(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
a)少なくとも1つのツェレビチノフ活性水素原子を有する水素官能性スターター化合物と、不飽和環状カルボン酸無水物および少なくとも1種のアルキレンオキシド化合物を反応させて、ヒドロキシル基含有プレポリマーを生成する工程、
b)工程a)で得られたヒドロキシル基含有プレポリマーの二重結合に、第一級アミンおよび/またはアンモニアを付加して、ヒドロキシ−アミノポリマーを生成する工程
を含むヒドロキシ−アミノポリマーの製造方法であって、
水素官能性スターター化合物と不飽和環状カルボン酸無水物との反応および/またはアルキレンオキシド化合物の付加は、複金属シアン化物触媒(DMC触媒)を用いて行い、
水素官能性スターター化合物は、1〜35、特に1〜8個のツェレビチノフ活性水素原子を含有し、
アルキレンオキシド化合物は、2〜24個の炭素原子を有するアルキレンオキシド化合物、特に、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドから選択され、
アルキレンオキシド化合物量とカルボン酸無水物量との比が、少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1、特に少なくとも2.5:1であり、ならびに、
第一級アミンは、少なくとも1つの第一級アミノ基および所望によりヒドロキシ基を有する脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族モノアミンおよびジアミンから選択される、ヒドロキシ−アミノポリマーの製造方法。
不飽和環状カルボン酸無水物が、不飽和環状ジカルボン酸無水物、例えば、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、特に、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物およびその組合せから選択されることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の製造方法。
カルボン酸無水物量と水素官能性スターター化合物のツェレビチノフ活性水素原子数との比が、約1:1〜1.5:1、特に1:1〜1.2:1であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
まず、水素官能性スターター化合物とDMC触媒を反応容器に導入し、次いで、アルキレンオキシド化合物、不飽和環状カルボン酸無水物および所望による更なるコモノマーを添加することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
まず、水素官能性スターター化合物およびDMC触媒を反応容器に導入し、アルキレンオキシド化合物および所望による更なるコモノマーを計量添加し、次いで、不飽和環状カルボン酸無水物を添加し、
該不飽和環状カルボン酸無水物を付加している時に、特に、ツェレビチノフ活性水素1モル当たりアルキレンオキシド化合物が1モルより多くなるように、該アルキレンオキシド化合物および所望による更なるコモノマーを再度計量添加することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
工程a)において、水素官能性スターターポリオールおよびDMC触媒を反応容器に導入し、水素官能性スターター化合物をアルキレンオキシド化合物および不飽和環状カルボン酸無水物と共に連続的に供給し、
水素官能性スターターポリオールが3〜1000mgKOH/gの範囲のOH価、好ましくは3〜300mgKOH/gの範囲のOH価を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
工程a)において、スターターポリオールと、一部分のDMC触媒を反応装置系に導入し、水素官能性化合物および更なるDMC触媒を、アルキレンオキシド化合物および不飽和環状カルボン酸無水物と共に連続的に供給し、
予め選択した平均滞留時間の経過後、工程a)において生成した反応生成物を、反応装置系から連続的に除去することを特徴とする、請求項8または9に記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
不定冠詞「1つの(a)、(an)」は、本発明の方法において、いずれの場合も、複数の成分同士も相互に反応できることを意味する。
【0017】
本発明の範囲内で「ヒドロキシ−アミノポリマー」は、アミノ基含有ポリ(エーテル)エステルポリオールであり、すなわち、ポリエーテルポリオール配列がジカルボン酸官能基を介して相互に結合したアミノ基含有ポリマーである。
【0018】
驚くべきことに、上記ヒドロキシ−アミノポリマーは、少なくとも1つのツェレビチノフ活性水素原子を有する水素官能性スターター化合物と、不飽和環状カルボン酸無水物および少なくとも1種のアルキレンオキシド化合物の、複金属シアン化物(DMC)触媒作用による反応で得られるヒドロキシル基含有プレポリマーに、アミンを付加することによって得られる。本発明の方法によれば、アミノ官能基とヒドロキシル基との間に6または7個の共有結合を少なくとも有する既知のヒドロキシ−アミノポリマーを生成することに加えて、アミノ官能基とヒドロキシル基との間に8個以上の共有結合を有する構造も生成するように制御することが可能である。
【0019】
本発明の方法によると、例えば、計量添加したアルキレンオキシド化合物が完全に反応した後、例えば、存在するOH基1モル当たり約1モルのカルボン酸無水物を供給するように、不飽和環状カルボン酸無水物を計量添加できる。その後、ヒドロキシル基含有プレポリマーを得るために所望量のアルキレンオキシド化合物を再度添加する。上記反応工程を1回以上繰り返すことができ、これによりツェレビチノフ活性水素原子1個あたり、所望数の二重結合、特に、2個以上の二重結合をポリマー内に導入できる。さらに、例えば、二重結合への付加により、ツェレビチノフ活性水素原子1個あたり、2個以上、特に3個以上のアミノ官能基を導入できる。当然のことながら、1個以上のツェレビチノフ活性水素原子を有するスターター化合物に、1種以上のアルキレンオキシド化合物と、1種以上の不飽和環状カルボン酸無水物を同時に添加することによっても、二重結合をプレポリマー内に導入できる。プレポリマーのポリマー鎖における二重結合の分布は、統計則に従って生じ、特に、アルキレンオキシド構造単位に基づくポリエーテル鎖ブロックは、より広い分布となる。
【0020】
本発明において、水素官能性スターター化合物は、少なくとも1つのツェレビチノフ活性水素原子を有する。本発明において、ツェレビチノフ活性水素原子は、酸性水素原子または「活性」水素原子であると理解される。そのような原子は、対応するグリニャール試薬との反応性により、それ自体既知の方法で同定できる。一般に、ツェレビチノフ活性水素原子の量は、試験すべき材料と臭化メチルマグネシウム(CH
3−MgBr)が以下の反応式に従い反応する場合、遊離したメタン量に基づき測定される。
【0022】
ツェレビチノフ活性水素原子は、一般的に、C−H酸性有機基、−OH、−SH、−NH
2または−NHR(式中、Rは有機基である)、および−COOHに由来する。
【0023】
特に適当な水素官能性スターター化合物は、1〜35、特に1〜16、好ましくは1〜8の水素官能価を有し、水素官能価は上述したツェレビチノフ活性水素原子に由来する。
【0024】
水素官能性スターター化合物の分子量は広範囲に変化することができ、好ましくは17〜1200g/モル、特に好ましくは62〜1000g/モルの平均分子量を有する。
【0025】
好ましく使用される水素官能性スターター化合物に加えて、アミノ官能性スターター化合物も使用できる。
【0026】
水素官能性スターター化合物の例には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールおよび高級脂肪族モノオール、特に脂肪アルコール、フェノール、アルキル置換フェノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ヒドロキノン、ピロカテコール、レゾルシノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、およびホルムアルデヒドとフェノールまたはウレアとのメチロール基含有縮合生成物が含まれる。水素化デンプン加水分解生成物に基づく多官能性スターター化合物を用いることもできる。このような化合物は、例えばEP1525244A1に記載されている。
【0027】
アミノ基含有水素官能性スターター化合物の例には、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、トルイジン異性体、ジアミノトルエン異性体、ジアミノジフェニルメタン異性体、およびジアミノジフェニルメタンを生成するアニリンとホルムアルデヒドとの縮合の過程において生じる多核生成物、さらにホルムアルデヒドおよびメラミンから生成するメチロール基含有縮合生成物、ならびにマンニッヒ塩基が含まれる。
【0028】
