(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227589
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】骨固定装置、それを備えたモジュールシステム、および骨固定装置を組立てる方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/86 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
A61B17/86
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-80001(P2015-80001)
(22)【出願日】2015年4月9日
(62)【分割の表示】特願2010-280277(P2010-280277)の分割
【原出願日】2010年12月16日
(65)【公開番号】特開2015-128676(P2015-128676A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2015年5月8日
(31)【優先権主張番号】09180249.6
(32)【優先日】2009年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/288,608
(32)【優先日】2009年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ・ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ビルフリート・マティス
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト・ポール
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2000−511453(JP,A)
【文献】
特表2001−505469(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/015100(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨固定装置であって、
骨に固定するためのシャフト(2)および頭部(3)を有する固定要素(1)と、
上端部(5a)および底端部(5b)、前記上端部の近傍でロッド(6)を受入れるためのチャネル(11)、および前記底端部の近傍で前記頭部を収容するための収容スペース(9a、9b)を有する受入部(5′″)とを備え、前記収容スペースは前記底端部に開く開口(10)を有し、前記開口は前記底端部からの前記頭部(3)の導入を可能にする大きさとされ、さらに
圧力要素(8′″)を備え、前記圧力要素の少なくとも一部は前記収容スペース内にあり、前記圧力要素(8′″)は、前記圧力要素(8′″)の上端部近傍に設けられた実質的に円筒形の部分(81)と、前記頭部を締結するために前記圧力要素(8′″)の底端部(8b)近傍に可撓性部分(85)とを有し、
前記固定要素は前記受入部に対して回動可能であり、前記頭部(3)が前記圧力要素の可撓性部分(85)内に係留されるよう、前記圧力要素を前記収容スペース内に移動させることによって、ある角度で固定でき、
前記圧力要素(8′″)は、前記受入部(5′″)の内壁で第2のねじ部(930)に結合される第1のねじ部(830)を含み、前記圧力要素が前記受入部に挿入されたときに、前記受入部から前記圧力要素が脱落することを防ぎ、前記第1のねじ部(830)は、前記実質的に円筒形の部分(81)の外周に設けられ、
前記収容スペース(9a、9b)内に収容されるまで前記第2のねじ部(930)を介して前記圧力要素を螺着することにより固定状態が得られ、軸方向における前記圧力要素(8′″)の第1のねじ部の高さは、前記実質的に円筒形の部分(81)の高さよりも低い、骨固定装置。
【請求項2】
前記第1のねじ部(830)と前記第2のねじ部(930)との間の結合は固定継手である、請求項1に記載の骨固定装置。
【請求項3】
前記圧力要素は前記受入部内において回転可能であり、前記第1のねじ部を前記第2のねじ部と結合する、請求項1または2に記載の骨固定装置。
【請求項4】
前記圧力要素は、前記第1のねじ部と前記第2のねじ部が係合しない、前記受入部の第1の位置と、前記第1のねじ部と前記第2のねじ部が係合する第2の位置とを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項5】
前記受入部(5′″)は、ねじ切りされた固定要素(7)を受入れるための内側ねじを有する第3の部分(9e)を有し、前記内側ねじを有する第3の部分(9e)は、前記受入部(5′″)の前記第2のねじ部(930)とは異なる位置に設けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項6】
