(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2つの鎖末端を有する(パー)フルオロポリエーテル化合物の製造方法であって、片方または両方の鎖末端が任意選択的に置換された芳香族基に−炭素−炭素−結合によって共有結合した−CF2−基であり、前記方法が(パー)フルオロポリエーテルペルオキシド[ペルオキシド(P)]と任意選択的に置換された芳香族またはヘテロ芳香族化合物との反応を含み、
前記芳香族またはヘテロ芳香族化合物は、ベンゼン、安息香酸、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ニトロベンゼン、ピロカテコールおよびビス(トリフルオロメチル)アセテートであり;
互いに同じものであっても異なってもよい、前記芳香族またはヘテロ芳香族化合物は、1つまたは複数の置換基を有することができ、芳香族化合物上の前記置換基は、ハロゲン、(パー)ハロアルキル、ニトロ、アミノ、アミド、ニトリル、エステル基ならびにリンおよび硫黄含有基である、
方法。
2つの鎖末端を有する(パー)フルオロポリエーテル鎖を含む(パー)フルオロポリエーテル化合物を含むフッ素化オイルおよびグリース用の安定剤であって、片方または両方の鎖末端が、任意選択的に置換された芳香族またはヘテロ芳香族基に−炭素−炭素−結合によって共有結合した−CF2−基であり、前記芳香族またはヘテロ芳香族基が、ベンゼン、安息香酸、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ニトロベンゼン、ピロカテコールおよびビス(トリフルオロメチル)アセテートである、安定剤。
フッ素化オイルおよびグリース用の安定剤としての2つの鎖末端を有する(パー)フルオロポリエーテル鎖を含む(パー)フルオロポリエーテル化合物の使用であって、片方または両方の鎖末端が、任意選択的に置換された芳香族またはヘテロ芳香族基に−炭素−炭素−結合によって共有結合した−CF2−基である、使用。
2つの鎖末端を有する(パー)フルオロポリエーテル鎖を含む(パー)フルオロポリエーテル化合物を含む潤滑油組成物であって、片方または両方の鎖末端が、任意選択的に置換された芳香族またはヘテロ芳香族基に−炭素−炭素−結合によって共有結合した−CF2−基であり、
下記の式(III):
(T1−CF2O−Rf−CF2)n−T3 (III)
[式中:
− T1は、−F、−CF3、−CF2Cl、−COFから選択されるか、T3と同じものであるかのどちらかであり;
− Rfは、請求項2で定義されたような(パー)フルオロポリエーテル鎖であり;
− nは、1であり、
− T3は、任意選択的に置換された芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、
ただし、T3が置換芳香族またはヘテロ芳香族部分である場合には、この置換基は(パー)フルオロポリエーテル鎖ではなく、T3は、トリアリールホスフィン、トリアリールアルシン、トリアリールスチビン基および相当するオキシドを含まない]
に従う、潤滑油組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
このように、第1態様では、本発明は、2つの鎖末端を有する1つの(パー)フルオロポリエーテル鎖を含む(パー)フルオロポリエーテル化合物であって、片方または両方の鎖末端が芳香族またはヘテロ芳香族基に炭素−炭素結合によって共有結合した−CF
2−基である(パー)フルオロポリエーテル化合物を提供するための(パー)フルオロポリエーテルペルオキシドと任意選択的に置換された芳香族もしくはヘテロ芳香族化合物との反応を含む方法に関する。
【0012】
典型的には、本発明の方法は、1つまたは片方もしくは両方の鎖末端が芳香族またはヘテロ芳香族基に炭素−炭素結合によって共有結合した−CF
2−基である、2つの鎖末端を有する(パー)フルオロポリエーテル鎖を含む付加化合物[化合物(A)]を提供するための(パー)フルオロポリエーテルペルオキシドと任意選択的に置換された芳香族またはヘテロ芳香族化合物との反応を含む。本説明の目的のためには、表現「付加化合物」は、繰り返しフッ素化ブロックと繰り返し芳香族ブロックとを含む重縮合ポリマーを排除することを意図される。言い換えれば、両方の鎖末端が両方とも、芳香族またはヘテロ芳香族基に炭素−炭素結合によって共有結合した−CF
2−基である場合には、芳香族またはヘテロ芳香族基は、(パー)フルオロポリエーテル鎖で置換されていない。好ましい実施形態によれば、付加化合物(A)は2つの鎖末端を有する1つのシングル(パー)フルオロポリエーテル鎖を含み、1つまたは片方もしくは両方の鎖末端が芳香族またはヘテロ芳香族基に炭素−炭素結合によって共有結合した−CF
2−基である。
【0013】
本発明の目的のためには、(パー)フルオロポリエーテルペルオキシド[ペルオキシド(P)]は、sp
3炭素原子間に含まれる少なくとも1つのペルオキシド部分と少なくとも1つの完全にまたは部分的にフッ素化されたポリオキシアルケン鎖(鎖R
f)、すなわち、主鎖中にエーテル結合を含むフルオロカーボンセグメントとを含む(パー)フルオロポリエーテルペルオキシドである。
【0014】
表現「少なくとも1つのペルオキシド部分」は、ペルオキシド(P)が1つまたは2つ以上のペルオキシド部分を含むことを意味すると理解される。本明細書では以下、表現「ペルオキシド(P)」は、単数形および複数形の両方で理解されるものとする。
【0015】
ペルオキシド(P)のペルオキシド部分は、sp
3混成炭素原子間に含まれ:この配置により、ペルオキシド(P)の熱および貯蔵安定性は、−O−O−基が−C(O)−sp
2混成炭素原子と結合している、パーフルオロアルカノイルペルオキシドのそれよりも、とりわけ、有利には増加する。
【0016】
ペルオキシド(P)のフルオロポリオキシアルキレン鎖(R
f)は好ましくは、鎖に沿って統計的に分布した、繰り返し単位R°を含む鎖であり、前記繰り返し単位は、
(i)(CFXO)(式中、XはFまたはCF
3である);
(ii)(CF
2CF
2O);
(iii)式(CF
2CF
2CF
2O)、(CF
2CF(CF
3)O)および(CF(CF
3)CF
2O)の(C
3F
6O)単位;
(iv)(CF
2CF
2CF
2CF
2O);
(v)(CR
5R
6CF
2CF
2O)(式中、同一であっても異なってもよい、R
5およびR
6は、H、Clおよび1〜4個の炭素原子を含有するパーフルオロアルキルから選択される);
(vi)−(CF
2)
j−CFZ−O−[jが0〜3の整数であり、Zが一般式−OR
f’T{式中、R
f’は、0〜10の数の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であって、前記繰り返し単位が次のもの:−CFXO−、−CF
2CFXO−、−CF
2CF
2CF
2O−、−CF
2CF
2CF
2CF
2O−(式中、Xは独立してFまたはCF
3である)の中から選択されるフルオロポリオキシアルケン鎖であり、TはC
1〜C
3パーフルオロアルキル基である}の基である]
からなる基の中から選択される。
【0017】
好ましくは、ペルオキシド(P)のペルオキシド部分は、パーフルオロポリオキシアルキレン鎖中にランダムに分布している。
【0018】
ペルオキシド(P)は好ましくは、下記の式(I):
A−O−(CFXO)
c1(CF
2CF
2O)
c2(C
3F
6O)
c3(CF
2CF
2CF
2CF
2O)
c4(O)
p−B
式(I)
[式中:
− 互いに等しいか異なる、AおよびBは独立して、−CF
3、−CF
2−CF
3、−CF
2Cl、−CF
2CF
2Cl、−CF(CF
3)COF、−CF
2−COF、−COFから選択され;
− Xは、FまたはCF
3であり;
− 互いに等しいか異なる、c1、c2、c3、およびc4は独立して、整数≧0であり、pは、整数>0であり、ここで、c1、c2、c3、c4およびpは、ペルオキシドの平均数分子量が300〜150,000の範囲にあるように選択され、pは、ペルオキシド基−O−O−の含有率、または酸化力(OP)が0.02%〜4%、好ましくは0.2%〜4.0%、より好ましくは0.5%〜3%であるように選択される]
に従う。本説明の目的のためには、「酸化力」は、ペルオキシド(P)の100グラム当たりの活性酸素のグラムとして表される。酸化力を測定するための定量的な方法は、たとえば、BYNYARD,W.C.ら Perfluoropolyether Synthesis in Liquid Carbon Dioxide by Hexafluoroprolylene Photooxidation.Macromolecules.1999,no.32,p.8224−8226に、およびGUARDA、P.A.ら Peroxidic perfluoropolyether from tetrafluoroethylene oxidation:microstructural analysis by NMR spectroscopy and mechanistic considerations.Journal of Fluorine Chemistry.2005,no.126,p.685−697に開示されている。