さらに、環状カルボン酸無水物およびポリオールから生成される開環生成物をスターター化合物として用いてもよい。例えば、フタル酸無水物またはコハク酸無水物と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはソルビトールから生成される開環生成物が挙げられる。これらに加えて、単官能性または多官能性カルボン酸をスターター化合物としてそのまま用いることもできる。
【0029】
さらに、前記スターター化合物の事前調製アルキレンオキシド付加生成物、すなわち160〜1000mgKOH/g、好ましくは250〜1000mgKOH/gのOH価を好適に有するポリエーテルポリオールを、スターター化合物として本発明の方法において使用でき、または反応混合物に添加できる。本発明の方法において、共スターターとして6〜800mgKOH/gの範囲にOH価を好適に有するポリエステルポリオールを用いることもできる。適当なポリエステルポリオールは、例えば、2〜12個の炭素原子を有する有機ジカルボン酸および2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する多価アルコール、好ましくはジオールから既知の方法によって製造できる。
【0030】
さらに、スターター化合物または共スターター化合物として、水素官能性スターター化合物、好ましくは、それぞれ、6〜800mgKOH/gの範囲にOH価を有するポリカーボネートポリオール、ポリエステルカーボネートポリオールまたはポリエーテルカーボネートポリオール、好ましくはポリカーボネートジオール、ポリエステルカーボネートジオールまたはポリエーテルカーボネートジオールを用いることができる。これらは、例えば、ホスゲン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートまたはジフェニルカーボネートと、二官能性もしくは多官能性アルコールまたはポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールとの反応により製造される。
【0031】
本発明の工程a)において、好ましくは、ヒドロキシル基を有するアミノ基不含水素官能性スターター化合物を、活性水素のキャリアとして使用し、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールおよび高級脂肪族モノオール、特に脂肪アルコール、フェノール、アルキル置換フェノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ヒドロキノン、ピロカテコール、レゾルシノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ホルムアルデヒドとフェノールから生成するメチロール基含有縮合生成物、ならびに水素化デンプン加水分解生成物が例示できる。異なる水素官能性スターター化合物の混合物も使用できる。明確に除外されない限り、以下における水素官能性スターター化合物の記載には、原則として、水素官能性スターター化合物の混合物が含まれる。
【0032】
本発明の方法において用いる不飽和環状カルボン酸無水物には、当業者に既知のすべての化合物が適当である。これらは、例えば、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、特に、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物などの不飽和環状ジカルボン酸無水物およびその混合物である。
【0033】
複数の不飽和環状カルボン酸無水物を使用する場合、それらを個々に、混合状態で、またはブロックとして計量添加できる。環状カルボン酸無水物または複数の環状カルボン酸無水物を、アルキレンオキシドと共に、反応混合物に供給することも更に可能であり、または、アルキレンオキシドの計量添加を同時に行うことなく、独立したブロックとして供給することも可能である。明確に除外されない限り、以下における不飽和環状カルボン酸無水物との記載には、原則として、不飽和環状カルボン酸無水物の混合物が含まれる。
【0034】
本発明において使用できるアルキレンオキシド化合物として、2〜24個の炭素原子、特に2〜12個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有する代表的なアルキレンオキシド、ならびに、上述した種類の、異なるアルキレンオキシド化合物の組み合わせを選択できる。2〜24個の炭素原子を有するアルキレンオキシドは、例えば、以下のものからなる群から選択される1種以上の化合物である:エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2,3−ブテンオキシド、2-メチル-1,2-プロペンオキシド(イソブテンオキシド)、1−ペンテンオキシド、2,3−ペンテンオキシド、2-メチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ブテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、2,3−ヘキセンオキシド、3,4−ヘキセンオキシド、2−メチル−1,2−ペンテンオキシド、4−メチル−1,2−ペンテンオキシド、2−エチル−1,2−ブテンオキシド、1−ヘプテンオキシド、1−オクテンオキシド、1−ノネンオキシド、1−デセンオキシド、1−ウンデセンオキシド、1−ドデセンオキシド、4−メチル−1,2−ペンテンオキシド、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロヘプテンオキシド、シクロオクテンオキシド、スチレンオキシド、メチルスチレンオキシド、ピネンオキシド、モノ−、ジ−およびトリグリセリドとしてのモノ−またはポリエポキシ化脂肪、エポキシ化脂肪酸、エポキシ化脂肪酸のC1〜C24エステル、エピクロロヒドリン、グリシド−ル、およびグリシド−ルの誘導体、例えばメチルグリシジルエ−テル、エチルグリシジルエ−テル、2−エチルヘキシルグリシジルエ−テル、アリルグリシジルエ−テル、グリシジルメタクリレ−トおよびエポキシド官能性アルキルオキシシラン、例えば3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル−メチル−ジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルエチルジエトキシシランおよび3−グリシジルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン等。
【0035】
工程a)において、ポリエーテルエステルポリオールの製造に使用するアルキレンオキシドは、好ましくはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドである。アルキレンオキシドは、個々に、混合状態で、またはブロック単位で計量添加できる。明確に除外されない限り、以下におけるアルキレンオキシドまたはアルキレンオキシド化合物との記載には、原則として、アルキレンオキシドまたはアルキレンオキシド化合物の混合物、あるいは異なるアルキレンオキシドまたはアルキレンオキシド化合物のブロック状計量添加物が含まれる。
【0036】
好ましくは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを使用する。特に好ましくは、エチレンオキシドを、計量添加するアルキレンオキシドの全質量に基づき、50重量%より多い量で、最も特に好ましくは60重量%より多い量で使用する。本発明の方法において、全てのツェレビチノフ活性水素原子が反応できるように、カルボン酸無水物の量とスターター化合物のツェレビチノフ活性水素原子数との比を選択できる。この化学量論反応に関して、カルボン酸無水物の量と水素官能性スターター化合物のツェレビチノフ活性水素原子数との比は、約1:1〜1.5:1、特に1:1〜1.2:1であり得る。
【0037】
本発明の特に好ましい態様によると、アルキレンオキシド化合物の量とカルボン酸無水物量との比は、少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1、特に好ましくは少なくとも2.5:1に調整できる。本発明の方法のこの態様において、アミン官能基およびヒドロキシル基の間に、平均して7個より多い供給結合を有するヒドロキシ−アミノポリマーを合成できる。
【0038】
さらに、本発明の方法は、上記モノマーまたはコモノマーを使用することに限定しない。例えば、特に、ラクトン、ラクチド、飽和または芳香族環状カルボン酸無水物、環状カーボネートおよび/または二酸化炭素から選択される、少なくとも一種のさらなるコモノマーが工程a)で反応することが可能である。これにより、生成したヒドロキシ−アミノポリマーの性能プロファイル、例えば、イソシアネート基に対する反応性、極性、およびヒドロキシ−アミノポリマー化学的性質もしくは物理的性質をさらに変性でき、あるいは、ポリイソシアネートとの反応生成物も変性できる。
【0039】
