特許第6227709号(P6227709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227709放射放出半導体モジュール、および複数のそのようなモジュールを有するディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227709
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】放射放出半導体モジュール、および複数のそのようなモジュールを有するディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20171030BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01L33/48
   H01L33/50
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-106302(P2016-106302)
(22)【出願日】2016年5月27日
(62)【分割の表示】特願2014-510700(P2014-510700)の分割
【原出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2016-178330(P2016-178330A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】102011102032.6
(32)【優先日】2011年5月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】フォン マルム ノーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ボグナー ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ライル ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】グレッチュ ステファン
【審査官】 村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−327188(JP,A)
【文献】 特開2007−165535(JP,A)
【文献】 特表2008−532250(JP,A)
【文献】 特表2011−511447(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/144024(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
F21S 2/00−2/00,390
F21S 2/00,500−19/00,300
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動作時発光領域(1)および前記発光領域(1)を駆動させるアクティブマトリクス駆動装置を備える放射放出半導体モジュール(10)であって、
少なくとも1つの発光領域(1)の少なくとも2本の相互に隣接する側辺(11a,11b)が、0゜より大きく90゜より小さい角度(α)に互いに配置されており、
前記発光領域(1)が2つのグループ(2a,2b)に分かれており、前記グループ(2a,2b)内のすべての発光領域(1)が互いに同一に具体化されており、
第1のグループ(2a)の前記発光領域(1)が平行四辺形の形に具体化されており、前記角度(α)が15゜〜45゜の範囲内(両端値を含む)であり、
第2のグループ(2b)の前記発光領域(1)が、長方形または正方形の形に具体化されており、
前記グループ(2a,2b)が互いに横方向に並んで配置されており、前記グループ(2a,2b)に互いに独立して通電することができ、
隣接する2つの発光領域(1)の間の距離(D)が、1μm〜20μmの範囲内(両端値を含む)であり、
前記複数の発光領域(1)は、放射を生成するのに適した活性層を有する共通の半導体ボディを有するように一体式に具体化されており
前記アクティブマトリクス駆動装置は、シリコンウェハにおいて実施されたCMOS構造の形で存在する少なくとも1つのトランジスタ(5)を備え、
前記発光領域(1)は、前記半導体ボディと前記シリコンウェハとの直接接合により、前記トランジスタ(5)と1対1の関係で電気的かつ機械的に接続されている、
放射放出半導体モジュール(10)。
【請求項2】
前記モジュールは、少なくとも20個×20個の発光領域を有する、
