特許第6227654号(P6227654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許62276543次元デジタルモデルの位置決め/位置合わせのための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227654
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】3次元デジタルモデルの位置決め/位置合わせのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20171030BHJP
   A61C 19/04 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   G06T1/00 315
   G06T1/00 290B
   A61C19/04 Z
【請求項の数】20
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-533581(P2015-533581)
(86)(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公表番号】特表2016-502159(P2016-502159A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】EP2013070059
(87)【国際公開番号】WO2014049049
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年7月20日
(31)【優先権主張番号】1217179.9
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】506422065
【氏名又は名称】デントスプリー インプランツ ナムローゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バン・リールデ,カール
(72)【発明者】
【氏名】バンビールブリエト,ヨリス
(72)【発明者】
【氏名】デ・セニンク,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ドント,ステファーン
(72)【発明者】
【氏名】パッティン,ベールレ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイニンク,ヤン
【審査官】 村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−180763(JP,A)
【文献】 特開2000−339465(JP,A)
【文献】 手島裕詞,外2名,“モルフォロジー演算を用いた3次元形状の類似度検索の一手法”,映像情報メディア学会誌,(社)映像情報メディア学会,2003年10月 1日,第57巻,第10号,p.1284−1291
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00 − 7/90
A61C 19/04 − 19/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現間の対応を自動的に見つける方法であって、前記1つ以上の3次元物体の前記2つ以上のデジタル表現は点を含み、方法は、
・シェル画像が計算される前記デジタル表現の各々について点の集合が規定されること、
・前記3次元物体の前記デジタル表現の各々について前記シェル画像が計算されること、
・前記デジタル表現のうちの1つの前記シェル画像を前記デジタル表現の他の前記シェル画像と比較すること、および
・所定の基準に基づいて前記デジタル表現間の局所的な対応を示すことを備え、
シェル画像の計算は、
・中心点として前記点の集合の点の1つを有する同心の球対称シェルもしくは球シェルの集合を規定することと、
・2つの連続する球対称シェルもしくは球シェルによって包まれる前記デジタル表現の一部に基づいて、前記同心の球対称シェルもしくは球シェルの各々に対して値を割り当てることと、
・値が割り当てられた前記球対称シェルもしくは球シェルを、前記値を含む配列に変換することとを備え、第1の球内であって2つの連続する球対称シェルもしくは球シェルの各々の間にある物体の前記3次元物体の表現の一部を示す前記値は、体積もしくは加重体積として計算され、各球対称シェルに割り当てられる、方法。
【請求項2】
対応する前記2つ以上のデジタル表現は、同一、部分的に同一、または類似の形状を有し、前記シェル画像は、前記デジタル表現の各々について計算され、
前記シェル画像間の類似性の計測は、2つの1次元配列の対応する値間の差の絶対値の和を計算することによって行われ、または、
前記シェル画像間の類似性は、n次元空間における点として考慮されるシェル画像の値のリスト間でユークリッド距離によって計算され、それにより、前記ユークリッド距離は、前記シェル画像間の類似性の計測となり、または、
2つのシェル画像間の類似性の計測は、前記シェル画像間の線形相関によって計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シェル画像の1次元配列の対応する値は点として考慮され、前記線形相関はこれらの点を通る線に適合し、前記線形相関は、相関係数および適合された線の傾斜を評価し、前記傾斜は同一のシェル画像の場合に1である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シェル画像は、解像度画像および高解像度画像において規定される点の集合について生成される、または、表面モデル上に置かれる点の集合および/または体積表現におけるボクセルの中央点について計算される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
閾値を規定することをさらに備える方法であって、前記閾値を下回る値を有するシェル画像のすべてのペアは、類似性を有するシェル画像である、請求項または3または請求項2に従属する場合の請求項4に記載の方法。
【請求項6】
整合しているシェル画像は、前記ユークリッド距離が所定の閾値よりも低いシェル画像として定められる、請求項2に従属する場合の請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記高解像度画像は口腔内検査画像である、または2つ以上の口腔内検査画像である、請求項4または請求項4に従属する場合の請求項5〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
再トラッキング、ランドマーク検知、特徴検知のための、または物体の2つのデジタル表現の表面位置合わせの開始位置を自動的に見つけるための、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現の間の対応を自動的に見つけるコンピュータベースのシステムであって、前記1つ以上の3次元物体の前記2つ以上のデジタル表現は点を含み、システムは、
・シェル画像が計算される前記デジタル表現の各々について点の集合を規定する手段と、
・前記3次元物体の前記デジタル表現の各々についてシェル画像を計算する手段と、
・前記デジタル表現のうちの1つのシェル画像を前記デジタル表現のうちの他のシェル画像と比較する手段と、
所定の基準に基づいて前記デジタル表現間の局所的な対応を示す手段とを備え、前記シェル画像を計算する手段は、
同心の球対称シェルもしくは球シェルの集合を、中心点として前記点の集合の点の1つとともに規定する手段と、
2つの連続する球対称シェルもしくは球シェルによって包まれる前記デジタル表現の一部に基づいて、前記同心の球対称シェルもしくは球シェルの各々に対して値を割り当てる手段と、
値が割り当てられた前記球対称シェルもしくは球シェルを、前記値を含む配列に変換する手段とを有し、
第1の球内であって2つの連続する球対称シェルもしくは球シェルの各々の間にある物体の前記3次元物体の表現の一部を示す値は、体積もしくは加重体積として計算され、各球対称シェルに割り当てられる、システム。
【請求項10】
前記2つ以上のデジタル表現のうちの1つのデジタル表現は、他のデジタル表現の解像度よりも高い解像度を有する、または間接的もしくは直接的な高解像度画像である、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記2つ以上のデジタル表現は、骨および歯列を含む患者の顎のものである、請求項または10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記コンピュータシステム上で実行される専用のソフトウェアアプリケーションにインポートされる画像である前記2つ以上のデジタル表現をインポートする手段をさらに備える、請求項から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
画像セグメント化および体積メッシュ化に基づいて骨および歯の3次元モデルを生成する手段を備える、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記デジタル表現の2つを位置決め/位置合わせする手段をさらに備える、請求項から13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記2つ以上のデジタル表現において規定される点の集合についての前記シェル画像を生成する手段を備える、請求項から14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
表面モデル上に置かれる点の集合および/または体積表現におけるボクセルの中央点について前記シェル画像を計算する手段を備える、または、
前記シェル画像を計算する手段は、中央点として前記点および半径として異なる値を有する同心の球対称シェルもしくは球の数を規定するように構成される、または、
前記計算する手段は、連続する球対称シェルもしくは球のシェル表面が固定の距離となるように、または2つの連続する球対称シェルもしくは球の間の中央点を通る平面部分の面積の大きさが同じとなるように半径を選択するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
球対称シェルもしくは球の中央点を通る対応する平面部分の面積の大きさで各面積値を割ることにより、または2つの連続する球対称シェルもしくは球によって囲まれる体積で各体積値を割ることによって前記シェル画像の前記値を標準化する手段を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
対応する前記2つ以上のデジタル表現は、同一、部分的に同一、または類似の形状を有し、前記シェル画像は、前記デジタル表現の各々について計算され、さらに、前記2つ以上の表現についての前記シェル画像を比較する手段を備え、前記比較する手段は、