本発明の方法によると、とりわけ、第一級アミンまたはアンモニアをヒドロキシル基含有プレポリマーの二重結合に付加する。適当なアミンは、例えば、アンモニア、第一級アミノ基を有する脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族モノアミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、1−アミノプロパン、2−アミノプロパン、1−アミノブタン、2−アミノブタン、イソブチルアミン、1−アミノヘキサン、2−エチル−1−アミノヘキサン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、シクロヘキシルアミンおよびベンジルアミンなど;第一級アミノ基および第二級アミノ基を有する脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族モノアミンであって、第二級アミノ基が環系の一部になり得るモノアミン、例えば、N−メチルエチレンジアミン、N−メチルプロピレンジアミン、N−(2−アミノエチル)−ペピラジンおよび3−アミノ−1,2,4−トリアゾールなど;第一級アミノ基および第三級アミノ基および所望による第二級アミノ基を有する脂肪族、脂環式および/または複素環式ジアミン、例えば、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチル−1,8−ジアミノオクタン、N,N−ジメチル−1,4−ジアミノシクロヘキサンなど;2つの第一級アミノ基と少なくとも1つの第二級アミノ基を有する脂肪族ジアミン、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびビス−(3−アミノプロピル)−アミンなどである。さらに、第一級アミノ基に加えて、ヒドロキシ基を含有するアミン、例えば、エタノールアミン、またはイソプロパノールアミンも、本発明の方法に適している。エチルアミン、1−アミノブタン、ドデシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、エタノールアミンおよびイソプロパノールアミンからなる群から選択される第一級アミンも好ましい。
【0040】
(シクロ)脂肪族ジアミンも適している。これは、2つの第一級アミノ基を有し、NH
2−R−NH
2の一般式で表される化合物である(式中、Rは、2〜21個、好ましくは2〜15個、特に好ましくは2〜10個の炭素原子を有する脂肪族または脂環式基を表す)。この例には、エチレンジアミン、1,2−および1,3−プロピレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、5−アミノ−アミノメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン、1−アミノ−1−メチル−3(4)−アミノメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノ−3,5−ジエチルシクロヘキシル)−メタン、ビス−アミノメチル−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−インダン、2,3−、2,4−および2,6−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサンまたはこのジアミンの混合物が含まれる。エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタンおよびビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタンからなる群から選択される(シクロ)脂肪族ジアミンが好ましい。
【0041】
もちろん、記載したモノ−アミンおよびオリゴアミンは混合物の形態でも使用できる。明確に規定されない限り、以下における添加するアミンとの記載には、原則として、添加するアミンの混合物も含まれる。
【0042】
第一級アミノ基と付加可能な二重結合とのモル比は、好ましくは0.01:1〜1.1:1、好ましくは0.1:1〜1.1:1、特に好ましくは0.5:1〜1.1:1であり、最も好ましくは1:1〜1.1:1である。反応は、触媒を用いてまたは用いずに行われる。適当な触媒は、例えば、酢酸銅、塩化スズまたは酢酸である。アミンの付加は、好ましくは、触媒を添加せずに行われる。この工程に適する反応温度範囲は、例えば、0℃〜150℃、好ましくは10℃〜100℃および特に好ましくは20℃〜80℃である。
【0043】
本発明の方法では、工程a)、すなわち、水素官能性スターター化合物と不飽和環状カルボン酸無水物の反応および/またはアルキレンオキシド化合物の付加において、DMC触媒を使用する。異なるDMC触媒の混合物も使用できる。
【0044】
適当なDMC触媒は、先行技術において既知であり、例えば、US3404109A1、US3829505A1、US3941849A1およびUS5158922A1に記載されている。
【0045】
例えば、US5470813A1、EP700949A1、EP743093A1、EP761708A1、WO97/40086A1、WO98/16310A1およびWO00/47649A1に記載されたDMC触媒は、アルキレンオキシドの重合、および場合によりアルキレンオキシドと不飽和環状カルボン酸無水物の共重合において極めて高い活性を有し、また、ポリエーテルポリオールの製造を極めて低い触媒濃度(25ppm以下)で行えるので、通常、最終生成物から触媒を分離する必要はない。典型例は、EP0700949A1に記載されている高活性DMC触媒であり、これは、複金属シアン化物化合物(例えばヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛)および有機複合配位子(例えばtert−ブタノール)の他に500g/モルを越える数平均分子量を有するポリエーテルをも含有する。EP出願番号10163170.3に記載されているアルカリ性DMC触媒を用いることも可能である。
【0046】
複金属シアン化物化合物の製造に適するシアン化物不含金属塩は、好ましくは一般式(I)で表される:
【化4】
[式中、Mは金属カチオンZn
2+、Fe
2+、Ni
2+、Mn
2+、Co
2+、Sr
2+、Sn
2+、Pb
2+およびCu
2+から選択される;
Mは、好ましくはZn
2+、Fe
2+、Co
2+またはNi
2+であり、
Xは、1以上の(すなわち様々な)アニオン、好ましくはハロゲン化物イオン(すなわちフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、シュウ酸イオンおよび硝酸イオンからなる群から選択されるアニオンである;
X=硫酸イオン、炭酸イオンまたはシュウ酸イオンの場合、nは1であり、
X=ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオンまたは硝酸イオンの場合、nは2である]。
【0047】
さらに、適するシアン化物不含金属塩は一般式(II)で表される:
【化5】
[式中、Mは金属カチオンFe
3+、Al
3+およびCr
3+から選択され、
Xは1種以上のアニオン種、好ましくはハロゲン化物イオン(すなわちフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、シュウ酸イオンおよび硝酸イオンからなる群から選択されるアニオンである;
X=硫酸イオン、炭酸イオンまたはシュウ酸イオンの場合、rは2であり、および
X=ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオンまたは硝酸イオンの場合、rは1である]。
【0048】
または、適するシアン化物不含金属塩は一般式(III)で表される:
【化6】
[式中、Mは金属カチオンMo
4+、V
4+およびW
4+から選択され、
Xは1種以上のアニオン種、好ましくはハロゲン化物イオン(すなわちフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、シュウ酸イオンおよび硝酸イオンからなる群から選択されるアニオンである;
X=硫酸イオン、炭酸イオンまたはシュウ酸イオンの場合、sは2であり、
X=ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオンまたは硝酸イオンの場合、sは4である]。
【0049】
または、適するシアン化物不含金属塩は一般式(IV)で表される:
【化7】
[式中、Mは金属カチオンMo
6+およびW
6+から選択され、
Xは1種以上のアニオン種、好ましくはハロゲン化物イオン(すなわちフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、シュウ酸イオンおよび硝酸イオンからなる群から選択されるアニオンである;
X=硫酸イオン、炭酸イオンまたはシュウ酸イオンの場合、tは3であり、
X=ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオンまたは硝酸イオンの場合、tは6である]。
【0050】
適するシアン化物不含金属塩の例には、例えば、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酢酸亜鉛、アセチルアセトネート亜鉛、安息香酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸鉄(II)、臭化鉄(II)、塩化鉄(II)、塩化コバルト(II)、チオシアン酸コバルト(II)、塩化ニッケル(II)および硝酸ニッケル(II)が挙げられる。また、様々な金属塩の混合物も使用できる。