前記圧力要素は前記上端部(5a)からのみ前記受入部に挿入可能である、請求項1から5のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項7】
前記骨固定要素は、前記上端部(5a)または前記底端部(5b)から、前記受入部内に選択的に挿入可能である、請求項1から6のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項8】
前記圧力要素が前記受入部に固定されると、前記第2のねじ部は、前記圧力要素が前記上端部(5a)の方に移動することに対するストッパを与える、請求項1から7のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項9】
前記第1のねじ部は、前記実質的に円筒形の部分(81)の下端部に設けられる、請求項1から8のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項10】
前記第1のねじ部は、前記圧力要素(8′″)が前記収容スペース(9a、9b)に収容される際に、前記受入部の前記上端部(5a)側に向けられ、前記圧力要素の前記上端部(8a)の近傍の前記実質的に円筒形の部分(81)に設けられる、請求項1から9のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項11】
前記圧力要素(8′″)は、前記頭部を締結するように前記頭部(3)の周りで圧縮され得る可撓性壁部分を有する前記可撓性部分(85)を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項12】
前記受入部(5)は、前記開口(10)の近くに、前記圧力要素(8′″)の部分(89)と協働する狭窄部(9a)を有し、前記頭部を締結させる、請求項1から11のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項13】
前記受入部(5)の前記狭窄部(9a)および前記圧力要素の前記狭窄部(89)は両方とも先細りである、または一方が先細りであり、他方は湾曲している、請求項12に記載の骨固定装置。
【請求項14】
前記圧力要素は一体的に形成される、請求項1から13のいずれか1項に記載の骨固定装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の骨固定装置を備えたモジュールシステムであって、複数の異なるシャンクおよび/または複数の異なる頭部が設けられる、モジュールシステム。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか1項に記載の骨固定装置を組立てる方法であって、
前記圧力要素を前記骨固定要素の頭部に取付けるステップと、
前記圧力要素とともに前記骨固定要素を前記上端部(5a)から前記受入部に挿入するステップと、
前記第1のねじ部が前記第2のねじ部と係合するように前記圧力要素を回転させるステップとを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安定化ロッドを骨または椎骨に固定するための骨固定装置に関する。骨固定装置は、固定要素、ならびに骨固定要素の頭部を受入れ、および固定要素に接続される安定化ロッドを受入れるための受入部を含む。固定要素は受入部に回動可能に接続され、受入部に配置される圧力要素を介して圧力を頭部に与えることにより、ある角度で固定することができる。圧力要素は頭部を締結するための可撓性部分を有する。圧力要素はさらに固定部を有し、受入部において固定部と係合して、圧力要素を受入部に挿入した後で、圧力要素が脱落するのを防ぐ。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,716,356号は、ねじ要素と、ねじ要素に回動可能に接続される受入部と、ねじ要素および受入部の間の角度を固定するために、ねじ要素の頭部に圧力を与えるための圧力要素とを含む多軸骨ねじを記載している。圧力要素は、受入部に設けられているボアによる圧着よって、整合した位置に保持される。
【0003】
米国特許第5,672,176号は多軸骨ねじの別の例を記載し、圧力要素は頭部を締結するための十分な動きを損なうことなく、クリンプボアによって所定の位置に保持される圧力要素を有する多軸骨ねじを有する。
【0004】
WO2006/116437 A2は、多軸骨ねじの形状を有する、脊椎を固定するための骨固定を記載しており、ねじ要素、ハウジング、スリーブ、およびハウジングに配置されたコレットを含み、ねじ要素の頭部に圧力を与える。スリーブは保持タブを有し、ハウジングの対向する壁部にあるスロットに嵌まる。
【0005】
DE 43 07 576 C1に記載されている多軸骨ねじは、受入部に内ねじ山を有し、圧力要素の外ねじ山および頭部を締結するクランピングねじの外ねじ山と係合する。
【0006】
WO98/34554は多軸型の骨係合ファスナアセンブリを記載し、頂上部材は骨ねじの頭部を押さえる。頂上部材はねじ切りされており、受入部材のねじ切りされた部分によって捩じ込まれる。したがって、間違って離れることはない。
