特許第6227567号(P6227567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227567
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】医学的分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20171030BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   G01N35/04 G
   G01N35/02 D
   G01N35/02 G
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-560434(P2014-560434)
(86)(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公表番号】特表2015-509601(P2015-509601A)
(43)【公表日】2015年3月30日
(86)【国際出願番号】FR2013050489
(87)【国際公開番号】WO2013132195
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2016年1月14日
(31)【優先権主張番号】1252116
(32)【優先日】2012年3月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514226279
【氏名又は名称】ディアメド ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】DiaMed GmbH
(73)【特許権者】
【識別番号】511244126
【氏名又は名称】ビオ−ラド イノヴァシオン
【氏名又は名称原語表記】BIO−RAD INNOVATIONS
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ブリズブラ,ジャン−ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ベルネイ,セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ガニュパン,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】セイドゥー,ダニエル
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0206855(US,A1)
【文献】 特開2010−025939(JP,A)
【文献】 特開2005−181135(JP,A)
【文献】 特開2003−130184(JP,A)
【文献】 特開2008−304467(JP,A)
【文献】 特開2011−078969(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0086432(US,A1)
【文献】 特開平07−229903(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/111198(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 − 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多関節ロボット(70)を装備した医学的分析機器を用いる医学的分析方法であって、前記多関節ロボット(70)は少なくとも6つの回転軸(A1、A2、A3、A4、A5、A6)を定める関節部を備えるとともに末端部材(66)を6つの自由度に従って移動させるおよび/または方向づけるように構成され、前記末端部材は容器(16)を把持するのに適した把持部材(78)を有する、少なくとも以下の一連の工程を含む医学的分析方法。
前記多関節ロボット(70)を用いて、ヒトまたは動物由来の処理対象のサンプルを保存容器から採取し、前記容器に導入する予備工程、
前記サンプルが予め充填された前記容器(16)を供給する工程、
前記容器(16)を前記医学的分析機器(100)の少なくとも1つの処理ステーションへ前記多関節ロボット(70)を用いて移送する工程、
前記サンプルを前記処理ステーションにおいて処理する工程、および
前記容器(16)を画像を撮影するためのステーションへ移送し、前記処理の結果をユーザーインターフェースに表示する工程。
【請求項2】
前記サンプルを処理するための前記工程は、処理対象の前記サンプルと反応するのに適した試薬の前記容器への導入を含む、請求項1に記載の医学的分析方法。
【請求項3】
前記処理結果に対する分析工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の医学的分析方法。
【請求項4】
前記分析工程は自動分析工程である、請求項3に記載の医学的分析方法。
【請求項5】
前記多関節ロボット(70)は、固定ベース(80)に取り付けられているとともに、回転式の関節部のみを備えている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
行われる医学的分析は、免疫血液学、ウィルス学、微生物学、細菌学、菌類学、寄生虫学、インビトロの診断検査室のための品質管理、自己免疫疾患の検出、糖尿病のモニタリング、遺伝病の検出、毒物学、および、生理学的または病理学的状態のモニタリングのうちのいずれかの分野に属する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項7】
