特許第6227596号(P6227596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227596レーザ光学系とこれを備えた車両用ランプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227596
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】レーザ光学系とこれを備えた車両用ランプ
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20171030BHJP
   F21V 9/10 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   F21S8/10 350
   F21V9/10 100
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-123660(P2015-123660)
(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公開番号】特開2016-40765(P2016-40765A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2015年6月19日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0104632
(32)【優先日】2014年8月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513013942
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】クァク ナム ヒョク
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−139659(JP,A)
【文献】 特開平06−176705(JP,A)
【文献】 特開2014−032934(JP,A)
【文献】 特開2007−149456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21V 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光学系であって、
レーザダイオード、
前記レーザダイオードから放出する光の色を変更させる蛍光体、
前記レーザダイオードと前記蛍光体の間に位置し、前記レーザダイオードから放出する光を前記蛍光体に直進させるレンズ、および
前記蛍光体に連結する駆動部
を備え、
前記駆動部は、前記蛍光体を収容するフレームと、前記フレームと前記蛍光体を連結する少なくとも一つの弾性体とを備え、
前記レーザ光学系は車両に搭載され、前記蛍光体は前記車両の動きによって振動が発生し、
前記レーザ光学系は、ハイビーム用レーザモジュールであり、前記レーザダイオードから放出する光を直径100μm以下まで集光させて蛍光体に照射することを特徴とする、
レーザ光学系。
【請求項2】
前記蛍光体は、前記レンズを透過する光の面積よりも大きく形成されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ光学系。
【請求項3】
前記弾性体は、複数であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ光学系。
【請求項4】
前記弾性体は、スプリングで形成されることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ光学系。
【請求項5】
前記レーザダイオードと連結する放熱板をさらに備える、請求項1に記載のレーザ光学系。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ光学系を備える、車両用ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ光学系に関し、より詳しくは、駆動が可能な蛍光体を備えたレーザ光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両は、夜間走行の際に車両周辺に位置する対象物を容易に確認するための照明機能および他の車両や道路の利用者に車両の走行状態を知らせるための信号機能を有する車両用ランプを備える。
【0003】
このようなランプで使用される光源は、バルブからLEDへ、LEDからレーザダイオード(Laser Diode)へと次第に発展している。
【0004】
このようなランプに使用される既存のLED光学系の場合は、ブルーチップ(Blue chip)の直ぐ上に蛍光体を塗布して白色光を実現していた。また、これを利用して自動車の光学系に使用するようになる。
【0005】
しかし、レーザ光学系の場合は、輝度が高くて蛍光体を破壊する恐れがあるため、LEDのような方法は使用し難い。したがって、蛍光体とレーザダイオードを離隔させるシステムを使用するようになる。
【0006】
このようなシステムを使用する自動車用レーザモジュールの場合は、蛍光体の性能が限界性能を決める主要な要素となる。耐熱的に強い蛍光体の場合は価格が高く、安価な蛍光体の場合はレーザ(Laser)モジュールの性能を十分に引き上げることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国登録実用新案第20−0425918号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、蛍光体の耐熱性能を満たすために、駆動部を利用して蛍光体を振動させてレーザモジュールの高輝度性能を確保することができるレーザ光学系とこれを利用した車両用ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい一実施形態であるレーザ光学系は、レーザダイオード、前記レーザダイオードから放出する光の色を変更させる蛍光体、前記レーザダイオードと前記蛍光体との間に位置し、前記レーザダイオードから放出する光を前記蛍光体に直進させるレンズ、および前記蛍光体に連結する駆動部を備えることができる。
【0010】
好ましくは、前記蛍光体は、前記レンズを透過する光の面積よりも大きく形成されることを特徴とすることができる。
【0011】
好ましくは、前記駆動部は、モータで形成されることを特徴とすることができる。
【0012】
好ましくは、前記駆動部は、前記蛍光体を収容するフレームと、前記フレームと前記蛍光体を連結する弾性体とで備えることができる。
【0013】
好ましくは、前記弾性体は、複数が備えられることを特徴とすることができる。
【0014】
好ましくは、前記弾性体は、スプリングで形成されることを特徴とすることができる。
【0015】
好ましくは、前記レーザダイオードと連結する放熱板をさらに備えることができる。
【0016】
また、上述した目的を達成するための本発明は、レーザ光学系を備える車両用ランプを提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によるレーザ光学系によると、LEDランプに比べて2倍の遠距離性能を実現し、高速走行の際に運転手の便宜性および走行の安全性を向上することができる効果がある。
