【実施例1】
【0018】
図1〜
図4は、本発明の実施例1による混練装置の構造を説明するもので、
図1は混練装置の筐体の上側の大部分を取り払った状態で示す平面図、
図2は
図1におけるA−A線で切断した縦断面図、
図3は
図1及び2におけるB−B線で切断した断面図、
図4は
図1及び2におけるC−C線で切断した断面図をそれぞれ示している。なお、
図1においては、筐体の上部(上蓋)の他、後述する斜壁部材22、配管23、24も取り払った状態を示している。
【0019】
図1〜
図4において、1は混練装置Mの筐体であり、ベースのフレーム2上に水平に設けられる。筐体1は、ここでは細長い直方体形状に形成されている。
図2に示す右端部の上側には、不図示のホッパーから混練される混練物の材料(粉体ないし粒体)を筐体1内に投入(投下)するための投入口1aが設けられている。また
図2に示す左端部の下側には、投入された材料に液体を加えて混練した混練物を筐体1から不図示のコンベア上へ排出する(落下させる)ための排出口1bが設けられている。混練物は混練されながら、
図1及び2中の太い矢印で示されているように、投入口1a側から排出口1b側へ搬送される。以下、混練物が搬送される方向を送り方向と呼ぶ。
【0020】
筐体1内には、その長手方向に沿って同じ径の二本の回転軸3、4が互いに平行に架設されており、
図1中で筐体1の左端部外側に設けられた軸受部9と、筐体1の右端の外側近傍でフレーム2上に設けられた軸受部10によって回転可能に軸受されている。また、回転軸3、4の
図1中の右端部でギアボックス11に挿通された部分にはギア12、13が固定されており、互いに噛合している。
【0021】
さらに回転軸3の
図1中で右端は、軸受部10から外側に突出しており、その右端にスプロケット14が固定されている。また、フレーム2上にはモータ17が設けられ、その出力軸にはスプロケット16が固定されている。このスプロケット16とスプロケット14間にチェーン15が張り渡されている。
【0022】
モータ17の一方向への回転駆動力がスプロケット16、チェーン15及びスプロケット14を介して回転軸3に伝達されて回転軸3が一方向に回転し、さらに回転駆動力がギア12、13を介して回転軸4に伝達されて回転軸4が逆方向に回転する。回転軸3、4は、ギヤ12、13を介して、N:N−1、例えば5:4の回転数比で不等速で回転される。なお、回転軸3、4の混練時の回転方向は、
図1、
図3、
図4に示すように、上方から見て互いの内側へ向かって回転する方向となっている。
【0023】
回転軸3の外周には、撹拌部材としてのパドルP1〜P15、P7’〜P15’が立設されている(これらのパドルを総称するときにはパドルPn、Pn’と呼ぶ。)。また、回転軸4の外周には、撹拌部材としてのパドルQ1〜P15、Q7’〜Q15’が立設されている(これらのパドルを総称するときにはパドルQn、Qn’と呼ぶ。)。
図1、
図3、
図4では、図が煩雑になるので、一部のパドルのみ符号が付されて図示されている。
【0024】
各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’はいずれも同じ略ホームベース形の形をした平板である。また、各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’は、それぞれの高さ(回転軸3、4の外周からの突出量)が回転軸3、4の外周面間の距離より僅かに小さく、各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’の先端が回転軸3、4の回転にしたがって相手側の回転軸4、3の外周に近接し、回転軸3、4に付着した混練物を掻き落として回転軸3、4をセルフクリーニングできるようになっている。
【0025】
