(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結部材は、該連結部材の中心軸線の延びる方向から見た内面形状は円形状又はC形状であり、前記円形状又はC形状の全周に亘って前記第2ガイド面が設けられている請求項1に記載の把持装置。
前記連結部材は、該連結部材の中心軸線の延びる方向から見た外面形状は円形状又はC形状であり、前記収容凹部は円柱状に凹設されている請求項1又は請求項2に記載の把持装置。
【背景技術】
【0002】
この種の把持装置としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
図8に示すように、特許文献1に開示のリニアガイド式エアチャック80は、ボディ81に内蔵された図示しないエアシリンダ機構により上下動するロッド82と、ワークを把持する一対の開閉自在のフィンガ(ハンド部材)83と、を有する。さらに、リニアガイド式エアチャック80は、ロッド82の軸線方向に沿う移動(以下、上下動とする)をフィンガ83の開閉動作に変換する一対のレバー84を有する。
【0003】
レバー84は略L字形である。レバー84の中間部は、支軸85によってボディ81に回動可能に支持されている。各レバー84の基端部はロッド82に対して係合軸87によって回動可能に連結され、各レバー84の先端部はフィンガ83に連結されている。より詳細には、各レバー84の先端部には、球状の係合子88が設けられ、各係合子88は、各フィンガ83に設けられた円柱状の係合穴89に係合している。
【0004】
このようなリニアガイド式エアチャック80では、エアシリンダ機構によりロッド82が上下動すると、一対のレバー84が支軸85を中心に回動する。このとき、係合子88は、係合穴89内で揺動しつつ、ロッド82の軸線方向に沿って移動する。この係合子88の揺動及び直線的な移動により、レバー84の係合子88が係合した各フィンガ83が直線的に移動し、開閉する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のリニアガイド式エアチャック80では、係合子88の係合面と、係合穴89の内面とは点で接触して係合しており、接触点での面圧が高い。また、レバー84の先端に設けられた係合子88は、支軸85を中心に回動する。このとき、係合子88の係合面上での接触点の位置は回動に伴って移動し、その移動とともに係合穴89の内面上での接触点の位置は、係合子88の軸線方向に移動する。よって、係合子88上の接触点と、係合穴89上の接触点とが、両方とも同時に移動することから相対摺動速度が高くなる。したがって、特許文献1においては、係合子88と係合穴89との接触点での面圧が高いことに加え、相対摺動速度が高くなることから、各接触点での摩耗が促進される要因が重なってしまっている。
【0007】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、係合子と収容凹部の摩耗を抑えることができる把持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための把持装置は、開閉可能な一対のハンド部材と、前記一対のハンド部材を開閉する方向へ直線的に移動させる案内機構と、前記ハンド部材が開閉するために移動する方向と直交する方向へ移動可能なロッドと、前記ロッドと各ハンド部材とを連結し、かつ前記ロッドの移動を前記一対のハンド部材の開閉方向への移動に変換するために回動する一対のレバーと、を有し、一対のハンド部材が閉位置又は開位置に移動することでワークを把持可能とする把持装置であって、前記レバーと前記ハンド部材とは、前記ハンド部材に凹設された収容凹部内
に前記ロッドの移動方向に沿って直線的に移動可能で、かつ回転可能に収容されている連結部材を介して連結され、前記レバーは前記連結部材の内側に係合した係合子を備えるとともに前記係合子は球面状の係合面を少なくとも一部に有し、前記連結部材は、前記収容凹部の内面のうち前記ロッドの移動方向に沿う内面に摺接可能な第1ガイド面を外面に備えるとともに、前記係合子の前記係合面に沿う球面状の第2ガイド面を内面に備えることを要旨とする。
【0009】
