(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6227733
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】非線形PAM4信号発生装置及び非線形PAM4信号発生方法
(51)【国際特許分類】
H04L 27/04 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
H04L27/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-165941(P2016-165941)
(22)【出願日】2016年8月26日
【審査請求日】2017年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】岩井 達也
【審査官】
岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−207803(JP,A)
【文献】
特開2010−199770(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0311008(US,A1)
【文献】
N. Dikhaminjia et al.,PAM4 signaling considerations for High-Speed Serial Links,Electromagnetic Compatibility(EMC), 2016 IEEE International Symposium on,2016年 7月29日,pp.906-910
【文献】
Nobuhiko Kikuchi et al.,Non-linearity Compensation of High-Speed PAM4 Signals from Directly-Modulated Laser at High Extinction Ratio,42nd European Conference and Exhibition on Optical Communications, 2016,2016年 9月,pp.112-114
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/04
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体の振幅電圧範囲(H)が電圧レベルの低い方から低電圧範囲(H1)、中電圧範囲(H2)、高電圧範囲(H3)に分けられた3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を発生する非線形PAM4信号発生装置(1)であって、
振幅の倍率が可変可能であり、低レベル信号と高レベル信号の組み合わせからなるビット列の繰り返しパターンのデータを出力する第1、第2、第3の3つのパターン発生部(2,3,4)と、
前記第1のパターン発生部のデータと前記第2のパターン発生部のデータとを合成した合成データを出力する第1のパターン合成部(5)と、
前記第1のパターン合成部の合成データと前記第3のパターン発生部のデータとを合成する第2のパターン合成部(6)とを備え、
前記第3のパターン発生部は、前記第2のパターン合成部から4値の合成データが出力される繰り返しパターンのデータを出力することを特徴とする非線形PAM4信号発生装置。
【請求項2】
全体の振幅電圧範囲(H)が電圧レベルの低い方から低電圧範囲(H1)、中電圧範囲(H2)、高電圧範囲(H3)に分けられた3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を発生する非線形PAM4信号発生方法であって、
低レベル信号と高レベル信号の組み合わせからなるビット列の繰り返しパターンのデータを、振幅の倍率がそれぞれ可変可能な第1、第2、第3の3つのパターン発生部(2,3,4)から出力するステップと、
前記第1のパターン発生部のデータと前記第2のパターン発生部のデータとを第1のパターン合成部(5)にて合成するステップと、
前記第1のパターン合成部の合成データと前記第3のパターン発生部のデータとを第2のパターン合成部(6)にて合成するステップとを含み、
前記第2のパターン合成部から4値の合成データが出力される繰り返しパターンのデータを前記第3のパターン発生部から出力するステップとを含むことを特徴とする非線形PAM4信号発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振幅をシンボルごとに4種類に分けた4値パルス振幅変調方式(以下、PAM4方式)によるPAM4信号(以下、PAM4信号という)を発生する非線形PAM4信号発生装置及び非線形PAM4信号発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のディジタル通信装置は、利用者数の増加やマルチメディア通信の普及に伴い、より大容量の伝送能力が求められている。また、これらのディジタル通信装置におけるディジタル信号の品質評価の指標の一つとしては、受信データのうち符号誤りが発生した数と受信データの総数との比較として定義されるビット誤り率が知られている。
【0003】
