特許第6227659号(P6227659)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227659浮かんでいる位置決め要素を備えた、2つの構造部分を互いに取り付けるための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227659
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】浮かんでいる位置決め要素を備えた、2つの構造部分を互いに取り付けるための装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/14 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   B62D25/14
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-538397(P2015-538397)
(86)(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公表番号】特表2015-532907(P2015-532907A)
(43)【公表日】2015年11月16日
(86)【国際出願番号】EP2013071981
(87)【国際公開番号】WO2014067808
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2016年9月21日
(31)【優先権主張番号】1260324
(32)【優先日】2012年10月30日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デ アルメイダ, ルイス フィリペ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥオング, オリヴィエ
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102004026876(DE,A1)
【文献】 特開2003−048457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B62D 65/00−67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の構造のダッシュボードクロスメンバに相当する第1構造部分(10)を前記自動車の構造のフロントピラーライニングに相当する第2構造部分(11)に取り付けるために設計された取り付け装置であって、
形鋼の形態で、溶接によって、前記第2構造部分(11)に取り付けられるように設計された補強要素(13)と、
前記補強要素(13)に連結されており、前記第1構造部分(10)が前記第2構造部分(11)に対して所定の位置を占有するように、前記第1構造部分(10)と一体である第2位置決め要素(15)と協働するように設計された第1位置決め要素(14)と、
前記所定の位置に前記第1構造部分(10)を固定するように設計された取り付け要素と、
を備え、
前記第1位置決め要素(14)と前記補強要素(13)との間の連結が、リリース状態とブロック状態の間で変化するように構成された位置調整機構を有しており、前記リリース状態では、前記補強要素(13)に対する前記第1位置決め要素(14)の位置が調整可能であり、前記ブロック状態では、前記第1位置決め要素(14)は前記補強要素(13)に対して固定され
前記第1位置決め要素(14)が、第1方向(D1)に沿う相互係合により前記第2位置決め要素(15)と協働するように構成され、前記第1方向(D1)は、前記自動車の構造の長手方向(X)に合うように設計され、
前記位置調整機構が、前記第1方向(D1)とは異なり、前記第1方向(D1)に直交する面(P)に含まれる少なくとも第2方向での前記補強要素(13)に対する前記第1位置決め要素(14)のクリアランスの可能性を提供し、これにより、前記相互係合の際に、前記第1位置決め要素(14)と前記第2位置決め要素(15)との間で、前記第1方向(D1)に垂直に位置合わせ不良を補償することが可能となり、
前記第1位置決め要素(14)が、前記補強要素(13)の壁(16)の第1側面から突出するセンタリングパイロット(17)を有しており、前記第2位置決め要素(15)に対応するセンタリング口に、前記第1方向(D1)に沿って係合することにより協働することができるように構成され、
前記位置調整機構が、前記補強要素(13)に前記センタリングパイロット(17)を保持するための保持要素(18)を備え、前記保持要素(18)が、前記補強要素(13)に対して浮くように装着されている、取り付け装置。
【請求項2】