・前記シェル画像間の類似性についての基準として、2つの1次元配列の対応する値間の差の絶対値の和を計算する手段を含む、または、
・前記シェル画像の値のリスト間でユークリッド距離を計算する手段であって、前記シェル画像はn次元空間における点として考慮され、これにより、前記ユークリッド距離が前記シェル画像間の類似性の計測となる計算手段、または、
・2つのシェル画像間の類似性の基準として前記シェル画像間の線形相関を計算する手段を含む、請求項から17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記計算する手段は、シェル画像の1次元配列の対応する値が点として考慮され、前記線形相関がこれらの点を通る線に適合し、前記線形相関が相関係数および適合された線の傾斜を評価し、シェル画像が同一である場合には傾斜は1となるように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記物体の点を位置決めするように構成された手段をさらに備え、
シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存され、両方の物体上の各点について、局所的な3次元表現の3つの慣性軸が計算され、各可能な点の対応について、第1に、前記対応する点の前記慣性軸を整列させて表面位置決めを行うことによって前記物体の位置決めが行われ、第2に、前記位置決めは両方の物体間の最小平方距離(LSD)を計算することによって評価され、最小のLSDを有する前記位置決めは最適な位置決めとして維持される、または、
シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存され、3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めが行われ、その後に、表面位置決めおよび両方の物体間のLSDの計算が行われ、最小のLSDを有する前記位置決めは最適な位置決めとして維持される、または、
シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、3つの組み合わせの各々について、得られた点の対応が保存される、請求項から19のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科インプラントなどにおける医療計画などに必要な画像比較、またはデジタル画像の位置決めが必要な他の用途において使用するためのシステムおよび方法、装置、ならびにソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
歯科インプラントにおける現在の現状技術は、3次元での診断およびインプラント計画を可能とする、患者の顎および残りの歯列の(CB)CT画像に基づくインプラント計画ソフトウェアを使用することである。通常の第2のステップは、歯支持、粘膜支持、または骨支持のいずれかであり得る外科的穿孔テンプレートにより、計画されたインプラント位置を患者の口に移すことである。CAD−CAM歯支持穿孔テンプレートの場合、良好に適合する穿孔テンプレートの設計および製造のために、患者の歯列の高解像度デジタルモデルが必要となる。このため、高解像度モデルを正確に位置決めし、患者の顎の(CB)CTデータと整合させる必要がある。患者の歯列の高解像度デジタルモデルは、直接的(たとえば、口腔内スキャン)または間接的(たとえば、石膏模型または石膏印象の光学もしくは(CB)CTスキャン)に得ることができる。
【0003】
通常の位置決め技術は、ICP(Iterative Closest Points)アルゴリズムに基づいており、2つの物体間の距離誤差の最小化を試みている。これらの位置決め技術は、「同一」の物体に関しては非常に奏功するが、物体が最初から部分的にのみ「同一」である場合には奏功しない。部分的に同一の物体の場合、ICPアルゴリズムを用いた位置決めを最適化するために、第1に同一の部分をマーキングする必要がある。これらの位置決め技術は、両方の物体の一部の対応する点または領域を手作業で示すことによって通常は得られる良好な開始位置も必要とする。これらの位置決め技術の他の欠点としては、これらが常に最高の位置決め結果をもたらすわけではないことが挙げられる。位置決めアルゴリズムが距離誤差の大域的最小点の代わりに距離誤差の極小値に至る場合があることから、位置決め結果は開始点の選択に依存する。これは、多数の開始位置を用いて位置決めを行うこと、または一方の物体の他方の物体に対するすべての考えられる位置を確認することによって回避することができるが、これら両方は時間がかかりすぎるものとなり得る。上述した用途において、患者の歯列の高解像度デジタルモデルは、歯および取り囲む粘膜を含む。他方、(CB)CTベースのモデルは、患者の歯および骨を含むが、粘膜を含まない。また、(CB)CTベースのモデルは、非常に多くの場合にノイズが多く、歯科治療において使用される金属充填材料による散乱を含む。このため、最終的な整合位置への「非同一」の表面/情報の影響を限定する完全に自動化された位置決め技術は、コンピュータによってガイドされたインプラントにおける内在的な不正確性の源を減少させ得ることから、大きな利点となり得る。
【0004】
かみ合わせ(すなわち、物体の表面の描画が不完全である、表面が欠けている)およびクラッタ(すなわち、整合する物体の表面の一部でない表面がある)の場合に機能する現状技術の位置決め技術は、回転画像の使用に基づいている。Andrew Edie Johnsonによる論文である「回転画像:3次元表面整合のための表現(Spin-images: A Representation for 3-D Surface Matching)」(1997年8月13日、Carnegie Mellon University, Pittsburg, Pennsylvania, USA)に記載されるように、回転画像は、物体認識または表面位置合わせ(すなわち、位置決め)のいずれにも使用することができる。回転画像は、物体の形状を局所的に描画するものであり、3次元表面点を2次元画像で投影することによって作られる。この手法のために、表面は、3次元の点およびそれらの表面法線の密集した集合体として描画される。回転画像は、表面の配向点、すなわち表面上の点p、およびこの点における外側に配向された表面法線nに基づいている。この配向点は、法線nに対して垂直に配向された点pを通る面Pによって局所座標系を規定する(図1)。この局所座標系内の点の2つの座標は、法線nに対する垂直距離のα、および面Pに対する符号付き垂直距離のβである。したがって、各3次元表面点は、特定基準(p,n)の2次元座標にマッピングすることができる。この円筒対称性の結果として、面Pに対して平行であってnを中心とする円上に置かれる点は、基準に対して同じ座標(α,β)を有する。このようなことから、2次元点の分布は、特定の表面点およびその法線について作られる。この2次元点の分布は、回転画像の2次元配列表現を作ることによってさらに簡素化/離散化され、点密度が定量化される。これは、(α,β)座標がセルに割り当てられる矩形グリッド(2次元配列)を作り(図2)、グリッドの各セルについての点密度を定量化することによって行われる。配列を更新するための単純な方法は、3次元点がスピンマッピングされるセルを1つ増やすことである。データ中のノイズを考慮に入れるべく、より堅牢な方法は、2次元配列において、4つの取り囲むセルに点の寄与を二値的に補間することである。
【0005】
この2次元点の分布は、剛体変換とは独立した剛性物体の形状(頂点)の描画であり、したがって、真に物体を中心とした形状の描画である。したがって、異なる表面上の対応する点について生成された回転画像は類似したものとなり、配向点は2次元配列の比較に基づいて整合させることができる。回転画像は表面上の任意の点について生成することができるため、特徴抽出は必要ない。
【0006】
回転画像は、少数の特徴点のみでなく物体のすべての点を使用することによって生成される。このようなことから、メモリおよびコンピュータの能力により、物体の大きさが増大する。
【0007】
回転画像は、描画的なものとするために、良好に選択されたセルの大きさで生成する必要がある。回転画像上の個別の点位置の影響を限定し、適切に物体の全体的な形状を描画するためには、セルの大きさはメッシュ解像度の約1から2倍で充分である。2次元配列の行および列の数もまた、全体的な情報量を制御するために選択しなければならない。行および列の数が減ることにより、画像に含まれる全体的な形状の量が減少し、回転画像の描画性が低減するが、回転画像を崩壊させるクラッタの機会も減少する。回転画像において使用される他のパラメータは支持角度、すなわち、回転画像の配向点基準の方向と回転画像に寄与することができる点の表面法線との間の最大角度である。このパラメータは、回転画像の整合時における自己かみ合わせ(すなわち、物体の後方側が隠れる)およびクラッタの効果を限定するために使用される。
【0008】
このタイプの回転画像の欠点は、画像自体に対して法線の方向が与える影響である。表面法線誤差とも言われる正確な法線に対する推定された法線の偏差が回転画像に対して与える効果は、αおよびβの値の増加に伴って大きくなる。結果として、法線の小さな角度誤差が回転画像に大きな差をもたらし得て、点の対応が不正確となる。これは、ノイズおよび/または散乱によってデータが影響される場合における問題である。球座標系、すなわち、点から配向点pまでの距離のρ、および配向点pから点へのベクトルと接平面Pとの間の角度φを伴う座標ρおよびφを用いることにより、座標φ上の表面法線誤差の効果が一定となる(および座標ρへの効果がなくなる)。結果として、これらの回転画像は、表面法線誤差の場合においてより堅牢に整合され得る。しかしながら、球面座標の結果として、セルの3次元体積が変化し(すなわち、固定のφを有するセルの3次元体積がρの増加に伴って増加し、固定のρを有するセルの3次元体積がφの変化に伴って変化する)、この均一でないセルの大きさによって回転画像の整合が複雑化し得る。ρおよびφによってセルの3次元体積が変化するという事実により、均一な3次元体積を有する2次元配列を生成することは不可能である。円筒座標については、セルの3次元体積も変化するが、αの増加に伴って3次元体積が増大するのみとなる。このため、一定の3次元体積を有するセルは、α軸に沿って等距離でないセルを有する2次元配列を生成することによって容易に生成され得る。
【0009】
このタイプの回転画像の他の欠点は、回転画像が最初の物体の解像度に依存するという事実にある。このため、物体の適切な描画を得るために、最初の物体を十分な数の点(すなわち、小さいエッジの長さ)を用いて均一にメッシュ化すべきである。したがって、不均一な表面サンプリングの場合、物体の表面を、回転画像の計算前の第1のステップにおいてリサンプリングしなければならない(すなわち、点を追加または除去する)。解像度に対する回転画像のこの依存性は、物体のこれらの異なる実例(表面表現)上の2つの対応する点について類似の回転画像を得るために、物体の異なる表面表現について非常に類似したサンプリングが必要であることを暗に示している。
