(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明は4つの部分に分かれる。第1の部分では、第1の(例えば、電気インピーダンスベースの)医療用測位システム(MPS)を第2の(例えば、磁界ベースの)MPSと一緒に動作させるためのシステムが概して説明される。第2の部分では、例示的な電気インピーダンスベースのMPSがより詳細に説明される。第3の部分では、磁界ベースのMPSの例示的な実施形態がより詳細に説明される。最後の部分では、第1の(例えば、電気インピーダンスベースの)MPSを第2の(例えば、磁界ベースの)MPSの座標系内で動作させるための方法が説明される。
【0013】
第1のMPSを第2のMPSとともに動作させるためのシステム。ここで、さまざまな図面内の同一のコンポーネントを識別するために類似の参照番号が使用される図を参照すると、
図1は、第1の医療用測位システム(MPS)(例えば、電気インピーダンスベースの)を第2のMPS(例えば、磁界ベースの)と一緒に動作させることによって医療デバイスの位置を決定するためのシステム10のブロック図である。「背景技術」の項で説明されているように、それぞれのタイプの測位システムに、いくつかの利点と欠点とがある。システム10は、各欠点を解消しつつ両方のシステムの利点を保持するように構成されている。
【0014】
システム10は、第1のMPS12(電気インピーダンスベース)および関連する第1の座標系14と、第2のMPS16(磁界ベース)および関連する第2の座標系18と、各動き補償ブロック20、22と、デュアルシステム医療デバイス24と、シングルシステム医療デバイス26と、電子制御ユニット28(関連するプロセッサ30およびメモリ32を含む)と、位置合わせブロック34を備えるロジックブロックおよびデータ構造と、補間ブロック36と、基準座標データ構造38と、計算係数データ構造40と、ディスプレイ42と、入力/出力インターフェース44と、画像データベース46とを示している。
【0015】
ECU28、MPS12、およびMPS16は別々に示されているが、これは説明をしやすくすることのみを目的としており、本質的制限を加えるわけではないことは理解されるであろう。一実施形態において、ECU28、MPS12、およびMPS16はすべて、図に示されているのとは異なる形で単一の処理装置で実装されるか、または複数の装置間に分散させられうる。例えば、MPS12およびMPS16は、ECU28とは別の単一のMPSに組み合わせることもできる。さらなる実施形態において、MPS12およびMPS16は、例えば、ECGリードなどのコンポーネントを共有することができる。他の変更形態も、当業者であれば理解するように、可能である。
【0016】
MPS12は、電気インピーダンスベースの測位システムであってよく、患者の身体内の1つまたは複数の医療デバイスに取り付けられた1つまたは複数の電極に関連付けられている測位(局在化)データ(つまり、位置および配向−P&O)を取得するように構成される。
図2〜3に関連して以下でさらに詳しく説明されているように、システム12は、1つまたは複数の電極を搭載する1つまたは複数の互換性のある医療デバイス(例えば、カテーテル、導入器、基準デバイスなど)に結合されうる。さらに、システム12は、典型的には、複数の体表面電極(つまり、パッチ)を使用する。システム12は、一実施形態において、励起信号をパッチの対に印加し、電極上に(およびパッチ上に)その結果現れる信号を測定する。測定された信号はシステム12によって解析され、出力P&O読み取り値を生成する。図示されているように、P&O読み取りの例示的な位置部分は、三次元で、例えば、3D座標(nX,nY,nZ)として表すことができる。構成に応じて、同伴する一組の配向値も決定されうる。さまざまな要因により、関連する座標系14は、不均質性、非正規直交性、および異方性を有している場合がある。
【0017】
MPS16は、磁界ベースの測位システムであってよく、同様に、患者の身体内の1つまたは複数の医療デバイスに取り付けられるか、または他の何らかの方法で関連付けられている1つまたは複数のセンサーに関連付けられている測位(局在化)データ(つまり、位置および配向−P&O)を取得するように構成される。
図5に関連して以下でさらに詳しく説明されているように、MPS16は、1つまたは複数のセンサー(例えば、コイルなどの、磁界センサー)を搭載する1つまたは複数の互換性のある医療デバイスに結合することができ、さらに、典型的には複数の電磁場発生器を備える。MPS16は、電磁場発生とそれぞれのセンサーでの信号の検出の両方を制御し、検出された信号は感知された磁界の1つまたは複数の磁界特性を示す。MPS16は、検出された信号を処理し、P&O読み取り値を出力するように構成される。図示されているように、P&O読み取りの例示的な位置部分は、三次元で、例えば、3D座標(gX,gY,gZ)として表すことができる。構成に応じて、同伴する一組の配向値も決定されうる。一般に、関連する座標系18は、均質であり、正規直交性を有する。しかし、「背景技術」の項で説明されているように、MPS16は、P&Oが一度に決定できるセンサーの数に関して制限されている場合がある。
【0018】
座標系14、18は、配向が別々で、原点が異なり、互いに独立しているものとしてよく、また互いに関して移動可能であるものとしてよいことは理解されるであろう。それに加えて、いくつかの実施形態では、動き補償機能が、MPS12およびMPS16のいずれか、または両方によって実現されうる。例示されている実施形態では、測位システムは両方とも、動き補償ブロック20、22によって示されている、そのような機能を備える。ブロック20、22によってもたらされる動き補償機能は、互いに独立していてよい。一般的に、動き補償ブロックは、それぞれMPS12およびMPS16によって得られる生の位置データの調整を可能にするものとしてよく、これは事前に取得された画像、一連の画像に関する患者身体の関心領域(ROI)、またはROIの幾何学的形状の移動を考慮する。電気インピーダンスベースの測位システムに対する動き補償は、
図2と併せてより詳細に説明される。磁界ベースの測位システムに対する動き補償は、
図5と併せてより詳細に説明される。動き補償は、生理学的な(例えば、呼吸器官の)活動に対して行うこともでき、および/または特定の点、例えば、心臓周期におけるある時点についてゲーティングされうる。
【0019】
デュアルシステム医療デバイス24は、MPS12およびMPS16の両方と互換性を有するように構成される(つまり、位置を決定するため両方のシステムに対し各励起および感知方式と連携するように構成される)。図示されているように、デバイス24はMPS12およびMPS16のそれぞれ1つに動作可能に結合される。デバイス24は、座標系14、18の位置合わせを補助するように特に構成される。この目的のために、デバイス24は少なくとも1つの「センサー対」を備え、この対の1つのセンサーは、MPS12と互換性を有し、動作可能に結合されるが、この対の他のセンサーは、MPS16と互換性を有し、動作可能に結合される。それぞれのセンサー対における両方のセンサーは、各信号を対応する測位システムに出力するように構成される。このような信号は、これ以降、関連する座標系で表される、各位置および配向(P&O)を決定するために各システム12、16によって使用される。より具体的には、センサー対のセンサーは、少なくとも、互いから知られている距離または関係のところにあってよく、好ましくは、三次元空間内の同じ物理的点を実際に占有すると考えられるほど互いに接近しているものとしてよい。後述のように、センサー対のそれぞれのセンサーに対する各P&O読み取り値は、基準対と本明細書では称される。基準対のそれぞれの座標は現実には3D空間内の同じ物理的点を参照するという認識により、システム10の予備的位置合わせにおいていくつかの等価量を使用することができる(以下でより詳細に説明する)。デュアルシステムデバイス24は、少なくとも1つのセンサー対を備え、複数のセンサー対を有することができる。デバイス24は、追加の電極および/またはセンサーを備えることができることは理解されるであろう。特に、デバイス24が、MPSシステム12、16の少なくとも1つに対する2つのセンサー対または第2のセンサーのいずれかを備えることが有利であるものとしてよい。センサー対の2つのセンサーがデバイス24内の同じ物理的点のところにない一実施形態では、第2のセンサー対または追加のセンサーは、デバイスを適切に配向して基準対の配置を計算するために使用されうる。デバイス24は、電気生理学(EP)マッピングカテーテル、別のEPカテーテル、または他の診断もしくは治療デバイスであるものとしてよい。
