(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コーティング層は、前記低放射層の両面に順に低放射保護金属層および誘電体層が積層された対称構造で、前記低放射保護金属層および前記誘電体層の少なくとも一つの間に前記シリコンナイトライド層が介在された請求項1〜11のいずれか1項に記載の、
低放射透明積層体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の具現例の一つは、断熱性能を確保しつつも耐熱性が向上するため、熱処理加工を行うことができる(temperable)低放射透明積層体を提供する。
【0005】
本発明他の具現例は、前記低放射透明積層体を含む建築資材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の具現例の一つにおいて、基材およびコーティング層を含む低放射透明積層体を提供する。前記コーティング層は、前記基材から低放射層、低放射保護金属層、シリコンナイトライド層および誘電体層を順に含む多層構造で形成してもよい。
【0007】
前記低放射層は、放射率が約0.01ないし約0.3でもよい。
前記低放射層は、Ag、Au、Cu、Al、Pt、イオンドーピング金属酸化物、およびこれらの組合せを含む群から選ばれた少なくとも一つを含んでもよい。
【0008】
前記低放射層の厚さは、約10nmないし約25nmでもよい。
【0009】
前記低放射保護金属層は、可視光線領域の消滅係数が約1.5ないし約3.5でもよい。
【0010】
前記光吸収金属層は、Ni、Cr、NiとCrの合金、Tiおよびこれらの組合せを含む群から選ばれた少なくとも一つを含んでもよい。
【0011】
前記低放射保護金属層の厚さは、約1nmないし約5nmでもよい。
【0012】
前記シリコンナイトライド層は、SiN
x(ここで、1≦x≦1.5である)又は(Si
1−yM
y)N
z(ここで、Mは、Al、Ti、Coおよびこれらの組合せからなる群から選ばれた一つで、0.01≦y≦0.2で、1≦z≦1.5である)を含んでもよい。
【0013】
前記シリコンナイトライド層の厚さは、約5nmないし約20nmでもよい。
【0014】
前記誘電体層は、金属酸化物、金属窒化物、およびこれらの組合せを含む群から選ばれ
た少なくとも一つを含んでもよく、又は前記の少なくとも一つに、ビスマス(Bi)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、およびこれらの組合せからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素がドーピングされた金属酸化物、金属窒化物、およびこれらの組合せを含む群から選ばれた少なくとも一つを含んでもよい。
【0015】
前記誘電体層は、チタニウムオキシド、スズ亜鉛オキシド、亜鉛オキシド、亜鉛アルミニウムオキシド、スズオキシド、ビスマスオキシド、シリコンナイトライド、シリコンアルミニウムナイトライド、およびこれらの組合せを含む群から選ばれた少なくとも一つを含んでもよい。
【0016】
前記誘電体層の厚さは、約5nmないし約60nmでもよい。
【0017】
前記基材は、約90%ないし約100%の可視光線透過率を有する透明基材でもよい。
【0018】
前記基材は、ガラスまたは透明プラスチック基板でもよい。
【0019】
前記コーティング層は、前記低放射層の両面に順に低放射保護金属層および誘電体層が積層された対称構造で、前記低放射保護金属層および前記誘電体層の少なくとも一つの間に前記シリコンナイトライド層が介在してもよい。
【0020】
前記コーティング層は、最外殻両面に少なくとも一つのシリコンナイトライド層をさらに含んでもよい。
【0021】
本発明の他の具現例において、前記低放射透明積層体を含む建築資材を提供する。
【発明の効果】
【0022】
前記低放射透明積層体は、断熱性能を確保しつつも耐熱性が向上するため、熱処理加工を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参考して本発明の実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は、さまざまな相違する形態で具現でき、ここで説明する実施例に限定されるのではない。
【0025】
