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前記酸が3-メチル-2-オキソ吉草酸、ピルビン酸、2-オキソ吉草酸、4-メチル-2-オキソ吉草酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸およびこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
前記エアロゾル発生物品の前記第一の区画と前記第二の区画の一方または両方が1つ以上の壊れやすいシールによってシールされている、請求項10〜13のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、エアロゾル発生システム内で使用するためのエアロゾル発生装置が提供されているが、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を受けるように構成されたくぼみと、くぼみの周辺付近に配置された第一の固液相変化材料と、第一の固液相変化材料を第一の固液相変化材料の融点よりも高い温度に加熱するよう構成された加熱手段と、第二の固液相変化材料とを含み、第二の固液相変化材料の融点が第一の固液相変化材料の融点よりも高い。
【0007】
本発明によれば、本発明によるエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生装置とを備える、エアロゾル発生システムも提供されている。
【0008】
特に、本発明によるエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生物品とを含む、エアロゾル発生システムが提供されており、エアロゾル発生物品は、揮発性送達促進化合物供与源を含む第一の区画と、ニコチン供与源を含む第二の区画とを含む。
【0009】
「エアロゾル発生装置」という用語は本明細書で使用されるとき、エアロゾル発生物品と相互作用して、ユーザーの肺にユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生する装置を意味する。
【0010】
「エアロゾル発生物品」という用語は本明細書で使用されるとき、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つエアロゾル形成基質を含む物品を意味する。ある一定の実施形態で、エアロゾル発生物品は加熱時にエアロゾルを形成できる揮発性の化合物を放出することができるエアロゾル形成基質を備えうる。
【0011】
「上流」「下流」「近位」および「遠位」という用語は本明細書で使用されるとき、本発明によるエアロゾル発生システムのエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の相対的位置を描写するために使用される。
【0012】
エアロゾル発生物品は、使用時にそこを通してエアロゾルがエアロゾル発生物品を抜け出る近位端を備える。近位端は口側の端と呼ばれることもある。使用時に、エアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルを吸い込むために、ユーザーはエアロゾル発生物品の近位端または口側の端でエアロゾルを引き出す。エアロゾル発生物品は、近位端または口側の端と向かい合った遠位端を備える。エアロゾル発生物品の近位端または口側の端は下流端と呼ばれることもあり、またエアロゾル発生物品の遠位端は上流端と呼ばれることもある。エアロゾル発生物品の構成要素、または構成要素の部分は、エアロゾル発生物品の近位端または下流端と遠位端または上流端との間の相対的な位置に基づき、互いに上流または下流にあるものとして描写されうる。
【0013】
エアロゾル発生物品の上流端と下流端は、ユーザーがエアロゾル発生物品の近位端または口側の端を吸う時の気流に関連して定義される。遠位端または上流端でエアロゾル発生物品内に引き出される空気は、エアロゾル発生物品を通過して下流に向かい、近位端または下流端でエアロゾル発生物品を抜け出る。
【0014】
「長軸方向」という用語は本明細書で使用されるとき、下流または近位端とそれに向かい合った上流または遠位端との間の方向を描写するために使用され、また「横断」という用語は、長軸方向と直角を成す方向を描写するために使用される。
【0015】
本発明によるエアロゾル発生装置は、周囲温度で固体である第一の固液相変化材料を含む。使用時に、エアロゾル発生装置の加熱手段によってその融点まで加熱されるとき、第一の固液相変化材料が固体から液体に変化する際に熱エネルギーを吸収する。その後の冷却に伴い、第一の固液相変化材料は液体から固体に変化する際に、その吸収した熱エネルギーを放出する。
【0016】
第一の固液相変化材料によって、固体化される際に放出される熱エネルギーは、エアロゾル発生装置のくぼみ内で受けられるエアロゾル発生物品を周囲温度を超える使用温度まで加熱する。
【0017】
一定の好ましい実施形態で、本発明によるエアロゾル発生装置は、揮発性送達促進化合物供与源を含む第一の区画とニコチン供与源を含む第二の区画とを含むエアロゾル発生物品と連携して使用される。こうした実施形態で、第一の固液相変化材料によって固体化するときに放出される熱エネルギーは、エアロゾル発生物品の第一の区画と第二の区画の一方または両方を周囲温度を超える使用温度に加熱する。これによって、揮発性送達促進化合物およびニコチンの一方または両方の蒸気圧が上昇し、それぞれの蒸気が反応可能な高めの濃度になる。この結果、有利なことに、ユーザーに送達するための、より高量のニコチン塩粒子が生成される。