これによれば、ロッドの移動に連動してレバーが回動すると、そのレバーの回動に伴い、係合子はロッドの移動方向(ロッドの軸線の延びる方向)に沿って若干移動しつつ、ハンド部材が移動する方向に沿って移動する。その結果、係合子の係合した連結部材は、ロッドの移動方向に沿って収容凹部内を直線的に移動しつつ、係合子はハンド部材が移動する方向に沿って収容凹部内を揺動する。すると、連結部材を介してハンド部材が開閉する方向へ移動し、案内機構によって直線的に移動する。
【0010】
レバーが回動する際、係合子と連結部材とが移動する。このとき、係合子の係合面が接触するのは連結部材の第2ガイド面であり、収容凹部の内面に接触するのは連結部材の第1ガイド面である。このため、係合子と連結部材と収容凹部において、それぞれの接触の仕方は面接触であり、点接触している場合と比べて接触面積が増加し、各接触位置に発生する面圧が低下する。また、レバーが回動する際、係合子の係合面は、連結部材の第2ガイド面に摺動し、収容凹部の内面では、ロッドの移動方向に沿って連結部材の第1ガイド面が摺動する。よって、レバーの回動時には、係合子と連結部材との摺動と、収容凹部と連結部材との摺動とに動きが分散される。したがって、レバーの回動時には、係合子上の接触面と、収容凹部上の接触面とが連結部材上の別の場所で摺動する。このため、係合子と収容凹部とが直接、点接触しており、レバーの回動時には同時に摺動する場合と比べると相対摺動速度が低下する。したがって、上述の面圧の低下と、相対摺動速度の低下との双方から係合子と収容凹部の摩耗を抑えることができる。
【0011】
また、把持装置について、前記連結部材は、該連結部材の中心軸線の延びる方向から見た内面形状は円形状又はC形状であり、前記円形状又はC形状の全周に亘って前記第2ガイド面が設けられているのが好ましい。
【0012】
これによれば、係合子が連結部材内において向きを変えても、係合面が第2ガイド面に面接触して係合した状態を維持することができる。
また、把持装置について、前記連結部材は、該連結部材の中心軸線の延びる方向から見た外面形状は円形状又はC形状であり、前記収容凹部は円柱状に凹設されているのが好ましい。
【0013】
これによれば、連結部材が収容凹部内で自由に回転することができる。このため、連結部材の内周面及び収容凹部の内周面においては、レバーから伝わる力を一定箇所で受けることが回避され、連結部材の内周面及び収容凹部の内周面に偏摩耗が生じることを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、係合子と収容凹部の摩耗を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、把持装置を具体化した一実施形態を
図1〜
図5にしたがって説明する。
図1に示すように、把持装置10は、一対のハンド部材30を閉位置又は開位置に移動させることでワークWを把持可能とする装置である。
【0017】
把持装置10は、四角筒状のボディ11を備える。また、把持装置10は、ボディ11に内蔵されたエアシリンダ機構からなるアクチュエータ部16を備える。アクチュエータ部16は、ボディ11の内部にシリンダ孔12を有する。シリンダ孔12は、ボディ11の中心軸線N1の延びる方向(以下、軸線方向とする)の一端(上端)から軸線方向に沿って、軸線方向他端(下端)にまで延びている。
【0018】
アクチュエータ部16は、シリンダ孔12を気密に閉塞するキャップ13をボディ11の軸線方向一端に備える。また、アクチュエータ部16は、シリンダ孔12内に摺動可能に配設されたピストン14を備えるとともに、ピストン14に一体のロッド15を備え、アクチュエータ部16はこのロッド15を、該ロッド15の中心軸線N2の延びる方向(軸線方向)に沿って移動させる。シリンダ孔12は、ピストン14によってキャップ13側のヘッド室12aと、ロッド15側のロッド室12bに区画されている。アクチュエータ部16は、ヘッド室12aとロッド室12bに個別に連通する圧縮空気給排用のポート11a,11bを備える。
【0019】
そして、把持装置10においては、ポート11a,11bを通じてヘッド室12a及びロッド室12bに圧縮空気が給排されると、ピストン14がボディ11の軸線方向に沿って往復動する。よって、ピストン14の往復動によって、ロッド15がボディ11の軸線方向に沿って往復動(移動)する。把持装置10は、ピストン14に一体化された磁石ホルダ17を備えるとともに、磁石ホルダ17には磁石18が一体化されている。磁石18は、ピストン14の動作位置を検出するためのものである。
【0020】