【0019】
過酸化PFPEは、たとえば、米国特許第3442942号明細書(MONTEDISON SPA)、米国特許第3650928号明細書(MONTEDISON SPA)および米国特許第3665041号明細書(MONTEDISON SPA)の教示に従って酸素の存在下での、テトラフルオロエチレン(TFE)および/またはヘキサフルオロプロピレン(HFP)の光支援重合によって製造することができる。
【0020】
−(CF
2)
j−CFZ−O−単位を含有する過酸化PFPEは、たとえば、溶媒の存在下でおよび50℃以下の温度で、式CF
2=CFOXa[式中、Xaは、互いに等しいか異なる、1つまたは複数の基(R’O)
mR’’(ここで、m=0〜6であり、R’は基−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF(CF
3)−から選択され、R’’は、C
1〜C
10線状パーフルオロアルキル、もしくはC
3〜C
10分岐パーフルオロアルキル、またはC
3〜C
10環状パーフルオロアルキルから選択される)である]の1つまたは複数の(パー)フルオロアルキルビニルエーテルの、酸素およびUVの存在下での、重合によって米国特許第5144092号明細書(AUSIMONT SRL)に記載されているものに従って製造することができる。この方法は、TFEおよび/またはHFPの存在下でも実施することができる。さらに、たとえば、欧州特許出願公開第1454938 A号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA)、欧州特許出願公開第1524287 A号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA)を参照されたい。
【0021】
好ましくは、ペルオキシド(P)は、次の群:
(A)X
o−O(CF
2CF
2O)
r(CF
2O)
s(O)
p−X
o’
式(II−A)
[式中、
互いに等しいか異なる、X
oおよびX
o’は、−CF
2Cl、−CF
2CF
2Cl、−CF
3、−CF
2CF
3、−CF
2COF、−COFであり;
rおよびsは、整数≧0であり、pは、整数>0であり、ペルオキシドの数平均分子量が400〜150,000、好ましくは500〜80,000であるように選択され、pは、酸化力が上に定義された範囲にあるように選択される]
から選択される。
【0022】
好ましくは、rおよびsは両方ともゼロとは異なり、r/s比は、0.1〜10に含まれる。
【0023】
ここで上の式(IIA)に従うペルオキシド(P)は、とりわけ米国特許第3715378号明細書(MONTEDISON SPA)、米国特許第4451646号明細書(MONTEDISON SPA)、米国特許第5258110号明細書(AUSIMONT SRL)、米国特許第5744651号明細書(AUSIMONT SPA)の教示に従って、テトラフルオロエチレンオキシ重合によって製造することができる;
(B)X
1−O(CF
2CF
2O)
r(CF
2O)
s(CF(CF
3)O)
u(CF
2CF(CF
3)O)
v(O)
p−X
1’
式(II−B)
[式中:
互いに等しいか異なる、X
1およびX
1’は、−CF
2Cl、−CF
2CF
2Cl、−CF
2CF
3、−CF
3、−C
3F
7、−CF(CF
3)COF、−COF、−CF
2COF、−CF
2C(O)CF
3、−COFであり;
r、s、u、vは、整数≧0であり、pは、整数>0であり、ペルオキシドの数平均分子量が500〜150,000、好ましくは700〜80,000であるように選択され、pは、酸化力が上に定義された範囲にあるように選択される]
【0024】
好ましくはr、s、u、vはすべて整数>0であり、v/(r+s+u)比は<1である。
【0025】
ここで上の式(II−B)に従うペルオキシド(P)は、とりわけ米国特許第5000830号明細書(AUSIMONT SRL)および米国特許第3847978号明細書(MONTEDISON SPA)の教示に従って、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのオキシ重合によって製造することができる;
(C)X
2−O(CF
2CF
2O)
r(CF
2O)
s(CF
2(CF
2)
wCF
2O)
k(O)
p−X
2’
式(II−C)
[式中:
互いに等しいか異なる、X
2およびX
2’は、−CF
2COF、−COFであり;
wは、1または2であり;
r、s、およびkは、整数≧0であり、pは、整数>0であり、ペルオキシドの数平均分子量が500〜100,000であるように選択され、pは、酸化力が上に定義された範囲にあるように選択される]
好ましくはr、sおよびkは、すべて0>であり、r/s比は、典型的には0.2〜10であり、比k/(r+s)は一般に0.05よりも低い。
上の式(II−C)に従うペルオキシド(P)は、米国特許出願公開第2005192413号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA)の教示に従って製造することができる。
【0026】
表現「任意選択的に置換された芳香族またはヘテロ芳香族化合物」は、ラジカル水素引き抜きを受けない置換基を任意選択的に含有する任意の芳香族またはヘテロ芳香族化合物を意味することを意図し;たとえば、芳香環に、または窒素、酸素および硫黄のようなヘテロ原子に直接連結された第一級、第二級もしくは第三級炭素原子を含有するアルキル基で置換された芳香族またはヘテロ芳香族化合物は通常、本発明の方法に適合しない。当業者は、他の適合しない化合物を共通の一般知識に基づいて決定することができるであろう。
【0027】
芳香族化合物の例はC
6〜C
16芳香族化合物であり、一方ヘテロ芳香族化合物の例は、N、OおよびSから独立して選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有するC
5〜C
16芳香族化合物であり;芳香族またはヘテロ芳香族化合物はまた、上に定義されたような1つまたは複数の置換芳香族またはヘテロ芳香族化合物に共有結合していてもそれらと縮合していてもよい。
【0028】
本発明による好ましい芳香族およびヘテロ芳香族化合物の例は、ベンゼン、ビフェニル、フェナントレン、アントラセン、安息香酸、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ニトロベンゼン、メチルまたはエチルベンゾエート、ジメチルテレフタレート、ピロカテコールおよびビス(トリフルオロメチル)アセテートである。
【0029】
芳香族化合物上の好ましい置換基の例は、ハロゲン、(パー)ハロアルキル、ニトロ、アミノ、アミド、ニトリル、エステル基ならびにリンおよび硫黄含有基である。芳香族またはヘテロ芳香族化合物は、互いに同じものであっても異なってもよい、1つまたは複数の置換基を有することができる。
【0030】
本発明の方法は、連続、半連続または不連続条件下に実施することができる。
【0031】
選択される過酸化PFPEは典型的には、任意選択的にUV触媒作用下に、−80℃〜300℃から選択される温度で芳香族またはヘテロ芳香族化合物と反応させられる。特に、UV触媒作用は、温度が150℃よりも低いときに有利であり;UV触媒作用の不在下では、好ましい温度範囲は70〜300℃;より好ましくは、それは100〜250℃である。
【0032】
典型的には、圧力は、周囲圧力〜2000kPaの範囲である。
【0033】
過酸化PFPE中のペルオキシド基と芳香族化合物との間のモル比は典型的には0.01〜100、より好ましくは0.1〜50、さらにより好ましくは0.5〜10の範囲である。
【0034】
反応は典型的には、反応温度に従って、10分〜24時間の時間範囲で完了し;反応が200℃で実施されるときには、反応時間は典型的に8時間である。
【0035】
反応は、バルクで、または溶媒の存在下で、のどちらかで実施することができ;好適な溶媒には、(パー)フルオロポリエーテル、たとえばGalden(登録商標)(パー)フルオロポリエーテル、ハイドロフルオロ(ポリ)エーテル、パーフルオロブチルアミン、クロロフルオロカーボン(CFC)、フルオロカーボン(FC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、(パー)フルオロポリエーテルが含まれ、好ましい。H−Galden(登録商標)PFPEのような(パー)フルオロポリエーテルおよびハイドロフルオロ(ポリ)エーテルが好ましい。特に、溶媒は、過酸化PFPEの過酸化物価(PO)が2.5よりも高いときに好ましくは使用される。
