特許第6227652号(P6227652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227652ソフトリソグラフィを用いてミニチュア内視鏡を製作するためのシステム、方法、およびコンピュータ・アクセス可能媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227652
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ソフトリソグラフィを用いてミニチュア内視鏡を製作するためのシステム、方法、およびコンピュータ・アクセス可能媒体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20171030BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20171030BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20171030BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20171030BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   G02B5/18
   G02B3/00 B
   G02B23/24 B
   A61B1/00 R
   G02B6/02 421
【請求項の数】26
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-528618(P2015-528618)
(86)(22)【出願日】2013年8月21日
(65)【公表番号】特表2015-535941(P2015-535941A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(86)【国際出願番号】US2013055982
(87)【国際公開番号】WO2014031748
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2016年7月26日
(31)【優先権主張番号】61/692,117
(32)【優先日】2012年8月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/779,671
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(73)【特許権者】
【識別番号】515047725
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ティアニー ギレルモ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ボウマ ブレット ユージン
(72)【発明者】
【氏名】カン ドンキュン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトサイズ ジョージ エム.
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス レイムズ
【審査官】 吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2010/090088(JP,A1)
【文献】 再公表特許第2012/133414(JP,A1)
【文献】 特開2011−170224(JP,A)
【文献】 特開2007−212547(JP,A)
【文献】 特表2011−527930(JP,A)
【文献】 特開2010−141064(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0237892(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0097225(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0188855(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0062638(US,A1)
【文献】 特表2010−508554(JP,A)
【文献】 特表2008−507114(JP,A)
【文献】 特表2008−521516(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0114473(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18,5/32
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトルでコード化された内視鏡検査光学配置において回折する回折構成を提供する方法であって、
少なくとも1つのパターン化した表面を有するエラストマー材料を提供する手順、
プレポリマー接着剤配合物を用いて前記エラストマー材料を導波路配置の少なくとも一部と接続する手順、および、
前記エラストマー材料の構造または少なくとも1つの特徴を少なくともほぼ複製する前記回折構成を形成するように、前記プレポリマー接着剤配合物を重合させる手順、
を含む、方法。
【請求項2】