本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似する構成要素については同じ参照符号を付す。
【0026】
図面において、複数層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して表した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して表した。
【0027】
以下で、基材の「上部(又は下部)」または基材の「上(又は下)」に任意の構成が形成されるということは、任意の構成が前記基材の上面(又は下面)に接して形成されることを意味するだけでなく、前記基材と基材上に(又は下に)形成された任意の構成間に他の構成を含まないことで限定するのではない。
【0028】
以下、
図1を参照して本発明の具現例の一つにかかる低放射透明積層体を説明する。
【0029】
図1は、本発明の具現例の一つにかかる基材110およびコーティング層190を含む低放射透明積層体100の断面図である。前記コーティング層190は、前記基材110から、低放射層120、低放射保護金属層130、シリコンナイトライド層140および誘電体層150を順に含む多層構造である。
【0030】
前記低放射透明積層体100は、前記シリコンナイトライド層140を含み、耐久性、耐化学性、耐熱性等が付与されて、耐熱性を要する処理によって加工でき(temperable)、また、前記シリコンナイトライド層140上部に誘電体層150を含んでシリコンナイトライド層140の長時間工程時に汚染しやすくなるという問題を低減し、それによりこのような汚染によって発生し得る問題点を防止することができ、また、ローイー(Low−e:low emissivity)ガラスの光学性能を設計できる範囲を広くすることができる。
【0031】
前記コーティング層190は、太陽光中の選択的に遠赤外線を反射する低放射層120を基盤にする多層薄膜構造であって、放射率を下げて前記低放射透明積層体100にローイー効果による断熱性能を付与する。前記低放射透明積層体100は、前記のような構造を形成して、夏は太陽輻射熱を反射させ、冬は室内暖房機から発生する赤外線を保存することにより、建築物のエネルギー節減効果をもたらす機能性素材である。
【0032】
「放射率(Emissivity)」とは、物体が任意の特定波長を有するエネルギーを、吸収、透過および反射する比率を意味するものである。つまり、本明細書において放射率は、赤外線波長領域にある赤外線エネルギーの吸収の程度を表すものであり、具体的には、強い熱作用を表す約5μmないし約50μmの波長領域に該当する遠赤外線が印加されたとき、印加される赤外線エネルギーに対して吸収される赤外線エネルギーの比率を意味する。
【0033】
キルヒホッフの法則によると、物質に吸収された赤外線エネルギーは、再度放射されて出てくるエネルギーと同一なため、吸収率は放射率と同一である。
【0034】
また、吸収されなかった赤外線エネルギーは、物質の表面で反射されるため、放射率は赤外線エネルギー反射が高いほど低い値を有するようになる。これを数値で表すと、(放射率=1−赤外線反射率)の関係を有する。
【0035】
このような放射率は、本分野で通常知られている多様な方法を通じて測定でき、特に制限されるのではないが、例えば、KSL2514規格によってフーリエ変換赤外線分光器(FT−IR)等の設備で測定することができる。
【0036】
このような強い熱作用を表す遠赤外線に対する吸収率、つまり、放射率が断熱性能の程度を測定することにおいて、非常に重要な意味を表すことができる。
【0037】
前記低放射透明積層体100は、ガラス等のような透明な基材110に前述のようなコーティング層190を形成することにより、可視光線領域では所定の透過特性を維持させながら放射率を下げるため、優れた断熱効果を提供できるエネルギー節約型機能性建築資材として使用することができる。
【0038】
前記低放射層120は、低い放射率を有し得る電気伝導性材料、例えば、金属で形成された層であって、つまり、低い面抵抗を有し、それに応じて低い放射率を有する。例えば、前記低放射層120は、放射率は約0.01ないし約0.3でもよく、具体的には約0