請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記角度(α)が45゜である、
請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記発光領域(1)は、前記共通の半導体ボディをエピタキシャルに成長させた成長基板が製造中に完全に剥離された薄膜LEDである、
請求項1から請求項3の何れかに記載のモジュール。
【請求項5】
前記第1、第2のグループ(2a,2b)の前記発光領域(1)は直線的に配置され、前記第2グループ(2b)の少なくとも2つの列は、前記第1グループ(2a)の少なくとも1つの列よりも長い、
請求項1、3又は4の何れかに記載のモジュール。
【請求項6】
前記第1のグループ(2a)が1列に配置された10個の発光領域からなり、前記第2グループ(2b)が2列に配置された14個の発光領域からなる、
請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記発光領域(1)が行列状に配置され、全ての前記発光領域(1)が互いに等距離に配置されている、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のモジュール。
【請求項8】
前記発光領域(1)が、ブロック単位(2a,2b)で配置されている、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のモジュール。
【請求項9】
少なくとも1つの前記発光領域(1)は、赤外スペクトル領域における放射を生成するのに適した前記活性層を備えている、
請求項1から請求項8のいずれかに記載のモジュール。
【請求項10】
各発光領域(1)の少なくとも1本の側辺(11a)が、30μm〜1mmの範囲内(両端値を含む)の長さ(L)を有する、
請求項1から請求項9のいずれかに記載のモジュール。
【請求項11】
放出方向において前記発光領域(1)の下流に、一次光学ユニット(8a)および二次光学ユニット(8b)が配置されている、
請求項1から請求項10のいずれかに記載のモジュール。
【請求項12】
放出方向において前記発光領域(1)の下流に共通の変換層(3)が配置されている、
請求項1から請求項11のいずれかに記載のモジュール。
【請求項13】
前記変換層(3)は、セラミック変換体を備え、
ディスプレイが全体として白色光を放出するように、前記発光領域(1)が青色放射し、前記青色放射が変換層(3)によって黄色放射に変換される、
請求項12に記載のモジュール。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の放射放出半導体モジュール(10)を複数有するディスプレイであって、前記複数の放射放出半導体モジュール(10)が互いに横方向に並んで配置されており、
少なくとも1つのモジュール(10)の前記発光領域(1)を動作させるための少なくとも1つの駆動回路(4,5,6,7)、
をさらに備え、
前記駆動回路(4,5,6,7)は、前記モジュール(10)にモノリシックに集積化されている、
ディスプレイ。
【請求項15】
前記発光領域(1)の駆動に応じて複数の異なる光機能を実行する自動車用ヘッドライトとしての請求項14に記載のディスプレイの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の動作時発光領域を有するオプトエレクトロニクス半導体モジュールに関する。さらに、本発明は、複数のそのような半導体モジュールを有するディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
一定の限られた角度範囲に光が集中する光源(例えばヘッドライトなど)の放射方向を、動作中に変化させる必要が生じることがしばしばある。これは特に、自動車のヘッドライトの場合にあてはまる。この場合、コントローラに機械的に結合されている回転可能なヘッドライト固定具(rotatable headlight fixtures)が公知である。
【0003】
さらに、自動車のヘッドライトとして、適応型フロントヘッドライト(いわゆる「アダプティブフロントライティングシステム」、略してAFS)が公知である。このような適応型フロントヘッドライトでは、単一の照明システムにおいて道路交通における複数の異なる照明機能が可能になる。特に、交通状況に応じた照明を提供することができる。しかしながら、このような従来の適応型フロントヘッドライトの場合、発生する問題として、発光ダイオードの直接投影においては、個々の光源の結像によって暗い中間スペースが生じてしまい、均一な照明が達成されない。これは特に自動車用ヘッドライトの場合に大きな問題である。さらに、従来の適応型フロントヘッドライトでは、特に、ロービーム光に規定されている明確な明暗遷移が可能ではない。
