特許第6227610号(P6227610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファナック株式会社の特許一覧

特許6227610放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置
<>
  • 特許6227610-放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置 図000002
  • 特許6227610-放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置 図000003
  • 特許6227610-放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置 図000004
  • 特許6227610-放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置 図000005
  • 特許6227610-放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置 図000006
  • 特許6227610-放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置 図000007
  • 特許6227610-放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置 図000008
  • 特許6227610-放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227610
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   H05K7/20 K
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-196636(P2015-196636)
(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公開番号】特開2017-69512(P2017-69512A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2016年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 樹一
(72)【発明者】
【氏名】羽生 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 友和
【審査官】 石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−270206(JP,A)
【文献】 特開2006−156569(JP,A)
【文献】 特開2008−136911(JP,A)
【文献】 特開2015−059954(JP,A)
【文献】 特開2011−216718(JP,A)
【文献】 特開2010−080849(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0272404(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/29
23/34−23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体に配置されるべき複数の放熱フィン部(11a)を有する放熱構造体(11)と、
各前記放熱フィン部(11a)間の隙間を流れる風を発生させる冷却ファン(12)と、
前記隙間に設置されていて前記放熱フィン部(11a)と電気的に絶縁された電極部(13)と、
前記放熱構造体(11)と前記電極部(13)との間に電圧を印加する電源部(14)と、
前記放熱構造体(11)と前記電極部(13)との間に印加されている電圧値を検出する電圧検出部(16)と、
少なくとも前記電源部(14)と前記電極部(13)と前記放熱構造体(11)とを順次電気的に接続してなる回路を流れる電流値を検出する電流検出部(17)と、
前記電圧検出部(16)及び前記電流検出部(17)の検出結果に基づいて前記放熱構造体(11)と前記電極部(13)との間の絶縁抵抗の値を算出する絶縁抵抗検出部(18)と、
前記絶縁抵抗検出部(18)により算出された絶縁抵抗値を所定の閾値と比較する比較部(19)と、
を備えた冷却装置(10)であって、