.01ないし約0.2でもよく、より具体的には約0.01ないし約0.1でもよく、さらに具体的には約0.01ないし約0.08でもよい。前記低放射層120が前記範囲の放射率を有する場合、低放射透明積層体100の断熱効果および可視光透過率の面を同時に考慮して適切になり得る。前記のような放射率を有する前記低放射層120は、薄膜で構成した材料の面抵抗が約0.78Ω/sqないし約6.42Ω/sqでもよい。
【0039】
前記低放射層120は、太陽輻射線を選択的に透過および反射させる機能を行う。前記低放射層120は、Ag、Au、Cu、Al、Pt、イオンドーピング金属酸化物およびこれらの組合せを含む群から選ばれた少なくとも一つを含んでもよく、これに制限されるのではない。前記イオンドーピング金属酸化物は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドーピングされたスズ酸化物(FTO)、Alドーピングされた亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)等を含む。具現例の一つにおいて、前記低放射層120は、銀(Ag)でもよく、これにより前記低放射透明積層体100は高い電気伝導度、可視光線領域における低い吸収率、優れた耐久性等を具現することができる。
【0040】
前記低放射層120の厚さは、例えば、約10nmないし約25nmでもよい。前記範囲の厚さを有する低放射層120は、低い放射率および高い可視光線透過率を同時に具現するのに適している。
【0041】
前記低放射保護金属層130は、光吸収性能に優れる金属からなり太陽光を調節する機能を行い、前記低放射保護金属層130の材料、厚さ等を調節して前記低放射透明積層体100が具現する色を調節することができる。
【0042】
具現例の一つにおいて、前記低放射保護金属層130は、可視光線領域における消滅係数(extinction coefficient)が約1.5ないし約3.5でもよい。前記消滅係数は、素材の物質固有の特性である光学定数から導出される値であり、前記光学定数は、数式ではn−ikと表記される。このとき、実数部分であるnは屈折率で、虚数部分であるkは消滅係数(吸収係数、吸光係数、消光係数等とも命名される)とする。消滅係数は、波長(λ)の関数であり、金属の場合は消滅係数が0より大きいことが一般的である。消滅係数kは、吸収係数αと、α=(4πk)/λの関係を有し、吸収係数αは、光が通過する媒質の厚さがdのとき、I=I0exp(−αd)の関係により媒質による光の吸収によって通過した光の強さ(I)が入射した光の強さ(I0)に比べて減少する。
【0043】
前記低放射保護金属層130は、前記範囲の可視光線領域の消滅係数を有する金属を使用して、可視光線の一定部分を吸収して、前記低放射透明積層体100が所定の色を有するようにする。
【0044】
例えば、前記低放射保護金属層130は、Ni、Cr、NiとCrの合金、Ti、およびこれらの組合せを含む群から選ばれた少なくとも一つを含んでもよく、これに制限されるのではない。
【0045】
前記低放射保護金属層130の厚さは、例えば、約1nmないし約5nmでもよい。前記低放射透明積層体100は、前記厚さ範囲の低放射保護金属層130を含んで低放射保護層としての役割を行うと共に、所定の透過率および反射率を有するように調節することができる。
【0046】
前記シリコンナイトライド層140は、前記低放射保護金属層130および前記誘電体層150間に介在されて前記誘電体層150に含まれる酸化物の酸素の影響から前記低放射保護金属層130および前記低放射層120を保護する保護膜として作用し、金属と誘
電体層間の界面を安定化させる作用をする。
【0047】
また、前記低放射透明積層体100は、前記シリコンナイトライド層140を含むため前記コーティング層190の全体的な耐熱性を向上させることができる。これにより、高い耐熱性を要求する加工処理が可能になるという利点がある。例えば、前記低放射透明積層体100は、高層ビルに要求される耐風圧性能を満たすために必要な熱処理過程を行うのに適した耐熱性を備えることができる。
【0048】
前記シリコンナイトライド層140は、シリコンナイトライド、例えば、SiN
x(ここで、1≦x≦1.5である)または(Si
1−
yM
y)N
z(ここで、MはAl、Ti、Coおよびこれらの組合せからなる群から選ばれた一つで、0.01≦y≦0.2で、1≦z≦1.5である)のように一部のSiが金属で置換されたシリコンナイトライド化合物等を含んでもよい。前記の金属置換されたシリコンナイトライド化合物は、置換される金属に応じて、耐久性、耐スクラッチ、耐熱性等を向上させることができる。前記シリコンナイトライド層140は、目的とする用途に沿うように適切な種類のシリコンナイトライド化合物を含んでもよい。