【0051】
複金属シアン化物化合物の製造に適する金属シアン化物塩は、好ましくは一般式(V)で表される:
【化8】
[式中、M'は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)およびV(V)からなる群から選択される1以上の金属カチオンであり;M'は、好ましくはCo(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)およびNi(II)からなる群から選択される1以上の金属カチオンであり、
Yは、アルカリ金属(すなわちLi
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+)およびアルカリ土類金属(すなわちBe
2+、Ca
2+、Mg
2+、Sr
2+、Ba
2+)からなる群から選択される1以上の金属カチオンであり、
Aは、ハロゲン化物イオン(すなわちフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、シュウ酸イオンまたは硝酸イオンからなる群から選択される1以上のアニオンであり、
a、bおよびcは整数であり、a、bおよびcの価数は、金属シアン化塩の電気的中性が得られるように選択される;aは好ましくは1、2、3または4;bは好ましくは4、5または6;cは好ましくは0である]。
【0052】
適する金属シアン化物塩の例には、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアノコバルト(III)酸カルシウムおよびヘキサシアノコバルト(III)酸リチウムが含まれる。
【0053】
本発明のDMC触媒に含まれる好ましい複金属シアン化物化合物は、一般式(VI)で表される:
【化9】
[式中、Mは式(I)〜(IV)で規定され、
M'は式(V)で規定され、
x、x'、yおよびzは整数であり、複金属シアン化物化合物の電気的中性が得られるように選択される]。
【0054】
好ましくは、x=3、x'=1、y=6およびz=2、
M=Zn(II)、Fe(II)、Co(II)またはNi(II)および
M'=Co(III)、Fe(III)、Cr(III)またはIr(III)である。
【0055】
好ましく用いられる複金属シアン化物化合物の例は、ヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛、ヘキサシアノイリジウム(III)酸亜鉛、ヘキサシアノ鉄(III)酸亜鉛およびヘキサシアノコバルト(III)酸コバルト(II)である。適当な複金属シアン化物化合物の更なる例は、例えばUS5158922A1に記載されている。ヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛が特に好ましく用いられる。
【0056】
DMC触媒の製造において添加される有機錯体配位子は、例えばUS5158922A1、US3404109A1、US3829505A1、US3941849A1、EP700949A1、EP761708A1、JP4145123A1、US5470813A1、EP743093およびWO97/40086A1に開示されている。例えば、酸素、窒素、リンまたは硫黄等のヘテロ原子を有する水溶性有機化合物は、複金属シアン化物化合物と錯体を形成することができ、有機錯体配位子として用いられる。好ましい有機錯体配位子は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、エステル、アミド、ウレア、ニトリル、スルフィドおよびその混合物である。特に好ましい有機錯体配位子は、脂肪族エーテル(例えばジメトキシエタン)、水溶性脂肪族アルコール(例えばエタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、2-メチル-3-ブテン-2-オールおよび2-メチル-3-ブチン-2-オール)、および脂肪族または脂環式エーテル基と脂肪族ヒドロキシル基とのいずれも含む化合物(例えば、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルおよび3-メチル-3-オキセタン-メタノール)である。最も好ましい有機錯体配位子は、ジメトキシエタン、tert-ブタノール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルおよび3-メチル-3-オキセタン-メタノールからなる群から選択される1以上の化合物である。
【0057】
本発明において好ましいDMC触媒の製造には、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル、ポリアルキレングリコールグリシジルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド-co-アクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリ(アクリル酸-co-マレイン酸)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ(N−ビニルピロリドン-co-アクリル酸)、ポリビニルメチルケトン、ポリ(4−ビニルフェノール)、ポリ(アクリル酸-co-スチレン)、オキサゾリンポリマー、ポリアルキレンイミン、マレイン酸およびマレイン酸無水物コポリマー、ヒドロキシエチルセルロースおよびポリアセタール、またはグリシジルエーテル、グリコシド、多価アルコールのカルボン酸エステル、胆汁酸もしくはそれらの塩、それらのエステルもしくはアミド、シクロデキストリン、リン化合物、α,β-不飽和カルボン酸エステルもしくはイオン界面活性化合物からなる化合物から選択される1種以上の錯体形成成分が所望により使用される。
【0058】
本発明における好ましいDMC触媒の製造において、好ましくは、第1工程において、金属シアン化物塩に基づいて化学量論上過剰量(少なくとも50モル%過剰量)で用いた金属塩(例えば塩化亜鉛)と金属シアン化物塩(例えばヘキサシアノコバルト酸カリウム)の水溶液(すなわち、少なくともシアン化物不含金属塩と金属シアン化物塩のモル比が2.25〜1.00である水溶液)が、有機錯体配位子(例えばtert-ブタノール)の存在下で反応することにより、複金属シアン化物化合物(例えばヘキサシアノコバルト酸亜鉛)、水、過剰量のシアン化物不含金属塩、および有機錯体配位子を含む懸濁液が生成する。有機錯体配位子は、シアン化物不含金属塩および/もしくは金属シアン化物塩の水溶液に存在してよく、または複金属シアン化物化合物の沈殿後に得られる懸濁液に直接添加してもよい。シアン化物不含金属塩および金属シアン化物塩の水溶液および有機錯体配位子を強く撹拌して混合するのが有利である。次に、第1工程において生成した懸濁液を更なる錯体成分を用いて必要に応じて処理する。錯体形成成分を、好ましくは水および有機錯体配位子を有する混合物中で用いる。第1工程(すなわち懸濁液の生成)を行うための好ましい方法は、混合ノズルを用いて行われ、特に好ましくはWO01/39883A1に記載されている噴出分散器を用いて行われる。
【0059】
第2工程において、固体(すなわち本発明における触媒における前駆体)を、既知の方法、例えば遠心分離またはろ過等によって懸濁液から分離する。
【0060】
触媒の製造に関する好ましい変形例では、第3工程において、分離した固体を有機錯体配位子の水溶液を用いて洗浄する(例えば再懸濁し、次にろ過または遠心分離による再分離によって行われる)。このように、例えば、塩化カリウム等の水溶性副生成物を本発明における触媒から除去できる。好ましくは、洗浄水溶液中の有機錯体配位子の量は、溶液全体に基づき、40〜80重量%である。
【0061】
所望により、第3工程において、更なる錯体形成成分を、溶液全体に基づき0.5〜5重量%の範囲で洗浄水溶液に添加する。
【0062】
分離した固体を2回以上洗浄することがさらに有利である。このために、例えば最初の洗浄操作を繰り返してよい。しかし、更なる洗浄操作のために、非水溶液、例えば有機錯体配位子および更なる錯体形成成分の混合物等を用いることが好ましい。
【0063】
次いで、分離して任意に洗浄した固体を、必要であれば粉状化後に、一般に20〜100℃の温度、一般に0.1mbarから標準圧(1013mbar)の圧力下にて乾燥する。
【0064】
ろ過、ろ過ケーキ洗浄および乾燥によって、懸濁液から本発明におけるDMC触媒を分離する好ましい方法は、WO01/80994A1に記載されている。
【0065】
工程a)において使用するDMC触媒の濃度は、製造されるヒドロキシル基含有プレポリマーの量に基づき、5〜1000ppm、好ましくは10〜900ppmおよび特に好ましくは20〜800ppmである。続くアミン付加で用いる要件に応じて、DMC触媒を生成物中に残存させてもよく、または(一部分を)除去してよい。DMC触媒の(一部分)除去は、例えば吸着剤で処理することにより行うことができる。DMC触媒の分離方法は、例えば、US4987271A1、DE3132258A1、EP406440A1、US5391722A1、US5099075A1、US4721818A1、US4877906A1およびEP385619A1に記載されている。
【0066】
