特許第6227687号(P6227687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許62276871−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む共沸混合物様の組成物
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  • 特許6227687-1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む共沸混合物様の組成物 図000015
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227687
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む共沸混合物様の組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20171030BHJP
   C11D 7/30 20060101ALI20171030BHJP
   C09K 3/30 20060101ALI20171030BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   C09K5/04 CZAB
   C09K5/04 F
   C11D7/30
   C09K3/30 J
   C09K3/00 111B
【請求項の数】62
【外国語出願】
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2016-35661(P2016-35661)
(22)【出願日】2016年2月26日
(62)【分割の表示】特願2013-540093(P2013-540093)の分割
【原出願日】2011年11月20日
(65)【公開番号】特開2016-153493(P2016-153493A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2016年3月2日
(31)【優先権主張番号】61/415,670
(32)【優先日】2010年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/296,664
(32)【優先日】2011年11月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ハルス,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ラジヴ・アール
(72)【発明者】
【氏名】ファム,ハン・ティー
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−522820(JP,A)
【文献】 特表2010−522817(JP,A)
【文献】 特表2011−504538(JP,A)
【文献】 特表2011−510119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/00、
C09K3/20−5/20、
C10M101/00−177/00、
C11D1/00−19/00、
C07B31/00−63/04、
C07C1/00−409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス−HFO−1233zd)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランス−HFO−1234ze)から実質的に構成される二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む組成物。
【請求項2】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、80〜99.9重量%のトランス−HFO−1234ze及び0.1〜20重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、83〜99.9重量%のトランス−HFO−1234ze及び0.1〜17重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、97〜99.7重量%のトランス−HFO−1234ze及び0.3〜3重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、雰囲気圧力において−18.5±1℃の沸点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
潤滑剤、安定剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、可燃性抑制剤、共発泡剤、共溶媒、活性成分、噴霧される材料、溶媒、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種類の更なる成分を更に含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
1000未満の地球温暖化係数(GWP)を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
500未満の地球温暖化係数(GWP)を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
150未満の地球温暖化係数(GWP)を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む冷媒を含む熱伝達組成物。
【請求項11】
冷媒が少なくとも50重量%の請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む、請求項10に記載の熱伝達組成物。
【請求項12】
冷媒が少なくとも70重量%の請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む、請求項10に記載の熱伝達組成物。
【請求項13】
前記熱伝達組成物が、ジフルオロメタン(HFC−32)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、水またはCOの1以上をさらに含む、請求項10〜12のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【請求項14】
冷媒が請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物から実質的に構成される、請求項10に記載の熱伝達組成物。
【請求項15】
組成物がポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、PAG油、シリコーン油、鉱油、アルキルベンゼン及びポリ(α−オレフィン)から選ばれる潤滑剤をさらに含む、請求項10〜14のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【請求項16】
潤滑剤が熱伝達組成物の30〜50重量%の量で提供される、請求項15に記載の熱伝達組成物。
【請求項17】
熱伝達組成物がASTM−E−681によって測定して空気中ですべての割合において不燃性である、請求項10〜16のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【請求項18】
空調機、電気冷蔵庫、チラー(遠心圧縮機を用いるチラーを含む)、輸送冷却システム、自動車用空調システム及び装置、商業用冷却システム及び装置、住宅用冷蔵庫及び冷凍庫、一般的な空調システム、及びヒートポンプにおいて使用するための請求項10〜17のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【請求項19】
HFC−134a、CFC−12、HCFC−22、HFC−152a、R−404A、R−407C、R−410A、R−500、R−507A、R−407A又はR−407Dから選ばれる冷媒用に設計されている冷却システムにおける代替冷媒としての、請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む冷媒の使用。
【請求項20】
冷却システムの能力が、冷媒の代替前の冷却システムの少なくとも95%の能力である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む溶媒組成物。
【請求項22】
蒸気脱脂、冷間洗浄又は拭取の方法において用いるための請求項21に記載の溶媒組成物。
【請求項23】
洗浄組成物である請求項21または22に記載の溶媒組成物。
【請求項24】
エアゾールである請求項21〜23のいずれかに記載の溶媒組成物。
【請求項25】
請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む噴霧可能な組成物。
【請求項26】
噴霧される材料、並びに場合によっては不活性成分及び/又は溶媒及び/又は他のエアゾール噴射剤を含む請求項25に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項27】
噴霧される材料が、脱臭剤、香水、ヘアスプレーのような化粧材料、洗浄溶媒、潤滑剤、殺虫剤、抗ぜんそく薬、鎮痛剤、生物活性物質のような医薬材料から選ばれる、請求項26に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項28】
請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含むスプレー式の洗浄剤。
【請求項29】
請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む、喘息や他の慢性閉塞性肺疾患の治療において使用されるための計量式吸入器。
【請求項30】
請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む発泡剤。
【請求項31】
5重量%の請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む請求項30に記載の発泡剤。
【請求項32】
15重量%の請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む請求項30に記載の発泡剤。
【請求項33】
50重量%の請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む請求項30に記載の発泡剤。
【請求項34】
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)のようなヒドロフルオロカーボン、プロパン、ブタン、イソブタン、シクロペンタンのような炭化水素、二酸化炭素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、及びこれらの混合物の1以上をさらに含む請求項30〜33のいずれかに記載の発泡剤。
【請求項35】
請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む発泡性組成物。
【請求項36】
請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含むポリオールプレミックス組成物。
【請求項37】
熱可塑性ポリマーを含む気泡壁、及び請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む気泡ガスを有する熱可塑性フォーム。
【請求項38】
フォームが独立気泡フォームである、請求項37に記載のフォーム。
【請求項39】
熱可塑性ポリマーが、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、又はポリエチレンテレフタレートから選ばれる、請求項37又は38に記載のフォーム。
【請求項40】
押出熱可塑性フォームとしての請求項37に記載のフォーム。
【請求項41】
熱可塑性ポリマーが、ポリスチレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、又はエチレン酢酸ビニルである、請求項40に記載の押出熱可塑性フォーム。
【請求項42】
熱硬化性ポリマーを含む気泡壁、及び請求項1〜5のいずれかに記載の二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む気泡ガスを有する熱硬化性フォーム。
【請求項43】
フォームが独立気泡フォームである、請求項42に記載のフォーム。
【請求項44】
熱硬化性ポリマーが、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、又はエポキシ樹脂から選ばれる、請求項42又は43に記載のフォーム。
【請求項45】
トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス−HFO−1233zd)、並びに2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)又はトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランス−HFO−1234ze)から実質的に構成される二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む、潤滑油中における冷媒の溶解度を高めるオイルリターン剤。
【請求項46】
潤滑油がポリアルキレングリコールである、請求項45に記載のオイルリターン剤。
【請求項47】
潤滑油が鉱油である、請求項45に記載のオイルリターン剤。
【請求項48】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、78.3〜99.7重量%のHFO−1234yf及び0.3〜21.7重量%のトランス−HFO−1233zdから構成される、請求項45〜47のいずれかに記載のオイルリターン剤。
【請求項49】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、85〜99.7重量%のHFO−1234yf及び0.3〜15重量%のトランス−HFO−1233zdから構成される、請求項45〜47のいずれかに記載のオイルリターン剤。
【請求項50】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、90〜99.7重量%のHFO−1234yf及び0.3〜10重量%のトランス−HFO−1233zdから構成される、請求項45〜47のいずれかに記載のオイルリターン剤。
【請求項51】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、80〜99.9重量%のトランス−HFO−1234ze及び0.1〜20重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、請求項45〜47のいずれかに記載のオイルリターン剤。
【請求項52】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、83〜99.9重量%のトランス−HFO−1234ze及び0.1〜17重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、請求項45〜47のいずれかに記載のオイルリターン剤。
【請求項53】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、97〜99.7重量%のトランス−HFO−1234ze及び0.3〜3重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、請求項45〜47のいずれかに記載のオイルリターン剤。