前記センタリングパイロット(17)の雄ねじ部と係合したナットで構成されている前記保持要素(18)は、前記補強要素(13)の前記壁(16)に平行な面に寸法を有する受け入れ台に配置されており、前記面に含まれる少なくとも1つの方向に沿って、前記受け入れ台の中の所定の進路内を前記保持要素(18)は変位可能であることを特徴とする、請求項に記載の取り付け装置。
【請求項3】
前記補強要素(13)の前記壁(16)とは反対にある第2側壁に前記受け入れ台が配置されており、前記補強要素(13)は、前記センタリングパイロット(17)が前記壁の一側から他側に通過する穴を備えることを特徴とする、請求項に記載の取り付け装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の取り付け装置と、前記第1構造部分(10)に一体化されるように設計された取り付け板(19)を備え、前記第2位置決め要素(15)が前記取り付け板(19)に形成されることを特徴とする、装着システム。
【請求項5】
前記取り付け板(19)が少なくとも1つのセンタリング口を備え、前記センタリング口に前記第1位置決め要素(14)が前記第1方向(D1)に沿って係合されていることを特徴とする、請求項に記載の装着システム。
【請求項6】
前記取り付け要素が、前記取り付け板(19)を取り外し可能に前記補強要素(13)に取り付けるように構成されていることを特徴とする、請求項に記載の装着システム。
【請求項7】
前記取り付け板(19)が少なくとも1つの開口部(21)を備え、前記取り付け要素が、少なくとも1つの雄ねじ要素を備え、前記雄ねじ要素は、前記開口部(21)を通過して前記補強要素(13)と一体である雌ねじ要素(22)と相補的に協働することを特徴とする、請求項に記載の装着システム。
【請求項8】
自動車の構造のダッシュボードクロスメンバに相当する第1構造部分(10)と、
前記自動車の構造のフロントピラーライニングに相当する第2構造部分(11)と、
前記第2構造部分(11)に前記第1構造部分(10)を取り付けることを確実にする、請求項1〜のいずれか1項に記載の少なくとも1つの取り付け装置および/または請求項4〜7のいずれか1項に記載の装着システムと
を有する、自動車用の配置。
【請求項9】
前記装着システムの前記取り付け板(19)が前記第1構造部分(10)と一体であり、溶接によって、前記補強要素(13)が前記第2構造部分(11)に取り付けられていることを特徴とする、請求項に記載の配置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の少なくとも1つの配置を有する、自動車。
【請求項11】
自動車の構造のダッシュボードクロスメンバに相当する第1構造部分(10)を、前記自動車の構造のフロントピラーライニングに相当する第2構造部分(11)に装着するための方法であって、
請求項1〜のいずれか1項に記載の少なくとも1つの取り付け装置および/または請求項4〜7のいずれか1項に記載の装着システムを提供するステップと、
接によって、前記第2構造部分(11)に前記補強要素(13)を取り付けるステップと、
位置調整機構をリリース状態にして、補強要素(13)に対して第1位置決め要素(14)の位置を調整するように構成されたジグを、前記第1位置決め要素(14)および前記第2位置決め要素(15)がさらに協働して前記第1構造部分(10)が前記第2構造部分(11)に対して所定の位置を占有するような場所に位置決めするために、配置するステップと、
ブロック状態になるように前記位置調整機構を作動させるステップと
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の構造の第1構造部分、特にダッシュボードクロスメンバをこの構造の第2構造部分、特にフロントピラーライニングに取り付けるために設計された取り付け装置に関する。この装置は、
特に山形鋼の形態で、特に溶接によって、第2構造部分に取り付けられるように設計された補強要素と、
前記補強要素に連結されており、第1構造部分が第2構造部分に対して所定の位置を占有するように、第1構造部分と一体である第2位置決め要素と協働するように設計された第1位置決め要素と、
この所定の位置に第1構造部分を固定するように設計された取り付け要素とを備えている。
【0002】
また、本発明の主題は、装着システムや装着方法、配置、および自動車それ自体である。
【背景技術】
【0003】
ダッシュボードとしても知られている自動車の計器パネルは、車両の乗客スペースに対して横方向に延びているダッシュボードクロスメンバでサポートされ、フロントピラーとして知られている車体の2つの正面側部を連結する。また、ダッシュボードクロスメンバは、その高さでの衝撃の際にフロントピラーの回転を防止する機能をオプションではあるが有することがある。
【0004】
様々な自動車において、ダッシュボードクロスメンバとまず一体化され、次にフロントピラーと一体化される山形鋼の存在が知られている。山形鋼とフロントピラーとの間の連結は、山形鋼に嵌め込まれた貫通ねじによって行われ、フロントピラーの回転の制限を確実にする。
