【文献】
Laurent, Bijeire et al.,A Total Synthesis of Subarine, a Marine Alkaloid Related to the Pyridoacridine Family,European Journal of Organic Chemistry,2004年,pp. 1891-1893
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
式(I)および下記の全ての式において、2個より多い炭素原子を有するアルキル基は、直鎖または分岐であることができる。アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−またはイソプロピル、n−、イソ−、tert−または2−ブチル、ペンチル類、およびヘキシル類、例えばn−ヘキシル、イソヘキシル、および1,3−ジメチルブチルである。同様に、アルケニルは、例えば、アリル、1−メチルプロパ−2−エン−1−イル、2−メチルプロパ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−3−エン−1−イル、1−メチルブタ−3−エン−1−イルおよび1−メチルブタ−2−エン−1−イルである。アルキニルは、例えば、プロパルギル、ブタ−2−イン−1−イル、ブタ−3−イン−1−イル、1−メチルブタ−3−イン−1−イルである。多重結合は、各不飽和基のいずれの位置にあっても良い。シクロアルキルは3から6個の炭素原子を有する炭素環式飽和環系であり、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。同様に、シクロアルケニルは3から6個の炭素環員を有する単環式アルケニル基、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルであり、二重結合はいずれの位置にあっても良い。
【0007】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0008】
複素環は、3から6個の環原子を含む飽和、半飽和もしくは完全不飽和環状基を表し、その環原子のうち1から4個は酸素、窒素および硫黄の群からのものであり、この環はさらにベンゾ環と縮合していても良い。例えば、複素環は、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニルおよびオキセタニルである。
【0009】
ヘテロアリールは、3から6個の環原子を含む芳香族環状基を表し、その環原子のうちの1から4個は酸素、窒素および硫黄の群からのものであり、この環はさらにベンゾ環によって縮合していても良い。例えば、ヘテロアリールは、ベンズイミダゾール−2−イル、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ベンゾイソオキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、チオフェニル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、2H−1,2,3,4−テトラゾリル、1H−1,2,3,4−テトラゾリル、1,2,3,4−オキサトリアゾリル、1,2,3,5−オキサトリアゾリル、1,2,3,4−チアトリアゾリルおよび1,2,3,5−チアトリアゾリルである。
【0010】
ある基が基によって多置換されている場合、それは、この基が、1以上の同一もしくは異なる言及されている基によって置換されていることを意味する。これは、各種原子および要素による環系の形成にも同様に当てはまる。同時に、標準的な条件下で化学的に不安定であることを当業者が知っている化合物は特許請求の範囲から除外される。
【0011】
置換基の性質およびそれらが結合している方式に応じて、一般式(I)の化合物は立体異性体として存在する場合がある。例えば1以上の不斉炭素原子が存在する場合、エナンチオマーおよびジアステレオマーが生じても良い。同様に、nが1を表す場合(スルホキシド)も、立体異性体が生じる。立体異性体は、一般的な分離方法によって、例えばクロマトグラフィー分離方法によって、製造で得られた混合物から得ることができる。光学活性な出発原料および/または補助剤を用いる立体選択的反応を用いることで、立体異性体を選択的に製造することも可能である。本発明は、一般式(I)によって包含されるが、具体的には定義されていない全ての立体異性体およびそれらの混合物に関するものでもある。本発明による化合物は、オキシムエーテル構造のため、幾何異性体(E/Z異性体)として生じる可能性もある。本発明は、一般式(I)によって包含されるが、具体的には定義されていない全てのE/Z異性体およびそれらの混合物に関するものでもある。
【0012】
式(I)の化合物は、特にR
2が水素である場合に塩を形成することができる。塩は、例えばR
′の場合に酸性水素原子が結合している式(I)の化合物に対する塩基の作用によって形成することができる。好適な塩基の例は、トリアルキルアミン類、モルホリン、ピペリジンまたはピリジンなどの有機アミン類、さらにはアンモニウム、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩、特には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウムである。これらの塩は、酸性水素が農業的に好適なカチオンによって置き換わっている化合物、例えば金属塩、特にはアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、特にはナトリウム塩およびカリウム塩、あるいはアンモニウム塩、有機アミンとの塩または四級アンモニウム塩である。
【0013】
塩基性基、例えばアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ピペリジノ、モルホリノもしくはピリジノに、好適な無機もしくは有機酸、例えばHCl、HBr、H
2SO
4、H
3PO
4またはHNO
3などの鉱酸、または有機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、乳酸もしくはサリチル酸などのカルボン酸、またはスルホン酸類、例えばp−トルエンスルホン酸を付加させることで、式(I)の化合物は塩を形成することができる。そのような場合、これらの塩はアニオンとしての酸の共役塩基を含むものである。
【0014】
好ましいものは、
R
1、R
4およびR
5が互いに独立に各場合で、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ホルミル、(C
1−C
6)−アルキル、ハロ−(C