【0004】
特許文献1、特許文献2、および特許文献3には、例えば、個別に駆動することのできる複数の個々のLEDまたはLEDチップを備えた自動車用ヘッドライトが開示されており、対応する光学ユニットとの組合せにおいて、可変型のヘッドライトが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第102005014754号明細書
【特許文献2】独国特許第102007046339号明細書
【特許文献3】欧州特許第1842723号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の目的は、変化する放射特性を有するオプトエレクトロニクス半導体モジュールであって、特にAFS用に適しており、例えばロービーム光に規定されている明確な明暗遷移(distinctly pronounced bright-dark transition)を達成するオプトエレクトロニクス半導体モジュール、を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を備えたオプトエレクトロニクス半導体モジュールによって達成される。さらに、この目的は、請求項13に記載のモジュールを複数有するディスプレイによって達成される。従属請求項は、モジュールおよびディスプレイの有利な発展形態に関する。
【0008】
実施形態においては、本オプトエレクトロニクス半導体モジュールは、複数の動作時発光領域を備えており、少なくとも1つの発光領域の少なくとも2本の相互に隣接する側辺が、0゜より大きく90゜より小さい角度に互いに配置されている。
【0009】
したがって、少なくとも1つの発光領域は、正方形または長方形の形には具体化されておらず、斜めの側辺を有する。側辺を斜めに具体化することによって、特に高いコントラストおよび直線状の縁部を有する、ロービームに規定されている角度明暗境界を形成することが可能になり、これは有利である。したがって、本発明によるモジュールでは、機械的に可動の部品なしに、例えば自動車の前照灯の領域における照明が可能となり、この照明は、有利に高い空間解像度(spatial resolution)と同時に、要求される照度を有することを特徴とする。
【0010】
複数の動作時発光領域は、一体式に具体化することができる。この場合、複数の発光領域は、放射を生成するのに適した活性層を有する共通の半導体ボディを有する。この場合、発光領域は、半導体ボディの領域の対応する通電によって形成される。
【0011】
これに代えて、発光領域を、個別かつ個々に具体化することができる。この場合、各発光領域は、放射を生成するための活性層を有する個別の半導体ボディを有する。
【0012】
半導体モジュールは、少なくとも2×2個の発光領域、好ましくは少なくとも10×10個の発光領域、特に好ましくは少なくとも20×20個の発光領域を有することが好ましい。
【0013】
少なくとも1つの発光領域の少なくとも2本の相互に隣接する側辺の長さは、同じ長さに具体化することができる。これに代えて、側辺の長さは、異なる長さ比を有する。
【0014】
発展形態においては、本モジュールのすべての発光領域は、0゜より大きく90゜より小さい角度に互いに配置されている2本の相互に隣接する側辺を有する。したがって、すべての発光領域は、明暗境界の特に高いコントラストおよび直線状の縁部を形成するのに適している斜めの側辺を有する。
【0015】
発展形態においては、モジュールが同様に斜めの側辺を有するように、すなわち、0゜より大きく90゜より小さい角度に互いに配置されている少なくとも2本の相互に隣接する側辺を有するように、モジュールの発光領域が互いに配置されている。
【0016】
発展形態においては、発光領域は、面発光領域である。発光領域は、電子的に生成されたデータまたはエネルギを光の放射に変換する、またはこの逆に変換するのに適していることが好ましい。発光領域は、特に、オプトエレクトロニクス領域または放射放出領域である。例えば、発光領域は、LEDである、特に好ましくは薄膜LEDである。薄膜LEDとは、本出願においては、上に1つまたは複数の半導体ボディをエピタキシャルに成長させた成長基板が製造中に好ましくは完全に剥離されたLEDであるものとする。
【0017】