【0020】
シングルシステム医療デバイス26は、MPS12と互換性を有するように構成され、図示されているように、MPS12と動作可能に結合される。この点に関して、デバイス26は、電気的特性を感知することができる1つまたは複数の電極を備え、これはMPS12によって処理されたときに座標系14に関して表されるP&O読み取り値を出力する。一実施形態において、デバイス26は、医学的手技、マッピング手順、または座標系14、18の初期位置合わせの後の他の活動で使用するように構成されている。一実施形態において、初期位置合わせ(後述)は、特定の医療セッションの期間中に有効であるものとしてよい。デバイス26は、複数の電極を備える非接触EPマッピングカテーテルなどの、複数の医療デバイスタイプのうちの1つであってよい。デバイス26は、アブレーションカテーテル、他のEPカテーテル、または他の診断もしくは治療デバイスであってもよい。
【0021】
ディスプレイ42は、例えば関心領域に関係する解剖学的画像などの関心の対象となっている1つまたは複数の画像を生成するように構成される。ディスプレイ42は、当技術分野で知られている従来の装置を備えることができる。
【0022】
入力/出力機構44は、ユーザー(図示せず)がECU28などの、システム10のさまざまなコンポーネントを含む、システム10をインタラクティブに操作することを可能にするインターフェースとして実現される。入力/出力44は、当技術分野で知られている従来の装置を備えることができる。
【0023】
画像データベース46は、例えば動いている関心領域を含む、患者の身体に関係する画像情報を格納するように構成される。画像データベース46は、(1)過去の各個別の時点において収集された1つまたは複数の二次元静止画像、(2)画像データベースがバッファとして働く(「ライブ」蛍光透視)画像収集デバイスからリアルタイムで取得された複数の関係する二次元画像(例えば、X線撮像装置からの蛍光透視画像)、および/または(3)シネループ(CL)を画成する関係する一連の二次元画像であって、この一連の画像中のそれぞれの画像はECGモニター(
図1には示されていない)から取得された収集リアルタイムECG信号に従ってこの一連の画像の再生を可能にするのに適切なそれに関連する少なくとも1つのECGタイミングパラメータを有する一連の二次元画像を含むことができる。二次元画像は、何らかのイメージングモダリティ、現在知られているか、または今後開発される、例えば、X線、超音波、コンピュータ断層撮影、核磁気共鳴、または同様のものを通して収集されうることは理解されるであろう。
【0024】
ECU28は、以下でさらに詳しく説明されているように、多数の関数を実行するように構成される。第1に、ECU28は、MPS12およびMPS16(つまり、基準対)からの少なくとも位置データに応答して、座標系14の座標系18への位置合わせ(「位置合わせ(registration)」)を可能にする補間関数を決定する。第2に、ECU28は、座標系14内の座標(MPS12によって生成される)を取り、補間関数を使用して、座標系18内の対応する座標を出力する(「補間(interpolation)」)ようにさらに構成される。また、ECU28は、当技術分野で知られている他の有用な関数(例えば、位置データを処理する、ユーザー入力を解釈する、表示データを生成する、医療デバイスの表現を画像データベース46から取得された事前に収集されている画像または一連の画像上に正確に重ねて表示するなど)を実行するように一般的に構成されうるが、以下の説明は、上記の2つの関数、つまり、位置合わせと補間に注目する。これらの関数を実行するために、ECU28は、位置合わせロジック34および補間ロジック36を備えるように特に構成され、それぞれ、一実施形態では、メモリ32に格納され、プロセッサ30によって実行されるように構成されているプログラムされたロジック(つまり、ソフトウェア)の形態を取る。ECU28は、基準座標データ構造38および係数データ構造40を含む、さまざまなデータ構造も備える。
【0025】
位置合わせロジック34は、第2の正規直交座標系(例えば、座標系18)において第1の非正規直交座標系(例えば、座標系14)を位置決めするために補間関数を確立するように構成される。そうするために、位置合わせロジック34は、一組の基準対を受け取るように構成されうる。それぞれの基準対は、それぞれの座標系内の座標を含むことができ、両方の座標が三次元(3D)空間内の同じ物理的点を表すか、または所定の互いに知られている関係(例えば、距離)にある3D空間内の2つの点を表す。次いで、この一組の基準対は、座標系14、18内のNサイズの一組の対にされた各座標であってよい。Nは、例えば、患者ROIなどの、座標系の関係する部分をマッピングできる十分な大きさの(また関心領域上で十分に多様な)任意の数の基準対として選択されてよい。(nX
i,nY
i,nZ
i)、i=1,...,Nとして示されている座標系14内の基準対の座標をMPS12から受け取ることができる。(gX
i,gY
i,gZ
i)、i=1,...,Nとして示されている座標系18内の基準対の座標をMPS16から受け取ることができる。本明細書で使用されているように、接頭辞nは、電気インピーダンスベースのシステムおよび座標を指し、接頭辞gは、磁界ベースのシステムおよび座標を指す。
【0026】
受け取った基準対に基づき、位置合わせロジック34は、一組の基準座標を処理し、および/またはデータ構造38に格納することができる。一実施形態において、構造38内に格納されている基準座標は、MPS12から受け取ったNサイズの一組のn座標である。位置合わせロジック34は、補間アルゴリズムを使用して補間関数を定義するように構成することもできる。一実施形態において、アルゴリズムは、
図5に関してさらに詳しく説明される、薄板スプラインアルゴリズムである。位置合わせロジック34は、補間関数を定義する際に使用される、係数40を計算するようにさらに構成される。位置合わせロジック34の出力は、座標系18の上への座標系14のマップを定義することができる。出力は、係数40および基準座標38を含む、確立された補間関数の形態をとりうる。あるいは、出力は、事前にプログラムされた補間関数とともに使用される、係数40および基準座標38の形態をとりうる。
【0027】
補間ロジック36は、位置合わせロジック34によって作成されるマップに従う、つまり、補間関数を座標系14内の新しいn座標(インピーダンスベース)((nX,nY,nZ)として示される)に適用して対応するg座標((gX,gY,gZ)として示される)を生成するように構成される。このデータフローは、