【0036】
好ましくは、過酸化PFPEと芳香族またはヘテロ芳香族化合物と任意選択の溶媒との反応混合物は、攪拌下に保たれる。
【0037】
一実施形態によれば、試薬と任意の溶媒とは室温で混合され、次に温度が所望の値まで徐々に上げられる。代わりの実施形態によれば、試薬の1つが所望の反応温度にされ、次に他のものが徐々に加えられる。
【0038】
本発明の方法は、片方または両方の鎖末端が任意選択的に置換された芳香族もしくはヘテロ芳香族部分に−炭素−炭素−結合によって結合した−CF
2−基である、2つの鎖末端を有する(パー)フルオロポリエーテル鎖(鎖R
f)を含有するPFPE化合物を得ることを可能にする。エーテル結合は、(パー)フルオロポリエーテルペルオキシドと芳香族またはヘテロ芳香族化合物との反応時に、芳香族またはヘテロ芳香族基のsp
2炭素原子と−CF
2−基の炭素原子との間にまったく形成されないことが実際に観察されている。
【0039】
これらの化合物は、本発明のさらなる目的である。
【0040】
典型的には、本発明の方法は、下の式(III):
(T
1−CF
2O−R
f−CF
2)
n−T
3 (III)
[式中:
− T
1は、−F、−CF
3、−CF
2Cl、−COFから選択されるか、T
3と同じものであるかのどちらかであり;
− R
fは、上に定義されたような(パー)フルオロポリエーテル鎖であり;
− nは、1〜10の、好ましくは1〜5の、より好ましくは1、2および3からの整数であり;最も好ましくは、nは1であり;
− T
3は、任意選択的に置換された芳香族もしくはヘテロ芳香族部分である]
に従う上に定義されたような(パー)フルオロポリエーテル付加化合物(A)をもたらす。
特に、T3が置換芳香族もしくはヘテロ芳香族部分である場合には、この置換基は(パー)フルオロポリエーテル鎖ではなく;さらに、T3は、トリアリールホスフィン、トリアリールアルシン、トリアリールスチビン基および相当するオキシドを含まない。
【0041】
典型的には、本発明の方法は、T
1がT
3と同じものである式(III)の化合物を、T
1がT
3とは異なる式(III)の化合物との混合剤で与える。かかる混合物は、公知の分離技法に、たとえばHILTON,RICHARD.Advanced Novel Separations.Business Communication Company Inc.,2000.LIBERTI,ARNALDOら.Chimica Analitica.Torino:UTET,1980..Encyclopedia of Chromatography.第3版.CAZES,Jack,2009.UGO,Renato.Analisi Chimica Strumentale.Guadagni,1972に開示されているもののような多孔質担体上での化学−物理的分離にかけることができる。式(III)の化合物の混合物はまた、蒸留されても、精留されてもよい。
【0042】
代案として、かかる混合物は、誘導体の混合物を与えるために以下により詳細に記載されるような誘導体化反応にかけることができ、誘導体の混合物は、前述の分離技法にかけることができる。
【0043】
第1態様では、表現「任意選択的に置換された芳香族もしくはヘテロ芳香族基」は、ラジカル水素引き抜きを受けない1つまたは複数の置換基を任意選択的に含有する芳香族またはヘテロ芳香族基を意味する。かかる置換芳香族もしくはヘテロ芳香族基を含有する式(III)の化合物は、上に定義されたようなペルオキシド(P)と任意選択的に置換された芳香族またはヘテロ芳香族化合物との間の反応によって得られる。第2態様では、表現「任意選択的に置換された芳香族またはヘテロ芳香族基」は、ラジカル水素引き抜きを受ける1つまたは複数の置換基を任意選択的に含有する芳香族またはヘテロ芳香族基を意味し;かかる置換基は、ペルオキシド(P)とラジカル水素引き抜きを受けない1つまたは複数の置換基を任意選択的に含有する芳香族またはヘテロ芳香族化合物との間の反応によって得られた式(III)の化合物を、より詳細に以下に記載されるような、誘導体化反応にかけることによって形成するまたは導入することができる。
【0044】
典型的には、式(III)の化合物では、鎖(R
f)は、500〜10,000、好ましくは800〜5,000から選択される数平均分子量を有する。
【0045】
式(III)の化合物では、鎖(R
f)は好ましくは、下記のいずれか1つから選択される。
【0046】
式:
−(CF
2CF(CF
3)O)
a(CFXO)
b−または−CF
2CF(CF
3)O)
a(CFXO)
b−CF
2(R’’
f)CF
2−O−(CF
2CF(CF
3)O)
a(CFXO)
b−
(式中、R’’
fは、1〜4個の炭素原子を含有するフルオロアルケニル基であり;Xは、上に定義された通りであり;aおよびbは、数平均分子量が上に示された範囲内であるように選択される整数であり;a/bは10〜100である)
を有する鎖(R
fA)。
【0047】
式:
−(CF
2CF
2O)
c(CF
2O)
d(CF
2(CF
2)
zO)
h−
(式中、cおよびdは、数平均分子量が上に示された範囲内であるように選択される、整数であり;c/dは0.1〜10であり;h/(c+d)は、0〜0.05であり、zは2または3である)
を有する鎖(R
fB)。
【0048】
式:
−(C
3F
6O)
e(CF
2CF
2O)
f(CFXO)
g−
(式中、Xは、上に定義された通りであり;e、fおよびgは、数平均分子量が上に示された範囲内であるように選択される整数であり;e/(f+g)は、0.1〜10であり;f/gは、2〜10である)
を有する鎖(R
fC)。
【0049】
式:
−(CF
2(CF
2)
zO)
s−
(式中、sは、数平均分子量が、上に示された範囲内であるように選択される整数であり、zは、上に定義された意味を有する)
を有する鎖(R
fD)。
【0050】
式:
−(CR
5R
6CF
2CF
2O)
j’−または
−(CR
5R
6CF
2CF
2O)
p’−R’’
f−O(CR
5R
6CF
2CF
2O)
q’−
(式中、R
5およびR
6は、互いに同じか異なり、H、Clおよび1〜4個のC原子を含有するパーフルオロアルキルから選択され;R’’
fは、1〜4個のC原子を含有するフルオロアルケニル基であり;j’、p’およびq’は、数平均分子量が上に示された範囲内であるように選択される整数である)
を有する鎖(R
fE)。
【0051】
式:
−(CF(CF
3)CF
2O)
j’’−
(式中j’’は、数平均分子量が上に示された範囲内であるように選択される整数である)
を有する鎖(R
fF)。
【0052】
より好ましくは、鎖(R
f)は、式(R
fA)または(R
fB)の鎖である。
【0053】
最も好ましくは、鎖(R
f)は、鎖(R
fB)である。
【0054】
式(III)の化合物は、さらなる官能性誘導体の化合物の前駆体として使用することができる。たとえば、式(III)の化合物は、それによってペルオキシド(P)と芳香族またはヘテロ芳香族化合物との間の反応と相性が悪い官能基が芳香族またはヘテロ芳香族基上に挿入されるか、それによって芳香族またはヘテロ芳香族基上に存在する置換基がさらなる置換基へ変換される反応にかけることができる。例として、芳香族基上のニトロ置換基は、アミノ基に還元することができ、アミノ基は順繰りに、さらなる官能基(たとえばアルキルアミノ基またはアミド基)へ変換されてもよい。置換芳香族基はまた、多環芳香族または多環ヘテロ芳香族基へ変形することができる;たとえば、1,2−ジニトロフェニル末端基を有する式(III)の化合物は、還元反応にかけて1,2−ジアミノフェニル末端基を有する式(III)の化合物を提供することができる。かかる化合物はさらに、ベンズイミダゾール基を有する式(III)の化合物へ変換することができる。
【0055】
T
1がT
3とは異なる式(III)の化合物、特にT
1が−C(O)Fであるものは、誘導体化反応にかけることができ、それによって−C(O)F基はさらなる官能基、たとえばヒドロキシ基、カルボン酸基、エステル基、アルデヒド基またはアミド基へ変換される。これらの官能基は順繰りに、公知の方法に従ってさらなる官能基または非官能基へ変換することができる。本説明の目的のためには、用語「官能基」は、ある系統の化合物の化学的挙動を決定する原子のグループを意味することを意図される。誘導体化反応によって得られる官能性化合物の例は、T
1が、式:
[式中:
− q
*およびp
*は0または1であり、ただし、それらの少なくとも1つは0以外であり;
− A
*は、p
*が0であるときに直鎖または分岐のアルキル鎖、(アルキル)脂環式または(アルキル)芳香族鎖であるか、p
*が1であるときに直鎖または分岐のアルキレン鎖、(アルキレン)脂環式または(アルキレン)芳香族鎖であり;
− T