そして、上述したディジタル通信装置において、試験対象となる光電変換部品等の被試験デバイスに対して固定データを含むテスト信号を送信し、被試験デバイスを介して入力される被測定信号と基準となる参照信号とをビット単位で比較して、被測定信号の誤り率を測定する誤り率測定装置として、例えば下記特許文献1に開示されるビット誤り測定装置が知られている。
【0004】
下記特許文献1に開示されるビット誤り測定装置は、測定対象から受信した入力データと測定対象から受信されるべき既知のデータとを比較して誤りビットを測定するものである。この特許文献1のビット誤り測定装置は、誤りビットが発生する要因を容易に解析できるようにするため、複数のブロックを有する比較データ記憶部と、受信した入力データと既知のデータとを比較し、所定の検出条件で検出される1または複数の検出ビットを含むビット列の比較データを、検出されることに応じて複数のブロックへ順次格納する比較部と、複数のブロックそれぞれに格納された比較データから得られるそれぞれのビット列を、所定の配置条件に従った位置を基準にして並べて表示機器に表示する表示制御部とを備えて構成される。
【0005】
ところで、情報信号の振幅をパルス信号の系列で符号化したパルス振幅変調信号として、「0(低レベル電圧)」と「1(高レベル電圧)」からなるビット列を、4つの電圧レベルのパルス信号として変調して伝送するPAM4方式が知られている。このPAM4方式によるPAM4信号は、振幅がシンボルごとに4種類に分けられ、
図7に示すように、4つの異なる振幅の電圧レベルV1,V2,V3,V4を有し、全体の振幅電圧範囲Hが電圧レベルの低い方から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられ、3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなる。
【0006】
そして、このようなPAM4信号を生成する場合には、
図5に示すように、第1のパターン発生部12、第2のパターン発生部13、パターン合成部14を備えたPAM4信号発生装置11を用意し、第1のパターン発生部12が発生する繰り返しパターンによるデータData1と第2のパターン発生部13が発生する繰り返しパターンによるデータData2とをパターン合成部14にて合成してPAM4信号を生成する。具体的には、
図6(a)に示すように、第1のパターン発生部12から0→0→1→1→…の繰り返しパターンによるデータData1を発生し、第2のパターン発生部13から0→1→0→1→…の繰り返しパターンによるデータData2を発生してパターン合成部14にて合成すると、
図7の振幅電圧範囲Hの電圧範囲H1,H2,H3,H4における各振幅の電圧レベルV1,V2,V3,V4がV1=0、V2=1、V3=2、V4=3となり、振幅電圧範囲Hの各電圧範囲H1,H2,H3の振幅が等しいPAM4信号を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−274474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この種のPAM4信号を発生するPAM4信号発生装置では、
図7の振幅電圧範囲Hにおける低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3の振幅(3つの各アイの振幅)を個別に設定したいというユーザからの要望がある。
【0009】
しかしながら、上述した
図5に示す従来のPAM4発生装置11は、第1のパターン発生部12と第2のパターン発生部13による2つのデータData1,Data2をパターン合成部14に入力して合成することにより4値を出力することは可能であるが、
図7の振幅電圧範囲Hにおける低電圧範囲H1と高電圧範囲H3の振幅を個別に設定することができなかった。具体的には、第2のパターン発生部13に対する第1のパターン発生部12の振幅の倍率を2倍に設定すると、パターン合成部14にて合成された合成データは、
図6(b)に示すように、V1=0、V2=1、V3=3、V4=4となり、
図7の振幅電圧範囲Hにおける中電圧範囲H2の振幅を変えることは可能であるが、パターン発生部の振幅の倍率を変えただけでは低電圧範囲H1と高電圧範囲H3の振幅が同じになってしまい、低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3の振幅を個別に設定したいという要望に応えることができなかった。
【0010】
この問題を解消するため、アクティブ素子として3ビットのDAコンバータを用いたPAM4信号発生装置を使えば、
図7の振幅電圧範囲Hにおける低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3の振幅を個別に変更することが可能である。
【0011】
しかしながら、3ビットのDAコンバータを用いたPAM4信号発生装置では、PAM4信号が要求される数十GHzの高周波数帯において、高周波の信号を3チャネル分だけ用意する必要があることや、振幅の可変量が小さく現実的に細かい振幅調整を行うためには更にビット数を稼ぐ必要があるなどの問題がある。
【0012】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、高価なアクティブ素子を使用せず、3つの各アイの振幅を個別に設定することができる非線形PAM4信号発生装置及び非線形PAM4信号発生方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された非線形PAM4信号発生装置は、全体の振幅電圧範囲Hが電圧レベルの低い方から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられた3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を発生する非線形PAM4信号発生装置1であって、
