(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227566
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】乳化性濃厚調剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/02 20060101AFI20171030BHJP
A01P 7/00 20060101ALI20171030BHJP
A01N 53/06 20060101ALI20171030BHJP
A01N 51/00 20060101ALI20171030BHJP
A01N 33/22 20060101ALI20171030BHJP
A01N 37/22 20060101ALI20171030BHJP
A01N 39/04 20060101ALI20171030BHJP
A01N 43/40 20060101ALI20171030BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
A01N25/02
A01P7/00
A01N53/00 506A
A01N51/00
A01N33/22 101
A01N37/22
A01N39/04 A
A01N43/40 101F
A01P13/00
【請求項の数】15
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2014-557945(P2014-557945)
(86)(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公表番号】特表2015-508080(P2015-508080A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】AU2013000164
(87)【国際公開番号】WO2013126947
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2016年2月4日
(31)【優先権主張番号】2012900731
(32)【優先日】2012年2月27日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】507213857
【氏名又は名称】ハンツマン・コーポレーシヨン・オーストラリア・ピーテイワイ・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ローワン
(72)【発明者】
【氏名】ジヤンシラクサ,マリー
(72)【発明者】
【氏名】カービー,アンドリユー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】セイリク,デイレク
【審査官】
斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−523549(JP,A)
【文献】
特開平08−301705(JP,A)
【文献】
特開2009−173596(JP,A)
【文献】
特表2009−524597(JP,A)
【文献】
特開平10−130104(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/028382(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/00−65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピリジンに基づく除草剤;ジフェニルエーテル除草剤;アニリド除草剤;ジニトロアニリン除草剤;トリアゾール殺菌・殺カビ剤;カルバメート殺虫剤;オキサジアジン殺虫剤;合成ピレスロイド殺虫剤;及びネオニコチノイド殺虫剤;あるいはそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の農薬活性成分;少なくとも1種の界面活性剤乳化剤;場合により安定剤;ならびに一次溶媒系を含んでなり、ここで溶媒系は酢酸ベンジル、ならびに、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイソソルビド(DMI)、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アルキルグリコールエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる十分な量の少なくとも1種の極性の実質的に水混和性の補助溶媒の組み合わせを含み、ここで、酢酸ベンジル対実質的に水混和性の補助溶媒の重量比が99.9:0.1〜40:60の範囲内である、
農薬乳化性濃厚(EC)調剤。
【請求項2】
酢酸ベンジル対実質的に水混和性の補助溶媒の重量比が90:10〜60:40の範囲内である請求項1に記載の調剤。
【請求項3】
活性成分がある濃度で存在し、ここで、活性成分は、結晶播種と0℃での保存の後、酢酸ベンジルおよび水混和性の補助溶媒に部分的に可溶性である、請求項1に記載の調剤。
【請求項4】
活性成分がクロピラリド、ジフルフェニカン、オキシフルオルフェン、プロパニル、トリアジメノル、オリザリン、プロポクスル、ビフェンスリン、インドキサカルブ、イミダクロプリド及びチアクロプリド又はそれらの混合物から選ばれる請求項1に記載の調剤。
【請求項5】
活性成分が2重量/容積%より高い濃度で存在するジフルフェニカンである請求項4に記載の調剤。
【請求項6】
さらにフェノキシ酸エステル除草剤を含んでなる請求項5に記載の調剤。
【請求項7】
1種もしくはそれより多い水非混和性非一次補助溶媒をさらに含んでなり、ここで水非混和性補助溶媒は活性成分を溶解するために必要でない請求項1に記載の調剤。
【請求項8】