【0007】
一般に、上記の種類の多軸骨固定装置は、予め組立てられた状態で、たとえばメーカから送られる。この状態において、特定のねじ要素、たとえば特定の長さおよび特定の軸の直径または特定のねじ切りされた形を有するねじ要素は、受入部に接続され、そこから落ちないように圧力要素が配置されている。手術のためには、このように予め組立てられた多軸骨ねじの必要な個数および種類が選択され、インプラント一式として事前に用意されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,716,356号
【特許文献2】米国特許第5,672,176号
【特許文献3】WO2006/116437 A2
【特許文献4】DE 43 07 576 C1
【特許文献5】WO98/34554
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、パーツが手術の場所で、またはパーツが製造された後の他の場所で、簡単な態様で外科医または他の担当者によって選択および組立てることができる骨固定装置を提供することである。さらに、骨固定装置は手術の際の取扱を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的は、請求項1に記載の固定装置によって達成される。さらなる特徴は、従属クレームに記載されている。
【0011】
骨固定装置のパーツの数は少ない。パーツの構造は簡単である。これにより、製造コストが下がり、取扱が容易となる。骨固定装置はパーツが製造されて配達された後の任意の状態で、およびねじ要素が骨に挿入される前に、組立てることができる。したがって、多軸骨ねじの組立は誰でも、手術の前または手術の最中に、特に外科医によって、または外科医を補佐している担当者によって行なうことができる。
【0012】
骨固定装置とともに、モジュールシステムを提供することができ、さまざまな固定要素を、実際の臨床要件に従い、必要に応じてオンデマンドで適切な受取部と組合せることができる。これにより、多軸ねじのコストおよび在庫を減らし、外科医に十分なインプラントの選択を与える。さらに、既存の受入パーツはアップグレードされて、本発明に従う骨固定装置をなすことができる。
【0013】
骨固定装置の圧力要素は、離れてしまう、すなわち脱落してしまう心配がない。受入部と圧力要素との結合は、固定継手によってなされ、これはばねに基づく結合よりも製造が容易である。
【0014】
ねじ要素は受入部の上から、または受入部の底から組立てることができる。これにより、骨固定装置を用いる外科医に、十分に自由な骨固定装置の用途が与えられる。
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面による実施例の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施例の骨固定装置の分解斜視図である。
【
図2】
図1の骨固定装置であって、組立てられた状態を示す図である。
【
図3】断面はロッド軸に対して垂直である、第1の実施例の骨固定装置の断面図である。
【
図4】断面はロッドの軸に沿って取られる、第1の実施例の骨固定装置の断面図である。
【
図5】第1の実施例の骨固定装置の圧力要素の斜視図である。
【
図6】断面がロッド軸に対して垂直である、圧力要素の断面図である。
【
図7】ロッド軸に対して垂直な方向から見た、
図5の圧力要素の側面図である。
【
図9】(a)〜(d)は第1のシーケンスに従い、第1の実施例の骨固定装置を組立てるステップを概略的に示す図である。
【
図10】(a)〜(d)は第2のシーケンスに従い、第1の実施例の骨固定装置を組立てるステップを概略的に示す図である。
【
図11】第2の実施例の骨固定装置の分解斜視図である。
【
図12】断面はロッド軸に対して垂直である、組立てられた状態にある、第2の実施例の骨固定装置の断面図である。
【
図13】ロッドおよび固定ねじがない、
図12に示される第2の実施例の拡大断面図である。
【
図14】第2の実施例の骨固定装置の上面図である。
【
図15】第2の実施例の骨固定装置の圧力要素の斜視図である。
【
図16】断面はロッド軸に対して垂直である、
図15の圧力要素の断面図である。
【
図18】第2の実施例の変形による、骨固定装置の受入部の上から見た斜視図である。
【
図19】
図18の受入部の、ロッド軸に対して垂直な側面図である。
【
図22】変形された第2の実施例の圧力要素の断面図である。
【
図23】断面は19の面Cに沿って取られる、受入部および挿入された圧力要素の断面図である。
【
図24】第3の実施例の骨固定装置の分解斜視図である。
【
図25】断面はロッド軸に対して垂直である、組立てられた状態の第3の実施例の骨固定装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および
