特許第6227635号(P6227635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227635重水素化ベンゾピラン類化合物及びその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227635
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】重水素化ベンゾピラン類化合物及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/58 20060101AFI20171030BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20171030BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20171030BHJP
   C07B 59/00 20060101ALN20171030BHJP
【FI】
   C07D311/58CSP
   A61K31/352
   A61P35/00
   A61P29/00
   A61P19/02
   A61P37/02
   A61P17/06
   A61P17/08
   A61P17/04
   A61P1/04
   A61P25/06
   A61P9/00
   A61P5/00
   A61P7/06
   A61P3/10
   A61P21/00
   A61P25/00
   A61P27/02
   A61P37/08
   A61P31/12
   A61P11/00
   A61P9/10
   A61P25/18
   A61P11/02
   A61P37/00
   A61P1/16
   A61P15/00
   A61P1/02
   A61P25/28
   A61P9/10 101
   A61P7/02
   A61P43/00 105
   A61P1/18
   A61P13/08
   A61P17/00
   A61P35/02
   A61P43/00 123
   A61P43/00 111
   !C07B59/00
【請求項の数】5
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2015-516409(P2015-516409)
(86)(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公表番号】特表2015-519378(P2015-519378A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】CN2012079968
(87)【国際公開番号】WO2013189121
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2015年7月21日
(31)【優先権主張番号】201210202059.X
(32)【優先日】2012年6月18日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514321264
【氏名又は名称】中国科学院広州生物医薬与健康研究院
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU INSTITUTES OF BIOMEDICINE AND HEALTH,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】張艶梅
(72)【発明者】
【氏名】泰勒約翰 ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】欧布庫馬克 ジー.
(72)【発明者】
【氏名】塗正超
(72)【発明者】
【氏名】托特雷拉米▲ち▼
(72)【発明者】
【氏名】王貽燦
(72)【発明者】
【氏名】劉健斉
(72)【発明者】
【氏名】陳彦
(72)【発明者】
【氏名】劉小蓉
(72)【発明者】
【氏名】陸▲しん▼
【審査官】 安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−511062(JP,A)
【文献】 特表2002−527512(JP,A)
【文献】 特表2006−522098(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0129366(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/056741(WO,A1)
【文献】 国際公開第03/089013(WO,A1)
【文献】 Foster, Allan B.,Deuterium isotope effects in the metabolism of drugs and xenobiotics: Implications for drug design,Advances in Drug Research,英国,ACADEMIC PRESS,1985年 1月 1日,vol.14,pp.1-40
【文献】 N. A. Meanwell,Synopsis of some recent tactical application of Bioisosteres in drug design,Journal of Medicinal Chemistry,2011年,54(8),2529-2591
【文献】 Schneider, Frank et al,Enhanced plasma concentration by selective deuteration of rofecoxib in rats,Arzneimittel Forschung ,2006年,56(4),295-300
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D,A61K
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重水素化ベンゾピラン類化合物、またはその薬学的に許容できる塩であって、
ここにおいて、前記化合物が、
6-クロロ-5,7-重水素化ジメチル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸;
6-ブロモ-5,7-重水素化ジメチル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸;
6-クロロ-8-重水素化メチル基-2-トリフルオロメチル基-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸;及び
6-ブロモ-8-重水素化メチル基-2-トリフルオロメチル基-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸;
からなる群より選択される、
前記重水素化ベンゾピラン類化合物、またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
前記化合物が、6-ブロモ-8-重水素化メチル基-2-トリフルオロメチル基-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸、である、請求項1に記載の重水素化ベンゾピラン類化合物、またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項3】
請求項1または2記載の重水素化ベンゾピラン類化合物またはその薬学的に許容できる塩、並びに薬学的に許容できるキャリアを含む、薬物組成物であって、消炎薬若しくは鎮痛薬としての、または腫瘍を予防・治療するための、前記薬物組成物。
【請求項4】
請求項1または2記載の重水素化ベンゾピラン類化合物またはその薬学的に許容できる塩、並びに薬学的に許容できるキャリアを含む、薬物組成物であって、リューマチ性関節炎、痛風性関節炎、骨関節炎および脊椎炎を含む炎症、あるいは、全身性エリテマトーデス、乾癬、湿疹、皮下炎と産後の炎症、腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、片頭痛と頭痛、動脈週囲炎、甲状腺炎、再生障害性貧血、ホジキン病、リウマチ熱、I型糖尿病、神経筋肉官能症、網膜炎、結膜炎、網膜症、目の色素層炎、昼盲症、目組織の急性損傷、ウイルス感染症または嚢胞性線維化肺炎、脳卒中、虚血、トラウマ、アレルギー性鼻炎、呼吸促迫症候群、エンドトキシンショック症候群、肝臓の病気、産後の痛み、歯痛、筋肉痛、癌の痛み、老年痴呆症、多元性痴呆症、非老年痴呆症、アルコール痴呆症、老化痴呆症の血管疾患、冠状動脈心臓病、動脈瘤、粥状動脈硬化、動脈硬化症、心筋梗塞、塞栓、脳卒中、血栓症、狭心症、冠状動脈斑状の炎症、細菌による炎症、ウイルスによる炎症、手術による炎症、目の血管増殖症、網膜の血管増殖症、または胃潰瘍、を予防・治療するための、前記薬物組成物。
【請求項5】
請求項1または2記載の重水素化ベンゾピラン類化合物またはその薬学的に許容できる塩、並びに薬学的に許容できるキャリアを含む、薬物組成物であって、血管腫、子宮内膜転位症、胃腸の間質腫、組織細胞性リンパ癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、肝癌、皮膚癌、上皮細胞癌、前立腺癌、鼻咽癌及び白血病からなる群から選択される腫瘍、を予防・治療するための、前記薬物組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学・医薬分野に関して、特に重水素化ベンゾピラン類化合物及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、人間のよく見られる疾患で、人間の健康に深刻な影響を与え、さらに人間の生活の質に非常に悪い影響をを与える場合がある。最もよく見られる慢性疾患である関節炎を例にすると、100種類以上が存在し、その中でも骨関節炎と関節リウマチの割合が一番高い。全世界に約3.55億人の関節炎患者を有し、約1.9億人の骨関節炎患者及び1650万人以上の関節リウマチ患者が存在するともいわれる。中国における関節炎患者はおよそ一億人以上で、また毎年増加し続けている。COX−2阻害剤である消炎鎮痛薬が登場しても、日々増している病人のニーズを満足できない。従って、消炎鎮痛薬の開発は依然として大切なものと思われる。
【0003】
従来の非ステロイド抗炎症薬(従来のNSAIDsまたは非選択性NSAIDs)は、ibuprofen、meloxicam、diclofenac、nabumetone、naproxenなどを含み、関節炎の治療に用いる主な消炎鎮痛薬と認められる。これらの薬品は、「両刃の剣」のように消炎鎮痛の役割を果たしながら、各種の深刻な消化不良症状及び合併症、例えば上腹部不快感、潰瘍、消化管出血、穿孔及び腸閉塞などを引き起こす。前述した深刻な消化管合併症において60%−80%の症状が生じた際に前兆がないため、前述した薬の鎮痛効果により潰瘍の進展が隠されてしまい、慢性出血があっても感じられないと推測されている。
もし本当にこうなれば、病状が知らず知らずのうちに重くなり、常に出血を招いて予防することも難しくなる。非常に悲しい事実は、1997年にアメリカで従来の非ステロイド抗炎症薬により胃腸出血を引き起こした人数は約16500人、AIDSの死者とほぼ同じであり、社会と家庭に関わる医療費の負担が著しく増える。そこで、十分に消炎鎮痛の役割を果たしながら、深刻な有害反応を減少できる消炎鎮痛薬の開発は、全世界の医学業界の共同テーマとして重要視される。
【0004】
非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の沿革は人間が痛みと戦う抗争の歴史ともいう。具体的には1899年に、ドイツ・バイエル社がサリチル酸をアセチル化してアスピリンという新薬が得られた。アスピリンはNSAIDの原型として抗炎症治療の時代を開き、半世紀にわたって抗炎症治療の分野で主な薬品として活躍していた。1950年代に登場したピラゾロン類医薬品(例えばphenylbutazone)は、強い抗炎症・鎮痛作用を示すが、骨髄及びそのほかの人体組織に毒性が高い。1960年代に登場したインドール酢酸類医薬品は、強い抗炎症・鎮痛・解熱作用を示すが、消炎に伴う痛みによって胃腸、肝臓、腎臓の深刻な有害反応を引き起こし、お年寄りと肝臓・腎臓・心血管合併症の患者には適用しないことを加えて、1980年代に登場したsulindac、mepemに代わられる。1970年代に登場したのはプロピオン酸類医薬品(例えばibuprofen)。ベンゼン酢酸類医薬品(例えばDiclofenac Sodium)。ピロキシカム類医薬品(例えばfeldene)。アントラニル酸類医薬品(例えばetofenamate)などである。1980年代に登場したのはnaproxenなどである。1990年代にシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)選択的阻害剤が開発された。非ステロイド抗炎症薬は、選択的にCOX-1とCOX-2の酵素活性を阻害することが可能で、鎮痛・抗炎症剤の主流となっている。
【0005】
シクロオキシゲナーゼ(COXs)は非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の主な標的である。COXsはプロスタグランジン(PGs)とトロンボキサン(TXA2)などの生物活性媒質の中間体−エンドペルオキシド(PGG2及びPGH2)−を触媒・合成する機能を備える。近年以来、COXsに属する二つの異性体(すなわちCOX-1及びCOX-2)が発見されている。該二つの異性体は、構造において60%の相同性があっても、組織細胞の配列及び生物機能が異なる。正常組織の中に位置するCOX-1によって触媒・合成されたPGE2とPGI2は、細胞を安定化・保護する機能を示している。例えば胃の粘膜の中で、PGE2は胃液の分泌を促進し、胃の粘膜を保護する機能を示している。なおPGE2の生物合成機能が阻害され、または胃液の分泌が不足する場合は、胃粘膜の損傷を招くことがある。それと比べてCOX-2は、ただ損傷された組織の中に存在し、細胞因子誘導性を備える物質である。COX-2によって触媒・合成されたプロスタグランジンは、強い炎症・痛みを引き起こす炎症性の成分である。もし選択的にCOX-2を阻害すれば、炎症性のプロスタグランジンが低下し、その抗炎症・鎮痛作用を発揮することが可能になる。上述したように、選択的にCOX-2を阻害すると、抗炎症・鎮痛の目的を達成しながら、胃腸と腎臓に対する毒性・副作用を低下させることができる。従って、COX-2選択的阻害剤を図ることは、新生代NSAIDの開発における主要な方向と認められる。COX-2に関する基礎研究、選択的阻害剤の臨床応用及びその安全性評価は各学問分野の共同テーマとなっている。
【0006】
シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase,COX)蛋白質はかつて単一遺伝子によって生成され、三つの独立・折りたたみ構造から構成されるものと認められた。すなわち上皮成長因子のドメイン構造、膜結合ドメイン構造、酵素活性のドメイン構造である。1990年にCOXに属する二つ目の同族酵素(COX-2)は各種の細胞体内から発見され、その構造と機能は「典型的な」COX(典型的な酵素は構造酵素としてCOX-1と呼ばれる)と異なっていた。そして、二つ目の酵素は誘導酵素としてCOX-2と呼ばれる。COX-2の蛋白質は604個のアミノ酸から構成される。既知のCOX結晶構造によって、COX-2の再配列を通じてCOX-2とCOX-1の活性部位の差異が確かめられた。COX-2に属する523位のアミノ酸はバリンとして、COX-1の相当部位に位置するイソロイシンと比べて小さい構造を有する。それ以外に、もう一つの異なる構造があり、COX-2の活性部位には、COX-1とCOX-2の間でのロイシン側鎖384の違う部位で生成した小さいくぼみが付ついている。その原因は、COX-2の内部に非ステロイド抗炎症薬と結合するメジャーな結合点があり、メジャーな分子基質の結合における親和力が向上しており、COX-2に対する特異的な阻害作用を発揮するためである。COX-2の発見は、COX-2選択的阻害剤の開発・利用のために有力な理論的根拠を提供した。
大多数の研究者は、NSAIDsの薬理作用と有害反応はCOX-1と COX-2に対する阻害程度によって決まることを認める:COX-1に対する阻害作用が強くなるほど、消化管・腎臓に対する有害反応も大きくなる。しかし、COX-2に対する阻害作用が強くなるほど、その抗炎症・鎮痛効果がもっと明らかになる。コキシブ類NSAIDs(COX-2選択的阻害剤)はこの理論を背景として登場し、典型的な薬品はセレコキシブ(celecoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)とし、胃腸の有害反応が低下することを特徴としている。COX-2選択的阻害剤はCOX-1に作用せず、且つ胃腸と腎臓を保護するPGI2の合成に影響しないことが判明しており、普通の非ステロイド抗炎症薬と比べて胃腸の副作用及び腎毒性の小さいことが認められる。慢性炎症を抑える効能について、COX-2選択的阻害剤(例えば、セレコキシブ)とNSAIDsとの差異はほとんどなく、けれども急性鎮痛における効果はibuprofenに及ばず、さらに比較的大きな心血管の副作用を引き起こす場合がある。長時間にわたる使用をすると、さらに有害反応が発症し、血小板のCOX-1及びトロンボキサンA2を抑えないCOX-2選択的阻害剤が招く心血管の有害事象を含む。
【0007】
COX-2選択的阻害剤に対する臨床研究において、以下のことが合意されている:化学構造上の違いによって、同じタイプの薬でもその安全性が違う。あるCOX−2阻害剤は心血管に潜在的な保護作用を有する。COX-2選択的阻害剤について、一番大切なことは従来的な非ステロイド抗炎症薬より多くの利点があり、特に胃腸の副作用が減少することである。従って、COX-2選択的阻害剤は依然として抗炎症・鎮痛薬物の開発分野で重要視される必要がある。
【0008】
ベンゾピラン類化合物は新型のCOX-2選択的阻害剤として、カルボン酸・ラジカルグループを付けてもCOX-2の活性部位に位する疎水性集合体と相互反応しない。ベンゾピラン類の候補薬物はビスアリール・ヘテロ環式・コキシブ類化合物から分離され、ビスアリール・ヘテロ環式・コキシブ類化合物と同じ薬効と選択性を持って、神経病理学におけるラット・ペインモデルで触覚より誘発された異常な痛みを低下させることを示した。ベンゾピラン類化合物は、抗炎症と鎮痛の分野で現在のコキシブ類化合物より優れていることを証明し、また潜在的な腎臓を保護する機能を備えており、内部構造及び薬理・生理上の性質により高血圧を引き起こす可能性を低下させる。従って、このタイプのCOX-2選択的阻害剤を消炎鎮痛薬として開発することは、特に重要な意義を有する。
【発明の概要】
【0009】
前述のように、本発明は新型の重水素化ベンゾピラン類化合物を提供することを目的としている。
具体的な技術手段は以下のように:
構造式(I)の特徴を有する重水素化ベンゾピラン類化合物、その薬学的に許容できる塩・立体異性体、またはその分子プロドラッグ:

