクタを認識し、それらに対処する。例えば、MLAのベースライン透過率は、反射、吸収、混濁(haze)、およびより大きな角度への偏向(deflection)に起因して、95%にすぎない(すなわち、ガラスのスペーサだけを含むヌルPCSであり、PGもLWPも存在しない)。更に、PGおよびLWPは、斜めに入射する光(例えば、約±15度を超える入射角を有する光)に対しては、理想的ではない振る舞いを示すことがある。PGの回折効率は、光が(偏光されないまま)ゼロ次の方向に漏れを生じるにつれて、および/またはLWPの遅延が1/4波長から逸脱するにつれて、低下しうる。また、MLAのアクリル材料自体が測定可能ではあるが僅かな複屈折を生じることがあり、それが、出力偏光が低下する原因になりうる。更に、PCSの要素の相対的な位置および配向のアライメントがとれていないことが、損失の原因になりうる。特に、第1のMLAとLWPとの間の距離は重要でありうる。最後に、発散角度がより大きい場合には、LWPにおける1次焦点スポットがその近傍との間で重複を生じ始めることがあり、これによって、PGの回折効率が依然として高い場合であっても、変換効率が更に低下する可能性がある。MLAのARコーティングの改善とLWPの遅延保証とが、変換効率と有効な受光角度とをよりいっそう改善するのに有効でありうる。
【0069】
様々な発散角度θ
DIVに対するPGベースのPCS要素の性能が、角度アパーチャへの従属性を調べるために、
図7に図解されている。正確な偏光の比率(fraction)も、
図7に示されている。ここで
図7を参照するが、より小さな入力発散角度(例えば、±3度または±5度)に対しては、PGベースのPCSから出力される光のほとんどすべて(約92%以上)が、正確または所望の偏光を有しており、ヌルPCS曲線(95%)に近づいている。これは、個々の要素が適切に整列されていることを示しうるのであって、2つの間の差は、LWPの(
図4に示されているような)不正確な偏光変換と(
図3に示されているような)PGの小さなゼロ次の漏れとの何らかの組み合わせによる説明が可能である。より大きな発散角度(例えば、±9度または±11度)に対しては、おそらくはPGおよびLWPへのより大きな斜めの入射角に起因して、いくらかの劣化が生じる。しかし、
図7は、本発明の実施形態によるPCSの偏光変換は、入力発散角度が約±11度以上の場合であっても、依然として高い(約80%から約87%)ことを図解している。
【0070】
上述した非制限的な例では、偏光格子から出力されるビームは、直交していて円偏光されており(例えば、RCPおよびLCP)、それぞれが、
図2Dに示されている例示的なルーバ付きのリターダ要素215などの、90度離隔して隣接する遅延領域またはルーバの光軸を有するルーバ付きの波長板LWPによって、直線偏光に変換される。しかし、いくつかの実施形態では、モノドメインの1/4波長リターダを、偏光格子から出力される光を受け取って、それを直交する直線偏光に最初に変換するように、配列することができ、ルーバ付きの波長板を、モノドメインの1/4波長リターダから出力される光を受け取るように配置することが可能である。そのようなルーバ付き波長板は、互い違いになっている領域またはルーバを含むことがあり、その一方は半波長リターダであり、他方はどのような複屈折要素も含まない空の状態のままである。モノドメインとルーバ付き波長板との他の配列および/または組み合わせは、本発明の実施形態に従って、スポットの2つの挿入された直交する偏光されたグリッドを受け取り、単一のまたはほぼ単一の偏光状態を出力するように配置することができる。更に一般的に、以上では、偏光されていない入力光を変換して同じ直線偏光を有する光を出力するように配列されている要素の特定の組み合わせを参照して論じたが、本発明の実施形態には、多様なおよび/または予測不可能な偏光を有する入力光を変換して任意の所望の偏光を有する光を生じさせる他の配列も含まれるということは、理解されるであろう。
【0071】
本明細書で説明されている本発明の実施形態では、PGは、第1のレンズアレイの後に、そして可能であれば第2のレンズアレイの前に、多少はFEL自体の内部に存在しているのと類似して、配置されている。本発明のこの配列により、伝統的なPCS配列と比較すると、特に、相互に積層された層を備えている単一のモノリシックな要素を提供しないものと比較すると、性能、製造可能性、および光学システムの中に組み入れる容易性が、改善される。
【0072】
いくつかの実施形態では、上述したPCS要素200を液晶(LC)プロジェクタの内部に配列することが、可能である。特に、LCプロジェクタは、PCS要素200への入力として偏光されていない光を提供するように配列されたLED光源またはランプを含みうる。このLED光源またはランプには、次にシート偏光器またはPBSキューブ(例えば、マクニール(MacNeille)など)などの偏光要素が続き、次に光がその上に向けられる反射性または透過性のLCマイクロディスプレイが続き、次にマイクロディスプレイから出力される光を入力光として受け取るように配置され配列された映写レンズが続いている。これは非限定的な例であり、偏光要素、マイクロディスプレイ、および映写レンズの多くの組み合わせを、本明細書で説明されているPCS要素と共に用いることが可能であるということは、理解されるであろう。更に一般的には、反射性または透過性の映写ディスプレイは、本明細書で説明されているPCS要素への入力光として部分的にコリメートされた光を提供する広帯域の光源と、オプションの偏光要素と、マイクロディスプレイと、映写レンズとを含むことができる。