行われる医学的分析は、免疫血液学、ウィルス学、微生物学、細菌学、菌類学、寄生虫学、インビトロの診断検査室のための品質管理、自己免疫疾患の検出、糖尿病のモニタリング、遺伝病の検出、毒物学、および、治療的処置の後の生理学的または病理学的状態のモニタリングのうちのいずれかの分野に属する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項8】
処理対象の前記サンプルは、ヒトまたは動物由来の体液、細胞、生体組織および器官の組織のうちの物質の1つを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記容器(16)は、一列に配置された複数の隣り合う反応ウェル(17)が形成された本体(16a)を備えるゲルカードであり、前記ウェル(17)はゲルを収容しているとともに最初蓋(19)によって塞がれている、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記容器(16)を、処理結果の画像を撮影するための前記ステーションへ前記多関節ロボット(70)を用いて運ぶ、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記移送工程時に、前記容器をユーザーインターフェースに接続された管理ステーションへ前記多関節ロボット(70)を用いて運ぶ、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
処理結果の画像を撮影するための前記ステーションと前記管理ステーションとは、一体
的な同一のステーションである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
処理対象の前記サンプルが予め充填された前記容器を、その中に試薬を導入するために、前記容器(16)に対するピペット操作のための領域(42)へ前記多関節ロボット(70)を用いて運び、
前記試薬を前記容器(16)に導入し、
前記容器(16)をインキュベーター(18)へ前記多関節ロボット(70)を用いて運び、
前記容器(16)をインキュベートし、
前記容器(16)を前記インキュベーター(18)から遠心分離機(44)へ前記多関節ロボット(70)を用いて運び、
前記容器(16)を遠心分離にかけ、
前記容器を画像を撮影するための前記ステーションへ移送し、処理結果を前記ユーザーインターフェースに表示する、
請求項1〜12のいずれか一項に記載の医学的分析方法。
【請求項14】
前記試薬を前記容器(16)に導入する前記工程の前に、試薬フラスコ(36)を前記多関節ロボット(70)を用いて逆さにするおよび/または振ることにより、前記試薬を再懸濁させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記遠心分離工程の前に、前記容器(16)を前記多関節ロボット(70)を用いて管理ステーション(48)へ運び、そこでエアギャップを点検するために前記容器(16)を視覚的にチェックする、請求項13または14に記載の分析方法。
【請求項16】
前記容器(16)を、前記多関節ロボット(70)を用いて、廃棄物を回収することを目的とした収集容器(52)へ運ぶ、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記多関節ロボット(70)が移動可能な領域と前記ロボットが進入不可能な領域とを事前に定める予備のパラメータ化工程を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
医学的分析機器(100)の特定の領域の上方を前記多関節ロボットが通過することを防止するために、前記予備のパラメータ化工程は、前記多関節ロボット(70)が移動可能な前記領域と前記ロボットが進入不可能な前記領域とを事前に定める、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記機器は、前記多関節ロボット(70)の周囲360°にわたって配置された複数の処理ステーションを備える、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的分析の分野に関する。より詳細には、本発明は、医学的分析のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示において、「医学的分析」によって意味されるのは、ヒト由来または動物由来の少なくとも1つのサンプルを処理することから成るプロセスである。そのようなサンプルは、例えば、体液(血液、尿、リンパ液、唾液など)、細胞、生体組織、または器官の組織のサンプルである。
【0003】
医学的分析の例は、血液型検査、不規則凝集素などの抗体を探索するための検査、またはドナーとレシーバーの適合性を決定するための検査(交差適合試験)などの免疫血液学的分析である。
【0004】
本開示は、より詳細には、インビトロの医学的分析方法に関する。
【0005】
現在、医学的分析方法は、例えば、血液サンプルまたはその他のサンプルを収容している分析容器の遠心分離機への装填といった、自動で行うのでなければ医学的分析室内で1人または複数のユーザーによって手作業で対処されることになるであろう特定の作業の自動化を可能にする分析機器とも呼ばれる装置を用いて実現される。
【0006】
医学的分析方法に用いられるこのような機器は、例えば、文献US6162399、JP2010054232、およびEP2145685から知られる。これらの機器はすべて、直交座標型のロボットを用いている。