前記回折構成は、格子である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光学配置から前記エラストマー材料を取り除く手順をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光学配置は、前記回折構成との光通信において少なくとも1つのレンズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エラストマー材料は、堅いエラストマーコンポーネントおよび柔らかいバックサポートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記重合させる手順は、重合させるために前記プレポリマー接着剤配合物に少なくとも1つの電磁放射線を適用する手順を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電磁放射線は、前記導波路配置を介して提供される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プレポリマー接着剤配合物は、1.3〜1.7の屈折率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記回折構成は、1mm未満の直径または横断面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記格子は、1000ライン/mmよりも大きい溝密度を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記格子は、1よりも大きい溝アスペクト比を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記格子は、70%よりも大きい回折効率を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記光学配置は、GRINレンズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
スペクトルでコード化された内視鏡検査光学配置において回折する回折構成を提供するシステムであって、
a.少なくとも1つのパターン化した表面を有するエラストマー材料を提供するために、
b.プレポリマー接着剤配合物を用いて前記エラストマー材料を導波路配置の少なくとも一部と接続するために、そして、
c.前記エラストマー材料の構造または少なくとも1つの特徴を少なくともほぼ複製する前記回折構成を形成するように、前記プレポリマー接着剤配合物を重合させるために、
プロセス構成をコントロールするように構成される処理コンピュータ装置、
を備える、システム。
【請求項15】
前記回折構成は、格子である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記格子は、1000ライン/mmよりも大きい溝密度を有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記格子は、1よりも大きい溝アスペクト比を有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記格子は、70%よりも大きい回折効率を有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記処理コンピュータ装置は、前記光学配置から前記エラストマー材料を取り除くために、前記プロセス構成をコントロールするようにさらに構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記光学配置は、前記回折構成との光通信において少なくとも1つのレンズを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項21】
前記エラストマー材料は、堅いエラストマーコンポーネントおよび柔らかいバックサポートを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
前記重合させることは、重合させるために前記プレポリマー接着剤配合物に少なくとも1つの電磁放射線を適用することによって、前記処理コンピュータ装置により実行される、請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
前記処理コンピュータ装置は、前記導波路配置を介して提供される前記少なくとも1つの電磁放射線をコントロールする、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記プレポリマー接着剤配合物は、1.3〜1.7の屈折率を有する、請求項14に記載のシステム。
【請求項25】
前記回折構成は、1mm未満の直径または横断面を有する、請求項14に記載のシステム。
【請求項26】
前記光学配置は、GRINレンズを含む、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願についての相互参照]