【0018】
本発明によるエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を受けるように構成されたくぼみを含む。
【0019】
エアロゾル発生装置のくぼみは実質的に円筒形であることが好ましい。
【0020】
エアロゾル発生装置のくぼみは適切な任意の形状の横断断面を持ちうる。例えば、くぼみの横断断面は、実質的に円形、楕円形、三角形、正方形、菱型、台形、五角形、六角形または八角形としうる。
【0021】
エアロゾル発生装置のくぼみの横断断面は、くぼみで受けられるエアロゾル発生物品の横断断面と実質的に同一形状であることが好ましい。
【0022】
ある一定の実施形態で、エアロゾル発生装置のくぼみの横断断面は、エアロゾル発生装置からエアロゾル発生物品への導電性熱移動を最大化するために、くぼみで受けられるエアロゾル発生物品の横断断面と実質的に同一の形状および寸法を持ちうる。
【0023】
「横断断面」という用語は本明細書で使用されるとき、くぼみおよびエアロゾル発生物品の主軸と直角を成す、くぼみおよびエアロゾル発生物品それぞれの断面を描写するために使用される。
【0024】
エアロゾル発生装置のくぼみの横断断面は、実質的に円形または実質的に楕円形であることが好ましい。エアロゾル発生装置の横断断面は、実質的に円形であることが最も好ましい。
【0025】
エアロゾル発生装置のくぼみの長さは、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置のくぼみで受けられる時に、エアロゾル発生物品の近位端または下流端が、エアロゾル発生装置のくぼみから突出するように、エアロゾル発生物品の長さよりも短いことが好ましい。
【0026】
「長さ」は本明細書で使用されるとき、くぼみおよびエアロゾル発生物品の遠位端または上流端と近位端または下流端の間の最大長軸方向寸法を意味する。
【0027】
エアロゾル発生装置のくぼみの直径は、エアロゾル発生物品の直径と実質的に等しいかまたはわずかに大きいことが好ましい。
【0028】
「直径」は本明細書で使用されるとき、くぼみおよびエアロゾル発生物品の最大横断寸法を意味する。
【0029】
第一の固液相変化材料は、液体から固体に変化する際に第一の固液相変化材料によって放出された熱エネルギーが、くぼみ内で受けられるエアロゾル発生物品を加熱するよう、エアロゾル発生装置のくぼみの周囲付近に配置される。
【0030】
第一の固液相変化材料は、くぼみの周囲に沿って完全または部分的に延びうる。第一の固液相変化材料は、くぼみの周囲に沿って完全に延びることが好ましい。
【0031】
第一の固液相変化材料は、くぼみの長さに沿って完全または部分的に延びうる。
【0032】
第一の固液相変化材料は、エアロゾル発生システムの望ましい使用温度範囲内の融点と高い融解潜熱を持つ適切な任意の材料としうる。
【0033】
第一の固液相変化材料は、摂氏約30度〜摂氏約70度の融点を持つことが好ましい。ある一定の実施形態で、第一の固液相変化材料は、摂氏約40度〜摂氏約60度の融点を持ちうる。
【0034】
第一の固液相変化材料の融解潜熱は少なくとも約150 kJ/kgであることが好ましく、少なくとも200 kJ/kgがより好ましく、少なくとも250 kJ/kgが最も好ましい。
【0035】
第一の固液相変化材料の熱伝導率は、少なくとも約0.5 W.m
-1.Kであることが好ましい。
【0036】
第一の固液相変化材料は、固体から液体へ、および液体から固体への相変化に伴い、小規模な容積変化を起こすことが好ましい。
【0037】
第一の固液相変化材料は、エアロゾル発生システムの望ましい使用温度範囲内の低い蒸気圧を持つことが好ましい。
【0038】
第一の固液相変化材料は不燃性であることが好ましい。
【0039】
本発明によるエアロゾル発生装置で使用するための適切な第一の固液相変化材料の例は、有機の相変化材料(脂肪酸およびパラフィンなど)、および無機の相変化材料(無機塩水和物など)を含むが、これに限定されない。
【0040】
第一の固液相変化材料として使用するための適切な脂肪酸は、ラウリン酸およびミリスチン酸を含むが、これに限定されない。第一の固液相変化材料として使用するための適切なパラフィンは、イコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、n-トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタンおよびトリトリアコンタンを含むが、これに限定されない。
【0041】
望ましい実施形態において、第一の固液相変化材料は無機塩水和物である。第一の固液相変化材料として使用するための適切な無機塩水和物は、リン酸二ナトリウム塩十二水和物、カルシウム硝酸塩四水和物、チオ硫酸ナトリウム五水和物および酢酸ナトリウム三水和物を含むが、これに限定されない。
【0042】
特に好ましい実施形態で、第一の固液相変化材料は、酢酸ナトリウム三水和物である。
【0043】
エアロゾル発生装置内の第一の固液相変化材料の量は、第一の固液相変化材料が、液体から固体に変化する際に、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生システムの望ましい使用温度範囲に加熱するのに十分な熱エネルギーを放出するのに十分であるべきである。
【0044】
エアロゾル発生装置内の第一の固液相変化材料は液体から固体に変化する際に、少なくとも約250 Jの熱エネルギーを放出するよう構成されることが好ましく、少なくとも約500 Jの熱エネルギーを放出するよう構成されることがさらに好ましい。