【0010】
回転画像を使用する場合、物体表現の解像度およびノイズレベルの関数としてセルの大きさを選択することが重要である。ノイズレベルまたは物体表現の解像度よりも小さいセルの大きさにより、特定のメッシュのノイズに大きく依存する回転画像となる。他方、大きなセルの大きさにより、ノイズおよび特定のメッシュによる影響が小さい回転画像となる。このため、最適なセルの大きさを定めるためにノイズレベルおよび物体の解像度を事前に知ることは重要となる。これは、ノイズに基づいて必要なセルの大きさを整合させるために、物体解像度を適合(再メッシュ化アルゴリズムを適用する、または点を除去/追加することによって減少または増加)させなければならないことも暗に示している。
【0011】
ノイズの多い表面データは、表面法線への依存性によって回転画像の使用を限定するが、表面法線への依存性はこれらの場合において正確に定めることができない。法線依存性を限定するための論理的な手法は、異なる法線方向について各点における複数の回転画像を計算し、対応を見つけるためにこれらのすべてのデータを使用することであり得る。他の論理的な手法は、表面点における法線を定める前に表面にスムージングを適用すること、または表面法線依存性を定量化して、たとえば平均化によってこれについての回転画像を補償することである。これらすべての解決法で、計算時間が増加し、より多くの誤検出の点整合が起こる。本発明の方法は、表面法線を使用せずに、表面法線の正確な計算を限定するノイズによる影響を受けないようにする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、同一、部分的に同一、または類似の形状を有する1つ以上の3次元物体の画像など、2つ以上のデジタル表現間での対応を自動的に見つける方法およびシステムを提供することである。方法およびシステム、装置、ならびにソフトウェアは、ノイズ、散乱、かみ合わせ、クラッタ、またはこれらの任意の組み合わせによって物体の異なるデジタル表現が影響を受けても対応を見つけることができるという利点を有する。本発明は、特に歯科インプラントにおける手術計画などにおける医療画像処理に用途が見出される。
【0013】
本発明は、たとえば同一、部分的に同一、または類似の形状を有する1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現間の対応を自動的に見つける方法を提供し、1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現は点を含み、方法は、
・シェル画像が計算される前記デジタル表現の各々について点の集合が規定されること、
・前記3次元物体の前記デジタル表現の各々についてシェル画像が計算されること、
・デジタル表現のうちの1つのシェル画像をデジタル表現のうちの他のシェル画像と比較すること、および
・所定の基準に基づいてデジタル表現間の局所的な対応を示すことを含む。
【0014】
シェル画像の計算は、
・中心点として前記点の集合の点の1つを有する同心の球対称もしくは球シェルの集合を規定すること、
・2つの連続する球対称もしくは球シェルによって包まれる前記デジタル表現の一部に基づいて、前記同心の球対称もしくは球シェルの各々に対して値を割り当てること、
・値が割り当てられた前記球対称物体もしくは球シェルを、前記値を含む配列に変換することによって行われる。
【0015】
また、本発明は、たとえば同一、部分的に同一、または類似の形状を有する1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現間の対応を自動的に見つけるコンピュータベースのシステムを提供し、1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現は点を含み、システムは、
・シェル画像が計算される前記デジタル表現の各々について点の集合を規定する手段と、
・前記3次元物体の前記デジタル表現の各々についてシェル画像を計算する手段と、
・デジタル表現のうちの1つのシェル画像をデジタル表現のうちの他のシェル画像と比較する手段と、
・所定の基準に基づいてデジタル表現間の局所的な対応を示す手段とを含む。
【0016】
また、本発明は、コンピューティングシステムなどの処理エンジン上で実行された場合に、たとえば同一、部分的に同一、または同様の形状を有する1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現間の対応を自動的に見つけるコードセグメントを含むコンピュータプログラム製品を提供し、1つ以上の3次元物体の2つ以上のデジタル表現は、処理エンジンにロードされる点を含み、コンピュータプログラム製品は、
・シェル画像が計算される前記デジタル表現の各々について点の集合を規定する手段と、
・前記3次元物体の前記デジタル表現の各々についてシェル画像を計算する手段と、
・デジタル表現のうちの1つのシェル画像をデジタル表現のうちの他のシェル画像と比較する手段と、
・所定の基準に基づいてデジタル表現間の局所的な対応を示す手段とを含む。
【0017】
シェル画像を計算する手段は、
・中心点として前記点の集合の点のうちの1つを有する同心の球対称もしくは球状シェルの集合を規定する手段と、
・2つの連続する球対称もしくは球シェルによって包まれる前記デジタル表現の一部に基づいて、前記同心の球対称もしくは球シェルの各々に対して値を割り当てる手段と、
・値が割り当てられた前記球対称物体または球状シェルを、前記値を含む配列に変換する手段とを含む。
【0018】
本発明の実施形態は、方法、システム、またはソフトウェアを提供し、シェル画像の計算は、
・中心点として前記点の集合の点の1つを有する同心の球対称もしくは球シェルの集合を規定すること、
・2つの連続する球対称シェルもしくは球シェルによって包まれる前記デジタル表現にの一部に基づいて、前記同心の球対称もしくは球シェルの各々に対して値を割り当てること、
・値が割り当てられた前記球対称シェルもしくは球シェルを、前記値を含む配列に変換することによって行われるように適合される。
【0019】
好ましくは、2つ以上のデジタル表現のうちの1つのデジタル表現は、他のデジタル表現の解像度よりも高い解像度を有する。
【0020】
たとえば、2つ以上のデジタル表現は、骨および歯列を含む患者の顎のものであり得る。
【0021】
本発明の実施形態は、2つ以上のデジタル表現がコンピュータシステム上で実行される専用のソフトウェアアプリケーションにインポートされる画像となるように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0022】
好ましくは、骨および歯の3次元モデルは、画像セグメント化および体積メッシュ化に基づいて生成される。
【0023】
2つ以上のデジタル表現のうちの1つは、間接的または直接的な高解像度画像であり得る。
【0024】
本発明の実施形態は、高解像度画像を低解像度画像に対して位置決め/位置合わせするように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0025】
本発明の実施形態は、低解像度画像および高解像度画像において規定された点の集合についてシェル画像が生成されるように適合された方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0026】
たとえば、シェル画像は、表面モデル上に置かれる点の集合および/または体積表現におけるボクセルの中心点について計算され得る。
【0027】
点におけるシェル画像は、中央点として前記点と半径について異なる値を有する複数の同心の球対称シェルもしくは球を規定することによって計算することができる。
【0028】
半径は、連続する球対称シェルもしくは球のシェル表面が固定の距離となるように、または2つの連続する球対称シェルもしくは球の間の中央点を通る平面部分の面積の大きさが同じとなるように選択され得る。
【0029】
シェル画像の値は、球対称シェルもしくは球の中央点を通る対応する平面部分の面積の大きさで各面積値を割ることによって、または2つの連続する球対称シェルもしくは球に包まれる体積で各体積値を割ることによって標準化され得る。
【0030】
本発明の実施形態は、方法、システム、またはソフトウェアを提供し、2つ以上の表現についてのシェル画像の比較は、
・シェル画像間の類似性についての基準として、2つの1次元配列の対応する値間の差の絶対値の和を計算することを含むように適合される。
【0031】
たとえば、2つ以上の表現についてのシェル画像の比較は、
・n次元空間における点として考慮されるシェル画像の値のリスト間でユークリッド距離などの好適な距離を計算し、ユークリッド距離が小さければシェル画像間の対応が良好となることを含み得る。
【0032】
たとえば、2つ以上の表現についてのシェル画像の比較は、
・2つのシェル画像間の類似性の基準として、シェル画像間の線形相関を計算することを含む。
【0033】
一実施形態において、シェル画像の1次元配列の対応する値は点として考慮され、線形相関はこれらの点を通る線に適合する。線形相関は、相関係数および適合された線の傾斜を評価し、傾斜は同一のシェル画像の場合に1である。0に近い値は良好な類似性を示す。
【0034】
閾値が規定され、前記閾値を下回る値を有するシェル画像のすべてのペアは、良好な類似性を有するシェル画像として考慮され得る。
【0035】
たとえば、整合しているシェル画像は、ユークリッド距離などの関連する距離が所定の閾値より低いシェル画像として定められる。いずれかの実施形態において、閾値を変更する手段が設けられ得る。
【0036】
選択的に、高解像度画像は、口腔内スキャンである。好ましくは、口腔内スキャンは、2つ以上のスキャンを含む。
【0037】
本発明の実施形態は、再トラッキング、ランドマーク検知、特徴検知に適合される、または物体の2つのデジタル表現の表面位置合わせの良好な開始位置を見つけるように適合される、方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0038】
本発明の実施形態は、シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存され、両方の物体上の各点について、局所的な3次元表面の3つの慣性軸が計算され、可能な各点の対応について、第1に、対応する点の慣性軸の位置合わせを行い、表面の位置決めを行うことによって物体の位置決めが行われ、第2に、両方の物体間の最小平方距離(LSD)を計算することによって位置決めが評価され、最小のLSDを有する位置決めが最適な位置決めとして維持されるように適合された方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0039】