図2に示されるように、第1の実施例の骨固定装置は、骨ねじの形を取る骨固定要素1を含み、ねじ切りされたシャフト2と、本実施例では球形セグメント形状の頭部である頭部3とを有する。頭部3は捩じ込みツールと係合するための凹所4を有する。骨固定装置はさらに受入部5を含み、ロッドを骨固定要素1に接続するためのロッド6を受入れる。さらに、内側ねじまたは位置決め雌ねじの形の固着要素7が設けられて、ロッド6を受入部5内に固定および締結する。さらに、骨固定装置は、頭部3を受入部5に係留するために、圧力を与えるための圧力要素8を含む。
【0018】
受入部5は
図1から
図4を参照して説明される。受入部5は上端部5aおよび底端部5
bを含み、対称軸Mは上端部5aおよび底端部5bを通る。対称軸Mと同軸であるボア9は、上端部5aから底端部5bに延在する。ボア9により、底端部に開口10が設けられる。ボアの直径、したがって底端部5bの開口10の直径は、頭部3の最も大きい外径よりも大きい。底端部に隣接して、ボア9は狭窄部9aを有し、これは底端部5bに向かって狭くなる。狭窄部はテーパ状、または丸い部分、または以下に記載される圧力要素8に対して圧縮力を与えるのを可能にする他の形状を取り得る。狭窄部9aは,圧力要素8を
有するねじ頭部3のための座部となる。ボア9は受入部5の下部分に、より大きい直径の部分9bを有し、それに続いてより小さい直径の中央部9cがある。中央部9cの直径は頭部3の最も大きい直径よりもまだ大きい。このより小さい直径の中央部9cに続いて、より大きい直径の凹所部9dが形成され、これは圧力要素8と係合するための固定部として働く。凹所部9dと上端部5aとの間には、内側がねじ切された部分9eがある。部分9eの直径は、部分9dの直径よりも小さく、圧力要素8の最も大きい外径よりも僅かに小さく、かつ頭部3の外径よりも大きい。
【0019】
上端部5aに隣接する領域において、受入部5は実質的にU字型の凹所11を有し、これは対称軸Mに対して対称である。凹所11の底部は底端部5bに向かっており、上端部5a方向に延在する2本の自由な横脚11a,11bを与える。実質的にU字型の凹所1
1によって形成されるチャネルは、複数の固定装置を接続する、ロッド6を中に受入れる
よう大きさが決められている。
【0020】
図3および
図4で特に見られるように、凹所部9dは脚11a,11bの内側壁にある。凹所部9dは圧力要素8の一部分と協働して、受入部5から離れるのを防ぐ。
【0021】
図1および
図3から
図8からわかるように、圧力要素は上端部8aおよび底端部8bを
有する。上端部8aに隣接して、実質的に円筒形の第1の部分81があり、その外径はボ
ア9の中央部9cの内径よりも僅かに小さいので、圧力要素8の円筒部81の少なくとも一部は、受入部5の中央部9cに亘って延在する。上端部8aに隣接して、実質的にU字
型の凹所82が設けられて、その中にロッド6を案内するよう形成されている。実質的にU字型の凹所82によって、側壁82a,82bを有するチャネルが形成される。上端部8aからある距離のところに、突出部83が各側壁82a,82bに形成され、外壁から
チャネルの側壁に沿って、円周方向に延在する。突出部83の外径は、ボア9の中央部9cの内径よりも大きく、かつ受入部のねじ切りされた部分9eの内径よりも大きいが、凹所部9dの内径よりも少し小さいので、突出部83は受入部5の反対側で凹所部9dと係合することができる。したがって、突出部は凹所部9dと協働する固定部を形成し、圧力要素が脱落するのを防ぐ。
図7から見ることができるように、チャネルの側壁82a、82bの幅は、受入部の実質的にU字型の凹所11の幅よりも少なくとも僅かに小さい。圧力要素は各側壁82a,82bの外側壁にさらなる凹所84を有し、これは突出部の上端部8aから反対側にあり、たとえばツール(図示されていない)と係合する役割を果たす
。
【0022】
圧力要素8はさらに第2の部分85を有し、内部は実質的に球状の中空86であり、その大きさは中に球状頭部3を締結するものである。第2の部分85の最も大きい外径は、円筒形の第1の部分81の外径と実質的に同じである。第2の部分85の自由端部は、頭部3を導入するための開口87を提供する。さらに、第2の部分85は複数のスリット88を含み、これらは開口87から第2の部分85にわたって延在して弾性の壁を規定する。スリット88の数および寸法は、頭部3を挿入する場合に、第2の部分85の壁が頭部3に嵌まる十分な可撓性を有する。スリット88はその可撓性を高めるために、第1の円筒部81まで(図示されていない)延在してもよい。第2の部分85の外側面は実質的に丸く、底端部8bに向かって先細りまたは湾曲した、または狭くなっている部分89を有する。頭部を受入部に係留する場合に、狭窄部89は受入部5の狭窄部9aと協働する。
【0023】
本実施例の固着要素7は内側ねじであり、受入部5の脚11a,11b間に捩じ込まれる場合に、ロッド6を押さえるよう構成されている。示されている実施例では、側壁82a,82bはロッド6が挿入された場合にはロッド面の下に延在する。したがって、内側ねじを締めることにより、圧力は圧力要素にもかかり、それにより頭部3にもかかる。しかし、他の締結および固着機構も考えられる。たとえば、固着要素7は2部構成の固着要素であって、圧力要素の上端部を押す外側ねじと、独立してロッドおよび頭部を固着するために、独立してロッドを押す内側ねじとを有するものであってもよい。