【0007】
これらの機器は、直交座標型ロボットを用いているが、それ故一般に、限られた数の特定の処理ステーションの取扱いに制限される。
【0008】
従って、それら機器の作業ステーションの数を増やすことが望まれるときには、機器の寸法が不可避的に大きくなる。現在、既存の分析室での業務の稠密化の故に、機器を設置するための利用可能な面積がますます制限されている。
【0009】
さらに、直交座標型のロボットは、対象物の空間における位置をそれらの向きとは無関係に考慮するのみで、それにより作業空間のモデリングを簡素化するという特徴を有する。このアプローチの単純化した性質は、取り扱うべき対象物の向きが既知であり、固定され、連結的に製造された多数の機器において再現可能であることを前提とする。従って、機器の取り付けを高い精度で行わなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、限られた作業空間しか要さずに、時間がかかり誤差の原因となるユーザーの反復動作が最大限に自動化される医学的分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、多関節ロボットを装備した医学的分析機器を用いる医学的分析方法であって、上記多関節ロボットは少なくとも6つの回転軸を定める関節部を備えるとともに末端部材を6つの自由度に従って移動させるおよび/または方向づけるように構成され、上記末端部材は容器を把持するのに適した把持部材を有する、少なくとも以下の一連の工程を含む医学的分析方法によって達成される。
ヒトまたは動物由来の処理対象のサンプルが予め充填された容器を供給する工程、
上記容器を医学的分析機器の少なくとも1つの処理ステーションへ上記多関節ロボットを用いて移送する工程、
サンプルを処理ステーションにおいて処理する工程、および
容器を画像を撮影するためのステーションへ移送し、処理の結果をユーザーインターフェースに表示する工程。
【0012】
換言すれば、本発明は、少なくとも6つの回転軸を定める関節部を備えるとともに末端部材を6つの自由度に従って移動させるおよび/または方向づけるように構成された多関節ロボットであって、該末端部材が容器を把持するのに適した把持部材を有する多関節ロボットの医学的分析機器における使用に関し、該医学的分析機器は、ヒトまたは動物由来の処理対象のサンプルが予め充填された容器を供給し、容器を医学的分析機器の少なくとも1つの処理ステーションへ多関節ロボットを用いて移送し、サンプルを処理ステーションにおいて処理し、容器を画像を撮影するためのステーションへ移送し、次いで処理の結果をユーザーインターフェースに表示することから成る工程群を少なくとも含む医学的分析方法の適用に適している。
【0013】
本開示において、「処理ステーション」によって意味されるのは、容器、より詳細には容器が収容しているサンプル、が処理されるあらゆるステーションである。「処理」によって一般に意味されるのは、容器を視覚的にチェックすることもしくは管理すること、容器に物質、特に試薬、を導入すること、または容器の内容物の物性(温度、均質性など)を変更することを目的としたあらゆる行為である。
【0014】
従って、処理工程時、容器は、例えば、その中に試薬を導入するためにピペット操作領域へ運ばれる、インキュベートされるためにインキュベーターへ運ばれる、または遠心分離にかけられるために遠心分離機へ運ばれるなどしてもよい。
【0015】
さらに、本開示において、画像を撮影するためのステーションとは、例えば容器の写真画像、特に処理済みのサンプルの写真画像などの画像の撮影を可能にするあらゆる装置として理解されるべきである。処理結果の画像を撮影するためのステーションは、特に、画像を撮影するためのカメラを備えていてもよい。
【0016】
最後に、ユーザーインターフェースとは、オペレーターが交信し得る装置であって、スクリーンなどの表示部材を備えるあらゆる装置として理解されるべきである。ユーザーインターフェースは、医学的分析機器の一部でなくてもよい。画像を撮影するためのステーションによって撮影された処理済みの容器の画像がユーザーインターフェースへ送られ、それにより、容器特にサンプルの視覚的なチェック、または撮影された画像に基づいてソフトウェアパッケージによって解析される反応結果の視覚的なチェックが可能となる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、サンプルの処理は、処理対象のサンプルと反応するのに適した試薬の容器への導入を含む。
【0018】
試薬を容器に導入し、処理対象のサンプルと接触させ、必要に応じて混合させると、サンプルと試薬との間で反応が起きるが、該反応は陽性でも陰性でもあり得る。
【0019】
次いで、画像を撮影するためのステーションが、容器内において処理対象のサンプルと容器に導入された試薬との間で行われた反応の結果の画像を撮影する。撮影された画像は、従って、いわゆる「陽性」反応またはいわゆる「陰性」反応の証拠であってもよい。これらの撮影された画像、またはソフトウェアパッケージによるこれらの画像の解析から推論された結果が、前述したように、ユーザーインターフェースの表示装置に表示される。特に、これらの撮影された画像、またはソフトウェアパッケージによるこれらの画像の解析から推論された反応結果は、サンプルと試薬との間の反応度の証拠であってもよい。
【0020】
ある実施形態では、サンプルを収容している容器を供給して処理する工程の前段階で、多関節ロボットを用いて工程が実施される。例えば、上記方法は、多関節ロボットを用いて、サンプルを保存容器、特にチューブ、から採取し、容器に導入する予備工程を含んでもよい。