図1に示されている。一実施形態において、ロジック36は、新しいn座標のリアルタイムストリームを処理して、g座標の対応するリアルタイムストリームを生成することが企図される。一般的に、補間ロジック36は、(1)基準座標38および係数40を使用する、事前にプログラムされた補間関数を適用するか、または(2)位置合わせロジック34によって完全に確立された補間関数を適用するように構成される。一実施形態において、補間関数は、位置合わせロジック34によって適用される同じ薄板スプラインアルゴリズムに基づくものとしてよく、係数などの未知数が補間ロジック36がこのアルゴリズムを使用するときに定義されることを認識する。
【0028】
動作時に、システム10は、EPまたは他の医学的手技の予備的な位置合わせ段階において座標系18内で座標系14を位置合わせするために使用されうる。上で述べたように、位置合わせステップは、複数の測定された基準対の評価、および同じ物理的点が各座標系14、18内で表す等価量に基づくものとしてよい。MPS12およびMPS16は、デュアルシステムデバイス24を使用して基準対を収集するように構成される。この点に関して、ECU28は、MPS12およびMPS16のそれぞれからの位置データの収集を同期および/または制御するように構成されうる。これ以降、収集された基準対は、補間アルゴリズムを適用する、位置合わせロジック34に与えられる。以下ではかなり詳しく説明しているが、補間アルゴリズムは、複数の未知数を含む複数の方程式を定義し、次いで、未知数について解くことを伴う。収集された基準対は、未知数について解くことに関わる情報の一部を提供する。方程式中で指定されているさまざまな項は、対応する係数を含み、これらの係数について(つまり、この一組の方程式を解く際に)決定された値は、データ構造40内に反映される。収集された基準対は、データ構造38内に反映される、一組の基準座標も備えることができる。一実施形態において、これで位置合わせ段階を完了する。
【0029】
リアルタイムで−つまり、治療中に、または位置合わせ段階の後の他の段階において−補間ロジック36は、MPS12から座標を連続的に受け付けることができる。座標は、シングルシステムデバイス26、デュアルシステムデバイス24、またはMPS12(電気インピーダンスベース)と互換性のある別の医療デバイスから導出されうる。上で説明されているように、補間ロジック36は、補間関数(基準座標38および係数40を使用する)を座標系14内のそれぞれの受け取った座標に適用し、座標系18内の対応する座標を出力するように構成される。その結果、システム10は、効果的に、座標系18内でMPS12をリアルタイムで操作することができる。したがって、システム10は、MPS12が複数のデバイス上で同時に複数の電極の位置を決定することができることを利用し、それと同時に、座標系18の正規直交性および患者独立性を利用する。例えば、解剖学的特徴の幾何学的モデルまたは表面マップを生成することを目的として座標系14内で収集された位置データは、同じ解剖学的特徴の実際の画像との対応関係を改善して(つまり、歪みをなくして)示される。リアルタイム動作時に、MPS16は、システム10から取り外されるか、または無効化されるか、または使用されないか、または位置データを収集するため引き続き使用されうる。
【0030】
電気インピーダンスベースのMPS。
図2は、システム50と示されている(つまり、システム10で使用されうる−
図1)、MPS12の例示的な電気インピーダンスベースの一実施形態の概略模式図である。システム50は、例えば、St. Jude Medical, Inc.社から市販されているEnSite(商標)Electro Anatomical Mapping Systemを含む、または一般的に、Hauckらの米国特許第7,263,397号明細書、名称「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location and Mapping in the Heart」またはHauckの米国特許公開第2007/0060833A1号明細書、名称「Method of Scaling Navigation Signals to Account for Impedance Drift in Tissue」で概して説明されているような、当技術分野で知られているさまざまな視覚化、マッピング、およびナビゲーションコンポーネントを備えることができ、これらの文献は両方ともその全体が本発明の共通の譲受人によって所有され、また参照により本明細書に組み込まれている。
【0031】
システム50は、患者54の心臓52の模式図を含む。システムは、カテーテルの遠位端が心室52内を動き回るときにカテーテルの電極の配置(つまり、位置と配向)を決定する機能を備える。この目的のために、3組の体表面電極(パッチ)が図示されており、これらは(1)電極56、58(X軸)と、(2)電極60、62(Y軸)と、(3)電極64、66(Z軸)である。それに加えて、体表面電極(「腹部パッチ」)68が模式図で示されている。表面電極はすべて、スイッチ70に接続されている。もちろん、より少ない電極、例えば、3つの電極、より多くの電極、例えば、12、または異なる物理的配置構成、例えば、直交配置構成の代わりに直線的配置構成を含む、他の表面電極構成および組み合わせが、本発明とともに使用するのに適している。
【0032】
デバイス26は、遠位電極72を有するカテーテルとしても示されている。カテーテル26は、電極72に加えて追加の電極を有することができる(例えば、カテーテル先端電極および/またはリング電極)。
図2は、較正を目的として心臓に固定されていてもよい、固定基準電極76を有する第2の独立したカテーテル74も示している。多くの場合において、心臓52内の冠状静脈洞電極または他の固定された基準電極76は、電圧および変位を測定するための基準として使用されうる。
【0033】
カテーテル26は、さらに他の電極を備えることができ、EPまたはRFアブレーションの実施形態など、他の実施形態では、数多くの診断および/または治療目的に他の電極を使用することができることは理解されるであろう。例えば、このような電極、およびしたがって、このようなカテーテルは、アブレーション法、心臓マッピング、電気生理学的(EP)研究、ならびに他の診断および/または治療法を実行するために使用されうる。実施形態は、1つのタイプのカテーテルまたはカテーテルベースのシステムもしくは手順に限定されない。
【0034】
図2はさらに、コンピュータシステム78、信号発生器80、アナログ/デジタルコンバータ82、およびローパスフィルター84を示している。コンピュータシステム78は、本明細書で説明されている関数および演算の多くを実行するように構成された処理装置を備える。コンピュータシステム78は、以下でさらに詳しく説明されているように、表面電極のさまざまな対(双極子)を選択的に通電する所定の戦略に従って信号発生器80を制御するように構成されうる。動作時に、コンピュータシステム78は、(1)フィルター84およびA/Dコンバータ82を介して生のパッチデータ(つまり、電圧読み取り値)を取得し、(2)その生のパッチデータを(電極測定結果と併せて)使用して、三次元座標系14内の心臓または心室の内側に位置決めされたカテーテル電極(例えば、電極72など)の生の非補償の電極配置座標を決定することができる。コンピュータシステム78は、1つまたは複数の補償および調整機能を実行し、電極72などの1つまたは複数の電極の座標系14内の配置を出力するようにさらに構成されうる。動き補償は、例えば、呼吸によって誘発される患者の身体の移動に対する補償を含むものとしてよく、このことは、米国特許出願第12/980,515号明細書、名称「Dynamic Adaptive Respiration Compensation With Automatic Gain Control」において説明されており、その開示全体は参照により本明細書中に組み込まれている。