1−C
6)−アルキル、(C
2−C
6)−アルケニル、ハロ−(C
2−C
6)−アルケニル、(C
2−C
6)−アルキニル、ハロ−(C
2−C
6)−アルキニル、(C
3−C
6)−シクロアルキル、ハロ−(C
3−C
6)−シクロアルキル、(C
3−C
6)−シクロアルキル−(C
1−C
6)−アルキル、ハロ−(C
3−C
6)−シクロアルキル−(C
1−C
6)−アルキル、COR
7、COOR
7、N(R
7)
2、NR
7COOR
6、C(O)N(R
7)
2、NR
7C(O)N(R
7)
2、OC(O)N(R
7)
2、C(O)NR
7OR
7、OR
7、S(O)
wR
6、SO
2OR
6、SO
2N(R
7)
2、NR
7SO
2R
6、(C
1−C
6)−アルキル−S(O)
wR
6、(C
1−C
6)−アルキル−OR
7、(C
1−C
6)−アルキル−OSO
2R
6、(C
1−C
6)−アルキル−CO
2R
7、(C
1−C
6)−アルキル−SO
2OR
6、(C
1−C
6)−アルキル−CON(R
7)
2、(C
1−C
6)−アルキル−SO
2N(R
7)
2、(C
1−C
6)−アルキル−NR
7COR
7、(C
1−C
6)−アルキル−NR
7SO
2R
6、P(O)(OR
7)
2、CH
2P(O)(OR
7)
2、ヘテロアリール、複素環、(C
1−C
6)−アルキル−ヘテロアリールまたは(C
1−C
6)−アルキル複素環であり、最後に言及した
4個の基が各場合で、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C
1−C
6)−アルキル、ハロ−(C
1−C
6)−アルキル、S(O)
w−(C
1−C
6)−アルキル、(C
1−C
6)−アルコキシおよびハロ−(C
1−C
6)−アルコキシからなる群から選択されるs個の基によって置換されており、複素環が、それに結合したn個のオキソ基を有しており、
R
2が、水素、(C
1−C
6)−アルキル、ハロ−(C
1−C
6)−アルキル、(C
2−C
6)−アルケニル、(C
2−C
6)−アルキニル、(C
3−C
6)−シクロアルキルまたは(C
3−C
6)−シクロアルキル−(C
1−C
6)−アルキルであり、
R
3が、水素、ハロゲン、(C
1−C
6)−アルキル、ハロ−(C
1−C
6)−アルキル、(C
2−C
6)−アルケニル、(C
2−C
6)−アルキニルまたは(C
3−C
6)−シクロアルキルであり、
R
6が、(C
1−C
6)−アルキル、(C
2−C
6)−アルケニル、(C
2−C
6)−アルキニル、(C
3−C
6)−シクロアルキル、(C
4−C
8)−シクロアルケニルまたは(C
3−C
6)−シクロアルキル−(C
1−C
6)−アルキルであり、
R
7が、水素、(C
1−C
6)−アルキル、(C
2−C
6)−アルケニル、(C
2−C
6)−アルキニル、(C
3−C
6)−シクロアルキル、(C
4−C
8)−シクロアルケニルまたは(C
3−C
6)−シクロアルキル−(C
1−C
6)−アルキルであり、
nが0または1であり、
mが0、1または2であり、
oが0、1、2または3であり、
sが0、1、2または3であり、
wが0、1または2である一般式(I)の化合物である。
【0015】
特に好ましいものは、
R
1、R
4およびR
5が互いに独立に各場合で、ニトロ、ハロゲン、シアノ、ホルミル、(C
1−C
4)−アルキル、ハロ−(C
1−C
4)−アルキル、(C
2−C
6)−アルケニル、ハロ−(C
2−C
6)−アルケニル、(C
2−C
6)−アルキニル、ハロ−(C
2−C
6)−アルキニル、(C
3−C
6)−シクロアルキル、(C
3−C
6)−シクロアルキル−(C
1−C
6)−アルキル、COR
7、COOR
7、N(R
7)
2、NR
7COOR
6、C(O)N(R
7)
2、NR
7C(O)N(R
7)
2、OC(O)N(R
7)
2、C(O)NR
7OR
7、OR
7、S(O)
wR
6、SO
2N(R
7)
2、NR
7SO
2R
6、(C
1−C
6)−アルキル−S(O)
wR
6、(C
1−C
6)−アルキル−OR
7または(C
1−C
6)−アルキル−SO
2N(R
7)
2であり、
R
2が水素または(C
1−C
6)−アルキルであり、
R
3が水素、ハロゲン、(C
1−C
6)−アルキルまたはハロ−(C
1−C
6)−アルキルであり、
R
6が(C
1−C
6)−アルキルであり、
R
7が水素または(C
1−C
6)−アルキルであり、
nが0または1であり、
mが0または1であり、
oが0、1、2または3であり、
wが0、1または2である一般式(I)の化合物である。
【0016】
下記に具体的に記載の全ての式において、置換基および記号は、異なった形で定義されていない限り、式(I)に記載のものと同じ意味を有する。
【0017】
本発明による化合物は、例えば、下記の図表に具体的に記載された方法で製造することができる。
【化2】
【0018】
本明細書で使用される出発原料は市販されているか、例えばJournal of Org. Chemistry, 75(22), 7691;2010およびOrg. Synth. Coll., 1963, 4, 68に記載のように当業者に公知の簡単な方法によって製造することができる。
【0019】
上記の反応によって合成可能な式(I)の化合物および/またはそれの塩の群は並行して製造することもでき、その場合にそれは、手作業で、部分自動的もしくは完全自動的に行うことが可能である。例えば、反応の実施、後処理または生成物および/または中間体の精製を自動化することが可能である。全体としてそれは、例えば、D. Tiebes in Combinatorial Chemistry − Synthesis, Analysis, Screening (編者Gunther Jung), Wiley 1999, on pages 1 to 34によって記載の手順を意味するものと理解される。
【0020】
反応および後処理の並行実施については、多くの市販の装置、例えばBarnstead International, Dubuque, Iowa 52004−0797, USAからのカリプソ反応ブロックまたはRadleys, Shirehill, Saffron Walden, Essex, CB113AZ, Englandからの反応ステーション、またはPerkin Elmar, Waltham, Massachusetts 02451, USAからのMultiPROBE自動ワークステーションを用いることが可能である。一般式(I)の化合物およびそれの塩または製造の途中で生じる中間体の並行精製については、利用可能な装置には、例えばISCO, Inc., 4700 Superior Street, Lincoln, NE 68504, USAからのクロマトグラフィー装置などがある。