振幅の倍率が可変可能であり、低レベル信号と高レベル信号の組み合わせからなるビット列の繰り返しパターンのデータを出力する第1、第2、第3の3つのパターン発生部2,3,4と、
前記第1のパターン発生部のデータと前記第2のパターン発生部のデータとを合成した合成データを出力する第1のパターン合成部5と、
前記第1のパターン合成部の合成データと前記第3のパターン発生部のデータとを合成する第2のパターン合成部6とを備え、
前記第3のパターン発生部は、前記第2のパターン合成部から4値の合成データが出力される繰り返しパターンのデータを出力することを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載された及び非線形PAM4信号発生方法は、全体の振幅電圧範囲Hが電圧レベルの低い方から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられた3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を発生する非線形PAM4信号発生方法であって、
低レベル信号と高レベル信号の組み合わせからなるビット列の繰り返しパターンのデータを、振幅の倍率がそれぞれ可変可能な第1、第2、第3の3つのパターン発生部2,3,4から出力するステップと、
前記第1のパターン発生部のデータと前記第2のパターン発生部のデータとを第1のパターン合成部5にて合成するステップと、
前記第1のパターン合成部の合成データと前記第3のパターン発生部のデータとを第2のパターン合成部6にて合成するステップとを含み、
前記第2のパターン合成部から4値の合成データが出力される繰り返しパターンのデータを前記第3のパターン発生部から出力するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、DAコンバータなどの高価なアクティブ素子を使用せず、パッシブ素子のみで3つの各アイの振幅(低電圧範囲、中電圧範囲、高電圧範囲の振幅)を個別に非線形に可変することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る非線形PAM4信号発生装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の非線形PAM4信号発生装置にてPAM4信号の低電圧範囲H1の振幅を変更する場合の各パターン発生部と第2のパターン合成部の出力状態の一例を示す図である。
【
図3】
図1の非線形PAM4信号発生装置にてPAM4信号の高電圧範囲H3の振幅を変更する場合の各パターン発生部と第2のパターン合成部の出力状態の一例を示す図である。
【
図4】
図1の非線形PAM4信号発生装置にてPAM4信号の中電圧範囲H2の振幅を変更する場合の各パターン発生部と第2のパターン合成部の出力状態の一例を示す図である。
【
図5】従来のPAM4信号発生装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図6】(a)
図4のPAM4信号発生装置にてPAM4信号を発生する場合の各パターン発生部とパターン合成部の出力状態の一例を示す図である。 (b)
図4のPAM4信号発生装置にてPAM4信号の振幅を変更する場合の各パターン発生部とパターン合成部の出力状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本実施の形態の非線形PAM4信号発生装置は、振幅をシンボルごとに4種類に分けたPAM4方式によるPAM4信号を発生するものであり、
図7に示す振幅電圧範囲Hの低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3の振幅(3つの各アイの振幅)を個別に非線形に変えて設定できる機能を有する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態の非線形PAM4信号発生装置1は、上記機能を実現するため、第1のパターン発生部2、第2のパターン発生部3、第3のパターン発生部4、第1のパターン合成部5、第2のパターン合成部6を含んで構成される。
【0020】
第1のパターン発生部2は、振幅の倍率が可変設定可能である。本例における第1のパターン発生部2は、第2のパターン発生部3に対する振幅比率を可変設定可能とし、「0(低レベル電圧)」と「1(高レベル電圧)」の2値を組み合わせたビット列の繰り返しパターンとして、例えば
図2や
図3に示す0,0,1,1,…の繰り返しパターンを発生し、この繰り返しパターンをデータData1として第1のパターン合成部5に出力する。
【0021】
第2のパターン発生部3は、振幅(基準振幅)の倍率が可変設定可能であり、「0(低レベル電圧)」と「1(高レベル電圧)」の2値を組み合わせたビット列の繰り返しパターンとして、例えば
図2や
図3に示す0,1,0,1,…の繰り返しパターンを発生し、この繰り返しパターンをデータData2として第1のパターン合成部5に出力する。
