特許第6227586号(P6227586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227586複数の運転モードで動作するレーザ加工システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227586
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】複数の運転モードで動作するレーザ加工システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20171030BHJP
   B23K 26/382 20140101ALI20171030BHJP
【FI】
   B23K26/00 N
   B23K26/382
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-73532(P2015-73532)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-193441(P2016-193441A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2016年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一弘
【審査官】 岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−271767(JP,A)
【文献】 特開2014−205172(JP,A)
【文献】 特開2015−104741(JP,A)
【文献】 特開2012−064636(JP,A)
【文献】 特開2012−171084(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/038241(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/382
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を生成するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器によって生成されたレーザ光をワークに対して照射し、該ワークをレーザ加工するレーザ加工機であって、前記ワークに対するレーザ光の照射位置を移動させる移動機構を有する、レーザ加工機と、
前記レーザ発振器に供給される電力を決定する運転モードを、レーザ加工を行う前に主放電よりも小さいレーザパワーのレーザ光を生成するベース放電を前記レーザ発振器に実行させる標準待機モードと、前記主放電および前記ベース放電を停止する、該標準待機モードよりも消費電力が小さい省エネモードとの間で切り替えるモード切替部と、
前記ワークのうち、製品として用いられる領域以外の非製品領域に配置された加工開始点に前記照射位置を配置させるように、前記移動機構を制御する移動制御部と、
前記照射位置を前記加工開始点に配置させたときに、前記モード切替部を制御して、前記運転モードを、前記省エネモードから前記標準待機モードへ切り替える切替制御部と、を備える、レーザ加工システム。
【請求項2】
前記レーザ加工機は、
前記ワークが載置されるテーブルと、
前記レーザ発振器によって生成されたレーザ光を前記テーブルへ向かって出射するノズルと、を有し、
前記移動機構は、前記ノズルおよび前記テーブルを相対的に移動させる、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項3】
レーザ光を生成するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器によって生成されたレーザ光をワークに対して照射し、該ワークをレーザ加工するレーザ加工機であって、前記ワークに対するレーザ光の照射位置を移動させる移動機構を有する、レーザ加工機と、
前記レーザ発振器に供給される電力を決定する運転モードを、レーザ加工を行う前のベース放電を前記レーザ発振器に実行させる標準待機モードと、該標準待機モードよりも消費電力が小さい省エネモードとの間で切り替えるモード切替部と、
前記ワークのうち、製品として用いられる領域以外の非製品領域に配置された加工開始点に前記照射位置を配置させるように、前記移動機構を制御する移動制御部と、
前記照射位置を前記加工開始点に配置させたときに、前記モード切替部を制御して、前記運転モードを、前記省エネモードから前記標準待機モードへ切り替える切替制御部と、を備え、
前記レーザ加工機は、
前記ワークが載置されるテーブルと、
前記レーザ発振器によって生成されたレーザ光を前記テーブルへ向かって出射するノズルと、を有し、
前記移動機構は、前記ノズルおよび前記テーブルを相対的に移動させ、
前記切替制御部は、前記ノズルと前記テーブルとの間のギャップ寸法の制御を開始するギャップ制御開始指令を受け付けたときに、前記運転モードを、前記省エネモードから前記標準待機モードに切り替える、レーザ加工システム。
【請求項4】