まずは、各パドルPn、Qn(n=1〜15)について説明する。パドルP1〜P15は、回転軸3の外周に所定の螺旋ピッチで互いに回転軸3の回転方向に所定の角度ピッチずつずらして螺旋状に配置され、パドルQ1〜Q15は、回転軸4の外周に所定の螺旋ピッチで互いに回転軸4の回転方向に所定の角度ピッチずつずらして、パドルP1〜P15が形成する螺旋とは逆螺旋状に配置されている。パドルP1〜P15の螺旋ピッチとパドルQ1〜Q15の螺旋ピッチの比は、回転軸3と4の回転数比と逆比になるように構成されており、例えば回転軸3と4の回転数比が、上述のように、5:4のときは、1L:1.25Lのように、逆比となっている(
図1参照)。
【0026】
また、パドルP1〜P15の角度ピッチとパドルQ1〜Q15の角度ピッチの比は、回転軸3と4の回転数比と同比になるように構成されており、回転軸3と4の回転数比が、上述のように、5:4のときは、例えば、パドルP1〜P15の角度ピッチは90°、パドルQ1〜Q15の角度ピッチは72°のように、回転軸3と4の回転数比と同じ比となっている。
【0027】
図1及び2に示すように、各パドルPn、Qnでnが同じ数字のパドルはそれぞれ回転軸3、4の軸方向に見て軸端から同じ距離のところに配置されている。また、nの番号が1ずつ増加するにしたがって、各パドルPn、Qnは軸方向かつ送り方向に所定距離離れた位置で、回転軸3、4の回転方向とは逆方向に所定の回転角度(角度ピッチ)回転した位置にそれぞれ取り付けられている。
【0028】
したがって、回転軸3、4の軸端からそれぞれ同じ距離の位置に取り付けられているパドルP1、Q1を起点として、パドルP2は、パドルP1から軸方向かつ送り方向に距離0.25L(
図1に示すパドルPnの螺旋ピッチ1Lの1/4)だけ離れた位置で、回転軸3の回転方向とは逆方向に角度ピッチ90°回転した位置に螺旋状に取り付けられている。また、パドルQ2は、パドルQ1から軸方向かつ送り方向に距離0.25L(
図1に示すパドルQnの螺旋ピッチ1.25Lの1/5)だけ離れた位置で、回転軸4の回転方向とは逆方向に角度ピッチ72°回転した位置に逆螺旋状に取り付けられている。同様にしてパドルPn、Qn(n=3〜15)は、nの数字が1ずつ増加するにつれて、軸方向かつ送り方向に距離0.25Lずつ離れた位置で、それぞれ回転軸3、4の回転方向とは逆方向に角度ピッチ90°、72°ずつ回転した位置に取り付けられている。
【0029】
また、各パドルPn、Qnは、そのパドル面が混練物を送り方向に進める方向に向いた螺旋に沿った正相パドルか、あるいはパドル面が回転軸の回転中心線に対して正相パドルのパドル面と対称な方向にあり、混練物を逆方向に戻す方向に向いた逆相パドルとなっている。図示した実施例では、P8、P11、P14、Q8、Q11、Q14が逆相パドルであり、その他は正相パドルである。パドル面の向きは、正相パドルの場合はパドルの螺旋配列の方向に沿っており、回転軸の回転中心線に対して約45°であり、逆相パドルの場合は、螺旋配列の方向に直交しており、約−45°の逆向きになっている。回転軸の回転中心線に対する傾きは、調節することができ、上記値に限定されるものではない。回転軸3と4の軸方向に見て軸端から同じ距離の位置にあるパドルPnとパドルQnとは、パドル面の相が同相となるように配列され、また、各パドルPn、Qnは、それぞれ回転軸の軸方向に正相と逆相が所定の順序で周期的に繰り返されて配列されている。
【0030】
次に、各パドルPn’、Qn’(n=7〜15)について説明する。パドルP7’〜P15’ は、回転軸3の軸方向に見て軸端からパドルP7〜P15と同じ距離の位置で、回転軸3の回転方向に各パドルPnからその角度ピッチのN倍の角度(例えばN=2として90°×2=180°)異なる角度位置に、パドルPnと同相のパドルPn’(n=7〜15)としてそれぞれ設けられている。
図1及び2に示すように、回転軸3の軸方向に見て軸端から同じ距離の位置にあるパドルPnとパドルPn’とは、パドル面の相が同相となるように配列されている。
【0031】
このような配置により、パドルPnの並びが形成する螺旋配列を一条の螺旋配列とすると、パドルPn’の並びによりもう一条の螺旋配列が形成され、回転軸3の回転方向に所定角度(180°)位相がずれた、螺旋ピッチ並びに螺旋の方向が同じの二条の螺旋配列が形成されている。
【0032】