前記比較部(19)において前記絶縁抵抗検出部(18)により算出された絶縁抵抗値と前記所定の閾値とを比較した結果、前記算出された絶縁抵抗値が前記所定の閾値よりも低い場合には、前記放熱フィン部(11a)に目詰まりが発生したと判定するようにした、冷却装置。
【請求項2】
前記所定の閾値を設定する設定部(20)をさらに備え、前記設定部(20)に設定された前記所定の閾値を書換えられるようにした、請求項1に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ファンと放熱フィンとを備えた冷却装置であって、放熱フィンの目詰まりを検知する機能を有する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の放熱フィンを一定間隔で発熱体に順次配置し、放熱フィン間の隙間を流れる風を冷却ファンにより発生させて発熱体を冷却する冷却装置が従前より知られている。このような従来の冷却装置においては、温度センサにより発熱体の温度を監視し、発熱体の温度が所定値を超えた場合に放熱フィンに目詰まりが発生したと判定する機能を備えるものがある。
【0003】
この種の目詰まり判定機能を備えた冷却装置は特許文献1および特許文献2などに開示されている。
【0004】
図4は、特許文献1に開示された従来の冷却装置(以下、従来例1の冷却装置と呼ぶ。)を模式的に示した図である。
【0005】
従来例1の冷却装置においては、図4に示されるように、防塵フィルタ101と発熱体102と冷却ファン103とが、冷却ファン103により発生される風の流れ方向Aに沿って順次配置されている。そして、防塵フィルタ101に対して風の流れ方向Aの上流側に第一温度センサ104が設置され、防塵フィルタ101に対して風の流れ方向Aの下流側に第二温度センサ105が設置されている。
【0006】
図5A図5Cは、それぞれ、前述した第一温度センサ104と第二温度センサ105の各々から検出される温度の経時変化を示した図である。さらに、図5A図5Cの各々において、符号Bが付された曲線が第一温度センサ104の検出温度の経時変化を示しており、符号Cが付された曲線が第二温度センサ105の検出温度の経時変化を示している。特に、図5Aは、防塵フィルタ101に目詰まりが発生していない場合の各温度センサ104、105の検出温度の経時変化を示し、図5Bは、防塵フィルタ101に目詰まりが発生している場合の各温度センサ104、105の検出温度の経時変化を示している。
【0007】
防塵フィルタ101に目詰まりが発生していない場合には、図5Aに示されるように、第一温度センサ104と第二温度センサ105の各々の検出温度はともに、予め定められた温度閾値Sを超えない。しかし、防塵フィルタ101に目詰まりが発生した場合には、図5Bに示されるように、第二温度センサ105の検出温度は、前述の温度閾値Sを超えるようになる。このことにより、従来例1の冷却装置は、第二温度センサ105の検出温度が前述の温度閾値Sを超えた時に防塵フィルタ101に目詰まりが発生したと判定するようにしている。
【0008】
また、図6は、特許文献2に開示された従来の冷却装置(以下、従来例2の冷却装置と呼ぶ。)を模式的に示した図である。但し、図6においては、前述の従来例1の冷却装置と同じ構成要素には同一の符号が付されている。
【0009】
図6に示されるように、従来例2の冷却装置においても、防塵フィルタ101と発熱体102と冷却ファン103とが、冷却ファン103により発生される風の流れ方向Aに沿って順次配置されている。そして、図6に示されるように、発熱体102の周辺温度を検出する温度センサ106が発熱体102の近傍に設置されている。
【0010】
さらに、従来例2の冷却装置は、図6に示されるように、温度検出部107とファン回転数制御部108と目詰まり判定部109とを具備する。
【0011】
そして、温度検出部107は、温度センサ106の検出温度の経時変化を監視する。ファン回転数制御部108は、温度センサ106により検出された発熱体102の周辺温度に応じて冷却ファン103の回転数を増加しつつ、冷却ファン103の回転数を監視する。目詰まり判定部109は、監視された冷却ファン103の回転数が基準値を超えた場合に防塵フィルタ101に目詰まりが発生したと判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2014−165421号公報