レーザ光を生成するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器によって生成されたレーザ光をワークに対して照射し、該ワークをレーザ加工するレーザ加工機であって、前記ワークに対するレーザ光の照射位置を移動させる移動機構を有する、レーザ加工機と、
前記レーザ発振器に供給される電力を決定する運転モードを、レーザ加工を行う前のベース放電を前記レーザ発振器に実行させる標準待機モードと、該標準待機モードよりも消費電力が小さい省エネモードとの間で切り替えるモード切替部と、
前記ワークのうち、製品として用いられる領域以外の非製品領域に配置された加工開始点に前記照射位置を配置させるように、前記移動機構を制御する移動制御部と、
前記照射位置を前記加工開始点に配置させたときに、前記モード切替部を制御して、前記運転モードを、前記省エネモードから前記標準待機モードへ切り替える切替制御部と、を備え、
前記切替制御部は、レーザ光によって前記加工開始点に孔を形成するピアシング指令を受け付けたときに、前記運転モードを、前記省エネモードから前記標準待機モードに切り替える、レーザ加工システム。
【請求項5】
レーザ光を生成するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器によって生成されたレーザ光をワークに対して照射し、該ワークをレーザ加工するレーザ加工機であって、前記ワークに対するレーザ光の照射位置を移動させる移動機構、および、前記レーザ発振器から出射されたレーザ光の光路を開閉するシャッタを有する、レーザ加工機と、
前記レーザ発振器に供給される電力を決定する運転モードを、レーザ加工を行う前のベース放電を前記レーザ発振器に実行させる標準待機モードと、該標準待機モードよりも消費電力が小さい省エネモードとの間で切り替えるモード切替部と、
前記ワークのうち、製品として用いられる領域以外の非製品領域に配置された加工開始点に前記照射位置を配置させるように、前記移動機構を制御する移動制御部と、
前記照射位置を前記加工開始点に配置させたときに、前記モード切替部を制御して、前記運転モードを、前記省エネモードから前記標準待機モードへ切り替える切替制御部と、
前記シャッタの動作を制御するシャッタ制御部であって、前記省エネモードから前記標準待機モードに切り替えるときに、前記シャッタを閉鎖しない、シャッタ制御部と、を備える、レーザ加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の運転モードで動作するレーザ加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消費電力の節約の観点から、レーザ加工工程の進行状況に応じて、ベース放電を実行する標準待機モードと、標準待機モードによりも消費電力の小さな省エネモードとの間で運転モードを切り替えるレーザ加工システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−205172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなレーザ加工システムにおいて、消費電力の節約とサイクルタイムの短縮とを両立させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様において、レーザ加工システムは、レーザ光を生成するレーザ発振器と、レーザ発振器によって生成されたレーザ光をワークに対して照射し、該ワークをレーザ加工するレーザ加工機を備える。レーザ加工機は、ワークに対するレーザ光の照射位置を移動させる移動機構を有する。
【0006】
レーザ加工システムは、レーザ発振器に供給される電力を決定する運転モードを、レーザ加工を行う前のベース放電をレーザ発振器に実行させる標準待機モードと、該標準待機モードよりも消費電力が小さい省エネモードとの間で切り替えるモード切替部を備える。
【0007】
レーザ加工システムは、ワークのうち、製品として用いられる領域以外の非製品領域に配置された加工開始点に照射位置を配置させるように、移動機構を制御する移動制御部と、照射位置を加工開始点に配置させたときに、モード切替部を制御して、運転モードを、省エネモードから標準待機モードへ切り替える切替制御部とを備える。
【0008】
レーザ加工機は、ワークが載置されるテーブルと、レーザ発振器によって生成されたレーザ光をテーブルへ向かって出射するノズルとを有してもよい。移動機構は、ノズルおよびテーブルを相対的に移動させてもよい。
【0009】
切替制御部は、ノズルとテーブルとの間のギャップ寸法の制御を開始するギャップ制御開始指令を受け付けたときに、運転モードを、省エネモードから標準待機モードに切り替えてもよい。
【0010】
切替制御部は、レーザ光によって加工開始点に孔を形成するピアシング指令を受け付けたときに、運転モードを、省エネモードから標準待機モードに切り替えてもよい。
【0011】
レーザ加工機は、レーザ発振器から出射されたレーザ光の光路を開閉するシャッタをさらに有してもよい。レーザ加工システムは、該シャッタの動作を制御するシャッタ制御部をさらに備えてもよい。シャッタ制御部は、省エネモードから標準待機モードに切り替えるときに、シャッタを閉鎖しなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るレーザ加工システムのブロック図である。