同様に、パドルQ7’〜Q15’ は、回転軸4の軸方向に見て軸端からパドルQ7〜Q15と同じ距離の位置で、回転軸4の回転方向に各パドルQnからその角度ピッチのN倍の角度(例えばN=2として72°×2=144°)異なる角度位置に、パドルQnと同相のパドルQn’(n=7〜15)としてそれぞれ設けられている。
図1及び2に示すように、回転軸4の軸方向に見て軸端から同じ距離の位置にあるパドルQnとパドルQn’とは、パドル面の相が同相となるように配列されている。
【0033】
このような配置により、パドルQnの並びが形成する螺旋配列を一条の螺旋配列とすると、パドルQn’の並びによりもう一条の螺旋配列が形成され、回転軸4の回転方向に所定角度(144°)位相がずれた、螺旋ピッチ並びに螺旋の方向が同じの二条の螺旋配列が形成されている。
【0034】
この実施例での混練において、二条の螺旋配列のパドルPn’、Qn’による混練物の混練並びに搬送は、一条の螺旋配列のパドルPn、Qnによる混練物の混練並びに搬送と同様であり、パドルを二条の螺旋配列とすることにより、ダマの押しつぶし動作の頻度を二倍以上にすることができ、更にダマの押しつぶし効果を高めることができる。また、パドルによる撹拌回数を倍増させて、混練の仕上がり度合いを高め、より均一な混練を行うことができる。また、各パドルの先端が回転軸の回転にしたがって相手側の回転軸の外周に近接し、回転軸に付着した混練物を掻き落として回転軸をセルフクリーニングする効果も優れたものとなる。
【0035】
以上のような各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’の配置により、パドルP1〜P15、P7’〜P15’は回転軸3に螺旋状に配置され、パドルQ1〜P15、Q7’〜Q15’は回転軸4にパドルP1〜P15、P7’〜P15’が形成する螺旋とは逆螺旋状に配置され、それぞれ螺旋ピッチは、それぞれ回転軸3、4の回転数比5:4の逆比である1L:1.25Lとなっている。また、各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’は、nの番号が同じパドルのパドル面は同じ相となっており、それぞれ回転軸3、4の軸方向に正相、逆相が所定の順序で周期的に繰り返されて配置されている。
【0036】
詳しくは、パドルP1〜P7、P9、P10、P12、P13、P15は正相パドル、パドルP8、P11、P14は逆相パドル、パドルP7’、P9’、P10’、P12’、P13’、P15’は正相パドル、パドルP8’、P11’、P14’は逆相パドル、パドルQ1〜Q7、Q9、Q10、Q12、Q13、Q15は正相パドル、パドルQ8、Q11、Q14は逆相パドル、パドルQ7’、Q9’、Q10’、Q12’、Q13’、Q15’は正相パドル、パドルQ8’、Q11’、Q14’は逆相パドルとされている。
【0037】
筐体1内には、投入口1aから筐体1内に投入された混練物の材料が下流側に過剰に流れていかないようにせき止める投入側せき板18が設けられている。混練物の材料は投入側せき板18の下方を通過する。また、筐体1内には、排出口1bから排出される混練物を所定の高さまでせき止める排出側せき板19が設けられている。混練物は排出側せき板19の上方を通過する。筐体1内の投入側せき板18と排出側せき板19との間、つまり回転軸の軸方向にみて投入口1aを過ぎて排出口1bに至るまでの間には、せき板20、21が設けられている。せき板20、21は、投入側せき板18と排出側せき板19の中間に位置するので、以下では、中間せき板という。
【0038】
中間せき板20、21は、いずれも送り方向に見て逆相パドルを過ぎた後で、次の隣接する正相パドルまでの間で逆相パドルと対向するように筺体1に固定されている。すなわち、
図1〜
図3に示すように、中間せき板20は、逆相パドルであるパドルP8、P8’、Q8、Q8’と、それに続く正相パドルであるパドルP9、P9’、Q9、Q9’間の区間に配置されている。また、
図1、
図2、
図4に示すように、中間せき板21は、逆相パドルであるパドルP11、P11’、Q11、Q11’と、それに続く正相パドルであるパドルP12、P12’、Q12、Q12’間の区間に配置されている。
【0039】