【0021】
詳細に記載した装置は、個々の作業段階を自動化するモジュラー式手順となるが、作業段階間では手動操作を行わなければならない。これは、個々の自動化モジュールを例えばロボットによって運転する部分的もしくは完全統合自動化システムを用いることで回避することができる。この種類の自動化システムは、例えばCaliper, Hopkinton, MA 01748, USAから得ることができる。
【0022】
単一または複数の合成段階の実施は、ポリマー担持試薬/捕捉剤樹脂の使用によって支援することができる。専門家の文献には、例えばChemFiles、Vol. 4, No. 1, Polymer−Supported Scavengers and Reagents for Solution−Phase Synthesis (Sigma−Aldrich)において一連の実験プロトコールが記載されている。
【0023】
本明細書に記載の方法以外に、一般式(I)の化合物およびそれの塩の製造は、固相担持法によって完全にまたは部分的に行うことができる。これに関しては、その合成または相当する手順に適合させた合成の個々の中間体または全ての中間体を、合成樹脂に結合させる。固相担持合成法については、例えばBarry A. Bunin in ″The Combinatorial Index″, Academic Press, 1998 and Combinatorial Chemistry−Synthesis, Analysis, Screening (編者Gunther Jung), Wiley, 1999などの技術文献に十分に説明されている。固相担持合成法を使用することで、文献から公知の多くのプロトコールが可能となり、それらの一部について手動でまたは自動的に行うことができる。例えば、その反応は、Nexus Biosystems, 12140 Community Road, Poway, CA92064, USAからのマイクロリアクターでのIRORI技術によって行うことができる。
【0024】
固相および液相のいずれでも、個々のもしくはいくつかの合成段階の完了を、マイクロ波技術を用いることで支援することができる。一連の実験プロトコールが専門文献に記載されており、例えばMicrowaves in Organic and Medicinal Chemistry (編者C. O. KappeおよびA. Stadler), Wiley, 2005にある。
【0025】
本明細書に記載の方法による製造によって、ライブラリと称される物質の収集物の形態で式(I)の化合物およびそれの塩が得られる。本発明は、少なくとも2種類の式(I)の化合物およびそれらの塩を含むライブラリを提供する。
【0026】
本発明の式(I)の化合物(および/またはそれの塩)は、下記において総称して「本発明の化合物」とも称され、広いスペクトラムの経済的に重要な単子葉および双子葉一年生有害植物に対して優れた除草抗力を有する。その活性化合物は、防除が困難で、根茎、根株または他の多年生の器官から苗条を生じる、多年生の有害植物に対しても良好に防除する。
【0027】
従って、本発明はまた、望ましくない植物を防除する方法または好ましくは作物植物において植物の成長を調節する方法であって、1以上の本発明の化合物を、植物(例えば有害植物、例えば単子葉または双子葉の雑草または望ましくない作物)、種子(例えば穀類、種子または塊茎のような栄養繁殖体(vegetative propagules)または芽が出た苗条部分)または植物が成長する区画(例えば栽培下の区画)に施用する方法を提供する。本発明の化合物は、例えば植え付け前(適切な場合、土壌中に組み込むことによっても)、発芽前または発芽後に施用することができる。本発明の化合物によって防除することができる単子葉および双子葉の雑草相のいくつかの代表的なものの具体例を下記に挙げるが、列挙が特定の種類への制限を課するものではない。
【0028】
単子葉有害植物の属:エギロプス属(Aegilops)、カモジグサ属(Agropyron)、コヌカグサ属(Agrostis)、スズメノテッポウ属(Alopecurus)、セイヨウヌカボ属(Apera)、カラスムギ属(Avena)、ニクキビ属(Brachiaria)、スズメノチャヒキ属(Bromus)、クリノイガ属(Cenchrus)、ツユクサ属(Commelina)、ギョウギシバ属(Cynodon)、カヤツリグサ属(Cyperus)、タツノツメガヤ属(Dactyloctenium)、メヒシバ属(Digitaria)、ヒエ属(Echinochloa)、ハリイ属(Eleocharis)、オヒシバ属(Eleusine)、カゼクサ属(Eragrostis)、ナルコビエ属(Eriochloa)、ウシノケグサ属(Festuca)、テンツキ属(Fimbristylis)、アメリカコナギ属(Heteranthera)、チガヤ属(Imperata)、カモノハシ属(Ischaemum)、アゼガヤ属(Leptochloa)、ドクムギ属(Lolium)、ミズアオイ属(Monochoria)、キビ属(Panicum)、スズメノヒエ属(Paspalum)、クサヨシ属(Phalaris)、アワガエリ属(Phleum)、イチゴツナギ属(Poa)、ツノアイアシ属(Rottboellia)、オモダカ属(Sagittaria)、アブラガヤ属(Scirpus)、エノコログサ属(Setaria)、モロコシ属(Sorghum)。
【0029】
双子葉雑草の属:イチビ属(Abutilon)、ヒユ属(Amaranthus)、ブタクサ属(Ambrosia)、アノダ属(Anoda)、カミツレモドキ属(Anthemis)、アファネス(Aphanes)、ヨモギ属(Artemisia)、アトリプレックス属(Atriplex)、ヒナギク属(Bellis)、センダングサ属(Bidens)、ナズナ属(Capsella)、ヒレアザミ属(Carduus)、ナンバンサイカチ属(Cassia)、ヤグルマギク属(Centaurea)、アカザ属(Chenopodium)、アザミ属(Cirsium)、セイヨウヒルガオ属(Convolvulus)、チョウセンアサガオ属(Datura)、ヌスビトハギ属(Desmodium)、エメックス(Emex)、エゾスズシロ属(Erysimum)、トウダイグサ属(Euphorbia)、チシマオドリコソウ属(Galeopsis)、コゴメギク属(Galinsoga)、ヤエムグラ属(Galium)、フヨウ属(Hibiscus)、サツマイモ属(Ipomoea)、ホウキギ属(Kochia)、オドリコソウ属(Lamium)、マメグンバイナズナ属(Lepidium)、アゼナ属(Lindernia)、シカレギク属(Matricaria)、ハッカ属(Mentha)、ヤマアイ属(Mercurialis)、ムルゴ(Mullugo)、ワスレナグサ属(Myosotis)、ケシ属(Papaver)、アサガオ属(Pharbitis)、オオバコ属(Plantago)、タデ属(Polygonum)、スベリヒユ属(Portulaca)、キンポウゲ属(Ranunculus)、ダイコン属(Raphanus)、イヌガラシ属(Rorippa)、キカシグサ属(Rotala)、スイバ属(Rumex)、オカヒジキ属(Salsola)、キオン属(Senecio)、ツノクサネム属(Sesbania)、キンゴジカ属(Sida)、シロガラシ属(Sinapis)、ナス属(Solanum)、ハチジョウナ属(Sonchus)、ナガボノウルシ属(Sphenoclea)、ハコベ属(Stellaria)、タンポポ属(Taraxacum)、グンバイナズナ属(Thlaspi)、ジャジクソウ属(Trifolium)、イラクサ属(Urtica)、クワガタソウ属(Veronica)、スミレ属(Viola)、オナモミ属(Xanthium)。
【0030】
本発明の化合物が発芽前に土壌表面に施用される場合、雑草実生の発芽が完全に防止されるか、雑草はそれらが子葉期に到達するまで成長するが、それは成長を停止し、最終的に3から4週間経過した後、完全に枯死する。
【0031】
活性化合物が植物の緑色植物部分に発芽後施用される場合、処置後に成長は停止し、そして有害植物は、施用時の成長段階にとどまるか、または一定期間の後、完全に枯死するために、作物植物にとって有害である雑草による競合が、非常に早期にかつ持続的になくなる。
【0032】
本発明の化合物は単子葉および双子葉の雑草に対して優れた除草活性を有するが、経済的に重要な作物の作物、例えばラッカセイ属(Arachis)、フダンソウ属(Beta)、アブラナ属(Brassica)、キュウリ属(Cucumis)、カボチャ属(Cucurbita)、ヒマワリ属(Helianthus)、ニンジン属(Daucus)、ダイズ属(Glycine)、ワタ属(Gossypium)、サツマイモ属(Ipomoea)、アキノノゲシ属(Lactuca)、アマ属(Linum)、トマト属(Lycopersicon)、タバコ属(Nicotiana)、インゲンマメ属(Phaseolus)、エンドウ属(Pisum)、ナス属(Solanum)、ソラマメ属(Vicia)の双子葉作物、またはネギ属(Allium)、アナナス属(Ananas)、アスパラガス属(Asparagus)、カラスムギ属(Avena)、オオムギ属(Hordeum)、イネ属(Oryza)、キビ属(Panicum)、サトウキビ属(Saccharum)、ライムギ属(Secale)、モロコシ属(Sorghum)、ライコムギ属(Triticale)、コムギ属(Triticum)、トウモロコシ属(Zea)、特にはトウモロコシ属およびコムギ属の単子葉作物は、特定の本発明の化合物の構造およびその施用量に応じて、無視できる程度またはあったとしてもわずかの程度しか損傷を受けない。そのため、本化合物が、農業上有用な植物または観賞植物などの植物作物における望ましくない植物成長を選択的に防除する上で非常に適している。
【0033】
さらに、本発明の化合物は、(それらの特定の構造および施用される施用量に応じて)作物において優れた成長調節性を有する。それは、調節的効果で植物自体の代謝に関与するので、植物成分に制御された影響を与えるために、そして、例えば乾燥および成長阻害を誘発することによる収穫向上に使用することができる。さらに、それは、植物を枯死させることなく望ましくない植物成長を抑制および阻害するのにも適している。植物成長の阻害は、例えばそれによって倒伏を減らすか完全に防止することができることから、多くの単子葉作物および双子葉作物において主要な役割を果たす。
【0034】
また、活性化合物は、その除草性および植物成長調節性のため、遺伝子操作された植物の作物または従来の突然変異誘発によって改変された植物において有害植物を防除するのに使用することもできる。概して、トランスジェニック植物は、特定の有利な性質によって、例えばある種の農薬、特にはある種の除草剤に対する抵抗性、植物病害または植物病害の病原体、例えばある種の昆虫もしくは微生物、例えば真菌、細菌もしくはウイルスに対する抵抗性を特徴とする。他の特定の性質は、例えば収穫物の量、品質、貯蔵性、組成および具体的な成分に関係する。例えば、デンプン含量が増加したもしくはデンプン品質が変わった公知のトランスジェニック植物または収穫物において異なる脂肪酸組成を有するものがある。
【0035】
トランスジェニック作物に関して、有用植物および観賞植物の経済的に重要なトランスジェニック作物、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、キビ/モロコシ、イネおよびトウモロコシのような穀物または他にテンサイ、ワタ、ダイズ、アブラナ、ジャガイモ、トマト、エンドウおよび他の種類の野菜の作物において本発明による化合物を使用することが好ましい。除草剤の植物毒性効果に対して抵抗性であるか組換え手段によって抵抗性となった有用植物の作物において除草剤として、本発明による化合物を使用することが好ましい。
【0036】
有用植物および観賞植物の経済的に重要なトランスジェニック作物、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、キビ/モロコシ、イネ、キャッサバおよびトウモロコシのような穀物または他にテンサイ、ワタ、ダイズ、アブラナ、ジャガイモ、トマト、エンドウおよび他の種類の野菜の作物において本発明の化合物またはそれの塩を使用することが好ましい。好ましくは、除草剤の植物毒性効果に対して抵抗性であるか組換え手段によって抵抗性となった有用植物の作物において除草剤として、本発明の化合物を使用することができる。
【0037】
既存の植物と比較して、改変された性質を有する新規植物を発生させる従来法は、例えば、従来の育種法および突然変異体の生成にある。別法として、改変された性質を有する新規植物は、組換え法を用いて形成することができる(例えば、EP−A−0221044、EP−A−0131624参照)。例えば、下記のものについての記載が多くある。
【0038】
−植物中で合成されるデンプンを変性させることを目的とした作物の組換え改変(例えばWO 92/11376、WO 92/14827、WO 91/19806)、
−グルホシネート型(例えば、EP−A−0242236、EP−A−242246参照)またはグリホセート型(WO 92/00377)またはスルホニル尿素型(EP−A−0257993、US−A−5013659)の特定の除草剤に対して抵抗性であるトランスジェニック作物、
−植物を特定の有害生物に対して抵抗性とするバチルス・チューリンゲンシス毒素(Bt毒素)を産生する能力を有するトランスジェニック作物(例えばワタ)(EP−A−0142924、EP−A−0193259)、