【0018】
また、レーザヘッドランプで蛍光体が破壊することによって発生し得る安全性の問題を解決することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の好ましい実施形態によるレーザ光学系の構造を示した図である。
図2図1に示した駆動部の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態によるレーザ光学系とこれを備えた車両用ランプについて詳しく説明する。先ず、各図面の構成要素に参照符号を付与するにおいて、同じ構成要素に関しては、たとえ他の図面上に表示されていたとしても、同じ符号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、以下では本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明の技術的思想がこれに限定されたり制限されてはならず、当業者の変形によって多様に実施できることは当然である。
【0021】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるレーザ光学系の構造を示した図である。図1を参照しながら、本発明の一実施形態によるレーザ光学系の構造について説明する。
【0022】
図1を参照すると、レーザ光学系は、レーザダイオード10、レンズ20、蛍光体30、および駆動部40を備えることができる。
【0023】
レーザダイオード10は、LEDに比べて高い輝度が可能であるという長所をもつ。レーザダイオード10はLEDに比べて優れた直進性を有しており、LEDと対比して5倍以上の高い輝度を実現することが可能である。一例として、レーザダイオード10は、ブルーレーザダイオードを使用することができる。
【0024】
レンズ20は、レーザダイオード10から照射した光を前方に直進させる役割をする。一例として、レンズ20は、レーザダイオード10から出た光を再び集光させて蛍光体30に送るようになる。レンズ20は光を集光するために、入射面は平板の形態をなし、出射面は膨らんだ断面の形状をなすことができる。さらに、レンズ20は、圧縮プラスチックやガラスなどの多様な材質を使用することができる。
【0025】
蛍光体30にはレンズ20で集光した光が到達し、レーザダイオード10から出た光が白色光に変換して蛍光体30を経て出るようになる。レンズ20で集光をさらにさせるほど、蛍光体30にはさらに高い輝度の実現が可能となる。ハイビームに使用されるレーザモジュールの場合は、LEDと対比して5倍以上の高い輝度を利用し、LEDと対比して2倍以上の遠距離まで光を送ることができる。しかし、レーザダイオード10から照射した光が集光するほど、蛍光体30では劣化反応が発生するようになり、これを解決するために蛍光体30を駆動部40と連結させる。これに関しては詳しく後述する。
【0026】
駆動部40は蛍光体30と連結することができる。上述したように、レーザを集光させるときに蛍光体30では耐熱問題が発生する。これは、蛍光体30の熱伝導度が低いため周囲に熱を容易に分散させることができず、局所的に温度が上がることによって発生する問題である。ハイビーム用レーザモジュールの場合、レーザを直径100μm以下まで集光させて蛍光体30に照射するようになる。このような集光によって蛍光体30が破壊することを防ぐために、駆動部40は蛍光体30を振動させ、集光したレーザが蛍光体30の一部分のみを集光して蛍光体30が破壊しないようにすることができる。これは、レーザの集光サイズが極めて小さいため、小さい量の変位にも蛍光体30の耐熱限度を大きく上げることができる。
【0027】
駆動部40は、機械的に動作するものと、車両の動きによって自体的に動作できるものとに区分される。
【0028】
機械的に動作が可能なものの一例として、駆動部40はモータで構成することができる。駆動部40がモータで構成される場合は、蛍光体30を支持するための別途の支持部(図示せず)を追加することができる。
【0029】
レーザダイオード10の一側には、放熱板(図示せず)が連結することができる。レーザダイオード10から光が照射した場合、高い熱が発生するため、高熱の発熱温度によってレーザダイオード10を適用し難いという点があり、適切に放熱されない場合には、ランプの効率と耐久性が低下するという問題が発生する。このような問題を防ぐために放熱板(図示せず)を設置する。一例として、放熱板(図示せず)は、ヒートシンク、スラッグ、または水冷式のように多様な種類の放熱板を使用することができる。
【0030】
図2は、本発明の好ましい一実施形態であるレーザ光学系の構成要素である駆動部40の構造を示した図である。
【0031】
図2を参照すると、車両の動きによって自体的に動作する駆動部40は、フレーム42および弾性体44を備えることができる。
【0032】
フレーム42は、弾性体44を収容することができる空間を有し、ランプハウジング(図示せず)の内部の一領域に固定されることができる。一例として、フレーム42は四角の枠で形成されることができ、蛍光体30の形状に応じて多様な変形実施が可能である。
【0033】
弾性体44は、フレーム42と蛍光体30を連結することができる。一例として、弾性体44の一端はフレーム42に連結し、他端は蛍光体30と連結することができる。弾性体44は、蛍光体30の上下左右にそれぞれ連結してフレーム42に固定されることができ、それぞれが複数で備えられることができる。
【0034】
弾性体44によって連結した蛍光体30は、車両の動きによって自動的に振動が発生するようになり、レーザが蛍光体30の一部分に集中することを防ぐことができる。
【0035】
蛍光体30の大きさは、車両の動きによってレーザダイオード10から照射した光が蛍光体30の範囲を離脱しないように実験によって決めることができる。一例として、弾性体44はスプリングで備えることができ、蛍光体30の流動を支持するための多様な変形実施が可能である。
【0036】
上述したように、本発明の一実施形態によるレーザ光学系によると、LEDランプに比べて2倍の遠距離性能を実現し、高速走行の際に運転手の便宜性および走行の安全性を向上することができる効果がある。
【0037】
また、レーザヘッドランプで蛍光体が破壊することによって発生し得る安全性の問題を解決することができる効果がある。
【0038】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正、変更、および置換が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態および添付の図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施形態および添付の図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されてはならない。本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲によって解釈されなければならず、これと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0039】
10 ・・・レーザダイオード
20 ・・・レンズ
30 ・・・蛍光体
40 ・・・駆動部
42 ・・・フレーム
44 ・・・弾性体
図1
図2