【課題を解決するための手段】
【0016】
よって本発明の目的は、エチレンの弾性重合体の製造方法に関する。該方法は、
‐バナジウムを含有する化合物群から選択した少なくとも1つの触媒の油性懸濁液、
‐アルミニウムを含有する化合物群から選択した少なくとも1つの共触媒それ自体、
‐塩素を含有する化合物群から選択した少なくとも1つの活性化剤それ自体、
を含む触媒系の存在下で、
エチレン、少なくとも1種の炭素原子数3〜12のα‐オレフィン、可能であれば少なくとも1種の炭素原子数4〜20の非共役ジエン、を含むモノマーの混合物を、懸濁液中で重合するステップを含む。
【0017】
本明細書と添付の特許請求の範囲においては、別途特定されない限り、数値範囲の定義は常に極値を含む。
【0018】
本明細書と添付の特許請求の範囲においては、「それ自体(as such)」という用語は、化合物が有機溶媒の不在下で用いられる、ということを意味する。
【0019】
本発明の好適な実施形態によれば、炭素原子数3〜12の上記α‐オレフィンは、例えば、プロピレン、1‐ブテン、イソブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐オクテン、スチレン、α‐メチルスチレン、またはそれらの混合物から選択することができる。プロピレンが好ましい。
【0020】
本発明の好適な実施形態によれば、炭素原子数4〜20の非共役ジエンは、例えば、1,4‐ヘキサジエン、1,6‐オクタジエン、またはそれらの混合物等の直鎖状非共役ジエン;例えば、5‐メチルヘキサ‐1,4‐ジエン、7‐メチルオクタ‐1,6‐ジエン、7‐メチルオクタ‐1,7‐ジエン、またはそれらの混合物等の分枝鎖状非共役ジエン;例えば、1,4‐シクロヘキサジエン、1,5‐シクロオクタジエン、またはそれらの混合物等の単環脂環式の非共役ジエン;例えば、テトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン(ENB)、5‐ビニリデン‐2‐ノルボルネン(VNB)、5‐イソプロピリデン‐2‐ノルボルネン、またはそれらの混合物等の多環脂環式縮合または架橋環式の非共役ジエン;またはそれらの混合物から、例えば選択することができる。5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)が好ましい。
本発明の好適な実施形態によれば、前記エチレンの弾性重合体は、
(a)40重量%〜80重量%、好ましくは48重量%〜77重量%のエチレン、
(b)20量%〜60重量%、好ましくは25重量%〜52重量%の少なくとも1種のα‐オレフィン、
(c)0量%〜15重量%、好ましくは0重量%〜12重量%、の少なくとも1種の非共役ジエン、を含み、
(a)+(b)+(c)の和が100と等しい。
【0021】
本発明の好適な実施形態によれば、前記油成分は、パラフィン系オイル、ナフテンオイル、ポリブテン系オイル、ポリプロピレン系オイル、またはそれらの混合物から選択することができる。パラフィン系オイルが好ましい。
【0022】
本発明の好適な実施形態によれば、前記触媒を、前記油性懸濁液の全重量に対し、3重量%〜20重量%、好ましくは5重量%〜15重量%、の範囲の量で前記油性懸濁液中に存在させることができる。
【0023】
本発明の好適な実施形態によれば、前記触媒は酸化状態+3〜+5にあるバナジウム化合物から選択することができる。該バナジウム化合物としては、例えば、四塩化バナジウム(VCl
4)、三塩化バナジウム(VCl
3)、またはそれらの混合物等の、ハロゲン化バナジウム;例えば、三塩化バナジル(VOCl
3)、バナジルトリエトキシル[VO(OEt)
3]、バナジルジクロロブトキシル[VOCl
2(OBu)]、またはそれらの混合物等の、式VOCl
x(OR)
3−x(式中、Rは直鎖状または分枝鎖状のC
1〜C
20のアルキル基を表し、Xは、0〜3の範囲の整数を表す)を有する、バナジルアルコキシハロゲン化物またはバナジルアルコシキド;例えば、バナジウムトリアセチルアセトネート[V(acac)
3]、バナジルアセチルアセトネート[VO(acac)
2]、バナジルジクロロアセチルアセトネート[VCl
2O(acac)]、またはそれらの混合物等の、バナジウムアセチルアセトネートまたはバナジルアセチルアセトネート;例えば、VCl
3・2THF(式中、THFはテトラヒドロフラン)等の、ハロゲン化バナジウムとルイス塩基との複合体;またはそれらの混合物、が挙げられる。バナジウムトリアセチルアセトネート[V(acac)
3]、バナジルアセチルアセトネート[VO(acac)
2]が好ましい。
【0024】
本発明の好適な実施形態によれば、前記共触媒は、一般式(I)を有する、アルミニウムを含有する化合物から選択することができる。
(R
1)
3−nAlY
n (I)
式中、
‐R
1は、直鎖状または分枝鎖状のC
1〜C
20のアルキル基を表し、
‐Yは、例えば、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等のハロゲン原子(塩素が好ましい);または直鎖状または分枝鎖状のC
1〜C
20のアルコキシアルキル基を表し、
‐nは、0〜2の範囲の整数を表す。
【0025】
本発明の目的のために有利に用いられる、一般式(I)を有するアルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム(TEA),トリイソブチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリドデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシド、塩化ジエチルアルミニウム(DEAC)、二塩化エチルアルミニウム、エチルアルミニウムセスキクロライド(EASC)、メチルジエトキシアルミニウム、またはそれらの混合物、が挙げられる。塩化ジエチルアルミニウム(DEAC)が好ましい。
【0026】