図3及び4に示すように、中間せき板20、21は、いずれも同一形状を呈しており、回転軸3、4と筺体1の内側面との間に配置される本発明におけるサイドせき板と、回転軸3、4と筺体1の内底面との間に配置される本発明における底部せき板とが一体化された板状部材である。中間せき板20、21は、いずれも回転軸3側と回転軸4側とに二分割された二枚のL字状の面形状を有する板状部材をコ字状の面形状となるように組み合わせた形状で筺体1に固定されている。
【0040】
図3及び4に示すように、中間せき板20、21と筺体1の内面との隙間、及び中間せき板20、21と回転軸3、4との隙間は僅かであるため、混練物がこれらの隙間を通過することはほとんどない。したがって、混練物は、中間せき板20、21のコ字状の面形状の凹設側、すなわち回転軸3、4間及び回転軸3、4の直上付近を通過する。
【0041】
図2〜
図4に示すように、筺体1の内側面の回転軸3、4よりも上方には、斜壁部材22が設けられている。
図3及び4に示すように、斜壁部材22は、筺体1の内側面を底辺とする二等辺三角形の断面形状を有する筒状部材であり、投入側せき板18と排出側せき板19との間のぼぼ全区間に渡って設けられている。
【0042】
斜壁部材22の二等辺の頂点は、各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’の先端の回転軌道よりも上方に位置しており、斜壁部材22の回転軸3と対向する面、及び斜壁部材22の回転軸4と対向する面は、いずれも斜め下方に面が向いたオーバーハング面となっている。筺体1内に斜壁部材22が設けられていない場合には、筺体1の内側面の上方に混練物が付着して残留し易いが、筺体1内に斜壁部材22が設けられていることによって、混練物は、その自重や混練物に作用する搬送力によって斜壁部材22のオーバーハング面から剥がれ落ちやすく、混練ロスを防止することが可能となっている。
【0043】
筐体1内で投入側せき板18の混練物送り方向側の近傍には、例えば混練物の材料を改質するために混練物に加えられる液体を筐体1内に注入するための配管(ノズル)23が設けられている。また、筐体1内で投入側せき板18から排出側せき板19までの中央部近傍には、混練物の流動性等を調整するために混練物に加えられる液体を筐体1内に注入するための配管(ノズル)24が設けられている。
【0044】
次に、本実施例の混練装置Mの混練動作について説明する。混練時には、モータ17の駆動により、回転軸3、4が、
図1、
図3、
図4に示すように、上方から見て互いに内回り方向に5:4の回転数比で不等速に回転され、投入口1aから混練物の材料(粉体ないし粒体)が筐体1内に投入される。
【0045】
回転軸3の螺旋は、回転軸3が図示の方向に回転すると、混練物を
図1で左方向に送り搬送する螺旋形状となって送り螺旋となる。また回転軸4の螺旋は回転軸3とは逆螺旋であり、回転軸4は回転軸3と逆方向に回転するので、回転軸4の螺旋は、同様に送り螺旋となる。したがって、送り螺旋に沿った正相パドルは、混練物を左方向に押しやり、また逆相パドルは混練物を戻す方向に押しやる。
【0046】
この実施例では、混練の主要区間にある各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’(n=6〜14)は、「正相、正相、逆相」の相順序で周期的に繰り返されて配置されるので、混練物は「送り、送り、戻し」の作用を受け、また、全体としては正相のパドルが逆相のパドルより多いので、混練物は各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’により攪拌されながら左方向の排出口1b側へ搬送される。なお、回転軸3、4の螺旋ピッチの比は回転軸3、4の回転数比の逆比となっているので、回転軸3、4による混練物の軸方向への搬送速度は理論上は同じとなる。
【0047】