水素官能性スターター化合物がDMC触媒と接触する前に、水素官能性スターター化合物中の塩基の痕跡を中和するために、少量の無機鉱酸、好ましくはリン酸を、水素官能性スターター化合物に添加できる。
【0067】
本発明の方法を、複金属シアン化物触媒を用いて行う場合、まず、反応装置内に水素官能性スターター化合物および触媒を導入し、アルキレンオキシド化合物および所望による更なる成分の一部分を計量添加し、次いで、不飽和環状カルボン酸無水物を添加することが有利である。このようにすることで、まず、二重結合を含まないポリマー骨格を水素官能性スターター化合物から構成できる。上記アルキレンオキシド化合物および任意付加的なコモノマーの全てを、この目的で使用できる。一般に、水素官能性スターター化合物へのアルキレンオキシド化合物の付加反応が完了したとき、不飽和環状カルボン酸無水物を反応混合物に供給する。
【0068】
不飽和環状カルボン酸無水物を添加した後、アルキレンオキシド化合物、および所望による更なるコモノマーを再び添加する。アミン官能基とヒドロキシル基の間隔は、添加した不飽和環状カルボン酸無水物量に応じた量のアルキレンオキシド化合物を添加することにより、上述のように調整でき、特に、ツェレビチノフ活性水素原子1モル当たり、1モルより多いアルキレンオキシド化合物を添加する。2つの官能基の間隔は、さらなるコモノマーを添加することにより調整され得る。上述のように、カルボン酸無水物が完全に反応した場合、更なるカルボン酸無水物と更なるアルキレンオキシド化合物を添加することにより、ツェレビチノフ活性水素原子1モル当たり2つ以上のアミン官能基を導入できる。
【0069】
本発明の方法における工程a)を、以下において詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されない。
【0070】
本発明の方法の一態様において、水素官能性化合物を、まず、DMC触媒と共に、反応装置/反応装置系中に導入する。水素官能性化合物がDMC触媒と接触する前に、水素官能性スターター化合物中の塩基の痕跡を中和するために、または、工程をより安定なものにするために、少量の無機鉱酸、好ましくはリン酸を、水素官能性化合物に所望により添加できる。
【0071】
50〜160℃、特に60〜140℃、最も好ましくは70〜140℃の温度まで加熱した後、方法の好ましい変形例においては、反応装置の内容物を、撹拌しながら、好ましくは10〜60分間かけて不活性ガスでストリッピングする。不活性ガスでストリッピングする場合、真空条件下、5〜500mbarの絶対圧にて、液相内を不活性ガスが通過することにより、揮発性成分が除去される。反応装置に導入した水素官能性化合物の量に基づき、所望による、少量の不飽和環状カルボン酸無水物および/または更なるコモノマーを予め含有する、一般に5〜20重量%の1種以上のアルキレンオキシドを計量添加した後、DMC触媒が活性化される。
【0072】
反応装置の内容物を50〜160℃、好ましくは60〜140℃、特に好ましくは70〜140℃に加熱する前、加熱する間、または加熱した後、1種以上のアルキレンオキシドと、所望による少量の不飽和環状カルボン酸無水物および/または更なるコモノマーを添加することができ、この添加は、好ましくはストリッピング後に行われる。触媒の活性化は、反応装置圧の急激な低下により示され、このことは、アルキレンオキシド転化の開始/不飽和環状カルボン酸無水物の転化を意味する。
【0073】
次いで、アルキレンオキシドまたはアルキレンオキシド混合物の所望量と、所望による、計量添加される不飽和環状カルボン酸無水物および/または更なるコモノマーの所望量とを、反応混合物に連続的に供給でき、選択される反応温度は20〜200℃、好ましくは50〜160℃である。多くの場合、反応温度は活性化温度と同一である。不飽和環状カルボン酸無水物を計量添加する前に、反応抑制剤、例えば、フェノール誘導体、ビタミンEまたはフェノチアジンなどを、所望により、反応混合物または水素官能性化合物に添加できる。
【0074】
触媒の活性化は、多くの場合、非常に速いので、触媒活性化のためにアルキレンオキシドの一部分を分けて計量添加すること、および/または不飽和環状カルボン酸無水物の一部分を分けて計量添加することを省略でき、また、アルキレンオキシドの連続計量添加および不飽和環状カルボン酸無水物の連続計量添加を直接開始してもよく、必要に応じて、最初は、低い計量添加速度で開始してもよい。また、反応温度を、アルキレンオキシド計量添加工程および/または不飽和環状カルボン酸無水物の計量添加工程に関して記載した範囲内で変動させることができる。アルキレンオキシドと環状カルボン酸無水物を、異なる方法で反応装置に供給できる。気相内に計量添加すること、または液相内に直接計量添加すること、例えば、浸漬管または、反応装置の底部に近接し、十分に混合される領域に配置した環状分配器を介して計量添加できる。
【0075】
DMC触媒法では、液相中へ計量添加することが、好ましい変形例である。
【0076】
アルキレンオキシドと不飽和環状カルボン酸無水物を、使用する反応装置系の安全圧力限界を超えないようにして反応装置に連続供給すべきである。特に、エチレンオキシド含有アルキレンオキシド混合物または純エチレンオキシドを同時に計量添加する場合、計量添加の開始時および計量添加工程において、反応装置中に十分な不活性ガス分圧を保持しなければならない。このことは、例えば、希ガスまたは窒素を用いて達成できる。
【0077】
液相内へ計量添加する場合は、例えば、環状分配器の底部に計量添加孔を装備することにより、計量添加装置を自己流出できるように設計すべきである。一般に、計量添加単位およびスターター物質貯蔵部内への反応媒体の逆流を、装置関連の対策、例えば逆止弁の設置により、防止すべきである。アルキレンオキシドおよび/またはカルボン酸無水物混合物を計量添加する場合、対象となるアルキレンオキシドと不飽和環状カルボン酸無水物を、別個に反応装置に供給してもよく、混合物の形態で反応装置に供給してもよい。複数のアルキレンオキシド相互の事前混合、およびアルキレンオキシドと不飽和環状カルボン酸無水物の事前混合を、例えば、一般的な計量添加ラインに配置した混合装置(「インラインブレンド」)により行うことができる。アルキレンオキシドおよび所望による不飽和環状カルボン酸無水物を別個にまたは事前混合形態で、例えば、熱交換器を介して誘導される再循環ループ内へポンプ圧側で計量添加することが有利である。反応媒体との完全な混合を行うために、アルキレンオキシド流および/またはカルボン酸無水物流および/または反応媒体流内に高せん断混合装置を組み込むことが有利である。発熱開環付加反応の温度を、冷却により所望の温度に保つ。発熱反応用の重合反応装置の設計に関する先行技術によると(例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第B4巻, 第167頁以降, 第5版, 1992参照)、このような冷却は、一般に反応装置壁(例えば、二重壁ジャケット、半管コイル)を介して行われ、ならびに、反応装置の内部に配置した更なる熱交換表面および/または再循環ループ外部に配置した更なる熱交換表面、例えば、冷却コイル、冷却栓、冷却板、冷却管束または熱交換ミキサーを用いて行われる。これらは、計量添加工程の開始時、すなわち、少量の充填量であっても、効果的に冷却できるように設計されるべきである。
【0078】
一般に、反応装置の内容物の完全な混合は、常套の撹拌要素の構成および使用により、反応の全工程において確保すべきであり、特に、一以上のステージに配置した撹拌機、または充填高さ全体におよぶ広範囲にわたって撹拌できる撹拌機を用いることが、本発明において適している(例えば、Handbuch Apparate; Vulkan-Verlag Essen, 第1版. (1990), 第188-208頁参照)。これに適した技術は、一般に0.2〜5W/lの範囲にある混合エネルギーを反応装置内容物全体に亘り平均的に導入することであり、所望によっては、低い充填水準にて、相応のより高い局所エネルギーを撹拌要素自体の周囲で印加することを伴う。最適な撹拌作用をもたらすために、反応容器の底部全体に亘り広がりを得る、バッフル(例えば平面状または管状バッフル)と冷却コイル(または冷却栓)との組合せを、先行技術にしたがって反応装置に配置できる。また、混合装置の撹拌効率は、反応の重要な工程において特に高いエネルギー入力を確保するために、充填水準に応じて、計量添加工程中に変化できる。例えば、反応の開始時に存在し得る固体含有分散体としてスクロースを用いる場合、特に強く混合することが有利である。
【0079】
さらに、特に固体の水素官能性スターター化合物を用いる場合、撹拌装置の選択によって、反応混合物における固体の十分な分散を確保するべきである。底部配置した撹拌ステージ、特に懸濁に適する撹拌要素が、本発明において好ましく用いられる。また、撹拌器の形状は、反応生成物の発泡の低減に寄与すべきである。反応混合物の発泡は、例えば、計量添加の終了後および後反応工程の後、1〜500barの範囲の絶対圧の真空下で残存エポキシドを除去する場合に観察できる。液体表面の連続的な完全混合をもたらす撹拌要素が、このような条件に特に適している。必要に応じて、撹拌軸は容器内に底部ベアリングおよび所望による更なる支持ベアリングを有する。撹拌軸は、(中心配置または偏心配置して)上部または底部から駆動できる。
【0080】