本発明の実施形態は、シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存され、3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めが行われ、その後に、表面位置決めおよび両方の物体間のLSDの計算が行われ、最小のLSDを有する位置決めが最適な位置決めとして維持されるように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0040】
本発明の実施形態は、シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存され、3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めが行われ、そしてシェル画像が計算された、およびx個の最良整合のリストが定められた位置決めされた表面上のすべての他の点について、最も近い最良整合への距離が定められ、すべてのこれらの距離は合算され、最小の合計距離となる3つの対応する点のペアの集合が維持され、この対応する点の集合に基づいて3点位置決めが行われ、その後に表面位置決めが行われるように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0041】
本発明の実施形態は、シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存され、3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めのための変換マトリックスが定められ、3つの位置決めされた点の間のLSDが定められ、LSDが所定の閾値よりも小さい場合、位置決めは可能な候補として考慮され、得られた変換マトリックスのリストから、類似のものが定められ、関連する点のリストがN点位置決めを行うために使用され、その後にシェル画像の表面情報のみを使用した表面位置決めが行われるように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0042】
本発明の実施形態は、シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各る点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた対応が保存され、両方の物体上の各点について、局所的な3次元表面の3つの慣性軸が計算され、各可能な点の対応について、第1に、対応する第1の点の局所的な3次元表面が対応する第2の点の物体に対して位置決めされ、これらの位置決めは、局所的な3次元表面と対応する第2の点の物体との間のLSD距離を計算することによって評価され、これにより、LSDが所定の閾値よりも小さい場合、この位置決めに属する変換が保存され、得られた変換マトリックスのリストから、類似のものが定められ、関連する点のリストがN点位置決めを行うために使用され、その後に類似と定められた変換に属するシェル画像の表面情報のみを使用した表面位置決めが行われるように適合される方法、システム、またはソフトウェアを提供する。
【0043】
たとえば本発明の実施形態に係るシステムもしくは装置に適用される、またはソフトウェアで実施される本発明の目的である位置決めまたは位置合わせ技術は、点の対応を見つけるために限られた数の点における限られた情報のみが比較されることから、従来の位置決めアルゴリズムよりもより速くなり得るとともに、必要とされるメモリが少なくなり得る。
【0044】
本発明の実施形態に係る位置決めまたは位置合わせ技術は、点の対応を見つけるために使用される形状が局所的なもののみとなるという事実から、従来の技術と比較してノイズに対する感度が小さくなり得る。
【0045】
たとえば本発明の実施形態に係る本発明の目的である位置決めまたは位置合わせ技術は、回転画像と比較して以下の利点のうち1つ以上を有する。
【0046】
−回転画像は、回転画像の計算のために頂点を使用することから、メッシュのサンプリングに対する感度が非常に高く、比較される両方の物体について準同一サンプリングが必要となる。本発明の実施形態に係る新しい位置決め技術は、点密度でなく、面積もしくは体積の情報が使用されることから、これに当てはまらない。これ故に、リサンプリングを必要とせず、3次元物体の概算を同じ3次元物体の詳細な表現と比較することができる。
【0047】
−回転画像グリッドの解像度は、十分に描画的な回転画像を得るために、よく選択する必要があり、3次元物体のサンプリング解像度の関数とする必要がある。本発明の実施形態に係る新しい位置決め技術は、点密度でなく、面積もしくは体積の情報が使用されることから、これに当てはまらない。
【0048】
−回転画像は、3次元物体の2.5次元表現である一方、本発明の実施形態によれば、新しい技術は1.5次元描画となることから、さらにメモリ使用を減少させることができる。
【0049】
−シェル画像は、表面法線を使用しないことから、回転画像よりもノイズに対する感度が小さい。
【0050】
−良好な対応を見つけるために、3次元物体の1つの表現上の点は他の表現上の点に非常に近くすべきであるという事実から、回転画像は非常に感度が高い。結果として、回転画像は、両方の表現の点の大きな集合において計算しなければならない。本発明の実施形態は、表面法線情報が使用されず、すべての局所的な情報が2.5次元の代わりに1.5次元に減少されることから、これに対する感度がはるかに小さい。結果として、点の対応を見つけるために、点の限られた集合を使用することができる。
【0051】
本発明のこれらおよびさらなる目的、特徴、利点は、添付の図面が参照される以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】表面メッシュにおける頂点に作られた配向点基準を示す図であり、配向点pの位置は頂点の3次元位置であり、配向点の方向は頂点における表面法線nであり、表面法線nへの径方向距離αおよび面Pの上方の符号付き距離βの2つの座標は配向点に与えられた頂点xについて計算され得る。
図2】2次元配列表現に加えられた表面メッシュの点を示す図である。
図3】表面上の点についてシェル画像を定めるために規定される同心の球の集合を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る方法を示すフロー図である。
図5】本発明の実施形態に係る方法を示すさらに他のフロー図である。
図6】本発明の実施形態に係るコンピュータシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
定義
シェル画像は、3次元デジタル表現、すなわち表面モデル上の点および/または体積表現におけるボクセルの中央点について規定される点の集合について計算され得る。点におけるシェル画像は、中央点として前記点および半径として異なる値を有する複数の球などの同心の球対称シェルを規定することによって計算される。「球対称」の用語は、球のみでなく、多数の面を有する多面体も言う。たとえば12以上の面といった多数の面を使用することにより、多面体は、球に近似することができる。好ましくは、多面体は正多面体である。「正」の用語は、たとえば頂点、縁、面、またはセルなどのすべての要素が、多面体がそれ自体の適用範囲となるような回転もしくはミラー変換のグループがあるように区別不能となることを意味する。5つの既知の正多面体の実施において、十二面体および二十面体のみが多数の面を有し、それぞれ12個および20個の面を有し、本件出願に妥当である。
【0054】
これらの半径は、連続する球対称シェルもしくは球のシェル表面が固定の距離となるように、または球などの2つの連続する球対称シェル間で中央点を通る平面部分の面積の大きさが同一となるように、または任意の他のランダムな方法もしくは所定の方法で選択され得る。第1の球内および球などの2つの連続する球対称シェルの各々の間の物体の3次元表現の一部を示す値(たとえば、表面の面積、体積、点密度、加重体積など、またはこれらの任意の組み合わせの大きさ)は、計算され、たとえば球などの球対称シェルの各々に割り当てられる。これらの値は標準化され得る。たとえば、球対称シェルもしくは球の中央点を通る対応の平面部分の面積の大きさで各面積値を割ることにより、または、2つの連続する球対称シェルもしくは球によって囲まれる体積で各体積値を割ることにより、標準化され得る。得られた連続する標準化値のリストは、その点のシェル画像という。
【0055】
好ましい実施形態の説明
本発明は、特定の実施形態に対して、特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれに限定されず、請求項のみによって限定される。以下では、歯科インプラントなどにおいて使用される手術計画に対して本発明が説明されるが、本発明はそれに限定されない。本発明の実施形態は、たとえば物体の3次元表現などのデジタル表現を位置合わせまたは位置決めしなければならない画像技術において有用な用途が見出される。
【0056】
図4を参照すると、本発明の方法100の好ましい実施形態によれば、特に(CB)CTスキャンなどの体積スキャンであるスキャンが、ヒトの身体もしくは動物の身体の一部などの物体についてステップ102で行われる。このようなスキャンは、手術計画において使用され得る。他の好適なスキャンニング技術は、MRIおよびマイクロコンピュータトモグラフィ(micro computed tomography)を含む。スキャンは、たとえばコンピュータによってガイドされるインプラントや顎矯正手術などの歯科治療計画において使用するために、骨および歯列を含む患者の顎に対して行われる。得られたデジタル画像は、たとえば最適な歯科治療などの最適な治療を歯科医などの医師が3次元で仮想的に計画を立てることを可能とする、コンピュータシステム上で実行される専用のソフトウェアアプリケーションにステップ104においてインポートされる。画像セグメント化技術および体積メッシュ化技術に基づき、骨および歯の3次元モデルがステップ106において生成される。この骨・歯モデルは、歯の3次元形状を含むが、たとえば(CB)CTスキャナなどのスキャナの限られた解像度および部分体積効果により、解像度が低くなり得る。このモデルは、メモリに記憶され得る。また、多くの場合、(CB)CT画像は、金属充填物または歯の金属復元物により、散乱を含む。この散乱は手作業で除去しなければならない。これは、ユーザがグレイ値情報を視覚的に解釈し、歯の境界を推測することを意味する。この態様では、ステップ108において、患者の歯列などの身体部分に近似の低解像度モデルが作られる。このモデルはメモリに記憶され得る。身体部分のモデルに正確な情報を含むことができるようにするために、追加の軟組織情報を得て、スキャン画像と位置決めしなければならない。たとえば、正確な歯情報および粘膜情報を含むために、患者の歯列などの患者の身体部分のさらなる高解像度(散乱および歪みのない)3次元モデルがステップ110において得られ、そしてステップ112において、ステップ102において得た(CB)CT画像内に新たな表現が位置決めされる。このさらなるモデルはメモリに記憶され得る。ステップ110において、患者の歯列などの身体部分は、直接的技法または間接的技法によって高解像度でデジタル化され得る。このデジタル化された身体部分は、メモリに記憶され得る。この間接的技法は、患者の歯列の印象を取ることから始まる。その後、印象はデジタル化される。または、印象は、後にデジタル化される石膏モデルに注入するために使用される。たとえば(μ)CTスキャンニング、光学スキャンニング、または機械的触覚的デジタル化技術など、異なるデジタル化技術がある。直接的技法は、もはや患者の歯列の印象から始まるのではなく、患者の歯列が直接的にデジタル化される、すなわち口腔内スキャンニングがなされる。すでにいくつかの口腔内スキャンニング装置が市販されている。