【請求項54】
トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス−HFO−1233zd)、並びに2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)又はトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランス−HFO−1234ze)から実質的に構成される二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む組成物を使用することを含む、冷却システムにおけるオイルリターンを改善する方法。
【請求項55】
冷却システムがポリアルキレングリコールを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
冷却システムが鉱油を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、78.3〜99.7重量%のHFO−1234yf及び0.3〜21.7重量%のトランス−HFO−1233zdから構成される、請求項54〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、85〜99.7重量%のHFO−1234yf及び0.3〜15重量%のトランス−HFO−1233zdから構成される、請求項54〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、90〜99.7重量%のHFO−1234yf及び0.3〜10重量%のトランス−HFO−1233zdから構成される、請求項54〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、80〜99.9重量%のトランス−HFO−1234ze及び0.1〜20重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、請求項54〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、83〜99.9重量%のトランス−HFO−1234ze及び0.1〜17重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、請求項54〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、97〜99.7重量%のトランス−HFO−1234ze及び0.3〜3重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、請求項54〜56のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年11月19日出願の米国仮出願61/415,670(その内容を参照として本明細書中に包含する)に関連し、その優先権の利益を主張する。
本発明は、概して1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む組成物に関する。より具体的には、本発明は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む共沸混合物様の組成物、及びその使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、及びヒドロフルオロオレフィン(HFO)などのフルオロカーボンをベースとする流体は、工業用冷媒、発泡剤、熱伝達媒体、溶媒、気体状誘電体、及び他の用途において望ましい特性を有する。これらの用途のためには、単一成分の流体、又は共沸混合物様の混合物、即ち沸騰及び蒸発によって実質的に分別されないものを使用することが特に望ましい。また、熱伝達流体、発泡剤、噴射剤、溶媒、及びエアゾールなどに関連する多くの用途においては、可能性のある代替物はまた、好ましくは、とりわけ、優れた機能特性(例えば、熱伝達組成物の場合においては熱伝達特性)、化学的安定性、低毒性又は非毒性、低燃焼性又は不燃性、及び/又は潤滑剤相溶性のような、殆どの広く用いられている流体の多くにおいて存在する特性も有することが重要であるとも考えられている。
【0003】
残念なことに、地球温暖化及びオゾン層破壊のような懸念される環境上の問題、並びに所望のものよりも高い可燃性レベルのような他の可能性のある問題は、これらの流体の幾つかの使用に帰因するものであり、これにより現在はそれらの使用が制限されている。ヒドロフルオロオレフィン(HFO)は、CFC、HCFC、及びHFCなどに対する可能性のある代替物として提案されている。しかしながら、HFOを含む新規な環境に優しい非分別性の混合物を確認することは、共沸混合物の形成が容易に予測できないという事実のために複雑である。したがって、産業界は、CFC、HCFC、HFC、及び幾つかのHFO、並びにこれらの混合物に対する許容でき且つ環境により優しい代替物である新規なHFOベースの混合物を継続的に探し求めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記に記載の必要性又は他の必要性の1以上を満足する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願人らは、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(「1233zd」)、更により好ましくはトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(「トランス−HFO−1233zd又は1233zd(E)」)、並びに2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランス−HFO−1234ze)からなる群から選択される第2の成分を含み、好ましくはこれらから実質的に構成され、更により好ましくはこれらから構成される共沸混合物及び共沸混合物様の組成物を見出した。本発明の好ましい共沸混合物及び共沸混合物様の混合物は、冷媒、断熱フォームの製造における発泡剤、及び数多くの洗浄及び他の用途における溶媒、噴射剤、エアゾール、並びに噴射剤及び/又は他の噴霧可能な組成物中で噴霧することができる材料などとしての数多くの用途のためにこれらを特に望ましくする特性を示す。冷却に関しては、本組成物は、具体的には自動車用空調などの可動型空調、冷凍機、定置型冷却において特に有用である。
【0006】
本発明の一形態によれば、本出願人は、これらの組成物は、好ましくは約1000未満、より好ましくは約500未満、より好ましくは約150未満、更により好ましくは約75未満の比較的低い地球温暖化係数(GWP)を示す傾向があることを認識した。
【0007】
本発明の一形態は、(a)1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、並びに2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランス−HFO−1234ze)からなる群から選択される第2の成分から実質的に構成される二元の共沸混合物様の混合物;並びに(b)共発泡剤、共溶媒、活性成分、噴霧する材料、並びに潤滑剤、安定剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、及び可燃性抑制剤のような添加剤から選択される少なくとも1種類以上の助剤;を含む組成物を包含する。
【0008】
本発明の他の形態は、上記に記載の共沸混合物様の混合物を含む、蒸気脱脂、冷間洗浄、拭取、及び同様の溶媒用途において用いるための溶媒を提供する。本発明の他の形態によれば、本組成物は、組成物を、向上したオイルリターン特性を有する冷媒として、及び/又は冷却システム/方法において用いる潤滑油中における他の冷媒の溶解度を高めるオイルリターン剤として用いる冷却システム、組成物、及び方法に関して有用である。本発明のこの形態の一態様によれば、冷媒システムにおいて用いる潤滑剤は、好ましくは、ポリアルキレングリコール潤滑剤を含み、幾つかの態様においてはこれから実質的に構成される。本組成物はまた、鉱油を単独か又は他の潤滑成分と一緒に含む潤滑剤を含む冷媒システムに関連して有利性を有する。
【0009】
本発明の他の形態は、本明細書に記載する共沸混合物様の混合物、活性成分及び/又は噴霧若しくは塗布する材料、並びに場合によっては不活性成分及び/又は溶媒及び/又は他のエアゾール噴射剤を含む噴霧可能な組成物を提供する。
【0010】
本発明の更に他の形態は、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、又はフェノールベースの気泡壁、及び気泡壁構造の少なくとも一部の内部に配置されている気泡ガスを含み、気泡ガスは本明細書に記載の共沸混合物様の混合物を含む独立気泡フォームを提供する。
【0011】
他の態様によれば、本明細書に記載の共沸混合物様の混合物を含むポリオールプレミックスが提供される。
他の態様によれば、本明細書に記載の共沸混合物様の混合物を含む発泡性組成物が提供される。
【0012】
他の態様によれば、(a)請求項1に記載の共沸混合物様の組成物を含む発泡剤を、熱硬化性樹脂を含む発泡性混合物に加え;(b)かかる発泡性混合物を反応させて熱硬化性フォームを生成させ;そして(c)かかる反応中にかかる共沸混合物様の組成物を揮発させる;ことを含む熱硬化性フォームの製造方法が提供される。
【0013】
他の態様によれば、(a)請求項1に記載の共沸混合物様の組成物を含む発泡剤を、熱可塑性樹脂を含む発泡性混合物に加え;(b)かかる発泡性混合物を反応させて熱可塑性フォームを生成させ;そして(c)かかる反応中にかかる共沸混合物様の組成物を揮発させる;ことを含む熱可塑性フォームの製造方法が提供される。
【0014】
他の態様によれば、熱可塑性ポリマーを含む気泡壁、及び本明細書に記載の共沸混合物様の混合物を含む気泡ガスを有する熱可塑性フォームが提供される。好ましくは、熱可塑性フォームは、本明細書に記載の共沸混合物様の混合物を有する気泡ガスを含み、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート
、又はこれらの組み合わせから選択される熱可塑性ポリマーで構成される気泡壁を有する。
【0015】
他の態様によれば、熱硬化性ポリマーを含む気泡壁、及び本明細書に記載の共沸混合物様の混合物を含む気泡ガスを有する熱硬化性フォームが提供される。好ましくは、熱硬化性フォームは、本明細書に記載の共沸混合物様の混合物を有する気泡ガス、及びポリウレタン、ポリイソシアヌレート、フェノール、エポキシ、又はこれらの組み合わせから選択される熱硬化性ポリマーを含む気泡壁を含む。
【0016】
本発明の他の態様によれば、本明細書に記載の共沸混合物様の混合物を含む冷媒が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の共沸性化合物の発泡剤機能性を試験するために用いた試験装置の図解を与える。
【発明を実施するための形態】
【0018】
幾つかの態様によれば、本発明は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(「1233zd」)、更により好ましくはトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(「トランス−HFO−1233zd又は1233zd(E)」)、並びに2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランス−HFO−1234ze)からなる群から選択される第2の成分を含み、好ましくはこれらから実質的に構成され、更により好ましくはこれらから構成される共沸混合物様の組成物を提供する。而して、本発明は、好ましい態様においてはCFC、HCFC、及びHFCを実質的に含まず、非常に低い地球温暖化係数、低いオゾン層破壊係数、及び/又はゼロか又は軽度の可燃性を有し、比較的一定の沸点特性を示す共沸混合物様の組成物を提供することによって上記記載の欠点を克服する。
【0019】
本明細書において用いる「軽度の可燃性」という用語は、2010年のASHRAE標準規格34(参照として本明細書中に包含する)にしたがって2Lであると分類される化合物又は組成物を指す。
【0020】
本明細書において用いる「共沸混合物様」という用語は、厳密に共沸性であるか、又は概して共沸性混合物のように挙動する組成物を指す。共沸性混合物は、液体の組成と蒸気の組成が所定の圧力及び温度において等しい2以上の成分の系である。実際面では、これは共沸性混合物の成分が、一定の沸点を有するか又は実質的に一定の沸点を有し、一般に相変化中に熱力学的に分離することができないことを意味する。共沸性混合物の沸騰又は蒸発によって形成される蒸気の組成は、元の液体の組成と同一であるか又は実質的に同一である。而して、共沸混合物様の組成物の液相及び蒸気相中の成分の濃度は、組成物を沸騰させるか又は他の形態で蒸発させるにつれて、あったとしても最小にしか変化しない。これに対して、非共沸性混合物を沸騰又は蒸発させると、液相中の成分濃度が相当な程度まで変化する。
【0021】
共沸混合物様の組成物の成分に関して本明細書において用いる「実質的に構成される」という用語は、組成物が、示される成分を共沸混合物様の比で含み、更なる成分が新しい共沸混合物様の系を形成しないならば更なる成分を含んでいてもよいことを意味する。例えば、2種類の化合物から実質的に構成される共沸混合物様の混合物は、更なる成分が混合物を非共沸性にせず、且つ化合物のいずれか又は両方と共沸混合物を形成しないならば場合によっては1以上の更なる成分を含んでいてもよい二元の共沸混合物を形成するもの
である。
【0022】
本明細書において用いる「有効量」という用語は、他の成分と組み合わせることによって本発明の共沸混合物様の組成物を形成するそれぞれの成分の量を指す。
他に特定しない限りにおいて、1233zdという用語は、シス異性体、トランス異性体、又はその幾つかの混合物を意味する。
【0023】
共沸混合物様の混合物の成分に関して本明細書において用いるシス−1233zdという用語は、共沸混合物様の組成物中の1233zdの全ての異性体に対するシス−1233zdの量が、少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%、更により好ましくは少なくとも約99%、更により好ましくは少なくとも約99.9%であることを意味する。幾つかの好ましい態様においては、本発明の共沸混合物様の組成物中のシス−1233zd成分は、実質的に純粋なシス−1233zdである。
【0024】
共沸混合物様の混合物の成分に関して本明細書において用いるトランス−1233zdという用語は、共沸混合物様の組成物中の1233zdの全ての異性体に対するトランス−1233zdの量が、少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%、更により好ましくは少なくとも約99%、更により好ましくは少なくとも約99.9%であることを意味する。幾つかの好ましい態様においては、本発明の共沸混合物様の組成物中のトランス−1233zd成分は、実質的に純粋なトランス−1233zdである。
【0025】
HFO−1234zeという用語は、本明細書においては、それがシス又はトランス形態であるかどうかに関係なく1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを総称的に指すように用いる。「シス−HFO−1234ze」及び「トランス−HFO−1234ze」という用語は、本明細書においては、それぞれ1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのシス及びトランス形態を示すように用いる。したがって、「HFO−1234ze」という用語は、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、並びにこれらの全ての組み合わせ及び混合物をその範囲内に含む。