【0035】
一実施形態において、体表面電極に結合され、参照番号86として総称的に示されている、従来の12本のECGリードの大部分または全部は、患者54の心電図(ECG)の収集をサポートするため備えられうる。図示されているように、ECGリード86(備えられている場合)は、心臓周期における心臓の期を取得する収集およびその後の処理のためコンピュータシステム78に直接結合されてよい。ECGリード86は、他のシステムに与えられてもよい。
【0036】
それぞれの体表面(パッチ)電極は、スイッチ70に独立して結合され、電極の対は、パッチを信号発生器80に結合する、コンピュータシステム78上で実行されるソフトウェアによって選択される。一対の電極、例えば、Z軸電極64と66は、患者54の身体、および心臓52に電界を発生するように信号発生器80によって励起されうる。一実施形態では、この電極励起プロセスは、パッチ電極の異なるいくつかの組が選択され、非励起(一実施形態における)表面電極の1つまたは複数が電圧の測定に使用されるときに高速に、順次実行される。励起信号(例えば、電流パルス)を送出したときに、残りの(非励起)パッチ電極は、腹部パッチ68を基準とすることができ、これらの残りの電極に印加される電圧は、A/Dコンバータ82によって測定される。この方法で、表面パッチ電極は、駆動電極セットと非駆動電極セットとに分割される。ローパスフィルター84は、これらの電圧測定を処理することができる。フィルターに通された電圧測定結果は、アナログ/デジタルコンバータ82によってデジタルデータに変換され、ソフトウェアからの指令に従ってコンピュータ78に送信され格納される。電圧測定結果のこの集合体は、本明細書では「パッチデータ」と称される。ソフトウェアは、表面電極のそれぞれの対のそれぞれの励起においてそれぞれの表面電極のところで行ったそれぞれの個別の電圧測定結果にアクセスすることができる。
【0037】
パッチデータは、電極72のところで行われた測定の結果とともに使用されて、座標系14内の電極72の相対的配置を決定する。6個の直交する表面電極のそれぞれにおける電位は、特定の表面電極対が駆動されたとき(一実施形態において)を除きすべてのサンプルについて収集されうる。一実施形態では、表面電極が駆動対においてソースまたはシンクとして動作している間のサンプリングは、通常、回避されるが、それは、このときに駆動電極において測定された電位が電極インピーダンスと高い局所電流密度の効果とによって歪められる場合があるからである。しかし、一代替的実施形態では、サンプリングは、すべてのパッチで行われうる(これらが駆動されているとしても)。
【0038】
一般的に、一実施形態では、3つの公称的に直交する電界が、生物導体中のカテーテルの局在化関数を実現するために一連の駆動および感知電気的双極子によって生成される。あるいは、これらの直交する電界は、分解され、表面電極の対(例えば、非直交)が、双極子として駆動されて、効果的な電極三角測量を行うことができる。
【0039】
図3A〜3Dは、座標系14内のD
0、D
1、D
2、およびD
3と表される複数の例示的な非直交双極子の組を示している。
図3A〜3Dでは、X軸表面電極は、X
AおよびX
Bと表され、Y軸表面電極は、Y
AおよびY
Bと表され、Z軸電極は、Z
AおよびZ
Bと表される。望ましい軸について、所定の一組の駆動(ソース−シンク)構成から結果として得られる心臓内電極72上で測定された電位は代数的に結合されて、直交軸にそって均一な電流を単純に駆動することによって得られるのと同じ実効電位を発生することができる。表面電極56、58、60、62、64、66(
図2を参照)のうちの2つが、グランド基準、例えば、腹部パッチ68に関して双極子のソースおよびドレインとして選択されうるが、非励起の体表面電極では、グランド基準に関して電圧を測定する。心臓52に留置された測定電極72は、電流パルスからの電界にも曝され、グランド、例えば、腹部パッチ68に関して測定される。実際、心臓内のカテーテルまたは複数のカテーテルは、複数の電極を収容することができ、それぞれの電極電位は、別々に測定されうる。すでに述べているように、あるいは、少なくとも1つの電極を心臓の内面に固定して、固定基準電極76を形成することができ、これはグランドに関しても測定されうる。
【0040】
表面電極および内部電極のそれぞれからのデータセットはすべて、心臓52内の測定電極72の配置を決定するために使用される。電圧測定が行われた後、表面電極の異なる対は、電流源によって励起され、残りのパッチ電極および内部電極の電圧測定プロセスが実行される。このシーケンスは、高速に、例えば、一実施形態では1秒間に100回のオーダーで実行される。第1近似として、心臓内の電極にかかる電圧は、心臓内の電界を確立するパッチ電極間の位置と直線関係を有するが、これについては、上記の米国特許第7,263,397号明細書においてさらに詳しく説明されている。
【0041】
要約すると、
図2は、電流を注入し、その結果の電圧を感知するために使用することができる、7つの体表面電極(パッチ)を使用する例示的なシステムを示している。電流は、いつでも2つのパッチ間で駆動されうる。非駆動パッチと、例えば、グランド基準としての腹部パッチ68との間で測定を実行することができる。「パッチインピーダンス」とも称される、パッチバイオインピーダンスは、以下の式に従って計算されうる。
ここで、V
kは、パッチk上で測定された電圧であり、I
n→mは、パッチnとmとの間で駆動される一定電流として知られている。電極の位置は、パッチの異なる組の間に電流を流し、1つまたは複数のパッチインピーダンスを測定することによって決定されうる。一実施形態では、時分割多重は、関心の対象となっているすべての量を駆動し測定するために使用されうる。位置決定手順は、上述の米国特許第7,263,397号明細書および米国特許公開第2007/0060833号明細書、さらには他の参考文献においてより詳細に説明されている。
【0042】
「背景技術」で述べたように、電気インピーダンスベースのシステムは、人体内の電流に依存するため、座標系(つまり、人体内に発生する電界)は、不均質性、異方性を有し、正規直交しえない。システム50は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2008/0221643号明細書、名称「System and Method for Correction of Inhomogenous Fields」で説明されているように、不均質な電界の補正などの、そのような電界の不整合に対処する特徴を含みうる。
【0043】
磁界ベースのMPS。
図4は、システム88と表されている、蛍光透視法ベースの撮像環境におけるMPS16の例示的な磁界ベースの実施形態の模式図である。システム88は、位置および配向(P&O)読み取り値を決定するために磁気送信器アセンブリ(MTA)90および磁気処理コア92を備える。MTA90は、
図4の動きボックス94として表されている定義済みの三次元空間内の患者の胸腔内、およびその周りに磁界(複数可)を発生するように構成される。デュアルシステムデバイス24または別の医療デバイスに結合されている磁界センサーは、磁界(複数可)の1つまたは複数の特性を感知するように構成され、センサーは動きボックス94内にあるときに、それぞれ磁気処理コア92に供給される各信号を発生する。処理コア92はこれらの検出された信号に応答し、動きボックス94内のそれぞれの磁界センサーに対する各三次元位置および配向(P&O)読み取りを計算するように構成されている。したがって、MPSシステム88は、三次元空間内でのそれぞれの磁界センサーのリアルタイム追跡を可能にする。センサーの位置は、単なる例であるが、心臓モデルまたは幾何学的形状に関してディスプレイ96に表示されうる。
