【文献】
Chiou-Yu Choo et al. , High-Level Production of a Monoclonal Antibody in Murine Myeloma Cells by Perfusion Culture Using a Gravity Settler,Biotechnology Prgress,2006年10月12日,Volume 23, Issure 1 ,pp 225-231
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バイオリアクターの入口(104)、バイオリアクターの出口(106)および組織培養液(108)と培養する細胞(109)を含むための培養チャンバー(105)を備えたバイオリアクター(102);
該バイオリアクター(102)から細胞(109)を含む組織培養液(108)を受け入れるための入り口(112)、該組織培養液(108)から細胞(109)の一部を分離するための細胞分離部材、組織培養液(108)と細胞(109)の回収物を供給するための第一の出口(114)および組織培養液(108)および細胞(109)の再循環排出物を供給するための第二の出口(119)を備え、前記バイオリアクターの出口(106)に流体連結した細胞保持ユニット(110);並びに
細胞保持ユニット(110)から組織培養液(108)と細胞(109)の再循環排出物を受け入れるためのトラップの入口(121)、細胞凝集体(109A)を組織培養液(108)および細胞(109)の再循環排出物から分離するための沈降チャンバー(134)、残りの組織培養液(108)および細胞(109)を該バイオリアクターに戻すためのトラップの出口(123)を含むサイドフローチャンバー(136)を備え、前記第二の出口(119)に流体連結した細胞凝集体トラップ(120);
を含む、灌流バイオリアクターシステム(100)。
バイオリアクターの入口(104)、バイオリアクターの出口(106)および組織培養液(108)と培養する細胞(109)を含むための培養チャンバー(105)を備えたバイオリアクター(102);
該バイオリアクター(102)から細胞(109)を含む組織培養液(108)を受け入れるためのトラップの入り口(121)、細胞凝集体(109A)を、細胞(109)を含む組織培養液(108)から分離するための沈降チャンバー(134)、細胞(109)を含む組織培養液(108)の排出物を供給するためのトラップの出口(123)を含むサイドフローチャンバー(136)を備え、前記バイオリアクターの出口(106)に流体連結した細胞凝集体トラップ(120)並びに
該細胞凝集体トラップ(120)から細胞(109)を含む組織培養液(108)を受け入れるための入り口(112)、該組織培養液(108)から細胞(109)の一部を分離するための細胞分離部材、組織培養液(108)と細胞(109)の回収物を供給するための第一の出口(114)および組織培養液(108)および細胞(109)の再循環排出物を前記バイオリアクター(102)に供給するための第二の出口(119)を備え、前記トラップの出口(123)に流体連結した細胞保持ユニット(110);
を含む、灌流バイオリアクターシステム(100)。
該細胞凝集体トラップ(120)が、沈降チャンバー(134)を格納するトラップ体(130)を含み、トラップの入口(121)が前記トラップ体(130)の一番上に位置し、該トラップの入り口(121)に拡張ゾーン(132)が形成され、該拡張ゾーン(132)の横断面積は、前記沈降チャンバー(134)の長さに沿って徐々に増大する、請求項1または2記載の灌流バイオリアクターシステム(100)。
該細胞凝集体トラップ(120)が、サイドフローチャンバー(136)からのトラップ出口(123)に、収縮ゾーン(138)を含み、該収縮ゾーン(138)の横断面積は、トラップの出口(123)に向かって、徐々に減少する、請求項1または2記載の灌流バイオリアクターシステム(100)。
沈降チャンバー(134)は最大横断面積を有し、サイドフローチャンバー(136)は最大横断面積を有し、沈降チャンバー(134)の最大横断面積は、サイドフローチャンバー(136)の最大横断面積と等しい、またはそれよりも大きい、請求項1または2記載の灌流バイオリアクターシステム(100)。
沈降チャンバー(134)の最大横断面積が、サイドフローチャンバー(136)の最大横断面積よりも、少なくとも5倍大きい、請求項5記載の灌流バイオリアクターシステム(100)。
細胞凝集体トラップ(120)を通る、組織培養液(108)および細胞(109)の連続的なフローを含む、請求項1または2記載の灌流バイオリアクターシステム(100)。
沈降チャンバー(134)を格納するトラップ体(130)を含み、トラップの入口(121)が前記トラップ体(130)の一番上に位置し、該トラップの入り口(121)に拡張ゾーン(132)が形成され、該拡張ゾーン(132)の横断面積は、前記沈降チャンバー(134)の長さに沿って徐々に増大する、請求項9に記載の細胞凝集体トラップ(120)。
サイドフローチャンバー(136)のトラップの出口(123)に収縮ゾーン(138)を含み、該収縮ゾーン(138)の横断面積は、トラップの出口(123)に向かって、徐々に減少する、請求項9記載の細胞凝集体トラップ(120)。
沈降チャンバー(134)は最大横断面積を有し、サイドフローチャンバー(136)は最大横断面積を有し、沈降チャンバー(134)の最大横断面積が、サイドフローチャンバー(136)の最大横断面積と等しい、またはそれより大きい、請求項9記載の細胞凝集体トラップ(120)。