【0073】
ディスプレイシステムにおける本発明の実施形態によるPGベースのPCSの効率性を示すために、
図8Aおよび8Bは、PGベースのPCS要素800(上述したPG−PCS200に類似している)を含むプロトタイプのピコプロジェクタ801の例を図解している。
図8Aに示されているように、3つのLED880r、880g、880bからの光が、それぞれのダイクロイックミラー870r、870g、870bによって組み合わされ、PBCキューブ860の中に中継され、WVGA(854x480)LCオンシリコン(LCoS)マイクロディスプレイ855の上に向けられる。PG−PCS800は、PBCキューブ860の前に配置され、上述したものとはパラメータがほんの僅かに異なっている(すなわち、MLAの焦点距離が短く、PG周期が小さい)。ピコプロジェクタ801は、12lm/Wという高い効率、0.83Wでの10lmの輝度、60Hzのフルカラーフレームレートでの200:1というコントラスト比(フル−オン−フル−オフ)を示した。
図8Bに示されているように、プロジェクタ801全体の「ボックス」体積は約6.2cm
3であり、厚さは約6.8mmである。
【0074】
本発明の実施形態は、映写された画像の優れた輝度一様性を実現することができる。
図8Cは、ピコプロジェクタ801によって作成された画像の写真である。
図8Cに示されているように、数字で構成される3x3のアレイが、画像内部の位置における相対的な輝度値を示しており、白色およびすべての色に対し個別的に、(画像の最大輝度に対する最小輝度に基づく)約86%の均斉度(uniformity ratio)と0.064の標準偏差とを示している。
【0075】
比較のために、市販されているピコプロジェクタ(ソニー製のカムコーダHDR−PJ260V)が類似の態様で測定されたが、9±1ルーメン/ワット(lm/W)の効率と、11lmの輝度と、250:1のコントラストと、nHD(640x360)の解像度とが得られた。最も注意すべきは、この市販されているピコプロジェクタからは、約57%の均斉度と0.29の標準偏差とが得られたことであって、観察者にとって劇的に一様性の低い画像が提供された。更に、本発明の実施形態によるピコプロジェクタ801は、9lm/Wの効率、9lmの輝度、および10cm
3において約70%の一様性を提供する従来型のPGベースのPCSプロジェクタと比較して、優れている。
【0076】
PG−PCS自体の効果を切り離して観察するために、PG−PCSを、ヌル−PCSと置き換えてみると、結果的に、約6.1lmまで輝度が低下した。つまり、本発明の実施形態によるPG−PCS800は、約1.64というファクタで輝度を向上させていることが示された。これは、この特定のプロジェクタにおけるPG−PCSが、
図7における放射測定曲線(radiometric curves)と類似する明所視的な重み付け(photopic weighting)を含めて、82%の偏光変換を行うように動作したことを示している。
【0077】
まとめると、本発明のいくつかの実施形態によるPGベースの偏光変換システムは、ピコプロジェクタのプロトタイプ801が極めて良好に動作し、いくつかの伝統的なPCSよりも、より小さな体積でより一様な画像を、実質的により優れた効率で、生じさせることを可能にする。更に、本発明の実施形態によるPGベースのPCSは、より大型のLCプロジェクタの内部においても同様の効果を生じさせるように用いることが可能であり、偏光を用いる任意のディスプレイに対してバック/フロントライトの中に適合させることも可能である。
【0078】
例えば、いくつかの実施形態では、上述したPG−PCS要素200を、直視LCDテレビジョン/モニタの内部において、そのバックライトユニット(BLU)に配列することが可能である。PG−PCS要素200は、発光要素(例えば、LEDやランプ)に隣接するように配置することにより、発光要素から出力される偏光されていない光を所望の偏光を有する光に変換し、所望の偏光を有する光をBLU導波管に提供することができる。いくつかの実施形態では、PG−PCS要素200は、エッジリット(edge-lit)式のBLUにおいて、LEDと導波管との間に配列することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、上述したPG−PCS要素200を、光ファイバからおよび光ファイバへの光と組み合わせることによって、多様で予測不可能な偏光を有する光を受け取りそのような光を単一の所望の偏光に変換する、という同様な目的を達成することができる。通信システムでは、多様な偏光を有する自然に存在する光は、偏光モード分散(PMD)として数量化することができるが、損失、より低い通信帯域幅、および/または複雑性とコストの増大に至ることがありうる。したがって、シングルモードまたはマルチモードの光源(光ファイバなど)からの赤外光は、コリメータを介して方向付けを行うこと、コリメータによって拡張されることが可能であり、更に、上述したPG−PCS要素200を通過するように配列することができる。PG−PCS要素200は、入射光を、既知で一様で固定された偏光に変換するのに用いることができる。そして、この変換後の偏光は、次に、増幅器、減衰器、フィルタ、または第2の光ファイバへの第2のコリメータを含む通信で用いられる様々な後続のコンポーネントに向けることができる。