【0057】
ステップ112において、歯列などの身体部分の高解像度3次元モデルを、スキャンベースモデル、たとえば(CB)CTベースモデル、たとえば骨・歯モデルに対して位置決め/位置合わせしなければならない。この位置決めは、メモリに記憶され得る。最後に、ステップ114において、歯科医は、位置決めモデル上でシミュレーション、計画、または任意の他の活動を行うことができる。
【0058】
本発明の目的は、シェル画像に基づく位置決め技術を、本発明の実施形態におけるこの目的のために使用することにある。ステップ112は、図5に概略的に示される方法200として以下により詳細に説明される。
【0059】
図5を参照すると、位置決め方法200の第1のステップ202において、シェル画像は、たとえば両方の3次元モデル、すなわち低解像度および高解像度のモデルについての3次元表現のために規定された点の集合、たとえばランダムな点の集合について計算される。たとえば、シェル画像は、3次元表現のために規定されたランダムな点の集合などの点の集合、すなわち表面モデル上の点および/または体積表現におけるボクセルの中央点、および両方の3次元モデルのこれについて計算される。点におけるシェル画像は、中央点として前記点および半径として異なる値を有する複数の同心の球対称シェルもしくは球を規定することによって計算される。これらの半径は、連続する球対称シェルもしくは球のシェル表面が固定の距離となるように、または連続する球対称シェルもしくは球の間の中央点を通る平面部分の面積の大きさが同じとなるように、または任意の他のランダムな方法もしくは所定の方法で選択され得る。ステップ204において、第1の球対称シェルもしくは球内および2つの連続する球対称シェルもしくは球の各々の間の物体の3次元表現の部分を示す値(たとえば、表面の面積、体積、点密度、荷重体積など、またはこれらの任意の組み合わせの大きさ)を示す値は、計算され、各球対称シェルもしくは球に割り当てられる。これらの値は、メモリに記憶され得る。次のステップ206において、これらの値が配列に変換される。ステップ208において、上記の値の配列が選択的に標準化される。たとえば、球対称シェルもしくは球の中央点を通る対応の平面部分の面積の大きさで各面積値を割ることにより、または2つの連続する球対称シェルもしくは球に包まれる体積で各体積値を割ることにより、標準化される。連続する標準化された値について得られたリストは、その点のシェル画像という。このリストは、メモリに記憶され得る。
【0060】
次のステップ210において、すなわち同じパラメータ(すなわち、球対称シェルもしくは球の数(n)および半径の値)を使用して両方の3次元モデルの点の集合、たとえばランダムな点の集合についてシェル画像を計算した後、1つの3次元モデル上の点と他の3次元モデル上の点との間の点の対応を確立するために、シェル画像が比較される。ステップ210におけるシェル画像の比較については、異なる方法が可能であり、その例の一部が以下に記載され、その各々は本発明の実施形態として含まれる。
【0061】
・2つの1次元配列の対応する値間における差の絶対値の和が計算され得て、これはシェル画像間の類似性の基準である。ゼロに近い値は良好な類似性を示す。したがって、整合するシェル画像を選択するために、閾値を規定しなければならず、上記の閾値を下回る値を有するシェル画像のすべてのペアは、良好な類似性を有するシェル画像である。
【0062】
・ユークリッド距離などの好適な距離は、n次元空間における点として考慮される値のリスト間で計算され得る。値の標準化は、シェル画像を比較する際のユークリッド距離に対する外側の球状シェルにおける値の影響を限定するために必要となる。ユークリッド距離が小さい程、シェル画像間の対応が良好となり、究極的には0の値で完全な対応となる。なお、同じ物体の異なる例のシェル画像(たとえば、光学スキャンと(CB)CTスキャン)は完全に同じとはならない。このため、ユークリッド距離についての小さい値が、ほぼ同じシェル画像を示す。たとえば、この最小距離は、3次元モデルの形状の複雑性に依存し得る。平面形状について、高解像度および低解像度のモデルの対応するシェル画像間のユークリッド距離は、理想的な状況においては非常に小さくなる、またはゼロとなる一方、高度に湾曲した形状については、対応するシェル画像間のユークリッド距離は大きくなる。このため、閾値は、用途、すなわち3次元モデルの通常の形状に依存し得る。閾値は、シェル画像の計算に使用される球の半径および数にも依存し得る。本発明の任意の実施形態において、閾値を変更する手段が設けられる。
【0063】
・したがって、整合するシェル画像は、ユークリッド距離などの関連する距離が所定の閾値よりも低いシェル画像である。
【0064】
・シェル画像間の線形相関は、2つのシェル画像間の類似性の基準として計算され得る。このため、1次元配列(すなわち、シェル画像)の対応する値は、点として考慮され、線はこれらの点を通って適合する。同一のシェル画像の場合、線は、1の傾斜および1の線形相関係数を有し得る。このため、整合するシェル画像は、線形相関係数の高い値および傾斜について1に近い値に基づいてフィルタリングされる。
【0065】
整合を見つける他の方法が本発明の範囲内に含まれる、またはこれらの任意の組み合わせが使用され得る。
【0066】
「同一」のシェル画像を有する点は、物体上の「同一」の点であり得るが、必ずしもそうではない。シェル画像の比較は、誤検出および検出漏れとなり得る。シェル画像の関連するパラメータ(たとえば、球の数および半径)は、誤検出および/または検出漏れの数を最小化するために用途のタイプに対して最適化するのが好ましいが、本発明に従えば、これらを完全に回避する必要はない、または不可能な場合もある。閾値基準は、物体上の「同一」の点を識別するために使用される。閾値基準は、当然に許容差を含み、この許容差が大きければ、誤検出を識別する機会が高まる。本発明の任意の実施形態において、閾値を変更する手段が設けられる。
【0067】
非対応の点について「同一」のシェル画像が見つかる場合がある。たとえば、それぞれの点まわりの表面の3次元形状が非常に類似している場合である。このため、ステップ212において1つの物体と他の物体との最適な位置合わせを見つけるために、追加の位置決め技術が好ましくは必要となる。好ましい選択肢の一部が以下に記載される。これらの各々、またはこれらの任意の組み合わせは、本発明の実施形態である。
【0068】
・シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存される。両方の物体上の点の各々について、局所的な3次元表面の3つの慣性軸が計算される。可能な各点の対応について、第1に、対応する点の慣性軸の位置合わせを行い、表面位置決めを行うことによって物体の位置決めが行われ、第2に、両方の物体間の最小平方距離(LSD)を計算することによって位置決めが評価される。最後に、最小のLSDを有する位置決めが最適な位置決めとして維持される。
【0069】
・シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存される。3つの対応する点のペア(6つの異なる点のみを含むもの)の各組み合わせについて、3点位置決めが行われ、その後に、表面位置決めおよび両方の物体間のLSDの計算が行われる。最後に、最小のLSDを有する位置決めが最適な位置決めとして維持される。
【0070】
・シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存される。3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めが行われる。そして、シェル画像が計算され、x個の最良整合のリストが定められた位置決めされた表面のすべての他の点について、最も近い最良整合が定められる。すべてのこれらの距離は合算され、最も小さい合計距離となる3つの対応する点の集合が維持される。最後に、この対応する点の集合に基づいて3点位置決めが行われ、その後に表面位置決めが行われる。
【0071】
・シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存される。3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めのための変換マトリックスが定められ、3点位置決めされた点の間のLSDが定められる。LSDが所定の閾値よりも小さい場合、位置決めは可能な候補として考慮される。得られた変換マトリックスのリストから、類似のものが定められ、関連する点のリストがN点位置決めを行うために使用され、その後にシェル画像の表面情報のみを使用して表面位置決めが行われる。
【0072】
・位置決め技術は、統合され得る、または組み合わされ得る。たとえば、以下の技術は、上記の第1の位置決め技術と最後の追加の位置決め技術との組み合わせである。シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存される。両方の物体上の各点について、局所的な3次元表面の3つの慣性軸が計算される。可能な各点の対応について、第1に、対応する第1の点の局所的な3次元表面が対応する第2の点の物体に対して位置決めされる。これらの位置決めは、局所的な3次元表面と対応する第2の点の物体との間のLSD距離を計算することによって評価される。LSDが所定の閾値よりも小さい場合、この位置決めに属する変換が保存される。得られた変換マトリックスのリストから、類似するものが定められ、N点位置決めを行うために関連する点のリストが使用され、その後に、類似すると定められた変換に属するシェル画像の表面情報のみを用いて表面位置決めが行われる。
【0073】