本発明の好適な実施形態によれば、共触媒中に存在するアルミニウムの、触媒中に存在するバナジウムに対するモル比は、1〜200、好ましくは2〜150の範囲とすることができる。
【0027】
本発明の好適な実施形態によれば、前記活性化剤は、一般式(II)を有する、塩素を含有する化合物から選択することができる。
【化2】
式中、
‐R
2は、任意で置換されていてもよい直鎖状または分枝鎖状のC
1〜C
20のアルキル基;任意で置換されていてもよいC
5〜C
20のアリール基;または任意で置換されていてもよいC
3〜C
20のシクロアルキル基を表し、ただし、―C(O)OR
2基は、炭酸誘導体、ケト基、またはニトリル基と置換可能であり、
‐R
3、R
4、およびR
5は、同一であっても異なっていてもよく、(a)R
2;(b)塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等のハロゲン(塩素が好ましい);(c)水素;(d)任意で置換されていてもよい直鎖状または分枝鎖状のC
1〜C
20のアルキル基、(e)任意で置換されていてもよいC
3〜C
20のシクロアルキル基;(f)任意で置換されていてもよいC
5〜C
20のアリール基;(g)任意で置換されていてもよいC
1〜C
20アルキルオキシル基;(h)任意で置換されていてもよいC
5〜C
20のアリールオキシル基;(i)―C(O)OR
6基(式中R
6はC
1〜C
20の炭化水素基である)から選択し、ただし
(i)R
3、 R
4、およびR
5のうち少なくとも1つは、ハロゲン群(b)より選択し、
(ii)前記式(II)を有する活性化剤において、以下のすべての条件が満足されていない:R
2はC
1〜C
6のアルキル基であり、R
3はC
1〜C
6のアルキル基またはC
1〜C
6のアルコキシル基であり、R
4は塩素、臭素、または水素であり、R
5は塩素または臭素である。
【0028】
本発明の目的のために有利に用いられる、一般式(II)を有する、塩素を含有する化合物の具体例としては、トリクロロ酢酸エチル(ETA)、ジクロロフェニル酢酸エチル(DCPAE)、モノクロロフェニル酢酸エチル(MCPAE)、ジエチルジクロロマロネート、またはそれらの混合物、が挙げられる。トリクロロ酢酸エチル(ETA)、ジクロロフェニル酢酸エチル(DCPAE)が好ましい。
【0029】
本発明の好適な実施形態によれば、触媒中に存在する活性化剤の、触媒中に存在するバナジウムに対するモル比は、0.5〜10、好ましくは1〜8の範囲とすることができる。
【0030】
弾性重合体の分子量を調整するために、本方法は、分子量調整剤の存在下で行ってもよい。
【0031】
本発明の好適な実施形態によれば、本方法は、例えば、水素、好ましくは気体水素;または一般式(III)を有する化合物から選択される、少なくとも1つの分子量調整剤の存在下で実施してもよい。
M(R
7)
n (III)
式中、
‐Mは、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、水銀等の元素周期表の第2族元素または第12族元素から選択される金属を表し(亜鉛が好ましい)、
‐R
7は、例えば、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、t‐ブチル、n‐ヘキシル、n‐オクチル等の直鎖状または分枝鎖状のC
1〜C
12のアルキル基を表し(エチルが好ましい)、
‐nは、金属Mの原子価数を表す。
【0032】
好適な分子量調整剤は、気体水素、ジエチル亜鉛である。
【0033】
該分子量調整剤は、本分野で周知の分量と作業条件下で用いることができる。
【0034】
なお、本発明と添付の特許請求の範囲においては、「元素周期表」という用語は、以下のインターネットサイトに示される2011年1月21日版の「国際純正応用化学連合(IUPAC)の元素周期表」を意味することを指摘しておく。
www.iupac.org/reports/periodic_table
【0035】
本発明の好適な実施形態によれば、本方法は、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜50℃、の範囲の温度において実施してもよい。
【0036】
本発明の好適な実施形態によれば、本方法は、0バール〜50バール、好ましくは5バール〜30バール、の範囲の圧力において実施してもよい。
【0037】
本発明の好適な実施形態によれば、本方法を、10分〜4時間、好ましくは20分〜2時間、の範囲の時間において実施してもよい。
【0038】
上記懸濁液中で行う方法は、懸濁化剤として作用する不活性希釈剤を反応媒体として用いて行ってもよい。該不活性希釈剤中においては、エチレンの弾性重合体は実質的に不溶である。
【0039】
本発明の好適な実施形態によれば、上記方法は、上記に示された炭素原子数3〜12のα‐オレフィンから選択した、少なくとも1種のα‐オレフィン(プロピレンが好ましい)と、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、またはそれらの異性体、またはそれらの混合物等の少なくとも1種の不活性希釈剤(プロパンが好ましい)と、を一般的に含む反応媒体中で実施してもよい。
【0040】
重合中に上記反応媒体に存在する弾性重合体の量(すなわち固体の全容量)は、反応媒体の全重量に対し、好ましくは、0重量%〜35重量%、より好ましくは、10重量%〜25重量%、の範囲である。
【0041】
得られた弾性重合体は、本分野における周知技術を用いて回収することができる。該弾性重合体は、例えば「従来技術(Traditional Technology)」を用いて回収することができる。該技術は、1つ以上の押出機を用いて、水蒸気を用いる第1のストリッピング部(水蒸気ストリッピング)および乾燥による第2の水分除去部を提供する。これら技術は、例えば米国特許第3,337,422号明細書、米国特許第3,462,487号明細書、または米国特許第4,278,506号明細書に記載される。
【0042】
本発明とその実施形態の理解がより深まるよう、いくつかの例示的かつ限定されない例を挙げる。