図2図1に示すレーザ加工システムの構成図である。
図3図1に示すレーザ加工システムの動作フローの一例を示すフローチャートである。
図4図3に示すステップS4の動作フローを示すフローチャートである。
図5図3に示すステップS7の動作フローを示すフローチャートである。
図6図1に示すレーザ加工システムの動作を時系列で示したタイミングチャートを示す
図7図1に示すレーザ加工システムの動作フローの他の例を示すフローチャートである。
図8図7に示すステップS4’の動作フローを示すフローチャートである。
図9図1に示すレーザ加工システムの動作フローのさらに他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るレーザ加工システム10について説明する。レーザ加工システム10は、レーザ発振器12、レーザ加工機14、および制御部16を備える。
【0014】
図2に示すように、レーザ発振器12は、出力鏡18、リア鏡20、レーザ媒質流路22、第1の放電管24、第2の放電管26、放電電源28、およびシャッタ30を有する。出力鏡18およびリア鏡20は、互いに対向して配置されている。出力鏡18は、99%以上の反射率を有する部分反射鏡(いわゆるハーフミラー)から構成される一方、リア鏡20は、全反射鏡から構成される。
【0015】
第1の放電管24および第2の放電管26は、出力鏡18とリア鏡20との間に配置される。第1の放電管24および第2の放電管26の各々には、主電極と補助電極(ともに図示せず)とが設けられている。
【0016】
レーザ媒質流路22は、第1の放電管24および第2の放電管26の内部と連通している。レーザ媒質流路22は、例えば炭酸ガスのようなレーザ媒質を内部で循環させる。レーザ媒質流路22には、送風機32および熱交換器34が設けられている。
【0017】
送風機32は、例えば電動ファンから構成され、レーザ媒質流路22内でレーザ媒質を流動させる。熱交換器34は、送風機32の上流側および下流側に配置され、通過するレーザ媒質を冷却する。
【0018】
放電電源28は、第1の放電管24および第2の放電管26に電力を供給する。具体的には、放電電源28は、第1の放電管24および第2の放電管26の各々に設けられた主電極と補助電極とに、電圧を印加する。
【0019】
放電電源28から、第1の放電管24および第2の放電管26の主電極に電圧が印加されると、第1の放電管24および第2の放電管26内のレーザ媒質が励起されて主放電が発生し、レーザ光が生成される。生成されたレーザ光は、出力鏡18とリア鏡20との間で光共振することによって増幅され、その一部がレーザ光36として出力鏡18から出射される。
【0020】
一方、放電電源28から、第1の放電管24および第2の放電管26の補助電極に電圧が印加されると、ベース放電が発生する。このベース放電を発生させているとき、第1の放電管24および第2の放電管26は、上述の主放電よりもレーザパワーが小さいレーザ光を生成する。
【0021】
シャッタ30は、制御部16からの指令に応じて、出力鏡18から出射されたレーザ光36の光路を開閉する。シャッタ30によってレーザ光36の光路が閉鎖されているとき、レーザ光36は、ビームアブソーバ38に導かれて、該ビームアブソーバ38で吸収される。
【0022】
レーザ加工機14は、レーザ発振器12によって生成されたレーザ光36をワークWに対して照射し、該ワークWをレーザ加工する。具体的には、レーザ加工機14は、ベース40、コラム42、テーブル44、ノズル46、移動機構48、およびギャップセンサ72を有する。
【0023】
ベース40は、作業セルの床の上に固定されている。コラム42は、ベース40から図2中のz軸プラス方向へ向かって延びている。テーブル44は、図2中のx軸およびy軸の方向へ移動可能となるように、ベース40の上に配置されている。
【0024】
ノズル46は、ノズル保持部62を介して、コラム42にz軸方向に移動可能に取り付けられている。ノズル46は、出力鏡18から出射されたレーザ光36を受光し、受光したレーザ光36を集光して、テーブル44の方向へ出射する。
【0025】
ノズル46から出射されたレーザ光36によって、テーブル44の上に載置されたワークWをレーザ加工(レーザ穿孔、またはレーザ切断等)する。ノズル46には、アシストガス供給部68が連結されている。レーザ加工を行うとき、アシストガス供給部68からノズル46へアシストガスが供給される。
【0026】
移動機構48は、ノズル46およびテーブル44を相対的に移動させ、これにより、ワークWに対するレーザ光36の照射位置を相対的に移動させる。具体的には、移動機構48は、第1のモータ50、第1のボール螺子機構52、第2のモータ54、第2のボール螺子機構56、第3のモータ58、および第3のボール螺子機構60を有する。
【0027】
第1のモータ50は、ベース40の上に固定されており、制御部16からの指令に応じて、出力シャフトを回転駆動する。第1のボール螺子機構52は、テーブル44と、第1のモータ50の出力シャフトとに機械的に連結されている。