界面活性剤乳化剤が、アルコキシル化アルコール;アルコキシル化アルキルフェノール;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化植物油;エトキシル化トリスチリルフェノール;ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのエトキシル化誘導体;エトキシル化アミン及びグリセロールの縮合物;C11−C16の範囲内のスルホン化アルキルベンゼン及びその塩;アルキルエーテルサルフェート;アルキルエーテルホスフェート;アルキルフェノールエーテルホスフェート;カチオン性アミンが1種もしくはそれより多いアルキルスルホネート、エーテルサルフェート又はアルキルエーテルホスフェートと組み合わされて用いられる両性イオン系からなる群から選ばれる請求項1に記載の調剤。
【請求項9】
安定剤がブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びエポキシド化大豆油(ESBO)からなる群から選ばれる請求項8に記載の調剤。
【請求項10】
安定剤が最高で3重量/容積%の濃度で存在する請求項9に記載の調剤。
【請求項11】
請求項1に記載のEC調剤を水中でさらに希釈して、濃厚農薬調剤を形成する水中エマルションEW調剤。
【請求項12】
(a)ピリジンに基づく除草剤;ジフェニルエーテル除草剤;アニリド除草剤;ジニトロアニリン除草剤;トリアゾール殺菌・殺カビ剤;カルバメート殺虫剤;オキサジアジン殺虫剤;合成ピレスロイド殺虫剤;及びネオニコチノイド殺虫剤;あるいはそれらの混合物から選ばれる農薬活性成分;N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイソソルビド(DMI)、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アルキルグリコールエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる極性の実質的に水混和性の補助溶媒;及び酢酸ベンジルを含んでなる混合物を形成し、ここで、酢酸ベンジル対実質的に水混和性の補助溶媒の重量比が99.9:0.1〜40:60の範囲内である、
段階;そして
(b)適した界面活性剤乳化剤、または、適した界面活性剤乳化剤と適した安定剤の組み合わせを加える段階
を含む、少なくとも1種の農薬活性成分を含んでなるEC調剤の調製方法。
【請求項13】
段階(a)が
a)酢酸ベンジル中の農薬活性成分の混合物を形成し、次いで極性の実質的に水混和性の補助溶媒を加えるか;あるいは
b)極性の実質的に水混和性の補助溶媒中の農薬活性成分の混合物を形成し、次いで酢酸ベンジルを加えるか;あるいは
c)酢酸ベンジルと極性の実質的に水混和性の補助溶媒の組み合わせを形成し、次いで農薬活性成分を加えるか;あるいは
d)農薬活性成分、酢酸ベンジル及び極性の実質的に水混和性の補助溶媒を組み合わせることを含む請求項12に記載のEC調剤の調製方法。
【請求項14】
(a)農薬活性成分;極性の実質的に水混和性の補助溶媒;及び酢酸ベンジルを含んでなる混合物を形成する段階;
(b)適した界面活性剤乳化剤、または、適した界面活性剤乳化剤と適した安定剤の組み合わせを加えて組成物を形成する段階;そして
(c)段階(b)で得られる組成物を水と接触させる段階
を含む請求項11に記載のEW調剤の調製方法。
【請求項15】
段階(a)が
a)酢酸ベンジル中の農薬活性成分の混合物を形成し、次いで極性の実質的に水混和性の補助溶媒を加えるか;あるいは
b)極性の実質的に水混和性の補助溶媒中の農薬活性成分の混合物を形成し、次いで酢酸ベンジルを加えるか;あるいは
c)酢酸ベンジルと極性の実質的に水混和性の補助溶媒の組み合わせを形成し、次いで農薬活性成分を加えるか;あるいは
d)農薬活性成分、酢酸ベンジル及び極性の実質的に水混和性の補助溶媒を組み合わせることを含む請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、他の補助溶媒と組み合わされた酢酸ベンジルを一次溶媒として含んで成る改良された溶媒系を用いる農薬活性成分の乳化性濃厚(EC)調剤(emulsifiable concentrate formulation)に関する。より好ましくは、改良された溶媒系は、実質的に保存安定性且つ希釈安定性の乳化性濃厚(EC)調剤を与える。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
農薬の調製の技術分野において、農薬活性成分を溶媒中に溶解し、次いでそれを微細な霧(fine spray)の形態で散布するためにそれをより大きな体積の水中に希釈することが多くの場合に必要である。さらに別の場合、活性成分を溶液中で希釈し、それを種子又は他の固体担体に適用することが必要である。いくつかの通常は塩の形態にある活性成分を単に水中に溶解し、次いで希釈することはできるが、大多数の農薬活性成分は疎水性であり、従って水溶性でない。水溶性でない活性成分の場合、通常調剤を水非混和性溶媒中に溶解し、水に加えた場合に溶液が水中油型エマルションを形成するように、1種もしくはそれより多い界面活性剤を加えることが必要である。そのような調剤は、乳化性濃厚(EC)調剤と呼ばれる。あるいはまた、活性成分を含んでなる水非混和性溶液を濃厚形態で水中に予備乳化することができる。そのような調剤は水中エマルション(EW)調剤と呼ばれる。EW調剤の特別な細分クラスはいわゆるミクロエマルション(ME)調剤であり、その場合エマルション粒度は、調剤が光を散乱せず、透明又は半透明の外観を有するような粒度である。
【0003】
通常EC及びEW調剤のために用いられる水非混和性溶媒には、すべてEXXONMOBILにより製造されるSOLVESSO(登録商標)シリーズのような芳香族炭化水素、EXXSOL(登録商標)範囲(range)のようなパラフィン性炭化水素、EXXATE(登録商標)範囲のようなエステル溶媒ならびにオレイン酸メチルのようなエステル溶媒が含まれるが、これらに限られない。さらに、高濃度において水非混和性である溶媒にはシクロヘキサノン及びイソホロンのような環状炭化水素が含まれる。
【0004】
より最近は、改善された(improved)毒性及び低下した引火性の側面を示す溶媒が用いられてきた。これらには、通常はメチルエステル誘導体である8〜16個の炭素単位を有する長鎖二酸の二塩基性エステル溶媒ならびにC
6−C
16脂肪酸のジメチルアミド及びモルホリンアミド誘導体を例とする脂肪酸アミド溶媒が含まれる。エチレン、プロピレン及びブチレンカーボネートのようなモノアルキレンカーボネートも補助溶媒としての用途を見出す。