上述した位置決め選択肢のうちの1つ以上の任意の組み合わせが使用され得るとともに、これは本発明の実施形態である。このため、1つの物体を他の物体に位置決めするための妥当性のある変換を算出するために、シェル画像に基づいて対応する点についての妥当性のある任意の可能な方法および/または順序付け、フィルタリング、およびグループ分けの組み合わせを行うことは、ステップ214における他の現状技術の位置決め技術を用いた最適化のための最終的な位置決めまたは始点として使用され得る。得られた位置決めは、メモリに記憶され得る。
【0074】
他の本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ110において、口腔内スキャン(たとえば、光学スキャン)が患者の下方および上方の歯列に対して行われ、2つのデジタル3次元モデルが得られる、すなわち1つが上方の歯列であり、1つが下方の歯列である。また、口腔内側面スキャン(たとえば、光学スキャン)は、かみ合わせの状態で患者の歯列に対して行われ、かみ合わせにある下方および上方歯列のデジタル3次元モデルを仮想的に位置決めすることができる。側面スキャンは、主に、上方および下方歯列の頬面/唇面を含む。別個の歯列のデジタル3次元モデルは、自動的かつ側面スキャンの許容可能な時間内に位置決めしなければならず、これは、上方および下方歯列のそれぞれの部分視のみを含む。この口腔内側面スキャンを行っている間に即時のフィードバックを与えることができるようにするために、リアルタイムの完全に自動化された位置決め処理を有することが重要である。このようなことから、ユーザには、行なわれた側面スキャンが目的に合っているか、すなわち上方および下方歯列の位置合わせのための十分な表面情報を含んでいるかが伝えられる。このため、別個の歯列の3次元モデルの各々について、ランダムな点の集合についてシェル画像が計算される。側面スキャンを行っている間、整合を見つけるためにシェル画像が計算され、別個の歯列のものと比較される。ひとたび可能な対応が見つかると、別個の3次元モデルを側面スキャンに位置決めするために追加の位置決め技術が使用される。
【0075】
本発明の好ましい実施形態によれば、通常口腔内スキャン(たとえば、光学スキャン)に必要とされる再トラッキングのためにシェル画像が使用される。口腔内スキャンニング装置は、通常は、物体の表面をデジタル化することができる小さな範囲を有する手持ちスキャンニングユニットである。これは、物体の表面への距離を測定することができるようにすべく、スキャナーのヘッド部、すなわち取り込みユニットが、一方でデジタル化される物体の表面から最小の距離にあり、他方で最大の距離内にある必要があることを意味する。この距離測定に基づき、物体の表面上に置かれる点が生成される。スキャンニング時に手持ちプローブがこの距離範囲にない場合、データが取り込まれず、これをトラックの損失という。スキャンニングを再開するために、プローブをこの距離範囲内に戻さなければならないが、その時点において、物体のどの領域において新しいデータが取り込まれるかが分からない。このため、限られた時間において既にスキャンされた表面上におけるこの位置を見つけるために、再トラッキングアルゴリズムが必要となる。再トラッキングの問題は、実際は、小さな表面(すなわち、新しいスキャンデータ)を大きな表面(すなわち、既にスキャンされた表面)に対して位置決めする問題であり、通常はノイズが多く、部分的にのみ重複する(すなわち、同一の)表面によって特徴付けられる。このため、シェル画像は、既にスキャンされた表面上のランダムな点の集合、および新たにスキャンされた領域のランダムな点の集合について生成される。これらのシェル画像は比較され、整合が定められる。新たにスキャンされた領域についての正しい位置を見つけるために、シェル画像の整合の対応する点について慣性軸が計算され、表面がこれらの慣性軸によって位置決めされる。そして、局所的な表面位置決めが行われ、LSDが計算される。低いLSD値となる位置決め(したがって、位置)は、正しい位置として考慮され、標準的なスキャン処理は、トラックが再び損失しない限り続けることができる。
【0076】
他の好ましい実施形態によれば、シェル画像は、物体の2つのデジタル表現の表面位置合わせのための良好な開始位置を自動的に見つけることを目的として使用される。この処理は、現在では通常、ユーザ対話によって行われる、たとえば、両方の実例上の整合する点を示すことによって行われる、または1つの実例を手動で移動もしくは回転させて視覚的に他の例と重ならせることによって行われる。
【0077】
本発明の例示的な実施形態によれば、本発明は、ランドマーク検知のために使用される。このため、ランドマークを有する解剖学的構造の包括的な3次元モデルが入手可能である。ランドマークにおいては、シェル画像が作られる。ランドマークを識別しなければならない患者特定3次元モデルについては、シェル画像が計算されるランダムな点の集合が選択される。これらは、ランドマーク点と患者特定3次元モデル上の点との間の可能な整合を識別するために、包括的なモデルのランドマーク点のものと比較される。このようなことから、患者特定3次元モデル上の対応するランドマーク点が規定される。最適化は、たとえば最初に識別された点に近い点についてのシェル画像を計算することによって対応のランドマーク点を微細に調整し、整合したランドマーク点のシェル画像とこれらを比較するために行われ得る。最も高い対応を有する点は、最終的なランドマーク点として維持される。
【0078】
さらに他の例示的な実施形態によれば、本発明は、特徴認識のために使用される。特定の重要な特徴を有する物体の包括的な3次元モデルが存在し、上記の特徴は他の物体の3次元表現において識別されなければならない。このため、包括的なモデルにおける特徴の箇所の点の集合が選択され、上記の点についてシェル画像が生成される。シェル画像のパラメータ(球対称シェルもしくは球の数および半径)は、局所的な特徴のみがシェル画像によって描画されるような方法で選択される。上記の特徴を識別しなければならない物体について、同じパラメータを有するシェル画像が、物体にわたって分布された点の大きな集合について計算される。これらのシェル画像は、点の対応を見つけ、このようなことから検知される特徴についての物体上の妥当な箇所(すなわち、点)を見つけるために、包括的なモデルのものと比較される。他の位置決め基準は、妥当な候補を確認し、上記の特徴を識別するために使用される。
【0079】
本発明の実施形態に係る方法およびシステムは、本発明の方法を実施するように適合されたコンピュータ機器上で実施され得る。このようなコンピュータシステム30の概略図は図6に示され、プロセッサ32およびメモリを有するコンピュータ31を含み、好ましくは表示部を含む。コンピュータ31は、3次元モデルを生成して視覚化する手段を有し得る。これを実現するために、たとえばCD−ROMもしくはソリッドステートメモリなどの記憶装置から、たとえばLANもしくはWANなどのネットワークリンクを介して3次元モデルのためのデータを入力するために、入力装置が設けられ得る。
【0080】
方法は、コンピュータ上で実行された場合に、生成された3次元モデル上でたとえば歯科治療計画などの手術計画などのための画像のアップロード、記憶、および処理を可能とするソフトウェア33およびたとえばモジュール36を提供することによってコンピュータ31上で実施され得る。また、たとえば治療のための最良の手法など、手法を選択または決定することが可能である。
【0081】
コンピュータ31は、プロセッサ32と、データおよびマシン可読命令を記憶するメモリ34,40とを含み得て、マシン可読命令は、プロセッサによって実行されると、上記の方法をプロセッサに行わせる。本発明の方法とともに利用することができるコンピューティングシステムは、ベルギー国ルーヴェンのMaterialise N.V.社によって供給される3-matic(登録商標)などのコンピュータプログラムを実行し得る。コンピュータは、画像表示端末、キーボードなどのデータ入力手段、およびマウスなどの手段を示すグラフィックユーザインターフェイスを含み得る。コンピュータは、たとえばUNIX(登録商標)ワークステーションなどの汎用コンピュータ、またはパーソナルコンピュータとして実施され得る。
【0082】
コンピュータ31は、通常、単に例としてIntel USAによって供給されるPentium(登録商標)プロセッサなどの従来のプロセッサである中央処理装置(CPU)と、バスシステムを介して相互接続される複数の他のユニットとを含む。バスシステムは、任意の好適なバスシステムであり得る。コンピュータは、少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、および当業者にとって公知のハードディスクなどの不揮発性書き込み/読み取りメモリなど、当業者にとって公知の様々なデータ記憶装置のいずれかを含み得る。たとえば、コンピュータは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、および画像表示端末にシステムバスを接続するための表示装置アダプター、ならびにシステムバスに周辺機器(たとえば、ディスクおよびテープドライブ)を接続するための光学入出力(I/O)アダプターをさらに含み得る。画像表示端末は、コンピュータの視覚的出力であり得て、コンピュータハードウェアの技術において周知のCRTベースの画像表示部などの任意の好適な表示装置であり得る。しかしながら、デスクトップコンピュータ、ポータブルもしくはノートブック型コンピュータを用いる場合、画像表示端末は、LCDベースもしくはガスプラズマベースの平面パネル表示部と置き換えることができる。コンピュータは、キーボード、マウス、および選択的なスピーカーを接続するためのユーザインターフェイスアダプターをさらに含む。
【0083】
コンピュータは、コンピュータの動作を命令するマシン可読媒体内に常駐するグラフィカルユーザインターフェイスも含み得る。任意の好適なマシン可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、磁気ディスク、磁気テープ、または光学ディスク(最後の3つはディスクおよびテープドライブ内に位置する)などのGUIを保持し得る。任意の好適なオペレーティングシステムおよび関連するグラフィカルユーザインターフェイス(たとえば、Microsoft Windows(登録商標)、Linux(登録商標))は、CPUに命令し得る。加えて、コンピュータは、コンピュータメモリ記憶装置内に常駐する制御プログラムを含む。制御プログラムは、CPU上で実行された場合に本発明の方法のいずれかに関して説明した動作をコンピュータに行わせることができる命令を含む。
【0084】
グラフィカルユーザインターフェイスは、治療される歯列/歯の3次元モデルを視覚化するために使用される。また、生成された3次元モデル上で治療を計画および/またはシミュレーションするために使用され得る。
【0085】