*は、ヒドロキシル、エステル、カルボキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ケイ素含有基、シアノ、イソシアネート、アルケニル、ビニル、ビニルエーテル、ビニルアルキルエーテル、アルデヒド、ケト、スルホニル、サルフェート、ホスホネート、ホスフェート、カーボネート、酸無水物、ハロゲン、オキシム、ヒドラジン、グアニジン、アミド、アクリレート、メタクリレート、ニトロおよびエポキシドから選択される1つまたは複数の基からなるか1つまたは複数の基を含有する基である]
の基であるものである。
【0056】
A
*の定義に関して:
− 本発明による直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルキレン鎖は好ましくは、1〜20個の炭素原子を含有する直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルキレン鎖であり;
− アルキルまたはアルキレン部分が、1〜20個の炭素原子を含有する直鎖もしくは分岐のアルキルまたはアルキレン部分であり、脂環式部分が3〜20個の炭素原子を有する(アルキル)脂環式または(アルキレン)脂環式鎖;
− アルキルまたはアルキレン部分が上に定義された通りであり、芳香族部分が5〜20個の炭素原子を含有する(アルキル)芳香族または(アルキエン)芳香族鎖。
【0057】
アルキルもしくはアルキレン鎖は任意選択的に、1つまたは複数の−COO−、−COS−もしくは−CONH−基および/またはN、P、SおよびOから選択される1つまたは複数のエーテロ原子を含有し、脂環式もしくは芳香族部分において、1つまたは複数の炭素原子が、N、P、SおよびOから選択されるエーテロ原子によって任意選択的に置き換えられる。
【0058】
アルキルまたはアルキレン鎖が1つまたは複数のO原子を含有する好ましい基A
*は、式−CH
2CH
2O−、−CH
2CH(CH
3)O−、−(CH
2)
3O−または−(CH
2)
4O−の繰り返し単位、より好ましくは式−CH
2CH
2O−、−CH
2CH(CH
3)O−の繰り返し単位を含有する(ポリ)アルキレンオキシド鎖である。
【0059】
T
*の定義に関して:
− より多くのヒドロキシ基を含有する基は好ましくは、式−CH(CH
2OH)
2の基であり;
− エステル基は好ましくは、式−COOR’
*(式中、R’
*は、1〜20個の炭素原子を含有する、そして任意選択的にフッ素原子を含有する直鎖もしくは分岐のアルキル鎖および/または3〜20員環脂環式もしくはヘテロ脂環式部分または5〜20員環芳香族もしくはヘテロ芳香族部分である)の基であり;
− より多くのエステル基を含有する基は好ましくは、式−CH(COOR’
*)
2(式中、R’
*は、上に定義された通りである)の基であり;
− 用語「カルボキシ」はまた、そのアルカリおよびアルカリ金属塩ならびにアシルハロゲン化物、好ましくはアシルクロリドを含み;
− より多くのカルボキシ基を含有する基は好ましくは、式−CH(COOH)
2の基であり;
− アルキルチオ基は好ましくは、式−SR’
*(式中、R’
*は、上に定義された通りである)の基であり;
− ケイ素含有基は好ましくは、式−SiR’
*dQ
3−d(式中、R’
*は、上に定義された通りであり、dは0または1〜3の整数であり、Qは、−O(CO)
d0R’
*基であり、d
0は、0または1である)の基であり;
− より多くのシアノ基を含有する基は好ましくは、式−CH(CN)
2の基であり;
− ビニルアルキルエーテル基は好ましくは、式
(式中、m’
*は、1〜18の範囲である)に従う基であり;より好ましくは、ビニルエーテル基は、式−OCH
2CH=CH
2に従う基である。より多くのビニルエーテル基を含有する基は好ましくは、式
(式中、m’
*は、上に定義された通りである)の基、より好ましくは式−CH[OCH
2CH=CH
2]
2の基であり;
− アルキルアミノ基は、好ましくは式−NHR’
*に従うモノアルキルアミノ基と、好ましくは−NR’
*2(式中、R’
*は上に定義された通りである)に従うジアルキルアミノ基とを含み;より多くのアミノ基を含有する基は好ましくは、式−CH(CH
2NHR’
*)
2の基または式−CH(CH
2NR’
*2)
2(式中、R’
*は上に定義された通りである)の基であり;
− 用語アルデヒドは、ジメチルアセタールおよびジメチルチオアセタールなどの、相当するアセタールおよびチオアセタール誘導体をまた含むことを意図され;
− ケト基は好ましくは、ジメチルアセタールおよびジメチルチオアセタールなどの、あらゆるケタールおよびチオケタールを含む、式−COR’
*(式中、R’
*は上に定義された通りである)の基であり;
− スルホニル基は好ましくは、式−SO
3Hおよび任意のアルカリまたはアルカリ土類金属塩の基;−SO
2Hal(式中、Halは、上に定義されたようなハロゲン、好ましくは塩素である);式−SO
2R’
*(式中、R’
*は、上に定義された通りである)の基;式−SO
2R’’
*(式中、R’’
*は、フッ素化された直鎖または分岐C
1〜C
6アルキル鎖である)の基、より好ましくは式−SO
2CF
3の基であり;
− サルフェート基は好ましくは、式−OSO
3Hおよび任意のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、−OSO
2Halまたは−OSO
2R’
*(式中、HalおよびR’
*は、上に定義された通りである)の基であり;
− ホスホネート基は好ましくは、−P(O)(OH)
2および−P(O)(OH)(OR’
*)ならびにそれらのそれぞれのアルカリまたはアルカリ土類金属塩;ならびに−P(O)(OR’
*)
2(式中、R’
*は、上に定義された通りである)から選択され;
− ホスフェート基は好ましくは、−OP(O)(OH)
2;−OP(O)(OH)(OR’
*)およびそれらのそれぞれのアルカリまたはアルカリ土類金属塩ならびに−OP(O)(OR’
*)
2(式中、R’
*は、上に定義された通りである)から選択され;
− カーボネート基は好ましくは、−OC(O)OHおよびそのアルキルまたはアルカリ土類金属塩、−OC(O)Hal(式中、Halは上に定義された通りである)ならびに−OC(O)OR’
*(式中、R’
*は、上に定義された通りである)から選択され;
− ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択され、ヨウ素が特に好ましく;
− 酸無水物基は好ましくは、式−(O)C−O−C(O)−R’
*(式中、R’
*は、上に定義された通りである)の基であり;
− オキシム基は好ましくは、式−NH−OHまたは−NH−OR’
*(式中、R’
*は、上に定義された通りである)の基であり;
− ヒドラジノ基は好ましくは、式−NH−NH
2の基または基もしくは式−NH−NHR’
*(式中、R’
*は、上に定義された通りである)であり;
− グアニジン基は好ましくは、式−NH−C(=NH)−NH
2の基または式−NH−C(=NH)−NHR’
*(式中、R’
*は、上に定義された通りである)の基である。
【0060】
基の例は、欧州特許出願公開第2170968 A号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA)に−(A)
q−(T
2)
p基として開示されているものである。
【0061】
式(III)の化合物およびそれらの誘導体は、ルイス酸および金属の存在下でさえも、300℃ほどに高い温度で向上した耐加水分解性を有しており;それ故、式(III)の化合物は、フッ素化オイルおよびグリース用の、好ましくは、かかる温度のようにおよび厳しい条件下に使用される(パー)フルオロポリエーテルオイルおよびグリース用の安定剤として使用することができる。さらに、片方または両方の鎖末端が−OCH
2O−、−COOH、−SHまたは−NO
2基を含有する芳香族基を有する式(III)の化合物は、摩耗防止特性を(パー)フルオロポリエーテルオイルおよびグリースに与えることができる。
【0062】
したがって、第1態様では、本発明のさらなる目的は、(パー)フルオロポリエーテルオイルとの混合剤で上に定義されたような式(III)の化合物を含む潤滑油組成物である。
典型的には、本発明による潤滑油組成物は、
(a)0.05〜20%重量、好ましくは0.1〜5%重量、より好ましくは0.5〜2%重量の、上に定義されたような式(III)の化合物またはその誘導体と、
(b)(パー)フルオロポリエーテルオイルと、任意選択的に
(c)1つまたは複数の添加剤と
を含む。
【0063】
上の百分率は、組成物の重量に対して表される。
【0064】
好ましくは、(パー)フルオロポリエーテルオイルは、10〜4,000cSt、より好ましくは30〜2,000cStの20℃での粘度を有する。
【0065】
本発明の組成物の調製のための(パー)フルオロポリエーテルオイルは好ましくは、下の式(1a)〜(8a)に従う。
【0066】
(1a)E−O−(CF