【0028】
第1のボール螺子機構52は、第1のモータ50の出力シャフトの回転運動をx軸方向への運動へ変換し、第1のモータ50の出力シャフトの回転に伴って、テーブル44をx軸方向へ移動させる。
【0029】
同様に、第2のモータ54は、ベース40の上に固定され、制御部16からの指令に応じて、出力シャフトを回転駆動する。第2のボール螺子機構56は、テーブル44と、第2のモータ54の出力シャフトとに機械的に連結されている。
【0030】
第2のボール螺子機構56は、第2のモータ54の出力シャフトの回転運動をy軸方向への運動へ変換し、第2のモータ54の出力シャフトの回転に伴って、テーブル44をy軸方向へ移動させる。
【0031】
一方、第3のモータ58は、コラム42の上に固定され、制御部16からの指令に応じて、出力シャフトを回転駆動する。第3のボール螺子機構60は、ノズル46を保持するノズル保持部62と、第3のモータ58の出力シャフトとに機械的に連結されている。
【0032】
第3のボール螺子機構60は、第3のモータ58の出力シャフトの回転運動をz軸方向への運動へ変換し、第3のモータ58の出力シャフトの回転に伴って、ノズル保持部62(すなわち、ノズル46)を、z軸方向へ移動させる。第1のモータ50、第2のモータ54、および、第3のモータ58は、例えば、サーボモータから構成される。
【0033】
ギャップセンサ72は、制御部16からの指令に応じて、ノズル46の先端のレーザ出射口46aと、ワークWとの間のギャップ寸法を非接触で検出する。ギャップセンサ72は、例えば、変位センサ、または、CCDもしくはCMOSセンサ等の撮像センサといった、非接触センサから構成されている。ギャップセンサ72は、レーザ出射口46aとワークWとの間のギャップ寸法を検出し、制御部16へ送信する。
【0034】
制御部16は、プログラム解析部64(図1)の機能を有する。制御部16は、プログラム解析部64として機能して、加工プログラムを読み込み、加工プログラムに含まれる種々の指令の解析を行う。
【0035】
そして、制御部16は、解析結果に応じて、レーザ発振器12およびレーザ加工機14を構成する各要素に指令を送信する。なお、加工プログラムは、例えば、制御部16に内蔵された記憶部(図示せず)に予め格納される。
【0036】
制御部16は、モード切替部66の機能を有する。制御部16は、モード切替部66として機能して、レーザ発振器12の運転モードを、標準待機モードと省エネモードとの間で切り替える。これらの運転モードは、レーザ発振器12に供給される電力を決定する。
【0037】
具体的には、標準待機モードは、レーザ発振器12にベース放電を実行させる運転モードである。この標準待機モードにおいては、制御部16は、放電電源28に指令を送り、第1の放電管24および第2の放電管26の主電極への電圧印加を停止する一方、第1の放電管24および第2の放電管26の補助電極に電圧を印加する。
【0038】
これにより、第1の放電管24および第2の放電管26にてベース放電が行われる。この標準待機モードにおけるレーザ発振器12での消費電力は、第1の放電管24および第2の放電管26で主放電を行う運転モードの消費電力よりも小さい。
【0039】
省エネモードにおいては、制御部16は、第1の放電管24および第2の放電管26の主電極および補助電極への電圧印加を停止し、これにより、第1の放電管24および第2の放電管26における主放電とベース放電の双方を停止させる。
【0040】
この省エネモードは、レーザ発振器12での消費電力を最小限まで低減させるための運転モードである。この省エネモードにおけるレーザ発振器12での消費電力は、標準待機モードにおけるレーザ発振器12での消費電力よりも小さい。
【0041】
制御部16は、シャッタ制御部70(図1)としての機能を有する。制御部16は、シャッタ制御部70として機能して、シャッタ30に指令を送り、出力鏡18から出射されたレーザ光36の光路を開閉するようにシャッタ30を動作させる。
【0042】
次に、図1図5を参照して、レーザ加工システム10の動作の一例について説明する。レーザ加工システム10は、加工プログラムに従って、複数のレーザ加工作業(例えば、ワークWをレーザ切断する作業)を連続して実行する。
【0043】
図3に示すフローは、レーザ加工システム10が1つのレーザ加工作業を実行しているときに開始する。ステップS1において、制御部16は、レーザ加工作業が終了したか否かを判断する。
【0044】
具体的には、制御部16は、プログラム解析部64として機能して加工プログラムを解析し、現在実行しているレーザ加工作業が終了したか否かを判断する。制御部16は、レーザ加工作業が終了した(すなわちYES)と判断した場合、ステップS2へ進む。
【0045】
一方、制御部16は、レーザ加工作業が終了していない(すなわちNO)と判断した場合、該レーザ加工作業が終了するまで、加工プログラムに従って該レーザ加工作業の動作を実行する。
【0046】
ステップS2において、制御部16は、モード切替部66として機能して、レーザ発振器12の運転モードを、標準待機モードから省エネモードへ切り替える。具体的には、制御部16は、放電電源28に指令を送り、第1の放電管24および第2の放電管26の主電極および補助電極への電圧印加を停止し、主放電およびベース放電を消灯する。