【0022】
第3のパターン発生部4は、第1のパターン発生部2や第2のパターン発生部3と同様に、振幅の倍率が可変設定可能である。本例における第3のパターン発生部4は、第2のパターン発生部3に対する振幅比率を可変設定可能とし、第1のパターン合成部5の合成データと第2のパターン合成部6にて合成したときに、第2のパターン合成部6から4値の合成データが出力されるような「0(低レベル電圧)」と「1(高レベル電圧)」のビット列の組み合わせからなる繰り返しパターンのデータData3を出力する。
【0023】
すなわち、第3のパターン発生部4は、第1のパターン発生部2のデータData1と第2のパターン発生部3のデータData2の両方が「0」のときに「0」となるような0と1のビット列の組み合わせからなる繰り返しパターンのデータData3を出力し、第1のパターン発生部2のデータData1と第2のパターン発生部3のデータData2の両方が「1」のときに「1」となるような0と1のビット列の組み合わせからなる繰り返しパターンのデータData3を出力する。
【0024】
第1のパターン合成部5は、第1のパターン発生部2から入力されるデータData1と第2のパターン発生部3から入力されるデータData2とを合成し、合成データを第2のパターン合成部6に出力する。
【0025】
第2のパターン合成部6は、第3のパターン発生部4から入力されるデータData3と第1のパターン合成部5から入力される合成データとを合成したデータによる電圧V1,V2,V3,V4のPAM4信号を出力する。
【0026】
次に、上記のように構成された非線形PAM4発生装置1によるPAM4信号の発生方法として、低電圧範囲H1、高電圧範囲H3、中電圧範囲H2のそれぞれにおいて振幅を可変設定してPAM4信号を発生する場合について説明する。
【0027】
[低電圧範囲の振幅を可変する場合]
ここでは、第2のパターン発生部3に対する第1のパターン発生部2の振幅比率が2倍に設定され、第2のパターン発生部3に対する第3のパターン発生部4の振幅比率が4倍に設定されているものとする。
【0028】
第1のパターン発生部2は、
図2に示すように、0,0,1,1,0,0,1,1,…の繰り返しパターンのデータData1を第1のパターン合成部5に出力する。また、第2のパターン発生部3は、
図2に示すように、0,1,0,1,0,1,0,1,…の繰り返しパターンのデータData2を第1のパターン合成部5に出力する。
【0029】
第1のパターン合成部5は、第1のパターン発生部2から入力されるデータData1と第2のパターン発生部3から入力されるデータData2とを合成して第2のパターン合成部6に出力する。ここでは、第2のパターン発生部3に対する第1のパターン発生部2の振幅比率が2倍に設定されているので、0,1,2,3,0,1,2,3,…の繰り返しによる合成データが第1のパターン合成部5から出力される。
【0030】
第3のパターン発生部4は、
図2に示すように、0,1,1,1,0,1,1,1,…の繰り返しパターンのデータData3を第2のパターン合成部6に出力する。すなわち、第3のパターン発生部4は、第1のパターン発生部2のデータData1と第2のパターン発生部3のデータData2の両方が「0」のときに「0」となる繰り返しパターンのデータData3を出力する。
【0031】
第2のパターン合成部6は、第1のパターン合成部5から入力される合成データと第3のパターン発生部4から入力されるデータData3とを合成する。ここでは、第2のパターン発生部3に対する第3のパターン発生部4の振幅比率が4倍に設定されているので、
図2に示すように、0,5,6,7,0,5,6,7,…の繰り返しによる合成データが第2のパターン合成部6から出力される。すなわち、第2のパターン合成部6は、合成データの各振幅の電圧レベルがV1=0,V2=5,V3=6,V4=7となり、低電圧範囲H3の振幅が可変設定された低電圧範囲H1>中電圧範囲H2=高電圧範囲H3のPAM4信号を出力する。
【0032】
[高電圧範囲の振幅を可変する場合]
ここでは、低電圧範囲の振幅を可変する場合と同様に、第2のパターン発生部3に対する第1のパターン発生部2の振幅比率が2倍に設定され、第2のパターン発生部3に対する第3のパターン発生部4の振幅比率が4倍に設定されているものとする。
【0033】
第1のパターン発生部2は、
図3に示すように、0,0,1,1,0,0,1,1,…の繰り返しパターンのデータData1を第1のパターン合成部5に出力する。また、第2のパターン発生部3は、
図3に示すように、0,1,0,1,0,1,0,1,…の繰り返しパターンのデータData2を第1のパターン合成部5に出力する。
【0034】
第1のパターン合成部5は、第1のパターン発生部2から入力されるデータData1と第2のパターン発生部3から入力されるデータData2とを合成して第2のパターン合成部6に出力する。ここでは、第2のパターン発生部3に対する第1のパターン発生部2の振幅比率が2倍に設定されているので、0,1,2,3,0,1,2,3,…の繰り返しによる合成データが第1のパターン合成部5から出力される。
【0035】
第3のパターン発生部4は、
図3に示すように、0,0,0,1,0,0,0,1,…の繰り返しパターンのデータData3を第2のパターン合成部6に出力する。すなわち、第3のパターン発生部4は、第1のパターン発生部2のデータData1と第2のパターン発生部3のデータData2の両方が「1」のときに「1」となる繰り返しパターンのデータData3を出力する。