【特許文献2】特開2014−098523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前述した従来例1の冷却装置においては、防塵フィルタ101の目詰まりが発生していなくても発熱体102の負荷が増加して発熱体102が発熱した場合には、図5Cに示されるように、第二温度センサ105の検出温度が所定の温度閾値Sを超えてしまうことがある。この場合、防塵フィルタ101に目詰まりが発生したと誤って判定されてしまう。そのため、前述した従来例1の冷却装置においては、防塵フィルタ101の目詰まりを正確に検出することができないという問題点がある。
【0014】
この問題点は、前述した従来例2の冷却装置にも起りうる。すなわち、前述した従来例2の冷却装置においては、防塵フィルタ101に目詰まりが発生していなくても発熱体102の負荷が増加して発熱体102が発熱した場合には、発熱体102の周辺温度に応じて冷却ファン103の回転数が基準値を超えてしまうことがある。この場合、防塵フィルタ101に目詰まりが発生したと誤って判定されてしまう。そのため、前述した従来例2の冷却装置においても、防塵フィルタ101の目詰まりを正確に検出することができないという問題点がある。
【0015】
また、冷却性能に応じて冷却装置の熱時定数が大きくなるほど単位時間当たりの温度変化は小さくなる。したがって、上述した従来例1や従来例2の冷却装置においては、発熱体102の温度を長時間に亘って監視しなければフィルタ101の目詰まりを正確に検出できない場合がある。
【0016】
そこで本発明は、上述したような問題点に鑑み、発熱体の温度を監視することなく、正確にかつ短時間に目詰まりを検出できる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第一態様によれば、発熱体に配置されるべき複数の放熱フィン部を有する放熱構造体と、各放熱フィン部間の隙間を流れる風を発生させる冷却ファンと、その隙間に設置されていて放熱フィン部と電気的に絶縁された電極部と、放熱構造体と電極部との間に電圧を印加する電源部と、放熱構造体と電極部との間に印加されている電圧値を検出する電圧検出部と、少なくとも電源部と電極部と放熱構造体とを順次電気的に接続してなる回路を流れる電流値を検出する電流検出部と、電圧検出部及び電流検出部の検出結果に基づいて放熱構造体と電極部との間の絶縁抵抗の値を算出する絶縁抵抗検出部と、絶縁抵抗検出部により算出された絶縁抵抗値を所定の閾値と比較する比較部と、を備えた冷却装置であって、
比較部において絶縁抵抗検出部により算出された絶縁抵抗値と前記所定の閾値とを比較した結果、算出された絶縁抵抗値が前記所定の閾値よりも低い場合には、放熱フィン部に目詰まりが発生したと判定するようにした、冷却装置が提供される。
【0018】
本発明の第二態様によれば、上記の第一態様の冷却装置であって、前記所定の閾値を設定する設定部をさらに備え、設定部に設定された前記所定の閾値を書換えられるようにした、冷却装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発熱体や放熱構造体の温度に基づいて目詰まりの発生を判定するのではなく、放熱構造体と電極部との間の絶縁抵抗の低下によって目詰まりの発生を判定するので、目詰まりの検出が正確にかつ短時間に行える。つまり、本発明によれば、前述した従来例1や従来例2の冷却装置のように、目詰まりが発生していなくても発熱体の負荷が増加して発熱体が発熱した場合に目詰まりが発生したと誤って判定してしまうといった問題は生じない。また、放熱構造体の熱時定数を考慮して放熱構造体の温度を長時間に亘って監視する必要も無い。
【0020】
添付図面に示される本発明の典型的な実施形態の詳細な説明から、本発明のこれらの目的、特徴および利点ならびに他の目的、特徴および利点がさらに明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態の冷却装置の構成を示したブロック図である。
図2図1に示された電極部を拡大して示した斜視図であって、目詰まりを検出する状況を説明する図である。
図3図1に示された電極部を拡大して示した斜視図であって、電極部の形状的特徴を説明する図である。
図4】特許文献1に開示された従来の冷却装置を模式的に示した図である。
図5A】防塵フィルタに目詰まりが発生していない場合における温度センサの検出温度の経時変化を示した図である。
図5B】防塵フィルタに目詰まりが発生している場合における温度センサの検出温度の経時変化を示した図である。
図5C】防塵フィルタに目詰まりが発生していなくても発熱体の負荷が増加して発熱体が発熱した場合における温度センサの検出温度の経時変化を示した図である。