【0021】
上記方法はまた、サンプルを容器に導入する前に容器を処理するための工程、特に、例えば印刷されたバーコードなどの容器の識別子を視覚的にチェックすることによって該容器を識別する工程、容器の寸法を把握する工程などを含んでもよい。
【0022】
ある実施形態では、上記方法は、表示された処理結果の分析、特に自動分析、のための工程を含む。特に、この方法は、情報、特に対象者の生理学的もしくは病理学的状態または先天性異常に関する情報、を提供することを目的とした解析のための工程を含んでもよい。
【0023】
例えば、サンプルの処理の結果の画像を撮影するためのステーションは、処理結果の分析に適したソフトウェアパッケージと連動していてもよい。このようなソフトウェアパッケージは、特に、ユーザーインターフェースのコンピューターに設定されていてもよい。
【0024】
サンプルを処理するための工程が容器への試薬の導入を含む場合、例えばソフトウェアパッケージによる反応結果の分析により、特に、反応の陽性または陰性に関する自動判断が可能であってもよい。
【0025】
本発明に係る医学的分析方法は、特に、免疫血液学、例えば血液型検査、不規則凝集素などの抗体を探索するための検査、またはドナーとレシーバーの適合性を決定するための検査に適用される。
【0026】
本発明に係る方法を適用し得る他の分野は、生物学、微生物学、細菌学、菌類学、寄生虫学、インビトロの診断検査室のための品質管理、自己免疫疾患の検出、糖尿病のモニタリング、遺伝病の検出、毒物学、および、生理学的または病理学的状態、特に治療的処置の結果としての生理学的または病理学的状態のモニタリングである。
【0027】
本発明に係る方法において、好ましくは、固定ベースに取り付けられた、回転式の関節部のみを備える多関節ロボットを使用する。
【0028】
多関節ロボットによって把持され移動される容器は、例えば、ゲルカード(une carte gel)であってもよい。典型的には、ゲルカードは、一列に配置された、蓋で塞がれる複数の隣り合う反応ウェルが形成された本体を備える容器である。ゲルカードのウェルは一般に、ウェルで起こった反応の結果の解析のために用いられるゲルを収容している。例えば、ゲルカードの本体はプラスチック製である。さらに、一般に、ゲルカードは6〜8つのウェルを備える。このことから、検査対象のサンプルはこのようなゲルカードの少なくとも1つのウェルに導入されることが理解される。
【0029】
試薬が処理対象のサンプルと相互作用する必要がある場合、試薬は、ゲルカードの少なくとも1つのウェルに導入されてもよい。試薬は、例えば、検査対象の血漿を含む容器に分注される検査用赤血球の懸濁液であってもよく、または検査対象の赤血球の懸濁液を収容している容器に分注される検査用血清であってもよい。
【0030】
本発明に係る方法の一実施形態によれば、容器を、処理結果の画像を撮影するためのステーションへ多関節ロボットを用いて運ぶ。
【0031】
この場合、処理結果の画像を撮影するためのステーションは、医学的分析機器に一体化されている。これらの撮影された画像が、その後、これらの画像を表示するためのユーザーインターフェースへ送られることが理解される。
【0032】
一実施形態によれば、処理結果を表示するための工程の前に、上記容器またはその他の容器が、ユーザーインターフェースに接続された管理ステーションへ多関節ロボットを用いて運ばれる。
【0033】
本開示において、管理ステーションとは、容器の管理を可能にすることを目的とした画像の撮影を可能にするあらゆる装置であって、医学的分析機器の一部である装置として理解されるべきである。
【0034】
「管理」によって意味されるのは、例えば、容器の識別、特に容器についている印刷されたバーコードなどの容器の識別子の識別、容器内の液位の管理、容器の寸法、特にその高さおよび直径の把握、エアギャップ、すなわち容器に分注された1つまたは複数の液体を分離している気泡の状態の管理、または容器の内容物、特にゲルの性質の管理である。管理ステーションはまた、多関節ロボットによって操作される容器以外の対象物の画像を撮影してもよい。例えば、管理ステーションは、試薬フラスコ内の液位の決定を可能にしてもよい。
【0035】
ある実施形態では、処理の結果の画像を撮影するためのステーションと管理ステーションとは一体的な同一のステーションであって、処理の結果、すなわち撮影された画像またはこれらの画像のソフトウェアパッケージによる解析により得られる結果、を表示するためのユーザーインターフェースに接続されている。
【0036】
1つの例によれば、管理ステーションは、カメラを備える。これにより、撮影された管理のための画像がユーザーインターフェースに表示されるか、またはこれらの画像に関連するメッセージがユーザーインターフェースに表示される。
【0037】
ある実施形態では、容器を医学的分析機器の遠心分離機まで多関節ロボットを用いて運ぶ。
【0038】
ある実施形態では、容器を医学的分析機器のインキュベーターまで多関節ロボットを用いて運ぶ。
【0039】
ある実施形態では、容器を、その中に試薬を導入するために、医学的分析機器における容器に対するピペット操作のための領域へ多関節ロボットを用いて移動させる。
【0040】
ある実施形態では、多関節ロボットの把持部材が試薬フラスコを把持するために用いられる。
【0041】
ある実施形態では、試薬フラスコが、試薬に対するピペット操作のための領域へロボットを用いて移動される。
【0042】