【0080】
したがって、本発明の実施形態は、偏光されていない光を直線偏光された状態の光に高い効率で変換するPGベースのPCSを提供する。それは、入射光を角度的に分離して直交する円偏光を有する発散ビームを生じさせる広帯域PGに基づいており、他方で、LWPは、それぞれのビームを同じ直線偏光に変換する。ここで、PGとLWPとは、共に、2つのMLAの間に配列され積層されている。本発明の実施形態によるPGベースのPCS要素は、約±7度の発散を有する入力光に対して約90%を超える変換効率を、約±11度の発散を有する入力光に対して約80〜87%の変換効率を、提供することができる。PG−PCSは、いくつかの従来のアプローチとは対照的に、コンパクトで容易に整列させることができるモノリシックな要素である。PG−PCSは、ピコプロジェクタ内に実装され、その結果として、12lm/Wの発光効率、10lmの輝度、トップクラス(class-leading)の画像一様性、および6.2cm
3という体積が得られ、それにより、PG−PCSの高い効率という長所が示される。
【0081】
本発明の実施形態によるPG−PCSは、このようにしてより高い効率を提供し、更に、より薄く、コンポーネント層がより少なく、製造および取り扱いがますます容易であることにより、より単純で、より安価なデバイスが可能になる。更に、本明細書で説明されているPG−PCSは、回折分割要素に依存することにより、いくつかの従来型のアプローチにおいて用いられうる分割要素の異なる領域の間の境界を回避することができる。
【0082】
第1および第2のレンズアレイを含むように、本明細書での複数の実施形態において例示として説明されているが、リターダ要素から出力される光を受け取るように配置されている第2のレンズアレイは、本明細書で説明されているいくつかの実施形態によると、除外することも可能である。また、本発明の実施形態によると、反射防止コーティングを、周囲の媒体(例えば、空気)とのインターフェースとなる1つまたは複数の表面上に適用することができる。
【0083】
本明細書で説明されている「リターダ要素」、「リターダ」、および「遅延板」などの用語は、均質の波長板を含む任意の複屈折板に言及するために相互交換可能に用いることが可能である。このような複屈折板は、また、単一軸、二軸、または不均一でもありうる。本明細書で説明されるリターダは、広帯域(すなわち、無色)または狭帯域(すなわち、有色)でありうる。したがって、本明細書で説明されているリターダは、光学的回転もしくは複屈折遅延またはそれらの任意の組み合わせを介して偏光の変化を達成することができるが、それ自体を通過する光の伝播の方向に著しく影響を与えるまたは偏光することはできない。
【0084】
以上、主に偏光されていない入力光に関連して説明したが、いくつかの実施形態では、第1のレンズアレイへの入射光が、楕円状に偏光されたまたは部分的に偏光された光(例えば、何らかのレーザダイオードおよび/またはLED光源などによって提供される)であることが可能である。
【0085】
また、上述したように、いくつかの実施形態では、モノドメインの波長板を、ルーバ付きの波長板と組み合わせて、PGの前または後にオプションとして配列することで、上述したもの以外にも、任意の所望の偏光を提供するまたは任意の所望の偏光と一致することが可能であることが理解されるであろう。
【0086】
以上の説明と添付の図面との関係で、多くの異なる実施形態が本明細書において開示されてきた。これらの実施形態のすべての組み合わせと下位の組み合わせとを文字により説明し図解するのであれば、過渡に反復が多く不明瞭となるであろうことは理解されるであろう。したがって、本明細書は、図面を含めて、本明細書で説明されている実施形態のすべての組み合わせおよび下位の組み合わせに関する、更にはそれらを製造し使用する態様およびプロセスに関する、完全な書面による説明を構成するものと解釈されるべきであり、任意のそのような組み合わせまたは下位の組み合わせに関する特許請求の範囲をサポートしている。
【0087】
図面および明細書において、本開示の実施形態を開示してきた。特定の用語が用いられているが、それらの用語は、一般的かつ記述的な意味でのみ用いられていて、限定する目的のためではない。したがって、以上は本発明を説明するものであり、開示されている特定の実施形態に限定されるものであるとは解釈すべきではなく、開示されている実施形態への修正や他の実施形態は、本発明の範囲に属することが意図されていることを理解すべきである。