ボディ11において、一対のハンド部材30が、開閉のために移動する方向を幅方向とすると、把持装置10は、ボディ11を幅方向に貫通するレバー収容部20を備える。このレバー収容部20内には、ロッド15の先端部が配設されている。また、把持装置10は、一対のレバー22を備え、それらレバー22は、レバー収容部20内に一部が収容されている。なお、上記のロッド15の移動方向(中心軸線N2の延びる方向)は、一対のハンド部材30が開閉のために移動する方向(幅方向)に対し直交している。
【0021】
各レバー22は、略L字形である。各レバー22は、L字の屈曲部が支軸23によってレバー収容部20に面したボディ11に回動可能に支持されている。また、各レバー22は、基端部にU字形の係合溝24を備える。把持装置10は、ロッド15の先端部に係合軸25を備え、この係合軸25には、各レバー22の係合溝24が係合している。そして、ロッド15の移動によって、各レバー22が支軸23を回動中心として回動する。上記構成のレバー22は、ロッド15と各ハンド部材30とを連結し、かつロッド15の移動を一対のハンド部材30の開閉方向への移動に変換するために回動する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、把持装置10は、ボディ11の軸線方向の他端面に固定されたガイドブロック27を備え、ガイドブロック27はレバー収容部20を、ボディ11の軸線方向の他端(下端)から塞いでいる。ガイドブロック27は、ボディ11の幅方向に延びるガイド用凹部27aを備える。ガイドブロック27は、ガイド用凹部27aを挟む側壁27bを備え、各側壁27bには案内溝28が、ボディ11の幅方向全体に亘って凹設されている。
【0023】
把持装置10は、ガイド用凹部27a内に一部が収容された上記ハンド部材30を備える。
図1に示すように、各ハンド部材30は略T形状であり、ボディ11の幅方向に延びる直方体状の本体部30aと、この本体部30aから突出した取付部30bとを含む。ハンド部材30は、フィンガFを装着するための取付孔30dを取付部30bに備える。取付孔30dは雌ねじ孔である。
【0024】
フィンガFはL字状である。フィンガFは、取付部30bの側面に沿って配置される取付片Faと、取付片Faに直交した爪片Fbとを有する。フィンガFは、各取付片Faに透孔Fcを有する。そして、各透孔Fcに挿通された取付ボルトBを取付部30bの取付孔30dに螺合することにより、フィンガFが取付部30bに取り付けられている。爪片Fbの先端は、取付部30bの内面よりも内側に突出している。
【0025】
図2に示すように、ハンド部材30は、各側壁27bの案内溝28に対向する収容溝31を本体部30aに備える。そして、各ハンド部材30の収容溝31と、案内溝28との間にはボールやローラ等の転動子32が収容されている。各ハンド部材30は、転動子32の転動によって案内溝28に沿って直線的に移動可能である。よって、本実施形態では、案内溝28と、ハンド部材30の収容溝31と、転動子32とから案内機構が構成され、この案内機構によって、一対のハンド部材30が開閉する方向へ直線的に移動される。
【0026】
図1に示すように、本体部30aの長手方向の両側面にはプレート33がそれぞれ取り付けられている。プレート33は、収容溝31の端部を覆い、転動子32の収容溝31からの抜け出しを防止する。ガイドブロック27における各レバー22の先端側との対応位置にはそれぞれ貫通孔27cが形成され、各貫通孔27cを貫通してレバー22の先端側がガイド用凹部27a内に突出している。
【0027】
図2及び
図3に示すように、各レバー22は、先端部に係合子34を備える。係合子34は、ガイドブロック27の側壁27bに対向する両面に端面34aを有し、係合子34の両端面34aは平坦面であり、正面視略円形状である。係合子34において、両方の端面34aを結ぶ直線Mの延びる方向を厚み方向とする。係合子34は、厚み方向から両端面34aを正面視した場合に、その端面34aの円弧に沿う部分に係合面35を備える。係合面35は両方の端面34aの周縁同士を球面状に繋ぐ。そして、係合面35は、端面34aを断面に持つ球面の一部であり、球面状である。
図5(a)に示すように、端面34aを正面視した場合での係合面35の曲率半径R1は、後述の連結部材40における第2ガイド面44の曲率半径R2と同じである。
【0028】
図1又は