(I)
Xは0、S、NRaのいずれかを選択する。
Raは以下のいずれかを選択する:
1)H。
2)C1-C3アルキル基。
3)C3-C6シクロアルキル基。
4) 1または2個のハロゲンで置換されたC〜C5アルキル基。
5)アリール基。
Rは以下のいずれかを選択する:
1)カルボキシ基。
2)アミド基。
3) アルキルスルホニル基。
4) アルコキシカルボニル基。
R1は以下のいずれかを選択する:
1) ハロゲン化アルキル基。
2) アルキル基。
3) アラルキル。
4)シクロアルキル基。
R2
1)重水素、
2)ハロゲン、
3)アルキル基または重水素化アルキル基、
4)アラルキル基または重水素化アラルキル基、
5)アルコキシ基または重水素化アルコキシ基、
6)アリールオキシ基または重水素化アリールオキシ基、
7)ヘテロアリールオキシ基または重水素化ヘテロアリールオキシ基、
8)アラルコキシ基または重水素化アラルコキシ基、
9)ヘテロアラルコキシ基または重水素化ヘテロアラルコキシ基、
10)ハロアルキル基または重水素ハロアルキル基、
11)ハロアルコキシ基または重水素ハロアルコキシ基、
12)アミン基または重水素化アミン基、
13)置換されたアミノ基または置換された重水素化アミノ基、
14)スルホンアミド基または重水素化スルホンアミド基、
15)置換されたスルホンアミド基または置換された重水素化スルホンアミド基、
16)カルボニル基、
17)置換されたカルボニル基、または置換された重水素化カルボニル基
からなる群より選択された一つ以上であり、重水素化化合物の構造が形成され、
R2とベンゼンが重水素化ナフチルを形成する
【0010】
ある実施例の中に、前記XはOあるいはSである。
Rはカルボキシ基、C1-C3アルキルカルボニル基、アリール基で置換されたC1-C3アルキルカルボニル基、C1-C3アルコキシカルボニル基から選択する。
R1はハロゲン化アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基から選択する。
R2は下記から選択された一つ以上のものであり、重水素化化合物を形成する:
1) 重水素。
2) ハロゲン。
3) アルキル基または重水素化アルキル基。
4) アルコキシ基または重水素化アルコキシ基。
5) ハロゲン化アルキル基または重水素化ハロゲン化アルキル基。
6) アルキルアミン基または重水素化アルキルアミン基。
7) ニトロ基。
8) アルキル化スルファミドまたは重水素化アルキル化スルファミド。
10)アシル基または重水素化アシル基。
11)アリール基または重水素化アリール基。
R2はベンゼン環と反応して重水素化ナフチル基を形成する。
【0011】
ある実施例の中に、前記XはOあるいはS。Rはカルボキシ基。R1はトリフルオロメチル基またはペンタフルオロエチル基。
前記R2は以下の一つまたはいくつかのラジカルグループを選択し、重水素化化合物を形成する:
1) 重水素。
2) ハロゲン。
3) メチル基、ヘキシル基,イソプロピル基,ターシャリーブチル基,または重水素化メチル基、重水素化ヘキシル基,重水素化イソプロピル基,重水素化ターシャリーブチル基。
4) トリフルオロメチル基,トリフルオロメトキシ基。
5) ハロゲン化アルキル基または重水素化ハロゲン化アルキル基。
6) アルキル化スルファミドまたは重水素化アルキル化スルファミド。
7) メチルスルホニル基または重水素化メチルスルホニル基。
8) アロイル基または重水素化アロイル基。
9) アリール基または重水素化アリール基。
R2はベンゼン環とと反応して重水素化ナフチル基を形成する。
【0012】
ある実施例の中に、前記XはOあるいはS。Rはカルボキシ基。R1はトリフルオロメチル基。
前記R2は以下の一つまたはいくつかのラジカルグループを選択し、重水素化化合物を形成する:
1) 重水素。
2) ハロゲン。
3) メチル基、ヘキシル基,イソプロピル基,ターシャリーブチル基,または重水素化メチル基、重水素化ヘキシル基,重水素化イソプロピル基,重水素化ターシャリーブチル基
4) トリフルオロメチル基,トリフルオロメトキシ基。
5) ハロゲン化アルキル基または重水素化ハロゲン化アルキル基。
6) アリール基または重水素化アリール基。
【0013】
ある実施例の中に,前記化合物は以下から選択する:
6-重水素化メチル基-2-トリフルオロメチル基-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
8-重水素化エチル基-6-トリフルオロメトキシ基-2-トリフルオロメチル基-2H -ベンゾピラン3-カルボン酸。
6-塩素-5,7-重水素化ジメチル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6-臭素-5,7-重水素化ジメチル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6-塩素-8-重水素化メチル基-2-トリフルオロメチル基-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6-臭素-8-重水素化メチル基-2-トリフルオロメチル基-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6,8-重水素化ジメチル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
8-塩素-6-重水素化メチル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6,8-ジブロモ-5,7-重水素化ジメチル2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
7-重水素化メチル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
7-重水素化ヘキシル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6-塩素-7-重水素化メチル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
8-重水素化(1-メチルヘキシル基)-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6-塩素-8-重水素化メチル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6-塩素-7-重水素化(1,1-ジメチルヘキシル)-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6-塩素-8-重水素化(1-メチルヘキシル基)-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
7-重水素化(1-メチルヘキシル基)-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6-塩素-7-重水素化ヘキシル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
8-重水素化ヘキシル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
7,8-二重水素化メチル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
6-塩素-8-重水素化ヘキシル基-2-(トリフルオロメチル基)-2H-ベンゾピラン3-カルボン酸。
【0014】
本発明は、前記重水素化ベンゾピラン類化合物またはその薬学的に許容できる塩・立体異性体またはその分子プロドラッグが消炎鎮痛薬または腫瘍を予防・治療する薬物の開発分野における応用を提供することをほかの目的としている。
【0015】
具体的な技術手段は以下のように:
前記重水素化ベンゾピラン類化合物またはその薬学的に許容できる塩・立体異性体またはその分子プロドラッグが消炎鎮痛薬または腫瘍を予防・治療する薬物の開発分野における応用とする。
ある実施例の中に前記炎症は、主にリューマチ性関節炎、痛風性関節炎、骨関節炎、脊椎炎、全身性エリテマトーデス、乾癬、湿疹、皮下炎と産後の炎症、腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、片頭痛と頭痛、動脈週囲炎、甲状腺炎、再生障害性貧血、ホジキン病、リウマチ熱、I型糖尿病、神経筋肉官能症、網膜炎、結膜炎、網膜症、目の色素層炎、昼盲症、目組織の急性損傷、ウイルス感染症または嚢胞性線維化肺炎、脳卒中、虚血、トラウマ、アレルギー性鼻炎、呼吸促迫症候群、エンドトキシンショック症候群、肝臓の病気、産後の痛み、歯痛、筋肉痛、癌の痛み、老年痴呆症、多元性痴呆症、非老年痴呆症、アルコール痴呆症、老化痴呆症の血管疾患、冠状動脈心臓病、動脈瘤、粥状動脈硬化、動脈硬化症、心筋梗塞、塞栓、脳卒中、血栓症、狭心症、冠状動脈斑状の炎症、細菌による炎症、ウイルスによる炎症、手術による炎症、目の血管増殖症、網膜の血管増殖症、胃潰瘍の一種を含む。
【0016】
ある実施例の中に前記腫瘍は、血管腫、子宮内膜転位症、胃腸の間質腫、組織細胞性リンパ癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、肝癌、皮膚癌、上皮細胞癌、前立腺癌、鼻咽癌、白血病の一種とする。
【0017】
本発明は、薬物組成物を提供することを他の目的としている。
具体的な技術の実施形態は次の通りである:
医薬組成物として、前記の重水素ベンゾピラン化合物又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体又はプロドラッグ分子と薬学的に許容されるキャリヤーより構成する。