−改変された脂肪酸組成を有するトランスジェニック作物(WO 91/13972)、
−新規の成分または二次代謝産物で遺伝子操作された作物、例えば耐病性が高められた新規のフィトアレキシン(EPA 309862、EPA0464461)、
−より多い収穫量およびより高いストレス耐性を特徴とする光呼吸が低下した遺伝子組換え植物(EPA 0305398)、
−医薬的または診断的に重要なタンパク質を産生するトランスジェニック作物(「分子ファーミング(molecular pharming)」)、
−より高い収率またはより良好な品質を特徴とするトランスジェニック作物、
−例えば前記の新規性質の組み合わせを特徴とするトランスジェニック作物(「遺伝子スタッキング」)。
【0039】
改変された性質を有する新規なトランスジェニック植物を発生させることができる非常に多くの分子生物学的技術が基本的に知られており、例えばI.Potrykus and G.Spangenberg (編) Gene Transfer to Plants, Springer Lab Manual (1995), Springer Verlag Berlin, Heidelberg.またはChristou, ″Trends in Plant Science″ 1 (1996) 423−431)を参照する。
【0040】
そのような組換え操作を実行するため、突然変異誘発またはDNA配列の組換えによる配列改変を可能にする核酸分子を、プラスミド中に導入することができる。例えば、標準的方法を用い、塩基交換を行うことができ、部分配列を除去することができ、または天然もしくは合成配列を付加することができる。DNA断片を互いに連結するために、断片にアダプターまたはリンカーを付着させることができる。Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY;または Winnacker ″Gene und Klone″[Genes and Clones], VCH Weinheim 2nd edition., 1996を参照する。
【0041】
例えば、遺伝子産物の活性が低下した植物細胞の発生は、少なくとも一つの相当するアンチセンスRNA、または共抑制効果を達成するためのセンスRNAの発現によって、または具体的には前記の遺伝子産物の転写産物を切断する少なくとも一つの好適に構築されたリボザイムの発現によって達成することができる。そのためには、第1に、存在する可能性のあるあらゆる隣接配列を含む遺伝子産物の全コード配列を含むDNA分子、そしてコード配列の一部のみを含むDNA分子も使用することができ、これらの部分は、細胞にアンチセンス効果を有するのに十分長い必要がある。また、遺伝子産物のコード配列と高度に相同性を有するが、それと完全に同一なわけではないDNA配列を用いることもできる。
【0042】
植物中で核酸分子を発現するとき、合成されたタンパク質は、植物細胞のいずれか所望の区画に局在化してもよい。しかしながら、特定の区画での局在化を行うには、例えば、ある特定の区画での局在化を確保するDNA配列とコード領域を連結させることが可能である。そのような配列は、当業者には公知である(例えば、Braun et al., EMBO J. 11 (1992), 3219−3227; Wolter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988), 846−850; Sonnewald et al., Plant J. 1 (1991), 95−106参照)。また、核酸分子は、植物細胞の細胞小器官で発現させることもできる。
【0043】
トランスジェニック植物細胞は、植物全体を生じる公知の技術によって再生することができる。基本的に、トランスジェニック植物は、あらゆる所望の植物種、すなわち単子葉だけでなく双子葉の植物でもあることもできる。
【0044】
従って、相同性(=生来の)遺伝子もしくは遺伝子配列の過剰発現、抑制もしくは阻害または非相同性(=外来の)遺伝子もしくは遺伝子配列の発現によって、特性が改変されたトランスジェニック植物を得ることができる。
【0045】
好ましくは、例えばジカンバのような成長調節剤に対してまたは必須の植物酵素、例えばアセト乳酸シンターゼ(ALS)、EPSPシンターゼ、グルタミンシンターゼ(GS)もしくはヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害する除草剤に対して、またはスルホニル尿素、グリホセート、グルホシネートまたはベンゾイルイソオキサゾール類および類似の活性物質の群からの除草剤および類似の活性化合物に対して抵抗性であるトランスジェニック作物において、本発明の化合物を使用する。
【0046】
本発明の活性化合物をトランスジェニック作物で使用するとき、他の作物で認められる有害植物に対する効果だけでなく、特定のトランスジェニック作物での施用に特有である効果も認められる場合が多く、例えば防除可能な雑草スペクトルの変更もしくは具体的には拡大、施用に用いることができる施用量の変更、好ましくはトランスジェニック作物が抵抗性である除草剤との良好な併用性(combinability)、ならびにトランスジェニック作物の成長および収穫量への影響である。
【0047】
従って、本発明は、トランスジェニック作物植物において有害植物を防除するための除草剤としての本発明の化合物の使用を提供する。
【0048】
一般式(I)の化合物の除草特性のため、本発明はさらに、有害植物を防除するための除草剤としての本発明の一般式(I)の化合物の使用も提供する。
【0049】
本発明の化合物は、水和剤、乳剤、噴霧液、粉剤または粒剤の形態で慣用の製剤で施用することができる。従って、本発明は、本発明の化合物を含む除草および植物成長調節組成物を提供する。
【0050】
本発明の化合物は、要求される生理的および/または物理化学的パラメータに応じて、各種形態で製剤することができる。可能な製剤には、例えば、水和剤(WP)、水溶剤(SP)、水溶性濃縮物、乳剤(EC)、乳濁液(EW)、例えば水中油および油中水型乳濁液、噴霧液、懸濁液の濃縮物(SC)、油もしくは水に基づく分散液、油剤、カプセル懸濁液(CS)、粉剤(DP)、種子粉衣製品、散布および土壌施用のための粒剤、微粒剤の形態の粒剤(GR)、噴霧粒剤、被覆粒剤および吸着粒剤、水分散性粒剤(WG)、水溶性粒剤(SG)、ULV製剤、マイクロカプセルならびにロウなどがある。
【0051】