本願は、2012年8月22日出願の米国仮特許出願第61/692,117号および2013年3月13日出願の米国仮特許出願第61/779,671号に関し、そしてその優先権を主張する。そしてその開示内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、概して、ミニチュア顕微鏡の製作に関し、そして特に、ソフトリソグラフィを用いてミニチュア内視鏡を製作するための、そして最少侵襲的画像形成および画像に導かれる治療のための、例示的なシステム、方法、およびコンピュータ・アクセス可能媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
スペクトルでコード化された内視鏡検査(「SEE」)は、サブミリメートルの直径のプローブを通して高解像度画像診断を行うことができるミニチュア内視鏡検査技術である。SEEについては、ブロードバンド光は、サンプル上の分散したスペクトルを生じて、ファイバの先端で格子によって回折される。サンプルから反射される光は、分光計を用いて検出される。そして、各分解可能な波長は、サンプルの異なる位置からの反射率に対応する。以前、SEE手順は、350μmの直径のプローブを用いて行われた。そしてそれは、2次元のおよび3次元の高品質の画像を生成した。SEEプローブを製作するための技術的挑戦の1つは、高い回折効率を有するサブミリメートルの透過回折格子を作ること、および、ミニチュア格子をプローブ内の他の光学コンポーネントと正確にアセンブルすること、であった。
【0004】
したがって、SEEプローブの上記の製作を改善すること、および、従来のデバイスの不足の少なくともいくらかを克服することは、必要でもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、そのような例示的必要を扱うために、本開示の例示的実施形態によるソフトリソグラフィを用いてミニチュア内視鏡を製作するためのシステム、方法、およびコンピュータ・アクセス可能媒体は、提供されることができる。1つの例示的実施形態によれば、方法、システム、およびコンピュータ・アクセス可能媒体は、SEE画像光学系上のミニチュア回折格子の製作を含む、ソフトリソグラフィを用いてSEEプローブを製作するために提供されることができる。
【0006】
1つの例示的実施形態において、ミニチュア格子は、最初にPDMS格子マスターパターンを作り、次いで、ミニチュア画像形成レンズ上に格子パターンを複製することによって提供されることができる。この方法によって製作される格子で最小直径は、直径0.1mm未満の超ミニチュアSEEプローブの製作を有効にする、画像形成レンズの最小サイズによって制限されるだけである。そして、ミニチュア格子は、最終的なデバイスを安価にしている紫外光硬化エポキシ、ポリウレタン、または他の低コスト・ポリマーによって容易に製作されることができる。
【0007】
したがって、本開示の特定の例示的実施形態によれば、光学配置において回折する回折構成が提供されることができるための例示的な方法およびシステムは、示されることができる。例えば、エラストマー材料は、少なくとも1つのパターン化した表面を有して提供されることができる。エラストマー材料は、プレポリマー接着剤配合物を用いて導波路配置の少なくとも一部と接続されることができる。さらに、エラストマーモールドの構造または少なくとも1つの特徴を少なくともほぼ複製する回折構成を形成するように、プレポリマー接着剤配合物は、重合させられることがありえる。
【0008】
例えば、本開示の1つの例示的実施形態において、回折構成は、格子であることができる。エラストマー材料は、光学配置から取り除かれることができる。光学配置は、回折構成との光通信において少なくとも1つのレンズを含むことができる。エラストマー材料は、堅いエラストマーコンポーネントおよび柔らかいバックサポートを含むことができる。パターン化した表面を形成するためにエラストマースタンプを使用することによって、エラストマー材料は、提供されることができる。プレポリマー接着剤配合物は、重合させるためにプレポリマー接着剤配合物に少なくとも1つの電磁放射線を適用することによって、重合させられることができる。電磁放射線は、導波路配置を介して提供されることができる。プレポリマー接着剤配合物は、1.3〜1.7の屈折率を有することができる。回折構成は、1mm未満の直径または横断面を有することができる。格子は、(i)1000ライン/mmよりも大きい溝密度および(ii)1よりも大きい溝アスペクト比を有することができる。格子は、70%よりも大きい回折効率を有することができる。回折構成は、少なくとも1つのレンズ要素を有することができる。光学配置は、GRINレンズを含むことができる。
【0009】
本開示のこれらのそして他の目的、特徴および利点は、添付の図面および請求項を参照しながら、本開示の例示的実施形態の以下の詳細な説明を読み込むと、即座に明らかになる。
【0010】
本開示のさらなる目的、特徴および利点は、本開示の例示的実施形態の図示の実施形態、結果および/または特徴を示す添付の図に関連してなされる以下の詳述から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の例示的実施形態による例示的方法によって作られる、本開示の例示的実施形態による例示的なSEEプローブの概念図である。
図2図2は、本開示の例示的実施形態による例示的な格子製作方法の流れ図である。
図3図3は、本開示の例示的実施形態による例示的なエラストマースタンプ製作プロセスの概念図である。
図4図4は、本開示の例示的実施形態による例示的な格子製作プロセスの概念図である。
図5A図5Aは、本開示の例示的実施形態による例示的なSEEプローブの例示的な顕微鏡写真である。