【0005】
例えば、仏国特許出願公開第2850945号明細書を参照すると、ダッシュボードクロスメンバの取り付け性を改良するために、フロントピラーの壁の両側に溶接された、内部筐体および外部筐体を設けることが知られている。ダッシュボードクロスメンバの端部は、内側筐体に取り付けられる。複数の筐体の1つに調整ピンを設けることが知られており、これにより、取り付け前にクロスメンバを正しい位置に置くことが容易になる。
【0006】
このタイプの解決策は、さらに扱いにくい部品を必要とする。したがって、複雑で高価なままであり、その重量にはまだ改善する余地がある。
【0007】
欧州特許第1253069号明細書により代替策が開示され、この代替策では、ダッシュボードクロスメンバは、自動車の構造に対する位置決めを調整するためのシステムを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2850945号明細書
【特許文献2】欧州特許第1253069号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、自動車の構造の第1構造部分、特にダッシュボードクロスメンバを、この構造の第2構造部分、特にフロントピラーライニングに取り付けるための解決策を提供し、この解決策により、前述の欠点を解消することである。
【0010】
特に、本発明の目的は、可能な限り経済的で、簡素な小型かつ軽量である取り付け装置を提供することであるが、これだけでなく、取り付け前に2つの構造部分間の相対位置を調整する機能を提供することも可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様は、自動車の構造の第1構造部分、特にダッシュボードクロスメンバを、この構造の第2構造部分、特にフロントピラーライニングに取り付けるために設計された取り付け装置に関する。この取り付け装置は、
特に山形鋼の形態で、特に溶接によって、第2構造部分に取り付けられるように設計された補強要素と、
補強要素に連結されており、第1構造部分が第2構造部分に対して所定の位置を占有するように、第1構造部分と一体である第2位置決め要素と協働するように設計された第1位置決め要素と、
この所定の位置に第1構造部分を固定するように設計された取り付け要素とを備えている。
【0012】
第1位置決め要素と補強要素との間の連結は、リリース状態とブロック状態の間で変化するように構成された位置調整機構を有しており、リリース状態では、補強要素に対する第1位置決め要素の位置が調整可能であり、ブロック状態では、第1位置決め要素は補強要素に対して固定されているように、取り付け装置が構成されている。
【0013】
第1位置決め要素は、第1方向に沿う相互係合により第2位置決め要素と協働するように構成されてよく、第1方向は特に、自動車の構造の長手方向に合うように設計されている。調整機構は、第1方向とは異なり特に第1方向に直交する面に含まれる少なくとも第2方向での補強要素に対する第1位置決め要素のクリアランスの可能性を提供してよく、これにより、この相互係合の際に、第1位置決め要素と第2位置決め要素との間で、第1方向に垂直に位置合わせ不良を補償することが可能となる。
【0014】
第1位置決め要素は、補強要素の壁の第1側面から突出するセンタリングパイロットを有してよく、第2位置決め要素に対応するセンタリング口に、第1方向に沿って係合することにより協働することができるように構成されている。
【0015】
調整機構は、補強要素にセンタリングパイロットを保持するための要素を備えてよく、この保持要素は、補強要素に対して浮くように装着されている。
【0016】
特にセンタリングパイロットの雄ねじ部と係合したナットで構成されている保持要素は、この補強要素の前記壁に平行な面に寸法を有する受け入れ台に配置してもよく、このため、この面に含まれる少なくとも1つの方向に沿って、この受け入れ台の中の所定の進路内を保持要素は変移することができる。
【0017】
具体的には、この補強要素の前記壁とは反対にある第2側壁に受け入れ台を配置してもよく、補強要素は、センタリングパイロットが壁の一側から他側に通過する穴を備えている。
【0018】
本発明の第2態様は、このタイプの取り付け装置と、第1構造部分に一体化されるように設計された取り付け板と、この取り付け板に形成され得る第2位置決め要素とを備える装着システムに関する。取り付け板は少なくとも1つのセンタリング口を備えることができ、このセンタリング口に第1位置決め要素が第1方向に沿って係合されている。取り付け要素は、取り付け板を取り外し可能に補強要素に取り付けるように構成され得る。取り付け板は少なくとも1つの開口部を備えてよく、取り付け要素は、少なくとも1つの雄ねじ要素を備えてよく、この雄ねじ要素は、この開口部を通過して補強要素と一体である雌ねじ要素と相補的に協働する。