【0047】
ステップS3において、制御部16は、次のレーザ加工指令を受け付けたか否かを判断する。具体的には、制御部16は、プログラム解析部64として機能して加工プログラムを解析し、加工プログラムから次のレーザ加工指令を受け付けたか否かを判断する。
【0048】
制御部16は、次のレーザ加工指令を受け付けた(すなわちYES)と判断した場合、ステップS3へ進む。一方、制御部16は、次のレーザ加工指令を受け付けていない(すなわちNO)と判断した場合、図3に示すフローを終了する。
【0049】
ステップS4において、制御部16は、レーザ加工機14からワークWへ照射されるレーザ光36の照射位置を加工開始点に配置させる。ここで、この加工開始点は、ワークWのうち、製品として用いられる領域以外の非製品領域に配置される。ステップS4について、図4を参照して説明する。
【0050】
ステップS4が開始された後、ステップS11において、制御部16は、ノズル46を、テーブル40から離れる方向(すなわち、図2中のz軸プラス方向)へ退避させる。具体的には、制御部16は、第3のモータ58へ指令を送り、第3のモータ58を回転駆動する。第3のモータ58は、第3のボール螺子機構60を介して、ノズル46をz軸プラス方向へ移動させる。
【0051】
ステップS12において、制御部16は、ノズル46の退避が完了したか否かを判断する。例えば、制御部16は、第3のモータ58に内蔵されたエンコーダ(図示せず)から、第3のモータ58の回転数を取得し、第3のモータ58が予め定められた回転数だけ回転したときに、ノズル46の退避が完了したと判断し、第3のモータ58の回転を停止する。この予め定められた回転数は、加工プログラムに含まれてもよい。
【0052】
制御部16は、ノズル46の退避が完了した(すなわちYES)と判断した場合、ステップS13およびS15へ進む。一方、制御部16は、ノズル46の退避が完了していない(すなわちNO)と判断した場合、ステップS12をループする。
【0053】
ステップS13において、制御部16は、ワークWに対するレーザ光36の照射位置を、x軸方向へ相対的に移動させる。一例として、制御部16は、加工プログラムから、ステップS13の開始時点における加工開始点のx軸方向の座標xと、ノズル46から出射されるレーザ光36(またはレーザ出射口46a)のx軸方向の座標xを取得し、それらの間の差δ=x−xを算出する。
【0054】
そして、制御部16は、差δがゼロとなるようにテーブル44をx軸方向へ移動させるべく、第1のモータ50を回転駆動する。第1のモータ50は、制御部16からの指令に応じて、第1のボール螺子機構52を介して、テーブル44をx軸方向へ移動させる。
【0055】
ステップS14において、制御部16は、レーザ光36の照射位置のx軸方向への移動が完了したか否かを判断する。具体的には、制御部16は、ノズル46から出射されるレーザ光36(またはレーザ出射口46a)のx軸方向の位置と、ワークWの加工開始点のx軸方向の位置とが一致したと判断したときに、レーザ光36の照射位置のx軸方向への移動が完了したものと判断する。
【0056】
一例として、制御部16は、上記の差δがゼロ(または、予め定められた閾値の範囲内:−0.01≦δ≦0.01)となったときに、ノズル46から出射されるレーザ光36(またはレーザ出射口46a)のx軸方向の位置と、ワークWの加工開始点のx軸方向の位置とが一致したものと判断する。
【0057】
制御部16は、照射位置のx軸方向への移動が完了した(すなわちYES)と判断し、且つ、後述のステップS16でYESと判断されていた場合、図4に示すフローを終了する。一方、制御部16は、照射位置のx軸方向への移動が完了していない(すなわちNO)と判断した場合、ステップS14をループする。
【0058】
一方、制御部16は、ステップS13およびS14と並行して、ステップS15およびS16を実行する。ステップS15において、制御部16は、ワークWに対するレーザ光36の照射位置を、y軸方向へ相対的に移動させる。
【0059】
一例として、制御部16は、加工プログラムから、ステップS15の開始時点における加工開始点のy軸方向の座標yと、ノズル46から出射されるレーザ光36(またはレーザ出射口46a)のy軸方向の座標yを取得し、それらの間の差δ=y−yを算出する。
【0060】
そして、制御部16は、差δがゼロとなるようにテーブル44をy軸方向へ移動させるべく、第2のモータ54を回転駆動する。第2のモータ54は、制御部16からの指令に応じて、第2のボール螺子機構56を介してテーブル44をy軸方向へ移動させる。
【0061】
ステップS16において、制御部16は、レーザ光36の照射位置のy軸方向への移動が完了したか否かを判断する。具体的には、制御部16は、ノズル46から出射されるレーザ光36(またはレーザ出射口46a)のy軸方向の位置と、ワークWの加工開始点のy軸方向の位置とが一致したと判断したときに、照射位置のy軸方向への移動が完了したものと判断する。
【0062】