【0024】
内側ねじ山を有する、受入部の部分9eは、図面においては平坦なねじ山を有して示される。しかし、他の形のねじ山も可能である。それにより特定のねじ山の形に適合する特定の締結および固着機構が可能となる。
【0025】
骨固定装置のパーツは人体に適合する材料からなる。特に人体適合金属、金属合金、または人体適合プラスチックなどからなる。たとえば、ステンレススチールやチタン、ニチノールのようなニッケルチタン合金、またはたとえばPEEKのような人体適合プラスチック材やそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0026】
第1のシーケンスに従い、骨固定装置を組立てるステップは、
図9の(a)から(d)を参照して説明される。
図9(a)に示される第1のステップにおいて、意図される臨床用途に適する特定の骨固定要素1が供される。これは、異なるシャフト長さ、シャフト径などを有する複数の骨固定装置から選択できる。一般に、骨固定装置の頭部3はだいたい同じ大きさを有する。受入部5および圧力要素8が設けられる。まず圧力要素はねじ要素1と組立てられる。すなわち、頭部3は開口87を通って、圧力要素の中空の内部86に挿入される。可撓な壁部により、圧力要素8は容易に頭部3に嵌まる。
【0027】
次に、
図9(b)に示されるように、圧力要素8が取付けられた骨固定要素1は、上端部5aから受入部5に挿入される。受入部に対する圧力要素の配向により、突出部83は
U型の凹所の方に向いている。
図9(c)に示されるように、圧力要素8が取付けられた骨固定要素1はさらに受入部5に挿入されて、圧力要素の突出部83はU字型凹所内にある。
【0028】
次に、
図3および
図4と関連して
図9(d)に示されるように、骨固定要素1を圧力要素とともに90度回転させて、圧力要素の側壁の両側の突出部83は、受入部5の脚11aおよび11bの両側において、凹所部9dと係合する。突出部が凹所部9dと係合すると、圧力要素が外れることが防止される。なぜなら、突出部はストッパとして働く凹所部9dの上側端縁によって防止されるからである。さらに、圧力要素は過度に深く挿入されるのが防止される。なぜなら、凹所部9dの下側端縁はストッパの役割を果たすからである。
図3および
図4に示されるこの位置において、圧力要素の可撓な第2の部分85は、受入部の狭窄部9aによって圧縮されて、頭部3を締結する。
【0029】
さらに、
図9(d)で示されるように、圧力要素のU字型の凹所および受入部は、圧力要素の回転により整合する。
【0030】
上記の組立ステップの第1のシーケンスに従い、骨固定装置は頂上装填多軸骨固定装置として用いられる。すなわち、骨固定要素は受入部の上端部5aから導入される。
【0031】
臨床用途では、外科医または他の担当者、たとえばアシスタントは、適切な骨固定装置を選択し、簡単なツールを用いて自分で多軸骨固定装置を組立てることができる。組立てられると、骨固定要素は骨に挿入され、受入部は複数の骨固定装置を接続する安定化ロッドと整合する。ロッドおよび頭部を固定するために、固着要素7が締め付けられる。固着要素を締め付けることにより、圧力要素の狭窄部89はさらに受入部の狭窄部9aに押込められ、頭部3を最終的に締結した後、受入部5に対して角度のついた位置でしっかりと係止されるよう締結される。圧力要素および受入部の設計により、圧力要素の狭窄部85および受入部の狭窄部9aの特定のジオメトリによっては、頭部の自己係留が可能であり、これは最終のロッキングの前に起こる。自己係留は、たとえば部分9aおよび89が先細部を有し、摩擦による係止のための適切な円錐角度を有する場合に起こり得る。自己係留は、最終のロッキングの前にねじ要素と受入部との間に角度のついた関係を維持するのが望ましい場合に、一部の臨床用途で有用であり得る。
【0032】
第2の代替的シーケンスステップに従う骨固定装置の組立については、
図10(a)から
図10(d)を参照して説明する。
図10(a)および
図10(b)に示されるように、まず圧力要素8は上端部5aから受入部5に挿入される。突出部83は受入部のU字型
凹所11に向いている。次に、
図10(c)に示されるように、圧力要素を90度回転させて、突出部83は凹所部9dと係合する。この位置において、圧力要素は上端部5aか
ら脱落するのが防止される。さらに、圧力要素のU字型凹所および受入部が整合する。次に、骨固定要素1は受入部5の底端部5bの開口10を通って挿入され、圧力要素の可撓な第2の部分85に挿入される。したがって、圧力要素は突出部83がストッパの役割を
果たす凹所9dの上端縁に当接するまで、受入部の上端部5aに向かって移動する。圧力
要素の可撓な部分は、ボア9の部分9bによって設けられるスペースで広がり、頭部3上に嵌まる。
【0033】