【0019】
本発明の第3態様は、自動車用の配置に関し、この自動車用の配置は、自動車の構造の第1構造部分、特にダッシュボードクロスメンバと、この構造の第2構造部分、特にフロントピラーライニングと、第2構造部分に第1構造部分を取り付けることを確実にする、少なくとも1つのこのような取り付け装置および/または装着システムとを有する。
【0020】
装着システムの取り付け板は、第1構造部分と一体であってよく、特に溶接によって、補強要素が第2構造部分に取り付けられる。
【0021】
本発明の第4態様は、少なくとも1つのこのような配置を有する自動車に関する。
【0022】
本発明の最後の態様は、自動車の構造の第1構造部分、特にダッシュボードクロスメンバを、この構造の第2構造部分、特にフロントピラーライニングに装着するための方法に関し、この方法は、
少なくとも1つのこのような取り付け装置および/または装着システムを提供するステップと、
特に溶接によって、第2構造部分に補強要素を取り付けるステップと、
位置調整機構をリリース状態にして、補強要素に対して第1位置決め要素の位置を調整するように構成されたジグを、第1位置決め要素および第2位置決め要素がさらに協働して第1構造部分が第2構造部分に対して所定の位置を占有するような場所に位置決めするために、配置するステップと、
ブロック状態になるようにこの調整機構を作動させるステップとを有する。
【0023】
他の特徴および利点は、非限定的な例として提供され、添付の図面に表される、本発明の特定の実施形態の以下の説明からより明らかにされよう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1構造部分の左端の取り付けを確実にするために、本発明による取り付け装置の例を使用した、自動車用の配置の左側部分を示す斜視図である。
図2】取り付け装置の一部、すなわち、補強要素と第2構造部分に装着された第1位置決め要素を示す斜視図である。
図3】第1構造部分の右端の取り付けを確実にするために、配置の右側部分に使用される本発明の分野外の別の取り付け装置の一部を示す斜視図である。
図4】補強要素と、図1および図2に使用される本発明による取り付け装置の例に属する第1位置決め要素の正面図である。
図5】補強要素と、図1および図2に使用される本発明による取り付け装置の例に属する第1位置決め要素の背面図である。
図6】補強要素と、図3で使用される取り付け装置に属する位置決め要素の正面図である。
図7】補強要素と、図3で使用される取り付け装置に属する位置決め要素の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図2図4、および図5を参照して、自動車の構造の第1構造部分10、特にダッシュボードクロスメンバをこの構造の第2構造部分11、特に内壁またはフロントピラーライニングに取り付けるために設計された取り付け装置が以下に概略的に説明される。ただし、本発明を、その性質に関係なく、互いに対する正確な位置決めが必要とされるという条件下にある第1構造部分10および第2構造部分11の任意のタイプに適用することができる。
【0026】
左右のフロントピラーライニングによって構成される2つの第2構造部分の間に、ダッシュボードクロスメンバによって構成される第1構造部分10を車両の乗客スペースに横方向に装着するためのシステムを提供するために、少なくとも1つのこのような取り付け装置が用いられる。したがって、第1構造部分10(図1および図2)の左端の取り付けのみを確実にするために、本発明による取り付け装置(図4および図5)を使用することができ、その右端の取り付けは、本発明の分野に含まれない異なる性質の取り付け装置(図6および図7)によって、確実にされる(図3)。図1および図2において、左のフロントピラーライニングは第2構造部分11を構成し、一方で、右のフロントピラーライニングは図3で参照符号12を有する。ただし、当然のことながら、後述するように、第1構造部分10を装着するためのシステムは、本発明による少なくとも2つの取り付け装置を代替的に使用することができ、これらの2つの取り付け装置は、ダッシュボードクロスメンバの右端と左端それぞれの取り付けを確実にする。
【0027】
ダッシュボードクロスメンバの左端と左のフロントピラーライニング(第2構造部分11)との取り付けを確実にするために、第1構造部分10の装着の際に左側(図1および図2)に使用される取り付け装置(図4および図5)は、
特に山形鋼の形態で、特に溶接によって、第2構造部分11に取り付けられるように設計された補強要素13と、
補強要素13に連結されており、第1構造部分10が第2構造部分11に対して所定の位置を占有するように、第1構造部分10と一体である第2位置決め要素15と協働するように設計された第1位置決め要素14と、
この所定の位置に第1構造部分10を固定するように設計された取り付け要素(不図示)とを備えている。