あるいは、熱交換器に導かれる再循環ループを用いることだけで必要な混合を完全に行うことも可能であり、または、撹拌装置に加えて、更なる混合要素として再循環ループを操作することができ、反応装置の内容物は必要により再循環し得る(一般に、1時間当たり1〜50回)。
【0081】
非常に多種多様な反応装置が、本発明の方法を行うのに適当している。1:1〜10:1の高さ/直径比を有する円筒型容器が好ましく用いられる。反応装置の適当な底部は、例えば、球状、皿状、平面状または円錐状の底部である。
【0082】
工程a)における、アルキレンオキシドの計量添加と、不飽和環状カルボン酸無水物の計量添加と、更なるコモノマーの計量添加に続いて、残存アルキレンオキシドおよび/または不飽和環状カルボン酸無水物および/または更なるコモノマーを完全に反応させ後反応工程を設けてもよい。さらなる圧力降下が反応容器内で検出できなくなった時、この後反応工程は終了する。未反応のアルキレンオキシドおよび/または不飽和環状カルボン酸無水物の痕跡を、反応工程の後に、所望により真空内で、1〜500mbarの絶対圧にて、またはストリッピングにより、定量的に除去できる。ストリッピングの場合、液相内に不活性ガスまたは水蒸気を通過させ、さらに、真空条件にすることにより(例えば、5〜500mbarの絶対圧にて不活性ガスを通過させることにより)、揮発性成分、例えば、(残留)アルキレンオキシドなどが除去される。真空下にて、またはストリッピングによる揮発性成分、例えば、未反応のエポキシドの除去を、好ましくは撹拌しながら、20〜200℃、好ましくは50〜160℃の温度で行う。このようなストリッピング操作を、不活性ガスまたは水蒸気の流れが生成物流れに向流で通過する、いわゆるストリッピングカラム中で行うことができる。不活性ガスによるストリッピングは、好ましくは、水蒸気の不存在下で行われる。一定の圧力に達した後に、または揮発性成分を真空および/またはストリッピングによって除去した後、生成物を反応装置から排出できる。
【0083】
方法の変形例(A)において、工程a)における環状カルボン酸無水物の計量添加は、アルキレンオキシド計量添加および/または更なるコモノマーの計量添加を中断し、場合により、後反応工程の後に、不飽和環状カルボン酸無水物を反応装置に供給し、所望量の不飽和環状カルボン酸無水物の供給後、アルキレンオキシド計量添加および/または更なるコモノマーの計量添加を再開する方法により行うことができる。この手順は、もちろん、1つの反応バッチ中に数回繰り返すことができる。この方法において、最終的に得られるアルキレンオキシドブロックが、スターター化合物として使用する水素官能性化合物由来の活性水素原子1モル当たり1モルより多いアルキレンオキシドを含有することが特に好ましい。この場合にも、不飽和環状カルボン酸無水物を計量添加する前に、反応抑制剤、例えば、フェノール誘導体、ビタミンEまたはフェノチアジンなどを、所望により、反応混合物または水素官能性化合物に添加できる。
【0084】
また、計量添加工程において、計量添加するアルキレンオキシド量と計量添加する不飽和環状カルボン酸無水物量との比が連続的または段階的に変化すること、すなわち、これら2成分の一般的な計量添加を、例えば、不飽和環状カルボン酸無水物の計量添加流とアルキレンオキシドおよび/または複数のアルキレンオキシドの計量添加流との比が0:1〜1:0値となるようにして、行うことができる。
【0085】
DMC触媒の特徴は、例えば、多量のスターター、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ソルビトールまたはスクロース、および反応混合物の極性不純物に由来する高濃度のヒドロキシル基に対して顕著な感受性を示すことである。それ故に、反応開始段階において、DMC触媒を重合活性な形態に転化できない。不純物は、例えば、水、または近接して多数のヒドロキシル基を有する化合物、例えば炭水化物および炭水化物誘導体である。ヒドロキシル基に近接するまたは隣接するカルボニル基を有する物質も、触媒活性に悪影響を及ぼす。それにもかかわらず、高濃度のOH基を有するスターター、または触媒毒としてみなされる不純物を有するスターターをDMC触媒アルキレンオキシド付加反応に使用できるようにするためには、ヒドロキシル基濃度をより低くするか、触媒毒を無害にすべきである。その目的のため、まず、塩基触媒作用によってこのスターター化合物からプレポリマーを製造し、次いで、該プレポリマーを後処理した後に、DMC触媒作用によって、高モル質量の望ましいアルキレンオキシド付加生成物に転化できる。このプレポリマーには、例えば、スターターとして適当な上述した「事前調製アルキレンオキシド付加生成物」が含まれる。この方法は、プレポリマーを介して導入した微量の塩基性触媒によってDMC触媒が失活しないように、塩基触媒作用により得られたプレポリマーを非常に注意深く後処理しなければならない。
【0086】
この問題は、スターター化合物を反応装置内に導入せず、反応の間に、アルキレンオキシドと共に反応装置に連続的に供給する、いわゆる連続スターター計量添加法により解消できる。この方法において、プレポリマーを、反応のためのスターター媒体として導入でき、また、製造される少量の生成物をスターター媒体として使用することもできる。したがって、最初に、更なるアルキレンオキシド付加に適するプレポリマーを個別に製造する必要性が無くなる。
【0087】
したがって、本発明の製造方法の工程a)における変形例(B)においては、スターターポリオールとDMC触媒を反応系に導入し、水素官能性化合物を、アルキレンオキシドと不飽和環状カルボン酸無水物と共に連続的に供給する。工程a)におけるスターターポリオールとして適当なものは、アルキレンオキシド付加生成物、例えば、いずれの場合においても、3〜1000mg KOH/gの範囲、好ましくは3〜300mg KOH/gの範囲のOH価を有する、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルカーボネートポリオールまたはポリエーテルカーボネートポリオール、および/または、工程a)において別途生成した中間生成物である。工程a)において別途生成した中間生成物は、工程a)におけるスターターポリオールとして好ましく使用される。
【0088】
この方法B)のやや好ましくない変形例において、三成分の計量添加工程中に、計量添加するアルキレンオキシドと計量添加する不飽和環状カルボン酸無水物との計量添加比は連続的または段階的に変化でき、不飽和環状カルボン酸無水物の計量添加流とアルキレンオキシドおよび/または複数のエポキシドの計量添加流の比は、0:1〜1:0である。この態様は、工程a)における中間体生成物が、あまり均質でない形態で製造されるので、やや好ましくない。
【0089】
工程a)の態様B)において、水素官能性化合物の計量添加と、アルキレンオキシドおよび不飽和環状カルボン酸無水物の計量添加が、好ましくは同時に終了するように行われ、あるいは、まず、水素官能性化合物とアルキレンオキシドの第一分量および不飽和環状カルボン酸無水物の第一分量とを共に計量添加し、次いで、アルキレンオキシドの第二分量および不飽和環状カルボン酸無水物の第二分量を計量添加してもよく、アルキレンオキシドの第一分量および第二分量と、不飽和環状カルボン酸無水物の第一分量および第二分量の合計は、工程a)において使用する1種以上のアルキレンオキシドまたは1種以上の不飽和環状カルボン酸無水物の総量に一致する。アルキレンオキシドの第一分量は、工程a)において計量添加されるアルキレンオキシド総量の好ましくは60〜98重量%であり、第二分量は、該総量の40〜2重量%である。不飽和環状カルボン酸無水物の第一分量は、工程a)において計量添加される1種以上の不飽和環状カルボン酸無水物総量の好ましくは0〜100重量%であり、第二分量は該総量の100〜0重量%である。
【0090】
アルキレンオキシドの組成、および/または1種以上の不飽和環状カルボン酸無水物の組成および/または計量添加速度が、水素官能性化合物の計量添加の終了後に変化する場合、マルチブロック構造を有する生成物を方法の変形例B)に基づき製造できる。また、方法の変形例B)において、不飽和環状カルボン酸無水物の計量添加は、アルキレンオキシドの計量添加前に終了し、特に好ましくは、この末端アルキレンオキシドブロックを、スターター化合物として使用する水素官能性化合物に由来する活性水素原子の1モル当たり1モルより多いアルキレンオキシド量を含有するように計量添加する。反応成分の計量添加に続いて後反応工程を行うことができ、該工程においては、圧力のモニタリングにより、アルキレンオキシドおよび/または不飽和環状カルボン酸無水物の消費量を定量できる。一定の圧力に達したとき、上述のように、生成物を所望により真空にすることにより、またはストリッピングにより未反応のアルキレンオキシドを除去することにより、生成物を取り出すことができる。
【0091】
本発明の製造方法における工程a)の変形例C)においては、中間生成物を全て連続的に製造できる。その目的のために、DMC触媒を、アルコキシル化条件下、アルキレンオキシドおよび水素官能性化合物ならびに不飽和環状カルボン酸無水物と共に、反応装置または反応装置系に連続的に供給し、予め選択した平均滞留時間が経過した後、生成物を、反応装置または反応装置系から連続的に除去する。方法の変形例C)では、1種以上のアルキレンオキシドのみを連続的に計量添加する第三の連続運転反応装置を後反応装置および実反応装置の間に配置した、反応装置カスケードを反応装置として使用することが好ましい。方法の変形例C)の特に好ましい態様において、最終的なアルキレンオキシドブロックは、スターター化合物として使用する水素官能性化合物に由来する活性水素原子の1モル当たり1モルより多いアルキレンオキシドを含有する。