【0026】
共沸混合物様の混合物の成分に関して本明細書において用いるトランス−HFO−1234zeという用語は、共沸混合物様の組成物中のトランス−HFO−1234zeの全ての異性体に対するトランス−HFO−1234zeの量が、少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%、更により好ましくは少なくとも約99%、更により好ましくは少なくとも約99.9%であることを意味する。幾つかの好ましい態様においては、本発明の共沸混合物様の組成物中のトランス−HFO−1234ze成分は、実質的に純粋なトランス−HFO−1234zeである。
【0027】
沸点データに関して本明細書において用いる「雰囲気圧力」という用語は、関係する媒体の周囲の雰囲気圧力を意味する。一般に、雰囲気圧力は14.7psiaであるが、±0.5psi変化してよい。
【0028】
本発明の共沸混合物様の組成物は、有効量の1233zdを、好ましくは流体形態の1以上の他の成分と混合することによって製造することができる。2以上の成分を混合して組成物を形成するための当該技術において公知の任意の広範囲の方法を、本方法において用いるように適合させることができる。例えば、1233zd及びトランス−HFO−1234zeを、手作業及び/又は機械によって、バッチ又は連続反応及び/又はプロセスの一部として、或いは2以上のかかる工程の組合せによって、混合、ブレンド、又は他の形態で配合することができる。本明細書における開示事項を考慮すれば、当業者は、過度の実験を行うことなく本発明による共沸混合物様の組成物を容易に製造することができるであろう。
【0029】
CFCCl=CHのようなフルオロプロペンは、米国特許2,889,379;4,798,818;及び4,465,786(これらのそれぞれを参照として本明細書中に包含する)に記載されている方法などの、種々の飽和及び不飽和ハロゲン含有C化合物の接触蒸気相フッ素化のような公知の方法によって製造することができる。
【0030】
EP−974,571(これも参照として本明細書中に包含する)においては、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)を、蒸気相中、昇温温度においてクロムベースの触媒と、或いは液相中においてKOH、NaOH、Ca(OH)、又はMg(OH)のアルコール溶液と接触させることによる1,1,1,3−クロロトリフルオロプロペンの製造が開示されている。最終生成物は、約90重量%のトランス異性体及び10重量%のシスである。好ましくは、シス異性体をトランス形態から実質的に分離して、得られる好ましい形態の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンがシス異性体により富むようにする。シス異性体は、約20℃のトランス異性体の沸点に対比して約40℃の沸点を有しているので、当該技術において公知の任意の回数の蒸留方法によって2つを容易に分離することができる。しかしながら、好ましい方法はバッチ蒸留である。この方法によれば、シス及びトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの混合物をリボイラーに充填する。トランス異性体が塔頂流中に取り出され、シス異性体はリボイラー中に残留する。蒸留はまた、トランス異性体を塔頂流中に取り出し、シス異性体を塔底流中に取り出す連続蒸留で運転することもできる。この蒸留プロセスによって、純度が約99.9+%のトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン及び99.9+%のシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを得ることができる。
【0031】
トランス−1233zd/トランス−HFO−1234zeの共沸混合物様の組成物:
好ましい態様においては、共沸混合物様の組成物は有効量のトランス−1233zd及びトランス−1233zdを含む。より好ましくは、これらの二元の共沸混合物様の組成物は、約80〜約99.9重量%のトランス−HFO−1234ze及び約0.1〜約20重量%のトランス−1233zd、より好ましくは約83〜約99.9重量%のトランス−HFO−1234ze及び約0.1〜約17重量%のトランス−1233zd、更により好ましくは約97〜約99.7重量%のトランス−HFO−1234ze及び約0.3〜約3重量%のトランス−1233zdから実質的に構成される。
【0032】
好ましくは、本発明のトランス−1233zd/トランス−HFO−1234zeの組成物は、本明細書において定義する雰囲気圧力において約−18.5±1℃の沸点を有する。
【0033】
トランス−1233zd/HFO−1234yfの共沸混合物様の組成物:
好ましい態様においては、共沸混合物様の組成物は有効量のトランス−1233zd及びHFO−1234yfを含む。より好ましくは、これらの二元の共沸混合物様の組成物は、約75〜約99.9重量%のHFO−1234yf及び約0.1〜約25重量%のトランス−1233zd、より好ましくは約85〜約99.9重量%のHFO−1234yf及び約0.1〜約15重量%のトランス−1233zd、更により好ましくは約90〜約99.9重量%のHFO−1234yf及び約0.1〜約10重量%のトランス−1233zdから実質的に構成される。
【0034】
好ましくは、本発明のトランス−1233zd/HFO−1234yfの組成物は、本明細書において定義する雰囲気圧力において約−28.5±1℃の沸点を有する。
本発明の共沸混合物様の組成物には、潤滑剤、安定剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、可燃性抑制剤など(しかしながらこれらに限定されない)の種々の随意的な添加剤を更に
含ませることができる。好適な安定剤の例としては、ジエンベースの化合物、及び/又はフェノール化合物、及び/又は芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、アルケニルエポキシド、及びこれらの2以上の組み合わせから選択されるエポキシドが挙げられる。好ましくは、これらの随意的な添加剤は、組成物の基本的な共沸混合物様の特性に影響を与えない。
【0035】
熱伝達組成物:
本発明の組成物は、一般に、熱伝達用途において、すなわち、蒸発冷却剤などの加熱及び/又は冷却媒体として用いるように適合させることができる。
【0036】
蒸発冷却用途に関しては、本発明の組成物を、直接又は間接的に、冷却する物体と接触させて、その後に接触させながら蒸発又は沸騰させ、本組成物による沸騰した流体が冷却する物体から熱を吸収するという好ましい結果を得る。幾つかのかかる用途においては、液体を冷却する物体に噴霧又は他の方法で適用することにより、本発明の組成物を好ましくは液体形態で用いることが好ましい可能性がある。他の蒸発冷却用途においては、本発明による液体組成物を比較的高圧の容器から比較的低圧の雰囲気中に排出して、そこで、好ましくは排出したガスを回収又は再圧縮することなく、冷却する物体を、本発明の液体組成物を含む容器と直接又は間接的に接触させることが好ましい可能性がある。このタイプの態様に関する一つの特定の用途は、飲料、食料品、販促品などの自己冷却である。本明細書において記載する発明の前は、HFC−152a及びHFC−134aのような従来の組成物がかかる用途のために用いられていた。しかし、かかる組成物は、これらの物質を大気中に放出することに起因する環境への負の影響のために、最近ではかかる用途において否定的に見られている。例えば、合衆国EPAは、かかる従来の化学物質をこの用途において使用することは、これらの化学物質の高い地球温暖化性及びそれらの使用により結果として生じる可能性がある環境への悪影響のために許容できないことを決定している。本発明の組成物は、本明細書において記載するように、それらの低い地球温暖化係数及び低いオゾン層破壊係数のために、この点に関して明確な有利性を有している。更に、本組成物はまた、電気又は電子部品を製造中又は加速寿命試験中のいずれかにおいて冷却することに関しても実質的な有用性が見出されると期待される。加速寿命試験においては、部品の使用をシミュレートするために部品を連続して素早く繰り返して加熱及び冷却する。したがって、かかる使用は、半導体及びコンピューター基板製造産業において特に有利である。この点に関する本組成物の他の有利性は、かかる用途に関して使用した場合に接触電気特性を示すことが期待されることである。他の蒸発冷却用途は、導管を通る流体の流れを一次的に停止させる方法を含む。好ましくは、かかる方法は、それを通して水が流れる水管のような導管を本発明による液体組成物と接触させて、その中に含まれる液体が凍結するように本発明の液体組成物を導管と接触させながら蒸発させ、それにより導管を通る流体の流れを一次的に停止させることを含む。かかる方法は、本組成物が適用される場所の下流の位置において、かかる導管又はかかる導管に接続されたシステムについて送水又は他の作業を実施できるようにすることに関して明確な有利性を有する。
【0037】
本発明の組成物には広範囲の量の本発明の化合物を含ませることができると意図されるが、一般に、本発明の冷媒組成物は、冷媒組成物の少なくとも約50重量%、より好ましくは少なくとも約70重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%の量の本共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を含むことが好ましい。
【0038】
本発明にしたがって用いられるヒドロフルオロオレフィンの相対量は、好ましくは、必要な熱伝達能力、特に冷却能力を有し、好ましくは同時に不燃性であるか又は軽度に可燃性である熱伝達流体を生成するように選択される。本明細書において用いる不燃性という用語は、ASTM−E−681によって測定して空気中ですべての割合において不燃性である流体を指す。
【0039】
本発明の組成物には、幾つかの機能を高めるか又はそれを組成物に与える目的で、あるいは幾つかの場合には組成物のコストを下げるために、他の成分を含ませることができる。例えば、本発明による熱伝達組成物、特に蒸気圧縮システムにおいて用いるものは、本共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を含む冷媒に加えて、潤滑剤を、一般に組成物の約30〜約50重量%の量で含む。更に、本組成物には、潤滑剤の相溶性及び/又は溶解性を促進する目的で共冷媒又は相溶剤、例えばプロパンを含ませることもできる。プロパン、ブタン類、及びペンタン類などのかかる相溶剤は、好ましくは組成物の約0.5〜約5
重量%の量で存在させる。米国特許6,516,837(その開示事項を参照として本明細書中に包含する)によって開示されているように、界面活性剤と可溶化剤の組合せを本組成物に加えて油溶性を促進させることもできる。冷却機においてヒドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に用いられるポリオールエステル(POE)及びポリアルキレングリコール(PAG)、PAG油、シリコーン油、鉱油、アルキルベンゼン(AB)及びポリ(α−オレフィン)(PAO)のような通常的に用いられている冷却潤滑剤を、本発明の冷媒組成物と共に用いることができる。商業的に入手できる鉱油としては、WitcoからのWitco LP 250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZerol 300(登録商標)、Witcoから
のSunisco 3GS、及びCalumetからのCalumet R015が挙げられる。商業的に入手できるアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標)が挙げられる。商業的に入手でき
るエステルとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手
できるネオペンチルグリコールジペラルゴネートが挙げられる。他の有用なエステルとしては、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが挙げられる。幾つかの場合においては、炭化水素ベースの油は、ヨードカーボンを含む冷媒との充分な溶解性を有し、ヨードカーボンと炭化水素油の組合せは、他のタイプの潤滑剤よりも安定である可能性がある。したがって、かかる組合せは有利である可能性がある。好ましい潤滑剤としては、ポリアルキレングリコール及びエステルが挙げられる。ポリアルキレングリコールは、現在、自動車用空調のような特定の用途において用いられているので、幾つかの態様においては非常に好ましい。もちろん、異なるタイプの潤滑剤の異なる混合物を用いることができる。
【0040】
而して、本方法、システム、及び組成物は、一般に多種多様な熱伝達システム、及び、特に空調(定置型及び自動車用空調システムの両方を含む)、冷却、ヒートポンプシステムなどのような冷却システムに関して用いるように適合させることができる。幾つかの好ましい態様においては、本発明の組成物を、元々は例えばHFC−134aのようなHFC冷媒、又は例えばHCFC−22のようなHCFC冷媒と共に用いるように設計された冷却システムにおいて用いる。本発明の好ましい組成物は、従来のHFC冷媒と同程度に低いか又はそれよりも低いGWP、及びかかる冷媒と同程度に高いか又はそれよりも高い能力、並びに、かかる冷媒と実質的に同等であるか又は実質的に匹敵し、好ましくは同程度に高いか又はそれよりも高い能力などの、HFC−134a及び他のHFC冷媒の所望の特性の多くを示す傾向を有する。特に、本出願人らは、本組成物の幾つかの好ましい態様は、好ましくは1000未満、より好ましくは約500未満、更により好ましくは約150未満の比較的低い地球温暖化係数(「GWP」)を示す傾向を有することを認識した。更に、参照として本明細書中に包含する共に係属している特許出願に記載されている共沸混合物様の組成物を含む幾つかの本組成物の比較的一定の沸騰性により、これらは、多くの用途において冷媒として用いることに関して、R−404A、又はHFC−32、HFC−125、及びHFC−134aの組合せ(約23:25:52の重量比のHFC−32:HFC−125:HFC−134aの組合せはR−407Cと呼ばれる)のような幾つかの従来のHFCよりも更により望ましいものになっている。本発明の熱伝達組成物は、HFC−134、HFC−152a、HFC−22、R−12、及びR−500の代替物として特に好ましい。
【0041】
幾つかの他の好ましい態様においては、本組成物は、元々はCFC冷媒と共に用いるように設計された冷却システムにおいて用いる。好ましい本発明の冷却組成物は、鉱油、ポリアルキルベンゼン、ポリアルキレングリコール油などのようなCFC冷媒と共に従来用いられている潤滑剤を含む冷却システムにおいて用いることができ、或いは、HFC冷媒と共に伝統的に用いられている他の潤滑剤と共に用いることができる。本明細書において用いる「冷却システム」という用語は、一般に冷媒を用いて冷却を与える任意のシステム又は装置、或いはかかるシステム又は装置の任意の部品又は部分を指す。かかる冷却システムとしては、例えば、空調機、電気冷蔵庫、チラー(遠心圧縮機を用いるチラーを含む)、輸送冷却システム、商業用冷蔵システムなどが挙げられる。
【0042】