2CF(CF
3)O)
m’(CFXO)
n’−E’
[式中、
Xは、FまたはCF
3であり;
互いに等しいか異なる、EおよびE’は、−CF
3、−C
2F
5または−C
3F
7から選択され;片方または両方の基EおよびE’において、1個のフッ素原子は、Clおよび/またはHで置き換えることができ;
m’およびn’は、m’/n’比が20〜1,000であるような整数であり、n’は、ゼロとは異なり、生成物粘度が上に定義された通りであるように選択され;そしてここで、−(CF
2CF(CF
3)O)−および(CFXO)単位は鎖に沿って統計的に分布している]
【0067】
式(1a)の(パー)フルオロポリエーテルは、英国特許第1104432号明細書(LESLIE THOMAS COOPER JOHNSON)に記載されているように、パーフルオロプロペン光酸化によって、および、英国特許第1226566号明細書(MONTECATINI EDISON SPA)に開示されているように、末端基のその後の変換によって得ることができる。
【0068】
(2a)C
3F
7O(CF(CF
3)CF
2O)
o’−D
[式中;
Dは、−C
2F
5または−C
3F
7であり、ここで、1個のフッ素原子は、ClまたはHで置き換えることができ;
o’は、粘度が、上に定義された範囲にあるように選択される整数である]
【0069】
式(2a)の(パー)フルオロポリエーテルは、米国特許第3242218号明細書(DU PONT)に記載されているように、パーフルオロプロピレンオキシドのイオン性オリゴマー化とその後のフッ素での処理とによって製造することができる。
【0070】
(3a){C
3F
7O−(CF(CF
3)CF
2O)
p’−CF(CF
3)−}
2
[式中:
p’は、生成物粘度が上に定義された範囲にあるような整数であり、ここで、C
3F
7末端基の片方または両方の1個のF原子は、Clおよび/またはHで置き換えることができる]
【0071】
式(3a)の(パー)フルオロポリエーテルは、米国特許第3214478号明細書(DU PONT)に報告されているように、パーフルオロプロピレンオキシドのイオン性テロマー化とその後の光化学二量化とによって得ることができる。
【0072】
(4a)E−O−(CF
2CF(CF
3)O)
q’(C
2F
4O)
r’(CFXO)
s’−E’
[式中:
Xは、FまたはCF
3であり;
互いに等しいか異なる、EおよびE’は、上に定義された通りであり;
q’、r’およびs’は、0または生成物粘度が上に定義去れた通りであるように選択される、整数である]
式(4a)の(パー)フルオロポリエーテルは、米国特許第3715378号明細書(MONTEDISON SPA)に記載されているように、C
3F
6とC
2F
4との混合物の光酸化とその後のフッ素での処理とによって得られる。
【0073】
(5a)E−O−(C
2F
4O)
t’(CF
2O)
u’−E’
[式中:
互いに等しいか異なる、EおよびE’は、上に定義された通りであり;
t’およびu’は、t’/u’比が0.1〜5であり、そして生成物粘度が上に定義された範囲にあるような整数である]
式(5a)の(パー)フルオロポリエーテルは、米国特許第3715378号明細書(MONTEDISON SPA)に報告されているように、C
2F
4光酸化と、米国特許第3665041号明細書(MONTEDISON SPA)に記載されているように、その後のフッ素での処理とによって得ることができる。
【0074】
(6a)E−O−(CF
2CF
2CF
2O)
v’−E’
[式中:
互いに等しいか異なる、EおよびE’は、上に定義された通りであり;
v’は、生成物粘度が上に定義された範囲にあるように選択される整数である]
【0075】
式(6a)の(パー)フルオロポリエーテルは、欧州特許出願公開第148482 A号明細書(ダイキン工業株式会社)に記載されているように得ることができる。
【0076】
(7a)D−O−(CF
2CF
2O)
z’−D’
[式中:
互いに等しいか異なる、DおよびD’は、C
2F
5またはC
3F
7から選択され;Dおよび/またはD’において1つのフッ素原子が、ClまたはHで置き換えられ;
z’は、生成物粘度が上に定義された通りであるように選択される整数である]
【0077】
式(7a)の(パー)フルオロポリエーテルは、米国特許第4523039号明細書(UNIV TEXAS)USP 4,523,039に記載されているように得ることができる。
【0078】
(8a)E
1−O(CF
2O)
n(CF
2CF
2O)
m(CF
2CF
2CF
2O)
p(CF
2CF
2CF
2CF
2O)
q−E
2
[式中:
E
1およびE
2は、zが0〜3の整数である式−(CF
2)
zCF
3を有する、互いに等しいか異なるパーフルオロアルキル末端基であり;
n、m、p、qは、オイル粘度が上に定義された通りであり、そしてm/n比が2〜20であり;(p+q)/(n+m+p+q)比が0.05〜0.2であり;n/(n+m+p+q)比が0.05〜0.40である、ただし、(n+m+p+q)が0とは異なるように選択される、0〜100の互いに等しいか異なる整数である]
式(8a)の(パー)フルオロポリエーテルは、欧州特許出願公開第1454938 A号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA)に記載されているように得ることができる。
【0079】
好ましくは、(パー)フルオロポリエーテルオイルは、式(1a)、(4a)、(5a)、(8a)およびそれらの混合物から選択され;より好ましくは、(パー)フルオロポリエーテルオイルは、式(5a)および(8a)の化合物から選択される。
【0080】
本発明の潤滑油組成物中に任意選択的に存在する添加剤は、フッ素化潤滑油組成物に一般に使用されるものから選択される。本発明による潤滑油組成物は、たとえば防錆剤、酸化防止剤、熱安定剤、流動点降下剤、高圧用のものなどの、摩耗防止剤、分散剤、トレーサー、染料、タルクおよび無機充填剤から選択される、さらなる添加剤を任意選択的に含有することができる。分散剤の例は、たとえば、界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤、より好ましくは(パー)フルオロポリエーテル界面活性剤および(パー)フルオロアルキル界面活性剤である。摩耗防止添加剤の例は、欧州特許出願公開第1336614 A号明細書(SOLVAY SOLEXIS SPA)に開示されているもののような、(パー)フルオロポリエーテルのホスファゼン誘導体である。
【0081】
本発明による潤滑油組成物は、オイルまたはグリースの形態にあり得る。グリースの形態のものは、増粘剤、たとえばPTFE、タルク、シリカ、窒化ホウ素、ポリウレア、アルカリまたはアルカリ土類金属テレフタレート、カルシウムおよびリチウム石鹸ならびにそれらの複合体を含有し;それらの中で、PTFEが好ましい。
【0082】
本発明の典型的および非限定的な実施形態は、以下の実験セクションに詳細に例示される。
【0083】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、および刊行物の開示が、それが用語を不明確にし得る程度に本出願の記載と矛盾する場合には、本記載が優先するものとする。
【実施例】
【0084】
実験セクション
原材料および方法
ベンゼン、ブロモベンゼン、フルオロベンゼン、ビス−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジニトロベンゼン、ピロカテコール−ビス(トリフルオロメチル)アセテート、安息香酸および溶媒は、Sigma Aldrich(登録商標)から購入し、受け取ったまま使用した。過酸化PFPEは、米国特許第3715378号明細書に従って合成した。
【0085】
1.ペルオキシド含有率の測定
ペルオキシド含有率は、次の方法に従ってヨードメトリー滴定によって測定した。一定量の試料(1〜10グラム)を約20mlのGalden(登録商標)ZT 130 PFPEに溶解させ、1mlの氷酢酸およびイソプロパノール中の30mlのNaI溶液(5%w/w)を加えた。生じた懸濁液を15分間攪拌下にそのままにしておき、反応で形成されたヨウ素を、白金電極をおよび参照電極を備えた、電位差滴定用のMettler(登録商標)DL40機器を用いて、既知濃度を有するNa
2S
2O
3の水溶液で滴定した。本方法の感度限界は0.0002である。
【0086】
2.ルイス酸に対するPFPEオイルの安定性試験
ルイス酸に対するPFPEオイルの安定性は、次の手順に従って評価した。実施例に示される濃度で本発明による化合物を任意選択的に含有する、5gのオイルと、0.1gのAlF
3とを10mlのガラス管に入れ、それをその後秤量し、好適なガラスフラスコへ入れた0.1 NaOHクエンチング溶液にあらゆる分解生成物を運ぶための小さいPTFE管の挿入を可能にする穴あきキャップで閉めた。試験管を次に250℃に24時間暖め;この時間後に、それを冷却し、秤量した。試験結果は、出発オイルについての減量百分率として表す。