図5B図5Bは、本開示の例示的実施形態による例示的なSEEプローブの例示的な顕微鏡写真である。
図5C図5Cは、本開示の例示的実施形態による例示的なSEEプローブの例示的な顕微鏡写真である。
図6図6は、本開示の例示的実施形態による例示的なSEEプローブによるスペクトルでコード化された照明の例示的写真である。
図7A図7Aは、本開示の例示的実施形態による例示的なSEEプローブで得られたマウス胚の例示的なSEE画像である。
図7B図7Bは、本開示の例示的実施形態による例示的なSEEプローブで得られたマウス胚の例示的なSEE画像である。
図7C図7Cは、本開示の例示的実施形態による例示的なSEEプローブで得られたマウス胚の例示的なSEE画像である。
図7D図7Dは、本開示の例示的実施形態による例示的なSEEプローブで得られたマウス胚の例示的なSEE画像である。
図8図8は、本開示の例示的実施形態による複合エラストマースタンプを製作する例示的な方法の線図である。
図9図9は、本開示の例示的実施形態による遠位端で複数の光学コンポーネントを有する例示的なSEEプローブの図である。
図10A図10Aは、本開示の例示的実施形態によるUV硬化可能なプレポリマーを重合させる例示的な方法の図である。
図10B図10Bは、本開示の例示的実施形態によるUV硬化可能なプレポリマーを重合させる例示的な方法の図である。
図11図11は、本開示の例示的実施形態によるUV硬化可能なプレポリマートレーダ窒素リッチ環境を重合させる例示的な方法の図である。
図12図12は、本開示の例示的実施形態による格子パターンを各柱が有する複数の柱を有する例示的なエラストマースタンプの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面の全体を通じて、同一の参照番号および文字は、特に明記しない限り、図示の実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント、または部分を示すために用いる。類似の特徴は、したがって、同一の参照番号によって記載されてよい。そしてそれは、明示的に述べられない限り、異なる実施形態間での特徴の交換がされうることを当業者の読者に示す。さらに、本開示が図に関してここで詳述されるとはいえ、それは図示の実施形態に関連してそうされるのであり、図示される特定の実施形態によって制限されない。添付の請求の範囲により定義される本開示の真の範囲および精神を逸脱しない範囲で、記載された実施形態に改変および変更がなされることができることは、意図される。
【0013】
SEEプローブの例示的実施形態の概念図は、本開示の例示的実施形態による図1に示される。この例示的なSEEプローブは、光ファイバ100、集束レンズ110、および回折格子120を含むことができる。図1に示すように、ブロードバンド光または紫外光130は、サンプル140の横の面に沿って分散されることができる。
【0014】
本開示の1つの例示的実施形態において、回折格子120は、図2に示すように、本開示の例示的実施形態による例示的プロセスに基づいて製作されることができる。この例示的プロセスにおいて、格子パターンを有するマスターは、製作されることができる(手順150)。格子マスターは、例えば、電子ビーム・リソグラフィ、フォトリソグラフィ、干渉リソグラフィ、ナノエンボシング、ナノインプリント、または反応性イオンエッチングを含む、さまざまな方法によって作られることができる。格子マスターの例示的なジオメトリは、作業スペクトルでの高い回折効率を提供するために、数値シミュレーションによって決定されることができる。例えば、400〜700ナノメートルの作業スペクトル用に、格子材料の屈折率が約1.47であるときに85%の回折効率を提供するために、格子は、1379ライン/mmの溝密度および1μmの溝深さを有することができる。格子マスターは、エッチングされた石英ガラス格子でありえる。一旦格子マスターが製作されると、例えば、格子マスターを用いて、エラストマースタンプは作られることができる(手順160)。エラストマースタンプの複製モールディングによって、最終的な格子は、製作されることができる(手順170)。
【0015】
図3は、本開示の例示的実施形態によるエラストマースタンプ製作プロセスの概念図を示す。例えば、プレポリマー210は、格子マスター200に適用されることができる。プレポリマー210は、したがって、例えば、エラストマー材料211を形成して硬化することができて、格子パターン220を有するエラストマースタンプを完成するために剥ぎ取られることができる。エラストマースタンプは、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で作られることができる。PDMSの例は、ダウコーニングによるSylgrad184でありえる。他のエラストマー、シリコーン系ポリマー、ゴム、またはラテックス誘導体が、スタンプとして用いられることもできる。スタンプとして用いるプレポリマー210は、熱、化学的触媒反応または水分、および/または電磁放射線によって硬化することができる。
【0016】