【0092】
連続する後反応工程を、例えば、反応装置カスケードまたは管状反応装置中で行い得る。上述のように、揮発性成分を真空条件下および/またはストリッピングにより除去できる。
【0093】
DMC触媒付加工程a)より得られる不飽和ポリエーテルエステルポリオールのOH価は、好ましくは3〜200mg KOH/g、特に好ましくは10〜60mg KOH/g、最も好ましくは20〜50mg KOH/gの値を有する。
【0094】
OH価は、例えば、DIN 53240に規定される滴定分析により、またはNIRによる分光法により決定できる。
【0095】
当量モル質量は、活性水素原子を含む物質の全質量を活性水素原子数で割ったものを意味すると理解される。ヒドロキシル基含有物質の場合、OH価との関係は以下のとおりである:
【数1】
【0096】
老化防止剤、例えば、酸化防止剤を、本発明の方法の工程a)に基づき得ることができる中間生成物に所望により添加できる。
【0097】
本発明の方法の工程b)を、以下に詳細に説明する。この説明も、例として与えられ、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0098】
工程b)では、適当なアミンを、0℃〜150℃、好ましくは10℃〜100℃、および特に好ましくは20℃〜80℃の温度で、工程a)で得た生成物と反応させる。第一級アミノ基と付加可能な二重結合とのモル比は、例えば、約1:1〜1.1:1である。反応を、酢酸銅、塩化スズまたは酢酸を用いて触媒できるが、触媒を添加させずに反応を行うことが好ましい。
【0099】
一般に、アミンを、不活性ガス条件下、反応容器中に存在する工程a)で生成した中間生成物に供給し、上記温度にて、1〜48時間撹拌する。アミンと工程a)で生成した中間生成物との予備混合は、例えば、常套の計量添加ラインに配置した混合装置を用いて行うことができる(「インラインブレンド」)。
【0100】
反応の進行は、常套の方法、例えば、オンラインもしくはオフラインでより行われるガスクロマトグラフィー分析、または分光法、例えば、NMRまたはIR分光法により追跡できる。未反応アミンまたは任意の過剰アミンの痕跡を、所望により、真空条件下、1〜500mbarの絶対圧での反応工程後、またはストリッピングにより、定量的に除去できる。
【0101】
工程a)で得られる成分とアミンまたは複数のアミンとの工程b)における反応は、原則として、工程a)における成分の製造を行った反応装置と同じ装置を用いて行える。しかし、反応装置に残存するアミンの痕跡は、次のDMC触媒工程a)の遂行を妨げるので、工程b)における反応を異なる反応装置で行うことが好ましい。
【0102】
一般的に、ポリウレタン(ウレア)用途向けのポリオールを、不活性ガス雰囲気下で常に取り扱うことが有利である。このことは、特に、触媒分離前にアルカリ金属ヒドロキシド触媒作用により生成する、常套のアルカリ性ポリエーテルポリオール、またはアミン触媒作用により得られる生成物に対して特に当てはまる。また、酸素を排除して取り扱うことおよび貯蔵することが、無塩の後処理生成物および安定した中間生成物、ならびに最終生成物に対して推奨され、あるいはDMC触媒作用を用いて製造した中間生成物および最終生成物に推奨される。同じことが、本発明の製造方法により得られるヒドロキシ−アミノポリマー、および工程a)により得られるその前駆体にも当てはまる。適当な不活性ガスは、例えば、希ガス、窒素または二酸化炭素であり、希ガスまたは窒素が特に適当である。酸素の侵入を防止することにより、生成物の変色を、可能な限り最大限に回避でき、このことは、特に、一般に粘度を低下させることによって(中間)生成物の取り扱いを容易にするために使用される高温域で当てはまる。さらに、不活性ガス雰囲気下では、過酸化物基が顕著に少なくなる。この過酸化物基は、エーテル結合の開裂を伴いながら、例えば、アセトアルデヒド、メタノール、ギ酸、ギ酸エステル類、アセトンおよびホルムアルデヒドなどの更に低分子量の酸化分解生成物を生成する。したがって、不活性ガス雰囲気下では、(中間)生成物の高揮発性有機化合物の含有量を下げることができ、臭気公害、健康損害および品質の低下を回避できる。
【0103】
本発明は、さらに、本発明の方法により得ることができるヒドロキシ−アミノポリマーに関し、アルキレンオキシド化合物量とカルボン酸無水物量との比は、少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1、特に好ましくは少なくとも2.5:1であり、より好ましくはヒドロキシ−アミノポリマーは精製を必要としない。
【0104】
特に好ましくは、本発明のヒドロキシ−アミノポリマーは、一般式(VII)で表される構造を有する:
【化10】
[式中、「スターター」は、水素官能性スターター化合物の基を表し、
Aは、以下(VIIIa)または(VIIIb)で表される構造を有するアスパルテート基を表す:
【0105】
【化11】
(式中、
R2およびR3は、相互に独立して、水素、脂肪族基または芳香族基を表し、また、R2およびR3は、脂環式環系の一部であってよく、
R1は、水素、またはヘテロ原子(特に、窒素原子、または酸素原子)を含有してもよい脂肪族基、脂環式基または芳香族基、あるいはヒドロキシ基を表し、
R4、R5、R6およびR7は、相互に独立して、水素、脂肪族基または芳香族基を表し、R5およびR6は、脂環式環系の一部であってよい)、
lは、水素官能性スターター化合物のツェレビチノフ活性水素原子の数を表し、
m、nおよびoは、相互に独立して、整数であり、nおよびoは0または1以上であり、
mは2以上であり、
および、n、mは好ましくは2〜430、特に3〜430、好ましくは4〜430であり
oは好ましくは1〜100、特に1〜50、および好ましくは1〜10であり、
式(VII)で表される構造の当量モル質量は、18900g/モルの値を超えない。]
【0106】
したがって、式(VII)で表される上記構造において、変数oは、化合物の分枝ごとに独立して選択できる。
【0107】
さらに、本発明は、ポリイソシアネートと、本発明の方法により製造できるヒドロキシ−アミノポリマーとの反応により得ることができるポリウレタンウレアポリマーに関する。この目的に関して、本発明の方法により製造できるヒドロキシ−アミノポリマーは、単独でまたは所望による更なるイソシアネート反応性成分の混合状態で、有機ポリイソシアネートと、所望による発泡剤、触媒および所望による更なる添加剤(例えば気泡安定剤)の存在下で反応できるので、固体または発泡ポリウレタンウレア成分として使用できる。従って、本発明はまた、本発明のヒドロキシ−アミノポリマーを含有するポリウレタンウレア、好ましくは固体または発泡ポリウレタンウレア、特に、コーティング系を提供する。
【0108】
適当なポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族およびヘテロ環式ポリイソシアネートであり、例えば、W. Siefkenによる Justus Liebigs Annalen der Chemie, 562, 第75頁〜第136頁に記載されているもの、例えば、式(IX)で表される
【化12】
[式中、
n=2〜4、好ましくは2〜3、および
Qは、2〜18個の炭素原子、好ましくは6〜10個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、4〜15個、好ましくは6〜13個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、または8〜15個の炭素原子、好ましくは8〜13個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭水基である]ポリイソシアネートである。
【0109】
ポリイソシアネートの例は、例えば、EP0007502A1、第7頁〜第8頁に記載のポリイソシアネートである。例えば、好ましいポリイソシアネートは、商業的に容易に入手できるポリイソシアネートであり、例えば2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートおよびこれらの異性体の任意の混合物(「TDI」);ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、例えばアニリン−ホルムアルデヒド凝縮後にホスゲン処理することにより調製されたもの(「粗MDI」);およびカルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレア基あるいはビウレット基を含有するポリイソシアネート(「変性ポリイソシアネート」)、特に2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネートから、または4,4'−および/または2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートから誘導された変性ポリイソシアネートである。ウレタン基含有ポリイソシアネート(プレポリマー)は、例えば、ポリイソシアネートと、ポリリシノール酸エステルポリオールまたは任意所望の他のポリオール(例えば、常套のポリオール)との反応生成物であってもよい。2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート、4,4'−、2,4'−および2,2'−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(「多核MDI」)を含む群から選択される少なくとも1つの化合物をポリイソシアネートとして使用するのが好ましく、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートを含有する混合物を、ポリイソシアネートとして使用することが特に好ましい。