ある実施形態では、試薬フラスコを、再懸濁させるために、多関節ロボットを用いて逆さにしてもよく、および/または振ってもよい。
【0043】
ある実施形態では、多関節ロボットは、管理ステーションおよび/または処理の結果の画像を撮影するためのステーションのカメラの鮮明さ(シャープネス)を調整する。
【0044】
ある実施形態では、多関節ロボットは、容器の各面の写真を撮るために、容器を180°回転させる。
【0045】
ある実施形態では、機器は、多関節ロボットの周囲360°にわたって配置された複数の処理ステーションを備える。
【0046】
ある実施形態では、多関節ロボットは、機器の各処理ステーションに到達可能である。
【0047】
ある実施形態では、容器を、多関節ロボットを用いて、廃棄物を回収することを目的とした収集容器へ移動させる。
【0048】
ある実施形態では、上記方法は、特に医学的分析機器の特定の領域の上方を多関節ロボットが通過することを防止するために、多関節ロボットが移動可能な領域とロボットが進入不可能な領域とを事前に決定する予備のパラメータ化工程を含む。この機能は、異なるサンプル、希釈剤、および/または試薬を取り扱うことによる交差汚染のリスクを低減するために特に重要である。
【0049】
ある実施形態では、ロボットの末端部材は、圧電型のタッチプローブを備える。
【0050】
ある実施形態では、サンプルは、ヒトまたは動物由来の体液、細胞、生体組織および器官の組織から選ばれる物質の1つを含む。
【0051】
特定の実施形態では、上記方法は、以下の工程を含む。
処理対象のサンプルが予め充填された容器を、その中に試薬を導入するために、容器に対するピペット操作のための領域へ多関節ロボットを用いて運ぶ工程、
試薬を容器に導入する工程、
容器をインキュベーターへ多関節ロボットを用いて運ぶ工程、
容器をインキュベートする工程、
容器をインキュベーターから遠心分離機へ多関節ロボットを用いて運ぶ工程、
容器を遠心分離にかける工程、および
容器を処理反応の画像を撮影するためのステーションへ移送し、結果をユーザーインターフェースによって表示する工程。
【0052】
ある実施形態では、試薬を容器に導入する工程の前に、多関節ロボットを用いて試薬フラスコを逆さにするおよび/または振ることにより、試薬を再懸濁させる。
【0053】
ある実施形態では、遠心分離工程の前に、エアギャップを点検するために、容器を多関節ロボットを用いて管理ステーションへ移送する。
【0054】
ある実施形態では、多関節ロボットが、医学的分析機器の要素を作動させるために用いられる。
【0055】
ある実施形態では、特にロボットが液体が充填された容器を移動させる場合に液体があふれ出たり撹拌されたりすることを回避するために、多関節ロボットの向きが移動対象物の性質に応じて制御される。
【0056】
ある実施形態では、特にロボットが液体が充填された容器を移動させる場合に液体があふれ出たり撹拌されたりすることを回避するために、多関節ロボットの速度が移動対象物の性質に応じて制御される。
【0057】
ある実施形態では、移動対象物に把持部材によって加えられる力が測定される。
【0058】
ある実施形態では、多関節ロボットは、対象物(例えば希釈剤入りの容器)を振るため、特に対象物が液体が充填された容器である場合にその液体を再懸濁させるまたは混ぜるために、用いられる。
【0059】
本発明はまた、上に規定した方法を適用するために用いられ得る医学的分析機器、特に、例えば免疫血液学におけるインビトロの医学的分析機器であって、少なくとも6つの回転軸を定める関節部を備えるとともに末端部材を6つの自由度に従って移動させるおよび/または方向づけるように構成された多関節ロボットを備える医学的分析機器に関する。
【0060】
本発明に係る医学的分析機器は、上記のような多関節ロボットに加えて、特に容器類(サンプルチューブ、希釈剤容器、試薬容器など)の保管および/または画像特に処理結果の画像の撮影を可能にする保管部材および/または分析部材を備える。
【0061】
本発明で用いられるロボットは、ヒトの腕のように多関節であって、6つの自由度(3つの移動の自由度および3つの向きの自由度)を有し、それにより、所与の作業空間において、アームの遠位端すなわち末端部材の移動および方向づけが可能である。
【0062】
これにより、ロボットは、球によって概ね表象し得る作業領域(すなわち末端部材の動作の領域)をカバーし、ロボットは、この球の中心に配置される。末端部材の6つの自由度を利用することにより、機器の構成要素および機器によって取扱われる容器類の実際の位置だけでなく、それらの空間における向きも考慮に入れ得る。従って、ロボットの末端部材は、空間のすべての方向に関して、ロボットのベースの周囲の任意の箇所に位置している作業ステーションに到達し得る。
【0063】
これにより、機器の作業空間の稠密性を増大させ、作業ステーション同士を互いに近づけ得る。
【0064】
作業空間の予備学習を行いかつ各対象物の現実の空間座標を記憶すれば、多関節ロボットは機器の実際の非仮想の像を所有することになり、これにより、組み立ての不正確さによる幾何学的欠陥の補正が可能になる。
【0065】
本発明の好ましい実施形態では、多関節ロボットは、固定ベースに取り付けられているとともに、回転式の関節部のみを備えている。従って、ロボットの移動は、回動関節部のみによって確保される。
【0066】
ある実施形態では、容器が、多関節ロボットを用いて容器類の取出マガジン(un magasin de sortie des recipients)へ移動される。この操作は、容器を管理するためまたは後で容器を再利用するために容器を回収することが望まれる場合(例えば容器がゲルカードであって、該ゲルカードのすべてのウェルが処理されているわけではない場合)に特に有用である。