【0087】
3.マイクロ酸化試験
本実施例で言及されるマイクロ酸化試験は、次の条件下に、SNYDER,Karlら Development of Polyperfluoroalkylethers as High Temperature Lubricants and Hydraulic Fluids.ALSLE Transactions.1975,vol.13,no.3,p.171−180に開示されている装置で実施した:
・ PFPEオイル:270cST(2.7×10
8m
2/s)の20℃での動粘度と0.01mg KOH/gよりも低い、下に説明されるように測定される、酸性度とを有する、Fomblin(登録商標)M30 PFPE;
・ 試験温度:300℃(特に明記しない限り);
・ 試験時間:24時間
・ 空気流量:1リットル/時間
・ オイルに浸される金属:ステンレス鋼(AISI 304)およびチタン合金(6A14V)。
【0088】
秤量された量の金属を含有する試験ガラス管を、試験されるべきオイルと、任意選択的に、本発明による化合物とで満たし、次にそれを秤量し、試験温度に加熱した。定められた時間後に、管を室温に冷却し、再び秤量した。減量百分率を、熱処理前後の差を計算することによって求めた。オイルを次に回収して酸性度および動粘度を測定した。金属の表面態様もまた目視により評価した。
【0089】
4.熱酸化試験
熱安定性は、既知アリコート(1〜10g)の本発明による化合物をガラスオートクレーブに入れることによって評価し、温度は、24時間300℃(特に明記しない限り)に維持した。
【0090】
試験の終わりに、オートクレーブを冷却し、任意選択的に、低沸点副生成物をガス抜きすることによって圧抜きした。
【0091】
減量は、試験前後間の本発明による化合物の量間の百分率差として表す。
【0092】
試験後に、化合物をまた、
19Fおよび
1H NMRによって分析した。
【0093】
5.加水分解安定性の試験
加水分解安定性は、既知アリコート(1〜10g)の本発明による化合物(約10g)または本発明による化合物の1%重量添加剤を含有するオイル/グリースと1gの水とをガラスオートクレーブに入れ、温度を80℃(特に明記しない限り)で240時間維持することによって評価した。
【0094】
試験の終わりに、オートクレーブを冷却し、任意選択的に、低沸点副生成物をガス抜きすることによって圧抜きした。
【0095】
試験残渣を
19Fおよび
1H NMRによって分析し、加水分解百分率を、TONELLI,Claudioら Perfluoropolyether alkyl diesters:Structure effects of the alkyl group on the kinetics of the hydrolysis reactions.Journal of Polymer Science,Polymer Chemistry,Part A.2002,vol.40,no.23,p.4266−4280に開示されているように測定した。
【0096】
製造実施例
実施例1−ブロモベンゼンと式(IIA)のPFPEペルオキシドとの間の反応
3gのブロモベンゼンと、Mn=40,000の、そして27の鎖当たりの平均数の(PO=0.7に相当する)ペルオキシド基を含有する式:
CF
3O(C
2F
4O)
r(CF
2O)
s(O)
27COF r/s=1
の9.4gの(6.3ミリモルのペルオキシド基に相当する)PFPEペルオキシドとを、窒素雰囲気下でマノマーターおよび磁気攪拌機を備えたガラスオートクレーブにロードした。
【0097】
温度を200℃に上げ、混合物を8時間撹拌下にそのままにしておき;内圧の増加(2、3気圧)が観察された。反応混合物を室温に冷却してペルオキシド基がまったくない11gの生成物を回収した(
19Fおよび
1H NMR分析)。
19F NMR分析は、芳香環に直接連結された−CF
2−基の存在を裏付け(−66/−68ppmでのシグナル);
19F−NMR分析と
1H−NMR分析との間の比較は、−CF
2−基が芳香環上の唯一のフッ素化置換基であることを裏付けた。−
CF2−O−Arシーケンスに典型的なシグナルはまったく検出されなかった。
【0098】
反応が完了次第、回収混合物は、未反応のブロモベンゼンに加えて、次の生成物:
・ 20%モルのFOC(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(a);
・ 40%モルのBr−ベンゼンCF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(b);
・ 40%モルのBr−ベンゼンCF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’CF
2−ベンゼン−Br(c)
(ここで、c’/d’=0.95であり、(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’鎖は、1.550の平均数分子量を有する)
を含有した。
上記から、ペルオキシド基についての転化率は100%であり、生成物(b)および(c)についての選択性は80%であったことが集約される。
【0099】
実施例2−フルオロベンゼンと式(IIa)のPFPEペルオキシドとの間の反応
ブロモベンゼンの代わりに1.8gのフルオロベンゼンを使用して、実施例1と同じ手順に従った。
【0100】
反応が完了次第、回収混合物(10.1g)は、未反応のフルオロベンゼンに加えて、次の生成物:
・ 25%モルのFOC(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(a);
・ 50%モルのF−ベンゼンCF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(d);
・ 25%モルのF−ベンゼンCF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’CF
2−ベンゼン−F(e)
(ここで、c’/d’=0.95であり、(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’鎖は、1.550の平均数分子量を有する)
を含有した。
【0101】
混合物中の他の生成物は、
19Fおよび
1H NMR分析でまったく検出されなかった。
【0102】
上記から、ペルオキシド基についての転化率は100%であり、生成物(d)+(e)についての選択性は75%であったことが集約される。
【0103】
実施例3−実施例2からの混合物の成分の分離
実施例2からの反応混合物を、20の理論段数プレート塔で精留した。10
−3kPaの残留圧力まで徐々に真空をかけ、そして250℃のヒーター温度を保つことによって、約2gのフルオロベンゼンと、生成物(a)と5重量%の化合物(d)とを含有する留分を、100〜200℃の温度範囲で回収した。
【0104】
生成物(d)(50%)と(e)(50%)との混合物からなる、精留残渣(約9g)を、50℃で8時間100mlの水での加水分解にかけ;その後、上方の水相を下方の有機相から分離し、H−Galden(登録商標)PFPEの2つの30mlアリコートで洗浄した。有機相をプールし、IR分光法によって分析した:−C(O)F末端基の−COOH基への完全な変換が観察された。
【0105】
加水分解溶液を、20gのシリカゲル(70〜230メッシュ、60A)を含有するカラムにロードし、200mlのH−Galden(登録商標)PFPEで溶出した。溶出液は、化合物(e)のみを含有し、それを溶媒蒸発後に単離した(4g)。化合物(d)を含有する固定相を、500mlのHF水溶液で回収し、8時間撹拌下にそのままにしておいた;シリカゲルはヘキサフルオロケイ酸として溶解する。200ml(合計)のH−Galden(登録商標)PFPEでの3回のその後の抽出によって、4gの生成物(d)を単離した。
【0106】
実施例4−上の実施例2および3から得られた化合物(e)の相当するジエチルアミノ誘導体への変換
上の実施例2および3に従って得られた、3gの化合物(e)を10mlのH−Galden(登録商標)PFPEに溶解させ、100%過剰のトリエチルアミンと触媒量のカリウム第三ブチレート(芳香族基に対して5%モル)とを加えた。
【0107】
生じた混合物を室温で2時間反応させ、次に温度を55℃(トリエチルアミンの沸点)に上げ、反応をさらに2時間続行する。この時間後に、混合物を室温に冷却し、濾過し、10mlの水性HCl(2%溶液)で洗浄した。有機相を分離し、2gのNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸留によって除去して式:
(C
2H
5)