本発明における化合物について、任意の変数(例えばR1、R等)が任意のコンポーネントに一回以上現れる場合、毎回現れる定義は他の時に現れる定義と独立している。同じく、このような組合せが化合物を安定させることが出来れば、置換基及び変数の組合せが許される。置換基から環系に引かれるラインは指されているキーが任意の置換できる環原子に繋がれることを表している。環系が多環式である場合、このキーが隣り合う任意の適切な炭素原子だけに繋がれることを意味する。この分野を理解するために、一般技術者は本発明の化合物の置換基及び置換パターンが提供される化学的に安定的であれば、この分野の技術と下記の提案される方法によって取得し、または容易に取得される原料で合成し、または容易に取得される市販の化合物を選ぶことが可能である。置換基自体が複数のグループで置換される場合、構造を安定させることさえできれば、これらのグループが同じ炭素原子または異なる炭素原子上にあってもよいと理解すべきである。
【0018】
本文で使われている用語"重水素"は単一の重水素原子を指し、重水素ラジカルが炭素原子又は酸素原子に附着され、重水素化合物を形成する。本発明で使われている用語"アルキル"及び"アルキレン"は特定の炭素原子の数を有する分枝鎖及び直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、"C1-C5アルキル"にある「C1-C5」の定義は、直鎖状もしくは分枝鎖で配列されている1、2、3、4又は5個の炭素原子グループを含む。例えば、「C1-C5アルキル」には具体的にメチル、エチル、N-プロピル、イソプロピル、N-ブチル、T-ブチル、イソブチル、ペンチルなどが含まれる。用語"シクロアルキル"は特定の数の炭素原子を有する単環系飽和脂肪族炭化水素基を指す。例えば、"シクロアルキル"はシクロプロピル、メチル-シクロ、2 , 2 -ジメチル-シクロブチル、2-エチル-シクロペンチル、シクロヘキシル基などを含む。
【0019】
"アルコキシ"は酸素橋によって架橋している数が決まっている炭素原子の環状又は非環状アルキル基を表す。そこで"アルコキシ"は前記のアルキル及びシクロアルキルの定義を含む。
本発明で使われている「アリール」は環の中にある7個原子にも達している任意の安定な単環式又は7個原子にも達している二環式炭素環を指し、その中でも少なくとも一つが芳香環である。このようなアリール基の実例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル及びビフェニルが挙げられる。アリール置換基が二環式であり、一方の環が非芳香族の例において、芳香環によって架橋するを理解すべく。
【0020】
本発明で使われている「ヘテロアリール」は環の中にある7個原子にも達している任意の安定な単環式又は各環に7個原子にも達している二環式炭素環を表し、その中でも少なくとも一つが芳香環であり、1〜4個のO、NとSから選ばれたテロ原子を含有する。本定義範囲内におけるヘテロアリール基はアクリジニル、カルバゾリル基、シンノリン基、キノキサリン基、ピラゾリル基、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラン基、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラン基、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンを含むが、これらに限定されない。以下のヘテロアリール基の定義として、"ヘテロアリール"は任意の窒素を含有するヘテロアリールのN-オキシド誘導体と理解されることもある。ヘテロアリール置換基は二環式であり、一方の環が非芳香族またはヘテロ原子を含まない例において、それぞれ芳香環またはヘテロ原子を含む環によって架橋することを理解すべきである。
本文で使われている用語"スルホンアミドは"-SO2NH2-"を指す。当分野における技術者が理解するように、本文で使われている「ハロゲン」("halo")又は"ハロゲン"は、クロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0021】
他の定義がない限り、アルキル、シクロアリール、アリール基、ヘテロアリールとヘテロシクリル置換基は置換されていない又は置換されたものとする。例えば、(C1-C6)アルキル基はOH、ハロゲン、アルコキシ、ジアルキルアミノ又はヘテロ環(例えば、モルホリニル、ピペリジニル)から選ばれた1個、2個または3個の置換基で置換されることが可能である。
本発明は式I化合物の遊離形態を含み、その薬学的に許容される塩及び立体異性体も含んでいる。本文における一部の特定の例示化合物はアミン化合物のプロトン化された塩である。用語"遊離形態"とは、非塩形態のアミン化合物を指す。その中の薬学的に許容される塩は本文で述べられている特定化合物の例示的な塩だけではなく、所有式Iの化合物の遊離形態における典型的な薬学的に許容される塩も含む。当分野で公知されている技術を利用することにより、前記化合物の特定の塩の遊離形態を分離することができる。例えば、適切なアルカリ希釈水溶液(例えば、NaOH希釈水溶液、炭酸カリウム希釈水溶液、アンモニア希釈水溶液及び炭酸水素ナトリウム希釈水溶液)によって該塩を処理し、遊離形態を再生させる。遊離形態はある物理性質(例えば、極性溶媒における溶解度)において、とそれぞれの塩形態とは若干区別あるが、発明の目的では、このような酸塩とアルカリ塩はほかの薬学的なそれぞれの遊離形態に相当する。
【0022】
従来の化学方法により、塩基性部分又は酸性部分を含む本発明の化合物から本発明における薬学的に許容される塩を合成することができる。通常、イオン交換クロマトグラフィー又は遊離塩基と化学計算量又は過剰の必須塩形態の無機又は有機塩基によって、適切な溶媒又は複数の溶媒の組み合わせに反応し、塩基性化合物の塩を調製する。同様に、適切な無機又は有機塩基と反応することにより、酸性化合物の塩を形成する。
【0023】
そこで本発明の化合物の薬学的に許容される塩はアルカリ性の本発明の化合物と無機酸又は有機酸と反応し、形成した本発明の化合物における通常の非毒性塩を含む。例えば、通常の非毒性塩は無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など)から得られた塩を含み、有機酸(酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、水サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸など)から得られた相当する塩も含む。
【0024】
本発明における化合物が酸性である場合、適切な"薬学的に許容される塩"は薬学的に許容される非毒性塩基(無機塩基及び有機塩基)によって調整した塩を指す。無機塩基から得られた塩はアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛を含む。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩が一番望ましい。薬学的に許容される有機非毒性塩から得られた塩として、前記塩基は第一級アミン、第二級及び第三級アミンの塩を含み、置換されたアミンは天然に存在する置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N , N '−ベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチル-アミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、アミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドロキソコバラミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、バリバリ土、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン第一鉄塩)を含む。
【0025】
生理条件において、化合物の脱プロトン化された酸性部分(例えば、カルボキシル)はアニオンとすることが可能であり、このような持たされている電荷が内部におけるカチオンを有するプロトン化されたまたはアルキル化された塩基性部分(例えば、四級窒素原子)とババランスオフセットされることが可能なので本発明の化合物は潜在的な内塩又は両性イオンであることを注意すべく。
本発明は式(I)の構造特徴を有するベンゾピラン化合物に関する。該類化合物は優れた抗炎症性鎮痛効果を有し、腫瘍細胞の増殖を阻害することができ、新型のCOX-2選択的阻害剤である。本願に係る化合物および薬学的に許容される塩は、消炎鎮痛及び腫瘍の治療または予防のために調製し、用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
文献で知られて又は実験手順に例示された標準的な方法を除いて、下記の実施形態に示されている反応によって本発明の化合物を調製することができる。そこで以下の説明性実施形態は説明することが目的とし、列挙される化合物又は任意の特定の置換基に限定されない。実施形態に示されている置換基の数は請求項に用いられている数と一致する必要がなく、はっきりするために、単一置換基が前記式(I)に架橋する定義において複数置換基の化合物が許される。
【0027】
実施形態
重水素化フェノールを出発原料として三つのステップによって反応し、実施形態Aに示されている式(I)の化合物を合成することができる。