【0067】
本開示では、複数の実施形態または適用例が記載されている。しかし、他に特に定めのない限り、ある実施形態に関連して記載されている特徴は、他の実施形態または適用例に適用し得る。
【0068】
限定事項としてではなく例として示される本発明の例示的な実施形態に関する以下の記載を読めば、本発明の他の特徴および利点が明らかになるであろう。この記載は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、免疫血液学における分析のために臨床サンプルを処理可能な例示としての機器の斜視図である。
図2図2は、図1の多関節ロボットの斜視図である。
図3図3は、図1の多関節ロボットの正面図である。
図4図4は、図1の多関節ロボットの末端部材をより詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、血液サンプルを検査するのに適した医学的分析機器を示している。
【0071】
本例において、この機器を用いて実施される分析は、抗原(免疫反応を引き起こすことが可能な物質)と抗体(抗原の存在下での免疫に関わる白血球によって分泌される血清のタンパク質)の反応を凝集に基づいて検出することを目的とする。
【0072】
この分析は、特に、血液型の表現型検査、不規則凝集素などの抗体の探索、およびドナーとレシーバーの適合性の決定に適用される。
【0073】
この分析は、2つの仕方で実施され得る。赤血球の表面における抗原の有無を求めるためであって、この場合、抗体の組成が既知である検査用血清を検査対象の患者の赤血球の存在下におく。あるいは、所与のサンプルにおける特定の抗体の有無を求めるためであって、この場合、一般に患者の血清または血漿である検査対象のサンプルを検査用赤血球の存在下におく。
【0074】
ただし、両方の場合において、分析が基づく原理は同じままである。
【0075】
赤血球(検査用赤血球または検査対象の赤血球)の懸濁液がサンプルチューブからピペットを用いて採取される。この懸濁液は、予め、生理食塩水などの希釈剤またはその他の適切な希釈剤に赤血球を導入することによって随意に得られる。
【0076】
次いで、赤血球の懸濁液が、ゲルを収容している容器、特にチューブ、に導入される。この例では、懸濁液はゲルカードのウェルに導入されるが、ゲルカードは、典型的には、ゲルを収容しているとともに最初カバーによって閉じられている複数(一般に6つまたは8つ)のウェルを備えたカードである。
【0077】
抗体、特に場合によっては患者の血漿または検査用血清、を含む試薬液がピペットを用いて試薬フラスコに入れられ、次いでゲルカードのウェルに導入される。
【0078】
随意にインキュベートされた後、ゲルカードは遠心分離機に導入され、遠心分離にかけられる。
【0079】
血漿または血清の抗体と赤血球の表面抗原との間に特異な結合が生成し、それらが粒子の凝集物を形成する場合、反応は陽性とみなされる。
【0080】
いかなる凝集物も存在しない場合(すなわち、陰性反応の場合)、遠心分離の影響下、赤血球はゲルカードのウェルに収容されているゲルを通ってウェルの底に集まる。
【0081】
一方、凝集物が存在する場合(すなわち、陽性反応の場合)、遠心分離中、赤血球はゲルの表面にとどまる。
【0082】
ユーザーが反応結果を視覚的にチェックできるようにするために、ゲルカードが画像を撮影するためのステーションに運ばれるが、ここでは、このステーションは、反応結果の画像を表示するために、ユーザーインターフェースに接続されたカメラを備えている。この例では、反応結果の解析が、自動的に、特に適切なソフトフェアを用いて、実施される。
【0083】
他の例では、結果の分析は、それら結果を肉眼で、またはユーザーインターフェースの表示ユニット上で視覚的にチェックするオペレーターによって直接実現される。オペレーターは、例えば、カードのウェルの底の着色した沈殿物の有無を検出し、そこから反応の陽性または陰性を推論してもよい。
【0084】
図1に示した医学的分析機器100は、上述した種々の作業を実現するために以下に列記する複数の保管部材および/または分析部材を支持する筐体10を備える。
ゲルカードバスケット14用、試薬フラスコ36用、および希釈剤容器28用の投入/取出マガジン12。ゲルカードバスケット14はそれぞれ複数(例えば12個)のゲルカード16を支持し、各希釈剤容器28は、ここでは、希釈剤が充填された複数のカバー付きキャビティ32が設けられた注入部30を備えている(図示した例では、ゲルカードバスケットのみが投入マガジンにあるが、試薬のフラスコおよび希釈剤入りの容器は、以下に述べるように機器の他の箇所に見える)。
インキュベーター18。
ピペット操作の対象となるゲルカードの集合体(「バッチ」とも呼ばれる)を準備するための領域19。
再利用可能なゲルカード(図示せず)、すなわち、一部のウェルのみが使用されたゲルカード、を保管するための領域。
サンプルチューブ支持具の着脱のための領域20。各サンプルチューブ支持具22には、サンプルチューブ26を受け取るのに適した円筒状のキャビティ24が設けられている。
試薬フラスコ36に対するピペット操作のための領域34。
ピペット操作ロボット38であって、ここでは、サンプルチューブ26および希釈剤容器28に対するピペット操作のための領域40と、ゲルカード16に対するピペット操作のための領域42と、試薬フラスコ36に対するピペット操作のための領域34との間を3つの自由度(この例では、ピペット針がそれに沿って移動するところの鉛直軸を含む3つの直交する移動軸)に従って移動可能なピペット操作ロボット38。