発光領域それぞれは、放射を生成するためのpn接合部、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸(SQW)構造、または多重量子井戸(MQW)構造を有することが好ましい活性層または活性層の領域を備えている。発光領域、特に発光領域の層は、III−V族半導体材料を含んでいることが好ましい。III−V族半導体材料は、紫外スペクトル領域から可視スペクトル領域、さらには赤外スペクトル領域における放射を生成するのに特に適している。発光領域は青色発光領域であることが好ましい。
【0018】
発展形態においては、2本の相互に隣接する側辺の間の角度は、15゜〜45゜の範囲内(両端値を含む)である。側辺がこのような範囲内の角度を有する場合、モジュールの特に高いコントラストおよび直線状の縁部を有する特に良好な明暗境界を確保することが可能である。一発展形態においては、相互に隣接する側辺によってそれぞれ形成される、少なくとも1つの発光領域のすべての角度は、90゜からずれている。モジュールのすべての発光領域のすべての角度が90゜からずれていることが好ましい。
【0019】
発展形態においては、少なくとも1つの発光領域は、平行四辺形の形に具体化されている。少なくとも1つの発光領域は、菱形の形に具体化されていることが好ましい。モジュールのすべての発光領域が平行四辺形の形に具体化されていることが好ましい。特に好ましくは、モジュールが同様に平行四辺形の形に具体化されるように、モジュールの発光領域が互いに配置されている。
【0020】
発展形態においては、少なくとも1つの発光領域は、三角形の形に具体化されている。したがって、この場合、平行四辺形が中央でもう一度分割されて2つの個別の領域が形成される。モジュールのすべての発光領域が三角形の形に具体化されていることが好ましい。特に好ましくは、モジュール全体が平行四辺形の形に具体化されるように、三角形の発光領域が互いに配置されている。
【0021】
発展形態においては、モジュールの発光領域は、行列状に配置されている。ここで、「行列状に」とは、発光領域が行および列に配置されており、したがって規則的な格子を形成していることを意味する。この場合、隣り合う発光領域は、互いに一定の同じ距離にあることが好ましい。
【0022】
モジュールの特定の列または行の発光領域を、モジュールの残りの列または行とは個別に電子的に駆動できることが好ましい。これにより、所望の行または列を駆動することによって、拡張された調整が可能になり、これは有利である。
【0023】
発展形態においては、モジュールの発光領域は、線形の一連の発光領域として、または向きが交互に並ぶ一連の発光領域として、またはブロック単位で、均一に配置されている。線形の一連の発光領域としての配置では、例えば、モジュールを平行四辺形として成形することが可能になる。向きが交互に並ぶ一連の発光領域とは、特に、対称軸線を中心に鏡像対称に具体化されている一連の発光領域を意味するものと理解されたい。ブロック単位の配置とは、特に、発光領域がグループ単位で配置されており、発光領域の異なるグループそれぞれに属する発光領域の形状が異なることを意味するものと理解されたい。一例として、発光領域の第1のグループが長方形形状を有し、発光領域の第2のグループが平行四辺形の形に具体化される。
【0024】
発展形態においては、2つの発光領域の間の距離は、1μm〜100μmの範囲内(両端値を含む)である。2つの発光領域の間の距離は、100μm未満、好ましくは20μm未満、特に好ましくは10μm未満であることが好ましい。
【0025】
発展形態においては、各発光領域の少なくとも1本の側辺は、30μm〜1mmの範囲内(両端値を含む)の長さを有する。発光領域の横方向長さは、1mm未満、好ましくは300μm未満、特に好ましくは150μm未満であることが好ましい。
【0026】
発展形態においては、放射特性を変化させる目的で、放出方向において発光領域の下流に、一次光学ユニットもしくは二次光学ユニットまたはその両方が配置されている。この場合、共通の一次光学ユニットもしくは共通の二次光学ユニットまたはその両方を、発光領域の下流に配置することができる。これに代えて、各発光領域が、個別の一次光学ユニットもしくは二次光学ユニットまたはその両方を有することができる。この場合、発光領域は、100μmよりもずっと大きい距離だけ互いに隔てることができる。
【0027】
