特許第6227580号(P6227580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227580板金と樹脂から作製された基板、該基板を備えたモータ、および半田付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227580
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】板金と樹脂から作製された基板、該基板を備えたモータ、および半田付け方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20171030BHJP
   H02K 3/52 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H05K3/34 501Z
   H05K3/34 507E
   H05K3/34 507N
   H02K3/52 E
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-41792(P2015-41792)
(22)【出願日】2015年3月3日
(65)【公開番号】特開2016-162943(P2016-162943A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2016年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸司
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−015624(JP,A)
【文献】 特開2011−258590(JP,A)
【文献】 実開平01−070383(JP,U)
【文献】 特開2003−154450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H02K 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤの端部(2a)が半田付けされるべきランド(5)と、前記ランド(5)の周囲に該ランドよりも高く形成された樹脂製の壁部(7)とを備え、前記壁部(7)が前記ランド(5)に対して90度より大きい角度で傾斜する傾斜面(7a)を有し、
前記壁部(7)が白色または金属色を有し、
前記壁部(7)に前記ワイヤの端部(2a)を収容する溝(9)が形成されている、基板。
【請求項2】
前記溝(9)は前記ランドの中心線(5a)から任意の傾き角度をなす線上に位置する、請求項に記載の基板。
【請求項3】
前記溝の底面(9a)は前記ランド(5)よりも高い位置にある、請求項またはに記載の基板。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の基板と、マグネットワイヤ(2)を有するステータ(1)とを備えたモータであって、前記マグネットワイヤの端部(2a)が前記基板の前記ランド(5)に半田付けされたモータ。
【請求項5】
ワイヤの端部(2a)が半田付けされるべきランド(5)と、前記ランド(5)の周囲に該ランドよりも高く形成された樹脂製の壁部(7)とを備え、前記壁部(7)が前記ランド(5)に対して90度より大きい角度で傾斜する傾斜面(7a)を有している、基板(4)を用意し、
前記基板(4)の前記ランド(5)に前記ワイヤの端部(2a)を配置し、
半田ごてまたはレーザ装置を用いて、前記ランド(5)と前記ワイヤの前記端部(2a)の半田付けを行う、半田付け方法であって、
前記壁部(7)に前記ワイヤの端部(2a)を収容する溝(9)が形成されており、
前記ランド(5)に前記ワイヤの端部(2a)を配置するとき、前記溝(9)に前記ワイヤの端部(2a)を収容して該ワイヤの前記ランド上の位置を固定する、半田付け方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板金と樹脂から作製された基板に関し、特に、配線パターンとこれにワイヤを半田付けするためのランドとを備えた基板に関する。さらに本発明は、該基板を備えたモータ、および、基板のランドとワイヤの端部とを接続するための半田付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に設けられたランドにワイヤの端部を自動で半田付けする方法の一つとして、特許文献1に開示されるようなフロー半田付けが知られている。