【0028】
補強要素13を構成する山形鋼は、左のフロントピラーライニングに直接取り付けられている。これは、ダッシュボードクロスメンバに対し装着インタフェースとして最終的に機能する山形鋼を受け入れるために、左のフロントピラーライニングに非常に特徴的な凹部を作成することを含み得る。補強山形鋼はこの凹部に溶接される。ただし、任意の他の取り付け手段を、補強要素13とフロントピラーライニングとの間に設けることができる(ねじ止め、接着、スナップなど)。
【0029】
本発明の本質的な特徴によると、左側に使用される本発明による取り付け装置のために、第1位置決め要素14と補強要素13との連結は、リリース状態とブロック状態の間で変化するように構成された位置調整機構を含む。リリース状態では、補強要素13に対する第1位置決め要素14の位置が調整可能であり、ブロック状態では、第1位置決め要素14は補強要素13に対して固定されている。
【0030】
したがって、当然のことながら、位置の調整が可能な位置決め要素14を備えた山形鋼13によって形成されたアセンブリが、ダッシュボードクロスメンバの位置を調整し、この位置が調整された後にクロスメンバを取り付ける機能を有し、これは、低コストかつ低重量であり、簡単かつ簡潔である。
【0031】
ダッシュボードクロスメンバの右端と右のフロントピラーライニング12との取り付けを確実にするために、第1構造部分10の装着の際に右側に(図3)に使用される本発明の分野に含まれない取り付け装置(図6および図7)が、同様の要素13および14を備えることに留意すべきである。ただし、この取り付け装置は、第1位置決め要素14の位置を調整するための機構を含まない点で、図4および図5に示された前述のものとは異なる。反対に、ここでの第1位置決め要素14は、補強要素13に対して固定されており、クロスメンバの装着前にその位置を調整する可能性はない。
【0032】
より明確にするために、直交基準系(X,Y,Z)を配置と関連づける。ここで、Xは自動車の前後の長手方向に対応し、Yは左右の横方向に対応し、Zは鉛直方向に対応している。
【0033】
有利なことに、第1位置決め要素14は、第1方向D1に沿う相互係合によって第2位置決め要素15と協働するように構成され、この第1方向D1は特に、自動車の構造の長手方向Xに合うように設計されている。相互係合とは、第1位置決め要素14が、ダッシュボードクロスメンバと一体である第2位置決め要素15への装着中、係合されていること、およびその逆を意味している。本発明による位置調整機構は、第1方向とは異なる少なくとも第2方向での補強要素13に対する第1位置決め要素14のクリアランスの可能性を提供する。特に、この第2方向は、第1方向D1に直交する面に含まれる。このタイプの特徴により、相互係合の際に、第1位置決め要素14と第2位置決め要素15との間で、第1方向D1に垂直に位置合わせ不良を補償することが可能となる。調整機構のこの設計によれば、システムのリリース状態で、第1位置決め要素14は、第1方向D1に直交する面Pに含まれる任意の方向に、クリアランスの可能性を有することができる。つまり、位置決め要素14の位置を、かなり配向面(Y,Z)内で調整することができる。
【0034】
図示の実施例では、第1位置決め要素14は、補強要素13の壁16の第1側面から突出するセンタリングパイロット17を有しており、第2位置決め要素15を構成するセンタリング口(詳細に示されていない)に、第1方向D1に沿って係合することにより協働することができるように構成されている。センタリングパイロット17は、方向Xに主に合うように設計されている。ただし、逆の構成を提供することができ、クロスメンバによって支持されたセンタリングパイロットと協働するように、センタリング口が補強要素13に設けられてもよい。具体的には、壁16は、補強要素13を形成する山形鋼の互いに90度おかれた2つの翼の一方によって構成されている。
【0035】
図5を参照すると、調整機構は、補強要素13にセンタリングパイロット17を保持するための要素18を備え、この保持要素18は、補強要素13に対して浮くように装着されている。特にセンタリングパイロット17の雄ねじ部と係合したナットで構成されている保持要素18は、補強要素13の壁16(および前述した第1方向D1に垂直である平面P)に平行な面に寸法を有する受け入れ台に配置される。このため、この面に含まれる少なくとも1つの方向に沿って、この受け入れ台の中の所定の進路内を保持要素18は変位可能である。この特定の実施例では、調整機構のリリース状態からブロック状態へ、またはその逆への変移が、保持要素18を構成するナットに対するD1周りのセンタリングパイロット17の回転によって、および/または、D1周りの保持要素18を構成するナットの回転によって得られる。
【0036】