【0005】
高度に極性の水混和性補助溶媒、例えばN−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルイソソルビド、モノエチレングリコール、モノプロピレングリコール及び種々のグリコールエーテルとの水非混和性溶媒の組み合わせは、特に活性成分の結晶化が周囲温度より低温で起こる場合、EC調剤の物理的安定性を達成するために過去に用いられてきた。しかしながら、そのような溶媒の組み合わせの使用は、多くの場合に希釈された調剤中で結晶化の問題に導く。
【0006】
極性の活性成分をより多く溶解できるが、希釈する時に活性成分の結晶化を生ずる有意な水溶性の問題を持つほど極性ではない低毒性且つ低引火性極性溶媒が特に必要である。
特に、乳化性濃厚調剤中で用いるために、ある種の問題の多い農薬活性成分を高濃度で溶解することができるのが望ましい。高濃度ECは、運搬及び取扱いに含まれるコストの低下の点で有意な利点を有する。そのような活性成分にはピリジンに基づく除草剤、例えばクロピラリド(clopyralid)及びジフルフェニカン(diflufenican);ジフェニルエーテル除草剤、例えばオキシフルオルフェン(oxyfluorfen);アニリド除草剤、例えばプロパニル(propanil);トリアゾール殺菌・殺カビ剤(fungicides)、例えばトリアジメノル(triadimenol);ジニトロアニリン除草剤、例えばオリザリン(oryzalin);カルバメート殺虫剤、例えばプロポクスル(propoxur);オキサジアジン殺虫剤、例えばインドキサカルブ(indoxacarb);合成ピレスロイド殺虫剤、例えばビフェンスリン(bifenthrin);ならびにネオニコチノイド殺虫剤、例えばイミダクロプリド(imidacloprid)及びチオクロプリド(thiocloprid)が含まれるが、これらに限られない。
【0007】
二塩基性エステル及び脂肪アミドに基づく溶媒の多くは、これらの溶媒の極性範囲内の活性成分のいくらかを溶解することができるが、溶解され得る活性成分の量に限界がある。さらに、これらの種類の溶媒のすべてが所望の毒性側面を有しているわけではない。さらに、これらの溶媒の製造及び特に精製に、有意な苦労及び費用が含まれ得る。
【0008】
モノ短鎖アルキレンカーボネート溶媒は全体的な優れた毒性側面及び低下した引火性を有するが、それらの主な限界は、それらが一般的に希釈されると水混和性であり、上記の活性成分の多くを完全には溶解しないことである。
【0009】
農薬活性成分用の溶媒としての酢酸ベンジルの使用は既知である。特許文献1は、最高で50重量/容積%の種々の疎水性農薬活性成分のエマルション組成物の調製のための、水混和性補助溶媒、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及び芳香族炭化水素と組み合わされた酢酸ベンジル及びアセト酢酸ブチルの使用を記載している。特許文献2は、マイクロカプセル組成物の形成のための調製物中にある種の活性成分を溶解するために適した溶媒として酢酸ベンジルの使用を記載している。
【0010】
しかしながら、改良された毒性及び引火性の側面を有する極性水混和性溶媒組み合わせを求める要求がまだある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】日本特許出願JP 2009173569A号明細書
【特許文献2】国際公開第WO 2011/017480号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前から既知の溶媒系に伴うある種の欠点を少なくとも改善する高濃度乳化性濃厚調剤のための改良された溶媒系を提供することを追求する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概略
本発明の1つの側面に従い、少なくとも1種の農薬活性成分;少なくとも1種の界面活性剤乳化剤;場合により安定剤;ならびに一次溶媒系を含んでなる乳化性濃厚(EC)調剤を提供し、ここで溶媒系は酢酸ベンジル及び十分な量の少なくとも1種の極性の実質的に水混和性の補助溶媒の組み合わせを含む。
【0014】
本発明者等は今回驚くべきことに、一次溶媒系として酢酸ベンジルを本明細書に記載される他の実質的に水混和性の補助溶媒と組み合わせて用いると、ある種の問題の多い活性成分の保存安定性且つ希釈安定性調剤を、別の溶媒組み合わせを用いて以前に達成され得たより高い配合量(loadings)において達成できることを見出した。そのような一次溶媒系は、改善された毒性及び引火性の側面を有する。
【0015】
特に、極性の実質的に水混和性の補助溶媒、例えばN−メチルピロリジノン及びジメチルスルホキシドと一緒に用いられると、酢酸ベンジルは濃厚形態において安定であり、且つ水中で希釈される時に結晶化に対して安定である調剤を与えることもできることが見出された。すなわち酢酸ベンジルは、濃厚液において所望の溶解性を達成するための補助溶媒として、極性の実質的に水混和性の溶媒を用いることに多くの場合に伴う、希釈する時の結晶化の問題を実質的に克服することができる。
【0016】
酢酸ベンジル対水混和性補助溶媒の比は、好ましくは99.9:0.1〜40:60の混合比内、より好ましくは90:10〜60:40の範囲内にある。
【0017】
少なくとも1種の実質的に水混和性の補助溶媒は、好ましくはN−メチルピロリジノン(NMP);ジメチルスルホキシド(DMSO);ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルイソソルビド(DMI);イソホロン;アセトフェノン;シクロヘキサノン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネート;ラクテートエステル;ジメチル及びジエチルカーボネート;アルキルグリコールエーテル;プロピレングリコール、エチレングリコール及びポリエチレングリコールを含むグリコール;メタノール;エタノール;イソプロパノール;n−プロパノール;n−ブタノール;イソブタノール;及びtert−ブタノールを含むアルコール;あるいはそれらの混合物の群から選ばれる。
【0018】