【0045】
一定の好ましい実施形態で、エアロゾル発生装置内の第一の固液相変化材料は液体から固体に変化する際に、約250 J〜約1500 Jの熱エネルギーを放出するよう構成されることが好ましく、約500 J〜約1250 Jの熱エネルギーを放出するよう構成されることがさらに好ましい。
【0046】
第一の固液相変化材料は、エアロゾル発生装置のくぼみ内で受けられるエアロゾル発生物品を少なくとも摂氏約40度に加熱するよう構成されることが好ましい。第一の固液相変化材料は、エアロゾル発生装置のくぼみ内で受けられるエアロゾル発生物品を約10秒〜約15秒以内に少なくとも摂氏約40度に加熱するよう構成されることがより好ましい。
【0047】
一定の好ましい実施形態で、第一の固液相変化材料は、エアロゾル発生装置のくぼみ内で受けられるエアロゾル発生物品を摂氏約40度〜摂氏60度に加熱するよう構成される。特に好ましい一定の実施形態で、第一の固液相変化材料は、エアロゾル発生装置のくぼみ内で受けられるエアロゾル発生物品を摂氏約40度〜摂氏60度に約10秒〜約15秒以内に加熱するよう構成される。
【0048】
好ましくは、第一の固液相変化材料は液体から固体に変化する際に、約3分〜約10分の間、熱エネルギーを放出するよう構成されることが好ましい。
【0049】
エアロゾル発生装置の加熱手段による第一の固液相変化材料の過熱のリスクを低減するために、エアロゾル発生装置はさらに、第二の固液相変化材料を含むが、第二の固液相変化材料の融点は第一の固液相変化材料の融点よりも高い。
【0050】
第二の固液相変化材料を含めることは、エアロゾル発生装置の加熱手段が、熱エネルギーを外部熱源から第一の固液相変化材料に移動するように構成されたヒートシンクまたは熱交換器を含む場合に特に有利である。
【0051】
使用時に、第一の固液相変化材料が固体から液体に変化すると、第一の固液相変化材料は加熱手段から追加的な熱エネルギーを吸収し続けることがある。これは、第一の固液相変化材料の温度がその融点よりも高く上昇し続ける原因となり、第二の固液相変化材料がないと、第一の固液相変化材料の過熱という結果になりかねない。
【0052】
ところが、エアロゾル発生装置が、第一の固液相変化材料よりも高い融点を持つ第二の固液相変化材料を含む場合には、第二の固液相変化材料は、第一の固液相変化材料の温度が第二の固液相変化材料の融点に達した時に、固体から液体への相変化を起こす。固体から液体への相変化を起こす際、第二の固液相変化材料は熱エネルギーを吸収する。第二の固液相変化材料は、それによって、第一の固液相変化材料によって吸収される追加的な熱エネルギーの量変化を緩和する。これによって、第一の固液相変化材料の過熱のリスクが低減される。
【0053】
第一の固液相変化材料の過熱のリスクを低減することにより、第二の固液相変化材料を含めることで、エアロゾル発生装置の使用寿命が有利にも延長される。
【0054】
第二の固液相変化材料の融点は、第一の固液相変化材料の融点よりも摂氏15度〜摂氏25度高いことが好ましい。
【0055】
第二の固液相変化材料は、摂氏約70度〜摂氏約90度の融点を持つことが好ましい。
【0056】
第二の固液相変化材料の融解潜熱は少なくとも約150 kJ/kgであることが好ましく、少なくとも200 kJ/kgがより好ましい。
【0057】
第二の固液相変化材料は、固体から液体へ、および液体から固体への相変化に伴い、小規模な容積変化を起こすことが好ましい。
【0058】
第二の固液相変化材料は、エアロゾル発生システムの望ましい使用温度範囲内の低い蒸気圧を持つことが好ましい。
【0059】
第二の固液相変化材料は不燃性であることが好ましい。
【0060】
本発明によるエアロゾル発生装置で使用するための適切な第二の固液相変化材料の例は、有機の相変化材料(パラフィンなど)、および無機の相変化材料(無機塩水和物など)を含むが、これに限定されない。
【0061】
第二の固液相変化材料として使用するための適切なパラフィンは、トリトリアコンタン、テトラトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサトリアコンタン、ヘプタトリアコンタン、オクタトリアコンタン、ノナトリアコンタン、テトラコンタン、ヘンテトラコンタンおよびドテトラコンタンを含むが、これに限定されない。
【0062】
第二の固液相変化材料として使用するために適切な無機塩水和物は、硝酸マグネシウム六水和物および塩化マグネシウム六水和物を含むが、これに限定されない。
【0063】
望ましい実施形態で、第二の固液相変化材料はパラフィンである。
【0064】
特に好ましい実施形態で、第二の固液相変化材料はヘキサトリアコンタンである。
【0065】
第二の固液相変化材料は、第一の固液相変化材料および加熱手段と熱的接触状態にある。
【0066】
熱エネルギーは、加熱手段から第一の固液相変化材料へと、第二の固液相変化材料を経由して移動することが好ましい。
【0067】
第二の固液相変化材料は、くぼみおよび第一の固液相変化材料の上流に配置させうる。
【0068】
別の方法として、第二の固液相変化材料はくぼみの周辺付近に配置させうる。こうした実施形態で、第二の固液相変化材料は、第一の固液相変化材料の上流や、第一の固液相変化材料の下流とすることも、第一の固液相変化材料を囲むこともできる。
【0069】
エアロゾル発生装置の加熱手段は、第一の固液相変化材料を、前記第一の固液相変化材料の融点よりも高い温度に加熱するよう構成されている。
【0070】
加熱手段は非電気的な加熱手段としうる。
【0071】