【0049】
前記シリコンナイトライド層140の厚さは、例えば、約5nmないし約20nmでもよい。前記シリコンナイトライド層の厚さは、全体コーティング層190の光学性能(透過率、反射率、色指数)を目標性能に沿うように具現するために、構成される位置および物質に応じて多様に調整でき、前記厚さ範囲を有する前記シリコンナイトライド層140を含んで前記誘電体層150積層時に工程上発生し得る汚染問題を最小化し、前記誘電体層150の厚さ比等を調節して多様な組合せが可能で、これにより多様なローイーガラスの光学性能を設計することができる。
【0050】
前記誘電体層150は、前記コーティング層190において、前記シリコンナイトライド層140に続いて積層されるため前記低放射保護金属層130と前記シリコンナイトライド層140を介して離隔されて存在する。前述のように、前記誘電体層150は前記低放射保護金属層130および前記低放射層120に対して前記シリコンナイトライド層140を介して離隔されるため、前記誘電体層150内の酸化物に起因する酸素の影響を著しく減少させることができる。
【0051】
前記誘電体層150は、屈折率が約1.5から約2.3間にある誘電体物質からなってもよく、屈折率の値によって、透過率、反射率、透過および反射色相を目的とする目標レベルに具現するために誘電体層150の厚さを調節することができる。
【0052】
前記誘電体層150は、厚さは、例えば、約5nmないし約60nmでもよい。誘電体層の厚さは、全体多層薄膜の光学性能(透過率、反射率、色指数)を目標性能に沿うように具現するために、構成される位置および物質に応じて多様に調節でき、前記厚さ範囲を有する前記誘電体層150を含んで誘電体層150による光学性能制御を効果的に行うことができ、また、生産速度の面でも好ましい。また、前述のように、前記誘電体層150は前記シリコンナイトライド層140との相対厚さ比等を調節して多様な組合せができ、これによりローイーガラスの光学設計ウィンドウを拡大することができる。
【0053】
また、前記誘電体層150は、光消滅係数が0に近い物質で構成されてもよいが、消滅係数が0より大きいということは、入射光が光吸収金属層に到達する前に誘電体層で吸収されることを意味し、これは透明な視野確保を阻害する要因になるため好ましくない。よって、誘電体層150の消滅係数は、可視光線領域(約380nmないし約780nm波長範囲)で約0.1未満を有してもよい。
【0054】
一般的に、低放射層120として使用される金属は酸化がうまくされるため、前記誘電体層150は前記低放射層120の酸化防止膜として作用することができ、また、このような誘電体層150は可視光透過率を増加させる役割もする。
【0055】
前記誘電体層150は、多様な金属酸化物、金属窒化物等を含んでもよく、例えば、チタニウムオキシド、スズ亜鉛オキシド、亜鉛オキシド、亜鉛アルミニウムオキシド、スズオキシド、ビスマスオキシド、シリコンナイトライド、シリコンアルミニウムナイトライド、およびこれらの組合せからなる群から選ばれた少なくとも一つを含んでもよく、これに制限されるのではない。このような金属酸化物および/または金属窒化物にビスマス(Bi)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)およびこれらの組合せからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素をドーピングしてもよい。
【0056】
前記誘電体層150の材料と物性を適切に調節して前記低放射透明積層体100の光学性能を調節することができる。また、前記誘電体層150は2層以上の複数の層で構成されてもよい。
【0057】
前記基材110は、可視光線透過率が高い透明基材でもよく、例えば、約90%ないし約100%の可視光線透過率を有するガラスまたは透明プラスチック基板を使用してもよい。前記基材110は、例えば、建築用として使用されるガラスを制限なく使用でき、使用目的に応じて、例えば、約2mmないし約12mmの厚さでもよい。
【0058】