【0028】
本願に設計されている化合物およびその薬学的に許容される塩は、現在適用されているまたは現在開発段階におけるほかの従来のな抗炎症薬(例えば、ステロイド、非ステロイド、iNOS阻害剤、LTB4受容体アゴニスト、LTA4加水分解酵素阻害剤など)と併用し、それらの抗炎症鎮痛剤の臨床効果を高めることができ、現在応用されているまたは開発段階における抗生物質、アルキル化薬、代謝拮抗薬、ホルモン剤、免疫薬、インターフェロン薬と他の一部の混合薬物と併用し、腫瘍を治療するか阻害する臨床的な効果を高めることもできる。
【0029】
投与方式及び用量範囲
標準的な製薬技術によれば、本発明における化合物は単独で、または医薬組成物において薬学的に許容されるアクセプタ、賦形剤または希釈剤と併用し、哺乳動物に投与することができ、人は一番望ましい。経口または皮下投与、筋肉内、腹腔内、静脈内、直腸、および局所、眼、肺、肌注、非経口で化合物を投与することができる。
【0030】
式(I)の化合物を消炎鎮痛または癌患者の治療に用いられる場合、経口用量範囲は0.1〜500 mg /日/ kg体重とする。適切な投与方式として一日当たりの単回投与または一日二回、三回、四回等の複数回投与または徐放技術にて投与することがある。多くの大型哺乳動物に対して、好ましい投与量範囲は0.1から1500 mg /日/ kg 体重であり、0.5〜100 mg /日/ kg体重が一番望ましい。平均体重が70kgの患者に対して、毎日の投与量が1〜500 mgである。特に高活性化合物の場合、成人患者の毎日投与量は0.1mg /日という低い用量でもよい。
剤形:
【0031】
このような活性成分を含有する医薬組成物は経口投与に適される形態に調整することができ、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒剤、乳剤、硬カプセル剤、または軟カプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤が挙げられる。医薬組成物の製造分野における任意の公知の方法によって経口投与と予想する組成物を調製することができ、薬学において精製および口当たりのよい製剤を提供するために、このような組成物は一つまたは複数の甘味剤、香味剤、着色剤および防腐剤から選ばれた薬剤を含有することができる。錠剤は活性成分及び非毒性の錠剤製造における薬学的に許容される賦形剤を含有する。これらの賦形剤は炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムのような不活性希釈である。造粒剤(granulating)及び微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム(sodium crosscarmellose)、コーンスターチ、又はアルギン酸のような崩壊剤である。デンプン、ゼラチン、ポリビニル-ピロリドンまたはアカシアのような結合剤である。およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクのような潤滑剤である。錠剤はコーティングされないことが可能であり、薬物の不快な味をマスクするか、胃腸管における崩壊および吸収を長引かせるため、より長期持続する薬物効果を提供するために公知技術によりコーティングしてもよい。例えば、ヒドロキシプロピル-メチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性の味覚マスキング材料を採用することが可能であり、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレートなどの時間遅延材料を使用することも可能である。錠剤剤形は0.1mg/錠剤、0.2mg/錠剤、0.25mg/錠剤、0.5mg /錠剤、1mg/錠、2mg/錠剤、5mg/錠剤、10mg/錠、25mg/錠、50mg /錠、100mg/錠剤、および250mg/錠剤が挙げられている。カプセルのような他の剤形は、同じような用を参考することができる。
【0032】
経口製剤は硬ゼラチンカプセルに調整することができ、その中の活性成分を不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンとか)に混合させる。または軟ゼラチンカプセルに調整することもでき、その中の活性成分を水溶性担体(例えば、ポリエチレングリコール又は落花生油のような油媒体、流動パラフィンまたはオリーブ油)に混合させる。
水性懸濁液は水性懸濁液の製造に適される賦形剤と混合する活性物質を含有する。このよ賦形剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムなどのような懸濁化剤である。分散剤または湿潤剤の場合、天然に存在するリン脂質(レシチンとか)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、長鎖脂肪族アルコールとアルキレンオキシドの縮合生成物「例えば、ヘプタデカエチレンオキシエタノール(heptadecaethyleneoxycetanol)」、アルキレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから得られたエステル化の縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトール―オレイン酸)、アルキレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから得られたエステル化の縮合生成物(例えば、リエチレンソルビタンモノオレエート)とすることが可能である。この水性懸濁液は一つ又は複数の防腐剤(エチルパラベンまたはヒドロキシ安息香酸プロピルエステル)、着色剤、香味剤、甘味剤(スクロース、サッカリンまたはアスパルテーム)を含有することも可能である。
【0033】
活性成分を植物油(例えば、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油)または鉱物油(例えば、流動パラフィン)に懸濁させることにより、油性懸濁液を調製することができる。この油性懸濁液は増蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含有してもよい。経口投与に適する製剤を提供するために前記の甘味剤および香味剤を添加してもよい。ブチル化ヒドロキシアニソール(butylated hydroxyanisol)またはトコフェロールのような抗酸化剤を添加することによってこれらの組成物を保存することができる。
【0034】
分散性粉剤または顆粒剤は水の添加による水性懸濁液を調製することために提供した分散剤または湿潤剤、懸濁剤及び一つ又は複数の防腐剤と混合する活性成分に適される。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、前記にかかわる例において説明した。他の賦形剤(甘味剤、香味剤および着色剤)が存在してもよい。これらの組成物はアスコルビン酸のような抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
【0035】
本発明の組成物は水中油型乳剤の形式を製造することができる。油相は植物油であって例えばオリーブ油又は落花生油で、又は鉱物油であって例えば液体パラフィン又はその混合物である。適当な乳化剤は天然に存在するリン脂質であって例えば大豆レシチン、及びエステル又は脂肪酸とヘキシタン混合物からの部分エステルであり、例えばソルビタンモノオレエート、及び前記部分エステルと酸化アルキレンの縮合産物であって例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである。この乳剤は甘味剤、調味剤、防腐剤と酸化防止剤を含むことができる。
甘味剤であって例えばグリセリン、トリメチレングリコール、ソルビット又は蔗糖を用いてシロップ剤とエルキレル剤を製造することができる。この製剤は湿潤剤、防腐剤、調味剤と着色剤及び酸化防止剤を含むことができる。
【0036】
薬用組成物は無菌注射可能な水溶液を製造することができる。許容可能なキャリアと溶剤中に水、リンガー溶液と等張塩化ナトリウム注射液を用いる。
この種類の無菌注射可能な製剤は活性成分が油相中に溶解する無菌注射可能な水中油型マイクロエマルションを製造することができる。例えば、先ず活性成分を大豆油とレシチンとの混合物中に溶解し、その後油溶液を水とグリセリンとの混合物中に入れかつ処理してマイクロエマルションを得る。
【0037】
この種類の注射可能な溶液又はマイクロエマルションは局所単回急速静脈内注射(local bolus injection)によって患者の血流中に導入されることができる。選択でき、この種類の方法で溶液又はマイクロエマルションのために化合物が一定の循環濃度を維持することに有利であり、連続静脈注射用送達装置を用いることができる。この種類の装置は一つの実施例がDeltec CADD-PLUSTM model 5400静脈注射ポンプである。
【0038】
この種類の薬用組成物は筋肉内投与又は皮下投与に用いる無菌注射可能な溶液又は油状懸濁液の形式を製造することができる。既存技術によって特許に言われる分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いてこの種類の懸濁液を製造することができる。無菌注射可能な製剤は無毒の胃腸外が許容できる希釈剤又は溶剤中に無菌注射可能な溶液又は懸濁液を製造することができ、例えば1,3-ブタンジオール中に溶液とする。また、普通に非揮発油を用いて溶剤又は懸濁媒体とする。そのために、すべての無刺激性の非揮発油を用いることができて合成したモノグリセリド又はジグリセリドを含む。また、注射可能な製剤中に脂肪酸(例えばオレイン酸)を用いる事を発見している。
式Iの化合物は直腸投与の坐薬形式で投与することができる。混合薬物と適当な無刺激性の補助材料によってこれらの組成物を製造することができ、それは常温下で固体であるが直腸温度下で液体であり又直腸中に溶解されることによって薬物を放出する。この種類の原料はカカオバター、グリコゼラチン、水素化植物油、各種分子量のポリエチレングリコール混合物とポリエチレングリコール脂肪酸エステルを含む。
【0039】
局所使用であり、式I化合物を含有するクリーム、軟膏剤、ゲル剤、溶液剤又は懸濁液等(この種類の応用の目的のために、局所応用は口腔洗浄剤と含嗽剤を含む)を用いる。
本発明の化合物は適当な鼻腔キャリアと送達装置の局所使用を介して鼻腔内形式で投与し、又は皮膚を介して本分野に普通な技術者がよく知っている皮膚用貼付剤の形式で投与する。経皮送達システムの形式で投与した後、全体の投与の実施形態に投与量は当たり前で断続的投与より連続である。本発明の化合物は坐薬による送達であって、用いた基質は例えばカカオバター、グリコゼラチン、水素化植物油、各種分子量のポリエチレングリコール混合物とポリエチレングリコール脂肪酸エステルである。
【0040】
もし人間被験者に本発明の化合物を提供すると、正常に処方箋を書く医師は各患者の年齢、体重、性別と反応、及び患者の病状の重篤性によって剤量を変えて日剤量を確定する。
薬物台車物
薬物代謝物及びプロドラッグ:
【0041】
本願に関する化合物及びその薬学的に許容され得る塩の代謝産物、及び体内に本願に関する化学物及び薬学的に許容され得る塩の構造に変わるプロドラッグも,本願の請求範囲に含まれる。
複合製剤:
【0042】
式I化合物は既存の治療又は類似の病状を改善する他の薬物と併用することができる。併用投与時、もとの投与方式&剤量を変えずに、式Iの化合物を同時に又はその後服用する。式Iの化合物は他の一種類又は数種類の薬物を同時に服用する時,一種類又は数種類を同時に含有する既存薬物と式Iの化合物の薬用組成物を優先使用する。薬物併用は重複する期間に式I化合物と他の一種類又は数種類の既存薬物を服用することを含む。式I化合物と他の一種類又は数種類の薬物は薬物併用を行う時、式I化合物又は既存薬物の剤量はそれらが単独で用いられる時の剤量より比較的少ない。
【0043】
式Iの化合物と薬物併用を行う薬物又は活性成分は以下のもの含むが、これらに制限されない:
1)従来的なステロイド性抗炎症鎮痛剤であり,例えばデキサメタゾン、スチルベストロール。
2)非ステロイド性抗炎症鎮痛剤であり,例えばジクロフェナクナトリウム、2-(3-クロロアニリノ)安息香酸、アナルギン、アミノビーフ 、アスピリン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、インドメタシン、ナプロキセン、イブプロフェン、ピロキシカム、セレコキシブ、ナブメトン、ケトプロフェン、ケトロラク酸、テトラクロフェナム酸、スリンダク、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸ソーダ、サリチル酸コリンマグネシウム、ジフルニサル、サリチル酸サリチラート。
1) LTB4アンタゴニスト,例えばCGS-25019C, ETH-615, T-0757, LY-213024, LY-210073, LY223982, LY233469, ONO-LB457, ONO-4057, ONO-LB-448,SC-53228, SC-41930, SC-50605, SC-51146, SB-209247。
2) 5-LO阻害剤,例えばA-76745, 78773, ABT761, CMI-392, E-3040, ML-3000, PF-5901, EF-40, F-1322, ML-3000, R-840。
3) iNOS阻害剤。
4) LTA4加水分解酵素阻害剤,例えばRP-64966。
5) Muアンタゴニスト。
6) Kappaアンタゴニスト。
7) neurokininsアンタゴニスト。
8) 抗生物質類抗癌剤、例えばTaiho 4181-A, Takeda TAN-868A, Fujisawa FK-973, Bristol-Myers BL-6859, KM-5539, KT-5432。
9) アルキル化抗癌剤、例えばShionogi 254-S, Sanofi CY-233, Degussa D-19-384, NCI NSC-164395, NCI NSC-342215, Proter PTT-119。
10) 代謝拮抗剤、例えばLilly DATHF, Lilly LY-188011, Lilly LY-264618, NCI NSC-127716, NCI NSC-164880, NCI NSC-39661, NCI NSC-612567。
11) ホルモン類抗癌剤。
12) 免疫類抗癌剤。
13) インターフェロン類抗癌剤。
14) 輻射防護に関する薬物、例えばAD-5,1-201, MM-159, WR-151327, FUT-187。
15) その他数種類の混合抗癌薬物、例えばBiotec AD-5, Kyorin AHC-52, Ajinomoto CDAF, Chemex CHX-100, Merz D-609。
【0044】
薬物併用は即ち式I化合物と以上薬物中に一つの薬物を併用することを含み,そのうち二つ以上の薬物と併用することも含む。
下記実施例によって本発明をさらに説明する。
実施例1
6-重水素化メチル基-2-トリフルオロメチル2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸

ステップ1. 5-重水素化メチル基-ベンズアルデヒド

4-(メチル-D3)-フェノール(0.90g, 8.1mmol)はトリフルオロ酢酸(6mL)中に溶解させ、その後溶液中にヘキサメチレンテトラミン(1.3g, 9.6mmol)をゆっくりと加え,温度を80℃に保持させて1h反応し、加熱を停止させて室温まで冷却させ、6mL水を加えて再び0.5h撹拌する。反応が終わった後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機相は塩水で洗浄し、乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物0.30g (27%)を得る。
【0045】
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 10.74 (s, 1H),9.77 (s, 1 H), 7.24 (d, 2 H), 6.80 (s, 1 H)。
ステップ2. 6-重水素化メチル基-2-トリフルオロメチル-2H-3-カルボン酸エチルエステル

ステップ1で得た産物(0.25g, 1.8mmol)、無水K2CO3 (0.25g,1.8mmol)と4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル(1.2g, 7.2mmol)はDMF(10mL)中に混合させ、85℃まで加熱させて2h反応する。反応が終わった後、室温まで冷却し、水を加え、混合液は酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機相は乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物0.39g (76%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 7.88 (s, 1H), 7.31 (s, 1 H), 7.20 (d, 1H), 6.92 (d, 1 H), 5.91(m,1H), 4.24(dd,2H),1.26(t,3H)
MS (MM-ES+APCI), m/z: 290 (M + H+)。
ステップ3 . 6-重水素化メチル基-2-トリフルオロメチル2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸

【0046】
ステップ2で得た産物(0.3g, 1.0mmol)は溶液(20mL,エチルアルコール/水=10/1)中に溶解させ、溶解中にNaOH ( 0.12g, 3.0 mmol)をゆっくりと加え、室温で徹夜で撹拌し、反応が終わった後エチルアルコールを蒸留除去し、pH=3に調整し、酢酸エチル/水を用いて抽出し、抽出した有機相は乾燥させ、減圧蒸留し、産物0.14g (54%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 7.80 (s, 1H), 7.28 (s, 1 H), 7.18 (d, 1 H), 6.91 (d, 1 H), 5.83(m, 1H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 260 (M-H+)。
実施例2
8-重水素化メチル基-6-トリフルオロメトキシ)-2-トリフルオロメチル-2H -ベンゾピラン-3-カルボン酸

ステップ1. 2-ヒドロキシ-3-ヨード-5-(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド

【0047】
2-ヒドロキシ-5-(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド(2.0g, 9.7mmol)はDMF(20mL)中に溶解し,0℃下でNIS(5.4g, 24mmol)を加え,混合物は室温下で二日間撹拌し、チオ硫酸ソーダ飽和水溶液を何回かに分けて加え、酢酸エチル/水を用いて抽出する。抽出した有機相は乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物(2.5g, 78%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 11.75(s, 1H), 9.71(s, 1H), 7.84 (s, 1 H), 7.42 (s, 1 H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 331 (M-H+)。
ステップ2. 8-ヨード-6-(トリフルオロメトキシ)-2-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸エチルエステル

【0048】
ステップ1で得た産物(2.5g, 7.5mmol)、トリエチルアミン(2mL)と4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル(5.1g, 30mmol)はDMF(100mL)中に混合させ,85℃まで加熱させて48h反応する。反応が終わった後、室温まで冷却させ、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機相は乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物2.5g (69%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.60 (s, 2H), 7.10 (s, 1 H), 5.81 (m, 1 H), 4.30(dd, 2 H),.1.33(m,3H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 481 (M- H+)。
【0049】
ステップ3. 6-(トリフルオロメトキシ)-2-(トリフルオロメチル)-8-(トリメチルシリル)エチニル-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸エチルエステル

ステップ2で得た産物(2.5g, 5.2mmol)、CuI (0.29g, 1.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.60g, 0.50mmol) とトリエチルアミン(1.2mL)を混合させてトルエン(20mL)中に加え、窒素ガスの保護下で、室温で二日間撹拌する。反応が終わった後、水を加えて酢酸エチルを用いて抽出する。抽出した有機相は乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物2.2g (94%)を得る。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 453 (M+H+)
【0050】
ステップ4. 8-重水素化アセチレン-6-(トリフルオロメトキシ)-2-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸エチルエステル

ステップ3で得た産物(2.3g, 5.0mmol)、K2CO3( 1.4, 10 mmol)はエチルアルコール(20mL)中に加え、室温で30min撹拌し、再びD2O( 20 mL)を加え、混合溶液は酢酸エチルを用いて抽出する。抽出した有機相は乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物1.5g(79%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.65 (s, 1H), 7.31 (s, 1 H), 7.09 (s, 1 H), 5.79 (m, 1 H),.4.35(dd,2H),1.27(t,3H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 382 (M+H+)。
【0051】
ステップ5. 8-cエチル-6-(トリフルオロメトキシ)-2-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸エチルエステル

密封瓶中にステップ4で得た産物(0.90g, 2.4mmol)、Pd/C (0.1g)、酢酸エチル(10mL)をそれぞれに加え、D2によって置換し、密封瓶内にD2(30Psi)をいっぱい充填させ、室温で1h反応した後、珪藻土を用いて濾過し、濾過乾燥し、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物0.9g(96%)を得る。

MS (MM-ES+APCI), m/z: 390 (M+H+)。
【0052】
ステップ6. 8-重水素化エチル-6-(トリフルオロメトキシ)-2-トリフルオロメチル)-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸

ステップ5で得た産物(0.9g, 2.3mmol)は溶液(30mL, テトラメチレンオキシド/メタノール/水=10/1/1)中に溶解し、溶液中にNaOH ( 0.9g, 24 mmol)をゆっくりと加え、室温で徹夜で撹拌し、反応が終わった後、メタノールを蒸留除去し、pH = 3に調整し、かつ酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機相は乾燥させ、減圧蒸留し、産物0.5g (62%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.79 (s, 1H), 7.08 (s, 1 H), 6.98 (s, 1 H), 5.73(m,1H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 360 (M-H+)。
実施例3
【0053】
6-クロール-5,7-重水素化ジメチル-2-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸

ステップ1. 1-メトキシ,3,5-ジメチルベンゼン

3,5-キシレノール(10g,0.082mol)、無水炭酸カリウム(34g,0.25mol)はDMF(150ml)に加え,氷浴下でヨウ化メチル(12.8g, 0.090mol)を垂らし込み、室温で徹夜で撹拌する。反応が終わった後、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機相は飽和塩水を用いて水洗し、乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物10g (90%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 6.60(s, 1H), 6.53 (s, 2 H), 3.77 (s, 3 H),2.29 (s, 6 H)。
ステップ2. 1-メトキシ-3,5-ジメチル-D6-ベンゼン

【0054】
フラスコ中にステップ1で得た産物(6.0g, 0.044mol)、カリウムターシャリーブトキシド(20g,0.18mol)、重水素化DMSO( 15mL)を加え、アルゴンガスで置換した後に120℃で3h反応する。室温まで冷却して適量な重水素水を加えて振動し、酢酸エチルを用いて抽出し、水洗し、乾燥させ、減圧蒸留する。得た液体は新たに容器に戻し、上記の後処理操作を繰り返す。産物5g(80%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 6.56(s, 1H), 6.53 (s, 1 H), 3.7(s, 3 H)。
ステップ3. 3,5-ジメチル-D6-フェノール


ステップ2で得た産物(5g,0.035mol)は無水ジクロロメタン(20mL)中に溶解し、氷浴下で三臭化ホウ素(17.6g,0.070mol)のジクロロメタン溶液(20mL)を滴加し、滴加が終わった後2h続けて撹拌する。反応が終わった後、冷水を加え、ジクロロメタンを用いて抽出し、有機相は飽和塩水を用いて水洗し、乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物4g(89%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 9.06(s, 1H), 6.40 (s, 1 H), 6.36(s, 1H)。
【0055】
ステップ4. 4-クロロ-3,5-ジメチル-D6-フェノール

ステップ3で得た産物(1.2g,9.4mmol)、SO2Cl2(1.27g,9.4mmol) はCCl4( 30mL)中に加え、5h還流した後、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物1g (65%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 9.37(s, 1H), 6.57 (s, 2 H)。
【0056】
ステップ5. 3-クロロ-6-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-D6-ベンズアルデヒド

ステップ4で得た産物(1.0g,6.2mmol)はトリフルオロ酢酸(10ml)中に溶解して80℃したで1h撹拌し、その後ヘキサメチレンテトラミン (1g,7.1mmol)をゆっくりと加え、80℃に保持させて1h反応し、加熱を停止させて室温まで冷却させ、10mL水を加えて再び0.5h撹拌し、反応が終わった後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機相は飽和塩水を用いて水洗し、乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物0.50(42%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 11.39(s, 1H), 10.36 (s, 1 H),6.86 (s, 1 H)。
【0057】
ステップ6. 6-クロロ-5,7-ジメチル-D6-2-トリフルオロメチル-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸エチルエステル

ステップ5で得た産物(0.50, 2.6mmol)、4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル(1.7g,10.1mmol)、無水炭酸カリウム(0.36g,2.6mmol)はDMF(20ml)中に溶解し、90℃下で2h撹拌し、反応が終わった後、室温まで冷却させ、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機相は乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物0.60g (67%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 7.98(s, 1H), 7.01 (s, 1 H),6.0 (m, 1 H) ,4.28 (dd, 2 H), 1.27 (t, 3 H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 342(M + H+)。
ステップ7. 6-クロロ-5,7-ジメチル-D6-2-トリフルオロメチル-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸


フラスコ中にステップ6で得た産物(0.60g,1.76mmol)、水酸化ナトリウム(704mg,17.6mmol)、エチルアルコール(20ml)、水(2ml)を順に加える。室温で徹夜で撹拌し、反応が終わった後エチルアルコールを蒸留除去し、PH=3に調整し、酢酸エチルを用いて抽出し、飽和塩水で水洗し、乾燥させ、減圧蒸留し、産物0.50g(91%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 8.09(s, 1H), 6.81 (s, 1 H),5.63 (m, 1 H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 312(M-H+)。
実施例4
【0058】
6-ブロモ-5,7-ジメチル-D6-2-トリフルオロメチル-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸

【0059】
ステップ1. 1-メトキシ-3,5-ジメチルベンゼン

3,5-ジメチルフェノール(10g,0.082mol)、無水炭酸カリウム(34g,0.25mol)はDMF(150ml)中に加え、氷浴下でヨードメタン(12.8g, 0.090mol)を加え、室温で徹夜で撹拌する、反応が終わった後、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機相は飽和塩水で水洗し、乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物10g (90%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 6.60(s, 1H), 6.53 (s, 2 H), 3.77 (s, 3 H),2.29 (s, 6 H)。
【0060】
ステップ2. 1-メトキシ-3,5-ジメチル-D6-ベンゼン

フラスコ中にステップ1で得た産物(6.0g, 0.044mol)、カリウムターシャリーブトキシド(20g,0.18mol)、重水素化DMSO( 15mL)を加え、アルゴンガスで置換した後に120℃で3h反応する。室温まで冷却して適量な重水素水を加えて振動し、酢酸エチルを用いて抽出し、水洗し、乾燥させ、減圧蒸留する。得た液体は新たに容器に戻し、上記の後処理操作を繰り返す。産物5g(80%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 6.56(s, 1H), 6.53 (s, 1 H), 3.7(s, 3 H)
【0061】
ステップ3. 4-ブロモ-3,5-ジメチル-D6-フェノール

無水条件下でフラスコ中にステップ2で得た産物(1.0g, 8.0mmol)はジクロロメタン(10ml)中に溶解し、氷浴下で三臭化ホウ素(4.0g, 16mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)を滴加し、滴加が終わった後2h続けて撹拌する。反応が終わった後、冷水を加え、ジクロロメタンを用いて抽出し、有機相は飽和塩水を用いて水洗し、乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物1.3g (80%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 9.06(s, 1H), 6.39 (s, 1 H), 6.36(s, 1H)。
【0062】
ステップ4. 3-ブロモ-6-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-D6-ベンズアルデヒド