一定の好ましい実施形態で、加熱手段は熱エネルギーを外部熱源から第一の固液相変化材料に移動するよう構成されたヒートシンクまたは熱交換器を含む。ヒートシンクまたは熱交換器は適切な任意の熱導電性の材料で形成されうる。適切な材料には、アルミニウムおよび銅などの金属が含まれるが、これに限定されない。
【0072】
一定の特に好ましい実施形態で、加熱手段は熱エネルギーを青炎またはトーチライターまたはその他の点火器から第一の固液相変化材料に移動するよう構成されたヒートシンクまたは熱交換器を含む。こうした実施形態で、ユーザーは有利なことに、紙巻たばこまたはその他の従来的な喫煙物品の点火と似た方法で、点火器を使用してエアロゾル発生システムを始動させうる。
【0073】
ヒートシンクまたは熱交換器は、第一の固液相変化材料と熱的接触状態にある。ヒートシンクまたは熱交換器は、第二の固液相変化材料とも熱的接触状態にある。こうした実施形態で、ヒートシンクまたは熱交換器、第一の固液相変化材料および第二の固液相変化材料は、熱エネルギーが、ヒートシンクまたは熱交換器から第二の固液相変化材料に移動するように、およびその後で第二の固液相変化材料から第一の固液相変化材料に移動するように構成されていることが好ましい。
【0074】
ヒートシンクまたは熱交換器は、エアロゾル発生装置の遠位端または上流端から下流に第一の固液相変化材料まで延びることが好ましい。
【0075】
一定の好ましい実施形態で、ヒートシンクまたは熱交換器は第一の固液相変化材料を囲む。例えば、ヒートシンクまたは熱交換器は、第一の固液相変化材料を囲む中空の熱導電性チューブを備えうる。
【0076】
別の方法としてまたは追加的に、ヒートシンクまたは熱交換器は第二の固液相変化材料を囲みうる。
【0077】
加熱手段は、電源によって電力供給される電気加熱手段としうる。
【0078】
加熱手段が電気的加熱手段である場合、エアロゾル発生装置は、電源と、電源から電気的加熱手段への電力供給を制御するよう構成された電子回路を備えたコントローラとをさらに含みうる。電気的加熱手段への電力供給を制御するために、適切な任意の電子回路を使用しうる。電子回路はプログラム可能なものとしうる。
【0079】
別の方法として、電気的な加熱手段は外部電源により電力供給しうる。
【0080】
電源はDC電源としうる。望ましい実施形態で、電源は電池である。例えば、電源はニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウムベースの電池、例えばリチウムコバルト、リチウム鉄リン酸塩またはリチウムポリマー電池としうる。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置としうる。電源は再充電を必要とすることがあり、またエアロゾル発生装置を1つ以上のエアロゾル発生物品とともに使用するのに十分な電気エネルギーの蓄積を可能にする容量を持つものとしうる。
【0081】
エアロゾル発生装置は1つ以上の発熱体を含む加熱手段を備えうる。1つ以上の発熱体は、エアロゾル発生装置のくぼみの長さに沿って全体的または部分的に延びうる。1つ以上の発熱体は、エアロゾル発生装置のくぼみの周囲に沿って全体的または部分的に延びうる。
【0082】
エアロゾル発生装置は、1つ以上の発熱体への電力供給を独立的に制御するよう構成されたコントローラをさらに含みうる。
【0083】
好ましい一つの実施形態で、加熱手段は電気的に加熱される1つ以上の発熱体を含むことを意味する。ただし、1つ以上の発熱体を加熱するためにその他の加熱の仕組みを使用しうる。例えば、1つ以上の発熱体は別の熱源からの熱伝導により加熱されうる。別の方法として、1つ以上の発熱体は赤外線発熱体または誘導性発熱体としうる。
【0084】
特に好ましい実施形態で、加熱手段は電気抵抗性の材料を含む1つ以上の発熱体を含む。それぞれの発熱体は、例えば、アルミナ(Al
2O
3)および窒化珪素(Si
3N
4)、またはプリント基板またはシリコンゴムなど、セラミック焼結材料といった非弾性材料を備えうる。別の方法として、それぞれの発熱体は、例えば鉄合金またはニッケルクロム合金などの弾性金属材料を備えうる。1つ以上の発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基質上の柔軟性のある加熱ホイルとしうる。別の方法として、1つ以上の発熱体は、金属格子(単一または複数)、柔軟性のあるプリント基板、または柔軟性のある炭素繊維ヒーターとしうる。
【0085】
その他の適切な電気抵抗性の材料には、添加セラミックなどの半導体、電気的に「伝導性」のセラミック(例えば、ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金およびセラミック材料および金属材料でできた複合材料が含まれるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープまたは非ドープのセラミックを含みうる。適切な添加セラミックの例は、ドープシリコン炭化物を含む。適切な金属の例は、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属を含む。適切な合金の例は、ステンレス鋼、ニッケル-、コバルト-、クロミウム-、アルミニウム-チタン-ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオビウム-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)および鉄-マンガン-アルミニウム系の合金を含む。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporation(1999 Broadway Suite 4300, Denver, Colorado)の登録商標である。複合材料で、電気抵抗性の材料は、エネルギー移動の動態学および要求される外部の物理化学的性質に応じて、随意に絶縁材への埋込、封入、または塗布あるいはその逆ができる。