前記低放射透明積層体100は、使用目的に沿った光学スペクトラムを具現するために、前記コーティング層190を構成する各層の材料および厚さを調節することにより、光の波長帯に従った透過率と反射率を制御して達成することができる。例えば、前記低放射透明積層体100において、可視光透過率が高いため快適な視野を確保すると共に、反射率を高めて外部の視線による個人のプライバシー侵害問題を防止することができる。
【0059】
前記低放射透明積層体100は、前記コーティング層190を構成する各層の材料および厚さを調節することにより、外部から見える前記低放射透明積層体100の高反射面の色、反射率、透過率等の光学性能の微細な制御をすることができる。
【0060】
前記コーティング層190は、前述のように、所定の光学性能を具現するために前述の構造以外の他の追加的な層がさらに介在されて含んでもよい。具現例の一つにおいて、前記コーティング層190は、前記コーティング層190の最外殻の一面または両面に少なくとも一つの誘電体層をさらに含んでもよい。
【0061】
前記の追加的にさらに含んでもよい誘電体層の詳細な説明は、前記誘電体層150で説明した通りである。
【0062】
本発明の他の具現例において、前記低放射層の両面に順に低放射保護金属層および誘電体層が積層された対称構造で、前記低放射保護金属層および前記誘電体層の少なくとも一つの間に前記シリコンナイトライド層が介在されたコーティング層を含む低放射透明積層体が提供される。
【0063】
図2は、具現例の一つにかかる基材210およびコーティング層290を含む低放射透明積層体200の断面図である。前記コーティング層290は、前記基材210上部に、第1誘電体層280、第1シリコンナイトライド層270、第1低放射保護金属層260、低放射層220、第2低放射保護金属層230、第2シリコンナイトライド層240、および第2誘電体層250を順に含む多層構造である。前記低放射透明積層体200にお
いて、前記コーティング層290は、前記低放射層220を中心に両面に順に低放射保護金属層230,260、シリコンナイトライド層240,270、および誘電体層250,280が積層されて形成された構造である。
【0064】
具現例の一つにおいて、前記コーティング層は最外殻両面に少なくとも一つのシリコンナイトライド層をさらに含んでもよい。例えば、前記第2誘電体層250の外郭側にシリコンナイトライド層(図示せず)がさらに積層されて含まれてもよいし、或いは前記第1誘電体層280と前記基材210間にシリコンナイトライド層(図示せず)がさらに積層されて含まれてもよい。このように、前記コーティング層がシリコンナイトライド層を複数の層で含んで熱処理加工時に低放射保護金属層130をよりさらに保護できるため、より厚いシリコンナイトライド層を一層で含む場合より、厚さの合計が同じでも複数のシリコンナイトライド層で形成して耐熱性をより向上させることができる。本発明のまた別の具現例において、前記低放射透明積層体を含む建築資材を提供する。前記建築資材は、前記低放射透明積層体を適用することにより、ローイー効果による断熱性能を確保しつつも前述のように前記低放射透明積層体の耐熱性が向上するため、追加的な熱処理工程によって加工されたものでもよい。前記建築資材は、例えば、耐風圧性能を向上させるための熱処理加工されたものでもよく、高層ビル用建築資材として使用できる。
【0065】
前記低放射透明積層体は、各層を公知の方法に従って積層して製造することができる。前記の各層は、例えば、蒸着方法によって積層されてもよく、前記蒸着方法は特に制限されるのではなく、公知の方法に従って行うことができる。
【0066】
例えば、前記誘電体層は蒸着によるものでもよく、やはり公知の方法によって制限なく行うことができ、例えば、マグネトロンスパッタ蒸着器を用いて蒸着することができる。
【0067】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。このような下記の実施例は、本発明の実施例の一つに過ぎないだけで、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
なお、実施例1,3,4は参考例1,2,3とする。
【0070】
マグネトロン(C−Mag)スパッタリング蒸着器(Selcos,Cetus−S)を使用して、下記表1に示したような組成および厚さを有する多層構造を有する低放射透明積層体を製作した。
【0071】
先ず、6mm厚を有する透明ガラス基材上にSnZnO