多くの既存の冷却システムは、現在は既存の冷媒と関連して用いるのに適しているが、本発明の組成物は、システムに改造を施すか又は施さずに、多くのかかるシステムにおいて用いるように適合させることができると考えられる。多くの用途において、本発明の組成物は、現在幾つかの冷媒をベースとするより小型のシステムにおける代替物として、例えば、小さい冷却能力が要求され、それにより比較的小さな圧縮機に置き換える必要性を指示されるようなものにおける代替物としての有利性を与えることができる。更に、例えば効率上の理由から本発明のより低い能力の冷媒組成物を用いてより高い能力の冷媒を置き換えることが望ましい態様においては、本組成物のかかる態様は潜在的な有利性を与える。而して、幾つかの態様においては、本発明の組成物、特に、本組成物を相当な割合で含み、幾つかの態様においてはそれらから実質的に構成される組成物を、HFC−134a;CFC−12;HCFC−22;HFC−152a;ペンタフルオロエタン(HFC−125)、トリフルオロエタン(HFC−143a)、及びテトラフルオロエタン(HFC−134a)の組合せ(約44:52:4の重量比のHFC−125:HFC−143a:HFC−134aの組合せは、R−404Aと呼ばれる);HFC−32、HFC−125、及びHFC−134aの組合せ(約23:25:52の重量比のHFC−32:HFC−125:HFC−134aの組合せは、R−407Cと呼ばれる);フッ化メチレン(HFC−32)及びペンタフルオロエタン(HFC−125)の組合せ(約50:50の重量比のHFC−32:HFC−125の組合せは、R−410Aと呼ばれる);CFC−12及び1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)の組合せ(73.8:26.2の重量比のCFC−12:HFC−152aの組合せは、R−500と呼ばれる);並びにHFC−125及びHFC−143aの組合せ(約50:50の重量比のHFC−125:HFC−143aの組合せは、R−507Aと呼ばれる);のような既存の冷媒の代替物として用いることが好ましい。幾つかの態様においては、本組成物を、約20:40:40の重量比のHFC−32:HFC−125:HFC−134aの組合せ(R−407Aと呼ばれる)、又は約15:15:70の重量比のもの(R−407Dと呼ばれる)から形成される冷媒の代替物に関連して用いることもまた有益である可能性がある。本明細書の他の箇所で説明するように、本組成物は、エアゾール、発泡剤などのような他の用途において上述した組成物に対する代替物として好適であるとも考えられる。
【0043】
幾つかの用途においては、本発明の冷媒は、より大きい容積型圧縮機の有益な利用を潜在的に可能にし、これによって、HFC−134aのような他の冷媒よりも良好なエネルギー効率が得られる。したがって、本発明の冷媒組成物は、自動車用空調システム及び装置、商業用冷却システム及び装置、チラー、住宅用冷蔵庫及び冷凍庫、一般的な空調システム、ヒートポンプなどを含む、冷媒を置き換える用途に関して、エネルギーベースで競争上の優位性を獲得する可能性を与える。
【0044】
多くの既存の冷却システムは、現在は既存の冷媒と関連して用いるように適合されており、本発明の組成物はシステムの改造を行うか又は行わないでかかるシステムの多くにおいて用いるように適合させることができると考えられる。多くの用途において、本発明の組成物は、現在は比較的高い能力を有する冷媒をベースとするシステムにおける代替品と
しての有利性を与えることができる。更に、例えばコストの理由のために本発明のより低い能力の冷媒組成物を用いてより高い能力の冷媒を置き換えることが望ましい態様においては、本組成物のかかる態様は潜在的な有利性を与える。而して、幾つかの態様においては、本発明の組成物、特にHFO−1234(好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)の任意の1以上)を相当な割合で含み、幾つかの態様においてはこれから実質的に構成される組成物を、HFC−134aのような既存の冷媒に対する代替物として用いることが好ましい。幾つかの用途においては、本発明の冷媒によって、より大型の容積型圧縮機を有益に用いることが潜在的に可能であり、それによってHFC−134aのような他の冷媒よりも良好なエネルギー効率が得られる。したがって、本発明の冷媒組成物、特にシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)の任意の1以上を含む組成物は、冷媒置換用途に関するエネルギーベースの競争上の優位性を達成する可能性を与える。
【0045】
本発明の組成物は、商業用空調システムと関連して通常用いられる冷凍機において用いるように適合させることができると意図される。幾つかのかかる態様においては、主として熱伝達特性、コストなどに対するそれらの影響のために含ませることができる以下の更なる化合物の1以上を本組成物中に含ませることが好ましい。而して、以下の成分は、共熱伝達流体(又は冷却運転の場合においては共冷媒)として組成物中に含ませることができる:
トリクロロフルオロメタン(CFC−11);
ジクロロジフルオロメタン(CFC−12);
ジフルオロメタン(HFC−32);
ペンタフルオロエタン(HFC−125);
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134);
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a);
ジフルオロエタン(HFC−152a);
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea);
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa);
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);
水;
CO
【0046】
発泡剤:
本発明の他の態様においては、本明細書に記載する少なくとも1種類の共沸混合物様の混合物を含む発泡剤が提供される。ポリマーフォームは、一般に2つの一般的な種類:熱可塑性フォーム及び熱硬化性フォームのものである。
【0047】
熱可塑性フォームは、一般に、Throne, Thermoplastic Foams, 1996, Sherwood Publishers, Hinkley, Ohio又はKlempner及びSendijarevic, Polymeric Foams and Foam Technology, 2版 2004, Hander Gardner Publications, Inc, Cincinnati, OHに記載されているものなどの当該技術において公知の任意の方法によって製造される。例えば、押出熱可塑性フォームは、加圧下において押出機内で形成される溶融ポリマー中の発泡剤の溶液を、雰囲気温度又は圧力において、又は場合によってはフォームの膨張を助けるために減圧下において、オリフィスを通して移動ベルト上に押出す押出プロセスによって製造することができる。発泡剤は気化してポリマーを膨張させる。ポリマーは、最大膨張に対応する時点において寸法安定性を維持するのに十分な強度をそれに与える条件下において同時に膨
張及び冷却される。押出熱可塑性フォームを製造するために用いるポリマーとしては、ポリスチレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、及びLLDPE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の幾つかの好ましい形態によれば、本組成物は、発泡剤として、或いは発泡性組成物の一部として用い、ここで好ましくは発泡性組成物は熱可塑性材料、更により好ましくはポリスチレンベースの配合物である。本出願人らは、驚くべきことに、本発明の組成物は、幾つかの態様においては発泡性組成物のポリマー成分中での向上した溶解性を有し、而して、向上した予期しない程優れた気泡構造及び又は気泡分布及び/又は気泡寸法などの向上した物理特性及び特徴を有するフォーム製品、特に独立気泡フォーム製品を与える能力を有する。
【0049】
場合によっては、成核剤(例えばタルク)、難燃剤、着色剤、加工助剤(例えばワックス)、架橋剤、透過性調整剤などをはじめとする(しかしながらこれらに限定されない)複数の添加剤を溶融ポリマー溶液に加えて、フォームの加工及び特性を最適にする。また、架橋を増加させるための照射、フォームのスキン品質を向上させるための表面膜の積層、フォーム寸法の必要条件を達成するためのトリミング及び設計、及び他のプロセスのような更なるプロセス工程を製造プロセス中に含ませることもできる。
【0050】
一般に、発泡剤には、広範囲の量の本発明の共沸混合物様の組成物を含ませることができる。しかしながら、発泡剤は少なくとも約15重量%の発泡剤を含むことが一般に好ましい。幾つかの好ましい態様においては、発泡剤は少なくとも約50重量%の本組成物を含み、幾つかの態様においては、発泡剤は本共沸混合物様の組成物から実質的に構成される。幾つかの好ましい態様においては、発泡剤は、本共沸混合物様の混合物に加えて、1種類以上の共発泡剤、充填剤、蒸気圧調整剤、火炎抑制剤、安定剤、及び同様の助剤を含む。
【0051】
幾つかの好ましい態様においては、発泡剤は、本発明の共沸混合物様の混合物を含む物理的(即ち揮発性)発泡剤として特徴付けられる。一般に、ブレンドした混合物中に存在させる発泡剤の量は、最終フォーム製品の所望のフォーム密度、及びプロセスの圧力及び溶解度限界によって定まる。例えば、発泡剤の割合(重量部)は、ポリマー100重量部あたり約1〜約45部、より好ましくは約4〜約30部の発泡剤の範囲内であってよい。発泡剤には、共沸混合物様の組成物と混合した、トリクロロフルオロメタン(CFC−11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)のようなクロロフルオロカーボン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)のようなヒドロクロロフルオロカーボン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)のようなヒドロフルオロカーボン、プロパン、ブタン、イソブタン、シクロペンタンのような炭化水素、二酸化炭素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、及びこれらの混合物などの更なる成分を含ませることができる。
【0052】
幾つかの態様においては、発泡剤は化学的発泡剤として特徴付けられる。化学的発泡剤は、押出機内の温度及び圧力条件に曝露すると、分解してガス、一般に二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、水素、アンモニア、亜酸化窒素、又はこれらの混合物を発生させる物質である。存在させる化学的発泡剤の量は、所望の最終フォーム密度によって定まる。全化学的発泡剤ブレンドの割合(重量部)は、ポリマー100重量部あたり1未満乃至約15部
まで、好ましくは約1〜約10部の発泡剤の範囲内であってよい。
【0053】
幾つかの好ましい態様においては、分散剤、気泡安定剤、界面活性剤、及び他の添加剤を、本発明の発泡剤組成物中に導入することもできる。界面活性剤は随意であるが、好ましくは気泡安定剤として働かせるために加える。幾つかの代表的な材料は、DC-193、B-8404、及びL-5340(これらは一般に、米国特許2,834,748、2,917,480、及び2,846,458(これらのそれぞれを参照として本明細書中に包含する)に開示されているもののようなポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーである)の名称で販売されている。発泡剤混合物のための他の随意的な添加剤としては、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、種々のハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニルなどのような難燃剤又は抑制剤が挙げられる。
【0054】
熱硬化性フォームに関しては、一般にポリウレタン、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの組合せなど(しかしながらこれらに限定されない)の任意の熱硬化性ポリマーを用いることができる。一般に、これらのフォームは、本発明の共沸混合物様の組成物を含む1種類以上の発泡剤、及び場合によっては、気泡安定剤、溶解度向上剤、触媒、難燃剤、補助発泡剤、不活性充填剤、染料などをはじめとする(しかしながらこれらに限定されない)他の添加剤の存在下で化学反応性成分を配合することによって製造される。
【0055】
本発明において記載する共沸混合物様の組成物を用いるポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの製造に関しては、当該技術において周知の任意の方法を用いることができる。Saunders及びFrisch, Volumes I及びII, Polyurethanes Chemistry and Technology (1962), John Wiley and Sons, New York, NYを参照。一般に、ポリウレタン又はポ
リイソシアヌレートフォームは、イソシアネート、ポリオール又は複数のポリオールの混合物、発泡剤又は複数の発泡剤の混合物、及び触媒、界面活性剤、並びに場合によっては難燃剤、着色剤、又は他の添加剤のような他の材料を配合することによって製造される。
【0056】
ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームのための成分を予めブレンドした配合物で与えることが、多くの用途において好都合である。最も通常的には、フォーム配合物は2つの成分に予めブレンドする。イソシアネート、及び場合によっては幾つかの界面活性剤、並びに発泡剤は、通常は「A」成分と呼ばれる第1成分を構成する。ポリオール又はポリオール混合物、界面活性剤、触媒、発泡剤、難燃剤、及び他のイソシアネート反応性成分は、通常は「B」成分と呼ばれる第2成分を構成する。したがって、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームは、少量の製造のためには手作業での混合、及び好ましくはブロック、スラブ、積層体、現場注入パネル及び他の部材、噴霧適用フォーム、泡などを形成する機械混合技術のいずれかによって、A側及びB側の成分を配合することによって容易に製造される。場合によっては、難燃剤、着色剤、補助発泡剤、水、及び更に他のポリオールのような他の成分を、第3の流れとして混合ヘッド又は反応場に加えることができる。しかしながら、最も好都合には、これらは全て、上記に記載した1つのB成分中に含ませる。
【0057】
脂肪族及び芳香族ポリイソシアネートを含む任意の有機ポリイソシアネートを、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの合成において用いることができる。種類として好ましいのは芳香族ポリイソシアネートである。代表的な脂肪族ポリイソシアネートは、トリ、テトラ、及びヘキサメチレンジイソシアネート、イソホレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)などのようなアルキレンジイソシアネートであり、代表的な芳香族ポリイソシアネートとしては、m−及びp−フェニ
レンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ビトイレンイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)メテン、ビス(2−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタンなどが挙げられる。