【0086】
エアロゾル発生装置はさらに、エアロゾル発生装置の第一の固液相変化材料の温度を検出するよう構成された温度センサーを備えうる。
【0087】
こうした実施形態で、エアロゾル発生装置は、温度センサーにより検出された第一の固液相変化材料の温度に基づき、1つ以上の発熱体への電力供給を制御するように構成されたコントローラを備えうる。
【0088】
加熱手段は、温度と比抵抗との間に明確な関係を持つ金属を使用して形成される1つ以上の発熱体を備えうる。こうした実施形態で、金属は2層の適切な絶縁材の間のトラックとして形成しうる。このように製造された発熱体は、エアロゾル発生装置の第一の固液相変化材料の加熱とその温度のモニタリングのどちらにも使用されうる。
【0089】
エアロゾル発生装置はさらに、くぼみ、第一の固液相変化材料、加熱手段および第二の固液相変化材料、コントローラ、および電源を収容するハウジングを備えうる。
【0090】
エアロゾル発生装置のハウジングは実質的に円筒形であることが好ましい。
【0091】
エアロゾル発生装置のハウジングは、ユーザーによって握ったり持ったりするよう設計されうる。
【0092】
一つの好ましい実施形態で、エアロゾル発生装置は円筒型の加熱式スリーブである。
【0093】
加熱手段、第一の固液相変化材料および第二の固液相変化材料は、空隙または断熱層によってハウジングから間隔を置くことができる。
【0094】
本発明によるエアロゾル発生装置は、揮発性送達促進化合物供与源を含む第一の区画と、ニコチン供与源を含む第二の区画とを含む、エアロゾル発生物品を受けるように構成されることが好ましい。ところが、当然のことながら、本発明によるエアロゾル発生装置は、その他のタイプのエアロゾル発生物品を受けるように構成されうる。
【0095】
エアロゾル発生物品の第一の区画と第二の区画は互いに隣接しうる。別の方法として、エアロゾル発生物品の第一の区画と第二の区画は互いに間隙を介しうる。
【0096】
エアロゾル発生物品の第一の区画は、1つ以上の壊れやすいバリアでシールされうる。一つの好ましい実施形態で、第一の区画は一対の向かい合った横断する壊れやすいバリアによってシールされる。
【0097】
代替的または追加的に、エアロゾル発生物品の第二の区画は、1つ以上の壊れやすいバリアによってシールされうる。一つの好ましい実施形態で、第二の区画は一対の向かい合った横断する壊れやすいバリアによってシールされる。
【0098】
1つ以上の壊れやすいバリアは適切な任意の材料で形成されうる。例えば、1つ以上の壊れやすいバリアは金属の箔またはフィルムで形成されうる。
【0099】
こうした実施形態で、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の第一の区画と第二の区画の一方または両方をシールする1つ以上の壊れやすいバリアを貫通するために、エアロゾル発生装置のくぼみ内に位置する貫通部材をさらに含むことが好ましい。貫通部材は適切な任意の材料で形成されうる。
【0100】
第一の区画と第二の区画の容積は同一または異なる容積としうる。一つの好ましい実施形態で、第二の区画の容積は第一の区画の容積よりも大きい。
【0101】
下記にさらに説明する通り、第一の区画と第二の区画はエアロゾル発生物品内に直列または並列に配列されうる。
【0102】
「直列」は本明細書で使用されるとき、使用時にエアロゾル発生物品を通して引き出される空気の流れが、第一の区画と第二の区画のうち一方を通過してから、第一の区画と第二の区画のうちもう一方を通過するように、第一の区画と第二の区画がエアロゾル発生物品内に配列されることを意味する。揮発性送達促進化合物蒸気は、第一の区画内の揮発性送達促進化合物供与源からエアロゾル発生物品を通して引き出される空気の流れ内に放出され、ニコチン蒸気は第二の区画のニコチン供与源からエアロゾル発生物品を通して引き出される空気の流れ内に放出される。揮発性送達促進化合物蒸気は気相でニコチン蒸気と反応して、エアロゾルを形成し、これがユーザーに送達される。
【0103】
第一の区画と第二の区画がエアロゾル発生物品内で直列に配列されている場合、使用時にエアロゾル発生物品を通して引き出される空気の流れが第一の区画を通過してから第二の区画を通過するように、第二の区画は第一の区画の下流としうる。
【0104】
こうした実施形態で、揮発性送達促進化合物蒸気は、第二の区画内でニコチン蒸気と反応しうる。こうした実施形態で、エアロゾル発生物品は第二の区画の下流に第三の区画をさらに備えることができ、揮発性送達促進化合物蒸気は、代替的または追加的に第三の区画内でニコチン蒸気と反応してエアロゾルを形成しうる。
【0105】
別の方法として、第一の区画と第二の区画がエアロゾル発生物品内で直列に配列されている場合、使用時にエアロゾル発生物品を通して引き出される空気の流れが第二の区画を通過してから第一の区画を通過するように、第二の区画は第一の区画の上流としうる。
【0106】
こうした実施形態で、ニコチン蒸気は、第一の区画内で揮発性送達促進化合物蒸気と反応しうる。こうした実施形態で、エアロゾル発生物品は第一の区画の下流に第三の区画をさらに備えることができ、揮発性ニコチン蒸気は、代替的または追加的に第三の区画内で送達促進化合物蒸気と反応してエアロゾルを形成しうる。
【0107】