図3に示すように、レバー22は、連結部材40を介してハンド部材30と連結されている。連結部材40は、金属製であり、略円筒状である、連結部材40を、その中心軸線Lの延びる方向から見た平面視では、連結部材40の外面形状及び内面形状はC形状である。連結部材40は、周壁41の一部を径方向に分断するスリット42を備える。スリット42は、連結部材40の中心軸線Lの延びる方向全体に亘って延びている。
【0029】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、連結部材40は、周壁41の外周面の全体に第1ガイド面43を備える。第1ガイド面43は、円筒形状であり、連結部材40の外面に存在する。連結部材40は、中心軸線Lの延びる方向の一端側に第1開口部40aを備え、他端側に第2開口部40bを備える。中心軸線Lに沿った連結部材40の断面視では、第1ガイド面43は、第1開口部40a側から第2開口部40b側に向けて一定の外径を有し、直線状である。
【0030】
図4(a)に示すように、連結部材40は、第2ガイド面44を内周面(内面)に備え、第2ガイド面44は連結部材40の全周に亘って存在する。また、第2ガイド面44は、連結部材40の中心軸線Lに沿った一端縁部40d及び他端縁部40eには存在せず、それら一端縁部40d及び他端縁部40eよりも中心軸線Lに沿った内側に存在している。よって、連結部材40の一端縁部40d及び他端縁部40eは、中心軸線Lに沿って一定の直径を有する。中心軸線Lに沿った連結部材40の断面視では、第2ガイド面44は、連結部材40の一端縁部40dから他端縁部40eに向けて円弧状に湾曲している。第2ガイド面44の曲率半径R2は、係合子34の曲率半径R1と同じであり、第2ガイド面44は、係合子34の係合面35に沿う形状である。
【0031】
図4(b)に示すように、第2開口部40bの内周縁を繋ぐ仮想円での直径は、第1開口部40aの内周縁を繋ぐ仮想円での直径より長い。各レバー22の係合子34は、連結部材40の第2開口部40b側から挿入される。このとき、第2開口部40bの直径は、スリット42を利用して係合子34の曲率半径R1まで弾性変形により拡径し、係合子34が挿入されると連結部材40は、自身の弾性によって元の形状に復帰する。したがって、第2開口部40bの直径は、連結部材40のC形状を弾性変形によって拡径させる範囲に設定されている。このようにして、係合子34は、その係合面35が、連結部材40の内面球状部である第2ガイド面44に揺動可能となるように装着される。
【0032】
図1に示すように、ハンド部材30において、ガイドブロック27に対向し、かつレバー22に臨む面には、収容凹部30cが設けられている。収容凹部30cは、ロッド15の軸線方向(移動方向)に沿って円柱状に凹設されている。収容凹部30cの平面視形状は円形状である。収容凹部30cの直径は、連結部材40の周壁41における外径より僅かに大きい。また、収容凹部30cの深さは、連結部材40の中心軸線Lの延びる方向に沿った長さより深い。
【0033】
そして、連結部材40の第1ガイド面43は、収容凹部30cの内周面に沿う形状である。このため、連結部材40は、各収容凹部30cではロッド15の移動方向に沿って直線的に移動可能で、かつ回転可能に収容されている。各レバー22の各係合子34に連結部材40を装着後、連結部材40を収容凹部30cに挿入することで、連結部材40は拡径不能になり、収容凹部30cから脱落することなく保持されている。
【0034】
次に、把持装置10の作用をその動作とともに説明する。
把持装置10において、ポート11a,11bを通じて圧縮空気が給排されると、ピストン14及びロッド15が、
図1の右半部に示す位置と左半部に示す位置との間を移動し、一対のレバー22が支軸23を中心にして相反する方向に一定角度回動する。そして、レバー22の回動により、それらレバー22の係合子34が、ロッド15の移動方向に沿って若干移動しつつ、ボディ11の幅方向に沿って移動する。このとき、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、係合子34の係合面35が、連結部材40の第2ガイド面44に対し面接触した状態で係合し、揺動する。また、連結部材40は、ロッド15の移動方向に沿って収容凹部30c内で直線的に移動する。
【0035】
すると、ロッド15の移動に伴って回動したレバー22からの力が、係合子34から連結部材40に伝わり、連結部材40を介してハンド部材30に伝わる。すると、各ハンド部材30が案内溝28に沿って直線的に移動し、フィンガFを開閉させる。そして、