【0058】
好ましいポリイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、特に、約30〜約85重量%のメチレンビス(フェニルイソシアネート)を含み、混合物の残りが2より大きい官能価のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含む混合物である。
【0059】
ポリウレタンフォームの製造において用いる代表的なポリオールとしては、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと縮合させた2,4−及び2,6−トルエンジアミンの混合物をベースとするもののような芳香族アミノベースのポリエーテルポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリオールは、現場注入成形フォームにおける有用性が見出されている。他の例は、エトキシル化及び/又はプロポキシル化アミノエチル化ノニルフェノール誘導体をベースとするもののような芳香族アルキルアミノベースのポリエーテルポリオールである。これらのポリオールは、一般に噴霧適用ポリウレタンフォームにおける有用性が見出されている。他の例は、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと縮合させたスクロース誘導体及び/又はスクロース及びグリセリン誘導体の混合物をベースとするもののようなスクロースベースのポリオールである。
【0060】
ポリウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームにおいて用いるポリオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、又はプロピレングリコールのようなポリオールから形成されるフタレートタイプ又はテレフタレートタイプのエステルの複合混合物をベースとするもののような芳香族ポリエステルポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリオールは、硬質積層板材料において用いられ、スクロースベースのポリオールのような他のタイプのポリオールとブレンドして、上記に記載したような他のポリウレタンフォーム用途において用いることができる。
【0061】
ポリウレタンフォームの製造において用いる触媒は、通常は、N−アルキルモルホリン、N−アルキルアルカノールアミン、N,N−ジアルキルシクロヘキシルアミン、及びアルキルアミン(ここで、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどである)、及びこれらの異性体形態など(しかしながらこれらに限定されない)の第3級アミン;並びに複素環式アミンである。代表的であるが非限定的な例は、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルピペラジン、ピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−エチルモルホリン、2−メチルピペラジン、N,N−ジメチルエタノールアミン、テトラメチルプロパンジアミン、メチルトリエチレンジアミンなど、及びこれらの混合物である。
【0062】
場合によっては、非アミンポリウレタン触媒を用いる。かかる触媒の代表例は、ビスマス、鉛、スズ、チタン、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウムなどの有機金属化合物である。硝酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、塩化第二鉄、三塩化アンチモン、及びグリコール酸アンチモンが代表例として挙げられる。好ましい有機スズ種としては、オクタン酸第1スズ、2−エチルヘキサン酸第1スズ、ラウリン酸第1スズなどのようなカルボン酸の第1スズ塩、並びにジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテートなどのようなカルボン酸のジアルキルスズ塩が挙げられる。
【0063】
ポリイソシアヌレートフォームの製造においては、ブレンドを過剰のA成分と共にポリイソシアヌレート−ポリウレタンフォームに転化させる目的で三量体化触媒を用いる。用いる三量体化触媒は、グリセリン塩及び第3級アミン三量体化触媒、及びアルカリ金属カルボン酸塩、並びに種々のタイプの触媒の混合物など(しかしながらこれらに限定されない)の当業者に公知の任意の触媒であってよい。このクラスの範囲内の好ましい種は、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、及びN−(2−ヒドロキシ−5−ノニルフェノール)メチル−N−メチルグリシネートである。
【0064】
分散剤、気泡安定剤、及び界面活性剤を本ブレンド中に含ませることができる。界面活性剤は、一般に、米国特許2,834,748、2,917,480、及び2,846,458(参照として本明細書中に包含する)に開示されているもののようなポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーである。
【0065】
ブレンドのための他の随意的な添加剤としては、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、種々のハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニルなどのような難燃剤を挙げることができる。他の随意的な成分として0〜約3%の水を挙げることができ、これはイソシアネートと化学的に反応して二酸化炭素を生成する。この二酸化炭素は補助発泡剤として機能する。
【0066】
また混合物中には、本発明において開示する発泡剤又は発泡剤ブレンドも含まれる。一般的に言えば、ブレンドされた混合物中に存在させる発泡剤の量は、最終ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム製品の所望のフォーム密度によって定まる。全発泡剤ブレンドの割合(重量部)は、ポリオール100部あたり1〜約45部、好ましくは約4〜約30部の発泡剤の範囲内であってよい。
【0067】
生成するポリウレタンフォームは、密度を約0.5ポンド/立方フィート〜約40ポンド/立方フィート、好ましくは約1.0〜20.0ポンド/立方フィート、最も好ましくは約1.5〜6.0ポンド/立方フィートで変動させることができる。得られる密度は、どのくらい多くの本発明において開示する発泡剤又は発泡剤混合物をA及び/又はB成分中に存在させるか、或いはフォームを生成させる時点で加えるかの関数である。
【0068】
フォーム及び発泡性組成物:
本発明の幾つかの態様は、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、又はフェノール樹脂をベースとする気泡壁、並びに気泡の少なくとも一部の中に配置される気泡ガスを含み、気泡ガスが本明細書に記載する共沸混合物様の混合物を含むフォームを包含する。幾つかの態様においては、フォームは押出熱可塑性フォームである。好ましいフォームは、約0.5ポンド/立方フィート〜約60ポンド/立方フィート、好ましくは約1.0〜20.0ポンド/立方フィート、最も好ましくは約1.5〜6.0ポンド/立方フィートの範囲の密度を有する。フォームの密度は、どのくらい多くの発泡剤又は発泡剤混合物(即ち、共沸混合物様の混合物、並びに任意の補助発泡剤、例えば二酸化炭素、化学的発泡剤、又は他の共発泡剤)を溶融ポリマー中に存在させるかの関数である。これらのフォームは一般に硬質であるが、最終用途の要求に適合させるために種々の柔軟度で製造することができる。フォームは、独立気泡構造、連続気泡構造、又は連続及び独立気泡の混合物を有していてよく、独立気泡構造が好ましい。これらのフォームは、断熱、浮遊体、包装、空隙充填、工芸品及び装飾品、並びに衝撃吸収など(しかしながらこれらに限定されない)の種々の周知の用途において用いられる。
【0069】
他の態様においては、本発明は発泡性組成物を提供する。本発明の発泡性組成物は、一般に、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、及びフェノール樹脂ベースの組成物のようなフォームを形成することができる1以上の成分、並びに本明細書に記載する少なくとも1種類の共沸混合物様の混合物を含む発泡剤を含む。幾つかの態様においては、発泡性組成物は、熱可塑性材料、特に熱可塑性ポリマー及び/又は樹脂を含む。熱可塑性フォーム成分の例としては、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン、及びポリエチレンテレフタレート(PET)、並びにこれから形成されるフォーム、好ましくは低密度フォームが挙げられる。幾つかの態様においては、熱可塑性発泡性組成物は押出可能な組成物である。
【0070】
幾つかの態様においては、かかるフォームの製造方法が提供される。特に本明細書に含まれる開示事項を考慮すれば、発泡剤を形成し及び/又は発泡性組成物に加える順番及び方法は本発明の実施可能性に一般に影響を与えないことが当業者に認められるであろう。例えば、押出可能なフォームの場合においては、発泡剤の種々の成分を前もって混合することが可能である。幾つかの態様においては、発泡性組成物の成分は、押出装置に導入する前には混合せず、或いは押出装置内の同じ位置には加えない。而して、幾つかの態様においては、発泡剤の1以上の成分を、発泡剤の1以上の他の成分の添加位置の上流である押出機内の第1の位置において導入することが望ましい可能性があり、このようにして成分が押出機内で混合され及び/又はより有効に運転されると期待される。幾つかの他の態様においては、発泡剤の2以上の成分を、前もって配合して発泡性組成物中に直接か又はプレミックスの一部として一緒に導入して、次に発泡性組成物の他の部分に更に加える。
【0071】
溶媒/噴霧可能な組成物:
好ましい態様においては、本発明の共沸混合物様の組成物は、単独か又は他の公知の噴射剤及び/又は溶媒と組み合わせて噴霧可能な組成物における溶媒及び/又は噴射剤として用いることができる。この溶媒組成物は、本発明の共沸混合物様の組成物を含み、より好ましくはこれから実質的に構成され、更により好ましくはこれから構成される。幾つかの態様においては、噴霧可能な組成物はエアゾールである。
【0072】
幾つかの好ましい態様においては、上記記載の溶媒、活性成分、及び場合によっては不活性成分、溶媒などのような他の成分を含む噴霧可能な組成物が提供される。
他の形態においては、本発明は、本発明の組成物を含むか又はこれから実質的に構成される噴射剤組成物を提供する。幾つかの好ましい態様においては、かかる噴射剤組成物は好ましくは噴霧可能な組成物である。
【0073】
好適な噴霧する活性材料としては、限定なしに、脱臭剤、香水、ヘアスプレー、洗浄溶媒、潤滑剤のような化粧材料、殺虫剤、並びに抗ぜんそく薬のような医薬材料が挙げられる。医薬材料という用語は、本明細書においては、その最も広い意味において、治療、診断、鎮痛、及び同様の処置に関して有効であるか又は少なくとも有効であると考えられている任意の全ての材料を包含するように用いられ、これとしては例えば医薬及び生物活性物質が挙げられる。
【0074】
一形態においては、本組成物は、本発明の組成物を膨張させることによって発生するような本組成物によって生成する力をかかる物体に加えることにより、固体及び/又は液体の物体及び/又は気体の物体などの物体を噴射させるために用いることができる。例えば、かかる力は、好ましくは、少なくとも部分的に、本発明の組成物の相を液体から気体へ変化させることによるか、及び/又は、本発明の組成物が加圧容器から排出される際に実質的に圧力が減少する結果として放出される力によって与えることができる。このようにして、本発明の組成物を用いて、爆発的な力又は持続する力を噴射する物体に加えることができる。したがって、本発明は、本発明の組成物を含み、液体の物体又は固体の物体或
いは気体の物体のいずれかの物体を所望の量の力で噴射又は移動させるように構成されているシステム、容器、及び装置を含む。かかる使用の例としては、導管、チャネル、又はノズル中のドレイン、パイプ、又は閉塞物を噴射力によって取り除くために用いることができる容器(例えば加圧缶及び同様の器具)が挙げられる。別の用途としては、弾丸、ペレット、手榴弾、ネット、キャニスタ、豆袋、電極、又は他の個々の係留されているか又は係留されていない発射物のような固体の物体を環境、特に周囲空気を通して噴射するために本組成物を用いることが挙げられる。他の態様においては、本組成物を用いて、ジャイロスコープ、遠心機、玩具、又は回転する他の物体に対して吐出動のような動きを与えたり、あるいは、花火、紙吹雪、ペレット、弾薬、及び他の固体物体のような固体の物体に対して噴射力を与えることができる。他の用途においては、本発明の組成物によって与えられる力を用いて、ロケット又は他の発射物などの動いている物体を推進又は操縦することができる。
【0075】
本発明の噴射剤組成物は、好ましくは、噴霧する材料、並びに本発明による組成物を含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される噴射剤を含む。不活性成分、溶媒、及び他の材料も、噴霧可能な混合物中に存在させることができる。好ましくは、噴霧可能な組成物はエアゾールである。噴霧する好適な材料としては、限定なしに、消臭剤、香水、ヘアスプレー、洗浄溶媒、及び潤滑剤のような化粧材料、並びに抗喘息薬のような医薬材料が挙げられる。医薬材料という用語は、本明細書においては、その最も広い意味において、治療処置、診断法、痛みの緩和、及び同様の処置に関して有効であるか又は少なくとも有効であると考えられている任意の全ての材料を包含するように用いられ、これとしては例えば医薬及び生物活性物質が挙げられる。幾つかの好ましい態様においては、医薬材料は吸入するように適合される。医薬又は他の治療薬は、好ましくは治療量で組成物中に存在させ、組成物の残りの相当部分は本発明の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を含む。
【0076】
工業用途、民生用、又は医療用途のためのエアゾール製品は、通常は、1種類以上の噴射剤を、1種類以上の活性成分、不活性成分、又は溶媒と共に含む。噴射剤は、製品をエアゾール化した形態で吐出する力を与える。幾つかのエアゾール製品は、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、更には空気などの圧縮気体を用いて噴射するが、殆どの市販のエアゾールは液化ガス噴射剤を用いる。最も一般的に用いられる液化ガス噴射剤は、ブタン、イソブタン、及びプロパンのような炭化水素である。ジメチルエーテルとHFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)も、単独か又は炭化水素噴射剤とのブレンドで用いられる。残念なことに、これらの液化ガス噴射剤の全てが高燃焼性であり、これらをエアゾール配合物中に導入すると、しばしば可燃性のエアゾール製品が得られるであろう。
【0077】
本出願人らは、それを用いてエアゾール製品を配合する不燃性の液化ガス噴射剤に関する継続的な必要性を認識するに至った。本発明は、例えばスプレー式の洗浄剤、潤滑剤などをはじめとする幾つかの工業用エアゾール製品、及び例えば薬品を肺や粘膜に供給するなどのための医薬用エアゾールにおいて用いるための本発明の組成物を提供する。この例としては、喘息や他の慢性閉塞性肺疾患の治療のため、及び接近可能な粘膜又は鼻腔内に薬物を供給するための計量式吸入器(MDI)が挙げられる。而して、本発明は、治療が必要な生物に薬物又はその他の治療成分を含む本発明の組成物を適用することを含む、(人間や動物などの)生物の病気、疾病、及び類似の健康に関連する問題を処置するための方法を含む。幾つかの好ましい態様においては、本組成物を適用する工程は、本発明の組成物を含むMDIを与え(例えば、組成物をMDI中に導入し)、次に本組成物をMDIから放出することを含む。