フロー半田付けは、ランドが設けられた側の基板の面を漕に入っている溶融状態の半田に漬けて、基板のランドにワイヤを接続する方法である。しかし、基板が樹脂から作製されていると、樹脂の耐熱性の問題から、基板を半田漕に漬けられない場合がある。このような場合は、熱による基板の変形を防ぐためにランド毎にワイヤの半田付けを実施する必要がある。そのため、例えばロボットのハンドに半田ごてを取り付け、ロボットによって半田ごての先端を基板上の各ランドに移動させて、ランド毎にワイヤの端部を半田付けする方法が採用されている。
【0003】
図7は従来の基板の上面図であり、図8は、図7のX−X’線に沿ってみた基板断面図である。
ランドを備えた基板を製作するとき、板金に樹脂を一体成形し、板金の一部に樹脂成形を行わないようにして板金を露出させる。それにより、図7および図8に示すように露出した板金11の表面をランド13とする場合がある。この場合、ワイヤ14が半田付けされるべきランド13の周囲には、樹脂製の壁部12がランド13に対して垂直に形成されている。このような形のランド13を備えた基板15では、上述したようにロボットによって半田ごての先端をランド13に移動させる際、半田ごての先端がランド13周囲の樹脂製の壁部12に当たり、樹脂製の壁部12を破損させてしまうおそれがある。
この問題は、ランド中央に半田ごての先端が正確に移動しないときに発生する。例えば、半田付けの対象である基板の位置ずれ、ロボットに教示を行った際の目標位置の不正確さ、等に起因する。特に、ランドの面積が小さくなるほど、上記問題は顕著となる。
【0004】
また、半田ごてを使用しない半田付けとして、レーザを使用した半田付けの方法(以下、レーザ半田付けと称する。)がある。レーザ半田付けは、小さなスポットに収束されるレーザビームを照射することができるので、小さい面積のランドにおいても半田付けが可能である。しかし、図7および図8に示した基板15のランド13に対してレーザ半田付けを行う場合は、レーザビームがランド13により乱反射してランド13周囲の樹脂製の壁部12に照射され、樹脂製の壁部12を溶融させてしまうという問題点がある。半田付けするワイヤ14にレーザビームが当たったときも、レーザビームが乱反射して樹脂製の壁部12の溶融を引き起こすことがある。これらの問題点もまた、ランドの面積が小さくなるほど顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−68289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
樹脂成形された基板に対してレーザ半田を行う際には、ランド周辺の樹脂が、レーザビームが乱反射しても破損し難い形状を有し、且つ半田を行う箇所についてはレーザビームが乱反射し難い形状を有することが望まれる。
【0007】
そこで本発明は、上述した課題に鑑み、周囲が樹脂製の壁部により囲まれたランドを備えた基板において、ランド周囲の樹脂製の壁部を破損させないでランドとワイヤとの半田付けを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、ワイヤの端部が半田付けされるべきランドと、ランドの周囲にランドよりも高く形成された樹脂製の壁部とを備えた基板であって、樹脂製の壁部がランドに対して90度より大きい角度で傾斜する傾斜面を有している基板が提供される。この第一の態様により上述の課題が解決される。しかし、本発明は第一の態様に限られず、以下の第二ないし第五の態様のいずれかの基板、第六の態様のモータ、第七または第八の態様の半田付け方法を提供することもできる。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、上記第一の態様の基板であって、樹脂製の壁部が反射率60%以上の色を有する基板が提供される。
【0010】
本発明の第三の態様によれば、上記第一または第二の態様の基板であって、樹脂製の壁部にワイヤの端部を収容する溝が形成された基板が提供される。
【0011】
本発明の第四の態様によれば、上記第三の態様の基板において、溝がランドの中心線から任意の傾き角度をなす線上に位置する基板が提供される。
【0012】