組織培養液(108)および細胞(109)を、比較的細胞凝集体(109A)の量が少なくなった状態でバイオリアクター(102)に戻すことを含む、請求項15記載の方法。
細胞凝集体トラップ(120)から廃棄する細胞の濃度が、細胞保持ユニット(110)に供給される、細胞(109)を含む組織培養液(108)の最初の細胞濃度の少なくとも3倍以上であるように、細胞凝集体(109A)および組織培養液(108)を廃棄することを含む、請求項15記載の方法。
細胞(109)が、凝固因子を産生する哺乳類細胞もしくは他の細胞を含む、または、細胞が、BHK細胞、HKB細胞もしくはHEK細胞を含む、請求項15記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
細胞(動物、植物または微生物細胞を含む)の培養は、生物学的に有効な物質および薬学的に有効な生成物を産生するために使用し得る。しかし、特定の細胞培養において、細胞は、ある程度まで、お互いに接着して、比較的大きな細胞凝集物、細胞凝集塊または凝集体を形成し得る(本明細書中では、以降「細胞凝集体」とよぶ)。該細胞凝集体が存在する場合、灌流バイオリアクタープロセスにおいて、特定のプロセスの問題を引き起こし得る。具体的には、細胞凝集体が存在することにより、バイオリアクター中の細胞密度が、比較的不安定になり得る;すなわち、所望の細胞密度の設定範囲内に適切に維持、保持または調節するのが困難になる。細胞凝集体が存在すると、細胞濃度を正確に測定することも困難である。結果として、TCFおよび細胞を、慣用的な灌流バイオリアクターシステムの廃棄ポンプを定期的に操作することにより時々廃棄することが必要となる。さらに、廃棄したTCFおよび細胞の量を測定することも困難である。この廃棄により、所望の生成物を含む価値のあるTCFもまた廃棄されていることは当然のことである。さらに、バイオリアクター培養中の細胞、特に動物細胞または植物細胞は、一般的に、機械的な剪断力を受けることに対して非常に感受性が高い。したがって、廃棄する物質の量を最小化することだけでなく、細胞の、損傷を与える可能性のある剪断力に対する暴露を最小化することも望ましい。さらに、バイオリアクター中の細胞濃度を正確に調節することができることも望ましい。
【0014】
したがって、本発明の態様によれば、改善した灌流バイオリアクターシステムが提供される。該改善灌流バイオリアクターシステムは、細胞保持ユニットと併せて操作するように、提供され、設計され、および/または調整された細胞凝集体トラップを含む。該細胞凝集体トラップは、機能的には、
沈降に基づいており、ここで、細胞凝集体は、沈降し、再循環流動から取り除き得る。細胞凝集体トラップを、灌流バイオリアクター中で細胞保持ユニットと併せて使用することによって、比較的大部分の細胞をバイオリアクターに戻し、灌流プロセスに有害であり得る細胞凝集体は、取り除き、廃棄し得る。
【0015】
他の態様によれば、該灌流バイオリアクターシステムは、バイオリアクター、バイオリアクターに連結した細胞保持ユニットであり、バイオリアクターからTCFおよび細胞を受け入れ、TCFから細胞を分離し、回収物を得られるように設計した細胞保持ユニット、細胞保持ユニットからTCFおよび細胞の再循環排出物を受け入れ、TCFおよび細胞から細胞凝集体を分離し、残りのTCFおよび細胞をバイオリアクターに戻すように設計した細胞凝集体トラップを含む。
【0016】
他の態様において、灌流バイオリアクターシステムの操作方法を提供する。該方法は、TCFおよび細胞を供給し、細胞凝集体トラップ中にTCFおよび細胞を受け入れ、該細胞凝集体トラップ中で細胞凝集体をTCFおよび細胞から分離することを含む。残りのTCFおよび細胞を、細胞凝集体の量が比較的少なくなった状態で、バイオリアクターに戻してよい。
【0017】
他の態様において、灌流バイオリアクターシステムの操作方法を提供する。該方法は、細胞を含むTCFをバイオリアクターから細胞保持ユニットに供給し、TCFから細胞を分離して回収物を供給し、残りの再循環TCFおよび細胞を細胞凝集体トラップに受け入れ、該細胞凝集体トラップ中で細胞凝集体をTCFおよび細胞から分離することを含む。残りのTCFおよび細胞は、細胞凝集体の量が比較的少なくなった状態でバイオリアクターに戻してよい。本明細書中に記載の方法、灌流バイオリアクターシステムおよび細胞凝集体トラップは、凝固因子産生および/または生物学的な薬剤または因子を製造するための他の適当な方法に適用し得る。
【0018】
細胞凝集体トラップを含む灌流バイオリアクターシステム、細胞凝集体トラップおよび灌流バイオリアクターシステムの操作方法のこれらの態様および他の態様は、以下の
図1〜4に記載する。
図1は、灌流バイオリアクターシステム(100)の一態様のブロック図を示す。該灌流バイオリアクターシステム(100)は、バイオリアクターの入口(104)およびバイオリアクターの出口(106)を含むバイオリアクター(102)を含む。該バイオリアクター(102)は、組織培養液(TCF)(108)および培養する細胞(109)を維持するように設計した培養チャンバー(105)を含む。該灌流バイオリアクターシステム(100)は、凝固因子のような生物製剤の産生に使用し得る。例えば、該灌流バイオリアクターシステム(100)および該方法は、第VII因子、第VIII因子または第IX因子のような凝固因子または他の適当な因子または物質の製造に使用し得る。
【0019】