また、各パドルPn、Pn’の角度ピッチと各パドルQn、Qn’の角度ピッチの比は、回転軸3、4の回転数比と同じ比になっているので、軸方向に見て同じ位置にある各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’(nが同じ番号のパドル)は、回転軸3、4が回転しても衝突することはなく、また、回転軸3、4の回転に伴って各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’の先端が相手側の回転軸3、4の外周に位相を変えて近接するので、相手側の回転軸3、4の外周面に付着した混練物を掻き落とし、回転軸3、4の全周をセルフクリーニングすると共に、対向する二枚のパドルが所定回転数の周期で互いに接近、離間する動作を繰り返し、パドル間で混練物の混練、粉砕が行われる。
【0048】
ここで混練物中にダマが発生している場合、パドルPn、Qnの対向する二枚ずつ同士が最も接近するときに、混練物を互いの間に挟むようにして押圧することにより、ダマを押しつぶすことができる。ただし、このときの押圧力に対して、パドル間の混練物がその性状によってはパドルの傾きに沿って混練物の送り方向またはその逆方向に逃げようとする。これに対してパドルPn、Qnの「正相、正相、逆相」の相を繰り返す並びの順序により、正相パドルと逆相パドルが隣り合っている複数の箇所で混練物の送り方向への流れが滞る。これにより、パドル間に挟まれて押圧される混練物が送り方向またはその逆方向に逃げ難くなり、ダマの押しつぶし効果を高めることができる。また、送り方向への流れが滞るため、混練物の材料の投入から混練物の排出までの滞留時間が長くなり、ダマの押しつぶし動作を含む撹拌動作を多数回かつ十分に行うことができ、ダマをなくして、十分で均一な混練が可能になる。また、連続型の装置として小型に構成しても、混練物の滞留時間を長くして十分で均一な混練を行うことができる。
【0049】
なお、正相のパドルを多くするほど混練物を搬送する搬送力が大きくなって、混練物の投入から排出までの滞留時間が短くなり、混練物の混練度が低くなる。また、逆相のパドルを多くするほど、混練物を送り方向と逆方向に戻そうとする戻し力が大きくなって、混練物の滞留時間が長くなり、混練物の混練度が高くなる。
【0050】
さらに本実施例の構成によれば、混練物の流れを部分的にせき止める中間せき板20、21が、逆相パドルの混練物排出側で筺体1に固定されている。このため、逆相パドルで送り方向と逆方向に押し戻された、あるいは押し戻されずに逆相パドルを通過した混練物が中間せき板20、21により部分的に阻止され、もう一度逆相パドル側に移動するように導かれるので、ショートパスの発生を防止して、混練度を上げることができる。
【0051】
また、中間せき板20、21が、逆相パドルと対向するように設けられており、逆相パドルは、正相パドルのように中間せき板20、21に向けて押圧されることはない。このため、中間せき板20、21と対向するパドルが混練物により摩耗することを抑制することができる。
【0052】
また、中間せき板20、21は、本発明におけるサイドせき板と底部せき板とが一体化された板状部材である。このため、サイドせき板のみでは十分なせき止め効果が得られ難い流動性の高い混練物を取り扱う場合であっても、これに底部せき板が組み合わされていることによって、混練物全体の滞留時間が十分に長くなり、ショートパスの発生を防止して、混練度を上げることができる。
【0053】
なお、本実施例においては、中間せき板20、21をサイドせき板と底部せき板とが一体化された板状部材としている。サイドせき板は、主に
図3、
図4などで見て筐体の左右側の内側部を流れる混練物を部分的にせき止めるせき板であり、底部せき板は、主に筐体底部を流れる混練物を部分的にせき止めるせき板である。中間せき板20、21の形状はサイドせき板と底部せき板とが一体化したものに限定されない。例えば、
図5に示すように、中間せき板21を回転軸3、4と筺体1の内側面との間に配置されるサイドせき板21Sとしたり、
図6に示すように、中間せき板21を回転軸3、4と筺体1の内底面との間に配置し、筐体の底部を流れる混練物をせき止める底部せき板21Bとしたり、
図7に示すように、回転軸3、4の上方に配置され、主に筐体の上部を流れる混練物を部分的にせき止める上部せき板21Uとしたりすることができる。