図4は、本開示の例示的実施形態によるSEEプローブ光学部品の先端でミニチュア格子を製作するプロセスの概念図を示す。例えば、プレポリマー400は、集束レンズ110の先端に配置されることができる。格子パターン220を有するエラストマースタンプは、プレポリマー400と接触することができる。プレポリマーは、ミニチュア格子120を完成するために重合410することができる。一旦ミニチュア格子が完成したら、エラストマースタンプ220は、取り外されることができる。プレポリマー300は、熱、水分および/または電磁放射線によって硬化することができる。格子ジオメトリと関連したミニチュア格子120の屈折率は、回折効率を決定する。したがって、ミニチュア格子120の屈折率が高い回折効率を提供する設計屈折率に近づくことができるように、プレポリマー400は、慎重に選択されることができる。
【0017】
図5Aは、本開示の例示的実施形態による方法によって製作される例示的SEEプローブの先端の例示的に非常に拡大された写真を表す。SEEプローブの遠位先端の中心楕円領域は、緑である。それというのも、プローブの先端で形成される格子は、顕微鏡システムの照明光を回折して、この特定の視野角で顕微鏡カメラに優先的に緑光を向けるからである。緑の範囲の領域は、ミニチュア格子が良好に形成された領域を示した。格子の長軸に沿ったプローブ直径のほぼ86%および短軸に沿った78%は、緑の回折パターンを示した。SEEプローブの走査型電子顕微鏡(SEM)画像(例えば、図5B参照)は、6mmの作動距離で、2kVで、Zeiss Supra55 VP FESEMを用いて得られた。SEM画像取得の前に、画像のコントラストを改良するために、例示的SEEプローブは、シリコンウエハ上に置かれて、15〜45秒間、60mAでPt/Pdでスパッタリング被覆された。高倍率のSEM画像は、格子の規則的なラインパターンを明らかにする(例えば、図5C参照)。溝ピッチの標準偏差は、平均格子ピッチの約1.2%であることが測定された。
【0018】
図1に示される例示的ミニチュア格子120の回折性能は、試験された。例示的SEEプローブは、直線の虹として現れる、スペクトルでコード化された照射パターン600を生成した(図6参照)。+1番目の順序の回折効率、入力ビームの強度によって分割される+1番目の順序の強度は、約500のμmのビーム直径および約532ナノメートルの入力波長のための約75%であることが測定された。この回折効率は、マスター格子のそれ(例えば、約85%)よりも低い。格子直径は、プローブ直径よりも小さかった。したがって、光の一部は回折しなかった。そしてそれは、回折効率を減少させた。マスター格子と複製された格子との間の屈折率の差は、回折効率を減少させたかもしれない。
【0019】
図7A図7Dは、本開示の例示的実施形態による方法によって製作される例示的SEEプローブで得られたマウス胚の一組の例示的SEE画像を示す。マウス胚は、ポリプロピレン50ml管の内側にいた。そして、SEE画像は、3.7%のホルムアルデヒド固定液のほぼ10mmの厚みの層を通して行われた。SEE画像(例えば、図7A図7C参照)は、頭部、目700、尾部710、および爪を有する足720を含む胚の解剖学的特徴の明白な可視化を容易にする。そしてそれは、同じ動物の写真に示されるそれらと類似している(例えば、図7D参照)。
【0020】
本開示の例示的実施形態による例示的製作方法の利点の1つは、例示的SEEプローブが低コストで作られることができるということである。例示的エラストマースタンプ(例えば、有効格子面積=13.5mm×12.5mm)は、ほぼ500μmの直径の格子を製作するためにスタンプの1mm×1mmの領域が必要であると仮定すると、ほぼ170個のミニチュア格子を製作することが必要でありえる。例えば、複数のエラストマースタンプは、マスターに損害を与えずに作られることができる。低コストは、安価でかつ使い捨て可能なSEEプローブの製作を可能にする。そしてそれは、この技術の臨床使用を容易にすることができる。
【0021】
本開示の例示的実施形態による例示的な製作方法が最終工程として画像光学系上にミニチュア格子を形成することができることも、有利である。例示的格子が製作プロセス中に適切に形成されないか、または使用中に損傷されるときに、SEEプローブの先端は、損傷を受けた格子を取り除くために非常に小さい量(〜20μm)によって容易に研磨されることができる。この例示的な修正動作の後、新たな格子は、次いで、同じ画像光学系上に製作されることができる。本開示の例示的実施形態による例示的な方法において、ミニチュア格子を取り扱って正確に整列配置するための手順は、必要でなくてもよい。そしてそれは、整列配置を必要とする方法に比べて例示的な製作プロセスをより簡単にする。
【0022】
本開示の例示的実施形態による典型的な製作方法の別の利点は、例示的SEEプローブのサイズがさらに減少することができるということである。例えば、約80μmの直径を有する超ミニチュアGRINレンズは、GRINtechによって最近開発された。本開示の例示的実施形態による例示的方法は80μmGRINレンズの先端で格子を作るために用いることができる。そしてそれは、100μmよりも小さい直径を有する超ミニチュアSEEプローブを考慮することを可能にすることができる。例えば、超ミニチュアSEEプローブの小さい直径は、従来の内視鏡画像形成デバイスによって目下アクセス可能でない内部組織の画像形成を容易にすることができる。
【0023】