【0044】
図5は、MPS110として表されている、MPS16の別の例示的な磁界ベースの実施形態の概略ブロック図であり、これは参照により本明細書に組み込まれ、一部が以下に再現されている、米国特許第7,386,339号明細書にも説明されている。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,197,354号明細書および米国特許第6,233,476号明細書にも説明されているように、いくつかの変更形態が可能であることは理解されるであろう。
【0045】
MPSシステム110は、配置および配向プロセッサ150と、送信機インターフェース152と、複数のルックアップテーブルユニット154
1、154
2、および154
3と、複数のデジタル/アナログコンバータ(DAC)156
1、156
2、および156
3と、増幅器158と、送信機160と、複数のMPSセンサー162
1、162
2、162
3、および162
Nと、複数のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)164
1、164
2、164
3、および164
Nと、センサーインターフェース166とを備える。
【0046】
MPS110は、MPSセンサー162の位置決め(局在化)データ(つまり、位置および配向−P&O)を取得するように構成される。いくつかのセンサー162について、P&Oは、自由度5で、磁界送信機160に関する磁界内の各センサー162の位置(つまり、3本の軸X、Y、Zでの座標)および配向(つまり、方位角および仰角)として表すことができる。他のセンサー162について、P&Oは、自由度6で、位置(X、Y、およびZ)と配向(つまり、ロール、ピッチ、およびヨー)として表すことができる。P&Oは、制御された低強度のAC磁界の存在下にある間にセンサー162から受け取った信号を取り込み、処理することに基づくものとしてよい。したがって、センサー162は、それぞれ、1つまたは複数の磁界検出コイル(複数可)を備えることができ、コイルの個数、その幾何学的形状、空間関係、コアの有無、同様のことに関する変更形態も可能であることは理解されるであろう。電磁気的な観点から、すべてのセンサーは等しく作成され、電圧は、本明細書で企図されているように変化する磁界内に置かれているコイルに誘起される。したがって、センサー162は、これが配設されている磁界(複数可)の1つまたは複数の特性を検出し、そのP&Oを取得するためにさらに処理される、指示信号を生成するように構成される。センサーの一例として、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているSobeに交付された米国特許第7,197,354号明細書、名称「System for Determining the Position and Orientation of a Catheter」を参照のこと。
【0047】
送信機インターフェース152、DACユニット156、および送信器160は、制御された低強度のAC磁界を発生するために備えられている。MPSセンサー162、ADCユニット164、およびセンサーインターフェース166は、P&O決定に対する磁界の特性を示す信号を生成するために備えられている。送信器インターフェース152は、配置および配向プロセッサ150とルックアップテーブルユニット154
1、154
2、および154
3とに接続される。DACユニット156
1、156
2、および156
3は、ルックアップテーブルユニット154
1、154
2、および154
3の各1つと増幅器158とに接続される。増幅器158は、送信器160にさらに接続される。TXとも表される、送信器160は、動作環境の一部(例えば、ベッドまたは撮像装置)に結合されうる。MPSセンサー162
1、162
2、162
3、および162
Nは、RX
1、RX
2、RX
3、およびRX
Nとそれぞれさらに表されている。アナログ/デジタルコンバータ(ADC)164
1、164
2、164
3、および164
Nは、センサー162
1、162
2、162
3、および162
Nとセンサーインターフェース166とにそれぞれ接続される。センサーインターフェース166は、配置および配向プロセッサ150にさらに接続される。
【0048】
ルックアップテーブルユニット154
1、154
2、および154
3のそれぞれは、循環数列を生成し、各DACユニット156
1、156
2、および156
3にその数列を供給し、次いで、それを各アナログ信号に変換する。アナログ信号のそれぞれは、異なる空間軸に関するものである。本発明の例において、ルックアップテーブル154
1およびDACユニット156
1は、X軸に対する信号を生成し、ルックアップテーブル154
2およびDACユニット156
2は、Y軸に対する信号を生成し、ルックアップテーブル154
3およびDACユニット156
3は、Z軸に対する信号を生成する。
【0049】
DACユニット156
1、156
2、および156
3は、各アナログ信号を増幅器158に供給し、増幅して、増幅された信号を送信器160に供給する。送信器160は、多軸電磁界をもたらし、これはMPSセンサー162
1、162
2、162
3、および162
Nによって検出されうる。MPSセンサー162
1、162
2、162
3、および162
Nのそれぞれは電磁界を検出し、各電気的アナログ信号を生成し、それに接続されている各ADCユニット164
1、164
2、164
3、および164
Nに供給する。ADCユニット164
1、164
2、164
3、および164
Nのそれぞれは、それらに送られるアナログ信号を2値化し、それを数列に変換し、それをセンサーインターフェース166に供給し、次いで、それを配置および配向プロセッサ150に供給する。配置および配向プロセッサ150は、受け取った数列を解析し、それによってMPSセンサー162
1、162
2、162
3、および162
Nのそれぞれの配置および配向を決定する。配置および配向プロセッサ150は、歪み事象をさらに判定し、ルックアップテーブル154
1、154
2、および154
3をしかるべく更新する。MPS110がシステム10の一部として(例えば、MPS16として)実装されている一実施形態では、配置および配向プロセッサ150は、ECU28の一部として実装されうる。
【0050】
MPS110は、呼吸によって誘発されるものおよびその他の患者身体の動きを補償することができるが、これについては、米国特許出願第12/650,932号明細書、名称「Compensation of Motion in a Moving Organ Using an Internal Position Reference Sensor」において実質的に説明されており、その開示全体は参照により本明細書中に組み込まれている。MPSセンサー162のうちの1つは、そのような動き補償に対する患者の身体上に安定した位置基準を設けるように構成された患者基準センサー(PRS)であってよい。PRSは、患者の胸骨柄または別の場所に取り付けることができる。
【0051】
一実施形態において、MPS110は、患者の身体の外側に外部から貼り付けることができる、複数のECG電極(図示せず)を使用することで、心臓器官の電気的タイミング信号を連続的に検出するように構成された心電図(ECG)モニター(
