【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、同一、部分的に同一、または類似の形状を有する1つ以上の3次元物体の画像など、2つ以上のデジタル表現間での対応を自動的に見つける方法およびシステムを提供することである。方法およびシステム、装置、ならびにソフトウェアは、ノイズ、散乱、かみ合わせ、クラッタ、またはこれらの任意の組み合わせによって物体の異なるデジタル表現が影響を受けても対応を見つけることができるという利点を有する。本発明は、特に歯科インプラントにおける手術計画などにおける医療画像処理に用途が見出される。
【0013】
本発明は、たとえば同一、部分的に同一、または類似の形状を有する1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現間の対応を自動的に見つける方法を提供し、1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現は点を含み、方法は、
・シェル画像が計算される前記デジタル表現の各々について点の集合が規定されること、
・前記3次元物体の前記デジタル表現の各々についてシェル画像が計算されること、
・デジタル表現のうちの1つのシェル画像をデジタル表現のうちの他のシェル画像と比較すること、および
・所定の基準に基づいてデジタル表現間の局所的な対応を示すことを含む。
【0014】
シェル画像の計算は、
・中心点として前記点の集合の点の1つを有する同心の球対称もしくは球シェルの集合を規定すること、
・2つの連続する球対称もしくは球シェルによって包まれる前記デジタル表現の一部に基づいて、前記同心の球対称もしくは球シェルの各々に対して値を割り当てること、
・値が割り当てられた前記球対称物体もしくは球シェルを、前記値を含む配列に変換することによって行われる。
【0015】
また、本発明は、たとえば同一、部分的に同一、または類似の形状を有する1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現間の対応を自動的に見つけるコンピュータベースのシステムを提供し、1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現は点を含み、システムは、
・シェル画像が計算される前記デジタル表現の各々について点の集合を規定する手段と、
・前記3次元物体の前記デジタル表現の各々についてシェル画像を計算する手段と、
・デジタル表現のうちの1つのシェル画像をデジタル表現のうちの他のシェル画像と比較する手段と、
・所定の基準に基づいてデジタル表現間の局所的な対応を示す手段とを含む。
【0016】
また、本発明は、コンピューティングシステムなどの処理エンジン上で実行された場合に、たとえば同一、部分的に同一、または同様の形状を有する1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現間の対応を自動的に見つけるコードセグメントを含むコンピュータプログラム製品を提供し、1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現は、処理エンジンにロードされる点を含み、コンピュータプログラム製品は、
・シェル画像が計算される前記デジタル表現の各々について点の集合を規定する手段と、
・前記3次元物体の前記デジタル表現の各々についてシェル画像を計算する手段と、
・デジタル表現のうちの1つのシェル画像をデジタル表現のうちの他のシェル画像と比較する手段と、
・所定の基準に基づいてデジタル表現間の局所的な対応を示す手段とを含む。
【0017】
シェル画像を計算する手段は、
・中心点として前記点の集合の点のうちの1つを有する同心の球対称もしくは球状シェルの集合を規定する手段と、
・2つの連続する球対称もしくは球シェルによって包まれる前記デジタル表現の一部に基づいて、前記同心の球対称もしくは球シェルの各々に対して値を割り当てる手段と、
・値が割り当てられた前記球対称物体または球状シェルを、前記値を含む配列に変換する手段とを含む。
【0018】
本発明の実施形態は、方法、システム、またはソフトウェアを提供し、シェル画像の計算は、
・中心点として前記点の集合の点の1つを有する同心の球対称もしくは球シェルの集合を規定すること、
・2つの連続する球対称シェルもしくは球シェルによって包まれる前記デジタル表現にの一部に基づいて、前記同心の球対称もしくは球シェルの各々に対して値を割り当てること、
・値が割り当てられた前記球対称シェルもしくは球シェルを、前記値を含む配列に変換することによって行われるように適合される。
【0019】
好ましくは、2つ以上のデジタル表現のうちの1つのデジタル表現は、他のデジタル表現の解像度よりも高い解像度を有する。
【0020】
たとえば、2つ以上のデジタル表現は、骨および歯列を含む患者の顎のものであり得る。
【0021】