第一の区画と第二の区画がエアロゾル発生物品内で直列に配列される場合、エアロゾル発生装置は、くぼみの主軸に沿ってエアロゾル発生装置のくぼみ内に中央に配置される、エアロゾル発生物品の第一の区画と第二の区画を貫通するための貫通部材をさらに備えうる。
【0108】
「並列」は本明細書で使用されるとき、使用時に、エアロゾル発生物品を通して引き出される第一の空気の流れが第一の区画を通過し、エアロゾル発生物品を通して引き出される第二の空気の流れが第二の区画を通過するように、第一の区画と第二の区画がエアロゾル発生物品内に配列されることを意味する。揮発性送達促進化合物蒸気は、第一の区画内の揮発性送達促進化合物供与源からエアロゾル発生物品を通して引き出される第一の空気の流れ内に放出され、ニコチン蒸気は第二の区画のニコチン供与源からエアロゾル発生物品を通して引き出される第二の空気の流れ内に放出される。第一の空気の流れ内の揮発性送達促進化合物蒸気は、第二の空気の流れ内のニコチン蒸気と気相で反応してエアロゾルを形成し、これがユーザーに送達される。
【0109】
こうした実施形態で、エアロゾル発生物品は第一の区画と第二の区画の下流にある第三の区画をさらに備えることができ、第一の空気の流れ内の揮発性送達促進化合物蒸気は、第三の区画内で第二の空気の流れ内のニコチン蒸気と混合・反応してエアロゾルを形成しうる。
【0110】
エアロゾル発生物品の第一の区画と第二の区画が、エアロゾル発生物品内で並列で配列される場合、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の第一の区画を貫通するためにエアロゾル発生装置のくぼみ内に配置された第一の貫通要素と、エアロゾル発生物品の第二の区画を貫通するためにエアロゾル発生装置のくぼみ内に配置された第二の貫通要素とを含みうる貫通部材をさらに含む。
【0111】
特に好ましい実施形態で、エアロゾル発生物品は、空気吸込み口と、空気吸込み口と連通する第一の区画であって、その第一の区画が揮発性送達促進化合物供与源およびニコチン供与源のうち第一の方を含むものと、第一の区画と連通する第二の区画であって、その第二の区画が揮発性送達促進化合物供与源およびニコチン供与源のうち第二の方を含むものと、空気出口とを含むハウジングを備えるが、ここで空気吸込み口および空気出口は、空気が空気吸込み口からハウジング内に入り、ハウジングを通過し、空気出口を通してハウジングから出ることができるように、相互に連通し構成されている。
【0112】
「空気吸込み口」という用語は本明細書で使用されるとき、それを通して空気がエアロゾル発生物品内に引き出されうる1つ以上の開口部を描写するために使用される。
【0113】
「空気出口」という用語は本明細書で使用されるとき、それを通して空気がエアロゾル発生物品から引き出されうる1つ以上の開口部を描写するために使用される。
【0114】
こうした実施形態で、第一の区画と第二の区画は、ハウジング内で空気吸込み口から空気出口まで直列に配列されている。すなわち、第一の区画は空気吸込み口の下流であり、第二の区画は第一の区画の下流であり、空気出口は第二の区画の下流である。使用時に、空気の流れは空気吸込み口を通してハウジング内に引き出され、第一の区画と第二の区画を通して下流に流れ、空気出口を通してハウジングを出る。
【0115】
こうした実施形態で、第一の区画は揮発性送達促進化合物供与源を含むことができ、また第二の区画はニコチン供与源を含みうる。
【0116】
別の方法として、こうした実施形態で、第一の区画はニコチン供与源を含むことができ、また第二の区画は揮発性送達促進化合物供与源を含みうる。
【0117】
エアロゾル発生物品は、第二の区画、および空気出口と連通する第三の区画をさらに備えうる。こうした実施形態での使用において、空気の流れは空気吸込み口を通してハウジング内に引き出され、第一の区画、第二の区画および第三の区画を通して下流に流れ、空気出口を通してハウジングを出る。
【0118】
エアロゾル発生物品は、第二の区画または第三の区画(存在する場合)、および空気出口と連通するマウスピースをさらに備えうる。こうした実施形態での使用において、空気の流れは空気吸込み口を通してハウジング内に引き出され、第一の区画、第二の区画、第三の区画(存在する場合)、およびマウスピースを通して下流に流れ、空気出口を通してハウジングを出る。
【0119】
他の好ましい実施形態で、エアロゾル発生物品は、空気吸込み口と、空気吸込み口と連通する第一の区画であって、その第一の区画が揮発性送達促進化合物供与源を含むものと、空気吸込み口と連通する第二の区画であって、その第二の区画がニコチン供与源を含むものと、空気出口とを含むハウジングを備えるが、ここで空気吸込み口および空気出口は、空気が空気吸込み口からハウジング内に入り、ハウジングを通過し、空気出口を通してハウジングから出ることができるように、相互に連通し構成されている。
【0120】
こうした実施形態で、第一の区画と第二の区画は、ハウジング内で空気吸込み口から空気出口まで並列に配列されている。第一の区画と第二の区画はどちらも空気吸込み口の下流でありかつ空気出口の上流である。使用時に、空気の流れは空気吸込み口を通してハウジング内に引き出され、空気の流れの第一の部分は第一の区画を通して下流に引き出され、空気の流れの第二の部分は第二の区画を通して下流に引き出される。
【0121】
エアロゾル発生物品は、第一の区画と第二の区画のうち片方または両方、および空気出口と連通する第三の区画をさらに備えうる。
【0122】
エアロゾル発生物品は、第一の区画、第二の区画または第三の区画(存在する場合)、および空気出口と連通するマウスピースをさらに備えうる。