図1の右半分及び
図5(b)に示すように、一対のハンド部材30が互いに近付いた閉位置に配置されると、フィンガFによってワークWが把持される。その一方で、
図1の左半分及び
図5(a)に示すように、一対のハンド部材30が互いに離れた開位置に配置されると、フィンガFによるワークWの把持状態が解除される。
【0036】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)レバー22とハンド部材30を連結部材40を介して連結した。そして、連結部材40における周壁41の外周面に円筒状の第1ガイド面43を設け、第1ガイド面43を収容凹部30cの内周面に沿う形状とした。このため、係合子34が移動し、連結部材40が収容凹部30c内で直線的に移動する際、第1ガイド面43は収容凹部30cの内周面に面接触した状態で摺接する。また、連結部材40の内周面に球面状の第2ガイド面44を設けるとともに、レバー22の係合子34に球面状の係合面35を設けた。このため、係合子34が移動し、揺動する際、係合面35は、連結部材40の第2ガイド面44に面接触した状態で摺接する。
【0037】
よって、例えば、係合子34が収容凹部30cの内面に直接係合して点接触している場合と異なり、レバー22からの力が加わったとき、その力は、係合子34を介して連結部材40の第2ガイド面44と、収容凹部30cの内周面とに動きが分散して受け止められる。このため、レバー22が回動したとき、係合子34の揺動に伴う摺動と、収容凹部30cの内周面に対する摺動とが、連結部材40上の別の場所で発生する。よって、係合子34が収容凹部30cの内面に直接、点接触している場合のように、係合子34と収容凹部30cとの接触点が同時に移動する場合と比べると、各接触面での相対摺動速度を低下させることができる。
【0038】
加えて、第2ガイド面44では、係合面35が面接触して力を受け止め、収容凹部30cの内周面では、第1ガイド面43が面接触して力を受け止める。その結果として、係合子34と収容凹部30cとの各接触場所に発生する面圧が点接触した場合より低下する。よって、上述の相対摺動速度の低下と、面圧の低下とが相まって係合子34と収容凹部30cの摩耗を抑えることができる。その結果として、フィンガFの滑らかな動作が可能となり、フィンガFを介したワークWの把持精度も低下しにくくなる。
【0039】
(2)第2ガイド面44は、連結部材40の内周面の全周に亘って設けられている。このため、レバー22が支軸23に対し若干ねじれていたり、傾いていたりして、係合子34が連結部材40内で向きを変えても、係合子34の係合面35が、連結部材40の第2ガイド面44に面接触して係合した状態を維持できる。
【0040】
(3)連結部材40を中心軸線Lの延びる方向から見た外面形状をC形状にし、ハンド部材30の収容凹部30cを円柱状に凹設した。このため、ハンド部材30は収容凹部30c内で自由に回転することができる。よって、レバー22の回動による力を連結部材40が受けたとき、連結部材40は収容凹部30c内で回転でき、レバー22からの力が第2ガイド面44及び収容凹部30cの内周面の一定の位置で受け止められることが回避できる。よって、連結部材40に偏摩耗が生じることを抑制できる。
【0041】
(4)連結部材40を金属製とした。このため、連結部材40がレバー22からの力を受けても摩耗しにくい。
(5)係合子34の係合箇所が点接触とならないように、ハンド部材30の収容凹部30cを球面状に凹設することが考えられるが、これは生産性、加工性の観点から好ましくない。また、レバー22の回動に伴い、係合子34は、ロッド15の移動方向に沿って直線的に移動するため、収容凹部30cを球面状に凹設すると、レバー22の回動が規制されてしまう。よって、収容凹部30cを球面状とすることは不可能である。そこで、収容凹部30cを円柱状に凹設しつつ、その収容凹部30cに連結部材40を直線的に移動可能に収容し、さらに、その連結部材40の外周面に第1ガイド面43を形成するとともに、内周面に第2ガイド面44を形成した。このように構成することで、レバー22からの力を連結部材40の内周面と収容凹部30cの内周面とに動きを分散させて受け止め、かつ、係合子34と収容凹部30cとの摩耗を抑制しつつ把持装置10を駆動させることができる。
【0042】