本発明の第五の態様によれば、上記第三または第四の態様の基板において、溝の底面がランドよりも高い位置に在る基板が提供される。
【0013】
本発明の第六の態様によれば、上記第一ないし第五の態様のいずれか一つに記載の基板と、マグネットワイヤを有するステータとを備えたモータであって、マグネットワイヤの端部が基板のランドに半田付けされたモータが提供される。
【0014】
本発明の第七の態様によれば、上記第一の態様の基板を用意し、基板のランドにワイヤの端部を配置し、半田ごてまたはレーザを用いて、ランドとワイヤの端部との半田付けを行う、半田付け方法が提供される。
【0015】
本発明の第八の態様によれば、上記第七の態様の半田付け方法であって、樹脂製の壁部にワイヤの端部を収容する溝が形成されており、ランドにワイヤの端部を配置するとき、溝にワイヤの端部を収容して該ワイヤのランド上の位置を固定することを含む、半田付け方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第一および第七の態様によれば、ランドの周囲に存在する樹脂製の壁部が、ランドに対して90度より大きい角度で傾斜する傾斜面を有していることにより、ランド上に配置されたワイヤの端部に対してレーザ半田付けを行うときに、ランドにより反射されたレーザビームが樹脂製の壁部に当たり難くなる。また、ロボットハンドに半田ごてを取り付け、該半田ごてを用いて、ランド上に配置したワイヤの端部に対して半田付けを行うとき、半田ごての先端がランド周囲の樹脂製の壁部に当たり難くなる。
以上により、周囲が樹脂製の壁部により囲まれたランドを備えた基板において、ランド周囲の樹脂製の壁部を破損させないでランドとワイヤ端部の半田付けが可能となる。
【0017】
さらに、本発明の第二の態様によれば、上記の樹脂製の壁部が反射率60%以上の色を有するため、上記反射されたレーザビームが樹脂に照射されたとしても、樹脂の溶解を抑制することができる。
【0018】
本発明の第三および第八の態様によれば、樹脂製の壁部にワイヤの端部を収容する溝が形成されていることにより、レーザ半田付け作業中、ランド上のレーザビームの照射位置にワイヤを存在させないようにワイヤを固定できる。したがって、レーザビームがワイヤに当たって乱反射することを抑制できる。
【0019】
本発明の第四の態様によれば、上記の溝を、ランドの中心線から任意の傾き角度をなす線上に位置させることにより、レーザ半田付け作業中、ランド上にレーザビームを照射させる領域が拡大するので、レーザビームがワイヤに当たって乱反射することを抑制できる。
【0020】
本発明の第五の態様によれば、ワイヤの端部を収容する溝の底面をランドよりも高い位置に設けることにより、ワイヤとランドの間に隙間ができるので、半田が濡れ広がりやすくなる。
【0021】
本発明の第六の態様によれば、以上に説明したような効果を有する半田付けが実施された基板を備えたモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1a】は本発明の一実施形態によるモータが備えるステータの分解斜視図である。
図1b図1aに示したモータの横断面の模式図である。
図2】実施例1の基板を示す断面図である。
図3】実施例3の基板を示す上面図である。
図4】実施例4の基板を示す上面図である。
図5】実施例5の基板を示す断面図である。
図6】その他の実施例を説明するための、基板の断面模式図である。
図7】従来の基板の構成を示す上面図である。
図8図7のX−X’線に沿ってみた基板断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1aに本発明の一実施形態によるモータを構成する部品であるステータの分解斜視図、図1bに該モータの横断面の模式図を示す。本実施形態のモータMは、ロータRと、ロータRに対して磁気回転力を与えるステータ1と、ステータ1のマグネットワイヤ2とコネクタ3とを電気的に接続するための基板4と、を備える。
【0024】
ステータ1は実質的に中空円筒の形を有し、この形に対応するように基板4が円環状に形成されている。基板4は図1aに示すようにステータ1上に取り付けられ、ロータRを、基板4の開口部4aに通してステータ1の中空部1aに挿入することができる。
【0025】