2N−ベンゼンCF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’CF
2−ベンゼン−F−N(C
2H
5)
2(f)
(ここで、c’/d’=0.95であり、(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’鎖は、1.550の平均数分子量を有する(
19Fおよび
1H NMR分析によって測定された構造))
を有する2.8gの生成物(f)を得た。
【0108】
実施例5−ビス−トリフルオロメチルベンゼンと式(IIa)のPFPEペルオキシドとの間の反応
5g(23ミリモル)のビス−トリフルオロメチルベンゼンと11gの式CF
3O(C
2F
4O)
c(CF
2O)
d(O)
27COF(7.4ミリモルのペルオキシド基)の同じペルオキシドとを使用して、実施例1に例示された手順に従った。
【0109】
反応が完了次第、回収混合物(14g)を
19Fおよび
1H NMRによって分析した。結果は、ペルオキシド基の不在と、混合物が、未反応のビス−トリフルオロメチルベンゼンに加えて、次の生成物:
・ 19%モルのFOC(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(a);
・ 41%モルの(CF
3)
2−ベンゼンCF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(g);
・ 40%モルの(CF
3)
2−ベンゼンCF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’−ベンゼン−(CF
3)
2(h)
(ここで、c’/d’=0.95であり、(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’鎖は、1.550の平均数分子量を有する)
を含有することとを裏付けた。
【0110】
他の化合物はまったく検出されなかった。
【0111】
上記から、ペルオキシド基についての転化率は100%であり、生成物(g)+(h)についての選択性は81%であったことが集約される。
【0112】
実施例6 実施例5の混合物の成分の分離
上の実施例3に例示された手順に従って、ビス−トリフルオロメチルベンゼンおよび生成物(a)(2.4g)が第1蒸留留分として得られた。生成物(g)と(h)との残りの混合物を加水分解し、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにかけて化合物(g)(5.5g)を分離した。化合物(f)(5.3g)は、実施例3に開示されたのと同じ方法でシリカゲルから回収した。
【0113】
実施例7−ベンゼンと式(IIa)のPFPEペルオキシドとの間の反応
2gのベンゼン(26ミリモル)と11gの式CF
3O(C
2F
4O)
c(CF
2O)
d(O)
27COF(7.4ミリモルのペルオキシド基)の同じペルオキシドとを使用して、実施例1に例示された手順に従った。
【0114】
反応が完了次第、回収混合物(12g)を、
19Fおよび
1H NMRによって分析した。結果は、ペルオキシド基の不在と、混合物が、未反応のベンゼンに加えて、次の生成物:
・ 29%モルのFOC(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(a);
・ 36%モルのベンゼンCF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(i);
・ 35%モルのベンゼンCF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’ベンゼン(l)
(ここで、c’/d’=0.95であり、(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’鎖は、1.550の平均数分子量を有する)
を含有することとを裏付けた。
【0115】
他の生成物は、混合物中にまったく検出されなかった。
【0116】
上記から、ペルオキシド基についての転化率は100%であり、生成物(i)+(l)についての選択性は71%であったことが集約される。
【0117】
上の生成物混合物を、実施例3に例示されたように精留して未反応ベンゼンを除去し、次に加水分解し、H−Galden(登録商標)PFPE中10%重量に希釈し、シリカゲルでのクロマトグラフィーにかけた。溶媒の蒸発後に、4gの生成物(l)を単離し、公知の手順に従ってニトロ化にかけて、式:
NO
2−ベンゼン−CF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’−ベンゼン−NO
2
(ここで、c’/d’=0.95であり、(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’鎖は、1.550の平均数分子量を有する)
を有する、化合物(m)を得た。
【0118】
実施例8−1,2−ジニトロベンゼンと式(II−A)のペルオキシドとの間の反応
50mlのガラスオートクレーブ、4gの1,2−ジニトロベンゼン(24ミリモル)および11gの式CF
3O(C
2F
4O)
c(CF
2O)
d(O)
27COF(7.4ミリモルのペルオキシド基)の同じペルオキシドを使用して、実施例1に例示された手順に従った。
【0119】
反応が完了次第、回収混合物(約12.8g)を、
19Fおよび
1H NMRによって分析した。結果は、ペルオキシド基の不在と、混合物が、未反応のジニトロベンゼンに加えて、次の生成物:
・ 28%モルのFOC(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(a);
・ 36%モルの(NO
2)
2−ベンゼンCF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(n)
・ 36%の(NO
2)
2−ベンゼン−CF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’−ベンゼン−(NO
2)
2(o)
(ここで、c’/d’=0.95であり、(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’鎖は、1.550の平均数分子量を有する)
を含有することとを裏付けた。
【0120】
他の生成物は、混合物中にまったく検出されなかった。
【0121】
上記から、ペルオキシド基についての転化率は100%であり、生成物(n)+(o)についての選択性は72%であったことが集約される。
【0122】
上の生成物混合物を、実施例3に従って精留し、加水分解し、カラムクロマトグラフィーにかけ;溶出液を集め、溶媒を蒸発除去し、4.1gの化合物(o)を回収し、それを公知の手順に従ってFe/HClで処理して相当するジアミノ誘導体を得た。この化合物をさらにHOT(CONTROLLARE)ギ酸と反応させ、環化反応にかけて式(p):
ベンズイミダゾール−CF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’−ベンズイミダゾール(p)
の相当するベンズイミダゾール誘導体を得た。
全収率は、出発ペルオキシドに関して80%重量になった。
【0123】
実施例9(比較例)−ベンズイミダゾール基が−CH
2O−ブリッジを介してPFPE鎖に結合したPFPE誘導体の合成
20g(26ミリ当量)の、c/d=1および1,500の平均分子量の式:
HOCH
2CF
2O(C
2F
4O)
c(CF
2O)
dCF
2CH
2OH
のFomblin(登録商標)Z DOL PFPEを、磁気攪拌機、温度計および冷却器を備えた100mlの反応器に装入し、第三ブタノール中のカリウム第三ブチレート(30ミリ当量)の10%重量の溶液を加えた。生じた混合物を40℃に加熱し、1時間撹拌下にそのままにしておいた。この時間後に、7gの1−クロロ−3,4−ジニトロベンゼンを加え、反応を50℃で3時間続行した。反応生成量を中和し、水で繰り返し洗浄し、次に有機相を分離し、乾燥させて、24gの式(q)
(NO
2)
2−ベンゼン−CH
2CF
2O(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’CF
2CH
2−ベンゼン−(NO
2)
2(q)
(c/d=0.95であり、−(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−は、1,550の数平均分子量を有する)
の生成物を得た。
【0124】
この化合物を、上の実施例8に示されたのと同じ反応シーケンスに従って式(r)
ベンズイミダゾール−CH
2CF
2O(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’CF
2CH
2−ベンズイミダゾール(r)
の相当するベンズイミダゾール誘導体へ変換した。