図示の実施例では、受け入れ台は、センタリングパイロット17が突出する第1側壁の反対側である、補強要素13の壁16の第2側壁に配置されている。補強要素13は、壁16の厚さ全体を通過する穴(不図示)を備え、この穴を通じて、センタリングパイロット17は、第1方向D1に沿って、壁16の一側から他側に通る。受け入れ台を、壁16の第2側壁に対して装着されたガイド部23によって画定して形成することができる。壁16に形成された穴は、D1に直交する面に寸法を有する必要があり、この寸法は、センタリングパイロット17の前述したクリアランスの可能性を許容するのに十分でなければない。
【0037】
ただし、壁16のセンタリングパイロット17と同じ側に受け入れ台を配置してもよく、この場合には、貫通穴を希望によっては除去してもよい。
【0038】
前述のように、このタイプの取り付け装置を備える装着システムは、さらに、第1構造部分10に一体化されるように設計された取り付け板19を備えることができる。取り付け板19は第1構造部分10に固定され、補強要素13は第2構造部分11に特に溶接により取り付けられることが、有利である。第1位置決め要素14が第1方向D1に沿って係合されている少なくとも1つのセンタリング口で構成された第2位置決め要素15は、この取り付け板19に形成されている。具体的には、ダッシュボードクロスメンバに含まれるセンタリング口を、取り付け板19の適切な壁に、Xに沿って形成された貫通穴の形態とすることができる。取り付け板19を、溶接または同等の任意の適切な方法で、ダッシュボードクロスメンバの端部と一体化することができる。また、取り付け板19は、1つまたは複数の山形鋼20を含んでよい。山形鋼20は、衝撃の際にZ周りの左のフロントピラーの回動の可能性に対して面(X,Y)内で装着アセンブリ全体を補強するように設計されている。
【0039】
取り付け装置に属する取り付け要素の設計に依存する特定の実施形態によれば、取り付け板19は、Xに沿って配置された少なくとも1つの貫通開口部21を備える(図1)。そして、取り付け要素は、少なくとも1つの雄ねじ要素(不図示)を備え、この雄ねじ要素は、開口部21を通過し、補強要素13と一体である雌ねじ要素22(図2)と相補的に協働する。一般に、取り付け要素は、取り付け板19を取り外し可能に補強要素13に取り付けるように構成されており、この場合には、単に雄ねじ部材を外すことによって取り付け板19を取り外し可能である。
【0040】
取り付け装置および装着システムに加えて、本発明はさらに自動車用の配置に関する。この自動車用の配置は、
自動車の構造の第1構造部分10、特にダッシュボードクロスメンバと、
この構造の第2構造部分11、特にフロントピラーライニング(例えば、左のフロントピラーライニング)と、
第2構造部分11に第1構造部分10を少なくとも部分的に取り付けることを確実にする、少なくとも1つのこのような取り付け装置および/または装着システムとを有する。
【0041】
第2構造部分に第1構造部分10を装着する方法は、
少なくとも1つのこのような取り付け装置および/または装着システムを提供するステップと、
特に溶接によって、第2構造部分11に補強要素13を取り付けるステップと、
位置調整機構をリリース状態にして、補強要素13に対して第1位置決め要素14の位置を調整するように構成されたジグを、第1位置決め要素14および第2位置決め要素15がさらに協働して第1構造部分10が第2構造部分11に対して所定の位置を占有するような場所に位置決めするために、配置するステップと、
ブロック状態になるようにこの調整機構を作動させるステップとを有する。
【0042】
これらのステップの後に、第1位置決め要素14および第2位置決め要素15を協働させることによって補強要素に第1構造部分を配置するステップと、その後、第1位置決め要素の調整によって、第1構造部分の所定の位置で、第2構造部分11に対する所定の位置に第1構造部分10をブロックするために、取り付け要素を作動させるステップが続く。
【0043】
前述の取り付け装置および装着装置の原理は、ダッシュボードクロスメンバの特定の場合に特に適合させられているが、この原理を、同様に、正確な位置決めで別の構造部分に装着するように設計された自動車の構造の任意の構造部分にも適用することができる。
【0044】
前述の解決策は、下記の長所を有する。
既存の解決策と比較して位置調整機構の重量を約0.95kg削減することができる。
溶接部分の数を削減することができる。
センタリングパイロットの調整の可能性、および第2構造部分に装着された状態で第2構造部分に対して第1構造部分を制御することにより、クロスメンバの調整のための規格に準拠することができる。、
特に関係する重量と溶接部分の数の削減により、この機構の原価を削減することができる。
補強要素に関連した工具が既存のものよりも簡素であるために、投資を削減することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7