基板4の上面には、複数のランド5が開口部4aの縁部に沿って配設されている。一方、基板4の外周端にはコネクタ3が取り付けられている。基板4の上面にはコネクタ3から各々のランド5に延びる複数の配線パターン6が形成されており、これにより、各ランド5とコネクタ3が電気的に接続されている。
【0026】
さらに、基板4は、板金10に樹脂を一体成形し、樹脂の一部を削除して板金10を露出させることで、露出した板金10の表面部分をランド5としたものである。したがって、各ランド5は、配線パターン6が形成された基板4の上面よりも低い位置に形成されている。本実施形態の場合は、各ランド5の周囲に、基板4の開口部4aの側を除いて樹脂製の壁部7が存在している。なお、基板4はその作製方法を問わず、金属層とこれに積層された樹脂層とを備えた基板であればよい。
【0027】
上述した形態のランド5にマグネットワイヤ2の端部を半田付けする。具体的には、基板4の下側に在るステータ1からマグネットワイヤ2を基板4の開口部4aに通して基板4の上へ延出させて、基板4上のランド5にマグネットワイヤ2の端部を半田付けする。このとき、ステータ1からマグネットワイヤ2の端部をランド5に確実に案内できるように、基板4の開口部4aの内側側面に切り欠き4bが形成されているのが好ましい。
【0028】
上記の半田付け工程を自動化する場合には、例えば、ロボットのハンドにレーザ装置または半田ごてを取り付け、ロボットによってレーザ装置または半田ごての先端を基板4の各ランド5の上に移動させて、ランド5毎にマグネットワイヤ2の端部を半田付けする。
【0029】
さらに、上記のような半田付け工程を実施するに際して、ランド5の周囲部は、以下の実施例に示すように構成されていることが好ましい。
【0030】
(実施例1)
図2に実施例1の基板4の断面図を示す。特に、図2図1aのA−A’線に沿った基板4の部分断面に対応している。
実施例1では、図2に示すように、ランド5の周囲に在る樹脂製の壁部7が、ランド5に対して90度より大きい角度で傾斜する傾斜面7aを有している。このような構成をとることにより、マグネットワイヤ2の端部をランド5に対してレーザ半田付けを行ったとき、図2に示すようにランド5により反射されたレーザビーム8が樹脂製の壁部7に当たり難くなる。つまり、レーザ半田付け作業において基板4の樹脂製の壁部7が溶解することを抑制できる。
上記の構成に対し、図7および図8に示されているように、ランド13の周囲に在る樹脂製の壁部12がランド13に対して垂直であると、ランド13によってレーザビームが乱反射した際のエネルギーを直に受けてしまい、樹脂製の壁部12が溶解しやすい。
【0031】
(実施例2)
実施例2としては、図2に示した実施例1の樹脂製の壁部7が、高反射率の色(例えば白色や、光沢のある金属色など)を有する樹脂材料を用いて成形されている。樹脂7に用いる色の反射率は60%以上が好ましい。なお、本例の樹脂製の壁部7は低吸収率の色を有していると言い換えることもできる。
このような樹脂製の壁部7を用いることにより、マグネットワイヤ2の端部をランド5に対してレーザ半田付けを行った際、ランド5により反射されたレーザビーム8が樹脂7に当たっても、樹脂製の壁部7は溶解しにくい。
この実施例2は、レーザ半田付け作業において基板4の樹脂製の壁部7が溶解することを抑制するという効果を、実施例1よりも高めることができる。
さらに、上記実施例2では、樹脂製の壁部7全体を高反射率の色としたが、樹脂製の壁部7の傾斜面7aの表面に高反射率の色を塗っても上記の効果を得ることができる。
【0032】
以下、実施例1,2の効果をさらに高められる構成例として実施例3〜5を示す。
(実施例3)
図3に実施例3の基板4の上面図を示す。特に、図3は基板4におけるランド5の周辺部分を示している。
図3に示すように、基板4の下側からマグネットワイヤ2が切り欠き4bを通って案内され、基板4の上に延出される。さらに、マグネットワイヤ2の端部が基板4上のランド5に置かれる。このとき、マグネットワイヤ2の端部は変形しやすいので、ランド5に置かれたマグネットワイヤ2の位置が固定されない。そのため、ロボットを使用してランド5毎にレーザ半田付けを行ったとき、レーザビームの照射位置にマグネットワイヤ2が在る場合が起こりうる。その場合、レーザビームが乱反射する原因となる。
【0033】