一例として、制御部16は、上記の差δがゼロとなったときに、ノズル46から出射されるレーザ光36(またはレーザ出射口46a)のy軸方向の位置と、ワークWの加工開始点のy軸方向の位置とが一致したと判断する。
【0063】
制御部16は、照射位置のy軸方向への移動が完了した(すなわちYES)と判断し、且つ、上述のステップS14でYESと判断されていた場合、図4に示すフローを終了する。一方、制御部16は、照射位置のy軸方向への移動が完了していない(すなわちNO)と判断した場合、ステップS16をループする。
【0064】
このステップS4によって、制御部16は、移動機構48を制御して、ワークWへ照射されるレーザ光36の照射位置を、ワークW上の加工開始点に配置させている。したがって、制御部16は、レーザ光36の照射位置を加工開始点に配置させるように移動機構48を制御する移動制御部76(図1)として機能する。
【0065】
再度、図3を参照して、ステップS5において、制御部16は、ギャップ制御開始指令を受け付けたか否かを判断する。ここで、レーザ加工システム10においては、ワークWにピアッシングおよびレーザ切断等のレーザ加工を行うとき、ノズル46とワークWとの間のギャップの寸法を適正に制御する必要がある。
【0066】
ギャップ制御開始指令は、ノズル46とワークWとの間のギャップ寸法を制御する動作(いわゆる、ギャップ制御)を開始させるための指令であって、加工プログラムに含まれる指令の1つである。
【0067】
制御部16は、ギャップ制御開始指令を受け付けた(すなわちYES)と判断した場合、ステップS6へ進む。一方、制御部16は、ギャップ制御開始指令を受け付けていないと判断した場合、ステップS5をループする。
【0068】
ステップS6において、制御部16は、モード切替部66として機能して、レーザ発振器12の運転モードを、省エネモードから標準待機モードへ切り替える。具体的には、制御部16は、放電電源28に指令を送り、第1の放電管24および第2の放電管26の補助電極へ電圧を印加し、ベース放電を点灯する。
【0069】
このとき、上記のステップS4により、レーザ加工機14から出射されたレーザ光36は、ワークW上の加工開始点に照射されることになる。このように、本実施形態においては、制御部16は、レーザ加工機14から出射されたレーザ光36がワークWの加工開始点に照射されるようになっているときに運転モードを省エネモードから標準待機モードへ切り替える切替制御部74(図1)としての機能を担う。
【0070】
ステップS7において、制御部16は、ギャップ制御を実行する。このステップS7について、図5を参照して説明する。図5のフローが開始した後、ステップS21において、制御部16は、ギャップセンサ72から、レーザ出射口46aとワークWとの間のギャップ寸法を取得する。
【0071】
ステップS22において、制御部16は、ギャップ寸法が予め定められた閾値の範囲内にあるか否かを判断する。例えば、予め定められた閾値は、制御部16に内蔵された記憶部に予め格納される。制御部16は、記憶部から予め定められた閾値を読み出して、ステップS21にて取得したギャップ寸法と照らし合わせる。
【0072】
制御部16は、ギャップ寸法が予め定められた閾値の範囲内である(すなわちYES)と判断した場合、ステップS24へ進む。一方、制御部16は、ギャップ寸法が予め定められた閾値の範囲外である(すなわちNO)と判断した場合、ステップS23へ進む。
【0073】
ステップS23において、制御部16は、ノズル46をz軸方向へ移動させる。具体的には、制御部16は、ギャップ寸法を予め定められた閾値の範囲内へ収めるように、ノズル46を、テーブル40から離れる方向(すなわち、図2中のz軸プラス方向)、またはテーブル40へ近づく方向(すなわち、図2中のz軸マイナス方向)へ移動させる。ステップS23の後、制御部16は、ステップS21へ戻る。
【0074】
ステップS24において、制御部16は、ギャップ制御終了指令を受け付けたか否かを判断する。このギャップ制御終了指令は、加工プログラムに含まれる指令の1つであって、ギャップ寸法を制御する動作を終了させるための指令である。
【0075】
制御部16は、ギャップ制御終了指令を受け付けた(すなわちYES)と判断した場合、図5に示すフローを終了する。一方、制御部16は、ギャップ制御開始指令を受け付けていないと判断した場合、ステップS21へ戻る。
【0076】
図5に示すギャップ制御の動作フローは、後述するステップS9のピアシング動作、およびステップS10のレーザ加工動作を実行している間に、並列して実行される。これにより、ピアシング動作およびレーザ加工動作中において、ノズル46とワークWとの間のギャップの寸法が適正となるように制御される。
【0077】
再度、図3を参照して、ステップS8において、制御部16は、ピアシング指令を受け付けたか否かを判断する。ここで、ピアシング指令とは、加工プログラムに含まれる指令の1つであって、ワークW上の加工開始点に孔を形成するピアシング加工を実行するための指令である。
【0078】
このピアシング加工は、例えばワークWをレーザ切断する作業を行うための準備動作として実行される。ピアシング加工で形成される孔は、ワークWをレーザ切断するときの始点となる。
【0079】