【0123】
好ましいさらなる実施形態で、エアロゾル発生物品は、第一の空気吸込み口と、第二の空気吸込み口と、第一の空気吸込み口と連通する第一の区画であって、その第一の区画が揮発性送達促進化合物供与源を含むものと、第二の空気吸込み口と連通する第二の区画であって、その第二の区画がニコチン供与源を含むものと、空気出口とを含むハウジングを備えるが、ここで第一の空気吸込み口、第二の空気吸込み口および空気出口は、空気が第一の空気吸込み口を通過してハウジングに入り、ハウジングを通過し、空気出口を通してハウジングから出ることができるように、また空気が第一の空気吸込み口を通過してハウジングに入り、ハウジングを通過し、空気出口を通してハウジングから出ることができるように相互に連通し構成されている。
【0124】
こうした実施形態で、第一の区画と第二の区画は、ハウジング内で並列に配列されている。第一の区画は第一の空気吸込み口の下流でありかつ空気出口の上流であり、第二の区画は第二の空気吸込み口の下流でありかつ空気出口の上流である。使用時に、第一の空気の流れは、第一の空気吸込み口を通してハウジング内に引き出され、第一の区画を通して下流に流れ、第二の空気の流れは、第二の空気吸込み口を通してハウジング内に引き出され、第二の区画を通して下流に流れる。
【0125】
エアロゾル発生物品は、第一の区画と第二の区画のうち片方または両方、および空気出口と連通する第三の区画をさらに備えうる。
【0126】
エアロゾル発生物品は、第一の区画、第二の区画または第三の区画(存在する場合)、および空気出口と連通するマウスピースをさらに備えうる。
【0127】
エアロゾル発生物品のハウジングは、紙巻たばこ、葉巻、細い葉巻またはパイプなどや、紙巻たばこパックの形状や寸法をまねてもよい。一つの好ましい実施形態で、ハウジングは紙巻たばこの形状および寸法をまねたものである。
【0128】
存在する場合、第三の区画は1つ以上のエアロゾル修飾剤を含みうる。例えば、第三の区画は、活性炭などの吸着剤、メントールなどの風味またはそれらの組み合わせを含みうる。
【0129】
存在する場合、マウスピースはフィルターを備えうる。フィルターは、低い粒子濾過効率または非常に低い粒子濾過効率を有しうる。別の方法として、マウスピースは中空管を備えうる。
【0130】
エアロゾル発生物品の第一の区画は、揮発性送達促進化合物供与源を含む。「揮発性」は本明細書で使用されるとき、送達促進化合物の蒸気圧が少なくとも約20 Paであることを意味する。特に明記しない限り、本明細書で言及したすべての蒸気圧は、ASTM E1194 - 07に従い測定された25°Cでの蒸気圧である。
【0131】
揮発性送達促進化合物の25°Cでの蒸気圧は、少なくとも約50 Paであることが好ましく、少なくとも約75 Paであることがより好ましく、少なくとも100 Paであることが最も好ましい。
【0132】
揮発性送達促進化合物の25°Cでの蒸気圧は約400 Pa以下であることが好ましく、約300 Pa以下がより好ましく、約275 Pa以下がさらにより好ましく、約250 Pa以下が最も好ましい。
【0133】
一定の実施形態で、揮発性送達促進化合物の25℃での蒸気圧は、約20 Pa〜約400 Paの間としうるが、約20 Pa〜約300 Paの間がより好ましく、約20 Pa〜約275 Paの間がさらにより好ましく、約20 Pa〜約250 Paの間が最も好ましい。
【0134】
その他の実施形態で、揮発性送達促進化合物の25℃での蒸気圧は、約50 Pa〜約400 Paの間としうるが、約50 Pa〜約300 Paの間がより好ましく、約50 Pa〜約275 Paの間がさらにより好ましく、約50 Pa〜約250 Paの間が最も好ましい。
【0135】
さらなる実施形態で、揮発性送達促進化合物の25℃での蒸気圧は、約75 Pa〜約400 Paの間としうるが、約75 Pa〜約300 Paの間がより好ましく、約75 Pa〜約275 Paの間がさらにより好ましく、約75 Pa〜約250 Paの間が最も好ましい。
【0136】
なおさらなる実施形態で、揮発性送達促進化合物の25℃での蒸気圧は、約100 Pa〜約400 Paの間としうるが、約100 Pa〜約300 Paの間がより好ましく、約100 Pa〜約275 Paの間がさらにより好ましく、約100 Pa〜約250 Paの間が最も好ましい。
【0137】
揮発性送達促進化合物は単一の化合物を含みうる。別の方法として、揮発性送達促進化合物は2つ以上の異なる化合物を含みうる。
【0138】
揮発性送達促進化合物が2つ以上の異なる化合物を含む場合、2つ以上の異なる化合物の組み合わせの25℃での蒸気圧は少なくとも約20 Paである。
【0139】
揮発性送達促進化合物は揮発性の液体であることが好ましい。
【0140】
揮発性送達促進化合物は、2つ以上の異なる液体化合物の混合物を含みうる。
【0141】
揮発性送達促進化合物は、1つまたは複数の化合物の水溶液を含みうる。あるいは、揮発性送達促進化合物は、1つまたは複数の化合物の非水溶液を含みうる。
【0142】
揮発性送達促進化合物は2つ以上の異なる揮発性化合物を含みうる。例えば、揮発性送達促進化合物は、2つ以上の異なる揮発性液体化合物の混合物を含みうる。
【0143】
あるいは、揮発性送達促進化合物は、1つまたは複数の不揮発性化合物および1つまたは複数の揮発性化合物を含みうる。例えば、揮発性送達促進化合物は、揮発性溶媒中の1つまたは複数の不揮発性化合物の溶液または1つまたは複数の不揮発性液体化合物および1つまたは複数の揮発性液体化合物の混合物を含みうる。
【0144】