発展形態においては、放出方向において発光領域の下流に変換層が配置されている。この場合、変換層は、モジュールのすべての発光領域に共通である層からなることができる。これに代えて、各発光領域が個別の変換層を有することができる。変換層の材料としては、透明なマトリックス(例えばシリコーンマトリックスなど)に埋め込まれた蛍光体粒子、またはセラミック変換体が使用される。
【0028】
発光領域は、青色放射を放出することが好ましい。例えば、モジュールが全体として白色の色度座標範囲における放射を放出するように、変換層は、青色放射を黄色放射に変換するのに適していることが好ましい。
【0029】
モジュールによって放出される放射の光色および光強度の可能なプロファイルは、変換層の散乱の程度もしくは幾何学形状またはその両方を変化させることによって設定することができる。
【0030】
個々の発光領域によって放出される放射のクロストークは、取り出し面とは反対側に配置されているミラー層が、発光領域の活性層から距離を隔てて設定されていることによって、回避できることが好ましく、この場合、発光領域の放射特性として放射が順方向の好ましい方向に放出されるように、活性層によって取り出し面の方向に放出される放射が、ミラー層において反射される放射と干渉するようにする。さらに、クロストークは、発光領域の間の吸収性構造または反射性構造(absorbent or reflective webs)によって回避することもできる。
【0031】
発展形態においては、発光領域には、それぞれ互いに独立して通電することができる。これを目的として、一例として、各発光領域は、1対1の関係でアクティブマトリクス駆動装置のトランジスタに割り当てられている。
【0032】
発展形態においては、ディスプレイは、横方向に互いに並んで配置されている複数のオプトエレクトロニクス半導体モジュールを備えている。したがって、例えば自動車のヘッドライトとして使用されるディスプレイを得ることができる。この場合、ディスプレイの個々のモジュールは、互いに直接並ぶように配置することができ、したがって、すべてのモジュールにわたり発光領域の規則的な行列が形成される。これに代えて、ディスプレイのモジュールを任意に分布させることができ、すなわち、互いに異なる距離に配置される。これにより、小型の非集中型イメージング光学ユニット(decentralized imaging optical unit)が得られ、したがって極めて平坦なヘッドライト設計が可能となる。この場合、モジュールの下流に配置される投影光学ユニット(projection optical unit)は、モジュールによって放出される放射の個々の光を結合して、連続的な光を形成する。
【0033】
モジュールに関連して記載した特徴は、ディスプレイに関してもあてはまり、逆も同様である。
【0034】
発展形態においては、1つのモジュールに属する発光領域は、隣接するモジュールの発光領域とは独立して動作させることができる。一例として、ディスプレイのモジュールは、アクティブマトリクス駆動装置に接続されており、したがって互いに個別に通電することができる。例えば各発光領域がアクティブマトリクス駆動装置のトランジスタに1対1の関係で割り当てられていることによって、モジュールの発光領域それぞれを互いに独立して通電できることが好ましい。
【0035】
ディスプレイは、少なくとも1つのモジュールの発光領域を動作させるための少なくとも1つの駆動回路を備えていることが好ましい。一例として、オプトエレクトロニクスモジュールを有するディスプレイは、例えば、外部からの符号化された信号を、発光領域の配置編成(例えば行および列)のスイッチングパターンに変換する電子部品によって拡張されている。この場合、例えば、CANバスまたはICインタフェースの入力信号が考慮される。この場合、電子部品および制御要素は、モジュールにモノリシックに集積化されるように具体化する、または個別の部品として具体化することができる。
【0036】
ディスプレイのアクティブマトリクス駆動装置は、Siにおいて実施されたCMOS構造の形のトランジスタを有し、このCMOS構造にモジュールの発光領域が接続されている。この接続は、例えば、発光領域の半導体層とSiウェハを直接接合することによって、または、Siウェハの実装領域上に発光領域の層を同時かつ連続して実装することによって、行うことができる。これに代えて、発光領域の成長基板を、例えば薄膜トランジスタを堆積およびパターニングするための基板として使用することもできる。
【0037】
発展形態においては、ディスプレイは、例えばモジュール内またはモジュール上に組み込まれる光センサ、カラーセンサ、または温度センサなどのさらなる部品を備えている。
【0038】