活性成分は、好ましくは有害生物防除剤(pesticide)又は除草剤から、例えばピリジンに基づく除草剤;ジフェニルエーテル除草剤;アニリド除草剤;ジニトロアニリン除草剤;トリアゾール殺菌・殺カビ剤;カルバメート殺虫剤;オキサジアジン殺虫剤;及びネオニコチノイド殺虫剤;あるいはそれらの混合物から選ばれる。
【0019】
より好ましくは、活性成分はクロピラリド、ジフルフェニカン、オキシフルオルフェン、プロパニル、トリアジメノル、オリザリン、プロポクスル、ビフェンスリン、インドキサカルブ、イミダクロプリド及びチアクロプリド又はそれらの混合物から選ばれる。
【0020】
最も好ましい形態において、活性成分は2重量/容積%より高い濃度で存在するジフルフェニカンである。さらに別の好ましい形態において、本発明の調剤はさらにフェノキシ酸エステル除草剤を含む。
【0021】
好ましい形態において、EC調剤中で用いられる少なくとも1種の界面活性剤乳化剤は、アルコキシル化アルコール;アルコキシル化アルキルフェノール;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化植物油;エトキシル化トリスチリルフェノール;ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのエトキシル化誘導体;エトキシル化アミン及びグリセロールの縮合物;C
11−C
16の範囲内のスルホン化アルキルベンゼン及びその塩;アルキルエーテルサルフェート;アルキルエーテルホスフェート;アルキルフェノールエーテルホスフェート;又はそれらの組み合わせ;エトキシル化トリスチリルフェノールのホスフェートエステルの塩;エトキシル化トリスチリルフェノールのサルフェート化エーテルの塩;あるいはカチオン性アミンがアルキルスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、エーテルサルフェート又はエーテルホスフェート、例えばアルキルエーテルホスフェートと組み合わされて存在する両性イオン系(catanionic system)を含んでなる群から選ば
れる。
【0022】
本発明のEC調剤は、好ましくはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びエポキシド化大豆油(ESBO)から選ばれる安定剤をさらに含む。安定剤は、好ましくは最高で3重量/容積%の濃度で存在し、より好ましくは活性成分が溶媒系中に溶解されたら調剤に加えられる。
【0023】
酢酸ベンジルと極性の実質的に水混和性の補助溶媒との組み合わせは、ピリジンに基づく除草剤、例えばクロピラリド及びジフルフェニカン;ジフェニルエーテル除草剤、例えばオキシフルオルフェン;アニリド除草剤、例えばプロパニル;トリアゾール殺菌・殺カビ剤、例えばトリアジメノル;ジニトロアニリン除草剤、例えばオリザリン;カルバメート殺虫剤、例えばプロポクスル;オキサジアジン殺虫剤、例えばインドキサカルブ;ならびにネオニコチノイド殺虫剤、例えばイミダクロプリド及びチオクロプリドを含むがこれらに限られないある種の結晶性活性成分の場合に優れた有用性を有することが見出された。これらの活性成分を安定且つより商業的に望ましい調剤の調製のために十分に高い配合量で調製しながら、同時に許容され得る毒性側面及び低い引火性を保持することができることが見出された。
【0024】
本発明の範囲は、さらに有害な溶媒も臭気の高い溶媒を用いずに、農薬活性成分を調製する方法にも拡張される。第2の側面において、本発明は、以下の、第1に極性の実質的に水混和性の補助溶媒中の農薬活性成分の混合物を形成し、次いで酢酸ベンジルを加えるか;あるいはまた酢酸ベンジル中の農薬活性成分の混合物を形成し、次いで極性の実質的に水混和性の補助溶媒を加えるか;あるいはまた酢酸ベンジルと極性の実質的に水混和性の補助溶媒の組み合わせ中の農薬活性成分の混合物を形成するか;あるいはまた農薬活性成分、酢酸ベンジル及び極性の実質的に水混和性の補助溶媒を組み合わせ;続いて少なくとも1種の適した乳化剤及び/又は少なくとも1種の安定性を加え、活性成分が種結晶の存在下で保存する時に0℃において実質的に可溶性であるEC調剤を調製する段階を含んでなる少なくとも1種の農薬活性成分の乳化性濃厚(EC)調剤の調製方法を目的とする。
【0025】
本発明は少なくとも1種の農薬活性成分を含んでなる水中エマルション(EW)調剤の調製方法も目的とし、方法は以下の、第1に極性の実質的に水混和性の補助溶媒中の農薬活性成分の混合物を形成し、次いで酢酸ベンジルを加えるか;あるいはまた酢酸ベンジル中の農薬活性成分の混合物を形成し、次いで極性の実質的に水混和性の補助溶媒を加えるか;あるいはまた酢酸ベンジルと極性の実質的に水混和性の補助溶媒の組み合わせ中の農薬活性成分の混合物を形成するか;あるいはまた農薬活性成分、酢酸ベンジル及び極性の実質的に水混和性の補助溶媒を組み合わせ;続いて少なくとも1種の適した界面活性剤乳化剤及び/又は少なくとも1種の安定性を加えて乳化性調剤を調製し;次いで組成物を水と接触させる段階を含んでなり、ここで活性成分は種結晶の存在下で保存する時に0℃において実質的に可溶性である。
【0026】
酢酸ベンジル溶媒の使用におけるさらなる利点は、それが同様の濃度の高い配合量の調剤を達成することができる特殊溶媒(specialty solvents)の多くと比較してより安価なことである。追加の利点は、酢酸ベンジルが低い臭気を有することである。
【0027】
さらに、他の補助溶媒と一緒の酢酸ベンジルは、EC調剤のような農薬調剤のための乳化剤として有用であることが知られている通常の界面活性剤を用いて、1種もしくはそれより多い所望の活性成分と一緒に有効に乳化され得ることが見出された。言い換えると、酢酸ベンジル溶媒系は、希釈された時に安定なエマルションを達成するために特殊な乳化
剤系を必要としない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
好ましい態様の記述
下記の表1にまとめる酢酸ベンジルの物理的性質から、この溶媒が比較的低い揮発性及び引火性を示すことがわかる。
【0030】
酢酸ベンジルの毒性学的性質を下記の通りに表2中にまとめる:
【0032】
酢酸ベンジルは比較的低い毒性を示す。