第VIII因子の製造方法の例は、米国特許第6,338,964号、表題「Process and Medium For Mammalian Cell Culture Under Low Dissolved Carbon Dioxide Concentration」に記載されており、その記載内容は全体が参照により本明細書中に包含される。例えば、細胞培養プロセスは、高濃度の錯化剤と、添加したNaHCO
3濃度が低い緩衝剤とを含むTCF中で細胞を培養することを含み得る。該細胞培養プロセスは、培養チャンバー、例えば
図1の培養チャンバー(105)中で行ってよく、該培養チャンバーは、いくつかの態様において、撹拌インペラーを含む撹拌型発酵槽であってよい。該発酵槽は、酸素化システムとして、培養チャンバーの底にマイクロスパージャー(microsparger)を備えているか、または膜を備えていてよい。該TCFは、他の補助剤、例えば鉄、Pluronic F-68またはインスリンを補充した、JRH (Lenexa, Kansas)またはLife Technologies (Grand Island, N.Y.)により製造されている、市販のDMEM/F12処方に基づいた培地組成物であってよく、本質的に他の蛋白質を含まないでいてよい。錯化剤であるヒスチジン(his) およびイミノ二酢酸(IDA) を使用してよく、有機緩衝剤、例えばMOPS (3-[N-モルホリノ]プロパンスルホン酸)、TES (N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-2-アミノエタンスルホン酸)、BES (N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]-2-アミノエタンスルホン酸)およびTRIZMA (トリス[ヒドロキシメチル]アミノエタン)を使用してもよく; これらは全て、例えば、Sigma (Sigma, St. Louis, Mo.)より入手し得る。いくつかの態様において、TCFは、既知の濃度のこれらの錯化剤および有機緩衝剤を、個々にもしくは組み合わせて補充してもよい。該TCFは、鉄キレート剤として、EDTAを、例えば50μMで含んでいてもよい。他の組成物、製剤、補助剤、錯化剤および/または緩衝剤を使用してもよい。
【0020】
細胞培養は、細胞を以前に増殖していた培養物中から播種することにより始めてよい。典型的なバイオリアクターパラメーターは、安定な条件、例えば約35℃〜37℃の温度、約6.8〜7.0のpH、空気飽和の約30%〜70%の溶存酸素(DO)、約30rpm〜80rpmの撹拌速度、およびほぼ一定の液体体積といった条件下に、(例えば自動的に)維持し得る。他のバイオリアクターパラメーターを用いてもよい。DOおよびpHは、市販されているプローブを用いてオンラインで測定し得る。バイオリアクタープロセスは、バッチモードで約1〜2日間、最初に細胞濃度を倍加させて始めてよい。この後、TCFが連続的にバイオリアクターにポンプで送り込まれ、細胞(および細胞凝集体を含んでいてよい)を含んでいるTCFがポンプで排出される、灌流段階が起こり得る。TCFの流速は、調節されており、細胞濃度に比例して増加し得る。細胞濃度が、バイオリアクター中で標的とする高いレベル(例えば約10X10
6個/ml〜20x10
6個/mL)に達し、この濃度で調節し得る場合、定常状態または安定した灌流プロセスを達成し得る。この点において、流速は一定に維持し得る。細胞密度は、灌流バイオリアクターシステム中で、4,000,000〜40,000,000個/mLであってよい。他の生物製剤、凝固因子、細胞濃度または細胞密度等も使用し得る。
【0021】
図1に関して、細胞(109)は、真核細胞または原核細胞、例えば動物、植物もしくは微生物細胞であってよい。例えば、細胞(109)は、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK細胞)、腎臓細胞とB細胞のハイブリッド(HKB細胞)またはヒト胎児由来腎臓細胞 (HEK細胞−HEK293または293細胞ともよばれる)等であってよい。該TCF(109)は、TCFの入口(105A)または灌流バイオリアクターシステム(100)の他の場所を介して培養チャンバー(105)に導入し得る。TCF(108)中の細胞(109)は、その性質および処理により、時々、拡大図で示されるような細胞凝集体(109A)を形成し得る。本明細書中で、「細胞凝集体」という語は、細胞凝塊物、細胞凝集塊または、お互いに連結し、接着して細胞の群を形成している細胞の凝集体をさす。本発明の1以上の態様を用いて取り除き得る「細胞凝集体」は、約10個以上の細胞、約20個以上の細胞、または約40個以上の細胞であり得る。本発明の1以上の態様により、細胞凝集体は、細胞約10〜約50,000個、または約40個〜約300個の範囲で取り除き得る。より一般的には、本発明の様々な態様の1つ以上を用いて取り除き得る細胞凝集体(109A)は、該凝集物中の内部の細胞の少なくともいくらかが、灌流プロセスの間に、十分な酸素および/または栄養がないことから死ぬ傾向があるような大きさおよび形状の細胞凝集物を含む。一般的に、細胞凝集体はきわめて大きい。例えば、(細胞凝集体の幅が)最小で、約60ミクロン以上、または約100ミクロン以上の大きさの細胞凝集体(109A)は、本発明の様々な態様を用いることにより分離し、取り除き得る。本発明の一以上の態様は、約60ミクロン〜約3000ミクロン、または約100ミクロン〜約500ミクロンの範囲の最小寸法を有する細胞凝集体を取り除き得る。それより小さい凝集体をさらに、もしくは代替法として分離し取り除いてよい。バイオリアクター(102)中に細胞凝集体(109A)が存在することは、通常望ましいことではなく、本発明の灌流バイオリアクターシステム(100)および方法(300、400)は、少なくともいくらかの、および多くの場合においては、ほとんどの細胞凝集体(109A)をそこから取り除き得る。図示した灌流バイオリアクターシステム(100)は、バイオリアクター(102)に流体連結した、第一細胞濃度 (C1)にて細胞(109)を含む、TCF(108)(細胞凝集体(109)を含んでいてもよい)をバイオリアクター(102)から受け入れるように設計された、細胞保持ユニット(110)を含む。第一細胞濃度 (C1) は例えば、細胞数約4 x 10