当業者は、コンピュータハードウェア技術において周知の、光学ディスク媒体、オーディオアダプター、またはPALもしくはEPROMプログラミング装置などのチッププログラミング装置などの他の周辺機器などが、既に説明されたハードウェアに加えて、またはこれに代えて利用され得ることを理解する。
【0086】
本発明の方法を行なうためのコンピュータプログラム製品は、任意の好適なメモリ内に常駐し得て、本発明は、コンピュータプログラム製品を実際に記憶するために使用される信号保持媒体の特定のタイプに関わらず等しく適用される。コンピュータ可読信号保持媒体の例は、フロッピー(登録商標)ディスクおよびCD−ROM、ソリッドステートメモリ、テープ記憶装置、磁気ディスクなどの記録可能型媒体を含む。
【0087】
このため、本発明は、好適なコンピューティング装置上で実現された場合に本発明の方法のいずれかを行うソフトウェア製品も含む。好適なソフトウェアは、C言語などの好適な高等言語でプログラミングし、対象となるコンピュータプロセッサのための好適なコンパイラ上でコンパイルすることによって得ることができる。このような方法についてここで説明する。
【0088】
本発明の実施形態に係るコンピュータシステムおよび好適なソフトウェア(たとえば、メモリに記憶され、プロセッサ上で実行されることにより、たとえばコンピュータシステム上での実行に適合する)は、スキャン、特に物体の(CB)CTスキャン35などの体積スキャンのアップロードのための手段を有し得る。スキャンは、光学ディスク(たとえば、CD−ROM、DVD−ROM)、磁気ディスク(たとえば、ハードドライブ)、磁気テープ、ソリッドステートメモリなどの好適な信号記憶装置から、またはLANなどのネットワークから、または直接的にスキャナーからアップロードされ得る。コンピュータシステムには、好適な読み取り部またはこのようなアップロードを可能とするインターフェイスが設けられる。このスキャン35は、デジタル表現としてメモリ34,40内に記憶され得る。スキャンは、たとえばコンピュータによってガイドされるインプラントや顎矯正手術などの歯科治療計画に使用するために、たとえば骨および歯列を含む患者の顎からなり得る。コンピュータシステムは、たとえば、医師が最適な歯科治療などの最適な治療を3次元で仮想的に計画することができるように、得られた画像をコンピュータシステム上で実行される専用ソフトウェアアプリケーションにインポートする手段を用いて適合される。コンピュータシステムは、好適な治療計画もしくはシミュレーションソフトウェア36(たとえば、ベルギー国ルーヴェンのMaterialise Dental N.V.社によって供給されるSimPlantソフトウェア)を有し得る。コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、画像セグメント化技術および体積メッシュ化技術のための手段を含むように適合されるとともに、このような画像セグメント化技術および体積メッシュ化技術を使用した骨および歯などの身体部分の3次元モデルを生成する手段を含むように適合される。この骨・歯モデルは、歯の3次元形状を含むが、たとえば(CB)CTスキャナなどのスキャナ自体の限られた解像度および部分体積効果により、解像度が低くなり得る。このモデルは、モデル41としてメモリ内に記憶され得る。また、(CB)CT画像は、多くの場合、金属充填物または歯の金属復元物により、散乱を含む。コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、除去手段によって手動でこの散乱を除去することができるように適合され得る。これは、ユーザがグレイ値情報を視覚的に解釈して歯の境界を予測しなければならないことを意味する。この態様において、患者の歯列などの身体部分の概略的な低解像度モデルが作られる。このモデルは、メモリ内に記憶され得る。身体部分の最終的なモデル内に正確な情報を含むことができるように、軟組織情報などの追加の情報が取得され、スキャンされた画像に対して位置決めされなければならない。たとえば、正確な歯情報および粘膜情報を含むために、患者の歯列など、患者の身体部分のさらなる高解像度の(散乱および歪みのない)3次元モデルがアップロードおよび生成され、コンピュータシステムは、低解像度の(たとえば、(CB)CT)画像内にこの高解像度画像を位置決めするように適合される。アップロードおよび位置決めを可能とするために、患者の歯列などの身体部分は、高解像度画像37を生成する上述のような直接的または間接的な技術によって患者の歯列などの身体部分がデジタル化され得る。この高解像度表現は、メモリに記憶され得る。
【0089】
コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、スキャンベースのモデル、たとえば(CB)CTベースのモデル、たとえば骨・歯モデルを用いて歯列などの身体部分の高解像度3次元モデルを位置決め/位置合わせする手段で適合される。位置決め42は、メモリに記憶され得る。本発明の実施形態に従えば、コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、本発明の実施形態におけるこの目的のために「シェル画像」に基づいた位置決め技術が使用されるように適合される。
【0090】
コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、両方の3次元モデル、すなわち低解像度および高解像度のモデルのための3次元表現のために規定された、たとえば点のランダムな集合などの、点の集合についてシェル画像が計算される第1のステップを行うように適合される。これらのシェル画像は、メモリに記憶され得る。たとえば、コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、3次元表現のために規定された点のランダムな集合などの点の集合についてシェル画像を計算するように適合される。これらの点は、表面モデル上に置かれる点および/または体積表現におけるボクセルの中央点、ならびに両方の3次元モデルのためのものであり得る。コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、点におけるシェル画像が、たとえばプロセッサを使用して中央点として上記の点および半径として異なる値を有する複数の同心の球対称シェルまたは球を規定することによって計算されるように適合され得る。これらの半径は、連続する球対称シェルもしくは球のシェル表面が固定の距離となるように、または2つの連続する球対称シェルもしくは球の間の中央点を通る平面部分の面積の大きさが同一となるように、または任意の他のランダムもしくは所定の方法で選択され得る。コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、第1の球対称シェルもしくは球内および2つの連続する球対称シェルもしくは球の各々の間の物体の3次元表現の部分を示す値(たとえば、表面の面積、体積、点密度、加重体積など、またはこれらの任意の組み合わせの大きさ)を計算し、この値を各球対称シェルもしくは球に割り当てるように適合される。これらの値43は、メモリに記憶され得る。次のステップにおいて、これらの値は、配列に変換され得る。値の配列は、選択的に標準化され得る。たとえば、球対称シェルもしくは球の中央点を通る対応する平面部分の面積の大きさで各面積値を割る、または2つの連続する球対称シェルもしくは球によって囲まれる体積で各体積値を割ることによって標準化され得る。得られた連続する標準化された値のリストは、その点のシェル画像という。このリストは、メモリに記憶され得る。
【0091】
コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、第2のステップ、すなわち同じパラメータ(すなわち、球対称シェルもしくは球の数(n)および半径の値)を使用して両方の3次元モデルの点の集合、たとえば点のランダムな集合についてシェル画像を計算した後、1つの3次元モデル上の点と他の3次元モデル上の点との間の点の対応を確立するためにシェル画像が比較されるように適合される。シェル画像を比較するために、コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、異なる方法を使用するように適合され得て、その方法については一部が以下に記載され、その各々が本発明の実施形態として含まれる。
【0092】
・2つの1次元配列の対応する値間の差の絶対値の和が計算され得て、これはシェル画像間の類似性の基準である。ゼロに近い値は、良好な類似性を示す。したがって、整合するシェル画像を選択するために、閾値を規定しなければならず、上記の閾値を下回る値を有するシェル画像のすべてのペアは、良好な類似性を有するシェル画像である。
【0093】
・ユークリッド距離などの好適な距離は、値のリスト間で計算され得て、これらの値はn次元空間における点として考慮される。値の標準化は、シェル画像を比較する際に外側球状シェルにおける値のユークリッド距離に対する影響を限定するために必要である。ユークリッド距離が小さい程、シェル画像間の対応が良好であり、究極的には0の値において完全な対応となる。なお、同じ物体の異なる例(たとえば、光学スキャンと(CB)CTスキャン)のシェル画像は完全に同じとはならないことから、ユークリッド距離の小さい値は、ほぼ同一のシェル画像を示す。したがって、整合するシェル画像は、ユークリッド距離などの関連する距離が所定の閾値より低いシェル画像である。任意の実施形態において、コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、閾値を変更することが可能となるように適合され得る。
【0094】
・シェル画像間の線形相関は、2つのシェル画像間の類似性についての基準として計算され得る。このため、1次元配列(すなわち、シェル画像)の対応する値は点として考慮され、線がこれらの点を通って適合される。同一のシェル画像の場合、線は1の傾斜と1の線形相関とを有する。このため、整合するシェル画像は、線形相関係数の高い値および傾斜が1に近い値に基づいてフィルタリングされる。
【0095】
整合を見つける他の方法が本発明の範囲内に含まれる、またはこれらの任意の組み合わせが使用され得る。
【0096】
「同一」のシェル画像を有する点は、物体上の「同一」の点であり得るが、必ずしもそうとは限らない。対応しない点について「同一」のシェル画像が見つけられ得る。たとえば、それぞれの点の周りにおいて表面の3次元形状が局所的に非常に類似している場合である。このため、コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアが、1つの物体から他方の物体への最適な位置合わせを見つける追加の位置決め技術を使用するように適合されるのが好ましい。好ましい選択肢の一部は、以下に一覧で示され、これらの各々またはこれらの任意の組み合わせは、本発明の実施形態である。
【0097】
・シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存される。両方の物体上の各点について、局所的な3次元表面の3つの慣性軸が計算される。各可能な点の対応について、第1に、対応する点の慣性軸の位置合わせを行い、表面位置決めを行うことによって物体の位置決めが行われ、第2に、両方の物体間の最小平方距離(LSD)を計算することによって位置決めが評価される。最後に、最小のLSDを有する位置決めが最適な位置決めとして維持される。
【0098】
・シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存される。3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めが行われ、その後に、表面位置決めおよび両方の物体間のLSDの計算が行われる。最後に、最小のLSDを有する位置決めが最適な位置決めとして維持される。
【0099】
・シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存される。3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めが行われる。そして、シェル画像が計算され、x個の最良整合のリストが定められた位置決めされた表面のすべての他の点について、最も近い最良整合への距離が定められる。すべてのこれらの距離は合算され、最小の合計距離となる3つの対応する点のペアの集合が維持される。最後に、対応する点のこの集合に基づいて3点位置決めが行われ、その後に表面位置決めが行われる。
【0100】
・シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存される。3つの対応する点のペア(6つの異なる点を含むもののみ)の各組み合わせについて、3点位置決めのための変換マトリックスが定められ、3つの位置決めされた点の間のLSDが定められる。LSDが所定の閾値よりも小さい場合、位置決めは可能な候補として考慮される。得られた変換マトリックスのリストから、類似のものが定められ、関連する点のリストがN点位置決めを行うために使用され、その後にシェル画像の表面情報のみを使用した表面位置決めが行われる。
【0101】
・位置決め技術は、統合され得る、または組み合わされ得る。たとえば、以下の技術は、上記の第1の位置決め技術と最後の追加の位置決め技術との組み合わせである。シェル画像が計算される、位置決めされる物体の各点について、x個の最良整合シェル画像が定められ、得られた点の対応が保存される。両方の物体上の各点について、局所的な3次元表面の3つの慣性軸が計算される。可能な各点の対応について、第1に、対応する第1の点の局所的な3次元表面が対応する第2の点の物体に対して位置決めされる。これらの位置決めは、局所的な3次元表面と対応する第2の点の物体との間のLSD距離を計算することによって評価される。LSDが所定の閾値よりも小さい場合、この位置決めに属する変換が保存される。得られた変換マトリックスのリストから、類似するものが定められ、N点位置決めを行うために関連する点のリストが使用され、その後に、類似すると定められた変換に属するシェル画像の表面情報のみを用いて表面位置決めが行われる。
【0102】
本発明に係るコンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、上述の位置決めの選択肢のうちの1つ以上の任意の組み合わせを使用し得る。このため、1つの物体を他の物体に位置決めするための妥当な変換を算出するためにシェル画像に基づいて点の対応を順序付け、フィルタリング、およびグループ分けする任意の可能な方法および/または組み合わせが、ステップ214において、他の現状技術の位置決め技術を使用して最終的な位置決めまたは最適化のための開始点として使用することができる。
【0103】
コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、他の実施形態において、患者の下方および上方歯列からなり、2つのデジタル3次元モデルが得られる、すなわち1つが上方歯列となり1つが下方歯列となる口腔内スキャン(たとえば、光学スキャン)をアップロードおよび使用するように適合され得る。かみ合わせ時における下方および上方歯列のデジタル3次元モデルを仮想的に位置決めすることができるように、口腔内側面スキャン(たとえば、光学スキャン)もかみ合わせ時の患者の歯列からなり得る。側面スキャンは、主に上方および下方歯列の頬/唇表面を含み得る。別個の歯列のデジタル3次元モデルは、この側面スキャンに対して自動的かつ許容可能な時間内に位置決めしなければならず、側面スキャンはそれぞれ上方および下方歯列の部分視のみを含む。この口腔内側面スキャンを行っている間に即座のフィードバックを与えることができるようにするために、リアルタイムの完全に自動化された位置決め処理を有することが重要である。このようなことから、ユーザには、側面スキャンがその目的に合っているか、すなわち上方および下方歯列の位置合わせについての十分な表面情報が含まれるかが伝えられる。このため、シェル画像は、別個の歯列の3次元モデルの各々について点のランダムな集合について計算される。側面スキャンを行っている間、整合を見つけるためにシェル画像が計算され、別個の歯列のものと比較される。ひとたび可能な対応が見つかると、別個の3次元モデルを側面スキャンに位置決めするために追加の位置決め技術が使用される。
【0104】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、通常の口腔内スキャン(たとえば、光学スキャン)に必要に必要とされる再トラッキングのためにシェル画像を使用するように適合され得る。口腔内スキャンニング装置は、通常は、手持ちスキャンニングユニットである。これは、物体の表面をデジタル化することができる小さな範囲を有する。これは、物体の表面への距離を測定することができるようにすべく、スキャナーのヘッド部、すなわち取り込みユニットが、一方でデジタル化される物体の表面から最小距離にあり、他方で最大の距離内になければならないことを意味する。この距離測定に基づき、物体の表面上に置かれる点が生成される。スキャンニング時に手持ちプローブがこの距離範囲にない場合、データが取り込まれず、これをトラックの損失という。スキャンを再開するために、プローブをこの距離範囲内に戻さなければならないが、その時点において、物体のどの領域において新しいデータが取り込まれるかが分からない。このため、限られた時間において既にスキャンされた表面上におけるこの位置を見つけるために、再トラッキングアルゴリズムが必要となる。再トラッキングの問題は、実際は、小さな表面(すなわち、新たなスキャンデータ)の大きな表面(すなわち、既にスキャンされた表面)に対する位置決めの問題であり、通常はノイズが多く、表面が部分的にのみ重複する(すなわち、同一)ことによって特徴付けられる。このため、シェル画像は、既にスキャンされた表面上のランダムな点の集合、および新たにスキャンされた領域上のランダムな点の集合について生成される。これらのシェル画像は比較され、整合が定められる。新たにスキャンされた領域についての正しい位置を見つけるために、シェル画像の整合の対応する点について慣性軸が計算され、表面がこれらの慣性軸によって位置決めされる。そして、局所的な表面位置決めが行われ、LSDが計算される。最低のLSD値となる位置決め(したがって、位置)は、正しい位置として考慮され、標準的なスキャン処理は、トラックが再び損失しない限り続けることができる。
【0105】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、物体の2つのデジタル表現の表面位置合わせのための良好な開始位置を自動的に見つける目的でシェル画像を使用するように適合され得る。この処理は、現在では通常、ユーザ対話によって行われる。たとえば、両方の実例上における整合する点を示すことによって行われる、または1つの実例を手動で移動および回転させて視覚的に他の例と一致させることによって行われる。
【0106】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、ランドマーク検知を提供するように適合され得る。このため、ランドマークを有する解剖学的構造の包括的な3次元モデルが入手可能である。ランドマークにおいては、シェル画像が作られる。ランドマークが識別されなければならない患者特定3次元モデルについては、シェル画像が計算されるランダムな点の集合が選択される。これらは、ランドマーク点と患者特定3次元モデル上の点との間の可能な整合を識別するために、包括的モデルのランドマーク点のものと比較される。このようなことから、患者特定3次元モデル上の対応するランドマーク点が規定される。最適化は、たとえば最初に識別された点に近い点についてのシェル画像を計算し、対応するランドマーク点を微細に調整し、整合したランドマーク点のシェル画像とこれらを比較するために行うことができる。最も高い対応を有する点は、最終的なランドマーク点として維持される。
【0107】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、コンピュータシステムおよびそこで実行されるソフトウェアは、特徴認識のために使用されるように適合される。特定の重要な特徴を有する物体の包括的な3次元モデルが存在し、上記の特徴は他の物体の3次元表現において識別されなければならない。このため、包括的なモデルにおける特徴の箇所での点の集合が選択され、上記の点についてシェル画像が生成される。シェル画像のパラメータ(球対称シェルもしくは球の数および半径)は、局所的な特徴のみがシェル画像によって描画されるような方法で選択される。上記の特徴を認識しなければならない物体について、同じパラメータを有するシェル画像が、物体にわたって分布する点の大きな集合について計算される。これらのシェル画像は、点の対応を見つけるために包括的なモデルのものと比較され、このようなことから、特徴について物体上の妥当な箇所(点)が検知される。他の位置決め基準が、妥当な候補の確認および上記の特徴の識別のために使用される。
【0108】
上記のソフトウェアは、たとえば、CD−ROMもしくはDVD−ROM、磁気テープ、磁気ディスク、ディスケット、ソリッドステートメモリなどの光学記憶媒体など、信号記憶媒体上に記憶され得る。
【0109】
上記の記載および関連付けられた図面に示される教示の利益を得た当業者は、開示された発明の変形例および他の実施形態も考え付く。このため、本発明は開示された特定の実施形態に限定されず、変形例および他の実施形態も本開示の範囲内に含まれることが意図されることが理解される。本願明細書においては特定の用語を採用しているが、これらは包括的かつ描写的な意味で使用されており、限定を目的としたものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6