一つの実施形態で、揮発性送達促進化合物は酸を含む。揮発性送達促進化合物は、有機酸または無機酸を含みうる。揮発性送達促進化合物は有機酸を含むことが好ましく、カルボン酸がより好ましく、α-ケト酸または2-オキソ酸が最も好ましい。
【0145】
好ましい実施形態で、揮発性送達促進化合物は、3-メチル-2-オキソペンタン酸、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、4-メチル-2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸およびこれらの組み合わせから成る群より選択される酸を含む。特に好ましい実施形態で、揮発性送達促進化合物はピルビン酸を含む。
【0146】
一つの好ましい実施形態で、揮発性送達促進化合物供与源は、収着エレメントと、収着エレメントに吸着された揮発性送達促進化合物とを含む。
【0147】
「収着された」は本明細書で使用されるとき、揮発性送達促進化合物が収着エレメントの表面上に吸着された、または収着エレメント中に吸収された、または収着エレメント上に吸着されて収着エレメント中に吸収されたことを意味する。揮発性送達促進化合物は、収着エレメント上に吸着されることが好ましい。
【0148】
収着エレメントを、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成しうる。例えば、収着エレメントは、ガラス、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)の1つまたは複数を含みうる。
【0149】
好ましい実施形態で、収着エレメントは多孔性収着エレメントである。
【0150】
例えば、収着エレメントは、多孔性プラスチック材料、多孔性重合体繊維および多孔性ガラス繊維から成る群より選択された1つまたは複数の材料を含む多孔性収着エレメントであってもよい。
【0151】
収着エレメントは揮発性送達促進化合物に対して化学的に不活性であることが好ましい。
【0152】
収着エレメントは適切な任意のサイズおよび形状を有しうる。
【0153】
好ましい実施形態で、収着エレメントは実質的に円柱状プラグである。特に好ましい一つの実施形態で、収着エレメントは多孔性の実質的に円柱状のプラグである。
【0154】
好ましい別の実施形態で、収着エレメントは実質的に円柱状の中空管である。特に好ましい別の実施形態で、収着エレメントは多孔性の実質的に円柱状の中空管である。
【0155】
収着エレメントのサイズ、形状および組成物は、揮発性送達促進化合物の所望量が収着エレメント上に収着されるのを可能にするように選んでもよい。
【0156】
好ましい実施形態で、約20μl〜約200μlの間、より好ましくは約40μl〜約150μlの間、最も好ましくは約50μl〜約100μlの間の揮発性送達促進化合物は、収着エレメント上に収着される。
【0157】
収着エレメントは、揮発性送達促進化合物のための貯蔵所としての役割を都合よく果たす。
【0158】
エアロゾル発生物品の第二の区画はニコチン供与源を含む。ニコチン供与源は1つまたは複数のニコチン、ニコチン塩基、ニコチン-HCl、ニコチン酒石酸塩またはニコチン二酒石酸塩などのニコチン塩またはニコチン誘導体を含みうる。
【0159】
ニコチン供与源は天然ニコチンまたは合成ニコチンを含みうる。
【0160】
ニコチン供与源は純粋なニコチン、水性溶媒または非水溶媒あるいは液体たばこ抽出物におけるニコチンの溶液を含みうる。
【0161】
ニコチン供与源は電解質形成化合物をさらに含みうる。電解質形成化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物およびこれらの組み合わせから成る群より選択しうる。
【0162】
例えば、ニコチン供与源は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウムおよびこれらの組み合わせから成る群より選択された電解質形成化合物を含みうる。
【0163】
一定の実施形態で、ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩またはニコチン誘導体および電解質形成化合物の水溶液を含みうる。
【0164】
代替的または追加的に、ニコチン供与源は天然フレーバー、人工フレーバーおよび酸化防止剤を含むがこれに限定されないその他の成分をさらに含みうる。
【0165】
ニコチン供与源は収着エレメントおよび収着エレメントで吸着されたニコチンを含みうる。
【0166】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒形の形状であることが好ましい。
【0167】
エアロゾル発生物品は適切な任意の形状の横断断面を持ちうる。
【0168】
エアロゾル発生物品の横断断面は実質的に円形または実質的に楕円形であることが好ましい。エアロゾル発生物品の横断断面は実質的に円形であることがより好ましい。
【0169】
エアロゾル発生物品は、紙巻たばこ、葉巻、細い葉巻またはパイプなどの喫煙物品や、紙巻たばこパックの形状や寸法をまねてもよい。一つの好ましい実施形態で、エアロゾル発生物品は紙巻たばこの形状および寸法をまねたものである。
【0170】
誤解を避けるために、本発明の1つの実施形態に対する上に記述された特徴はまた、本発明のその他の実施形態に適用することができる。特に、本発明によるエアロゾル発生装置に対する上に記述された特徴はまた、本発明によるエアロゾル発生システムに適切な場合、関連し得るとともに、逆もまた同じである。
【0171】
ここで、添付図面を参照しながら本発明に関してさらに説明する。