図6】特許文献2に開示された従来の冷却装置を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面において、同じ部材には同じ参照符号が付けられている。そして、異なる図面において同じ参照符号が付されたものは同じ機能を有する構成要素であることを意味するものとする。また、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態の冷却装置の構成を示したブロック図である。
図1に示されるように、本実施形態の冷却装置10は、発熱体(図示せず)上に配置されるべき複数の放熱フィン部11aを有する放熱構造体11と、各放熱フィン部11a間の隙間を流れる風を発生させる冷却ファン12とを備える。冷却ファン12は例えばファンモータである。
【0024】
本実施形態の冷却装置10においては、冷却ファン12を作動することにより、図1に示される矢印Dの方向の風が各放熱フィン部11a間の隙間を流れる。それにより、発熱体(図示せず)の熱が各放熱フィン部11aに伝達されつつ、各放熱フィン部11aが風により冷却されるようにしている。
【0025】
さらに、図1に示されるように、冷却装置10は、隣接する放熱フィン部11a間の隙間に設置されていて各放熱フィン部11aと電気的に絶縁された電極部13と、放熱構造体11と電極部13との間に電圧を印加する電源部14とを備える。
【0026】
さらに、冷却装置10は、前述の電源部14による電圧印加をオンオフ制御するスイッチ部15と、放熱構造体11と電極部13との間に印加されている電圧の値を検出する電圧検出部16と、電源部14とスイッチ部15と電極部13と放熱構造体11とを順次電気的に接続してなる回路を流れる電流の値を検出する電流検出部17と、を備える。
【0027】
さらに、冷却装置10は、電圧検出部16及び電流検出部17の検出結果に基づいて放熱構造体11と電極部13との間の絶縁抵抗の値を算出する絶縁抵抗検出部18と、絶縁抵抗検出部18により算出された絶縁抵抗値を所定の閾値と比較する比較部19と、当該所定の閾値を設定する設定部20と、を備える。
【0028】
そして、比較部19において、絶縁抵抗検出部18により算出された絶縁抵抗値と所定の閾値とを比較した結果、算出された絶縁抵抗値が所定の閾値よりも低い場合には、比較部19は、放熱フィン部11aに目詰まりが発生したと判定するようにしている。
【0029】
なお、前述した設定部20において、所定の閾値としての絶縁抵抗値が書換えられることが好ましい。
【0030】
図2は、図1に示された電極部13を拡大して示した斜視図であって、目詰まりを検出する状況を説明する図である。図3は、図1に示された電極部13を拡大して示した斜視図であって、電極部13の形状的特徴を説明する図である。
【0031】
前述した電極部13は、図2に示されるように、球状の電極21と、放熱構造体11に対して電極21を支持する支持部材22とを備える。具体的には、支持部材22は放熱構造体11の水平面11bから突出するように延びている。そして、電極21が放熱フィン部11aから離れて空中に位置するように、電極21は支持部材22の先端部に支持されている。
【0032】
さらに、前述の電極21は、支持部材22を介して電源部14の高圧側(図1参照)と電気的に接続される。また、放熱フィン部11aを有する放熱構造体11は、電源部14の接地側(図1参照)と電気的に接続される。さらに、放熱構造体11と支持部材22とはそれぞれ導電性を有するものの、支持部材22の表面は絶縁材24によって覆われている。それにより、電極21と放熱構造体11との間にのみ電圧が印加されるようにしている。
【0033】
図1および図2によれば、スイッチ部15をオン状態にすると、電極部13の電極21と、放熱フィン部11aを有する放熱構造体11との間に電源部14より電圧が印加される。それから、絶縁抵抗検出部18は、電圧検出部16により検出された電圧値と、電流検出部17により検出された電流値とから、放熱構造体11と電極21との間の絶縁抵抗(=電圧値/電流値)を計算する。このとき、放熱フィン部11a間の隙間が目詰まりを起こしていない場合には、放熱構造体11と電極21との間隙には何も介在しないので、放熱構造体11と電極21との間の絶縁抵抗は非常に高い値、例えば数100MΩ になる。
【0034】
ところが、図2に示されるように放熱構造体11と電極21との間隙に空気中の粉塵や金属くず、切削液、水、などといった不純物23が入りこむと、放熱構造体11と電極21との間の絶縁抵抗の値は例えば数kΩに低下する。
【0035】
以上の事から、本実施形態の冷却装置10においては、放熱構造体11と電極21との間の絶縁抵抗の値が所定の閾値より低くなった場合には、放熱フィン部11a間の隙間に目詰まりが発生したと判定するようにしている。