【0033】
EC又はEWのような農薬調剤のために溶媒が有効であるために、活性成分が十分に可溶性であり、0℃〜54℃の温度範囲内、より好ましくは−5℃〜54℃の温度範囲内でその結晶化が観察されないことが必要である。複数の極性の実質的に水混和性の補助溶媒が、結晶化に対する濃厚調剤(formulation concentrate)の安定性の達成において、問題の多い農薬活性成分の場合に有用であることが見出された。そのような溶媒にはN−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイソソルビド(DMI)、イソホロン、アセトフェノン及びシクロヘキサノンならびに種々のラクテートエステル誘導体が含まれるが、これらに限られない。これらの型の極性溶媒の使用に伴う主な困難は、結晶化の問題は解決され得るが、希釈された調剤及び得られるエマルションの活性成分の結晶化に関する安定性が不十分なことである。
【0034】
EC調剤は、好ましくは0.1〜20%w/vの範囲の、より好ましくは0.5〜5%
w/vの範囲内の率で水中に希釈される。EC調剤が有用であるために、それは希釈されたエマルション中で噴霧前に結晶化を示してはならず、且つそれは希釈と噴霧の間に許される時間、安定でなければならない。活性成分の希釈安定性に関する典型的な時間標準は、国連食糧農業機関(FAO)により示されており、それらにより準備された種々の技術的モノグラフ(technical monograph)中に見出され得る。エマルション安定性に関し、希釈されると、調剤は2時間より長時間、より好ましくは24時間より長時間、実質的に結晶を含まないことが期待される。
【0035】
従って、驚くべきことに、十分な量の酢酸ベンジルが十分な量の少なくとも1種の極性の実質的に水混和性の補助溶媒、例えばNMP、DMI又はDMSOと組み合わされて一次溶媒系として用いられると、乳化性濃厚(EC)調剤の安定性を保持するために十分なある種の結晶性活性成分に対する溶解性が与えられながら、水中で希釈される時の結晶化に関する安定性も与えられることが見出された。
【0036】
本発明中で用いられる「一次溶媒」という用語は、活性成分の溶解のために存在しなければならない溶媒又は溶媒の組み合わせである。本明細書で用いられる「非一次溶媒」という用語は、場合により溶媒系中にやはり存在することができるが、活性成分の溶解の目的のために必要でない溶媒である。非一次溶媒は、乳化剤ブレンド中に付随的に、あるいは色、安定性又は粘度のような追加の特徴又は特性を全体的な調剤に加える薬剤として存在することができる。一般に約10%より少量の非一次溶媒が存在する場合、そのような溶媒は一次溶媒系の一部として機能しないであろう。
【0037】
本発明において有用な極性の実質的に水混和性の補助溶媒には、好ましくはN−メチルピロリジノン(NMP);ジメチルスルホキシド(DMSO);ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルイソソルビド(DMI);イソホロン;アセトフェノン;シクロヘキサノン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネート;ジメチル及びジエチルカーボネート;アルキルグリコールエーテル;プロピレングリコール、エチレングリコール及びポリエチレングリコールのようなグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール及びtert−ブタノールのようなアルコールが含まれるが、これらに限られない。実質的に水混和性とみなされるために、溶媒は、予想されるEC調剤の希釈率において少なくとも実質的に、好ましくは完全な水溶性を有していなければならず、それは典型的には1000中の1部(1 part in 1000)より大きい。
【0038】
本明細書で用いられる「農薬的活性」又は「農薬的に活性」という用語は、動物の健康、公衆衛星、水処理、木材処理、家庭庭園(home garden)及び家庭の保菌生物管理(domestic vector control)におけるようなすべての関連するEC調剤の使用も包含することが意図されている。本発明において有用な農薬活性成分は、好ましくは英国作物保護協議会の有害生物防除剤マニュアル(Pesticide Manual of the British Crop Protection Council)(第14版)に挙げられている、実質的に水非混和性の溶媒中に可溶性であるものが含まれる。
【0039】
結晶化がないことに関して、酢酸ベンジルの不在下の他の場合に観察されるより有利な希釈性能がある活性成分及びEC調剤には、好ましくは単独のジフルフェニカン、フェノキシ酸エステル除草剤の存在下におけるジフルフェニカン、オキシフルオルフェン、プロパニル及び/又はイミダクロプリドが含まれるが、それらに限られない。
【0040】
酢酸ベンジルは、好ましくは99.9:0.1〜40:60の比率範囲内、より好まし
くは90:10〜60:40の範囲内で実質的に水混和性の補助溶媒と一緒に一次溶媒系として用いられる。
【0041】
本発明は、1種もしくはそれより多い実質的に水非混和性又は部分的に水非混和性の補助溶媒を、そのような溶媒が水中で希釈される時又は保存される時に活性成分の結晶化を再誘導するのに十分な量で存在しない限り、非一次溶媒としてさらに含むことができる。典型的に、水非混和性の補助溶媒は、用いられる調剤全体中の10%w/vより多くない量で存在する。
【0042】
本発明の農薬調剤は好ましくは葉面噴霧(foliar sprays)として植物の葉に、あるいは植物の苗条及び周りの土壌に適用される。そのような調剤を動物にも、局所的に、経口的に又は注入剤として適用することができる。それらを直接昆虫、ダニ、菌・カビ、軟体動物、線虫類及び蠕虫類に、木材及び木材製品に、ならびに建築物、昆虫防護ネットなどのためのコーティングとして適用される混合物の成分として適用することもできる。
【0043】