6個/mL〜約40 x 10
6個/mLの範囲であり得る。他の範囲の細胞濃度を用いてもよい。示す態様中において、第一濃度 (C1)にて、細胞(109)を含むTCF (108)は、バイオリアクターの出口(106)から排出され、第一導管(113)を通って細胞保持ユニットの入口(112)で受け入れられる。該導管(113)は、バイオリアクターの出口(106)から排出された細胞(109)を含むTCF(108)の冷却に機能する任意の熱交換器と連結していてよい。該細胞保持ユニット(110)は、TCF(108)からほとんどの細胞(109)を分離し、第一の保持ユニットの出口(114)にて第二の細胞濃度(C2)のごく少量の細胞(109)のみを含むTCF(108)の回収物を供給するように設計されており、操作可能であり、そのためそのように機能する。したがって、第二細胞濃度は、第一細胞濃度(C1)より低い、すなわち、C2<C1であり、具体的には、C2<<C1である)。第二細胞濃度(C2)は、例えば、細胞数約0.1 x 10
6個/mL〜約2 x 10
6個/mLの範囲であり得る。他の細胞濃度を用いてもよい。所謂回収物は、第一細胞保持ユニットの出口(114)から、例えば第二導管(115)に連結した回収ポンプ(117)のポンピング作用により第二導管(115)を通る。該回収物は、さらに、下流の単離および精製プロセス(118)にて、単離および/または精製され得る。これらの付加的な単離および精製プロセス(118)は、連続的式またはバッチ式で行い得る。例えば、これらの下流の単離および精製プロセス(118)は、米国特許公開番号第2008/0269468号、表題「Devices And Methods For Integrated Continuous Manufacturing Of Biological Molecules」に記載の通りに実行でき、その開示内容は参照によりその全体が本明細書中に包含される。例えば、バッチモードでは、典型的に1〜4日以上で、一定の体積の回収物が集まると、1以上の回収容器を無菌の発酵容器から連絡切断し、該回収物質を1つのバッチとしてよい。次の工程は、細胞、細片、小片を取り除くことである。産業的な規模では、これは、遠心分離およびそれに次ぐデッドエンド膜濾過または、デッドエンド深層濾過およびそれに次ぐデッドエンド膜濾過により行い得る。タンジェント流(または「クロスフロー」)精密濾過または他の任意の適当な濾過技術のような他の技術も使用し得る。任意の場合において、小片除去プロセスの生成物は、浄化組織培養液(cTCF)のバッチである。このcTCFは、任意の適当な方法、例えばクロスフロー限外濾過または充填層クロマトグラフィーにより精製(濃縮)し得る。
【0022】
連続的なモードにおいて、一定体積の回収物は、灌流バイオリアクターシステムと統合した、滅菌条件下で維持し得る連続的精製システムにより精製し得る。本明細書中では、「連続的」という用語は、長期間にわたって、時間、順番および/または操作が中断されないことをさす。例えば、細胞保持ユニット(110)は、最初の細胞保持および、浄化TCFの回収物(108)の生成を、第一の保持ユニットの出口(114)で行い得る。該単離および精製プロセス(118)は、第二導管(115)からの回収物の、適当な濾過システムによる、濾過(単離)をさらに含んでいてよく、いくつかの態様において、該濾過システムによるcTCFの供給は、約3ミクロン以下、0.45ミクロン以下または0.2ミクロン以下の最終濾過速度によって行われる。他の濾過速度を用いてもよい。
【0023】
濾過プロセスに次いで、例えば連続的な限外濾過分離プロセスを含む精製プロセスを行ってよい。いくつかの態様において、限外濾過は、流束対TMP曲線の圧力依存性領域において、対象分子の転移点より下の特定の比流量で行ってよく、ここで、かかる特定の比流量は、連続的限外濾過の間を通じて実質的に一定である。連続単離および精製プロセス(118)を用いることにより、比較的高い収量を達成することができる。いくつかの態様において、cTCFは、cTCFの体積流量(l/時間)とほとんど同等であるか、約0.1〜2倍の面積(m
2)を有するか、cTCFの体積流量(l/時間)とほとんど同等であるか、約0.3〜1倍の面積(m
2)を有する限外濾過膜を通る。他の膜面積を用いてもよい。
【0024】
細胞保持ユニット(110)中の分離の後、TCF(108)および比較的高い濃度の細胞(109)の再循環排出物は、第二の保持ユニットの出口(119)にて、第三の細胞濃度(C3)に得られる。かかる第三の細胞濃度(C3)は、一般的に、第一濃度(C1)よりも比較的高く、すなわち、C3>C1であり、これは、少量の細胞(109)の損失が回収液で見られるにもかかわらず、第一の保持ユニットの出口(114)にて抽出されるTCF(108)の体積がより大きいためである。第三細胞濃度(C3)は、例えば、細胞数約6 x 10