図6に示した底部せき板を、筐体の底部から筐体の両側部に延ばしたせき板が
図3、
図4に図示したような中間せき板20、21になり、一方の側だけに延ばして
図9に示したようにし、筐体の底部と一方の内側部を流れる混練物を部分的にせき止めるせき板とすることもできる。
【0054】
この場合、サイドせき板21Sは、回転軸3、4と筺体1の内側面との間の混練物が各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’に撹拌されることなしに下流側に移動するのを阻止する効果を奏する。底部せき板21Bは、回転軸3、4と筺体1の内底面との間の混練物が各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’に撹拌されることなしに下流側に移動するのを阻止すると共に、筺体1内の混練物の充満率が低い場合や混練物の流動性が高い場合に混練物を両回転軸3、4間の各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’に接触可能な位置まで上昇させる効果を奏する。上部せき板21Uは、回転軸3、4の上方の混練物が各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’に撹拌されることなしに下流側に移動するのを阻止する効果を奏する。
【実施例2】
【0055】
図8〜10に基づいて、本発明の実施例2による混練装置について説明する。
図8は混練装置の縦断面図であって、実施例1における
図2に対応する図である。
図9は
図8におけるD−D線で切断した断面図、
図10は
図8におけるE−E線で切断した断面図をそれぞれ示している。本実施例における混練装置M2は、実施例1における混練装置Mに設けられた中間せき板20、21を、それぞれ中間せき板20BS、21USに変更した実施例である。これ以外の構成部品等は、混練装置M2と混練装置Mとで同一であるため、同一の符号を付けると共に説明を省略する。
【0056】
中間せき板20BS、21USは、いずれも逆相パドルの混練物排出側に逆相パドルと対向するように筺体1に固定されている。
図8及び9に示すように、中間せき板20BSは、逆相パドルであるパドルP8、P8’、Q8、Q8’と、それに続く正相パドルであるパドルP9、P9’、Q9、Q9’間の区間に配置されている。また、
図8及び10に示すように、中間せき板21USは、逆相パドルであるパドルP11、P11’、Q11、Q11’と、それに続く正相パドルであるパドルP12、P12’、Q12、Q12’間の区間に配置されている。
【0057】
図9に示すように、中間せき板20BSは、回転軸4と筺体1の内側面との間に配置され、筐体の内側部を流れる混練物を部分的にせき止めるサイドせき板と、回転軸3、4と筺体1の内底面との間に配置され、筐体底部を流れる混練物を部分的にせき止める底部せき板とが一体化された板状部材である。中間せき板20BSは、回転軸3側に配置される底部せき板に相当する略矩形状の面形状を有する板状部材と、回転軸4側に配置されるサイドせき板及び底部せき板に相当するL字状の面形状を有する板状部材とをL字状の面形状となるように組み合わせた形状で筺体1に固定されている。
【0058】
中間せき板20BSと筺体1の内面との隙間、及び中間せき板20BSと回転軸3、4との隙間は僅かであるため、混練物がこれらの隙間を通過することはほとんどない。したがって、混練物は、中間せき板20BSのL字状の面形状の凹設側、すなわち回転軸3と筺体1の内側面との間、回転軸3、4間及び回転軸3、4の直上付近を通過する。
【0059】
図10に示すように、中間せき板20USは、回転軸3と筺体1の内側面との間に配置され、筐体の内側部を流れる混練物を部分的にせき止めるサイドせき板と、回転軸3、4の上方に配置され、筐体の上部を流れる混練物を部分的にせき止める上部せき板とが一体化された板状部材である。中間せき板20USは、L字状の面形状を有する板状部材であり、L字状の面形状の凹設側を下方に向けた状態で筺体1に固定されている。
【0060】