【0125】
全収率は、出発Fomblin(登録商標)Z DOL PFPEに関して80%重量になった。
【0126】
実施例10−ピロカテコール−ビス(トリフルオロメチル)アセテートと式(II−A)のPFPEペルオキシドとの間の反応
4.8g(16ミリモル)のピロカテコール−ビス(トリフルオロメチル)アセテート(PLEASE CHECK NOMENCLATURE)と9.0g(6.1ミリモルのペルオキシド基)の式CF
3O(C
2F
4O)
c(CF
2O)
d(O)
27COFの同じペルオキシドの式のペルオキシドとを使用して、実施例1に例示された手順に従った。
【0127】
反応が完了次第、回収混合物(約10.2g)を、
19Fおよび
1H NMRによって分析した。結果は、ペルオキシド基の不在と、混合物が、未反応のピロカテコール−ビス(トリフルオロメチル)アセテートに加えて、次の生成物:
・ 18%モルのFOC(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(a);
・ 40%モルのピロカテコール−ビス(トリフルオロメチル)アセテート−CF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’COF(s);
・ 42%モルのピロカテコール−ビス(トリフルオロメチル)アセテート−CF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’CF
2−ピロカテコール−ビス(トリフルオロメチル)アセテート(t)
(ここで、c’/d’=0.95であり、(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’鎖は、1.550の平均数分子量を有する)
を含有することとを裏付けた。
【0128】
他の生成物は、混合物中にまったく検出されなかった。
【0129】
上記から、ペルオキシド基についての転化率は100%であり、生成物(s)および(t)についての選択性は82%であったことが集約される。
【0130】
混合物を次に、実施例3に開示されたように精留し、加水分解し、カラムクロマトグラフィーにかけて、3.5gの化合物(t)を得た。
【0131】
実施例11−実施例10から得られた化合物(t)の加水分解
実施例10によって得られた3.5gの化合物(t)とNaOHでの10gの10%重量溶液とを、窒素雰囲気下に温度計および磁気攪拌機を備えた20mlの反応器にロードした。温度を50℃に高め、混合物を4時間撹拌下にそのままにしておいた。この時間後に混合物を室温に冷却し、中和し、水で繰り返し洗浄した。下方の有機相を分離し、Na
2SO
4で乾燥させ、あらゆる溶媒残留物を蒸留によって除去して、3gの式(u):
ピロカテコール−CF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’CF
2−ピロカテコール(u)
(ここで、c’/d’=0.95であり、(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’鎖は、1.550の平均数分子量を有する)
の化合物を得た。
【0132】
化合物(u)を、公知の手順に従って塩化メチレンおよびDMSO中のNaOHで処理して式:
ベンゾジオキソール−CF
2O(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’CF
2−ベンゾジオキソール
(ここで、c’/d’=0.95であり、(C
2F
4)
c’(CF
2O)
d’鎖は、1.550の平均数分子量を有する)
の化合物(v)を得た。
【0133】
実施例12−安息香酸と式(II−A)のPFPEペルオキシドとの間の反応
方法1
安息香酸(2g、16ミリモル)とCF
3(C
2F
4O)
c(CF
2)
d(O)
22−COF(6.7g、6ミリモルのペルオキシド基、c/d=0.96;Mn=24,000;PO=1.46)との混合物を、磁気攪拌機および窒素供給ラインへのジョイントを備えた20mlのガラスフラスコ中で調製した。
【0134】
窒素を、磁気攪拌下に30分間フラスコに供給した(5Nl/h)。次に、窒素供給を続けながら、混合物を205℃の油浴に浸け(フラスコ中の温度=200℃)、135分間これらの条件下に保った。この時間後に反応混合物を室温に冷却し、次に試料を採取し、フレオンA113に溶解させ、
1Hおよび
19F NMRによって分析した。NMR分析は、ペルオキシド基が完全に変換された(P.O.=0)ことと、過剰の安息香酸に加えて、混合物が、
・ 43%モルのFOC(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−COF(v);
・ 45%モルのHOOC−Ph−CF
2O−(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−COF(z);
・ 12%モルのHOOC−Ph−CF
2O−(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−CF
2−Ph−COOH
(ここで、c’/d’=0.95であり、−(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−は、平均Mn=1.550を有する)
を含有することとを示した。生成物(v)+(z)の選択性は約57%であった。
【0135】
パーフルオロポリエーテル鎖と芳香環との間にエーテル結合を含有する生成物は、混合物中に全く検出されなかった。
【0136】
方法2
方法1についてと同じ手順に従ったが、2.7g(8ミリモル)のデカフルオロビフェニルを安息香酸とペルオキシドとの出発混合物中に含めたという相違があった。
【0137】
反応混合物から採取し、フレオンA113に溶解させた試料のNMR分析は、ペルオキシド基が完全に変換された(PO=0)ことと、過剰の安息香酸に加えて、混合物が、
・ 33%モルのFOC(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−COF(v);
・ 49%モルのHOOC−Ph−CF
2O−(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−COF(z);
・ 18%モルのHOOC−Ph−CF
2O−(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−CF
2−Ph−COOH
(ここで、c’/d’=0.96であり、−(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−は、平均M
n=1440を有する)
を含有することとを示した。
【0138】
生成物(v)+(z)の選択性は約67%であった。
【0139】
パーフルオロポリエーテル鎖と芳香環との間にエーテル結合を含有する生成物も、デカフルオロビフェニルとの反応生成物も混合物中に検出されなかった。
【0140】
方法3
安息香酸(10g、80ミリモル)とデカフルオロビフェニル(13.5g、40ミリモル)との混合物を、磁気攪拌機、25mlの滴加漏斗およびガス供給ラインを備えた100mlのガラスフラスコ中で調製した。CF
3(C
2F
4O)
c(CF
2)
d(O)
22−COF(33.5g、30ミリモルのペルオキシド基)で満たした。
【0141】
窒素を、磁気攪拌下に5Nl/hで30分間フラスコに供給した。この時間後に、窒素流量を2Nl/hに減らし、混合物を220℃に加熱し、次にペルオキシドを、温度を220℃に保ちながら、2時間にわたって一定速度で滴々加えた。この温度を滴加の終了後さらに1時間維持し、次に反応混合物を室温に冷却した。試料を採取し、フレオンA113に溶解させ、
1Hおよび
19F NMRによって分析した。NMR分析は、ペルオキシド基が完全に変換された(PO=0)ことと、生成物混合物が、過剰の安息香酸に加えて、
・ 40%モルのFOC(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−COF
・ 46%モルのHOOC−Ph−CF
2O−(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−COF
・ 14%モルのHOOC−Ph−CF
2O−(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−CF
2−Ph−COOH
(ここで、c’/d’=0.96であり、−(C
2F
4O)
c’(CF
2O)
d’−は、平均M
n=1,400を有する)
を含有することとを示した。
【0142】
生成物(v)+(z)の選択性は約60%であった。
【0143】
パーフルオロポリエーテル鎖と芳香環との間にエーテル結合を有する生成物も、デカフルオロビフェニルエーテルとの反応生成物も混合物中に検出されなかった。