x層を、酸素/アルゴン(酸素50体積%,アルゴン50体積%)雰囲気下で厚さ19nmで蒸着した。次いで、SiN
x層を窒素/アルゴン(窒素20体積%,アルゴン80体積%)雰囲気下で5nm厚で蒸着した。NiCr層、Ag層およびNiCr層を、アルゴン100体積%雰囲気下で順に各1.5nm、11nmおよび1.5nm厚で蒸着した後、再度SiN
x層を前記SiN
x層の蒸着条件と同じ条件で5nm厚で蒸着した。最後に、SnZnO
x層を前記SnZnO
x層の蒸着条件と同じ条件で厚さ43nmで蒸着して低放射透明積層体を製作した。
【0073】
実施例1において、最上部に5nm厚のSiN
x層をさらに積層したことを除いては、実施例1と同様の条件で低放射透明積層体を製作した。
【0075】
5nm厚のSiN
x層の数、および適用位置を下記表1に示したように変更させた点を除いては、実施例1と同様の条件で低放射透明積層体を製作した。
【0077】
実施例1のような多層構造の膜からSiN
x層を除いたことを除いた点を除いては、実施例1と同様の条件で低放射透明積層体を製作した。
【0079】
実施例1のような多層構造の膜においてSiN
x層の代わりにSnZnN
x層を、窒素/アルゴン(窒素50体積%,アルゴン50体積%)雰囲気下で5nm厚で蒸着したことを除いては、実施例1と同様の条件で低放射透明積層体を製作した。
【0081】
5nm厚のSiN
x層の数、および適用位置を下記表1に示したように変更させた点を除いては、実施例1と同様の条件で低放射透明積層体を製作した。
【0084】
実施例1ないし実施例5、および比較例1ないし比較例3で製作された低放射透明積層体に対して下記のような方法で熱処理した:
【0085】
実験室用RTS(rapid thermal annealing system)装備を使用して、前記サンプルを入れておき、RTS装置内部の温度を5分間で約670℃上げ、5分間維持した後、常温に下げる条件で熱処理した。
【0086】
熱処理前後に、それぞれhaze−gardner plus装備を用いて可視光透過率とヘーズ(Haze)を測定し、放射率測定器(Emissiometer MK3)を用いて放射率を測定した。また、分光器(spectrophotometer,KS
L 2514規格)を用いて熱処理前後の前記分光特性の変化を観察して下記表2に記載した。
【0088】
表2から分かるように、実施例1ないし実施例5は、比較例1の熱処理前後の放射率の変化を比較してみると、SiN
X層を適用したときに熱処理前・後の放射率の変化がなく、可視光透過率およびヘーズ変化量も著しく減少したことが分かる。これにより、SiN
X層を適用すると、熱処理後に低放射層および低放射保護金属層を保護できるということが分かる。
【0089】
SiN
X層を金属層と酸化物誘電体層間に上・下部共に適用(実施例1)した場合と、SiN
X層位置にSnZnN
X層を適用(比較例2)した場合を比較すると、可視光透過率およびヘーズ変化量が、SiN
X層を適用した場合に少ないということが分かる。これにより、SnZnN
X層よりもSiN
X層を適用したときの方が、耐熱性能がよりさらに大きく向上するということが分かる。
【0090】
SiN
X層を低放射保護金属層と誘電体層間に上・下部共に適用(実施例1)した時と、コーティング層の最上・下部に共に適用(比較例3)した時を比較してみると、実施例1の方が熱処理前後の可視光透過率の変化が少ないということが分かる。
また、比較例3の場合よりも、低放射保護金属層と酸化物誘電体層間の位置に上部(又は下部)の一部分のみに適用(実施例3および実施例4)した場合の方が可視光透過率の変化が少ないということが分かる。一方、実施例3または実施例4は、一つのコーティング層ではSiN
X層が最外殻だけに存在するようにして二つのコーティング層両方においてSiN
X層が金属層と酸化物誘電体層間に存在させた実施例1と比較すると、実施例3または実施例4の方が比較例3より優れた耐熱性能を有するが、二つのコーティング層共にSiN
X層が金属層と酸化物誘電体層間に存在する実施例1の方が実施例3または実施例4より優れた耐熱性能向上による光学性能向上を有することを確認できる。これにより、SiN
X層を最上・下部に適用するよりは低放射保護金属層と酸化物誘電体層間に適用する方が、耐熱性能の向上により寄与するということが分かる。
実施例5では、SiN
X層を計4層適用して厚くなったため、非常に優れた耐熱性能結
果を得た。