一次溶媒組み合わせを用いて調製される活性成分の組成物は、好ましくは乳化性濃厚液(EC)あるいはそのような濃厚液から作られる水中油エマルション(EW)としても調製される。EC調剤の調製のために、乳化剤及び安定剤のような他の添加剤が好ましくは用いられる。そのような添加剤は、用いられるものに依存して活性成分の全体的溶解性レベルを増すか、あるいは減じ得る。例えばドデシルベンゼンスルホネートの塩、例えばカルシウム塩又は1種もしくはそれより多いアミン塩を含有する界面活性剤乳化剤は、好ましくは短鎖アルコールのような追加の溶媒を含有し、それは全体的な溶解性を助長する。しかしながら他の場合、乳化剤の添加は、調剤中の活性成分の全体的なレベルを希釈し得る。
【0044】
好ましいEC調剤の調製のために、活性成分を酢酸ベンジル/実質的に水混和性の補助溶媒組み合わせ中に溶解し、界面活性剤乳化剤を3〜20%w/vの範囲内で加え、調剤を必要な容積に仕上げる。場合により、調剤を必要な容積に仕上げる前に、実質的に水混和性であるか又は部分的に水混和性であることができるさらなる補助溶媒を加えることができる。そのような場合による溶媒には、好ましくは環状炭化水素、例えばシクロヘキサノン及びイソホロン;モノアルキレンカーボネート、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネート;あるいは二塩基性エステルが含まれるが、これらに限られない。
【0045】
EC調剤のための乳化剤には、好ましくは非イオン性界面活性剤、例えばアルコキシル化アルコール及びアルコキシル化アルキルフェノール;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化植物油、例えばエトキシル化ひまし油;エトキシル化トリスチリルフェノール;ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのエトキシル化誘導体;エトキシル化アミン及びグリセロールの縮合物が含まれるが、これらに限られない。アニオン性界面活性剤、例えばスルホン化されたドデシルベンゼン及びC
11−C
16の範囲内の他のアルキルベンゼンの塩及びそれらの塩;アルキルエーテルサルフェート;ならびにアルキルエーテルホスフェート;アルキルフェノールエーテルホスフェート;又はそれらの組み合わせを含むエーテルホスフェート;エトキシル化トリスチリルフェノールのホスフェートエステルの塩ならびにエトキシル化トリスチリルフェノールのサルフェート化エーテルの塩を乳化剤として用いることができる。カチオン性アミンがアルキルスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、エーテルサルフェート又はエーテルホスフェート、例えばアルキルエーテルホスフェートと組み合わされて存在する両性イオン系も有用であり得る。
【0046】
EC調剤のための乳化剤は、ひまし油エトキシレート、特にTERMUL(登録商標)
1284乳化剤;アルコキシル化アルコール、特にTERMUL(登録商標) 5459乳化剤;アルコキシル化アルキルフェノール、特にTERMUL(登録商標) 200乳化剤;エトキシル化アミン、特にTERWET(登録商標) 3784及びTERIC(登録商標) 16M15乳化剤;エトキシル化トリスチリルフェノール、特にTERMUL(登録商標) 3150乳化剤;アルコールエトキシレート、特にTERIC(登録商標) 12A7,13A9及び17A2乳化剤;脂肪酸エトキシレート、例えばTERIC(登録商標) OF6乳化剤;ソルビタンエステルエトキシレート、例えばECOTERIC(登録商標) T85乳化剤;スルホスクシネート、例えばTERMUL(登録商標) 3665乳化剤;ドデシルベンゼンスルホネートのアミン及びカルシウム塩、例えばNANSA(登録商標) EVM範囲の製品;エトキシル化トリスチリルフェノールのホスフェートエステルの塩、特にTERSPERSE(登録商標) 2202;エトキシル化トリスチリルフェノールのサルフェート化エーテルの塩、特にTERSPERSE(登録商標) 2218の群から選ばれることができ、それらのすべてはHuntsman Corporationから入手可能である。
【0047】
EC調剤は希釈されると、簡便な使用を可能にするために十分な時間、好ましくは少なくとも2時間、結晶化しない安定なエマルションを与える。そのようなエマルション安定性は、通常、希釈された活性成分の溶液中に必要な時間の後に生成するクリーム又は沈降物の量を測定することにより、視覚的に決定される。EC調剤の安定性に関する国際的に許容され得る標準を決定するために必要な試験は、Collaborative International Pesticides Analytical Council(CIPAC)により与えられるハンドブック中に見出され得る。用いられる典型的な試験法は、CIPAC MT36.3であろう。種々の活性成分に関するCIPAC法により決定されるエマルション安定性の国際的に許容され得る標準は、国連食糧農業機関(FAO)により示されており、それらにより準備された種々の技術的モノグラフ中に見出され得る。
【0048】
本発明のEC調剤中において酢酸ベンジルを実質的に水混和性の補助溶媒と一緒に用いることを、以下の制限ではない実施例に言及して示す。
【実施例】
【0049】
低温保存安定性
CIPAC MT39.1(CIPAC Volume F,p128)に概述されている低温保存安定性試験法により、実施例の調剤に、調べられている活性成分の少なくとも1個の結晶を播種し、0℃において7日間保存した。7日間の保存が完了したら、結晶成長の可視の徴候に関して調剤を評価した。
【0050】
加速保存安定性
CIPAC MT46.1.3(CIPAC Volume F,p150)に概述されている加速保存安定性試験法により、実施例の調剤を54℃で14日間保存した。14日間の保存に続き、沈降又は分離に特別に注意しながら、安定性に関して調剤を評価した。
【0051】
エマルション安定性試験
CIPAC MT36.1.1(CIPAC Volume F,p108)に従って、周囲温度で実施例の調剤を評価した。100部中の5部の希釈に関し、0.5、1、2及び24時間後のクリームの容積パーセント及び結晶の存在又はその他を観察して記録した。24.5時間においてエマルションの管を10回連続的に反転させ、最後の再評価を行った。
【0052】
この場合のエマルション試験の目的は、希釈する時の結晶の発現を探すことである。クリーム及び油分離に関するエマルションの性能を十分に最適化する試みは成されなかった。