実施形態においては、複数のモジュールを有するディスプレイは、発光領域の駆動に応じて複数の異なる光機能を実行する自動車用ヘッドライトとして使用される。適切な光機能の例としては、都市の道路、田舎の道路、および高速道路用の適応型眩惑防止性ハイビーム光/ロービーム光、日中走行灯、位置標示灯、スポットライト、コーナリングライト、方向指示器、発光範囲自動制御装置(automatic luminous range regulation)、運転者に依存する自動車用ヘッドライトの設計が挙げられる。
【0039】
本発明のさらなる利点および有利な発展形態は、以下に図1図4を参照しながら説明する例示的な実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1A】本発明によるモジュールの例示的な実施形態の概略図を示している。
図1B】本発明によるモジュールの例示的な実施形態の概略図を示している。
図1C】本発明によるモジュールの例示的な実施形態の概略図を示している。
図1D】本発明によるモジュールの例示的な実施形態の概略図を示している。
図2A】本発明によるディスプレイの例示的な実施形態の概略図を示している。
図2B】本発明によるディスプレイの例示的な実施形態の概略図を示している。
図3】本発明によるディスプレイの例示的な実施形態の概略図を示している。
図4】本発明によるディスプレイの例示的な実施形態の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面において、同じ構成部分または同じ機能の構成部分には、それぞれ同じ参照数字を付してある。図示した構成部分および互いのサイズの関係は、正しい縮尺ではないものとみなされたい。むしろ、便宜上、または深く理解できるようにする目的で、個々の構成部分(例えば層、構造、部品、領域など)を誇張した厚さまたはサイズ寸法で示してある。
【0042】
図1Aは、複数の動作時発光領域を備えたオプトエレクトロニクス半導体モジュール10の平面図を示している。この場合、発光領域1は、例えばキャリアの上に行列状に配置されている。すなわち発光領域1は、行nおよび列mに配置されており、したがって発光領域1の配置編成は格子状に具体化されている。この場合、発光領域1は、同じサイズを有し、規則的かつ互いに等距離に配置されている。発光領域1の間の距離Dは、1μm〜100μmの範囲内(両端値を含む)、好ましくは100μm以下、特に好ましくは20μm以下、好ましくは10μm以下である。
【0043】
図1Aにおけるモジュールは、4×4個の発光領域を備えた行列を有する。しかしながら、このモジュールは、これとは異なる数の発光領域を有することもできる。一例として、このモジュールは、少なくとも20×20個の発光領域、好ましくは少なくとも10×10個の発光領域を有する。
【0044】
図1Aにおけるモジュールの発光領域1は、相互に隣接する側辺を有し、これらの側辺は、すべて90゜からずれた角度に配置されている。特に、発光領域1は、それぞれ平行四辺形の形に具体化されている。平行四辺形それぞれは、角度が90゜からずれているため、長方形または正方形として具体化されていない。すなわち、発光領域の側辺のいずれも90゜の角度にはなく、すなわち互いに直角ではない。この場合、平行四辺形は、小さい角度αと、隣接する角部にさらなる角度βとを有する。小さい方の角度αは、15゜〜45゜の範囲内(両端値を含む)であることが好ましい。このようにして具体化される発光領域は、自動車のヘッドライトのロービーム光において形成される明暗境界を確保するうえで特に適しており、この場合、明暗境界は高いコントラストおよび直線状の縁部を形成し、これは有利である。したがって、機械的に可動の部品なしに、1つのモジュールにおいて異なる照明を提供する異なるヘッドライト機能を得ることが可能であり、同時に、高い空間解像度および高い照度が生成される。
【0045】
発光領域1は、直線状の行および直線状の列に分割される発光領域1の規則的かつ均一な配置編成が得られるように、行nおよび列mに配置されている。
【0046】
さらに、モジュール10全体が同様に平行四辺形を形成して、2本の相互に隣接する側辺が互いに斜めに具体化されている、すなわち同様に0゜より大きく90゜より小さい角度αを有するように、発光領域1が互いに配置されている。
【0047】
各発光領域1の側辺11aは、30μm〜1mmの範囲内(両端値を含む)の長さLを有する。長さは、1mm以下、好ましくは300μm以下、特に好ましくは150μm以下であることが好ましい。この場合、発光領域の側辺は、異なる長さ比を有することができる。