(6)連結部材40を中心軸線Lから見た外面形状をC形状にし、収容凹部30cを円柱状に凹設した。例えば、連結部材40の外面形状を四角形状とし、収容凹部30cを四角柱状に凹設する場合と比べると、収容凹部30cでの連結部材40の移動を円滑にできるとともに、連結部材40及び収容凹部30cの加工も容易となる。
【0043】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では連結部材40を金属製としたが、樹脂製であってもよい。連結部材40を樹脂製とした場合、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、連結部材40を中心軸線Lの延びる方向から見た外面形状及び内面形状がC形状ではなく円形状(すなわち、円筒状)にしても、係合子34を連結部材40の内側に圧入することができる。
【0044】
連結部材40を樹脂製とした場合、その材料をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製とする。この場合、係合子34の係合面35と、連結部材40の第2ガイド面44との摺接や、連結部材40の第1ガイド面43と収容凹部30cの内周面との摺接によって、万一、連結部材40が削れる等して異物が発生しても、その異物を連結部材40に付着したままに維持でき、異物がワークWに落下することを抑制できる。
【0045】
さらに、連結部材40を樹脂製とした場合、係合子34と連結部材40との接触、及び連結部材40と収容凹部30cとの接触によって生じる騒音を抑えることができる。
○ 係合子34は厚み方向の両端面34aを平坦面状とし、両端面34aを正面視した場合に、その端面34aの円弧に沿う部分に係合面35を設けた。しかし、係合子34の形状はこれに限定されない。係合子34全体を球状として球面状の係合面35を係合子34の全面に有し、平坦面状の端面34aを有しない形状としてもよい。
【0046】
○ 連結部材40の中心軸線Lの延びる方向から見た形状において、連結部材40の外面形状を多角形状にし、収容凹部30cを、連結部材40の外面形状に合わせた多角柱状に凹設した構成としてもよい。要は、収容凹部30cで連結部材40が、ロッド15の移動方向に沿って直線的に移動可能であれば、連結部材40の外面形状及び収容凹部30cの平面視形状は適宜変更してもよい。
【0047】
○ 実施形態では、把持装置10においてハンド部材30が閉位置に移動した状態で、フィンガFでワークWを外側から把持するとしたが、これに限らない。例えば、ワークWが筒状の場合、ハンド部材30を閉位置に移動させて一対のフィンガFを近接させた状態でワークWの内側に挿入し、ハンド部材30を開位置に移動させ、一対のフィンガFをワークWの内面に押し付けることでワークWを内側から把持するとしてもよい。
【0048】
○
図7に示すように、連結部材40を、二つのパーツ部材45から構成してもよい。この場合、連結部材40を中心軸線Lの延びる方向から見た場合、各パーツ部材45の外面形状及び内面形状が半円状である。連結部材40は、収容凹部30c内では周方向の両端部同士の間にスリット42が存在する状態である。
【0049】
このように構成することで、連結部材40を、弾性変形量の小さい材料で形成した場合、二つのパーツ部材45に分割することで、係合子34に対する連結部材40の装着を可能にする。
【0050】
○ アクチュエータ部16をエアシリンダ機構としたが、ロッド15を移動させるアクチュエータ部は、エアシリンダ機構ではなく、油圧シリンダ機構であってもよいし、ボールネジ機構、モータ駆動機構等に変更してもよい。
【0051】
○ 実施形態では、ハンド部材30の案内機構を、ガイド用凹部27aと、案内溝28と、転動子32とから構成したが、案内機構は適宜変更してもよい。例えば、ボディ11の幅方向全体に亘って延びるガイドレールを側壁27bから突設し、そのガイドレールに係合するガイド溝をハンド部材30に形成し、案内機構をガイドレールとガイド溝とから構成してもよい。
【0052】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記連結部材は金属製である把持装置。
(ロ)前記連結部材は、該連結部材の中心軸線の延びる方向から見た形状はC形状であり、周壁の一部を径方向に分断したスリットを有する把持装置。
【0053】
(ハ)前記連結部材は樹脂製である把持装置。
(ニ)前記連結部材はポリテトラフルオロエチレン製である把持装置。