【0036】
このような目詰まりの判定方法は、発熱体や放熱構造体11の温度に基づいて目詰まりの発生を判定する方法ではないので、目詰まりの検出が正確にかつ短時間に行える。つまり、本実施形態によれば、前述した従来例1や従来例2の冷却装置のように、目詰まりが発生していなくても発熱体の負荷が増加して発熱体が発熱した場合に目詰まりが発生したと誤って判定してしまうといった問題は生じない。また、放熱構造体11の熱時定数を考慮して放熱構造体11の温度を長時間に亘って監視する必要も無い。
【0037】
なお、本実施形態においては、図3に示されるように切削液や水などの液体25が放熱構造体11の水平面11bに付着しただけで目詰まりが発生していない場合がある。この場合に液体25の存在によって放熱構造体11と電極21との間の絶縁抵抗の値が所定の閾値より低くなると、目詰まりが発生したと誤判定してしまう。これを防止するため、図2および図3に示されるように、放熱構造体11の水平面11bから突出した支持部材22によって電極21を空中に配置し、支持部材22の表面を絶縁材24により覆うようにしている。
【0038】
さらに、前述のような誤判定をより確実に防止するため、前述の絶縁材24を支持部材22の表面だけでなく、図2図3に示されるように放熱構造体11の水平面11bにおける支持部材22の周辺部にも広く覆うことが好ましい。
【0039】
また、上述した実施形態においては、放熱構造体11は導電性を有する材料からなるものとしている。しかし、放熱構造体11が導電性を有さない材料から作られていてもよい。この場合は、放熱構造体11の表面に追加電極を設け、この追加電極と前述の電極21との間の絶縁抵抗を検出することが好ましい。
【0040】
また、図1に示された実施形態においては、一つの電極部13のみが放熱フィン部11a間の隙間に設置されている。しかし、本発明においては、電極部13の数は一つに限定されず、二つ以上の電極部13が備えられていてもよい。例えば、放熱構造体11において目詰まりを引起こしやすい箇所の近傍に複数の電極部13が集中的に配置されていてもよい。また、電極部13の電極21の形状はどのようなものでもよく、例えば、板状や棒状のような形状でもよい。
【0041】
また、放熱構造体11と電極部13との間の絶縁抵抗の低下を判定するのに用いられる所定の閾値については、複数の閾値が設けられていることが好ましい。例えば、前述の所定の閾値として第一閾値とこれよりも低い第二閾値とを設定部20に記憶させておく。そして、絶縁抵抗検出部18により検出された絶縁抵抗値が第一閾値より低下した場合に警告(ワーニング)を発生させ、さらに絶縁抵抗値が第二閾値より低下した場合に警報(アラーム)を発生させることが好ましい。
【0042】
さらに、放熱構造体11と電極部13との間に印加する電源部14の電圧としては、冷却装置10を搭載する機器の電源装置に使用されているインバータシステムもしくはコンバータシステム内に在るDCリンク部の電圧を利用してもよい。この場合、放熱構造体11と電極部13との間の絶縁抵抗を検出する動作がインバータやコンバータの制御に影響しないように、インバータシステムもしくはコンバータシステムが休止している期間中に絶縁抵抗の検出動作を実行するのが好ましい。
【0043】
また、複数の冷却装置10が機器に搭載されている場合には、各々の冷却装置10の絶縁抵抗検出部18により検出された絶縁抵抗値を、通信手段を用いて数値制御装置やタブレット端末へ転送または通知することが好ましい。これにより、どの冷却装置10が放熱フィン部11aの目詰まりを起こしていて放熱構造体11の清掃もしくは交換が必要であるかが容易に分かるようになる。その結果、冷却装置10の保守によるダウンタイムを削減することができる。
【0044】
以上では典型的な実施形態を用いて本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなしに、上述の実施形態の形状、構造や材料などに変更および種々の他の変更、省略、追加を行うことができるのを理解できるであろう。
【符号の説明】
【0045】
10 冷却装置
11 放熱構造体
11a 放熱フィン部
11b 水平面
12 冷却ファン
13 電極部
14 電源部
15 スイッチ部
16 電圧検出部
17 電流検出部
18 絶縁抵抗検出部
19 比較部
20 設定部
21 電極
22 支持部材
23 不純物
24 絶縁材
25 液体
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6