【0048】
発光領域1は、半導体材料から形成されている。発光領域1は、放射を生成する目的で設けられた、この目的に適する活性層を有する半導体ボディから形成されていることが好ましい。この場合、モジュール10の個々の発光領域1は、共通の半導体ボディを有する、または互いに個別に隣接して配置された半導体ボディを有することができる。
【0049】
一例として、発光領域1それぞれはLEDであり、このLEDは、青色波長領域における放射を放出することが好ましい。
【0050】
図1Aにおける例示的な実施形態とは異なり、図1Bにおける発光領域1は、互いに向きが交互に並ぶ一連の領域nとして配置されている。すなわち、発光領域1は、対称軸線を中心に鏡像対称に配置されている。この場合も、図1Bにおける例示的な実施形態によるモジュール10のすべての発光領域1それぞれは、0゜より大きく90゜より小さい角度αを互いになす互いに斜めの側辺11a,11bを有する。
【0051】
図1Cにおける例示的な実施形態のモジュールは、図1Aにおけるモジュールとは異なり、発光領域1がブロック単位で配置されている。すなわち、発光領域1を2つのグループ2a,2bに分けることができ、1つのグループのすべての発光領域は互いに同一に具体化されている。一例として、第1のグループ2aの発光領域1は、0゜より大きく90゜より小さい角度αをなす互いに斜めの側辺11a,11bを有する平行四辺形の形に具体化されている。第2のグループ2bの発光領域1は、長方形または正方形の形に具体化されている。したがって、これらの発光領域1は、互いに直角である側辺を有する。
【0052】
図1Dに示したモジュール10の例示的な実施形態は、図1Aにおけるモジュールの例示的な実施形態とは異なり、平行四辺形の形で存在する発光領域が中央で分割されている。したがって、図1Dにおけるモジュール10の発光領域1は、三角形として具体化されている。この場合も、三角形として具体化されている発光領域は、90゜からずれた角度αを互いになす2本の側辺11a,11bを有する。この場合、角度αは、45゜乃至15゜であることが好ましい。この場合も、発光領域1は、行nおよび列mに分割されており、したがって行列状の格子を形成している。
【0053】
図2は、横方向に互いに並んで配置されている複数のオプトエレクトロニクス半導体モジュール10を備えたディスプレイを示している。図2Aにおけるディスプレイのモジュール10は、図1Aにおける例示的な実施形態のモジュールに対応する。
【0054】
この場合、モジュール10は、互いに距離Aを隔てて配置されている。これに代えて、すべてのモジュールにわたり発光領域の規則的な行列が形成されるように、モジュール10を互いに直接並べて配置することができる(図示していない)。
【0055】
この場合、ディスプレイのモジュール10の数は、図2Aに示した例示的な実施形態とは異なっていることができる。特に、3つ以上のモジュール10がディスプレイを形成することができる。
【0056】
1つのモジュール10に属する発光領域1は、隣接するモジュールの発光領域とは独立して動作させ得ることが好ましい。一例として、この目的には駆動回路が使用される。一例として、ディスプレイおよび対応するモジュールは、アクティブマトリクス駆動装置によって通電される。これを目的として、一例として、各発光領域は、1対1の関係でアクティブマトリクス駆動装置のトランジスタに割り当てられており、これにより発光領域を互いに独立して通電することができる。このようなアクティブマトリクス駆動装置については、図3における例示的な実施形態に関連してさらに詳しく説明する。
【0057】
図2Bにおける例示的な実施形態は、図2Aにおける例示的な実施形態とは異なり、異なって構成されたモジュール10がディスプレイに使用されている。モジュール10の一方は、例えば図1Aにおけるモジュールに従って具体化されており、第2のモジュール10は、図1Dにおける例示的な実施形態によるモジュールに対応している。所望の放射特性に応じて、このように複数の異なるモジュールを組み合わせてディスプレイを形成することができる。この場合、異なるモジュール10の組合せは、例えばディスプレイの所望の光機能に依存する。適切な光機能としては、特に、都市の道路、田舎の道路、および高速道路用の適応型眩惑防止性ハイビーム光/ロービーム光、日中走行灯、位置標示灯、スポットライト、コーナリングライト、方向指示器、発光範囲自動制御装置、ヘッドライトの運転者依存の設計が挙げられる。
【0058】