本発明の実施形態は、2つ以上のデジタル表現がコンピュータシステム上で実行される専用のソフトウェアアプリケーションにインポートされる画像となるように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0022】
好ましくは、骨および歯の3次元モデルは、画像セグメント化および体積メッシュ化に基づいて生成される。
【0023】
2つ以上のデジタル表現のうちの1つは、間接的または直接的な高解像度画像であり得る。
【0024】
本発明の実施形態は、高解像度画像を低解像度画像に対して位置決め/位置合わせするように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0025】
本発明の実施形態は、低解像度画像および高解像度画像において規定された点の集合についてシェル画像が生成されるように適合された方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0026】
たとえば、シェル画像は、表面モデル上に置かれる点の集合および/または体積表現におけるボクセルの中心点について計算され得る。
【0027】
点におけるシェル画像は、中央点として前記点と半径について異なる値を有する複数の同心の球対称シェルもしくは球を規定することによって計算することができる。
【0028】
半径は、連続する球対称シェルもしくは球のシェル表面が固定の距離となるように、または2つの連続する球対称シェルもしくは球の間の中央点を通る平面部分の面積の大きさが同じとなるように選択され得る。
【0029】
シェル画像の値は、球対称シェルもしくは球の中央点を通る対応する平面部分の面積の大きさで各面積値を割ることによって、または2つの連続する球対称シェルもしくは球に包まれる体積で各体積値を割ることによって標準化され得る。
【0030】
本発明の実施形態は、方法、システム、またはソフトウェアを提供し、2つ以上の表現についてのシェル画像の比較は、
・シェル画像間の類似性についての基準として、2つの1次元配列の対応する値間の差の絶対値の和を計算することを含むように適合される。
【0031】
たとえば、2つ以上の表現についてのシェル画像の比較は、
・n次元空間における点として考慮されるシェル画像の値のリスト間でユークリッド距離などの好適な距離を計算し、ユークリッド距離が小さければシェル画像間の対応が良好となることを含み得る。
【0032】
たとえば、2つ以上の表現についてのシェル画像の比較は、
・2つのシェル画像間の類似性の基準として、シェル画像間の線形相関を計算することを含む。
【0033】
一実施形態において、シェル画像の1次元配列の対応する値は点として考慮され、線形相関はこれらの点を通る線に適合する。線形相関は、相関係数および適合された線の傾斜を評価し、傾斜は同一のシェル画像の場合に1である。0に近い値は良好な類似性を示す。
【0034】
閾値が規定され、前記閾値を下回る値を有するシェル画像のすべてのペアは、良好な類似性を有するシェル画像として考慮され得る。
【0035】
たとえば、整合しているシェル画像は、ユークリッド距離などの関連する距離が所定の閾値より低いシェル画像として定められる。いずれかの実施形態において、閾値を変更する手段が設けられ得る。
【0036】
選択的に、高解像度画像は、口腔内スキャンである。好ましくは、口腔内スキャンは、2つ以上のスキャンを含む。
【0037】
本発明の実施形態は、再トラッキング、ランドマーク検知、特徴検知に適合される、または物体の2つのデジタル表現の表面位置合わせの良好な開始位置を見つけるように適合される、方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0038】
本発明の実施形態は、シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存され、両方の物体上の各点について、局所的な3次元表面の3つの慣性軸が計算され、可能な各点の対応について、第1に、対応する点の慣性軸の位置合わせを行い、表面の位置決めを行うことによって物体の位置決めが行われ、第2に、両方の物体間の最小平方距離(LSD)を計算することによって位置決めが評価され、最小のLSDを有する位置決めが最適な位置決めとして維持されるように適合された方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0039】
本発明の実施形態は、シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存され、3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めが行われ、その後に、表面位置決めおよび両方の物体間のLSDの計算が行われ、最小のLSDを有する位置決めが最適な位置決めとして維持されるように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0040】