そのため、実施例3では、ランド5の周囲に在る樹脂製の壁部7に、マグネットワイヤ2の端部2aを収容および保持する溝9が形成されている。このような溝9を備えることにより、ランド5上に配置されるマグネットワイヤ2の位置を固定することができる。したがって、各ランド5に対してレーザビームの照射位置を一定に定めることができる。つまり、ロボットを使用してランド5毎にレーザ半田付けを行うときに、ランド5上のマグネットワイヤ2が無い所にレーザビームを照射することができる。
【0034】
(実施例4)
図4に実施例4の基板4の上面図を示す。特に、図4は基板4におけるランド5の周辺部分を示している。
実施例4は図4に示すように、実施例3に対して溝9の位置を変更したものである。詳述すると、実施例3では、基板4に形成された切り欠き4bと溝9は、ランド5の中心線5a、すなわちランド5の面積を二等分する線上に配置されている。これに対し、実施例4では、溝9が、ランド5の中心線5aから任意の傾き角度をなす線上に位置している。
マグネットワイヤ2の端部2aを溝9に固定したとき、マグネットワイヤ2を境界としてランド5は2つの領域に分割される。上記実施例3では当該2つの領域の面積は等しい。しかし、実施例4では、マグネットワイヤ2を境界として分割されたランド5の2つの領域の面積を互いに異ならせることができる。つまり、図4に示すように、レーザビーム8を照射する面積を広げることができる。これにより、実施例3と比べて、レーザ半田付け作業においてレーザビームが乱反射する確率を小さくすることができる。
【0035】
(実施例5)
図5に実施例5の基板の断面図を示す。特に、図5図3のB−B’線に沿った基板4の部分断面に対応している。
上述した各実施例において、ランド5にマグネットワイヤ2を半田付けするときに、ランド5にマグネットワイヤ2が接していると、マグネットワイヤ2によって半田の濡れ広がりが妨げられてしまう。
そのため、実施例5では、上記の実施例3、4で説明した溝9の底面9aが、図5に示すようにランド5より高い位置に設けられている。このような位置に溝9の底面9aを設けることにより、ランド5と、溝9に固定されたマグネットワイヤ2との間に隙間Pができる。この隙間Pが半田の通り道となるので、ランド5上において半田が濡れ広がりやすくなる。
【0036】
(その他の実施例)
上述した各実施例では、レーザ半田付けによってランド5にマグネットワイヤ2を接続する場合を説明した。しかし、半田ごてをロボットのハンドに取り付けて各ランド5に移動させる場合にも本発明の基板は有効である。
つまり、図6に二点鎖線によって示されているように、ランド5の周囲に在る樹脂製の壁部7がランド5に対して垂直である場合は、半田ごての先端(不図示)は点線Qより下に位置すると樹脂7と接触する。しかし、図6に実線によって示すように樹脂製の壁部7にランド5に対して90度より大きい角度で傾斜する傾斜面7aを形成し、樹脂製の壁部7の高さhを、二点鎖線によって示された垂直な側壁7bと同じにした場合、半田ごての先端(不図示)が樹脂製の壁部7と接触しない位置が点線Qからその下の点線Rに広がる。したがって、図6に示すようにランド5に対する樹脂製の壁部7の傾斜角度を90度より大きくすることは、半田ごてをロボットに取り付けて半田付けする場合にも効果がある。なお、ランド5に対する傾斜面7aの角度の上限に関しては、樹脂製の壁部7をランド5よりも高く形成するので、180度より小さい角度である。
【0037】
以上に実施例1〜5によって本発明の実施形態を示した。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されず、本発明の思想を逸脱しない範囲内において各実施例を様々な形、構造や材料などに変更可能である。
また、以上では、モータに使用されている、ステータのマグネットワイヤとコネクタとを電気接続するための基板(配線基板と呼ぶ。)を例にとって説明した。しかし、本発明の基板の適用範囲はモータに限られず、電気接続用基板を要する様々な電気機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 ステータ
1a 中空部
2 マグネットワイヤ
2a マグネットワイヤの端部
3 コネクタ
4 基板
4a 開口部
4b 切り欠き
5 ランド
5a ランドの中心線
6 配線パターン
7 樹脂製の壁部
7a 傾斜面
8 レーザビーム
9 溝
10 板金
P ランドとマグネットワイヤの間の隙間
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8