制御部16は、このステップS8において、プログラム解析部64として機能して加工プログラムを解析し、加工プログラムからピアシング指令を受け付けたか否かを判断する。
【0080】
制御部16は、ピアシング指令を受け付けた(すなわちYES)と判断した場合、ステップS9へ進む。一方、制御部16は、ピアシング指令を受け付けていない(すなわちNO)と判断した場合、ステップS8をループする。
【0081】
ステップS9において、制御部16は、ピアシング加工を実行する。具体的には、制御部16は、レーザ発振器12を制御して、レーザ発振器12からピアシング加工用のレーザ光36を出射させる。レーザ発振器12から出射されたレーザ光36は、ノズル46を経てワークWの加工開始点に照射される。これにより、ワークWの加工開始点に孔が形成される。
【0082】
ステップS10において、制御部16は、ワークWに対して、レーザ切断等のレーザ加工を実行する。そして、このステップS10の後、制御部16は、ステップS1へ戻る。
【0083】
図6に、上述したレーザ加工システム10の動作を時系列で示したタイミングチャートを示す。時点τにおいて、制御部16は、レーザ発振器12の運転モードを、標準待機モードMから省エネモードMへ切り替える(ステップS2)。これとともに、制御部16は、ギャップ制御をONからOFFへ切り替えて、ギャップ制御を停止する。
【0084】
次いで、時点τにおいて、制御部16は、ギャップ制御開始指令を受け付けて(ステップS5でYESと判断)、レーザ発振器12の運転モードを、省エネモードMから標準待機モードMへ切り替える(ステップS6)。これとともに、制御部16は、ギャップ制御をOFFからONへ切り替えて、図5に示すフローを開始する。
【0085】
本実施形態においては、制御部16は、時点τおよび時点τを含むレーザ加工システム10の動作期間(すなわち、図3のステップS1〜S10を実行する期間)に亘って、シャッタ30を開放(すなわち、シャッタ開放ON)させたままにすることができる。
【0086】
この動作について、以下に説明する。本実施形態においては、上述したように、ステップS4によって、ワークWへ照射されるレーザ光36の照射位置を加工開始点に配置させた上で、ステップS6にて運転モードを省エネモードMから標準待機モードMへ切り替えている。
【0087】
この場合、標準待機モードに相当するレーザパワーのレーザ光36が加工開始点へ照射され、該加工開始点が穿孔されることになる。しかしながら、この加工開始点は、製品とはならない非製品領域に配置されているので、このときにある程度穿孔されたとしても、完成製品の品質に影響を与えることがない。
【0088】
このように、本実施形態によれば、図6に示すように、ステップS2およびS6の実行時(時点τおよびτ)において、シャッタ30を開閉する動作を省略することができる。これにより、シャッタ30の開閉に掛かる時間を短縮できるので、レーザ加工システム10の動作フローのサイクルタイムを短縮することができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、図3に示すフローを実行している期間、シャッタ30を開放したままの状態とすることができるので、加工プログラムに含まれるレーザ加工指令によっては、シャッタ30を省略することも可能となる。この場合、レーザ加工システム10の製造コストを削減できる。
【0090】
また、本実施形態においては、制御部16は、ギャップ制御開始指令を受け付けたときに、レーザ発振器12の運転モードを省エネモードから標準待機モードへ切り替えて、ベース放電の点灯を開始している。
【0091】
この構成によれば、標準待機モードへの切り替え(すなわち、ベース放電の点灯)を実行するのと並列して、ステップS7のギャップ制御、およびステップS8およびS9のピアシング加工の準備動作を実行することができる。これにより、レーザ加工システム10の動作のサイクルタイムを効果的に短縮することができる。
【0092】
なお、上述の実施形態においては、ステップS11において、一旦、ノズル46をテーブル40から離れる方向へ移動させた後に、ステップS7において、ギャップ寸法調整のためにノズル46の位置を調整する場合について述べた。
【0093】
しかしながら、ステップS11およびステップS7を省略してもよい。以下、このような動作フローについて、図7および図8を参照して説明する。なお、図7および図8に示すフローにおいて、上述の実施形態と同様のプロセスには同じステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0094】
ステップS4’において、制御部16は、レーザ加工機14からワークWへ照射されるレーザ光36の照射位置を加工開始点に配置させる。図8を参照して、制御部16は、ステップS4’が開始された後、上述のステップS11およびS12を実行することなく、ステップS13およびS14と、ステップS15およびS16とを、並列して実行する。
【0095】
再度、図7を参照して、ステップS4’の後、ステップS8にてピアシング指令を受け付けた(すなわちYES)と判断したときに、制御部16は、ステップS6において、レーザ発振器12の運転モードを、省エネモードから標準待機モードへ切り替える。次いで、ステップS9において、制御部16は、ピアシング加工を実行する。