中間せき板20USと筺体1の内面との隙間、及び中間せき板20USと回転軸3、4との隙間は僅かであるため、混練物がこれらの隙間を通過することはほとんどない。したがって、混練物は、中間せき板20USのL字状の面形状の凹設側、すなわち回転軸4と筺体1の内側面との間、回転軸3、4間及び回転軸3、4の直下付近を通過する。混練物の量が多い場合には、混練物は、中間せき板20USの上方を通過する場合もある。
【0061】
投入口1aから筐体1内に投入された混練物の材料が投入側せき板18の下方を通過した後、混練物が中間せき板20BSまで搬送される過程で、混練物には、中間せき板20BSのL字状の面形状の凹設側を通過するために回転軸3側かつ上方に移動する流れが発生する。そして、混練物が更に下流に搬送されて、中間せき板20USまで搬送される過程で、混練物には、中間せき板20USのL字状の面形状の凹設側を通過するために回転軸4側かつ下方に移動する流れが発生する。このように、筺体1に中間せき板20BS、20USが設けられていることによって、筺体1内の混練物に上下左右に不均等な流れが発生することとなる。本実施例におけるこれ以外の混練動作については、実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0062】
このような本実施例の構成によれば、回転軸4側のみにサイドせき板を有する中間せき板20BSと、回転軸3側のみにサイドせき板を有する中間せき板20USとが回転軸3、4の左右に交互に配置されている。したがって、中間せき板20BS、20USによる混練物のせき止め効果は、筺体1の左右で不均等となり、サイドせき板が設けられている側が高くなる。これにより、筺体1内の混練物の流れには、上方から見て左右に蛇行した流れが含まれることとなり、混練物が回転軸3、4に沿って送り方向に直線的に流れる場合と比較して、混練度を向上させることができる。
【0063】
また、底部せき板と上部せき板のうちの底部せき板のみを有する中間せき板20BSと、上部せき板のみを有する中間せき板20USとが回転軸3、4の軸方向に交互に配置されている。したがって、中間せき板20BS、20USによる混練物のせき止め効果は、筺体1の上下で不均等となり、底部せき板又は上部せき板が設けられている側が高くなる。これにより、筺体1内の混練物の流れには、側方から見て上下に蛇行した流れが含まれることとなり、混練物が回転軸3、4に沿って送り方向に直線的に流れる場合と比較して、混練度を向上させることができる。本実施例におけるこれ以外の作用効果については、実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0064】
なお、本実施例においては、中間せき板20BSをサイドせき板と底部せき板とが一体化された板状部材としており、中間せき板20USをサイドせき板と上部せき板とが一体化された板状部材としているが、中間せき板20BS、20USの形状はこれに限定されない。例えば、中間せき板20BSの底部せき板をなくしてサイドせき板のみとすると共に、中間せき板20USの上部せき板をなくしてサイドせき板のみとすることもできる。また、中間せき板20BSのサイドせき板をなくして底部せき板のみとすると共に、中間せき板20USのサイドせき板をなくして上部せき板のみとすることもできる。
【0065】
[その他の実施例]
本発明の混練装置は、上述した実施例1及び2に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができることは言うまでもない。
【0066】
例えば、実施例1及び2においては、各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’のパドル面の回転中心軸に対する傾きを45°としているが、パドル面の傾きは45°に限定されない。各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’のパドル面の傾きを適宜調整することにより、混練時の搬送力ないし戻し力を変化させることができる。例えば、実施例1及び2のように、パドル面を各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’の螺旋に沿った方向、あるいはそれと直交する方向に調節することにより、混練時の搬送力ないし戻し力を最大にすることができる。パドル面を螺旋に沿った方向、あるいはそれと直交する方向から所定角度ずらすことにより、搬送力ないし戻し力を弱めるようにすることができる。