これらの個々の製剤タイプは基本的に公知であり、例えば、Winnacker−Kuechler, ″Chemische Technologie″[Chemical Technology], 第7巻, C. Hanser Verlag Munich, 第4版 1986, Wade van Valkenburg, ″Pesticide Formulations″, Marcel Dekker, N.Y., 1973; K. Martens, ″Spray Drying″ Handbook, 第3版 1979, G. Goodwin Ltd. Londonに記載されている。
【0052】
不活性材料、界面活性剤、溶媒およびさらなる添加剤のような必要な製剤補助剤も同様に知られており、例えばWatkins, ″Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers″, 第2版, Darland Books, Caldwell N. J.;H.v.Olphen, ″Introduction to Clay Colloid Chemistry″; 第2版, J. Wiley & Sons, N.Y.; C. Marsden, ″Solvents Guide″; 第2版, Interscience, N.Y. 1963; McCutcheon′s ″Detergents and Emulsifiers Annual″, MC Publ.Corp., Ridgewood N.J.; Sisley and Wood, ″Encyclopedia of Surface Active Agents″, Chem. Publ. Co. Inc., N.Y. 1964; Schoenfeldt, ″Grenzflaechenaktive Aethylenoxidaddukte″ [Interface−active Ethylene Oxide Adducts], Wiss. Verlagsgesellschaft, Stuttgart 1976; Winnacker−Kuechler, ″Chemische Technologie″[Chemical Engineering], 第7巻, C.Hanser Verlag Munich, 第4版 1986.に記載されている。
【0053】
これらの製剤に基づいて、例えば最終製剤またはタンクミックスの形態で、例えば殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、殺菌剤などの他の農薬活性物質と、そして薬害軽減剤、肥料および/または成長調節剤との組み合わせ剤を調製することも可能である。好適な薬害軽減剤は、例えばメフェンピル−ジエチル、シプロスルファミド(cyprosulfamide)、イソキサジフェン−エチル、クロキントセット−メキシルおよびジクロルミドである。
【0054】
水和剤は、水中に均一に分散可能であり、そして活性化合物に加えて、希釈剤や不活性物質は別として、イオン型および/またはノニオン型の界面活性剤(湿展剤、分散剤)、例えばポリオキシエチル化アルキルフェノール、ポリオキシエチル化脂肪族アルコール、ポリオキシエチル化脂肪族アミン、脂肪族アルコールポリグリコールエーテルサルフェート、アルカンスルホン酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸エステル、リグノスルホン酸ナトリウム、2,2′−ジナフチルメタン−6,6′−ジスルホン酸ナトリウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムまたは他にオレオイルメチルタウリン酸ナトリウムも含む製剤である。水和剤を製造するには、除草有効成分を、例えばハンマーミル、ブロワミルおよびエアジェットミルのような慣用の装置中で微粉砕し、そして同時にまたはその後で製剤補助剤と混合する。
【0055】
乳剤は、活性化合物を有機溶媒、例えばブタノール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、キシレンまたは他に相対的に高い沸点の芳香族もしくは炭化水素または有機溶媒の混合物中に溶解し、1以上のイオン系および/またはノニオン系界面活性剤(乳化剤)を添加することによって製造される。使用可能な乳化剤の例は、アルキルアリールスルホン酸カルシウム塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、またはノニオン系乳化剤、例えば脂肪酸ポリグリコールエステル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル、プロピレンオキサイド−エチレンオキシド縮合物、アルキルポリエーテル、ソルビタンエステル、例えばソルビタン脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。
【0056】
粉剤は、微粉砕された固形物質、例えばタルク、自然粘土、例えばカオリン、ベントナイトおよびピロフィライトまたは珪藻土と共に活性物質を粉砕することによって得られる。
【0057】
懸濁濃縮物は、水または油に基づくものであることができる。それは、例えば、市販のビーズミルによる湿式粉砕によって、そして例えば他の製剤タイプについてすでに上記で挙げた界面活性剤を添加して製造することができる。
【0058】
乳濁液、例えば水中油型乳濁液(EW)は、例えば水系有機溶媒および適宜に例えば他の製剤タイプについて既に挙げた界面活性剤を用いて撹拌機、コロイドミルおよび/またはスタティックミキサーによって製造することができる。
【0059】
粒剤は、吸着性の顆粒状不活性材料上に活性物質を噴霧することによって、または接着剤、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムもしくは他に鉱油を用いて、担体物質、例えば砂土、カオリナイトもしくは顆粒状不活性材料の表面に活性化合物濃縮液を塗布することによって調製いすることができる。また、好適な活性化合物を、所望の場合に肥料との混合物として、肥料顆粒の製造に慣用のやり方で造粒することもできる。
【0060】
顆粒水和剤は、一般に噴霧乾燥、流動床造粒、パン造粒、高速混合機による混合、および固形不活性材料なしの押出といったような慣用の方法によって製造される。
【0061】
パン粒剤、流動床粒剤、押出粒剤および噴霧粒剤を製造するには、例えば″Spray−Drying Handbook″ 第3版 1979, G.Goodwin Ltd., London; J.E. Browning, ″Agglomeration″, Chemical and Engineering 1967, 第147頁以下; ″Perry′s Chemical Engineer′s Handbook″, 第5版, McGraw−Hill, New York 1973, 第8−57頁における方法を参照する。
【0062】