ゲルカード遠心分離機44。
ユーザーインターフェース(図示せず)に接続されたカメラ50を備える、画像を撮影するためおよび管理のためのステーション48(以下、管理ステーション)。
ゲルカード16、サンプルチューブ22、および試薬フラスコ36などの対象物を使用後に収集するための容器またはごみ箱52(図1では明瞭さのために、収集容器52は縮尺通りには示されていない)。
【0085】
分析機器は、実質的に機器100の中央に位置し、上述した要素のすべてによって囲まれ、以下により詳細に説明する多関節アーム60を装備したロボット70をさらに備える。
【0086】
図2により詳細に示した例では、ロボット70のアーム60は、機器100の筐体10に取り付けられた水平ベース80から延びる第1アームセグメント61を備える。第1アームセグメント61は、実質的に機器100の中央に位置し、実質的に鉛直な第1軸A1の周りをベース80に対して回動可能に装着されている。
【0087】
図3においてより良好に視認できる機器の第2アームセグメント62は、第1アームセグメント61の機器100のベース80とは反対側の端部に接続され、第1軸A1と垂直な第2軸A2の周りを第1アームセグメントに対して運動可能に関節式に連結されている。
【0088】
第3アームセグメント63は、第2アームセグメント62の第1アームセグメント61とは反対側の端部に接続され、軸A2と平行な第3軸A3の周りを第2アームセグメント62に対して運動可能に関節式に連結されている。
【0089】
第4アームセグメント64は、第3アームセグメント63に接続され、第3軸A3と垂直な第4軸A4の周りを第3アームセグメント63に対して回動可能に装着されている。
【0090】
第5アームセグメント65は、第4アームセグメント64に接続され、第4軸A4と垂直な第5軸A5の周りを第4アームセグメント64に対して回動可能に装着されている。
【0091】
最後に、アーム60は、第5アーム65の第4アーム64とは反対側の端部に接続された第6アームセグメントまたは末端部材66で終わっている。第6アーム66は、第5軸A5と垂直で軸A2およびA3と平行な第6軸A6の周りを第5アーム65に対して回動可能に装着されている。
【0092】
アーム60の6つの回転軸(または回動式の関節部)により、末端部材66は、その周囲360°にわたって異なる高さおよび異なる方向に配置されたすべての作業ステーションに到達し得る。
【0093】
なお、本発明の別の実施形態によれば、多関節ロボットは、6よりも多い数の回転軸を備えてもよい。
【0094】
図2では、末端部材66は、圧電型の感知装置72を備える。
【0095】
機器の製造時またはメンテナンス作業時には、ロボット70の6つの回転軸を利用して、センサ72が、各種作業ステーションを感知して、機器100を構成するすべての要素の現実の空間座標を記憶する。これにより、ロボット70は、要素の位置および向きの全体を認識し、機器の正確な像を所有する。従って、組み立ての不正確さによる幾何学的欠陥は、機器の最終的な動作にいかなる影響も与えない。
【0096】
末端部材66は、その下端に、互いに対向する実質的にL字状の2つの顎部74a、74bであって、上述した軸A6と垂直な方向を向いた互いに平行な2つのスライド76a、76bに沿って摺動可能に装着された顎部74a、74bをさらに備える。顎部74a、74bは、それらが互いに離れたときに開き、互いに近づいたときに閉じる把持部材または締め付け部材78を形成する。
【0097】
本発明に係る分析方法は、好ましくは、ロボット70が、その爪部78を用いて、上述した分析手順の過程に関与する種々の対象物(ゲルカード16、試薬フラスコ36、希釈剤容器28など)を機器の異なる作業ステーション(管理ステーション、着脱領域、ピペット操作領域、ごみ箱など)間で移動させる工程を含む。
【0098】
本発明に係る分析方法は、好ましくは、多関節ロボット70が、対象物、例えば試薬フラスコ36を、その中に収容されている液体を再懸濁させるまたは混ぜるために、その爪部78で把持して振る工程を含む。
【0099】
本発明に係る分析方法は、好ましくは、ロボット70が、管理ステーション48にてゲルカード16を、その各面の画像を撮影できるようにするために、180°回転させることによって裏返す工程を含む。
【0100】
本発明に係る分析方法は、多関節ロボットが、医学的分析機器の要素を作動させる、例えば、遠心分離機44を開閉するためのハッチを移動させる、投入/取出マガジン12をユーザーが使用できるようにもしくはできないようにするためもしくは多関節ロボット70によるゲルカード16の把持を可能にするために移動させる、または、管理ステーション48のカメラ50の焦点リングを鮮明さの調整のための操作中に移動させる工程をさらに含んでもよい。
【0101】
本発明に係る分析方法において行われてもよい他の工程について図1と関連づけて以下に説明する。
【0102】
この方法は、例えば、ロボット70が、患者の赤血球またはそのような赤血球の懸濁液が充填されたサンプルチューブ26の支持具22を、チューブ26の存在を検出するため、チューブ26の栓の存在を検出するため、チューブ26の直径および高さを測定するため、チューブ26の底の状態を決定するため、またはチューブ26の識別子、例えばバーコード、を読み取るために、管理ステーション48へ移動させる工程を含んでもよい。
【0103】