【0078】
本発明の組成物は、地球温暖化に実質的に寄与しない不燃性の液化ガス噴射剤及びエアゾールを提供することができる。本組成物は、接点洗浄剤、ダスター、潤滑剤スプレーな
どのような種々の工業用エアゾール又は他の噴霧可能な組成物、並びに、パーソナルケア製品、家庭用品、及び自動車用品のような民生用エアゾールを配合するために用いることができる。HFO−1234zeは、計量式吸入器のような医薬用エアゾールにおける噴射剤組成物の重要な成分として用いるのに特に好ましい。多くの用途における本発明の医薬用エアゾール及び/又は噴射剤及び/又は噴霧可能な組成物は、本発明の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物に加えて、ベータ作用薬、コルチコステロイド、又は他の薬物、及び場合によっては、界面活性剤、溶媒、他の噴射剤、香味料、及び他の賦形剤のような他の成分を含む。本発明の組成物は、これらの用途においてこれまで用いられている多くの組成物とは異なり、良好な環境特性を有し、地球温暖化に寄与する可能性がないと考えられる。したがって、本組成物は、幾つかの好ましい態様においては、非常に低い地球温暖化係数を有する実質的に不燃性の液化ガス噴射剤を提供する。
【0079】
香味料及び芳香料:
本発明の組成物はまた、香味配合物及び芳香配合物の一部として、及び特にはこれらのためのキャリヤーとして用いる場合にも有利性を与える。この目的に関する本組成物の好適性は、0.39gのジャスモンを厚肉のガラス管の中に入れる試験手順によって示される。1つの場合においてはトランス−HFO−1234ze及び他の場合においてはHFO−1234yfを含む1.73gの本発明の共沸性組成物をガラス管に加える。次に、管を冷凍し、密閉する。管を解凍すると、混合物は一つの液相を有していることが分かった。この溶液は20重量%のジャスモン及び80重量%の本発明の共沸性組成物を含んでおり、而して香味配合物及び芳香料のためのキャリアとして好ましく用いられることが確立された。また、植物などからの生物活性化合物(バイオマスなど)及び芳香料の抽出剤としてのその可能性も確率される。幾つかの態様においては、超臨界状態の本流体を用いて抽出用途において本組成物を用いることが好ましい可能性がある。超臨界又は近超臨界状態の本組成物を用いることを伴うこの用途及び他の用途を以下に説明する。
【0080】
膨張剤:
本発明の組成物の一つの潜在的な有利性は、好ましい組成物が殆どの周囲条件下において気体状態であることである。この特徴により、流される空間の重量を有意に増加させないで、それらを空間に充填することが可能となる。更に、本発明の組成物は、比較的容易な輸送及び貯蔵のために圧縮又は液化することができる。而して、例えば、本発明の組成物は、必須ではないが好ましくは、組成物がその中に排出される他の環境中に組成物を少なくとも所定時間、加圧気体として放出するように適合されたノズルをその中に有する加圧缶のような密閉容器中に液体形態で含ませることができる。例えば、かかる用途としては、輸送乗物(自動車、トラック、及び航空機を含む)に関して使用することができるようなタイヤに接続するように適合された缶中に本組成物を含ませることを挙げることができる。この態様にしたがう他の例としては、少なくとも一定の時間、圧力下で気体状の材料を含むように適合されたエアバッグ又は他の空気袋(他の保護用空気袋を含む)を膨らませるために、同様の配置で本組成物を用いることが挙げられる。缶のような固定容器を用いる代わりに、本発明のこの形態にしたがって、液体又は気体のいずれかで本組成物を含み、且つそれを通して特定の用途のために必要な加圧環境中にそれを導入することができる、ホース又は他のシステムを通して本組成物を適用することができる。
【0081】
溶媒及び洗浄組成物:
本発明の他の態様においては、本明細書において記載する共沸混合物様の組成物を、鉱油、ロジンベースのフラックス、シリコンオイル、潤滑剤等のような種々の汚れを、拭取、蒸気脱脂、又は他の手段によって種々の基材から洗浄除去する際の溶媒として用いることができる。幾つかの好ましい態様においては、洗浄組成物はエアゾールである。
【0082】
方法及びシステム:
本発明の組成物は、冷却、空調、及びヒートポンプシステムにおいて用いる冷媒のような熱を伝達する方法及びシステムにおける熱伝達流体などとして、数多くの方法及びシステムに関して有用である。本組成物はまた、好ましくはかかるシステム及び方法においてエアゾール噴射剤を含むか又はそれから構成されるエアゾールを生成させるシステム及び方法において用いるのにも有利である。フォームを形成する方法、並びに消火及び鎮火する方法も、本発明の幾つかの形態に含まれる。本発明はまた、幾つかの形態においては、かかる方法及びシステムにおいて本組成物を溶媒組成物として用いる、物品から残留物を除去する方法も提供する。
【0083】
熱伝達方法及びシステム:
好ましい熱伝達方法は、一般的に、本発明の組成物を与え、そして顕熱伝達、相変化熱伝達、又はこれらの組合せのいずれかによって組成物に対して又は組成物から熱を伝達させることを含む。例えば、幾つかの好ましい態様においては、本方法は、本発明の冷媒を含む冷却システム、及び、本発明の組成物を凝縮及び/又は蒸発させることによって加熱又は冷却を生成させる方法を提供する。幾つかの好ましい態様においては、他の流体を直接又は間接的に、あるいは物体を直接又は間接的に冷却することを含む冷却方法は、本発明の組成物を含む冷媒組成物を凝縮させ、その後に冷媒組成物を冷却する物品の近傍で蒸発させることを含む。本明細書において用いる「物体」という用語は、無生物だけでなく、一般的に動物の組織及び特にヒトの組織を含む生体組織も指すように意図される。例えば、本発明の幾つかの形態は、鎮痛法、予備麻酔、又は、処置する身体の温度を低下させることを伴う治療の一部などの、1種類以上の治療目的のために、本組成物をヒトの組織に適用することを伴う。幾つかの態様においては、物体への適用は、好ましくは、一方向放出弁及び/又はノズルを有する加圧容器中に加圧下で液体形態の本組成物を与え、そして組成物を物体に噴霧するか又は他の形態で適用することにより液体を加圧容器から放出させることを含む。液体が噴霧される表面から蒸発するにつれて表面が冷却される。
【0084】
流体又は物体を加熱するための幾つかの好ましい方法は、本発明の組成物を含む冷媒組成物を加熱する流体又は物体の近傍で凝縮させ、その後に冷媒組成物を蒸発させることを含む。本明細書中の開示を考慮すれば、当業者は、過度な実験をすることなく、本発明にしたがって容易に物品を加熱及び冷却することができるであろう。
【0085】
本出願人らは、本発明のシステム及び方法において、重要な冷却システムの性能パラメータの多くがR−134aに関するパラメータと比較的近いことを見出した。多くの既存の冷却システムは、R−134a用、又はR−134aと同様の特性を有する他の冷媒用に設計されているので、システムに対する変更を比較的最小限にしてR−134a又は同様の冷媒の代替物として用いることができる低GWP及び/又は低オゾン層破壊性の冷媒の実質的な有利性を当業者は認識するであろう。幾つかの態様においては、本発明は、システムの実質的な変更をすることなく、既存のシステムにおける熱伝達流体(冷媒など)を本発明の組成物で置き換えることを含む改造方法を提供することを意図する。幾つかの好ましい態様においては、置換工程は、熱伝達流体として本発明の組成物を適合させるためにシステムの実質的な再設計を必要とせず、装置の主要な部品を置き換える必要がないという意味でドロップイン置換である。幾つかの好ましい態様においては、本方法は、システムの能力が置換前のシステム能力の少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約85%、更により好ましくは少なくとも約90%であるドロップイン置換を含む。幾つかの好ましい態様においては、本方法は、システムの吸気圧力及び/又は吐出圧力、更により好ましくはその両方が、置換前の吸気圧力及び/又は吐出圧力の少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%であるドロップイン置換を含む。幾つかの好ましい態様においては、本方法は、システムの質量流量が置換前の質量流量の少なくとも約80%、更により好ましくは少なくとも90%であるドロップイン置換を含む。
【0086】
幾つかの態様においては、本発明は、好ましくは、冷却する物体又は流体の近傍で本冷媒組成物を蒸発させて本組成物を含む蒸気を生成することにより、流体又は物体から熱を吸収することによって冷却を与える。好ましくは、本方法は、通常は圧縮機又は同様の装置によって冷媒蒸気を圧縮して比較的上昇した圧力の本組成物の蒸気を生成する更なる工程を含む。一般に、蒸気を圧縮する工程により、蒸気に熱が加えられ、比較的高圧の蒸気の温度上昇が引き起こされる。好ましくは、かかる態様においては、本方法は、この比較的高温で高圧の蒸気から、蒸発工程及び圧縮工程により加えられた熱の少なくとも一部を取り出すことを含む。熱の取り出し工程は、好ましくは、蒸気が比較的高圧条件にある間に、高温で高圧の蒸気を凝縮して、本発明の組成物を含む比較的高圧の液体を生成させることを含む。この比較的高圧の液体は、好ましくは次に見かけ上は等エンタルピーの減圧にかけて、比較的低温で低圧の液体を生成させる。かかる態様においては、この低下した温度の冷媒液を、次に冷却する物体又は流体から伝達される熱によって蒸発させる。
【0087】
本発明の別の方法の態様においては、本発明の組成物を、加熱する液体又は物体の近傍で組成物を含む冷媒を凝縮することを含む、加熱を生成させる方法において用いることができる。かかる方法は、上記で言及したように、しばしば上述の冷却サイクルに対して逆のサイクルである。
【0088】
洗浄方法:
本発明はまた、物品に本発明の組成物を適用することによって、製品、部材、部品、基材、又は任意の他の物品又はその一部から汚染物質を除去する方法も提供する。便宜上の目的で、「物品」という用語は、本明細書においては、全てのかかる製品、部材、部品、基材などを指すように用いられ、また更には、任意の表面又はその一部を指すように意図される。更に、「汚染物質」という用語は、かかる物質が物品の上に意図的に配置されている場合であっても、物品の上に存在する任意の不要の材料又は物質を指すように意図される。例えば、半導体デバイスの製造においては、基板の上にフォトレジスト材料を堆積させてエッチング工程のためのマスクを形成し、次にフォトレジスト材料を基板から除去することが通常的である。本明細書において用いる「汚染物質」という用語は、そのようなフォトレジスト材料をカバーし且つ包含するように意図される。
【0089】
本発明の好ましい方法は、本組成物を物品に適用することを含む。多くの様々な洗浄方法において本発明の組成物を用いて良好な有利を得ることができると意図されるが、本組成物を超臨界洗浄法に関して用いることが特に有利であると考えられる。超臨界洗浄は、本発明の譲受人に譲渡されている米国特許6,589,355(参照として本明細書中に包含する)に開示されている。超臨界洗浄用途のためには、幾つかの態様においては、共沸混合物又は共沸混合物様の組成物に加えて、CO、及び超臨界洗浄用途に関して用いることが公知の他の更なる成分のような1以上の更なる成分を本洗浄組成物中に含ませることが好ましい。また、幾つかの態様においては、特定の蒸気脱脂法及び溶媒洗浄法に関して本洗浄組成物を用いることが可能で且つ望ましい可能性もある。
【0090】
可燃性低減方法:
幾つかの他の好ましい態様によれば、本発明は、流体に本発明の化合物又は組成物を加えることを含む、流体の可燃性を低減する方法を提供する。任意の広範囲の可燃性流体に関する可燃性を、本発明によって低減させることができる。例えば、エチレンオキシド、可燃性ヒドロフルオロカーボン、及び炭化水素、例えばHFC−152a、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、ジフルオロメタン(HFC−32)、プロパン、ヘキサン、オクタンなどのような流体に関する可燃性を、本発明によって低減させることができる。本発明の目的のためには、可燃性流体とは、ASTM−E−681などのような任意の標準的な通常の試験方法によって測定して空気中において可燃範囲を示す任
意の流体であってよい。
【0091】
本発明にしたがって、任意の好適な量の本化合物又は組成物を加えて流体の可燃性を低減させることができる。当業者に認識されるように、加える量は、少なくとも部分的に、対象の流体の可燃性の程度、及びその可燃性を低減することが所望されている程度によって定まる。幾つかの好ましい態様においては、可燃性流体に加えられる化合物又は組成物の量は、得られる流体を実質的に不燃性にするのに有効なものである。
【0092】
炎抑制方法:
本発明は更に、炎を本発明の化合物又は組成物を含む流体と接触させることを含む炎を抑制する方法を提供する。炎を本組成物と接触させるために任意の好適な方法を用いることができる。例えば、本発明の組成物を炎の上に噴霧、注ぐなどすることができ、あるいは炎の少なくとも一部を組成物中に浸漬させることができる。本明細書における教示を考慮すると、当業者は、種々の通常の炎抑制装置及び方法を本発明において用いるように容易に適用させることができるであろう。
【0093】
滅菌方法:
特に医療分野で用いるための多くの物品、器具、及び材料は、患者及び病院職員の健康及び安全のような健康上及び安全上の理由のために、使用する前に滅菌しなければならない。本発明は、滅菌する物品、器具、又は材料を、共沸混合物又は共沸混合物様の組成物に加えて1種類以上の共滅菌剤を含む本発明の組成物と接触させることを含む滅菌方法を提供する。多くの滅菌剤が当該技術において公知であり、本発明に関して用いるように適合させることができると考えられるが、幾つかの好ましい態様においては、滅菌剤は、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド、過酸化水素、二酸化塩素、オゾン、及びこれらの組み合わせを含む。幾つかの態様においては、エチレンオキシドが好ましい滅菌剤である。本明細書に含まれる教示を考慮すると、当業者は、本滅菌組成物及び方法に関して用いられる滅菌剤と1種類又は複数の本化合物との相対的な割合を容易に決定することができ、全てのかかる範囲は本発明の広い範囲内である。当業者に公知なように、エチレンオキシドのような幾つかの滅菌剤は比較的可燃性の成分であり、本発明による1種類又は複数の化合物は、組成物中に存在する他の成分と共に、滅菌組成物の可燃性を許容できるレベルまで低減させるのに有効な量で本組成物中に含ませる。
【0094】
本発明の滅菌方法は高温又は低温滅菌のいずれでもよいが、本発明は、約250°F〜約270°Fの温度において、好ましくは実質的に密閉されたチャンバー内で本発明の化合物又は組成物を用いることを含む。このプロセスは通常、約2時間未満で完了させることができる。しかしながら、プラスチック物品及び電気部品のような幾つかの物品はそのような高温に耐えることができず、低温滅菌が必要である。低温滅菌方法においては、滅菌する物品を、ほぼ室温〜約200°Fの温度、より好ましくはほぼ室温〜約100°Fの温度において、本発明の組成物を含む流体に曝露する。
【0095】