6個/mL〜約60 x 10
6個/mLの範囲であり得る。他の範囲の細胞濃度を用いてもよい。細胞保持ユニット(110)は、任意の公知の細胞分離技術、例えばディスクフィルター、スピンフィルター、フラットシートフィルター、微孔性中空繊維フィルター、クロスフローフィルター、ボルテックスフローフィルター、連続遠心分離、遠心性バイオリアクター、重力型セトラー、超音波デバイスおよび液体サイクロン等に基づいていてよい。中に入る第一細胞濃度(C1)を、外に出る細胞濃度(C2およびC3)に分けるよう設計され、操作可能であるため、そのように機能する、任意の適当なタイプの細胞保持ユニット(110)を使用し得る。
【0025】
本明細書中に記載の態様において、灌流バイオリアクターシステム(100)は、細胞凝集体トラップ(120)を含む。該細胞凝集体トラップ(120)は、トラップの入り口(121)において、細胞保持ユニット(110)から、TCF(108)および細胞(109)の再循環排出物を第三の細胞濃度(C3)にて受け入れるように設計されていて操作可能であり、そのため、そのように機能する。細胞保持ユニット(110)は、第三導管(122)により、細胞凝集体トラップ(120)に流体連結されていてよい。いくつかの態様において、細胞保持ユニット(110)および細胞凝集体トラップ(120)の機能を1つのユニットに統合し得る。したがって、かかる態様においては、導管(122)は削除されていてよく、細胞保持ユニット(110)の排出物が、トラップの入口(121)に直接受け入れられてよい。
【0026】
細胞凝集体トラップ(120)は、細胞凝集体(109A)を、細胞凝集体トラップ(120)にて受け入れた、第三細胞濃度(C3)のTCF(108)および細胞(109)の再循環排出物から分離する際に機能する。実施の一において、細胞凝集体(109A)の分離は連続的に行う;すなわち、操作の間、細胞保持ユニット(110)からのフローは連続的である。一般的に、フローストリーム中に存在している場合、細胞凝集体(109A)の少なくともいくらか、一般的にはかなり高い割合(%)は、細胞凝集体トラップ(120)により取り除かれ、第四細胞濃度(C4)の、残存するTCF(108)および細胞(109)はバイオリアクター(102)の入口(104)に戻される。第四細胞濃度 (C4)は例えば、細胞数約5 x 10
6個/mL〜約50 x 10
6個/mLの範囲であり得る。他の範囲の細胞濃度を用いてもよい。いくつかの態様において、該灌流バイオリアクターシステム(100)および細胞凝集体トラップ(120)を含む方法は、細胞凝集体の約20%〜約80%を取り除くことができるが、他の割合(%)でも細胞凝集体を取り除き得る。
【0027】
TCF(108)および細胞(109)は、該トラップの出口(123)から出、第四導管(124)を通って、バイオリアクターの入り口(104)に入り得る。1つ以上の再循環ポンプ(125)が備えられていてよく、TCF(108)および細胞(109)のフローが起こるように操作されてよい。かかる1つ以上の再循環ポンプ(125)は、任意の都合のよい位置、例えば導管113、122もしくは124、または他の適当な位置であってよい。本明細書中に記載の態様において、ポンプ(125)は、第四導管(124)に連結している。
【0028】
さらに、該細胞凝集体トラップ(120)は、少量のTCF(108)およびいくらかの細胞凝集体(109A)が細胞凝集体トラップ(120)から取り除かれることを可能にするように設定され、操作可能であり、したがってそのように機能する任意の適当なトラップ廃棄口(126)を含んでいてよい。第五細胞濃度(C5)は、該トラップ廃棄口(126)にて得られる。第五細胞濃度(C5)は、例えば、細胞数約12 x 10
6個/mL〜約90 x 10
6個/mLの範囲であってよい。他の範囲の細胞濃度を用いてよい。いくつかの細胞凝集体(109A)が細胞凝集体トラップ(120)によりプロセスフローストリームより取り除かれるため、細胞濃度(C4)は、一般的に細胞濃度(C3)より低い、すなわちC4<C3である。細胞凝集体(109A)および少量のTCF(109)は、トラップ廃棄口(126)より流れ、廃棄され得る。廃棄ポンプ(127)を、連続的にまたは周期的に操作して、細胞凝集体(109A)および少量のTCF(108)を、廃棄導管(128)を通して、廃棄容器、例えばフレキシブルバッグ、または他の型の廃棄容器に流してよい。
【0029】
細胞凝集体トラップ(120)の構造および操作を、以降、
図2Aおよび2Bについて記載する。細胞凝集体トラップ(120)は、強固な素材、例えばステンレススチール、ガラスまたはプラスチックでできていてよい、トラップ体(130)を含む。他の素材を用いてもよい。該TCF(108)および細胞(109)(細胞凝集体(109A)をいくらか含んでいてもよい)を、トラップ入り口(121)にて、例えばトラップ体の一番上で受け入れる。示すように、TCF(108)および細胞(109)ならびに場合により、細胞凝集体(109A)は、操作の間、トラップ入り口(121)のすぐ隣の位置に形成され得る拡張ゾーン(132)および該細胞凝集体トラップ(120)の
沈降チャンバーに直接流れ込んでよい。該拡張ゾーン(132)は、
沈降チャンバー(134)の横断面積が、該
沈降チャンバー(134)の長さに沿って徐々に上昇する、斜めのまたは曲面の壁面からなっていてよい。本明細書中に示す態様において、拡張ゾーン(132)は、円錐台状領域として示される。しかし、トラップの入り口(121)の横断領域から、