作物保護組成物の製剤に関するさらなる詳細については、例えば、G.C.Klingman, ″Weed Control as a Science″, John Wiley and Sons, Inc., New York, 1961, 第81−96頁およびJ.D.Freyer, S.A.Evans, ″Weed Control Handbook″, 第5版, Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1968, 第101−103頁を参照する。
【0063】
農薬製剤は、通常、0.1から99重量%、特別には0.1から95重量%の本発明の化合物を含む。
【0064】
水和剤では、活性化合物の濃度は、例えば約10から90重量%であり、100重量%までの残りは、慣用の製剤成分からなる。乳剤においては、活性化合物の濃度は、約1から90重量%、好ましくは5から80重量%であることができる。粉剤タイプの製剤は、1から30重量%の活性化合物、好ましくは通常は5から20重量%の活性化合物を含み;噴霧液は、約0.05から80重量%、好ましくは2から50重量%の活性化合物を含む。顆粒水和剤の場合、活性化合物含有量は、活性化合物が液体で存在するか固体で存在するかによって、そして使用される造粒助剤、充填剤などによって部分的に決まる。水分散性粒剤では、例えば、活性化合物の含有量は、1から95重量%、好ましくは10から80重量%である。
【0065】
さらに、記載された活性化合物製剤は、それぞれ慣用の粘着付与剤、湿展剤、分散剤、乳化剤、浸透剤、保存剤、不凍剤および溶媒、充填剤、担体および色素、消泡剤、蒸発抑制剤ならびにpHおよび粘度に影響する薬剤を含んでいても良い。
【0066】
これらの製剤に基づいて、例えば最終製剤の形態でまたはタンクミックスとして、例えば殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、殺菌剤などの他の農薬活性物質と、そして薬害軽減剤、肥料および/または成長調節剤との組み合わせ剤を製造することも可能である。
【0067】
混合製剤またはタンクミックスで本発明による化合物と組み合わせて使用可能な有効成分は、例えば、アセト乳酸シンターゼ、アセチル−CoAカルボキシラーゼ、セルロースシンターゼ、エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ、グルタミンシンターゼ、p−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ、フィトエンデサチュラーゼ、光化学系I(photosystem I)、光化学系II(photosystem II)、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼの阻害に基づく既知の有効成分であり、例えば、Weed Research 26 (1986) 441−445 または “The Pesticide Manual”, 第15版, The British Crop Protection Council and the Royal Soc. of Chemistry, 2009およびその中に引用された文献に記載されている。
【0068】
施用においては、適切であれば、市販形態での製剤を、一般的な方法で、例えば水和剤、乳剤、分散剤および顆粒水和剤の場合には水で希釈する。ダスト型製剤、土壌施用用粒剤または散布用粒剤および噴霧液剤は通常、施用前に他の不活性物質でそれ以上希釈しない。
【0069】
式(I)の化合物の必要な施用量は、特には温度、湿度および使用される除草剤の種類などの外部条件に応じて変わる。それは、広い範囲内で変動し得るものであり、例えば活性物質0.001から1.0kg/ha以上であるが、しかしながら好ましくは、それは0.005から750g/haである。
【0070】
下記の実施例は本発明を説明するものである。
【0071】
A.化学実施例
1.6′−クロロ−2,2′−ビピリジン−3−カルボン酸メチル(1)
アルゴン下に、(Ph
3P)
2PdCl
2 0.49g(0.70mmol)を、2−ブロモニコチン酸メチル3.0g(13.9mmol)の溶液に室温で加える。その後、2−クロロ−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン3.33g(13.78mmol)、K
2CO
3 5.76g(41.68mmol)およびH
2O 11mLをその順で混合物に加え、得られた混合物を還流下に6時間撹拌し、次に室温(RT)で終夜放置する。後処理のため、反応混合物をH
2O 150mLに投入し、CH
2Cl
2で繰り返し抽出する。合わせた有機相をNa
2SO
4で脱水し、次に濃縮する。そうして得られた粗生成物について、移動相としてヘプタン/酢酸エチル(7:3)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーによる精製を行う。これによって、生成物2.50g(72%)が無色油状物として得られる。
1H NMR(CDCl
3)δ8.70(dd、1H)、8.15(dd、1H)、7.95(dd、1H)、7.80(dd、1H)、7.40(dd、1H)、7.37(dd、1H)、3.90(s、3H、COOMe)。
【0072】
2.6′−(4−クロロフェニル)−2,2′−ビピリジン−3−カルボン酸メチル(2)
6′−クロロ−2,2′−ビピリジン−3−カルボン酸メチル(1)2.5g(10.05mmol)のジオキサン(70mL)中溶液にアルゴン下で、(Ph
3P)
2PdCl
2 0.21g(0.30mmol)を加え、混合物を室温で30分間撹拌する。その後、パラ−クロロフェニルボロン酸1.98g(12.08mmol)、K
2CO
3 4.17g(30.17mmol)およびH
2O 7mLをその順で混合物に加え、混合物を還流下に6時間撹拌し、次に終夜にわたりRTで放置する。後処理のため、反応混合物をH
2O 100mLに投入し、CH
2Cl
2で繰り返し抽出する。合わせた有機相をNa
2SO
4で脱水し、濃縮する。残留物を、移動相としてヘプタン/酢酸エチル(7:3)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製する。これによって、生成物2.7g(82.7%)が固体として得られる。融点:120.5℃;
1H NMR(CDCl
3)δ8.75(dd、1H)、8.17(dd、1H)、8.00(m、2H、C
6H
4Cl)、7.95(dd、1H)、7.92(dd、1H)、7.28(dd、1H)、7.45(m、2H、C
6H
4Cl)、7.40(dd、1H)、3.60(s、3H、COOMe)。
【0073】
3.6′−(4−クロロフェニル)−2,2′−ビピリジン−3−カルボン酸(3)