【0036】
第2のパターン合成部6は、第1のパターン合成部5から入力される合成データと第3のパターン発生部4から入力されるデータData3とを合成する。ここでは、第2のパターン発生部3に対する第3のパターン発生部4の振幅比率が4倍に設定されているので、
図3に示すように、0,1,2,7,0,1,2,7,…の繰り返しによる合成データが第2のパターン合成部6から出力される。すなわち、第2のパターン合成部6は、合成データの各振幅の電圧レベルがV1=0,V2=1,V3=2,V4=7となり、高電圧範囲H1の振幅が可変設定された高電圧範囲H3>中電圧範囲H2=低電圧範囲H1のPAM4信号を出力する。
【0037】
[中電圧範囲の振幅を可変する場合]
ここでは、第2のパターン発生部3に対する第1のパターン発生部2の振幅比率が3倍に設定されているものとする。
【0038】
第1のパターン発生部2は、
図4に示すように、0,0,1,1,0,0,1,1,…の繰り返しパターンのデータData1を第1のパターン合成部5に出力する。また、第2のパターン発生部3は、
図2に示すように、0,1,0,1,0,1,0,1,…の繰り返しパターンのデータData2を第1のパターン合成部5に出力する。
【0039】
第1のパターン合成部5は、第1のパターン発生部2から入力されるデータData1と第2のパターン発生部3から入力されるデータData2とを合成して第2のパターン合成部6に出力する。ここでは、第2のパターン発生部3に対する第1のパターン発生部2の振幅比率が3倍に設定されているので、0,1,3,4,0,1,3,4,…の繰り返しによる合成データが第1のパターン合成部5から出力される。
【0040】
第3のパターン発生部4は、
図4に示すように、0,0,0,0,0,0,0,0,…の繰り返しパターン(全て0)のデータData3を第2のパターン合成部6に出力する。すなわち、第3のパターン発生部4は、第1のパターン発生部2のデータData1と第2のパターン発生部3のデータData2の状態に関係なく「0」となる繰り返しパターンのデータData3を出力する。
【0041】
第2のパターン合成部6は、第1のパターン合成部5から入力される合成データと第3のパターン発生部4から入力されるデータData3とを合成する。第3のパターン発生部4から入力されるデータData3は全て0なので、
図4に示すように、0,1,3,4,0,1,3,4,…の繰り返しによる合成データが第2のパターン合成部6から出力される。すなわち、第2のパターン合成部6は、合成データの各振幅の電圧レベルがV1=0,V2=1,V3=3,V4=4となり、中電圧範囲H1の振幅が可変設定された中電圧範囲H2>低電圧範囲H1=高電圧範囲H3のPAM4信号を出力する。
【0042】
このように、本実施の形態の非線形PAM4信号発生装置1では、低レベル信号「0」と高レベル信号「1」の組み合わせからなるビット列の繰り返しパターンのデータを出力する3つのパターン発生部として、第2のパターン発生部3と、第2のパターン発生部3に対する振幅比率が可変可能な第1のパターン発生部2と第3のパターン発生部4を備え、第2のパターン発生部3に対する第1および第3のパターン発生部2,4の振幅比率を可変設定し、第1のパターン発生部2のデータと第2のパターン発生部3のデータとを第1のパターン合成部5にて合成し、この合成データと第3のパターン発生部3のデータとを第2のパターン合成部6にて合成する際に、第2のパターン合成部から4値の合成データが出力される繰り返しパターンのデータを第3のパターン発生部4から出力している。これにより、DAコンバータなどの高価なアクティブ素子を使用せず、パッシブ素子のみで振幅電圧範囲Hにおける低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3の振幅(3つの各アイの振幅)を個別に非線形に可変することができる。
【0043】
以上、本発明に係る非線形PAM4信号発生装置および非線形PAM4信号発生方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 非線形PAM4信号発生装置
2 第1のパターン発生部
3 第2のパターン発生部
4 第3のパターン発生部
5 第1のパターン合成部
6 第2のパターン合成部
H 振幅電圧範囲
H1 低電圧範囲
H2 中電圧範囲
H3 高電圧範囲
V1,V2,V3,V4 電圧レベル
【要約】
【課題】高価なアクティブ素子を使用せず、3つの各アイの振幅を個別に設定する。
【解決手段】非線形PAM4信号発生装置1は、全体の振幅電圧範囲Hが電圧レベルの低い方から低電圧範囲H1、中電圧範囲H2、高電圧範囲H3に分けられた3つのアイパターン開口部による連続した範囲からなるPAM4信号を発生するものであって、0と1の組み合わせからなるビット列の繰り返しパターンのデータを出力する振幅の倍率が可変可能な第1、第2、第3のパターン発生部2,3,4と、第1のパターン発生部2のデータと第2のパターン発生部3のデータとを合成した合成データを出力する第1のパターン合成部5と、第1のパターン合成部5の合成データと第3のパターン発生部4のデータとを合成する第2のパターン合成部6とを備える。第3のパターン発生部4は、第2のパターン合成部6から4値の合成データが出力される繰り返しパターンのデータを出力する。
【選択図】
図1