沈降チャンバー(134)の横断面領域への一般的に滑らかな移行の任意のものを用いてよい。一般的に、入り口(121)からの面積の増加の移行率は、細胞(109)の受ける、剪断力を最小化するために、約8.4cm
2/cmより小さくてよく、いくつかの態様では、約4.2cm
2/cmより小さくてよい。他の移行率を用いてもよい。しかし、いくつかの態様においては、拡張ゾーン(132)は存在しなくてもよい。
【0030】
細胞凝集体トラップ(120)は、サイドフローチャンバー(136)を含んでいてよい。該サイドフローチャンバー(136)は、
沈降チャンバー(134)と連結して、TCF(108)および細胞(109)が、トラップの出口(123)を通って細胞凝集体トラップ(120)から出て、細胞凝集体(109A)が、
沈降チャンバー(134)中にて、重力下で沈降するように構成、設計され、操作可能なものである。示した態様において、サイドフローチャンバー(136)は、一般的に円柱状であり、
沈降チャンバー(134)の側面(134S)から水平方向に拡張していることが一般的である。例えば、サイドフローチャンバー(136)は、一般的に、
沈降チャンバー(134)から、垂直に拡張し得る。しかし垂直方向以外の他の形状、設計および配向を用いてもよい。
【0031】
沈降チャンバー(134)の拡張ゾーン(132)と同様に、細胞凝集体トラップ(120)は、サイドフローチャンバー(136)からのトラップ出口(123)に直接隣接する位置に、収縮ゾーン(138)を含み得る。いくつかの態様において、該収縮ゾーン(138)は、約8.4cm
2/cm以下の面積収縮の移行率を示し、いくつかの態様においては、約4.2cm
2/cm以下である。それより大きいもしくは小さい移行率を用いてもよい。いくつかの態様において、D3/D4比は、例えば、約2より大きくてもよい。同様に、
沈降チャンバー(134)の底部のトラップ廃棄口(126)に、廃棄収縮ゾーン(140)があってよい。該トラップ廃棄口(126)は、最大の横断寸法D5(例えば、内径)を有し得る。1以上の態様において、廃棄収縮ゾーン(140)は、約8.4cm
2/cm以下の面積収縮の移行率を示してよく、いくつかの態様においては、約4.2cm
2/cm以下であってよい。それより大きいまたは小さい移行率を使用し得る。いくつかの態様において、D1/D5比率は、例えば約2より大きくてよい。
【0032】
より詳細には、
沈降チャンバー(134)は、いくつかの態様において、約1.9cm〜約6.4cm、いくつかの態様では約2.5cm〜約5.1cmの横断寸法(D1)(例えば内径)を有する円形断面を有し得る。
沈降チャンバー(134)の最大横断面積は、約2.9cm
2〜約32cm
2であってよく、いくつかの態様においては、例えば、約5.1cm
2〜約20cm
2である。トラップの入り口(121)は、約0.48cm〜約1.6cm、いくつかの態様においては、例えば約0.64cm〜約1.3cmの横断寸法(D2)(例えば内径)を有する円形断面を有し得る。いくつかの態様において、D1/D2比は約2より大きくてもよく、例えば、約4よりさらに大きくてもよい。しかし、他の適当な横断面の形態および大きさを用いてもよい。
【0033】
細胞凝集体トラップ(120)の適当な大きさは、灌流バイオリアクターシステム(100)の容量(例えば、その処理容量)に依存してよく、その大きさはフロー容量に基づいて大きくも小さくもなり得る。細胞凝集体トラップ(120)の大きさはまた、他の因子、例えば流体密度または粘度に依存し得る。
沈降チャンバー(134)の最大の横断面積は、トラップの入り口(121)の最大横断面積と等しいかまたはそれより大きくてよい。本明細書中に示す態様において、
沈降チャンバー(134)の最大横断面積は、トラップの入り口(121)の最大横断面積より大きい。具体的には、いくつかの態様において、
沈降チャンバー(134)の最大横断面積は、トラップの入り口(121)の最大横断面積の約4倍以上、約10倍以上、約30倍以上、または約60倍以上であってよい。
【0034】
該
沈降チャンバー(134)は、上側の領域(134U)および下側の領域(134L)を含む。上側領域(134U)は、サイドフローチャンバー(136)の、中心線(142)より上側に位置し、下側領域(134L)は、該サイドフローチャンバー(136)の中心線(142)より下側に位置する。本明細書中に示す態様において、
沈降チャンバー(134)の、拡張ゾーン(132)の上端から、収縮ゾーン(140)の下端までの全長(Lt)は、約9cm〜37cmであってよく、いくつかの態様においては約14cm〜28cmであってよい。収縮ゾーン(132)の上端からサイドフローチャンバー(136)の中心線(142)までの上側領域(134U)の長さ(Lu)は、約5cm〜18cmであってよく、いくつかの態様においては約7cm〜14cmであってよい。収縮ゾーン(140)の下端から、サイドフローチャンバー(136)の中心線(142)までの下側領域(134L)の長さ(Ll)は、約5cm〜18cmであってよく、いくつかの態様においては約7cm〜14cmであってよい。他の大きさを用いてもよい。一般的に、Ll/Luの比率は>0.5であることが望ましく、いくつかの態様においては、例えばLl/Lu>4であり得る。他の比率を用いてもよい。
【0035】
操作の間、細胞凝集体トラップ(120)を通る体積流量は、一般的に、約0.0025m
3/分〜約0.0068m
3/分であり、いくつかの態様においては、約0.0030m
3/分〜約0.0045m