【0053】
25/L ジフルフェニカン
【0054】
【表3】
【0055】
実施例1
適した寸法のビーカー中で、25g/Lのジフルフェニカンを秤量し、続いて150g/LのNMP、30g/LのTERMUL(登録商標) 5459及び30g/LのNANSA(登録商標) EVM 70/2Eを加えた。次いで酢酸ベンジルを用いて調剤を必要な容積にし、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0056】
実施例2(比較実施例)
適した寸法のビーカー中で、25g/Lのジフルフェニカンを秤量し、続いて30g/LのTERMUL(登録商標) 5459及び30g/LのNANSA(登録商標) EVM 70/2Eを加えた。次いで酢酸ベンジルを用いて調剤を必要な容積にし、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0057】
実施例3(比較実施例)
実施例1の場合と同様に、Solvesso(登録商標) 200を用いて調剤を必要な容積にし、次いで穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0058】
実施例4(比較実施例)
実施例1の場合と同様に、Solvesso(登録商標) 150を用いて調剤を必要な容積にし、次いで穏やかな熱(約60℃)上でそれが均一になるまで15分間撹拌した。
【0059】
保存安定性の結果
【0060】
【表4】
【0061】
エマルション安定性の結果
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
上記の実施例から、実質的に水混和性の補助溶媒と組み合わせて酢酸ベンジルを含有する実施例1のみが、実質的に水混和性の補助溶媒に頼ることから引き起こされる希釈する時の結晶化の問題を克服でき、一方まだ濃厚液中の活性成分の溶解性を保持するのに十分に極性であることが明らかであろう。
【0066】
20g/L ジフルフェニカン,250g酸当量/L 2,4−D 2−エチルヘキシルエステル
【0067】
【表8】
【0068】
実施例5
適した寸法のビーカー中で、20g/Lのジフルフェニカン及び250g酸当量の2,4−D 2−エチルヘキシルエステルを秤量し、続いて50g/LのNANSA(登録商標) EVM 70/2E、50g/LのTERMUL(登録商標) 5459及び150g/LのNMPを加えた。次いで酢酸ベンジルを用いて調剤を必要な容積にし、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0069】
実施例6
実施例5の場合と同様に、Solvesso(登録商標) 150を用いて調剤を必要な容積にし、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0070】
保存安定性の結果
【0071】
【表9】
【0072】
エマルション安定性の結果
【0073】
【表10】
【0074】
【表11】
【0075】
上記の実施例から、実施例5及び6は、0℃における7日間の保存の後に安定であるが、両方ともエマルションの形成のために水中で希釈すると24時間後に微量の結晶化を示すことが明らかであろう。しかしながら、実質的に水混和性の補助溶媒と組み合わされた酢酸ベンジルを含んでなる実施例5は、実施例6と比較すると沈降の平均レベルにおける67.5%の低下を示すことが立証される。
【0076】
20g/L ジフルフェニカン,360g酸当量/L MCPA 2−エチルヘキシルエ
ステル
【0077】
【表12】
【0078】
実施例7
適した寸法のビーカー中で、20g/Lのジフルフェニカン及び360g酸当量のMCPA 2−エチルヘキシルエステルを秤量し、続いて50g/LのNANSA(登録商標) EVM 70/2E、50g/LのTERMUL(登録商標) 5459及び150g/LのNMPを加えた。次いで酢酸ベンジルを用いて調剤を必要な容積にし、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0079】
実施例8
実施例7の場合と同様に、Solvesso(登録商標) 150を用いて調剤を必要な容積にし、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0080】
保存安定性の結果
【0081】
【表13】
【0082】
エマルション安定性の結果
【0083】
【表14】
【0084】
【表15】
【0085】
上記の実施例から、実施例7及び8は、0℃における7日間の保存の後に安定であるが、両方ともエマルションの形成のために水中で希釈すると24時間後に微量の結晶化を示すことが明らかであろう。しかしながら、実質的に水混和性の補助溶媒と組み合わされた酢酸ベンジルを含んでなる実施例7は、実施例8と比較すると沈降の平均レベルにおける25.7%の低下を示すことが立証される。
【0086】
360g/L プロパニル
【0087】
【表16】
【0088】
実施例9
適した寸法のビーカー中で、360g/Lのプロパニルを秤量し、続いて170g/Lのイソホロン及び160g/LのTERIC(登録商標) 217を加えた。次いで酢酸ベンジルを用いて調剤を容積にし上げ、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0089】
実施例10(比較実施例)
実施例5の場合と同様に、キシレンを用いて調剤を容積にし上げ、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0090】
保存安定性の結果
【0091】
【表17】
【0092】
エマルション安定性の結果
【0093】
【表18】
【0094】
【表19】
【0095】
上記の実施例から、実質的に水混和性の補助溶媒と組み合わされた酢酸ベンジルを含有する実施例9のみが、実質的に水混和性の補助溶媒に頼ることにより引き起こされる希釈する時の結晶化の問題を克服でき、一方まだ濃厚液中における活性成分の溶解性を保持するのに十分に極性であったことが明らかであろう。
【0096】
240g/L オキシフルオルフェン