図5には示されていない)も備えることができる。タイミング信号は、一般的に、とりわけ、心臓周期の特定の期に対応する。ECG信号は、すでに取り込まれている一連の画像のECG同期再生に使用されうる(シネループ)。ECGモニターおよびECG電極は、従来のコンポーネントを備えていてよい。
【0052】
組み合わされたシステム10。
図6は、方法200と表されている、測位システムを動作させる方法の流れ図である。方法200は、システム10の一実施形態を参照しつつ説明される。以下の実施形態では、MPS12は、電気インピーダンスベースの測位システムであり、MPS16は、磁界ベースの測位システムである。しかし、本明細書で説明されている方法は、他のシステム、他のMPSタイプ、およびこれらの他の組み合わせとの併用もありうることは理解されるであろう。本開示の前の部分と矛盾なく、nで始まる説明および座標記号は、電気インピーダンスベースの測位システムに関連付けられているが、gで始まる説明および座標記号は、磁界ベースの測位システムに関連付けられている。
【0053】
方法200は、第2のMPS16に関連付けられている第2の座標系18においてMPS12に関連付けられている座標系14を位置決めするように構成された補間関数を決定することによってステップ202から始まる。ステップ202は、2つのサブステップ204、206を含む。第1のサブステップ204は、物理的3D空間全体を通して三次元(3D)空間内の複数の基準対を収集することを伴う(すなわち、関心領域、典型的には患者の解剖学的関心領域)。両方の座標系14、18は、この物理的3D空間全体を通して定義されることは理解されるであろう。したがって、それぞれの基準対は、(1)(nX,nY,nZ)で表される、座標系14(MPS12によって測定される)で表される第1の座標と、(2)(gX,gY,gZ)で表される、座標系18(MPS16によって測定される)で表される第2の座標とを含む。基準対は、MPS12およびMPS16と互換性のある単一デバイス(例えば、デバイス24)を使用して収集されうる。収集は、ECU28の指令の下で実行されうる。収集された基準対は、ナビゲーション領域全体(つまり、関心の対象となる体積または関心領域)をカバーすることができる。基準対内の座標は、それぞれ、独立して、上で説明されているように、MPS12およびMPS16によって患者の身体の動きについて補償されうる。滑らかな補間関数を確実にするために、サブステップ204は、座標がすでに収集されている基準対に対応する別の物理的点から所定の最小距離(例えば、4ミリメートル)未満の物理的点に対応している基準対の座標を破棄することも伴いうる。退化対(つまり、単一のg座標に対する2つの異なるn座標、またはその逆)も破棄することができる。補間関数の曖昧さをなくすために、収集された基準対は、すべて同じ平面内にあってはならない(つまり、基準対は、3つの次元すべてにわたる関心領域内の物理的点を表さなければならない)。
【0054】
第2のサブステップ206は、補間アルゴリズムを収集された複数の基準対に適用して定義済みの補間関数をもたらすことを伴う。サブステップ206は、n座標系14がg座標系18内に位置合わせされる位置合わせステップと考えることもできる。一実施形態において、使用されている補間アルゴリズムは、薄板スプラインアルゴリズム(「アルゴリズム」)であるが、他の補間アルゴリズムを、方法200およびシステム10と併用することができる。薄板スプラインアルゴリズムの以下の説明では、基底関数rを使用しているが、他の基底関数も使用することができ、本発明の範囲および精神のうちに留まるものとしてよい。さらに、本明細書で説明されているようなアルゴリズムは、不均質な、非正規直交である電気インピーダンスベースの座標系を一般的に正規直交である磁界ベースの座標系と位置合わせすることを対象とするが、他のタイプの座標系の位置合わせも、このアルゴリズムおよび/または方法200で実行することができる。
【0055】
ECU28(例えば、位置合わせロジック34を介して)は、サブステップ204、206で処理関数を実行するように構成される。
【0056】
アルゴリズムは、サブステップ204で収集された基準対を入力として受け付け、それぞれの基準対は以下の2つの座標を有する。
ただし、下付添字i=1,...,Nは、基準対の番号であり、Nは、サブステップ204で収集された破棄されない基準対の総数である。一実施形態において、約200個の基準対で、幾何学的形状をうまく記述することができ、また定義済み補間関数をリアルタイムで確実に動作させることができ、したがってNは約200であってよい。基準対の数の変更も可能であり、これは当業者であれば理解するであろう。
【0057】
補間アルゴリズムの目標は、n座標系14全体をg座標系18全体に関係付ける連続マップを計算することである。薄板スプラインアルゴリズムにおいて、マップは、以下の一組の式(1)で記述されているようにn空間内の点(nX,nY,nZ)をg空間内の点(gX,gY,gZ)に関係付けるそれぞれの次元における関数によって表すことができる。
【0059】
基底関数は、放射基底関数の範囲から選択されうる。基底関数の厳密な形式は、スプラインの次元性に従って定義することができる(スプラインは、本明細書で説明されているアルゴリズムに対して三次元である)。使用されうる一組の放射基底関数は、以下の式(2)に記述されているようにユークリッド距離である。
【0061】
これは、以下の式(3)のように短い形式で表すことができる。
【0063】
上記の式の組(1)は、3N+12個の未知数に対する3N+12個の一次方程式系を表す。これは、式の組(1)内の3つの式のそれぞれにおける総和項は、N個の未知数を含み、合計3N個の未知数をもたらすからである。さらに、式の組(1)における3つの式のそれぞれは、各未知係数を持つ4つの追加の項を有し、これらの追加の項から生じる12個のさらなる未知数が得られる。したがって、方程式/未知数の総数は3N+12である。上記の関数(1)を適用するには、最初に3N+12個の係数について解く必要がある。
【0064】
未知係数について解くことは、平滑パラメータλを含むものとしてよく、これはマッピングされた解g(nX
i,nY
i,nZ
i)と測定された点(gX
i,gY
i,gZ
i)との近さを制御する。言い換えると、平滑パラメータλは、特定のn座標入力に基づき補間関数によって出力されるg座標が特定のn座標との基準対において測定されたg座標との差となりうる量を決定する。λがゼロに設定された場合、それぞれの測定されたn座標に対するマッピングされた解(つまり、補間関数の出力)は、そのn座標との基準対における測定されたg座標に等しく、したがって、すべての(nX
i,nY
i,nZ
i)についてg(nX
i,nY
i,nZ
i)=(gX
i,gY
i,gZ
i)である。λがゼロでない結果、基準対におけるノイズを含む測定結果のオーバーフィッティングを回避することによってより滑らかな解が得られる。λの値は、位置合わせ毎に、および/またはシステム毎に異なっていてよい。一般に、λは、測定された基準対を正確に反映することと、ノイズを含む測定結果をオーバーフィッティングすることを回避することとを適切に両立させるためルーチン実験を通じてゼロより大きい数とすることができる。λは、基準対の数に関する値を有するものとしてよい。例えば、一実施形態では、λには値0.025Nを代入することができるが、ただし、Nは、基準対の数である(例えば、N=200に対してはλ=5)。3N+12個の係数について解くために反復形式でλを実装し式(1)を設定することで以下の式の組(4)が得られる。
【0067】