【0110】
上記ポリイソシアネートに加えて、常套のポリエーテルポリオールも、ポリウレタン(ウレア)ポリマーの製造に更に使用できる。本発明の範囲に含まれる常套のポリエーテルポリオールは、ツェレビチノフ活性水素原子を有するスターター化合物のアルキレンオキシド付加生成物である化合物であり、すなわち、ポリエーテルポリオールは、3mg KOH/g以上、1000mg KOH/g以下、好ましくは5mg KOH/g以上600mg KOH/g以下のDIN53240に従うヒドロキシル価を有する。このようなポリオールの例は、当業者に知られている。それは、3mg KOH/g以上、1000mg KOH/g以下、好ましくは5mg KOH/g以上600mg KOH/g以下のDIN53240に従うヒドロキシル価を有することができる。常套のポリエーテルポリオールを製造するのに使用するツェレビチノフ活性水素原子を有するスターター化合物は、大部分は、2〜8、好ましくは3〜6、特に好ましくは3の官能価を有し、スターター化合物は好ましくはヒドロキシ官能性である。ヒドロキシ官能性スターター化合物の例は、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、ヒドロキノン、ピロカテコール、レゾルシノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、およびホルムアルデヒドとフェノール、メラミンまたはウレアとのメチロール基含有縮合生成物である。スターター化合物として、グリセロールおよび/またはトリメチロールプロパンを使用することが好ましい。
【0111】
常套のポリエーテル用の適当なアルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドまたは2,3−ブチレンオキシドおよびスチレンオキシドである。好ましくは、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドが、混合物としてまたは連続して、それぞれ反応混合物に供給される。アルキレンオキシドを連続的に計量添加する場合、製造した生成物は、ブロック構造を有するポリエーテル鎖を有する。エチレンオキシドブロックを有する生成物は、例えば、系にイソシアネート反応性を有利にもたらす、第一級末端基濃度が増加していることを特徴とする。
【0112】
最後に、本発明は、ポリウレタンウレアポリマーの製造における本発明のヒドロキシ−アミノポリマーの使用に関する。
【実施例】
【0113】
本発明は、例示的な実施態様を参照して、以下の詳細を用いて説明される。
【0114】
測定方法および定量方法
OH価、酸価、アミン価および粘度
OH価の定量を、DIN 53240の規定に基づき行った。
酸価の定量を、DIN EN ISO 2114の規定に基づき行った。
アミン価定量を、DIN53176の規定に基づき行った。
粘度を、回転粘度計(Physica MCR 51、製造者Anton Pear)を用い、DIN 53018(スピンドル型CC27、せん断速度範囲16−128s
−1)の規定に基づき測定した。
【0115】
モル質量分布
モル質量分布は、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を用いて定量した。使用した装置は、Agilent製の装置Agilent 1100シリーズである。分子量分布M
w/M
nで表される多分散性PDが規定される[式中、M
wは重量平均分子量を表し、M
nは数平均分子量を表す]。この定量における更なる情報:
− カラム組み合わせ:1 PSSプレカラム、5μl、8×50mm;2 PSS SVD、5μl、100Å、8×300mm;2 PSS SVD、5μl、1000Å、8×300mm、PSSはカラムの製造元を表す(Polymer Standard Solutions、マインツ)
− 評価ソフト:PSS製のWIN GPC
− 溶媒:THF(Merck LiChrosolv)
− 流速:1ml/分
− 検出器型:RI検出器(屈折率)、Shodex RI 74
− 用いた公正基準:ポリスチレンに基づくPSS製の公正標準。
【0116】
使用した原料
アルキレンオキシド/酸無水物付加用触媒(DMC触媒)
ヘキサシアノコバルト酸亜鉛、tert-ブタノールおよび1000g/モルの数平均分子量を有するポリプロピレングリコールを含有する複金属シアン化物触媒;WO01/80994A1、実施例6に記載。
【0117】
Abbosol
(登録商標)
沈降、コロイド状の、合成により生成したケイ酸マグネシウム、PQ Europe製
【0118】
ポリオールA
KOH触媒を用い、エチレンオキシドをプロピレングリコールに付加することにより生成したポリエーテル;OH価:190 mg KOH/g、数平均モル質量:591g/モル
【0119】
実施例
A)DMC触媒作用によるアルキレンオキシド/無水マレイン酸コポリマーの製造(工程a)によるプレポリマー)
2リットルの実験室用オートクレーブに、窒素雰囲気下にて、233.7g(396mmol)のポリオールAおよび0.25gの85%リン酸を導入し、室温にて30分間撹拌した(800rpmの速度でプロペラ撹拌)。0.601gのDMC触媒の添加後、オートクレーブの内在物を、450rpmの速度で撹拌(プロペラ撹拌)すると共に、100〜120mbar絶対圧下、液面の下方に位置する分散環を用いて1分間あたり50mlの窒素を導入しながら、130℃にて30分間ストリップした。130℃にて、800rpmの速度で撹拌しながら、156.5gのプロピレンオキシドと469.7gのエチレンオキシドの混合物を、オートクレーブの上部空間内に2.02時間かけて計量添加した。計量添加は0.05barの絶対圧にて開始した。20分の後反応時間の後、混合物を室温まで冷却し、0.627gのビタミンEおよび77.9g(794mmol)の無水マレイン酸を、オートクレーブに添加した。充填ノズルを閉めた時点で、25℃にて4barの絶対圧まで4回窒素加圧し、次いで、過剰圧力を大気圧に下げ解放することで残留酸素を除去した。80℃まで加熱後、65.6gのプロピレンオキシドと197.0gのエチレンオキシドの混合物を、オートクレーブの上部空隙内に2.65時間かけて計量添加した。30分の後反応時間の後、生成物を30分間80℃、10mbar絶対圧にて加熱し、次いで、0.214gのビタミンEを添加した。
【0120】
1102.4gの中間生成物を、2リットルの三ツ口フラスコ内に導入した。窒素で3回排気および放出を行った後、88.2gのAbbosol
(登録商標)を80℃にて窒素向流で添加した。フラスコ内在物を80℃にて3時間撹拌し、さらに3時間、80℃および1mbar絶対圧にて加熱した。次いで、Abbosol
(登録商標)を、蒸気流(約100℃)で加熱した実験質用吸引フィルターを用いる濾過により分離した。
【0121】
生成した中間生成物は、25℃にて1854mPasの粘度、38mg KOH/gのOH価、および10ppmKOHの酸価を有していた。1.38の多分散性(M
w/M
n)を、サイズ排除クロマトグラフィーにより定量した。このような狭い多分散性は、重縮合反応により製造した不飽和ポリエステルでは得ることができない。なぜならば、重縮合反応により製造した生成物のモル質量は、シュルツ・フローリー分布に従うからである。一方、DMC触媒作用による本発明の方法により製造した中間生成物は、顕著に狭いポアソン分布を示す。
【0122】
A)で生成した中間生成物とN−ブチルアミンの反応(工程b))
100g(33.8mmol)の工程A)で生成した中間生成物を、還流冷却器、内部温度計、マグネチック撹拌子を備えた500ml四ツ首フラスコ内に導入した。窒素で3回排気および放出を行った後、5.0644g(69.2mmol)のN−ブチルアミンを、窒素向流で添加した。数分のうちに、フラスコの内部温度が26℃から34℃に上昇した。30分後、フラスコの内部温度は、マントルヒーターを用いることにより60℃まで上昇し、撹拌しながらその温度で4時間保持した。
【0123】
生成物の粘度は、25℃にて1635mPasであった。測定「OH価」は、73.4mg KOH/gであった。この特定の例における測定「OH価」は、アミン価と実OH価の合計である。アミン価は35mg KOH/gであり、この値は測定「OH価」の約半分に相当する。前駆体中におけるMSA導入の化学量論は、1つのOH基あたり1つのMSAを使用するように選択した。結果は、事実上全ての二重結合が反応したことを示している。