【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の教示による方法に関連させてこの目的を解決している。
【0008】
本発明によれば、鋳型に関連する前述の目的の解決は、請求項3により設計される当該鋳型により構成される。
【0009】
本発明の有利な実施形態が従属請求項中で提供され、全般的な発明の着想と共に以降で詳しく説明される。
【0010】
本発明は、鋳造部品の製造のためにフィーダまたはランナもしくは鋳込みチャネルを機能的にリンクさせる着想に基づいており、溶融物は、これらを介して、鋳型の中へ鋳型のモールド・キャビティに注がれる。本発明によれば、フィーダのリンクは、該リンクを、鋳造部品の形状を画定する鋳型部品を貫通して延ばすことにより実現され、このリンクは、具体的には、鋳込まれる成形部品のいくつかの平面を横切って延びる。
【0011】
本発明による鋳造部品を鋳造する方法を用い、しかして溶融金属が、フィーダまたは別個のランナもしくは鋳込みチャネルを介し、周知の仕方で、鋳型に囲まれて鋳造部品の形状を型取るモールド・キャビティの中に注がれ、該鋳型は鋳込まれる鋳造部品の形状を画定する鋳型部品を含む。本発明によれば、溶融物は、このとき少なくとも2つの接続を介し、鋳込まれる鋳造部品の相異なる平面に対応するモールド・キャビティの中の少なくとも2つの分域中に搬送され、これらの接続の少なくとも1つは、鋳込まれる鋳造部品の外形とは関わりなく、鋳型部品の1つを貫通して通る付加チャネルとして設計される。
【0012】
かくのごとく、本発明による、溶融金属から鋳造部品を製造するための鋳型は、モールド・キャビティを型取っていて、鋳込まれる鋳造部品の形状を画定する鋳型部品と、加えて、注入の過程で溶融金属がモールド・キャビティに入るため通る、フィーダまたは別個のランナもしくは鋳込みチャネルと、を有する。本発明によれば、かかる鋳型において、該フィーダまたはランナもしくは鋳込みチャネルは、少なくとも2つの接続によって、鋳込まれる成形部品の相異なる平面に対応するモールド・キャビティの少なくとも2つの分域につながれ、これら接続の少なくとも1つは、鋳込まれる鋳造部品の外形とは関わりなく、鋳型部品の1つを貫通する付加チャネルとして設計される。
【0013】
これにより、本発明による方法を用いて、または本発明による鋳型を用いて、溶融物は、各例において設けられたフィーダからまたはランナもしくは鋳込みチャネルから、周知の仕方で、完成鋳造部品においてその鋳造部品の一部を形成するチャネルを通って通常通り鋳型に入ることができる。但し、本発明によれば、溶融金属は、少なくとも1つの付加接続を介してモールド・キャビティに流入することが可能で、この接続は、生成される鋳造部品の後の形状とは関係のない付加チャネルとして、鋳造部品の外形を画定するこれら鋳型部品の1つを貫通して通る。
【0014】
したがって、本発明によれば、鋳造部品の形状を画定する鋳型の構成部品の適切な設計を介して、構成部品の内部の熱的中心部が、鋳型につながれたフィーダに直接にリンクされる。これは、付加的な供給チャネルを使って達成され、このチャネルは、外形付与鋳型部品を貫通して通り、成形部品、または成形部品の形状を画定する鋳型のモールド・キャビティにとって重要な分域中につながれる。
【0015】
本明細書において「外形付与鋳型部品(独:konturgebenden Formteilen,英:Contour-giving mould parts)」とは、それらの鋳型部品を使って鋳造部品の形状が画定される、鋳型の全ての部品を意味すると理解する。これは、具体的には、鋳造部品の中の凹部、キャビティなどを複製するため鋳型中に挿入された鋳込みコアを含む。
【0016】
鋳型は、砂型または永久鋳型とすることができる。
【0017】
鋳型は、フィーダを含み、このフィーダは鋳型に供給が必要な溶融金属の量を収容する。本フィーダは、鋳型上または鋳型に離接して配置されるかまたは鋳型内に組み込まれる「フィーダ・コア」と称されるものとして構築することができる。このフィーダ・コアは、収縮を埋め合わせるのに必要なフィーダ容積だけでなく、鋳型内に溶融物を分配するのに必要なフィーダ形状をも包含するように設計するとよい。通常、このフィーダ・コアは、凝固の過程が鋳型の最上部で終端するように設計される。
【0018】
これらにより、本発明は、成形部品の後の形状を模る鋳型部品がモールド・キャビティの中に挿入され、鋳造部品の形状を画定する鋳型の該モールド・キャビティに液状金属が充填される、鋳造部品の製造のための方法および鋳型を利用可能にする。
【0019】
本発明は、全ての従来式および動的な永久鋳型鋳造法並びに低圧鋳造法を含む、重力鋳造法に対して特に適している。
【0020】