ステップ3で得た産物(0.50g,2.4mmol)はトリフルオロ酢酸(5ml)中に溶解し、その後ヘキサメチレンテトラミン(0.41g,2.9mmol)をゆっくりと加え、80℃に保持させて1h反応し、加熱を停止させて室温まで冷却させ、10mL水を加えて再び0.5h撹拌し、反応が終わった後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機相は飽和塩水を用いて水洗し、乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物0.45g(79%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 11.9(s, 1H), 10.03 (s, 1 H), 7.77(s, 1H),7.69(s, 1H)。
【0063】
ステップ5. 6-ブロモ-5,7-ジメチル-D6-2-トリフルオロメチル-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸エチルエステル

ステップ4で得た産物(0.45g,1.9mmol)、4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル(1.3g,7.6mmol)、無水炭酸カリウム(2.6g,1.9mmol)はDMF(20ml)中に溶解し、90℃下で2h撹拌し、反応が終わった後、室温まで冷却させ、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出し、抽出した有機相は乾燥させ、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーを介して産物0.40g (55%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.88(s, 1H), 6.76 (s, 1 H), 5.7(m, 1H),4.3(dd, 2H),1.35(t, 3H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 384 (M-H+)
【0064】
ステップ6. 6-ブロモ-5,7-ジメチル-D6-2-トリフルオロメチル-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸

フラスコ中にステップ5で得た産物(0.4g,1.3mmol)、水酸化ナトリウム(0.52g,13mmol)、エチルアルコール20ml、水2mlを順に加える。室温で徹夜で撹拌し、7%塩水でPH=3に調整し、酢酸エチルを用いて抽出し、飽和塩水で水洗し、乾燥させ、減圧蒸留し、産物0.30g(84%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 8.01(s, 1H), 6.78 (s, 1 H), 5.77(m, 1H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 356 (M-H+)
【0065】
実施例5
6-クロロ-8-メチル-D3-2-トリフルオロメチル-2H-ベンゾピラン-3-カルボン酸

【0066】
ステップ1. 1-メトキシ-2-メチルベンゼン

o-クレゾール(3.0g,0.028mol)、炭酸カリウム (7.7g,0.056mol)を50ml DMFに溶かし,氷冷下流れたiodomethan(3.9g,0.028mol)、室温一晩までかき混ぜる。反応が終わった後、水をいれ、エチルアセテートを用いて抽出し、飽和塩化ナトリウムで洗い、有機的に減圧乾燥蒸しにより、 カラムクロマトグラフィーにより精製して生成物3gを得ることができる (89%収率) 。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 7.15(m, 2H), 6.92 (d, 1 H), 6.84 (m, 1 H),3.77 (s, 3 H),2.10(s,3H)。
【0067】
ステップ2. 1-メトキシ-2-メチル-D3-ベンゼン

ステップ1から取った生成物(3g, 0.024mol)とカリウム tert-ブトキシド(10.8g, 0.096mol)と重水素化DMSO( 15mL)をボトルネックフラスコにを注入し、アルゴンで置換した後、溶液中 120 ℃で3時間に反応させる。室温まで冷却し、適当的に重水素化・ウォーターを注入し揺れ、エチルアセテートを用いて抽出し、水洗い、乾燥し、減圧乾燥蒸しにより、生成物1gを取られる (33%収率)。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 7.15(m, 2H), 6.92 (d, 1 H), 6.84 (m, 1 H),3.77 (s, 3 H)。
【0068】
ステップ3. 4-クロロ-1-メトキシ-2メチルD3-ベンゼン

ステップ2から取った生成物(1.0g, 8mmol)とSO2Cl2(2.16g,16mmol) をCCl4( 30mL)に混ぜ、5時間を回流した後、減圧蒸しにて、カラムクロマトグラフィーにより精製して生成物1gを得ることができる(78%収率)。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.09(d, 2H), 6.80 (d, 1 H), 3.80(s, 3H)。
【0069】
ステップ4. 4-クロロ-2-メチルD3-フェノール


水がない場合、ボトルネックフラスコの中でステップ3から取った生成物(1.0g, 6.3mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶かし、氷冷の下で三臭化ホウ(1.6g, 12.6mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)を垂らして加え、すべてを加え終わった後、4時間攪拌し続ける。反応が終わった後,氷水を注ぎ、ジクロロメタンにて抽出し、有機相は飽和塩化ナトリウムで洗い、乾燥し、減圧蒸しにて、カラムクロマトグラフィーにより精製して生成物0.80gを得ることができる(87%収率)。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.11(s, 1H), 7.06(d, 1H), 6.70(d,1H)。
【0070】
ステップ5. 5-クロロ-2-ヒドロキシ-3-メチル-D3-ベンズアルデヒド

ステップ4から取った生成物(0.80g,5.5mmol)をトリフルオロ酢酸(5ml)に溶かし、それからゆっくりしてヘキサメチレンテトラミン(0.92g,6.6mmol)を注入し、80℃の温度を維持する上に、1時間を運転し、加熱を停止し、室温まで冷却する,10mLんの水を入れてまた0.5時間を攪拌し、反応が終わった後,飽和重曹溶液を入れ、エチルアセテートを用いて抽出し、得られた有機相は塩水で洗い、乾燥し、減圧蒸しにて、カラムクロマトグラフィーにより精製して生成物0.55gを得ることができる(87%収率)。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 11.18(s, 1H), 9.84 (s, 1 H), 7.55(d, 2H)。
【0071】
ステップ6. 6-クロロ-8-メチルD3-2-トリフルオロメチル-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸エチル

ステップ5から取った生成物(0.55, 3.2mmol)と4,4,4-Trifluorocrotonate(1.1g, 6.4mmol),炭酸カリウム (0.44g,3.2mmol)をDMF(20ml)に溶かして、90℃の下で、2hを攪拌する。反応が終わった後、室温まで冷却する。水をいれ、エチルアセテートを用いて抽出し、得られた有機相に乾燥させ、減圧蒸しにて、カラムクロマトグラフィーにより精製して生成物0.50gを得ることができる(50%収率)。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.65(s, 1H), 7.16 (s, 1 H), 7.07(s, 1H), 5.73(m, 1H), 4.30(m, 2H),1.27(m,3H)。
【0072】
ステップ7. 6-クロロ-8-メチルD3-2-トリフルオロメチル-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸

ステップ6から得た生成物(0.50g,1.54mmol)と水酸化ナトリウム(624mg,15.6mmol)とアルコール(20ml)及び水(2ml)を順番にボトルネックフラスコの中に注入する。室温下で、一晩までかき混ぜる,反応が終わった後、アルコールを蒸し、PH=3を調整し、エチルアセテートを用いて抽出し、飽和塩化ナトリウムで洗い、乾燥し、減圧蒸しにて、生成物0.40gを得ることができる(88%収率)。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 13.4(s, 1H), 7.84 (s, 1 H), 7.46(s, 1H), 7.35(s, 1H), 5.96(m, 1H)。
【0073】
実施例6
6-ブロモ-8-メチ-D3-2-トリフルオロメチル-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸

【0074】
ステップ1. 1-メトキシ-2-メチルベンゼン

o-クレゾール(5g,0.046mol)と炭酸カリウム (19.17g,0.14mol)にDMF(75ml)を注入し、氷冷の下でiodomethan(6.65g,0.046molを垂らし、室温一晩まで攪拌する。反応が終わった後,水をいれ、エチルアセテートを用いて抽出する。得た有機相は飽和塩化ナトリウムで洗い、乾燥し、減圧蒸しにて、カラムクロマトグラフィーにより精製して生成物4.72gを得ることができる(83.5%収率)。
MS(MM-ES+APCI), m/z: 123 (M+ + H+)。
【0075】
ステップ2. 1-メトキシ-2-メチル-D3-ベンゼン

ボトルネックフラスコにステップ1が記載した産物(1g, 8.20mmol)を入れ,カリウム tert-ブトキシド3.68g(33.0mmol),重水素化DMSO (2.5ml),アルゴンで置換した後、溶液中 120 ℃で3時間に反応させる。室温まで冷却する。適量である重水素化ウォーターを注入して揺り,エチルアセテートを用いて抽出し,水洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し。容器に液体を戻し,前記操作をまたはり直す。産物0.85g(83%)を得る。
1HNMR(400MHz, d6-DMSO),δppm7.15(m,2H),6.92(d,1H,J=0.4Hz), 6.84(d,1H,J=22.4Hz), 3.77(s,3H)
【0076】
ステップ3. 4-ブロモ-2-メチル-D3-フェノール

ステップ2に取得した産物(0.85g,6.8mmol)を無水ジクロロメタンに(20ml)に溶かし,氷冷下三臭化ホウ(6.81g,27.0mmol)のジクロロメタン溶液(25ml)を滴下し,そして室温で2h攪拌。反応が終わった後,氷水を注ぎ, 用ジクロロメタン抽出,有機相は飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物0.68g (53%)を得る。
1HNMR(400MHz, d-CDCl3),δppm 7.24(s,1H), 7.17(d,1H,J=10.8Hz), 6.65(d,1H,J=8.4Hz)。
【0077】
ステップ4. 5-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-メチルD3ベンズアルデヒド

ステップ3に取得した産物(0.68g,3.6mmol)をトリフルオロ酢酸(5ml)に溶かし、80℃で1h攪拌,そして少しずつヘキサメチレンテトラミン(0.61g,4.3mmol)を入れ,80℃の温度を維持する上に、1時間を運転し,加熱を停止し室温まで冷却する,10mLんの水を入れてまた0.5時間を攪拌し,反応が終わった後,飽和重曹溶液を入れ,エチルアセテートを用いて抽出する。,抽出した有機相を塩水で洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物0.21g(26.7%)を得る。
1HNMR(400MHz, d6-DMSO),δppm10.88(s,1H),10.03(s,1H),7.77(s,1H),7.67(s,1H)。
【0078】
ステップ5. 6-ブロモ-8-メチル-D3-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸エチル

ボトルネックフラスコにステップ4記載した産物(0.21g,0. 96mmol),4,4,4-Trifluorocrotonateエチル(0.65g, 3.80mmol)を入れ,炭酸カリウム (0.133g,0. 96mmol)をDMF(10ml)に溶かし,80℃で6h攪拌。水,エチルアセテートを用いて抽出し,抽出した有機相乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物100mg (28.2%)を得る。
1HNMR(400MHz, d6-DMSO),δppm7.91(s,1H),7.63(s,1H),7.49(s,1H),6.05(m,1H),4.25 (dd,2H,J=6Hz), 1.27(t,3H)。
【0079】
ステップ6. 6-ブロモ-8-メチル-D3-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸

ボトルネックフラスコにステップ5が記載した産物(100mg,0.27mmol)を入れ,水酸化ナトリウム(109mg,0.27mmol),アルコール(2ml),水(0.2ml)。室温下で、一晩までかき混ぜる。反応が終わった後調整PH=3,エチルアセテートを用いて抽出し,飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,産物89mg(96.1%)を得る。
1HNMR(400MHz, d6-DMSO),δppm7.82(s,1H),7.56(s,1H),7.46(s,1H),5.95(m,1H)。
MS(MM-ES+APCI), m/z: 339 (M-H+)
【0080】
実施例7
6,8-ジメチル-D6-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸

【0081】
ステップ1. 1-メトキシ-2,4-ジメチルベンゼン

2,4-ジメチルフェノール(7.5g,0.062mol)、炭酸カリウム (25.4g,0.18mol)をDMF(75ml)に溶かし,氷冷下iodomethan(8.83g,0.062mol)を滴下し,室温一晩まで攪拌する。反応が終わった後,水をいれ,エチルアセテートを用いて抽出する。,抽出所得有機相は飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物7.11g (85%)を得る。
MS(MM-ES+APCI), m/z: 137 (M + H+)。
【0082】
ステップ2. 1-メトキシ- 2,4-ジメトキシ-D4-ベンゼン

ボトルネックフラスコにステップ1が記載した産物(5g,0.037mol)を入れ,カリウム tert-ブトキシド(16.47g,0.15mol),重水素化DMSO(12mL),アルゴンで置換した後、溶液中 120 ℃で3時間に反応させる。室温まで冷却する。適量である重水素化ウォーターを入れて,エチルアセテートを用いて抽出し,水洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し。容器に液体を戻し,前記操作をまたはり直す。産物2.86g(54.7%)を得る。
1HNMR(400MHz, d6-DMSO), δppm 6.93 (d,1H,J=2Hz), 6.90(s,1H), 6.77(d,1H), 3.71(s,3H)。
【0083】
ステップ3. 2,4-ジメチル-D6-フェノール

ステップ2が記載した産物(5g,0.035mol)を無水ジクロロメタン(80ml)に溶かし,氷冷下三臭化ホウ (17.6g,0.070mol)のジクロロメタン溶液(80ml)を滴下し,2h攪拌。反応が終わった後,氷水を注ぎ, ジクロロメタン抽出,有機相は飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物3.32g (73.6%)を得る。
1HNMR(400MHz, d6-DMSO),δppm8.87(s,1H),6.81(s,1H),6.73(d,1H),6.60(d,1H)。
【0084】
ステップ4. 2-ヒドロキシ-3,5-ジメチル-D6-ベンズアルデヒド

ステップ3が記載した産物(3.32g,0.026mol)トリフルオロ酢酸(20ml) に溶かし、80℃で攪拌1h,そして少しずつヘキサメチレンテトラミン(4.37g,0.031mol)を入れ,80℃の温度を維持する上に、1時間を運転し,加熱を停止し室温まで冷却する,10mLんの水を入れてまた0.5時間を攪拌し,反応が終わった後,飽和重曹溶液を入れ,エチルアセテートを用いて抽出する。,抽出した有機相を塩水で水洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物2.04g(49.6%)を得る。
1HNMR(400MHz, d6-DMSO),δppm10.78(s,1H),9.98(s,1H),7.37(s,1H),7.31(s,1H)。
【0085】
ステップ5. 6,8-ジメチル-D6-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸エチル

ステップ4が記載した産物(2.02g,0.013mol)を入れ,4,4,4-Trifluorocrotonateエチル(4.30g,0.026mol),炭酸カリウム (1.76g,0.013mol)をDMF(70ml) に溶かし,80℃で攪拌6h。反応が終わった後,室温まで冷却する,水をいれ,エチルアセテートを用いて抽出し,抽出した有機相乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物2.35g (60.1%)を得る。
1HNMR(400MHz, d6-DMSO),δppm 7.84(s,1H),7.13(s,1H),7.09(s,1H),5.94(m,1H),4.25(dd,1H),1.27(t,3H)。
【0086】
ステップ6. 6,8-ジメチル-D6-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン-3-カルボン酸

ボトルネックフラスコに順次にステップ5が記載した産物(2.35g,7.68mmol)を入れ,水酸化ナトリウム(3g,76.8mmol),アルコール(40ml),水(4ml)。室温下で、一晩までかき混ぜる,反応が終わった後調整PH=3,エチルアセテートを用いて抽出し,飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,産物1.61g(75.4%)を得る。
1HNMR(400MHz, d6-DMSO),δppm 13.19(s,1H),7.77(s,1H),7.10(s,1H),7.80(s,1H), 5.88(m,1H)。
MS(MM-ES+APCI), m/z: 277 (M-H+)。
【0087】
実施例8
8-クロロ-6-メチルD3-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸

【0088】
ステップ1. 1-メトキシ-4-メチルベンゼン

甲フェノール(20g,0.19mol)、炭酸カリウム (75g,0.54mol)にDMF(500ml)を入れ,氷冷下iodomethan(27g, 0.19mol) を滴下し,室温一晩まで攪拌する。反応が終わった後,水をいれ,エチルアセテートを用いて抽出する。,抽出した有機相は飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物20g (86%)を得る。
MS(MM-ES+APCI), m/z: 123 (M + H+)。
【0089】
ステップ2. 1-メトキシ-4-メチル-D3-ベンゼン

ボトルネックフラスコにステップ1で記載した産物(20g, 0.16mol)を入れ,カリウム tert-ブトキシド(76g,0.64mol),重水素化DMSO( 60mL),アルゴンで置換した後、溶液中 120 ℃で3時間に反応させる。室温まで冷却して活量の重水素化した水を加えて振盪し,エチルアセテートを用いて抽出し,水洗い,乾燥,減圧蒸気で処理する。容器に液体を戻し,前記操作をまたやり直す。産物10g(50%)を得る。
MS(MM-ES+APCI), m/z: 126 (M + H+)。
【0090】
ステップ3. 4-メチル-D3-フェノール

ステップ2が記載した産物(2.0g,0.016mol)を無水ジクロロメタン(40mL)に溶かし,氷冷下
三臭化ホウ(8.0g,0.032mol)のジクロロメタン溶液(40mL)を滴下し,2h攪拌。反応が終わった後,氷水を注ぎ, ジクロロメタン抽出,有機相は飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物1g(58%)を得る。
【0091】
ステップ4. 2-クロロ-4-メチル-D3-フェノール

ステップ3が記載した(1.0g,9.0mmol),SO2Cl2(1.2g,9.0mmol) をCCl4( 20mL)に入れ,5時間を回流した後,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物0.60g (46%)を得る。
【0092】
ステップ5. 3-クロロ-2-ヒドロキシ-5-メチル-D3-ベンズアルデヒド

ステップ4が記載した(0.60g,4.1mmol)をトリフルオロ酢酸(20ml)に溶かし、80℃で攪拌1h,そして少しずつ ヘキサメチレンテトラミン (0.69g,4.9mmol)を入れ,80℃の温度を維持する上に、1時間を運転し,加熱を停止し室温まで冷却する,10mLんの水を入れてまた0.5時間を攪拌し,反応が終わった後,飽和重曹溶液を入れ,エチルアセテートを用いて抽出する。抽出した有機相を塩水で水洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物0.25g(35%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 10.9(s, 1H), 10.11 (s, 1 H),7.60 (s, 1 H),7.52 (s, 1 H)。
【0093】
ステップ6. 8-クロロ-6-メチル-D3-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸エチル

ステップ5が記載した産物(0.25g, 1.4mmol)を入れ,4,4,4-Trifluorocrotonateエチル(0.48g,2.8mmol),炭酸カリウム (0.46g,2.8mmol)をDMF(10ml)に溶かし,90℃で攪拌3h。反応が終わった後,室温まで冷却する。水をいれ,エチルアセテートを用いて抽出し,抽出した有機相を乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物0.2g (44%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 7.39(s, 1H), 7.31 (s, 1 H),6.1 (m, 1 H) ,4.27 (dd, 2 H), 1.30 (t, 3 H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 325(M + H+)。
【0094】
ステップ7. 8-クロロ-6-メチル-D3-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸

ボトルネックフラスコに順次にステップ6が記載した産物(0.20g,0.60mmol)を入れ,水酸化ナトリウム(0.48g,12mmol),アルコール(20ml),水(2ml)。室温下で、一晩までかき混ぜる,反応が終わった後調整PH=3,エチルアセテートを用いて抽出し,飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,産物0.15g(85%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 8.09(s, 1H), 6.81 (s, 1 H),5.63 (m, 1 H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z: 395(M-H+)
【0095】
実施例9
6,8-二臭素-5,7-重水素化ジメチル基2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸

【0096】
ステップ1. 1-メトキシ-3,5-ジメチルベンゼン

3,5-二クレゾール(10g,0.082mol)、炭酸カリウム (34g,0.25mol)をDMF(150ml)に入れ,氷冷下iodomethan(12.8g, 0.090mol)を滴下し,室温一晩まで攪拌する。反応が終わった後,水をいれ,エチルアセテートを用いて抽出する。抽出した有機相は飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物10g (90%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 6.60(s, 1H), 6.53 (s, 2 H), 3.77 (s, 3 H),2.29 (s, 6 H)。
【0097】
ステップ2. 1-メトキシ-3,5-ジメチル-D6-ベンゼン

ボトルネックフラスコにステップ1が記載した(6.0g, 0.044mol)を入れ,カリウム tert-ブトキシド(20g,0.18mol),重水素化DMSO( 15mL),アルゴンで置換した後、溶液中 120 ℃で3時間に反応させる。室温まで冷却する加入適量重水素化ウォーター振蕩,エチルアセテートを用いて抽出し,水洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し。容器に液体を戻し,前記操作をまたやり直す。産物5g (80%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 6.56(s, 1H), 6.55(s,1H),6.53 (s, 1 H), 3.7(s, 3 H)。
ステップ3. 4-臭ブロモ-3,5-ジメチル-D6-フェノール

無水条件のボトルネックフラスコでステップ2が記載した産物(1.0g, 8.0mmol)をジクロロメタン(10ml) に溶かし,氷冷下三臭化ホウ(4.0g, 16mmol)のジクロロメタン溶液(10mL) を滴下し,攪拌を2h行う。反応が終わった後,氷水を注ぎ, ジクロロメタンで抽出する。有機相は飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物1.3g (80%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 9.92(s, 1H), 6.58(s, 2H)。
【0098】
ステップ4. 2,4-ジブロモ-3,5-ジメチル-D6-フェノール

無水条件でステップ3が記載した産物(1g, 4.83mmol) をジクロロメタン(10ml) に溶かし,氷冷下液臭素(0.81g,5.07mmol)のジクロロメタン溶液(5ml) を滴下し,室温で一晩攪拌する。反応が終わった後,亜硫酸水素ナトリウム溶液を入れて残った臭素を除き,蒸気処理してジクロロメタンを得る,乙酸エチル/水抽出,有機相有飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥,減圧旋蒸,カラムクロマトグラフィーで産物1.25g (90.5% )を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 10.30(s, 1H), 6.82 (s, 1 H)。
【0099】
ステップ5. 3,5-ジブロモ-2-ヒドロキシ-4,6-ジメチル-D6-ベンズアルデヒド