3/分である。他の体積流量(例えば容量)を用いてもよい。しかし、いくつかの態様においては、液流量を、
沈降チャンバー(134)中の、層レイレルズ数の範囲に保つことが望ましい。
沈降チャンバー (134)中のレイノルズ数は、混合を最小化し、適切な細胞凝集体(109A)の沈降および分離を促進するためには、約2300より小さいか、約1000より小さいか、またはいくつかの態様においては約500より小さくてよく、ここで、該レイノルズ数は、以下の式1によりおよそ定義される:
Re = ρQ/μ 式1
[式中:
Qは、液体の体積流量(m
3/s)であり、
μは、液体の動的粘度 (kg/(m・s)であり、
ρは液体の密度(kg/m
3)である。]。
【0036】
しかし、TCF(108)および細胞(109)が、トラップの出口(123)から細胞凝集体トラップ(120)を出られ、
沈降チャンバー(134)中で沈降することに対して抵抗を示すように、フローストリーム中で細胞(109)を適切に保持するためには、
沈降チャンバー(134)中のフローは、例えば、細胞(109)の沈降を避けられるだけのレイノルズ数を有し得る。
【0037】
サイドフローチャンバー(136)は、約1.9cm〜約6.4cm、いくつかの態様においては約2.5cm〜約5.1cmの最大横断寸法 (D3) (例えば、内径)を示す円形断面を有し得る。該サイドフローチャンバー(136)の最大横断面積は、約2.9cm
2〜約32cm
2であってよく、いくつかの態様においては、例えば、約5.1cm
2〜約20cm
2であってよい。例えば、他の適当な横断の形状および大きさを使用してもよい。サイドフローチャンバー(136)の、入口から、収縮ゾーン(138)の出口までの、サイドフローチャンバー(136)の全長 (Ls) は、約4cm〜15cmであってよく、いくつかの態様においては、約5cm〜11cmであってよい。サイドフローチャンバー(136)の出口(123)の最大の大きさ(D4) (例えば、内径)は、約0.48cm〜1.6cmであってよく、いくつかの態様においては約0.64cm〜1.3cmである。他の大きさを用いてもよい。サイドフローチャンバー(136)中のフローは、約2300より大きい、または例えば約4000より大きいレイノルズ数を示してよい。他のレイノルズ数の範囲を用いてもよい。サイドフローチャンバー(136)中の細胞(109)の沈降が最小になるようなレイノルズ数を選択してよい。
【0038】
いくつかの態様において、
沈降チャンバー(134)の最大横断面積(Asc)は、サイドフローチャンバー(134)の最大横断面積(Asfc)と同等かまたはそれより大きい、すなわちAsc≧Asfcである。具体的には、
沈降チャンバー(134)の最大横断面積(Asc)は、サイドフローチャンバー(136)の最大横断面積と等しいかまたは5倍以上大きくてよい。他のAsc/Asfc比率を用いてもよい。横断面積の差異は、一般的には、
沈降能を改善するのに機能し得る。本明細書中で記載の代表的な大きさである、D1〜D5は、第二導管(115)中のフローが1日あたり約2000〜3000lの容量を有する灌流バイオリアクターシステム(100)の具体的な態様に関する(
図1)。それより小さいもしくは大きい容量を有する灌流バイオリアクターシステム(100)は、本発明の態様、例えば第二導管(115)中のフローが1日あたり約100〜200lの容量である、灌流バイオリアクターシステム(100)を用いることによって益を得うる。
【0039】
操作中、該細胞凝集体トラップ(120)は、
沈降チャンバー(134)およびサイドフローチャンバー(136)について、本明細書中で記載したような適切な寸法決定および体積流量によって、約10個の凝集細胞より大きいかまたはそれと同等か、または約20個の凝集細胞(109)より大きいかまたはそれと同等、または約40個の凝集細胞(109)より大きいかまたはそれと同等の細胞凝集体(109A)を取り除くように設計されており、操作可能であり、そのように適用されている。いくつかの態様において、それより少ない数の凝集細胞を取り除いてもよい。細胞(109)および(TCF)は、サイドフローチャンバー(136)を出ることができる。したがって、望ましくない細胞凝集体(109A)は、本発明の様々な態様の操作により取り除かれる。いくつかの態様において、細胞凝集体トラップ(120)により取り除かれる望ましくない細胞凝集体(109A)は、約60ミクロンより大きいか、約100ミクロンより大きいかまたはそれよりもさらに大きい、最小の横方向の寸法(D6)を有し得る(
図2A参照)。それよりも小さいサイズの細胞凝集体も取り除き得る。細胞凝集体トラップ(120)を用いる1つの有利な点は、灌流バイオリアクターシステム (100)からのTCF(108)の廃棄速度が低下し得るということである。具体的には、細胞凝集体トラップ(120)からの廃棄細胞濃度(C5)が、第一の細胞濃度(C1)と同等または約3倍まで高くなる(ここで、C5≧3C1)か、または同等かもしくはC1の約5倍まで高くなる(ここで、C5≧5C1)ように、TCF(108)の廃棄速度を減速しうる。
【0040】