【0097】
【表20】
【0098】
実施例11(比較実施例)
適した寸法のビーカー中で、240g/Lのオキシフルオルフェンを秤量し、続いて33g/LのTERIC(登録商標) 200、14g/LのTERIC(登録商標) 16M15及び58.5g/LのNANSA(登録商標) EVM 70/2Eを加えた。次いで酢酸ベンジルを用いて調剤を容積にし上げ、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0099】
実施例12(比較実施例)
実施例11の場合と同様に、150g/LのNMPを加え、Solvesso(登録商標) 150を用いて容積に仕上げ、次いで穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0100】
実施例13
実施例11の場合と同様に、150g/LのNMPを加え、酢酸ベンジルを用いて容積に仕上げ、次いで穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0101】
保存安定性の結果
【0102】
【表21】
【0103】
エマルション安定性の結果
【0104】
【表22】
【0105】
【表23】
【0106】
上記の実施例から、濃厚液中におけるオキシフルオルフェンの十分な溶解性を与えるために、少なくとも150g/LのNMPが必要であることが明らかであろう。実質的に水混和性の補助溶媒と組み合わされた酢酸ベンジルを含有する実施例11のみが、実質的に水混和性の補助溶媒に頼ることにより引き起こされる希釈する時の結晶化の問題を克服でき、一方まだ濃厚液中における活性成分の溶解性を保持するのに十分に極性であった。
【0107】
100g/L イミダクロプリド(イミダクロプリドは酢酸ベンジル中に不溶性である)
【0108】
【表24】
【0109】
実施例14
適した寸法のビーカー中で、100g/Lのイミダクロプリドを秤量し、続いて417g/LのNMP、50g/LのTERMUL(登録商標) 200及び50g/LのNANSA(登録商標) EVM70/2Eを加えた。次いで酢酸ベンジルを用いて調剤を容積に仕上げ、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0110】
実施例15
実施例14の場合と同様に、DMSO/酢酸ベンジルの10:90のブレンドを用いて調剤を容積に仕上げ、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0111】
保存安定性の結果
【0112】
【表25】
【0113】
エマルション安定性の結果
【0114】
【表26】
【0115】
【表27】
【0116】
上記の実施例から、調剤のいずれも24時間後における希釈されたエマルションの結晶化を完全には防がないが、態様の実施例は結晶化における大きな改善及び遅延を示すことがわかる。従って実施例15はおそらく有用な調剤である。
【0117】
250g/L ビフェンスリン
【0118】
【表28】
【0119】
実施例16(比較実施例)
適した寸法のビーカー中で、250g/Lの融解したビフェンスリンを秤量し、続いて150g/LのTERMUL 3150(登録商標)、100g/LのTERIC(登録商標) 13A9を加えた。次いで酢酸ベンジル/Solvesso(登録商標) 150の80:20のブレンドを用いて調剤を必要な容積にし、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0120】
実施例17
実施例16の場合と同様に、50g/LのDMSOを加え、酢酸ベンジルを用いて調剤を必要な容積にし、次いで穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。
【0121】
実施例18
実施例16の場合と同様に、250g/LのJEFFSOL(登録商標) AG 1710を加え、酢酸ベンジルを用いて調剤を必要な容積にし、穏やかな熱(約60℃)上で均一になるまで15分間撹拌した。JEFFSOL(登録商標) AG 1710は実質的に水混和性でない二塩基性エステル溶媒である。
【0122】
保存安定性の結果
【0123】
【表29】
【0124】
エマルション安定性の結果
【0125】
【表30】
【0126】
【表31】
【0127】
これらの実施例から、実質的に水混和性の補助溶媒と組み合わされた酢酸ベンジルを含有する実施例17のみが、実質的に水混和性の補助溶媒に頼ることにより引き起こされる希釈する時の結晶化の問題を克服でき、一方まだ濃厚液中における活性成分の溶解性を保持するのに十分に極性であったことが明らかであろう。
【0128】
いくつかの結果において言及される非常に高容積のクリームは、結晶の「堆積(set
ting up)」及び分離した可視の相を形成するエマルション相からのものであり、従って結晶の質量又はクリームの真の容積を直接反映しない。
【0129】
当該技術分野における熟練者は、本発明が上記で特定的に示され、記述されているものにより制限されないことを認識するであろう。むしろ本発明の範囲は、上記の特徴の組み合わせ及び細分された組み合わせ(sub−combinations)の両方ならびに前記の記述を読むと当該技術分野における熟練者が思いつき、且つ先行技術にないそれらの修正及び変形を含む。
【0130】
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含まれる(comprised)」又は「含んでなる(comprising)」という用語あるいは「含む(include)」、「含む(includes)」、「含まれる(included)」又は「含む(including)」という用語が本明細書中で用いられる場合、それらは記載される特徴、整数、段階又は言及される成分の存在を特定すると解釈されるべきであり、1つもしくはそれより多い他の特徴、整数、段階、成分又はそれらのグループの存在又は追加を排除すると解釈されるべきではない。
【0131】
さらに、明細書中に示される先行技術の引用(reference)又は記載は、そのような技術が共通の一般的な知識の一部を構成するか、または構成すると理解されるべきであることの承認と解釈されるべきではない。