【0096】
このように、本実施形態においては、制御部16は、ピアシング指令の受け付けをトリガとして、レーザ発振器12の運転モードを省エネモードから標準待機モードへ切り替えている。
【0097】
本実施形態においても、運転モードを省エネモードから標準待機モードへ切り替えるときには、レーザ光36が加工開始点へ照射されるので、ステップS2およびS6の実行時において、シャッタ30を開閉する動作を省略することができる。これにより、レーザ加工システム10の動作フローのサイクルタイムを短縮することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、図7に示すフローを実行している期間、シャッタ30を開放したままの状態とすることができるので、シャッタ30を省略することも可能となる。この場合、レーザ加工システム10の製造コストを削減できる。
【0099】
また、本実施形態によれば、標準待機モードへの切り替え(すなわち、ベース放電の点灯)を実行するのと並列して、ステップS9のピアシング加工の準備動作を実行することができる。これにより、レーザ加工システム10の動作のサイクルタイムを短縮することができる。
【0100】
なお、図3に示す動作フローと、図7に示す動作フローとを互いに組み合わせて、図3中のステップS6〜S8と、図7中のステップS8およびS6とを、並列して実行してもよい。以下、このような動作フローについて、図9を参照して説明する。なお、上述の実施形態と同様のプロセスには同じステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0101】
本実施形態に係る動作フローにおいては、ステップS5にてNOと判断した場合、制御部16は、ステップS8’において、ピアシング指令を受け付けたか否かを判断する。ステップS8’にてYESと判断した場合、制御部16は、ステップS6’へ進む一方、ステップS8’にてNOと判断した場合、ステップS5へ戻る。
【0102】
ステップS6’において、制御部16は、レーザ発振器12の運転モードを、省エネモードから標準待機モードへ切り替える。そして、制御部16は、ステップS9へ進む。こうように、本実施形態に係る動作フローにおいては、制御部16は、ステップS5での判断に応じて、図3中のステップS6〜S8、または、図7中のステップS8およびS6を実行する。
【0103】
なお、上述の実施形態においては、制御部16は、レーザ発振器12の運転モードを、省エネモードと標準待機モードとの間で切り替える場合について述べた。しかしながら、これに限らず、制御部16は、運転モードを、省エネモードと高出力モードとの間、または、標準待機モードと高出力モードとの間で切り替えてもよい。
【0104】
この高出力モードは、レーザ発振器12に放電を実行させる運転モードである。この高出力モードにおいては、制御部16は、放電電源28に指令を送り、第1の放電管24および第2の放電管26の主電極への電圧印加を印加する。
【0105】
これにより、第1の放電管24および第2の放電管26にて主放電が行われる。この高出力モードにおけるレーザ発振器12での消費電力は、標準待機モードの消費電力よりも大きい。
【0106】
また、上述の実施形態においては、移動機構48は、テーブル44をx軸方向およびy軸方向へ移動させることによって、ワークWに対するレーザ光の照射位置をx軸方向およびy軸方向へ相対的に移動させる場合について述べた。
【0107】
しかしながら、これに限らず、移動機構は、テーブル44をx軸方向およびy軸方向のいずれか一方にのみ移動させるものであってもよいし、または、テーブル44を固定させて、ノズル46をx軸方向およびy軸方向の少なくとも一方に移動させるように構成されてもよい。
【0108】
以上、発明の実施形態を通じて本発明を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、本発明の実施形態の中で説明されている特徴を組み合わせた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得るが、これら特徴の組み合わせの全てが、発明の解決手段に必須であるとは限らない。さらに、上述の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることも当業者に明らかである。
【0109】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、工程、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」、「次いで」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0110】
10 レーザ加工システム
12 レーザ発振器
14 レーザ加工機
16 制御部
30 シャッタ
44 テーブル
46 ノズル
48 移動機構
66 モード切替部
70 シャッタ制御部
74 切替制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9