例示的なエラストマースタンプは、例えば、レプリカ成形プロセスの解像度を改善するために、2つの異なる材料で作られることができる。図8は、複合エラストマースタンプを製作するために用いることができる本開示の例示的実施形態による方法の例示的実施形態を示す。図8に示されるこの例示的実施形態において、高い硬化後剛性を有することができるエラストメリック・プレポリマー212は、格子マスター200上に配置されてよい。高い剛性を有するエラストマーの例は、h−PDMSでありえる。次いで、第1のエラストマー材料212よりも低い剛性を有することができる別のエラストメリック・プレポリマー813が、第1のエラストマー材料212の上部に注入されてよい。2つのエラストマー材料は、最終版のエラストマースタンプ220を完成するために、硬化することができて、剥ぎ取られることができる。
【0024】
高アスペクト比を有する格子パターンを複製する際に、この例示的実施形態は、有利でありえる。エラストマースタンプ220が例えばSylgrad 184のような柔らかい材料で作られる場合、複製されたパターンは、格子パターンが高アスペクト比を有する場合に圧壊することができておよび/または垂下することができる。この例示的な複合スタンプ220は、(例えば、高解像度パターン転写を達成するに)より堅い層212および(例えば、外圧なしに表面との等角接触を容易にするために)より可撓性のサポート213の両方の利点を結合することができる。
【0025】
図9は、本開示の例示的実施形態による例示的SEEプローブの一組の図を示し、この例示的実施形態において、遠位光学部品は、複数の光学コンポーネントを有する。例えば、ファイバ100からの光および/または他の電磁放射線は、集束レンズ110によって焦束されることができる。そして、サンプルからの光および/または他の電磁放射線は、追加的ファイバ(例えば、検出ファイバ111)によって集められることができる。集束レンズ110および検出ファイバ111は、格子の製作の前にアセンブルされることができる。次いで、ミニチュア格子120を完成するために、プレポリマー300は、集束レンズ110および検出ファイバ111の両方でありえて、硬化310されることができる。使用する光学コンポーネントの数および寸法に関係なく、本発明に記載されている方法は、設計の範囲のいかなる画像光学系のためにも用いられることができる。
【0026】
本開示のSEEプローブの別の例示的実施形態によれば、プレポリマーは、UV硬化可能なプレポリマーでありえる。UV硬化可能なプレポリマーは、図10の例示的図に示すようなものを含むさまざまな方法によって硬化することができる。例えば、図10Aに示すように、紫外光130は、ファイバ100に提供されることができておよび/または連結されることができる。この例示的実施形態において、重合するプレポリマー300の領域は、例えば、プローブ直径のサイズに制限されることができる。しかしながら、ファイバ100への硬化紫外光320の結合効率が低いときに、硬化時間は長くなりうる。図10Bにおいて、紫外光320は、エラストマースタンプ220の裏側から解放される。この例示的方法において、硬化は、急速に行われることができる。しかしながら、プレポリマーがプローブ直径よりも大きい領域まで広がる場合、ミニチュア格子の寸法は、プローブ直径よりも大きくなることができる。
【0027】
図11に示すように本開示によるSEEプローブの別の例示的実施形態において、硬化は、窒素リッチな環境下で行われることができる。例えば、窒素330は、プレポリマー300の周囲領域に提供されることができる。窒素は、酸素とプレポリマー300との接触を防止することができる。そしてそれは、ミニチュア格子の品質を改善することができる。
【0028】
本開示による別の例示的実施態様において、エラストマースタンプ1220は、図12に示すように、複数の円形の柱で作られることができる。例えば、各柱1221は、上部に格子パターンを有することができる。そして、各柱の直径は、画像光学系の直径と同じである。この例示的スタンプは、画像光学系の直径の背後にエポキシが広がらないことを確実にすることができておよび/または容易にすることができて、そして、画像光学系の直径と同じ直径で広がる円形のエポキシを達成することを容易にすることができる。
【0029】
前述は、単に本発明の原理を例示するだけである。記載された実施形態に対するさまざまな修正および変更は、本明細書における教示からみて当業者にとって明らかである。実際、本発明の例示的実施形態による配置、システムおよび方法は、任意のOCTシステム、OFDlシステム、SD−OCTシステム、または他の画像形成システムとともに、そして、例えば、2004年9月8日出願の国際特許出願PCT/US2004/029148、2005年11月2日出願の米国特許出願第11/266,779号、および2004年7月9日出願の米国特許出願第10/501,276号に記載したそれらとともに、使用されることができる。そしてその開示内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。明示的に示されないかまたは本明細書において記載されていないにもかかわらず、本発明の原理を具体化して、したがって、本発明の精神および範囲の範囲内である多数のシステム、配置および方法を当業者が考案するのが可能であることは、したがって、認められる。加えて、先行技術知識が上で本明細書において参照により明示的に組み込まれなかった程度まで、それは、全体として本明細書に明示的に組み込まれる。上で本明細書において参照されるすべての刊行物は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12