同時に、本発明は、凝固の過程で、フィーダが鋳型の上側に配置されている全ての鋳造方法に適しているだけでなく、それどころか、原理的には、同じように、凝固の過程で、モールド・キャビティの一区画におけるより早い段階での金属の凝固の結果、モールド・キャビティの他の隣接する区画への溶融物のアクセスが制限される、という問題をかかえた他の鋳造方法に対しても、本発明の利点を同様に用いることが考えられる。
【0021】
溶融物による鋳型充填および鋳造部品の凝固は、前述のように、通常、重力のかかる状態の下で行われる。この場合、通常、フィーダは、重
力の方向から見て鋳型の上側の個所に配置される。鋳型は、凝固の速度が、該鋳型の他の分域または区画と比べてかなり加速される必要のある1つ以上の分域を有することがある。
【0022】
この加速された冷却は、しばしば「冷却部(独:Kuehleisen,英:chills)」または「冷やし金型(独:Kuehlkokillen,英:cooling moulds)」とも称される冷却エレメントを用いる周知の仕方で行うことが可能であり、これらのエレメントは、鋳型の中に配置され、鋳造品の特定の分域において局部的に制限された凝固速度の増大をもたらす。これを達成するため、これら冷却エレメントは、通常、隣接する鋳型の材料よりも熱伝導性が高い材料から成る。
【0023】
例えば、少なくとも外部および/または側部部品および底部部品それ自体が良好な熱伝導性を有する材料から成る永久鋳型については、関連する外形形成(独:konturbildenden,英:contour-forming)鋳型部品(底部部品、外部および/または側部部品)それ自体が、既に、尚早な凝固がその上で生じ得る冷却エレメントを形成する。当然ながら、これらの場合についても同様に、本発明による仕方で、かかる永久鋳型中に、凝固プロセスおよびこれに起因する流れの途絶の点に関し危険性があることが判明している分域を迂回する、少なくとも1つの付加チャネルを設け、しかして、その危険性がある分域の外側に位置する、鋳型のモールド・キャビティの区画への供給を確かにすることは得策であろう。
【0024】
本発明によれば、このフィーダは、凝固の方向から見て、すなわち、注入された後、溶融金属が鋳型内で凝固する方向から見て、成形部品の様々な平面につながれる。
【0025】
本発明によれば、このために、フィーダ接続またはフィーダ・チャネルは、成形部品の外形の一部となることなく鋳型の中に設けられ、溶融物は、これらを介して鋳型のモールド・キャビティの特定の区画または分域に到達することができる。
【0026】
本発明によれば、フィーダ・リンクまたは供給チャネルは、外形形成鋳型部品を貫通して導くことができる。但し、フィーダ接続または供給チャネルを、鋳型の上記以外の鋳型部品を介して導くことも考えられる。同様に、モールド・キャビティの特定のゾーンに供給を行うために、鋳型の外部構成部品を貫通して適切なチャネルを導くことも可能で、これにより、狙いとする仕方で溶融金属によって鋳造部品を複製することができる。
【0027】
冷却エレメントが影響を与える特定のゾーンにおいて鋳造金属の加速された凝固を得るため、外形形成鋳型部品中に当該冷却エレメントを設けることが可能である。
【0028】
フィーダ・チャネルまたはフィーダ接続の中に存在する溶融金属が尚早に凝固するのを防止するために、特定の冷却体と特定のフィーダ・チャネルまたは特定のフィーダ接続リンクとの間に、低い熱伝導性を有する壁部を設け、これにより、供給チャネルに対し冷却体を熱的に絶縁することができる。具体的には、この壁部は、特定の外形形成鋳型部品を同時に形作る、型砂から構成することが可能である。
【0029】
冷却エレメントが存在する場合、外形形成鋳型部品の少なくとも1つの中に鋳形されたフィーダ接続またはチャネルは、溶融金属が、特定の冷却体が加速された凝固をもたらすゾーンを回避しながら、凝固がもっとゆっくり行われることになる鋳造部品のゾーンに搬送されるように導くことができる。このようにして、たとえ、加速冷却が行われる或るゾーンであって、結果的に、既に凝固した材料が、さらなる溶融金属がもっとゆっくり凝固する予定のゾーンの中に流入するのを妨げる危険性があるゾーンが、フィーダと関連ゾーンとの間に在る場合にあっても、そのゆっくりした凝固のゾーンにも、同様に確実に溶融金属が供給される。
【0030】
本発明によって、複雑な形状の鋳造部品も生成することができ、この場合、かなりの程度まで、鋳型の複雑さを増すことなく、相異なる点において相異なる速度で凝固を生じさせることが可能である。製造するのに本発明が特に適した鋳造部品には、燃焼エンジンのシリンダ・ヘッドおよびシリンダ・ブロックが含まれる。
【0031】
特に、複雑な設計について、本発明は欠陥のない鋳造成形部品の製造を保証し、その結果として、本発明は、主軸の分域およびシリンダ・バーの分域における強度値に関するきわめて高い要求事項を満たしつつ、シリンダ・ブロックを鋳造するのに特に適している。
【0032】
以下に、1つの例示的な実施形態を表す図面を用いて、本発明をさらに詳しく説明することとする。
【0033】
以下の図面は、概略的に示したものである。