式の組(1)と同様に、修正された式の組(4)は、3N+12個の未知数を含む3N+12個の式の組である。式(4)および(5)を解いて(例えば、位置合わせロジック34によって)、式の組(1)に対する3N+12個の未知係数を求めることができ、その値は係数40として格納することができる。式(4)および(5)を解くために、収集された基準対が使用される。式の組(4)は、未知係数:
について解くためのデータを必要とすることに留意されたい。基準対は、このデータを与えるが、ただし、それぞれの基準対は成分(nX
i,nY
i,nZ
i)および(gX
i,gY
i,gZ
i)を有し、下付添字i=1,...,Nは、基準対の番号であり、Nは、サブステップ204で収集された破棄されない基準対の総数であることに留意されたい。したがって、サブステップ206において、基準対のg座標は、式(4)の左辺で使用される。基準対のn座標は、総和項内、さらには式(5)についても、式(4)の右辺全体を通して使用される。この技法は、同じ数の未知数を持つ多数の方程式を解くアプローチ(例えば、ソフトウェアベースの)に十分なものであり、したがって、従来のアプローチは、未知係数に対する各値を決定するために使用されうる。
【0068】
上で説明されているように、収集された基準対は、式(4)の中の未知係数について解くために使用され、これらの係数は、式(1)で適用することができる−つまり、これは基準対の第1の目的である。基準対−またはより正確には、基準対における電気インピーダンスベースの座標−は、異なる第2の目的も有し、すなわち、以下で説明されるように、式(1)のリアルタイムの適用で連続使用するという目的である。したがって、基準対におけるn座標(つまり、電気インピーダンスベースのMPS12によってサブステップ204において測定される座標)は、リアルタイム動作において式(1)の総和部分で使用するため基準座標のデータ構造38内に格納される。
【0069】
係数40に対する知られている値により、さらに基準座標38(例えば、基準対から取ったn座標)の書き込まれている組によりここで定義されている式の組(1)は、サブステップ206(およびステップ202)の出力を表す、つまり補間関数g(nX,nY,nZ)である。
【0070】
補間関数が決定された後、これはステップ208、210に従ってリアルタイムデバイスの使用(例えば、ナビゲーション、データ収集など)時に(例えば、補間ロジック36によって)適用されうる。ステップ208は、MPS12(式の組(1)において(nX,nY,nZ)として示されている)とともに座標系14のリアルタイム座標を取得することを伴う。リアルタイム座標は、MPS12によって動き補償されうる。ステップ210は、補間関数に従って(例えば、補間ロジック36によって)座標系18内の対応するリアルタイム座標((gX,gY,gZ))を決定することを伴う。補間関数が、本明細書で説明されている薄板スプラインアルゴリズムの結果である場合、補間関数を適用するには、式(1)内の総和項の基底関数に対する入力として、基準座標38などの、座標系14の複数の基準座標を必要とする。式(1)の総和項を見るとわかるように、それぞれの次元における補間関数は、関数を確定する(つまり、係数について解く)ためにアルゴリズムによって使用されたような、同じ数Nの基準座標を必要とする。したがって、ステップ210は、補間関数を適用するためにNサイズの一組の基準座標38を呼び出すことを伴う。上で述べたように、基準座標は、サブステップ204で収集されたn座標(すなわち、基準対からの電気インピーダンスベースの座標)であるものとしてよい。それぞれの新しいリアルタイムn座標をg空間に関係付けるために、N個の基準座標の各々(すなわち、サブステップ204で収集されたそれぞれの破棄されない電気インピーダンスベースの座標)は、それぞれの次元において、式(1)の総和項によって使用される。
【0071】
ステップ208、210は、MPS12からの複数の医療デバイス上の複数の電気インピーダンスベースのセンサーからの位置データに関して連続的に反復することができる。ステップ208、210を反復することによって、MPS12は、座標系18内で実質的にリアルタイムに動作させることができる。
【0072】
方法200のステップは、医学的手技の異なる段階に一時的に分散させることができる。ステップ202(サブステップ204、206を含む)は、予備的な位置合わせ段階において実行されうる。ステップ208、210は、例えば、その後治療または他の段階において実行することもできる。言い換えると、サブステップ204、206は、治療または他の手技に関してリアルタイムでないと考えることができるが、ステップ208、210は、治療または他の手技において実質的にリアルタイムで実行されうる。
【0073】
方法200により測位システムを動作させることには、多くの利点がある。「背景技術」の項において述べたように、電気インピーダンスベースのMPSの座標系は、不均質性、異方性を有し、正規直交でないものとしてよい。これらの特性がある結果、例えば、幾何学的形状が歪む可能性がある。しかし、電気インピーダンスベースのMPSは、一般的に、同時に複数のデバイス上の比較的多数のセンサーを追跡する機能を備える。対照的に、磁界ベースのMPSの座標系は、一般的に正規直交で均質であるが、そのような磁界ベースのMPSは、比較的少ない数のセンサーの追跡に制限されることがある。磁界ベースのMPSの座標系において電気インピーダンスベースのMPSの座標系を位置合わせすることが可能であるため、方法200は、欠点を最小限度に抑えつつ両方のタイプの測位システムを活かすことができる−均質な正規直交座標系において複数のデバイス上の比較的多数のセンサーを追跡することができる。
【0074】
いくつかの実施形態について上で説明されているような電子制御装置またはECUは、すべて本明細書で説明されている機能に従って実行する関連付けられているメモリ内に格納されている事前にプログラムされた命令を実行することができる、当技術分野で知られている従来の処理装置を含みうることは理解されるであろう。本明細書で説明されている方法がソフトウェアで具現化される限りにおいて、結果のソフトウェアは、関連付けられているメモリ内に格納することができ、そのように記述されている場合には、そのような方法を実行するための手段を構成するものとしてもよい。本発明のいくつかの実施形態の実装は、ソフトウェアでそうされる場合、前記の可能にする説明に照らして、当業者によるプログラミング技能の日常的な利用以上のものを必要としない。さらに、そのような電子制御装置またはECUは、ソフトウェアを格納できるようにROM、RAMの両方、不揮発性と揮発性(修正可能)のメモリの組み合わせを有するタイプであってよく、それでも、動的に生成されるデータおよび/または信号の格納および処理を可能にする。
【0075】
本明細書で説明されているシステムおよび方法は、位置合わせプロセスおよびその結果得られる補間関数の精度を補償するためテストすることができる。例えば、互いの物理的関係が知られている(すなわち、センサー間の距離が知られている)複数のセンサー(例えば、電極)を有する医療デバイスは、非正規直交座標系を有するMPSに結合することができる。センサー間の距離は、例えば、医療デバイス製品のカタログから得られる。複数のセンサーからの位置読み取り値を補間関数に入力することができ、各正規直交座標系の出力間の距離を電極間の知られている距離と比較することができる(例えば、ECU28によって実行されるロジックによって)。それに加えて、または代替的に、基準対を収集するために使用されるデバイスと似たセンサー特性を有する医療デバイス(つまり、第2のデュアルシステム医療デバイス)は、同じ結果が確実に得られるようにマッピングされた空間内に掃引させることができる。
【0076】