本発明の低温滅菌は、好ましくは、実質的に密閉され、好ましくは気密のチャンバー内で行なう少なくとも2工程のプロセスである。第1工程(滅菌工程)においては、洗浄して気体透過性の袋の中に被包した物品をチャンバー内に配置する。次に、真空に引き、及び場合によっては空気を水蒸気で置き換えることによって、チャンバーから空気を排気する。幾つかの態様においては、チャンバー中に水蒸気を注入して、好ましくは約30%〜約70%の範囲の相対湿度を達成することが好ましい。そのような湿度は、所望の相対湿度が達成された後にチャンバー中に導入される滅菌剤の滅菌効果を最大にすることができる。滅菌剤が被包を透過して物品の隙間に到達するのに十分な時間の後、滅菌剤と水蒸気をチャンバーから排気する。
【0096】
このプロセスの好ましい第2工程(通気工程)においては、物品を通気して滅菌剤残留物を除去する。かかる残留物を除去することは、毒性の滅菌剤の場合において特に重要であるが、実質的に非毒性の本発明の化合物を用いる場合においては随意である。代表的な通気プロセスとしては、空気洗浄、連続通気、及びこれら2つの組み合わせが挙げられる。空気洗浄はバッチプロセスであり、通常はチャンバーを比較的短い時間、例えば12分間排気し、次いでチャンバー中に空気を大気圧以上で導入することを含む。このサイクルは、滅菌剤の所望の除去が達成されるまで任意の回数繰り返す。連続通気は、通常は、チャンバーの一方の側の入口を通して空気を導入し、次に、出口にわずかな真空を加えることによって、チャンバーの他方の側の出口を通してそれを抜き出すことを含む。しばしば、これら2つの方法が組み合わせられる。例えば、一般的なアプローチは、空気洗浄を行い、次に通気サイクルを行うことを含む。
【実施例】
【0097】
例示であるが、いかなるようにも限定しないことを意図する以下の実施例において、本発明を更に示す。関連する実施例に関しては、Swietolslowskiによって彼の書籍"Ebulliometric Measurements" (Reinhold, 1945)に記載されている一般的なタイプの沸点測定装置を用いた。
【0098】
実施例1:
頂部上に凝縮器を有し、水晶温度計を更に取り付けた真空ジャケット付きチューブから構成される沸点測定装置を用いた。まず、約20.58gの1234yfを沸点測定装置中に充填した。次に、1233zd(E)を、少量の測定された増分で加えた。1233zd(E)を1234yfに加えた際に、14.4psiaにおいて温度低下が観察され、これは二元の最小沸点共沸混合物が形成されたことを示す。約0より多く約20重量%までの1233zd(E)において、混合物の沸点は1234yfの沸点よりも低く維持された。
【0099】
【表1】
【0100】
実施例2:
頂部上に凝縮器を有し、水晶温度計を更に取り付けた真空ジャケット付きチューブから
構成される沸点測定装置を用いた。まず、約20.3gの1234ze(E)を沸点測定装置中に充填した。次に、1233zd(E)を、少量の測定された増分で加えた。1233zd(E)を1234ze(E)に加えた際に、14.4psiaにおいて温度低下が観察され、これは二元の最小沸点共沸混合物が形成されたことを示す。約0より多く約3.3重量%までの1233zd(E)において、混合物の沸点は1234yfの沸点よも低く維持された。
【0101】
【表2】
【0102】
実施例3:
98重量%のHFO−1234yf及び約2重量%のトランス−1233zdを含む共沸混合物様の混合物を、エアゾール缶中に装填した。エアゾールバルブを所定の位置に曲げて、バルブを通してHFC−134aを加えて、約20psigの缶内の圧力を達成した。次に、混合物を表面上に噴霧すると、この共沸性混合物がエアゾールとして有用であることが示された。このエアゾールは、脱臭剤、香水、ヘアスプレー、洗浄溶媒、潤滑剤、殺虫剤、及び医薬材料からなる群から選択される少なくとも1種類の活性成分を噴霧するのに有効に用いられる。
【0103】
実施例4:
90重量%のHFO−1234yf及び約10重量%のトランス−1233zdを含む共沸混合物様の混合物を、エアゾール缶中に装填した。エアゾールバルブを所定の位置に曲げて、バルブを通してHFC−134aを加えて、約20psigの缶内の圧力を達成した。次に、混合物を表面上に噴霧すると、この共沸性混合物がエアゾールとして有用であることが示された。このエアゾールは、脱臭剤、香水、ヘアスプレー、洗浄溶媒、潤滑剤、殺虫剤、及び医薬材料からなる群から選択される少なくとも1種類の活性成分を噴霧するのに有効に用いられる。
【0104】
実施例5:
80重量%のHFO−1234yf及び約20重量%のトランス−1233zdを含む共沸混合物様の混合物を、エアゾール缶中に装填した。エアゾールバルブを所定の位置に曲げて、必要な場合にはバルブを通してHFC−134aを加えて、約20psigの缶内の圧力を達成した。次に、混合物を表面上に噴霧すると、この共沸性混合物がエアゾールとして有用であることが示された。このエアゾールは、脱臭剤、香水、ヘアスプレー、
洗浄溶媒、潤滑剤、殺虫剤、及び医薬材料からなる群から選択される少なくとも1種類の活性成分を噴霧するのに有効に用いられる。
【0105】
実施例6:
98重量%のHFO−1234ze及び約2重量%のトランス−1233zdを含む共沸混合物様の混合物を、エアゾール缶中に装填した。エアゾールバルブを所定の位置に曲げて、必要な場合にはバルブを通してHFC−134aを加えて、約20psigの缶内の圧力を達成した。次に、混合物を表面上に噴霧すると、この共沸性混合物がエアゾールとして有用であることが示された。このエアゾールは、脱臭剤、香水、ヘアスプレー、洗浄溶媒、潤滑剤、殺虫剤、及び医薬材料からなる群から選択される少なくとも1種類の活性成分を噴霧するのに有効に用いられる。
【0106】
実施例7:
95重量%のトランス−HFO−1234ze及び約5重量%のトランス−1233zdを含む共沸混合物様の混合物を、エアゾール缶中に装填した。エアゾールバルブを所定の位置に曲げて、必要な場合にはバルブを通してHFC−134aを加えて、約20psigの缶内の圧力を達成した。次に、混合物を表面上に噴霧すると、この共沸性混合物がエアゾールとして有用であることが示された。このエアゾールは、脱臭剤、香水、ヘアスプレー、洗浄溶媒、潤滑剤、殺虫剤、及び医薬材料からなる群から選択される少なくとも1種類の活性成分を噴霧するのに有効に用いられる。
【0107】
実施例8:
85重量%のトランス−HFO−1234ze及び約15重量%のトランス−1233zdを含む共沸混合物様の混合物を、エアゾール缶中に装填した。エアゾールバルブを所定の位置に曲げて、必要な場合にはバルブを通してHFC−134aを加えて、約20psigの缶内の圧力を達成した。次に、混合物を表面上に噴霧すると、この共沸性混合物がエアゾールとして有用であることが示された。このエアゾールは、脱臭剤、香水、ヘアスプレー、洗浄溶媒、潤滑剤、殺虫剤、及び医薬材料からなる群から選択される少なくとも1種類の活性成分を噴霧するのに有効に用いられる。
【0108】
実施例9:
性能係数(COP)は、冷媒の蒸発又は凝縮を伴う特定の加熱又は冷却サイクルにおける冷媒の相対的な熱力学的効率を表すのに特に有用な冷媒性能の一般的に許容されている指標である。冷却工学においては、この用語は、蒸気を圧縮する際に圧縮機によって加えられたエネルギーに対する有用な冷却の比を表す。冷媒の能力は、それが与える冷却又は加熱の量を表し、所定の体積流量の冷媒に関して所定量の熱を送り込む圧縮機の能力の幾つかの指標を与える。言い換えれば、特定の圧縮機を考えると、より高い能力を有する冷媒はより多くの冷却又は加熱力を供給する。特定の運転条件における冷媒のCOPを評価する1つの手段は、標準的な冷却サイクル分析技術を用いる冷媒の熱力学的特性から評価することである(例えば、R.C. Downing, FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK, 3章, Prentice-Hall, 1988を参照)。
【0109】
見かけ上は等エントロピーの圧縮下において凝縮器温度が約150°Fであり、蒸発器温度が約−35℃であり、圧縮機の入口温度が約50°Fである冷却/空調サイクルシステムを与えた。一定範囲の凝縮器及び蒸発器温度にわたって本発明の幾つかの組成物に関するCOPを測定し、1.00のCOP値、1.00の能力値、及び175°Fの吐出温度を有するHFC−134aを基準として下表3に報告する。
【0110】
【表3】
【0111】
本実施例は、本発明の共沸混合物様の組成物はそれぞれHFC−134aとほぼ同等か又はこれよりも良好なエネルギー効率を有し、本冷媒組成物を用いる圧縮機は有利である吐出温度を生成することを示す。したがって、幾つかの好ましい態様においては、本発明は、冷却システムの能力が、冷媒としてR−134aを用いる同じシステムの能力の少なくとも約100%、より好ましくは少なくとも約105%である、本発明の組成物を用いることを含む物品又は流体を加熱又は冷却する方法を提供する。
【0112】
実施例10:
本発明の共沸混合物様の組成物と種々の冷却潤滑剤との混和性を試験した。試験した潤滑剤は、鉱油(C3)、アルキルベンゼン(Zerol 150)、エステル油(Mobil EAL 22cc
及びSolest 120)、ポリアルキレングリコール(PAG)油(134a系用のGoodwrench冷
却油)、及びポリ(α−オレフィン)油(CP-6005-100)であった。それぞれの冷媒/油
の組み合わせに関し、3種類の組成物、即ち5、20、及び50重量%の潤滑剤で、それぞれの残りが試験する本発明の共沸混合物様の組成物である組成物を試験した。
【0113】
潤滑剤組成物を厚肉のガラスチューブ内に配置した。チューブを排気し、本発明による冷媒化合物を加え、次にチューブを密閉した。次に、チューブを空気浴雰囲気チャンバー中に配置し、その温度を約−50℃から70℃に変化させた。ほぼ10℃の間隔で、1以上の液相の存在に関してチューブの内容物の視認観察を行った。1より多い液相が観察された場合には、混合物は非混和性であったと報告する。1つの液相しか観察されなかった場合には、混合物は混和性であったと報告する。2つの液相が観察されたが、液相の1つが非常に小さい体積しか占めていなかった場合には、混合物は部分的に混和性であったと報告する。
【0114】
ポリアルキレングリコールとエステル油潤滑剤は、全ての試験した割合で全温度範囲にわたって混和性であった。
実施例11:
冷却及び空調システムにおいて用いられる金属と接触させながら、冷媒である本発明の共沸混合物様の組成物とPAG潤滑油との相溶性を、多くの冷却及び空調用途において見られるよりも遙かに厳しい条件を表す350℃において試験した。
【0115】
アルミニウム、銅、及び鋼材の試験片を、厚肉ガラスチューブに加えた。2gの油をチューブに加えた。次に、チューブを排気し、1gの冷媒を加えた。チューブを350°Fのオーブン中に1週間配置し、視認観察を行った。曝露時間の終了時において、チューブを取り出した。
【0116】
この手順を、油と本発明の共沸混合物様の組成物の以下の組み合わせに関して行った。
トランス−1233zd/トランス−HFO−1234zeとGM GoodwrenchPAG油

トランス−1233zd/トランス−HFO−1234zeとGM Goodwrench油PAG
油;
トランス−1233zd/トランス−HFO−1234zeとMOPAR-56PAG油;
トランス−1233zd/トランス−HFO−1234zeとMOPAR-56PAG油;
トランス−1233zd/トランス−HFO−1234zeとMOPAR-56PAG油;
トランス−1233zd/トランス−HFO−1234zeとGM GoodwrenchPAG油

トランス−1233zd/HFO−1234yfとGM Goodwrench油PAG油
トランス−1233zd/HFO−1234yfとMOPAR-56PAG油;
トランス−1233zd/HFO−1234yfとMOPAR-56PAG油;
トランス−1233zd/HFO−1234yfとMOPAR-56PAG油。
【0117】
全ての場合において、チューブの内容物の外観の変化は最小であった。これは、本発明の組成物が、冷却及び空調システムにおいて見られるアルミニウム、鋼材、及び銅、並びにこれらのタイプのシステムにおいてかかる組成物中に含まれるか又はかかる組成物と共に用いられる可能性がある複数のタイプの潤滑油と接触した状態で安定であることを示す。
【0118】
実施例12:
本実施例は、冷媒システムである高温ヒートポンプ及び有機ランキンサイクルシステムにおいて作動流体として用いる本発明の共沸混合物及び共沸混合物様の組成物の性能を示す。第1のシステムの例は、約35°Fの蒸発温度及び約150°Fの凝縮温度を有するものであった。便宜上の目的のために、かかる熱伝達システム、すなわち、約35°F〜約50°Fの蒸発器温度及び約80°F〜約120°FのCTを有するシステムを、ここでは「冷凍機」又は「冷凍機AC」システムと呼ぶ。比較の目的のためにR−123、及び本発明の冷却組成物を用いたそれぞれのかかるシステムの運転を下表4に報告する。
【0119】
【表4】
【0120】
上表から分かるように、重要な冷却システム性能パラメーターの多くは、R−123に関するパラメーターと比較的近接していた。多くの既存の冷却システムはR−123又は
R−123と同様の特性を有する他の冷媒用に設計されているので、当業者は、システムへの変更を比較的最小にしてR−123又は同様の高沸点の冷媒に対する代替物として用いることができる低GWP及び/又は低オゾン層破壊性の冷媒の実質的な有利性を認識するであろう。幾つかの態様においては、本発明は、好ましくは設計の実質的な変更なしに、既存のシステムにおける冷媒を本発明の組成物で置き換えることを含む改造方法を提供すると意図される。
【0121】
実施例13:
本実施例は、本発明の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を含む冷媒組成物を冷媒システムである高温ヒートポンプ又は有機ランキンサイクルシステムにおいて熱伝達流体として用いる本発明の一態様の性能を示す。第1のシステムの例は、約35°Fの蒸発温度及び約150°Fの凝縮温度を有するものであった。便宜上の目的のために、かかる熱伝達システム、すなわち、約35°F〜約50°Fの蒸発器温度及び約80°F〜約120°FのCTを有するシステムを、ここでは「冷凍機」又は「冷凍機AC」システムと呼ぶ。R−123及び本発明の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を含む冷却組成物を用いたそれぞれのかかるシステムの運転を下表5に報告する。
【0122】
【表5】
【0123】
上表から分かるように、重要な冷却システム性能パラメーターの多くは、R−123に関するパラメーターと比較的近接していた。多くの既存の冷却システムはR−123又はR−123と同様の特性を有する他の冷媒用に設計されているので、当業者は、システムへの変更を比較的最小にしてR−123又は同様の高沸点の冷媒に対する代替物として用いることができる低GWP及び/又は低オゾン層破壊性の冷媒の実質的な有利性を認識するであろう。幾つかの態様においては、本発明は、好ましくは設計の実質的な変更なしに、既存のシステムにおける冷媒を本発明の組成物で置き換えることを含む改造方法を提供したと意図される。
【0124】
実施例14:
本実施例は、本発明の共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を含む冷媒組成物を4種類の冷媒システムにおいてHFC−134aに対する代替物として用いる本発明の一態様の性能を示す。第1のシステムは、約20°Fの蒸発器温度(ET)及び約130°Fの凝縮器温度(CT)を有するものであった(実施例54A)。便宜上の目的のために、かかる熱伝達システム、すなわち、約0°F〜約35°FのET及び約80°F〜約130°