ステップ4が記載した産物 (0.50g,1.75mmol)をトリフルオロ酢酸(5ml) に溶かし,そして少しずつヘキサメチレンテトラミン(0.29g,2.10mmol)を入れ,80℃の温度を維持する上に、1時間を運転し,加熱を停止し,室温まで冷却する。10mLの水を入れてまた0.5時間攪拌し,反応が終わった後,飽和重曹溶液を入れ,エチルアセテートを用いて抽出する。抽出して得られる有機相を塩水で水洗い,乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物0.34g (61.9%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d6-DMSO), d 12.72(s, 1H), 10.30 (s, 1 H)。
【0100】
ステップ6. 6,8-ジブロモ-5,7-ジメチル-D6-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸エチル

ステップ5で記載した産物(0.34g,1.08mmol),4,4,4-Trifluorocrotonateエチル(0.72g,4.32mmol),炭酸カリウム (0.15g,1.08mmol)をDMF(6ml)に溶かし、90℃の温度の下で、6時間攪拌する。反応が終わった後,室温まで冷却する。水をいれ,エチルアセテートを用いて抽出し,抽出した有機相を乾燥,減圧蒸気で処理し,カラムクロマトグラフィーで産物0.12g (23.9%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.95(s, 1H),5.80(m, 1H),4.34(dd, 2H),1.36(t, 3H)。
【0101】
ステップ7. 6,8-ジブロモ-5,7-ジメチル-D6-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸

ボトルネックフラスコに順次にステップ6で記載した産物(0.12g,0.26mmol)を入れ,水酸化ナトリウム(0.10g,2.6mmol),アルコール4ml,水0.4mlを加える。室温下で、一晩かき混ぜる。7%塩酸でPH=7に調整し,エチルアセテートを用いて抽出し,飽和塩化ナトリウムで洗い,乾燥し,減圧蒸気で処理し,産物43mg (38.0%)を得る。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 8.08(s, 1H), 5.77(m, 1H)。
MS (MM-ES+APCI), m/z:435 (M-H+)。
【0102】
実施例10
7-重水素化メチル-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.86(s, 1H), 7.13 (d, 1 H),7.00 (s, 1 H) , 6.75 (d, 1 H),5.36 (m, 1 H)。
実施例11
【0103】
7-重水素化ヘキシル基-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.92(s, 1H), 7.12 (d, 1 H),6.64 (d, 1 H),6.62 (s, 1 H),5.43 (m, 1 H)。
実施例12
【0104】
6-クロロ-7-メチル-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 8.03(s, 1H),7.06 (s, 1 H),6.50 (s, 1 H),5.46 (m, 1 H)。
実施例13
【0105】
8-重水素化(1-メチルヘキシル基)-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.86(s, 1H), 7.46 (d, 1 H),7.27 (d, 1 H) ,6.75 (m, 1 H),5.43 (m, 1 H)。
実施例14
【0106】
6-クロロ-8-メチル-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 8.01(s, 1H), 6.85 (s, 1 H),, 6.77 (s, 1 H),5.35 (m, 1 H)。
実施例15
【0107】
6-クロロ-7-重水素化(1,1-二メチルヘキシル基)-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.95(s, 1H), 7.10 (s, 1 H),6.73 (s, 1 H),5.51 (m, 1 H)。
実施例16
【0108】
6-クロロ-8-重水素化(1-メチルヘキシル基)-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.98(s, 1H), 7.25 (s, 1 H),6.99 (s, 1 H) , 5.41 (m, 1 H)。
実施例17
【0109】
7-重水素化(1-メチルヘキシル基)-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d7.92(s, 1H), 7.09 (d, 1 H),6.65 (d, 1 H),5.48 (m, 1 H)。
実施例18
【0110】
6-クロロ-7-重水素化ヘキシル基-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 8.05(s, 1H), 7.12 (s, 1 H),7.00 (s, 1 H), 5.48 (m, 1 H)。
実施例19
【0111】
8-重水素化ヘキシル基-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 8.09(s, 1H), 7.46(d, 1 H),7.04(d, 1 H),6.78 (m, 1 H),5.54 (m, 1 H)。
実施例20
【0112】
7,8-二重水素化メチル-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 7.95 (s, 1H), 6.94 (d, 1 H),6.63 (d, 1 H),5.56(m, 1 H)。
実施例21
【0113】
6-クロロ-8-重水素化ヘキシル基-2-(トリフルオロメチル)-2H- ベンゾピラン3-カルボン酸
合成方法は実施例1のように行った。
1HNMR (400 MHz, d-CDCl3), d 8.05(s, 1H), 7.24(s, 1 H),6.99 (s, 1 H),5.24 (m, 1 H)。
実施例22
【0114】
異なる濃度の重水素化ベンゾピラン類化合物(1×10-10〜1×10-4)をovine COX-1 とhuman recombinant COX-2とそれぞれに混合して15min置いたまま、そしてHemeと ADHPを入れて2minを待って、最後に基質であるアラキドン酸を入れて、直ちに酵素免疫測定装置を使って530nmの励起光、595nmの反応産物で、放出光の強度を測定する。その結果、重水素化ベンゾピラン類化合物は著しくCOX-2の酵素反応スピードを抑制し得、且つ選択性に利点がある。
全血法は、抗凝固剤が入っていない試験管及びヘパリン管で健康なドナーの静脈血を抽出し、異なる濃度の重水素化ベンゾピラン類化合物(1×10-8〜1×10-4)と抗凝固剤が入っていない試験管の血液を混合させて血液を凝固させ、そして上清を取ってELISA法に従ってTXB2の生成量を測定する。異なる濃度の重水素化ベンゾピラン類化合物(1×10-8〜1×10-4)とヘパリン管の血液を混合させて、そして濃度が100μg / mlに至るまでにリポ多糖を少しずつ入れ、攪拌後、37℃の温度でオーバーナイトで処理し、遠心して上清を取り、ELISA法に従ってPGE2の生成量を測定する。
重水素化ベンゾピラン類化合物の2種の異性化酵素に対する抑制作用及び全血法において血液のTXB2/PGE2生成に対する抑制作用に基づき、表1に示すように、50%阻害濃度(IC50)値を算出した。(採用した化合物は実施例1〜9が記載した化合物で、表1に示すようにDrug No.という記号で表示し、GIBH-1006、GIBH-1004、GIBH-1016、GIBH-1008、GIBH-1010、GIBH-1012、GIBH-1014、GIBH-1018、GIBH-1051はそれぞれ実施例1〜9の化合物に対応する)
【0115】
表1.化合物の一部がCOXsの2種の異性体に対する阻害値IC50及び全血法にてTXB2/PGE2生成に対する阻害値IC50
【表1】
表1に示すように、酵素の活性テストにより、本発明に関する化合物は、人体のリコンビナーゼCOX-2に対する活性阻害値IC50がナノモルレベルに達し、また酵素COX-1に対する活性阻害値が低い、COX-2を選択的に阻害することがすぐわかる。例えば化合物GIBH1008に属する酵素COX-2の阻害値IC50は61.75ナノモルで、酵素COX-1に対する阻害値IC50はわずか100マイクロモル余りで、両者の選択性の差異が1619倍を超える。化合物GIBH-1018における選択性の差異が1569倍を超える。化合物GIBH-1014における選択性の差異が862倍である。人体に関する全血法(酵素COXの活性阻害テスト)に基づき、化合物GIBH1014, GIBH1018及GIBH-1014が血液細胞の酵素COX-2に対する阻害について、選択性に優れていることがすぐわかる。
実施例23
【0116】
ラットの薬物動態学とバイオアベイラビリティテストを実施する。雄のSDラット、4匹/組、一回投与、径口2.5-25mg/kg、静脈1-5mg/kg、投与後、適切な時間で動物の血液試料を収集し、ヘパリン抗凝、3000rpm*10min、上清を取り、-20C保管、LC/MS分析。アセトニトリール蛋白質沈殿の血液試料を収集し、LC/MS分析に用いる。DAS2.0でデータのパラメータ・フィッティングをし、AUCデータに基づいて化合物の径口バイオアベイラビリティを算出した。結果は以下のようになった。
【0117】
表2. 化合物の一部について薬物動態学上の研究結果
【表2】
【0118】
AUC(Area Under the Curve):血漿濃度-時間曲線以下の面積とし、薬物のバイオアベイラビリティ(人体による吸収・利用された程度)、AUCは多ければ多いほど、薬物のバイオアベイラビリティが高くなる。逆に利用度が低い。AUCの全称はarea under concentration-time curveという。例えば、GIBH-1006のAUC値が最高で、そのバイオアベイラビリティも最高である。
Cmax: ピーク濃度(Peak Concentration):血漿濃度-時間曲線上の最大血漿濃度とし、すなわち径口後、血漿中の薬物濃度のピーク値とする。ピーク濃度は薬物の臨床応用と密接に関わり、有効濃度に達すと薬効を発揮し始め、もし安全基準値を超えると薬物の毒性を示している。なお、ピーク濃度は薬剤吸収・安全性を判断する重要な指標である。
T1/2(half life time):半減期。血漿濃度が半分に減少する時間とし、生物転換あるいは排泄による濃度の減ずるスピードを反映する。
Tmax: (Peak Time)ピーク時間。径口後、血漿の濃度曲線がピーク値(ピーク濃度)に至るまでの時間とする。ピーク時間が短い場合は、薬物の吸収・発効スピードが速い、また減ずるスピードも速いことを示している。ピーク時間が長い場合は、薬物の吸収・発効スピードが遅い、また薬物の持続時間が延長されたことを示している。ピーク時間は応用薬物と研究薬剤の重要な指標である。
【0119】
BA(bioavailability):バイオアベイラビリティ。薬物が大循環に吸収されるスピードと程度を表す。バイオアベイラビリティは絶対バイオアベイラビリティと相対バイオアベイラビリティに分けられる。絶対バイオアベイラビリティは、該薬物は静脈注射に用いる際の利用率を100%とし、同じ剤の量である他のタイプの該薬物が吸収・利用される比率とする。相対バイオアベイラビリティは、指定タイプ(例:径口水製剤)の利用率を100%とし、同様な条件でそのほかのタイプの利用率を測定する。
【0120】
Vd (apparent volume of distribution): 分布容積。薬物が体内で動的バランスに至る場合は、体内薬物量を血漿中濃度で割った値が分布容積である。血漿濃度(c)によって体内にある外来化合物の総量の理論的な容積比重を算出し、すなわち分布容積Vd=A/c、単位はmLまたはmL/kg(体重)。Vdは小さければ小さいほど、薬物の排泄スピードが速い、体内での滞在時間も短い。Vdは多ければ多いほど、薬物の排泄スピードが遅い、体内での滞在時間も長い。Vdは仮設した容積で、本物の生理性容積を表すことができない。しかし、Vdは薬物分布の程度または組織にある高分子の結合程度を反映できる。
【0121】
前記実施例は、本発明のいくつかの実施形態について詳述したが、それらに限定されることがない。使用上の注意については、本分野の普通技術者に対して、本発明の構想を違反しなければ、相当する変形と改進を行うことも可能で、本発明の保護範囲に属する。そこで、本特許の保護範囲は附録した請求項に準拠する。