上記の態様で、骨固定装置は底充填多軸骨固定装置として用いることができ、骨固定要素は底端部5bから受入部に導入される。臨床上の用途において、先に骨固定要素を骨に挿入し、その後圧力要素が上に付いている受入部を取付けるのが可能となる場合がある。
【0034】
骨固定装置の第2の実施例は、
図11から
図17を参照して説明される。第1の実施例と同様の部分は、同じ参照符号が付けられており、その説明は繰返されない。第2の実施例が第1の実施例と異なるのは、圧力要素および受入部の構造にある。圧力要素8′は、U字型凹所82によって設けられるチャネルの代わりに、溝82′を有し、そこにロッド6が入る。上端部8aと反対側の円筒部81の下端部において、溝82′から90度ずれ
て位置付けられる2つの突出部83′が設けられる。
図12に示されるように、骨固定装置が組立てられて、固着要素7が締め付けられると、突出部83′は受入部の下部分にあるより大きい直径の部分9bに延在する。この部分9bの上端縁は、突出部83′のストッパをなし、ロッドおよび固着要素が
図13に示されるように挿入されない場合には、圧力要素8が上端部5aから脱落するのを防ぐ。
【0035】
圧力要素が受入部に挿入されて突出部83′が係合することができるように、受入部5′はその実質的にU字型の凹所11の底に、2つの凹所11cを有し、これらは突出部83′が圧力要素8′の挿入の際に係合できるよう、位置および大きさが決められている。
【0036】
骨固定装置の組立は、第1の実施例のものと同様である。圧力要素だけが、または骨固定要素が中に取付けられる圧力要素が、受入部に挿入され、突出部83′は受入部5のU字型の凹所11に向いている。圧力要素は、突出部83が実質的にU字型の凹所11の底にある凹所11cと係合するまで、受入部の底端部5bの方向に移動する。挿入の後、突出部83′がより大きい径の部分9bに到達すると、圧力要素8′を90度回転させ、U字型凹所は受入部のU字型凹所と整合する。この状態では、圧力要素8′は脱落する心配がない。
【0037】
第2の実施例の変形は、
図18から
図22を参照して説明される。上記の第2の実施例と異なるのは、圧力要素8″が、2個の突出部83′ではなく、1個の突出部83″しか有していない点である。それに対応して、変形された第2の実施例の受入部5′は、実質的にU字型の凹所11の底において凹所11cを1つのみ有し、1個の突出部83′と係合する。さらに、
図18、
図20および
図21に示されるように、凹所13が設けられ、凹所11cから円周方向において実質的に円の4分の1の長さ延在する。したがって、圧力要素の突出部83″は、U字型凹所を整合させるために圧力要素を回転させると、凹所13内に案内される。突出部83″は、ストッパとして働く凹所13の上側端縁に当接する。さらに、突出部83″は円周方向において凹所の端部と当接し、
図23に示されるように、圧力要素のさらなる回転を防止する。
【0038】
骨固定装置の第3の実施例は、
図24から
図26を参照して説明される。
第3の実施例が第1および第2の実施例と異なるのは、圧力要素および受入部の構造にある。圧力要素が脱落するのを防止する、圧力要素と受入部との間の結合は、ねじ山の付いた結合である。第3の実施例の受入部のパーツであって、第1および第2の実施例と同様のものは同じ参照符号が付けられており、その説明は繰返されない。圧力要素8′″が第2の実施例の圧力要素と異なるのは、突出部83′の代わりに、細いねじ山がある部分830が、実質的に円筒形の部分81の下端部に設けられていることである。部分830の軸方向高さは、実質的に円筒形の部分81の高さと比べて小さい。ねじはたとえば細目
ねじ、または他のねじであり得る。
【0039】
受入部5′″は、第1および第2の実施例の骨固定装置のボア9のより小さい径を有する部分9cの代わりに、ボア9の対応するねじ切りされた部分930を有し、圧力要素のねじ切りされた部分830と協働する。
【0040】
圧力要素8′″が受入部5′″に挿入され、ねじ切りされた部分830が内側ねじ山を有するねじ切りされた部分930を通って捩じ込まれれて、より大きい径の部分9bに入ると、内側ねじ山を有する部分930は、圧力要素8′″が上端部5aから脱落するのを
妨げるストッパとしての役割を果たす。第1および第2の実施例と同様に、確実に外れないようにするには、圧力要素を先に挿入し、回転させる。第3の実施例において、この回転は、内側ねじ山を有する部分930を通して圧力要素を捩じ込むことによって実現される。
【0041】
骨固定装置のさらなる変形も考えられる。たとえば、第1および第2の実施例に記載されているような突出部を有する圧力要素の代わりに、受入部が圧力要素に設けられる対応する凹所と係合する突出部を有することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 固定要素
8 圧力要素
81 実質的に円筒な部分
83 突出部
85 第2の部分
5a 上端部
5 受入部
11 チャネル
5b 底端部
10 開口
7 固着要素
6 ロッド