FのCTを有するシステムを、ここでは「中温」システムと呼ぶ。第2のシステムは、約−10°FのET及び約110°FのCTを有するものであった(実施例54B)。便宜上の目的のために、かかる熱伝達システム、すなわち、約−20°F〜約20°Fの蒸発器温度及び約80°F〜約130°FのCTを有するシステムを、ここでは「冷却/冷凍機」システムと呼ぶ。第3のシステムは、約35°FのET及び約150°FのCTを有するものであった(実施例154)。便宜上の目的のために、かかる熱伝達システム、すなわち、約30°F〜約60°Fの蒸発器温度及び約90°F〜約200°FのCTを有するシステムを、ここでは「自動車用AC」システムと呼ぶ。第4のシステムは、約40°FのET及び約60°FのCTを有するものであった(実施例54D)。便宜上の目的のために、かかる熱伝達システム、すなわち、約35°F〜約50°Fの蒸発器温度及び約80°F〜約120°FのCTを有するシステムを、ここでは「冷凍機」又は「冷凍機AC」システムと呼ぶ。R−134a、及びHFO−1234yfをベースとする共沸混合物又は共沸混合物様の組成物を含む冷却組成物を用いたそれぞれのかかるシステムの運転を下表6A〜Dに報告する。
【0125】
【表6A】
【0126】
【表6B】
【0127】
【表6C】
【0128】
【表6D】
【0129】
上表から分かるように、重要な冷却システム性能パラメーターの多くは、R−134aに関するパラメーターと比較的近接していた。多くの既存の冷却システムはR−134a又はR−134aと同様の特性を有する他の冷媒用に設計されているので、当業者は、システムへの変更を比較的最小にしてR−134a又は同様の冷媒に対する代替物として用いることができる低GWP及び/又は低オゾン層破壊性の冷媒の実質的な有利性を認識するであろう。幾つかの態様においては、本発明は、システムの実質的な変更なしに、既存のシステムにおける冷媒を本発明の組成物で置き換えることを含む改造方法を提供したと意図される。幾つかの好ましい態様においては、置換工程は、本発明の冷媒を適合させるためにシステムの実質的な再設計を必要とせず、装置の主要な部品を置き換える必要がないという意味でドロップイン置換である。
【0130】
実施例15:ポリオールフォーム:
本実施例は、本発明の1つの好ましい態様による発泡剤の使用、即ちトランス−HFO−1234zeをベースとする共沸混合物又は共沸混合物様の組成物の使用、及び本発明によるポリオールフォームの製造を示す。ポリオールフォーム配合物の成分は下表7にしたがって調製した。
【0131】
【表7】
【0132】
フォームは、発泡剤を添加せずに、まずその成分を混合することによって製造した。2つのフィッシャー・ポーター管に、それぞれ、約52.6gのポリオール混合物(発泡剤を含まない)を充填し、密閉し、冷蔵庫内に配置して冷却してわずかな真空を形成した。ガスビュレットを用いて、約17.4gの共沸混合物をそれぞれの管に加え、次に温水中の超音波浴中に管を配置して、30分間放置した。生成した溶液は曇っており、室温において蒸気圧を測定したところ約70psigの蒸気圧が示され、これは発泡剤が溶解していないことを示す。次に、管を27°Fの冷凍庫内に2時間配置した。再び蒸気圧を測定し、約14psigであることが分かった。約87.9gのイソシアネート混合物を金属容器中に配置し、冷蔵庫内に配置して約50°Fに冷却した。次に、ポリオール管を開放し、金属混合容器中に秤量投入した(約100gのポリオールブレンドを用いた)。次に、冷却した金属容器からイソシアネートを直ちにポリオール中に注ぎ入れ、二重プロペラを有するエアミキサーを用いて3000RPMで10秒間混合した。このブレンドは撹拌によって速やかに泡立ち始め、次にこれを8×8×4インチの箱の中に注ぎ入れ、発泡させた。泡のために、クリームタイムは測定できなかった。フォームは、約4分のゲル化時間及び約5分の不粘着時間を有していた。次に、フォームを室温において二日間硬化させた。次に、フォームを、物理特性を測定するために好適な試料に切断し、約2pcfの密度を有することが分かった。K−ファクターを測定したところ、下表83に示すようなものであることが分かった。
【0133】
【表8】
【0134】
実施例16:ポリスチレンフォーム:
本実施例は、本発明の2つの好ましい態様による発泡剤の使用、即ちトランス−HFO−1234zeをベースとする共沸混合物及びHFO−1234yfをベースとする共沸混合物の使用、並びにポリスチレンフォームの製造を示す。試験装置及び試験手順は、特定の発泡剤及びポリマーがフォームを生成することができるかどうか、及びそのフォームの性質を求めることを助けるものとして定めた。粉砕したポリマー(Dowポリスチレン685D)、並びにトランス−1233zd/トランス−HFO−1234zeの共沸混合物か
ら実質的に構成される発泡剤、及びトランス−1233zd/HFO−1234yfの共沸混合物から実質的に構成される発泡剤を容器内で混合した。容器の略図を図1に示す。容器の容積は200cmであり、それは2つのパイプフランジ、及び直径2インチで長さ4インチのスケジュール40ステンレススチールパイプの部分から構成されていた。容器をオーブン内に配置し、温度を約190°F〜約285°F、好ましくはポリスチレンに関しては265°Fに設定し、温度平衡に達するまでそこで保持した。
【0135】
次に、容器内の圧力を開放すると、発泡ポリマーが速やかに生成した。発泡剤は、それがポリマー中に溶解するとポリマーを可塑化する。この方法を用いて製造された2種類のフォームの得られた密度を、トランス−HFO−1234ze及びHFO−1234yfを用いて製造されたフォームの密度として表9に与える。このデータは、本発明にしたがってフォームポリスチレンを得ることができることを示す。ポリスチレンと共にR1234zeを用いる場合のダイ温度は約250°Fであった。
【0136】
【表9】
【0137】
本実施例は、二軸タイプの押出機内で形成されるポリスチレンフォームのための発泡剤としての本発明のそれぞれの組成物単独の性能を示す。本実施例において用いた装置は、以下の特徴を有するLeistritz二軸押出機であった。
【0138】
30mm共回転スクリュー;
L:D比=40:1。
押出機は10のセクションに分割され、それぞれが4:1のL:Dを示していた。ポリスチレン樹脂は第1セクション中に導入し、発泡剤は第6セクション中に導入し、押出物は第10セクションから排出した。押出機は、主として溶融/混合押出機として運転した。次段の冷却押出機はタンデムに接続し、その設計特徴は、次の通りであった。
【0139】
Leistritz二軸押出機;
40mm共回転スクリュー;
L:D比=40:1;
ダイ:5.0mm環状。
【0140】
ポリスチレン樹脂、すなわち、Nova 1600として示されるNova Chemicalの一般的な押出グレードのポリスチレンを、上記に示す条件下で押出機に供給した。この樹脂は、375°F〜525°Fの推奨溶融温度を有していた。ダイにおける押出機の圧力は約1320ポンド/平方インチ(psi)であり、ダイにおける温度は約115℃であった。上記記載の共沸性組成物のそれぞれから実質的に構成される発泡剤を、上記に示す位置で押出機に加え、成核剤として全発泡剤を基準として約0.5重量%のタルクを含ませた。本発明にしたがって、10重量%、12重量%、及び14重量%の濃度の発泡剤を用いてフォームを製造した。製造されたフォームの密度は約0.1g/cm〜0.05g/cmの範囲であり、約45〜約70ミクロンの気泡径を有していた。約30mmの直径のフォームは視覚的に非常に良好な品質であり、非常に微細な気泡径であり、目に見えるか又は明らかなブローホール又は空隙はなかった。
【0141】
実施例16a:ポリスチレンフォーム:
発泡剤が、約50重量%の上記に記載の共沸混合物のそれぞれ、及び50重量%のHFC−245fa、並びに実施例15に示す濃度の成核剤を含む他は、実施例15の手順を繰り返した。約10%及び12%の発泡剤濃度において発泡ポリスチレンを製造した。製造されたフォームの密度は約0.1g/cmであり、約200ミクロンの気泡径を有していた。約30mmの直径のフォームは視覚的に非常に良好な品質であり、微細な気泡構造であり、目に見えるか又は明らかな空隙はなかった。
【0142】
実施例16b:ポリスチレンフォーム:
発泡剤が、約80重量%の上記に記載の共沸混合物のそれぞれ、及び20重量%のHFC−245fa、並びに実施例15に示す濃度の成核剤を含む他は、実施例15の手順を繰り返した。約10%及び12%の発泡剤濃度において発泡ポリスチレンを製造した。製造されたフォームの密度は約0.1g/cmであり、約120ミクロンの気泡径を有していた。約30mmの直径のフォームは視覚的に非常に良好な品質であり、微細な気泡構造であり、目に見えるか又は明らかな空隙はなかった。
【0143】
実施例17:ポリウレタンフォーム圧縮強度:
本実施例は、炭化水素共発泡剤、特にシクロペンタン共発泡剤と組み合わせて使用した本発明のトランス−HFO−1234zeをベースとする共沸混合物の、ポリウレタンフォームの圧縮強度性能における性能を示す。
【0144】
商業的に入手可能な冷却機器タイプのポリウレタンフォーム配合物(フォーム形成剤)
を与えた。ポリオールブレンドは、1種類又は複数の商業的なポリオール、1種類又は複数の触媒、及び1種類又は複数の界面活性剤から構成した。この配合物を、気体発泡剤に関して使用するために適合させた。標準的な商業的ポリウレタン処理装置をフォーム形成プロセスのために用いた。全発泡剤の約60モル%の濃度のトランス−HFO−1234zeをベースとする共沸混合物、並びに約40モル%の濃度のシクロペンタンを含む気体発泡剤混合物を形成した。本実施例は物理特性性能を示す。下表10に、HFC−245faから構成される発泡剤及びシクロペンタンから構成される発泡剤を用いて製造したフォームと比較した、本発明の発泡剤を用いて同様な機械で製造したポリウレタンフォームの圧縮強度を報告する。
【0145】
【表10】
【0146】
実施例18:溶媒としてのトランス−1233zd共沸混合物:
トランス−HFO−1234zeをベースとする共沸混合物及びHFO−1234yfをベースとする共沸混合物をガラス容器に移した。シリコン潤滑剤、特に、高粘度(12,500cP)シリコーン油をそれぞれの共沸混合物に約10重量%の濃度まで加えた。これにより均一な単一相の溶液が得られ、これはそれぞれの共沸混合物がシリコーンベースの潤滑油を溶解することを示す。
【0147】
実施例19:洗浄剤としてのトランス−1233zdの共沸混合物:
金属試験片をロジンベースのはんだフラックスで被覆し、乾燥させた。試験片を秤量し、次にトランス−HFO−1234zeをベースとする共沸混合物及びHFO−1234yfをベースとする共沸混合物中に浸漬した。試験片を取り出し、乾燥させ、再秤量して、どのくらい多くのはんだフラックスが除去されたかを求めた。2回の実験で、平均で25重量%のフラックスが除去された。
【0148】
実施例20:抽出剤としてのトランス−1233zd共沸混合物:
薬剤、特に抗マラリア薬である植物由来のアルテミシニンをクソニンジンの植物から抽出した。アルテミシニンの試料をバイアル中に秤量投入した。トランス−HFO−1234zeをベースとする共沸混合物及びHFO−1234yfをベースとする共沸混合物を、アルテミシニンが溶解するまでバイアルに加えた。結果は、薬剤、特にアルテミシニンのような植物由来の薬剤がそれぞれの共沸混合物中に約3重量%まで可溶であることを示し、これはこれを用いてバイオマスから薬剤を抽出できることを示す。
【0149】
かくして本発明の少数の特定の態様を記載したが、種々の変更、修正、及び改良は当業者が容易に想到するであろう。かかる変更、修正、及び改良は、この開示によって明らかとなるように、本明細書には明確に示していないが本記載の一部であると意図され、本発明の精神及び範囲内であると意図される。したがって、上記の記載は例示のみの目的であり、限定するものではない。本発明は特許請求の範囲及びそれに対する均等物において規定されているようにのみ限定される。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランス−HFO−1233zd)、並びに2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランス−HFO−1234ze)からなる群から選択される第2の成分から実質的に構成される二元の共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を含む組成物。
[2]
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、約80〜約99.9重量%のトランス−HFO−1234ze及び約0.1〜約20重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、[1]に記載の組成物。
[3]
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、約83〜約99.9重量%のトランス−HFO−1234ze及び約0.1〜約17重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、[1]に記載の組成物。
[4]
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、約97〜約99.7重量%のトランス−HFO−1234ze及び約0.3〜約3重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、[1]に記載の組成物。
[5]
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、約75〜約99.9重量%のHFO−1234yf及び約0.1〜約25重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、[1]に記載の組成物。
[6]
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、約85〜約99.9重量%のHFO−1234yf及び約0.1〜約15重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、[1]に記載の組成物。
[7]
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、約90〜約99.9重量%のHFO−1234yf及び約0.1〜約10重量%のトランス−HFO−1233zdから実質的に構成される、[1]に記載の組成物。
[8]
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、雰囲気圧力において約−18.5±1℃の沸点を有する、[1]に記載の組成物。
[9]
共沸混合物又は共沸混合物様の混合物が、雰囲気圧力において約−28.5±1℃の沸点を有する、[1]に記載の組成物。
[10]
潤滑剤、安定剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、可燃性抑制剤、共発泡剤、共溶媒、活性成分、噴霧する材料、溶媒、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種類の更なる成分を更に含む、[1]に記載の組成物。
[11]
[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物を含む熱伝達組成物。
[12]
[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物を含む溶媒組成物。
[13]
[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物を含む噴霧可能な組成物。
[14]
[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物を含む発泡剤。
[15]
[14]の発泡剤を含む発泡性組成物。
図1