示す態様において、細胞凝集体トラップ(120)は、細胞保持ユニット(110)の出口に設置された状態で示されている。しかし、該細胞凝集体トラップ(120)は、灌流バイオリアクターシステム(100)の、他の任意の場所に設置してよいことは理解されるべきである。例えば、細胞凝集体トラップ(120)のような細胞凝集体トラップは、第一導管(113)の位置(例えば、バイオリアクターの出口(106)または細胞保持ユニットの入り口(112)の隣またはそうでなければ、第一導管(113)に連結している)であってよい。この態様において、細胞凝集体(109A)を含んでいてよいTCF(108)および細胞(109)の再循環排出物は、細胞凝集体トラップを通り、細胞保持ユニット(110)に達する。したがって、細胞凝集体(109A)は、保持ユニット(110)に入る前にフローストリームから取り除き得る。また、細胞凝集体トラップは、バイオリアクター(102)の中に、例えばバイオリアクターの入り口(104)にてまたはその付近にて統合し得る。
【0041】
灌流バイオリアクターシステム(100)の様々な態様の操作方法を、以下の
図3について記述する。灌流バイオリアクターシステム(100)を操作する1つの方法(300)は、バイオリアクター(例えばバイオリアクター(102))から、細胞(例えば細胞(109)および場合によっては、いくつかの細胞凝集体(109A))を含む組織培養液(例えばTCF(108))を細胞保持ユニット(例えば細胞保持ユニット(110))に供給すること(302)を含む。細胞を含む組織培養液は、第一の細胞濃度(C1)であり得る。さらに、該方法(300)は、該細胞保持ユニット中で、細胞を、組織培養液から分離して、組織培養液および細胞の回収物(例えば、第二導管(115)にて)ならびに組織培養液および細胞の再循環排出物を供給すること(304)を含む。該回収物は、第二の細胞濃度(C2)であり得る。組織培養液および細胞の再循環排出物は、第三細胞濃度(C3)であり得る。組織培養液および細胞の再循環排出物は、第三導管(122)にて得られる。306において、細胞凝集体トラップ(例えば、細胞凝集体トラップ(120))中にて、細胞凝集体(例えば109A)の、組織培養液および細胞の再循環排出物からの分離を行う。最後に、308にて、該組織培養液および細胞を、細胞凝集体の量が比較的少なくなった状態で、バイオリアクターに戻し得る(上述の比較的量が少ないとは、細胞凝集体トラップ(120)が無かった場合にバイオリアクター(102)に戻るであろう組織培養液および細胞との比較である)。戻る組織培養液および細胞は、第四の細胞濃度(C4)であり得る。該分離プロセスの間、
沈降チャンバー(134)中で細胞(109)から分離された細胞凝集体(109A)は、周期的または連続的に、
沈降チャンバー(134)の底部に
沈降し、細胞凝集体(例えば、細胞凝集体トラップ(120))から、例えば、トラップ廃棄口(126)から外に出て廃棄されてよい。
【0042】
灌流バイオリアクターシステム(100)を操作する他の具体的な方法を、
図4について記述する。該方法(400)は、組織培養液(例えば、TCF(108))および細胞(例えば、細胞(109)および場合によって細胞凝集体(109A))のフローをバイオリアクター(例えば、バイオリアクター(102))から供給すること(402)を含む。さらに、該方法(400)は、細胞保持ユニット (例えば、細胞保持ユニット(110))中にて、組織培養液から細胞を分離し、回収物(例えば、導管(115)中の排出物)を供給すること(404)を含む。406において、細胞凝集体トラップ(例えば、細胞凝集体トラップ(120))中で、細胞凝集体を、組織培養液および細胞から分離する。408において、組織培養液および細胞を、細胞凝集体の量が比較的少なくなった状態でバイオリアクターに戻し得る(上述の比較的量が少ないとは、細胞凝集体トラップ(120)が無かった場合にバイオリアクター(102)に戻るであろう組織培養液および細胞との比較である)。上述の内容から理解できるであろうが、細胞凝集体トラップ (例えば、細胞凝集体トラップ(120))は、細胞保持ユニット(例えば、細胞保持ユニット(110))の前後または、細胞凝集体(109A)を、再循環フローストリームから効率的に取り除き得る、灌流バイオリアクターシステム(100)中の他の任意の場所に設置してよい。さらに、1以上の細胞凝集体トラップを、灌流バイオリアクターシステム中に置いてよい。
【0043】
本態様の方法は、凝集塊または細胞集団としてお互いに接着し得る約10と同等かまたはそれ以上、または約20と同等かまたはそれ以上(または約40と同等かまたはそれ以上)の凝集細胞を有する細胞凝集体(例えば109A)を取り除くのに有用である(しかし、いくつかの態様において、より小さい細胞凝集体も取り除き得る)。例えば、上述の範囲の細胞凝集体(例えば、109A)を取り除き得る。そのため、灌流プロセスの操作の間、バイオリアクター(102)中の密度は、比較的より密接に制御し得る。さらに、他の利点として、TCF(108)の廃棄体積を減少し得る。したがって、これは、生成物の体積の損失を最小化し得るという点で顕著に有利である。この利点は、細胞凝集体(109A)が比較的少ない量しか形成されない、灌流バイオリアクターシステム(100)においても、顕著なものである。
【0044】
上述の記載は、細胞凝集体トラップ、細胞凝集体トラップを含む灌流バイオリアクターシステム、該灌流バイオリアクターシステムの操作方法の例となる態様を記載しているにすぎない。本発明が、かかる態様に限定されることは意図されることではない。反対に、本発明は、当業者の理解し得る、様々な代替物、変更および等価物を包含する。例えば、比較的小さい細胞凝集体を、その存在が灌流バイオリアクターシステムの操作に望ましくないものであれば、他の態様の細胞凝集体トラップを用いて取り除いてよい。本明細書中で用いる節の見出しは、構造上の目的のためのみのものであって、本発明の特定事項を限定するものと解されるべきではない。