【0067】
また、各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’でnが同じ数字の1組又は複数組のパドルを、パドル面が回転軸3、4の軸方向に沿った方向にある平相の平相パドルに置き換えることもできる。
【0068】
また、実施例1及び2においては、混練の主要区間にある各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’(n=6〜14)の配置を、「正相、正相、逆相」の相順序で周期的に繰り返される配置としているが、必ずしも周期性を有する必要はない。逆相パドルが配列される区間が一つあるいは複数あればよい。また、逆相パドルに続いて逆相パドルが配列される区間があってもよく、この場合、最初のあるいは続く逆相パドルの混練物排出側、あるいは両逆相パドルの混練物排出側にそれぞれ中間せき板20、21ないし底部せき板21BSを取り付けるようにしてもよい。
【0069】
また、実施例1及び2においては、各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’(n=7〜15)を二条の螺旋配列としているが、各パドルの配列はこれに限定されない。例えば、各パドルPn’Qn’(n=7〜15)を設けることなく、全パドルを一条の螺旋配列とすることができるし、各パドルPn、Pn’、Qn、Qn’(n=1〜15)のうちのある区間を二条、あるいはそれ以上の多条の螺旋配列とすることもできる。この場合、各条の螺旋はそれぞれ同じ螺旋ピッチで螺旋方向が同じであり、軸方向に同じ距離にある各条のパドルの相は同じにし、また各条の螺旋は、回転軸の回転方向にそれぞれ所定角度位相がずれているようにする。
【0070】
また、実施例1及び2においては、中間せき板20、21、20BS、21USが、逆相パドルの送り方向側に逆相パドルと対向するように設けられているが、これに加えて、中間せき板を正相パドルの送り方向側に正相パドルと対向するように設けてもよい。この場合、正相パドルの送り方向側に配置する中間せき板を、正相パドルから中間せき板に向けて押圧される押圧力が過剰にならないようなせき止め効果が小さい小寸法の中間せき板とすることにより、中間せき板と対向するパドルが混練物により摩耗することを抑制することができる。
【0071】
また、実施例2においては、逆相パドルPn、Pn’、Qn,Qn’(n=8、11)の混練物排出側の2箇所で筐体の左側内側部あるいは右側内側部に、該内側部を流れる混練物を部分的にせき止めるせき板を取り付けるようにしているが、他の逆相パドルPn、Pn’、Qn,Qn’(n=14)の混練物排出側にも該内側部を流れる混練物を部分的にせき止めるせき板を取り付けるようにしてもよい。この場合、一つ逆相パドルの混練物排出側で、筐体の左側の内側部にせき板を取り付けたら、次の逆相パドルのところでは、右側の内側部にせき板を取り付けるなど、逆相パドルごとにそれぞれ左右を交互に入れ替えて取り付けるようにする。従って、逆相パドルPn、Pn’、Qn,Qn’(n=14)の混練物排出側に取り付けるせき板は、逆相パドルPn、Pn’、Qn,Qn’(n=11)の混練物排出側に取り付けるせき板とは、取り付ける内側部の左右が逆になる。せき板はサイドせき板を有する中間せき板20BS、20USとしてもよく、あるいはそれから底部せき板、上部せき板を除いたサイドせき板のみとしたせき板であってもよい。
【0072】
また、実施例2において、中間せき板20BSと中間せき板20USの取り付け位置を入れ替え、中間せき板20BSを、逆相パドルであるパドルP11、P11’、Q11、Q11’の混練物排出側に、中間せき板21USを、逆相パドルであるパドルP8、P8’、Q8、Q8’の混練物排出側に取り付けるようにしてもよい。