6′−(4−クロロフェニル)−2,2′−ビピリジン−3−カルボン酸メチル(2)0.23g(0.71mmol)およびNaOH 0.04g(0.99mmol)のTHF(6mL)およびH
2O(2.5mL)中溶液を50℃で4時間撹拌し、次にRTで12時間放置する。後処理のため、THFをロータリーエバポレータによって除去し、水系残留物を少量のCH
2Cl
2で抽出する。1N HClを用いて水相をpH2とすると、粘稠結晶スラリーが生成物として得られる。これによって、生成物70mg(32%)が固体として得られる。融点:221℃;
1H NMR(CDCl
3)δ8.85(dd、1H)、8.79(dd、1H)、8.62(dd、1H)、8.15(dd、1H)、7.85(m、2H、C
6H
4Cl)、7.82(dd、1H)、7.54(m、2H、C
6H
4Cl)、7.51(d、1H)。
【0074】
4.カリウム6′−(4−クロロフェニル)−2,2′−ビピリジン−3−カルボン酸(4)
MeOH/H
2O(1/1)10mLに溶かしたKOH 0.008gを、6′−(4−クロロフェニル)−2,2′−ビピリジン−3−カルボン酸(3)0.042g(0.13mmol)のジオキサン/メタノールの溶媒混合物(8/2)(8mL)中溶液に加え、この混合物を40℃で1時間撹拌する。その後、溶液を溶媒留去して乾固させる。これによって、生成物40mg(93%)が非晶質固体として得られる。
1H NMR(DMSO)δ8.41(dd、1H)、8.30(m、2H、C
6H
4Cl)、7.90(m、2H)、7.75(d、2H)、7.70(d、2H)、7.50(m、2H、C
6H
4Cl)、7.25(dd、1H)。
【0075】
下記の表中に挙げた実施例は、上記の方法と同様にして製造したか、上記の方法と同様にして得ることができる。その表に挙げた化合物が、非常に特別に好ましい。略称Meはメチルを表す。基R
2に記号KまたはNaが与えられる場合、それは、本発明による個々の化合物がそれのナトリウム塩またはカリウム塩の形態で存在することを意味する。
【0076】
表1:R
1、R
3およびR
4がそれぞれ水素であり、R
2およびR
5が表1に示した意味を有する本発明の式(I)の化合物
【化3】
【表1】
【0077】
表2:R
1およびR
4がそれぞれ水素であり、R
3が塩素であり、R
2およびR
5が表1で示した意味を有する本発明の式(I)の化合物
【化4】
【表2】
【0078】
表3:R
1およびR
4がそれぞれ水素であり、R
3がフッ素であり、R
2およびR
5が表1に示した意味を有する本発明の式(I)の化合物
【化5】
【表3】
【0079】
B.製剤例
a)粉剤は式(I)の化合物および/またはそれの塩10重量部および不活性物質としてのタルク90重量部を混合し、その混合物をハンマーミルで粉砕することにより得られる。
【0080】
b)容易に水中で分散し得る水和剤は、式(I)の化合物および/またはそれの塩25重量部、不活性物質としてのカオリン含有石英64重量部、リグノスルホン酸カリウム10重量部ならびに湿展剤および分散剤としてのオレオイルメチルタウリン酸ナトリウム1重量部を混合し、その混合物をピン付きディスクミルで粉砕することにより得られる。
【0081】
c)容易に水中で分散し得る分散液濃縮物は、式(I)の化合物および/またはそれの塩20重量部をアルキルフェノールポリグリコールエーテル(Triton(登録商標)X207)6重量部、イソトリデカノールポリグリコールエーテル(8EO)3重量部およびパラフィン系鉱油(沸点範囲:例えば約255から277℃超まで)71重量部と混合し、その混合物をボールミルで5ミクロン以下の粉末度まで粉砕することにより得られる。
【0082】
d)乳剤は式(I)の化合物および/またはそれの塩15重量部、溶媒としてのシクロヘキサノン75重量部および乳化剤としてのエトキシル化ノニルフェノール10重量部から得られる。
【0083】
e)水分散性粒剤は、
式(I)の化合物および/またはそれの塩75重量部、
リグノスルホン酸カルシウム10重量部、
ラウリル硫酸ナトリウム5重量部、
ポリビニルアルコール3重量部および
カオリン7重量部
を混合し、その混合物をピン付きディスクミルで粉砕し、造粒液としての水を噴霧してその粉末を流動床で造粒することにより得られる。
【0084】
f)水分散性粒剤はまた、
式(I)の化合物および/またはそれの塩25重量部、
2,2′−ジナフチルメタン−6,6′−ジスルホン酸ナトリウム5重量部、
オレオイルメチルタウリン酸ナトリウム2重量部、
ポリビニルアルコール1重量部、
炭酸カルシウム17重量部および
水50重量部
を均質化および予備粉砕し、次にその混合物をビーズミルで粉砕し、得られた懸濁液を噴霧塔で1相ノズルにより噴霧および乾燥することにより得られる。
【0085】
C.生物例
1.有害植物に対する発芽前除草作用
単子葉および双子葉の雑草および作物植物の種子を木質繊維ポット中の砂壌土に入れ、土で覆う。次に、水和剤(WP)の形態でのまたは濃縮エマルション(EC)として製剤された本発明の化合物を、0.2%湿展剤を加えて600から800L/haの水施用量で水系懸濁液または乳濁液の形態で覆土の表面に施用する。処理後、ポットを温室に入れ、試験植物の良好な成長条件下に維持する。3週間の試験期間後に、未処理対照と比較して、試験植物に対する損傷を肉眼で評価する(パーセント(%)での除草活性:100%活性=植物が枯死、0%活性=対照植物と同様)。例えば、化合物番号1.002、1.182および1.242はそれぞれ、1280g/haの施用量で、サンシキスミレ(Viola tricolor)およびアオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)に対して少なくとも90%活性を示す。
【0086】
2.有害植物に対する発芽後除草作用
単子葉および双子葉の雑草および作物植物の種子を木質繊維ポット中の砂壌土に入れ、土で覆い、良好な成長条件下に温室で栽培する。播種から2から3週間後、試験植物を1葉期で処理する。次に、水和剤(WP)の形態でまたは濃縮エマルション(EC)として製剤された本発明の化合物を、0.2%湿展剤を加えて600から800L/haに等しい水施用量で水系懸濁液または乳濁液として植物の緑色部分の上に噴霧する。約3週間にわたって至適な成長条件下で試験植物を温室に放置しておいた後、未処理対照と比較して、製剤の作用を肉眼で評価する(パーセント(%)での除草作用:100%活性=植物が枯死、0%活性=対照植物と同様)。例えば、化合物番号1.002、1.241、1.182および1.242はそれぞれ、320g/haの施用量で、アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)に対して少なくとも80%の活性を示す。