図3は、本発明によるディスプレイの断面を示しており、このディスプレイは、アクティブマトリクス駆動装置4,5,6,7の上に配置された発光領域を有する少なくとも1つのモジュールを備えている。したがって、図2Aおよび図2Bにおける例示的な実施形態と比較して、このディスプレイは、例えば、外部からの符号化された信号を、モジュールの行および列のスイッチングパターンに変換する電子部品によって拡張されている。この場合、一例として、CANバスまたはICインタフェースの入力信号が考慮される。この場合、電子制御素子は、モノリシックに集積化されるように具体化する、または個別の部品として具体化することができる。
【0059】
アクティブマトリクス駆動装置はトランジスタ5を有し、これらのトランジスタ5は、例えば、Siにおいて実施されたCMOS構造の形で存在しており、モジュールの発光領域は、このCMOS構造に1対1の関係で電気的かつ機械的に接続されている。これは、例えば、発光領域とトランジスタを直接接合することによって実現することができる。これに代えて、トランジスタのSiウェハの実装領域上に発光領域を連続して、または同時に実装することができる。これに代えて、発光領域1の層を成長させる目的に使用した成長基板を、薄膜トランジスタ5を堆積およびパターニングするための基板としても使用することができる。
【0060】
図3におけるアクティブマトリクス駆動装置は、トランジスタ5に加えて、Siから構成されるアクティブマトリクス4と、マイクロコントローラ6と、接続領域7とを有する。
【0061】
発光領域の上、特に、発光領域1の放射出口面には、変換層3が配置されている。したがって、変換層3は、放出方向において発光領域1の下流に配置されている。変換層3は、例えば、透明なマトリックス(例えばシリコーンなど)に埋め込まれた蛍光体粒子、またはセラミック変換体を備えている。好ましくは、発光領域1は青色放射を放出し、この青色放射が変換層3によって黄色放射に変換され、したがって全体としてディスプレイは白色光を放出する。
【0062】
図3の例示的な実施形態においては、モジュールのすべての発光領域の下流に、共通層としての変換層3が配置されている。
【0063】
図3における例示的な実施形態のディスプレイには、さらなる電子部品、例えば、光センサ、カラーセンサ、温度センサなどをさらに組み込むことができる(図示していない)。
【0064】
図4の例示的な実施形態においては、さらなるディスプレイが示されており、このディスプレイには、図3に示したディスプレイとは異なり、放出方向において発光領域1の下流に一次光学ユニット8aおよび二次光学ユニット8bが配置されている。この場合、一次光学ユニット8aは、発光領域1によって放出される放射に対して所定の作用を及ぼす。各発光領域1の下流に、個別の一次光学ユニット8aが配置されている。さらに、放出方向において一次光学ユニット8aの下流に二次光学ユニット8bが配置されており、二次光学ユニット8bは、すべての発光領域に共通である。図4においては、一次光学ユニット8aと二次光学ユニット8bとの間に、個々の発光領域1によって放出される光を線によって示してある。
【0065】
図4の例示的な実施形態の変換層3は、図3の例示的な実施形態とは異なり、個別の領域を有する。一例として、個別の発光領域1それぞれの下流にただ1つの変換層が配置されており、個々の発光領域の変換層は、空間的かつ機械的に互いに隔てられている。
【0066】
発光領域1によって放出された放射を一次光学ユニット8aおよび二次光学ユニット8bによって結合する結果として、発光領域1を互いに大きな距離を隔てて配置する、特に、100μmより大きい距離を隔てて互いに配置することができる。この場合、二次光学ユニット8bは、発光領域の個々の光を結合して連続的な光を形成するのに適していることが好ましい。
【0067】
ここまで、本発明について例示的な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はこれらの例示的な実施形態に限定されない。本発明は、任意の新規の特徴および特徴の任意の組合せを包含しており、特に、請求項における特徴の任意の組合せを含んでいる。これらの特徴または特徴の組合せは、それ自体が請求項あるいは例示的な実施形態に明示的に記載されていない場合であっても、本発明に含まれる。
【0068】
関連出願
本特許出願は、独国特許出願第102011102032.6号の優先権を主張し、この文書の開示内容は参照によって本明細書に組み込まれている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4