本明細書で説明されている座標系の位置合わせおよびその結果の補間関数は、補間関数の連続的精度を保証するために医学的手技において更新されうる。例えば、電気インピーダンスベースの座標系は、患者の生体インピーダンスの変化により医学的手技においてドリフトを生じることがある。このような生体インピーダンスの変化は、例えば、食塩液または他の水和滴による細胞化学の変化、脱水、または体温の変化の結果生じうる。インピーダンスドリフトの影響を弱めるため、ステップ202(サブステップ204、206を含む)を反復し−つまり、基準対の新しい組を収集し、補間関数を再決定し−電気インピーダンスベースの座標系と磁界ベースの座標系との間の位置合わせを更新することができる。
以下の項目は、出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
測位システムを動作させる方法であって、
第1の非正規直交座標系を第2の正規直交座標系内で位置合わせするように構成されている補間関数を決定するステップであって、前記第1および第2の座標系は独立している、ステップと、
前記第1の座標系内の第1の座標を取得するステップと、
前記補間関数に従って前記第2の座標系内の対応する第2の座標を決定するステップと、を含む、方法。
(項目2)
補間関数を決定する前記ステップは、
三次元(3D)空間内の複数の基準対を収集するステップであって、それぞれの基準対は(1)第1の測位システムによって測定された前記第1の座標系内の第1の座標と、(2)第2の測位システムによって測定された前記第2の座標系内の第2の座標とを備え、それぞれの基準対は3D空間内の物理的点に対応する、サブステップと、
薄板スプラインアルゴリズムを前記複数の基準対に適用して前記補間関数をもたらすサブステップと、を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記薄板スプラインアルゴリズムは、ユークリッド距離の基底関数を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記薄板スプラインアルゴリズムは、得られた第1の座標に対応する前記補間関数に従って決定された第2の座標と前記得られた第1の座標に相当する測定された第1の座標を持つ基準対における測定された第2の座標との差となりうる量に対応する平滑パラメータを含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記収集ステップは、最も近い基準点までの距離が所定の最小距離より小さい場合に基準対を破棄することを含む、項目2に記載の方法。
(項目6)
前記所定の最小距離は、少なくとも4ミリメートルである、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記第1の測位システムは、電気インピーダンスベースの測位システムであり、前記第2の測位システムは、磁界ベースの測位システムである、項目2に記載の方法。
(項目8)
前記収集ステップは、前記第1および第2の測位システムの両方によって測定される位置を有するように構成された医療デバイスの使用を含む、項目2に記載の方法。
(項目9)
前記第1の座標は、患者の身体の移動に対して補償される、項目2に記載の方法。
(項目10)
前記取得ステップは、前記第1の非正規直交座標系内の患者の身体の移動に対して補償することを含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
第1の座標系内のリアルタイムの第1の座標を第2の座標系内に関係付ける方法であって、
入力として前記リアルタイムの第1の座標を受け取り、前記第2の座標系内の対応する第2の座標を出力するように構成された補間関数を確立するステップであって、前記確立するステップは
三次元(3D)空間内の複数の基準対を収集するステップであって、それぞれの基準対は(1)前記第1の座標系内のリアルタイムでない第1の座標と、(2)前記第2の座標系内のリアルタイムでない第2の座標とを含む、ステップと、
補間アルゴリズムを前記複数の基準対に適用するステップとを含む、ステップと、
前記補間関数を前記リアルタイムの第1の座標に適用するステップと、を含む、方法。
(項目12)
前記補間アルゴリズムは、薄板スプラインアルゴリズムである、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記薄板スプラインアルゴリズムは、非ゼロの平滑パラメータを含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
医療デバイスの位置を決定するためのシステムであって、
電子制御ユニット(ECU)と、
前記ECUに結合されたコンピュータ可読メモリと、
前記ECUによって実行されるように構成された前記メモリ内に格納されるロジックであって、前記ロジックは、補間関数を確立し、前記補間関数を第1の非正規直交座標系内の第1の座標に適用して、第2の正規直交座標系内の対応する第2の座標を決定するように構成される、ロジックと、を備える、システム。
(項目15)
前記ロジックは、薄板スプラインアルゴリズムを複数の基準対に適用して前記補間関数をもたらすことによって前記補間関数を決定するように構成され、それぞれの基準対は(1)第1の測位システムによって測定された前記第1の座標系内の第1の座標と、(2)第2の測位システムによって測定された前記第2の座標系内の第2の座標とを備え、それぞれの基準対は三次元(3D)空間内の物理的点に対応する、項目14に記載のシステム。
(項目16)
前記ロジックは、前記薄板スプラインアルゴリズムを基準対に適用するように構成され、前記基準対は(1)前記第1の測位システムによって患者の身体の移動に関して補償される、前記第1の座標系内の前記第1の座標と、(2)前記第2の測位システムによって患者の身体の移動に関して補償される、前記第2の座標系内の前記第2の座標とを含む、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記ロジックは、前記補間関数で使用するため前記複数の基準対のそれぞれの第1の座標を含む基準座標を前記メモリ内に格納するようにさらに構成される、項目15に記載のシステム。
(項目18)
前記第1の非正規直交座標系内の第1の位置を示す第1の信号を出力するように構成された第1のセンサーおよび前記第2の正規直交座標系内の第2の位置を示す第2の信号を出力するように構成された第2のセンサーを備える医療デバイスをさらに具備する、項目14に記載のシステム。
(項目19)
前記第1のセンサーおよび前記第2のセンサーは、互いに知られている物理的関係で前記医療デバイス上に固定される、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記医療デバイスは、第1の医療デバイスであり、前記ロジックは、薄板スプラインアルゴリズムを前記第1の医療デバイスで収集された複数の基準対に適用することによって前記補間関数を確立するように構成され、
前記システムは、
前記第1の非正規直交座標系内の第1の位置を示す第1の信号を出力するように構成された第1のセンサーおよび前記第2の正規直交座標系内の第2の位置を示す第2の信号を出力するように構成された第2のセンサーを備える第2の医療デバイスをさらに備え、
前記ロジックは、前記第2の医療デバイスからの前記第1および第2の信号に従って前記補間関数をテストするように構成される、項目18に記載のシステム。
(項目21)
前記第1の非正規直交座標系に関連付けられている前記第1の測位システムをさらに備える、項目14に記載のシステム。
(項目22)
前記第2の正規直交座標系に関連付けられている前記第2の測位システムをさらに備える、項目14に記載のシステム。