本発明の実施形態は、シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存され、3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めが行われ、そしてシェル画像が計算された、およびx個の最良整合のリストが定められた位置決めされた表面上のすべての他の点について、最も近い最良整合への距離が定められ、すべてのこれらの距離は合算され、最小の合計距離となる3つの対応する点のペアの集合が維持され、この対応する点の集合に基づいて3点位置決めが行われ、その後に表面位置決めが行われるように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0041】
本発明の実施形態は、シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存され、3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めのための変換マトリックスが定められ、3つの位置決めされた点の間のLSDが定められ、LSDが所定の閾値よりも小さい場合、位置決めは可能な候補として考慮され、得られた変換マトリックスのリストから、類似のものが定められ、関連する点のリストがN点位置決めを行うために使用され、その後にシェル画像の表面情報のみを使用した表面位置決めが行われるように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0042】
本発明の実施形態は、シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各る点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた対応が保存され、両方の物体上の各点について、局所的な3次元表面の3つの慣性軸が計算され、各可能な点の対応について、第1に、対応する第1の点の局所的な3次元表面が対応する第2の点の物体に対して位置決めされ、これらの位置決めは、局所的な3次元表面と対応する第2の点の物体との間のLSD距離を計算することによって評価され、これにより、LSDが所定の閾値よりも小さい場合、この位置決めに属する変換が保存され、得られた変換マトリックスのリストから、類似のものが定められ、関連する点のリストがN点位置決めを行うために使用され、その後に類似と定められた変換に属するシェル画像の表面情報のみを使用した表面位置決めが行われるように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0043】
たとえば本発明の実施形態に係るシステムもしくは装置に適用される、またはソフトウェアで実施される本発明の目的である位置決めまたは位置合わせ技術は、点の対応を見つけるために限られた数の点における限られた情報のみが比較されることから、従来の位置決めアルゴリズムよりもより速くなり得るとともに、必要とされるメモリが少なくなり得る。
【0044】
本発明の実施形態に係る位置決めまたは位置合わせ技術は、点の対応を見つけるために使用される形状が局所的なもののみとなるという事実から、従来の技術と比較してノイズに対する感度が小さくなり得る。
【0045】
たとえば本発明の実施形態に係る本発明の目的である位置決めまたは位置合わせ技術は、回転画像と比較して以下の利点のうち1つ以上を有する。
【0046】
−回転画像は、回転画像の計算のために頂点を使用することから、メッシュのサンプリングに対する感度が非常に高く、比較される両方の物体について準同一サンプリングが必要となる。本発明の実施形態に係る新しい位置決め技術は、点密度でなく、面積もしくは体積の情報が使用されることから、これに当てはまらない。これ故に、リサンプリングを必要とせず、3次元物体の概算を同じ3次元物体の詳細な表現と比較することができる。
【0047】
−回転画像グリッドの解像度は、十分に描画的な回転画像を得るために、よく選択する必要があり、3次元物体のサンプリング解像度の関数とする必要がある。本発明の実施形態に係る新しい位置決め技術は、点密度でなく、面積もしくは体積の情報が使用されることから、これに当てはまらない。
【0048】
−回転画像は、3次元物体の2.5次元表現である一方、本発明の実施形態によれば、新しい技術は1.5次元描画となることから、さらにメモリ使用を減少させることができる。
【0049】
−シェル画像は、表面法線を使用しないことから、回転画像よりもノイズに対する感度が小さい。
【0050】
−良好な対応を見つけるために、3次元物体の1つの表現上の点は他の表現上の点に非常に近くすべきであるという事実から、回転画像は非常に感度が高い。結果として、回転画像は、両方の表現の点の大きな集合において計算しなければならない。本発明の実施形態は、表面法線情報が使用されず、すべての局所的な情報が2.5次元の代わりに1.5次元に減少されることから、これに対する感度がはるかに小さい。結果として、点の対応を見つけるために、点の限られた集合を使用することができる。
【0051】
本発明のこれらおよびさらなる目的、特徴、利点は、添付の図面が参照される以下の詳細な説明から明らかとなる。