この方法はまた、ロボット70が、チューブ支持具22を、管理ステーション48から、1つまたは複数のチューブ26で検出された異常をユーザーが修正できるようにするために着脱領域20へ搬送する、またはサンプルチューブに対するピペット操作のための領域40へ搬送する工程を含んでもよい。
【0104】
この方法はまた、必要であれば、ピペット作業の後に、ロボット70が、サンプルチューブの支持具22を、チューブ26の再識別のために再度管理ステーション48へ移動させる工程を含んでもよい。
【0105】
この方法はまた、処理済みのサンプルチューブ26をユーザーが再利用できるようにするために、ロボット70がチューブ支持具22をピペット操作領域40から着脱領域20へ直接搬送する工程を含んでもよい。
【0106】
サンプルチューブ26に収容されている赤血球を希釈剤中に懸濁させる必要のある場合、この方法は、ロボット70が、最初ユーザーによって投入マガジン12に設置された希釈剤容器28を、その識別子を読み取るために管理ステーション48へ搬送する工程を含んでもよい。次いで、ロボットは、希釈剤容器をピペット操作領域40へ搬送してもよく、また、必要であれば、ユーザーが異常を修正できるようにするためにマガジン12へ返送してもよい(例えば容器28が期限切れである場合)。
【0107】
この方法は、ピペット作業の後に、ロボット70が、希釈剤容器28を、ユーザーが再利用できるようにするためにマガジン12へ移動させる、除去するためにごみ収集箱52へ移動させる、または必要な場合に再識別のために管理ステーション48へさらに移動させる工程をさらに含んでもよい。
【0108】
本発明に係る分析方法はまた、ロボット70が、例えば場合によって検査用血漿または検査用血清を収容している反応フラスコ36を搬送する工程を含んでもよい。
【0109】
試薬フラスコ36は、例えば、フラスコ36またはフラスコの栓の存在を検出するため、フラスコ36の高さを測定するため、またはその識別子を読み取るために、管理ステーション48へ移動されてもよい。フラスコ36はまた、ピペット操作領域へ、またはフラスコ36で検出された異常をユーザーが修正できるようにするために投入/取出マガジン12へ移動されてもよい(例えば、フラスコが開いていなかった場合)。ピペット操作領域から、フラスコ36は、空である場合は除去のためにごみ収集箱52へ移動されてもよく、逆の場合には再識別のために管理ステーション48へ移動されてもよい。
【0110】
本発明に係る分析方法は、ロボット70が、投入マガジン12に装填されているバスケット14の1つに最初収容されているゲルカード16を搬送する工程をさらに含んでもよい。
【0111】
ゲルカード16は、特にプラスチック製の本体16aであって、長手方向Lに沿って延び、例えば6つの反応ウェル17が形成されている本体16aを備える。これらのウェル17は、ゲルカード16の上壁16bに開口する開口部を有し、該開口部は、最初、長手方向Lに沿って延びる蓋19によって塞がれている。この例では、蓋19は、ゲルカード16の上壁16bを封止する細い帯状部材である。
【0112】
ゲルカード16の各ウェル17はさらに、ウェル内で起こった結果を解析するために用いられるゲルを収容する。
【0113】
図示した例では、各ウェル17には、実質的に円筒状の上部キャビティ17aが形成されており、上部キャビティ17aが、同じく実質的に円筒状の下部キャビティ17bに円錐台状の中間キャビティを介して接続されている。上部キャビティ17aは、下部キャビティ17bの直径よりも実質的に大きい直径を有し、下部キャビティおよび上部キャビティは同軸である。
【0114】
ゲルカード16は、まず初めに、その識別子を読み取るためまたはゲルの状態を検出するために、管理ステーション48へ移動されてもよい。
【0115】
ゲルカード16はまた、例えばカード16が期限切れであると識別された場合、管理ステーション48からマガジン12までまたはごみ収集箱52まで搬送されてもよい。
【0116】
ゲルカード16は、ゲルカードに対するピペット操作のための領域42へ移動されてもよい。ゲルカード16はまた、分注された液体全体の液位を管理するためにピペット操作領域42から管理ステーション48へ移動され、管理ステーション48からインキュベーター18へ移動され、インキュベーター18から管理ステーション48へ移動され、遠心分離にかけるために管理ステーション48から遠心分離機44へ移動され、カード16の画像の撮影を実現するために遠心分離機44から管理ステーション48へ移動され、管理ステーション48から手作業で再読取されるカードを保管するための内部マガジン(図示せず)へ移動され、手作業で再読取されるカード16をユーザーが再利用できるようにするために内部マガジン(図示せず)からゲルカードの取出マガジン18へ移動され、管理ステーション48から将来行われる完全なゲルカードを必要としない分析のための再利用可能なカードの在庫を形成するための再利用可能カード領域へ移動され、ピペット操作の対象となるゲルカードのバッチを形成するために再利用可能カード領域からゲルカードを準備するためのブロックを準備するための領域へ移動され、遠心分離機の立ち上げの前にバランスをとるために再利用可能カード領域から遠心分離機へ移動され、期限切れのカード16を除去するためまたは再利用可能カード領域の場所を片付けるために再利用可能カード領域からごみ収集箱52へ移動されてもよい。
【0117】
本発明に係る分析方法はまた、ロボット70が、最初はゲルカード16が装填されていた空のバスケット14を、取出マガジン12で使用できない空のバスケット14を除去するために、投入マガジン12からごみ収集箱52へ搬送する工程を含んでもよい。
図1
図2
図3
図4