【実施例】
【0092】
実施例において、X線回折スペクトルは、Cu K
α放射線を使ったRigaku Dmax回折計で収集した。熱重量分析、動的熱分析、および質量分析(TG/DTA/MS)データは、二次電子増倍管を備えた、Balzers Thermostar四重極質量分析計と結合した、Mettler TGA 851熱天秤で収集した。約800℃での空気酸化中の減量を、試料中に存在する有機成分の量を推定するために有機的に処理された触媒前駆体の熱処理の前後の両方で監視した。また、硫化相は、酸化して酸化物を形成することができ(減量事象)、こうして硫化物相中の有機成分の保持に起因する追加の減量の推定を可能にする。
【0093】
TEM測定については、硫化組成物の試料を、小片(約100nm未満の厚さ)に破砕し、穴あき炭素被覆格子上へ振りかけ、Philips CM200F機器の明視野画像形成モードで検討した。各硫化組成物の約250〜350の異なる結晶を検討し、積重ねの数をカウントし、平均した。本明細書に報告される積重ねの数は、したがって平均値である。
【0094】
実施例において製造された異なる触媒前駆体の硫化は、乾燥状態か焼成状態かのどちらかの約2〜4グラムの前駆体を石英ボートに入れ、それを順繰りに水平石英管に挿入し、Lindberg炉へ入れることによって行った。依然として室温での間に、約200cm
3/分の約10%H
2S/H
2の流れを約15分間通し、次に温度を、約10%H
2S/H
2を依然として約200cm
3/分で流しながら約45分で約400℃に上げた。この流れを約400℃で約2時間続行した。試料を次に、流れる約10%H
2S/H
2中でほぼ室温(約20〜25℃)に冷却し、おおよそ同じ流れで約30分間そこに保持した。約30分間の約300cm
3/分のN
2流れの後に、He中に約1%O
2を含む不動態化ガスをほぼ室温で、約50cm
3/分で導入し、一晩(約12〜18時間)放置した。試料を次に炉から取り出した。
【0095】
調製実施例
比較例1:NiWO
4およびNiMo
0.5W
0.5O
4(有機化合物なし)の調製
準安定の六方晶系変形のNiWO
4は、炭酸ニッケルとタングステン酸との間の固体−スラリー反応によって形成した。約5.93グラムの炭酸ニッケルおよび約12.49グラムのタングステン酸を約150mLの水に加えて懸濁液を形成し、それを約275mLのWeflon(商標)反応容器に加えた。この容器を次に(電子レンジ中で)約150℃に約6時間加熱し、ほぼ室温(約20〜25℃)に冷却し、濾過し、約100℃で乾燥させた。乾燥後に、この材料を、空気中の箱形炉において約300℃の最終温度まで約2℃/分の昇温速度で加熱し、その温度で約4時間保持した(たとえば、焼成するために)。この材料の一部を触媒Aと名付けた。
図1は、六方晶系ニッケルタングステート相に結晶化した、この試料のX線回折スペクトルを示す。Ni
1Mo
0.5W
0.5O
4触媒、触媒Bは、類似の方法で、しかし半分モルのタングステン酸をMoO
3で置き換えて調製した。
【0096】
実施例1:NiWO
4(1,2DACH)
2およびNiWO
4(1,2DACH)
2/(クエン酸)の調製
還流冷却器を備えた約1000ccのガラス反応フラスコへ約16.6グラムの炭酸ニッケル(約0.14モルNi)および約35.0グラムのタングステン酸(約0.14モルW)を、その中へ約32.0グラムの1,2−ジアミノシクロヘキサン(1,2DACH;約0.28モル、工業銘柄、Aldrich)を前もって溶解させた、約150mLの水に加えた。撹拌機、温度計、および還流冷却器をこのフラスコに取り付けた。反応混合物を連続して撹拌し、約90℃に加熱し、一晩(約18時間)保持した。そのように得られた固体を濾過し、約100℃で乾燥させた。得られた重量、約39.5gは、約74.9gの計算重量に匹敵する。この乾燥生成物のX線回折スペクトルを
図2に示し、触媒1aと名付けた。
【0097】
触媒1a[NiWO
4(1,2DACH)
2]の一部を、約320℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で、石英ライン管炉において流れる窒素気流(約200cm
3/分)中で処理し、その温度で約90分間保持した。それを次に、ほぼ室温に冷却し、炉から取り出した。この触媒を触媒1a//N
2と名付けた。触媒1aの別の部分にクエン酸を、タングステンとクエン酸とのモル比が約1:0.33であるように(初期湿潤によって)含浸させた。この試料を約100℃で一晩乾燥させ、触媒1bと名付けた。触媒1bの一部を、約320℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で、石英ライン管炉において流れる窒素気流(約200cm
3/分)中で処理し、その温度で約90分間保持した。それを次に、ほぼ室温に冷却し、炉から取り出した。この触媒を触媒1b//N
2と名付けた。
【0098】
実施例2:NiWO
4(エチレンジアミン)
3の調製
NiWO
4のトリス−エチレンジアミン錯体を、約275mLのWeflon(商標)反応容器中へ約10mLの水と一緒にすべて入れた、約5.94グラムの炭酸ニッケル、約12.49グラムのタングステン酸、および約9.02グラムのエチレンジアミンの反応によって調製した。この容器を密封し、反応混合物を連続して撹拌し、(電子レンジ中で)約60℃に約10℃/分で加熱し、その温度で約6時間保持した。冷却および濾過後に、約9.4グラムの既知相のトリス−エチレンジアミンニッケルタングステートを同定し、触媒2と名付けた。
図3は、この相のX線回折パターンを示す。
【0099】
実施例3:NiWO
4/(en)
1/クエン酸
0.33/N
2の調製
比較例1で製造されたNiWO
4前駆体にエチレンジアミン(en)を、タングステンとenとのモル比が約1:1であるように含浸させた。この試料の一部を触媒3aと名付けた。触媒3aの別の部分を、約320℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で、石英ライン管炉において流れる窒素気流(約200cm
3/分)中で処理し、その温度で約90分間保持した。それを次に、ほぼ室温に冷却し、炉から取り出した。この触媒を触媒3a//N
2と名付けた。
【0100】
enを含浸させ、約100℃で乾燥させた触媒3aの一部に次に、水に溶解させたクエン酸を、enとクエン酸とのモル比が約1:0.33であるように、(初期湿潤点まで)さらに含浸させた。この試料を次に約100℃で再び乾燥させ、触媒3bと名付けた。この触媒3b試料の一部を、約320℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で、石英内張管炉において流れる窒素気流(約200cm
3/分)中で処理し、その温度で約90分間保持した。それを次に、ほぼ室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒3b//N
2と名付けた。
【0101】
NiWO
4の別個の部分にクエン酸のみを、タングステンとクエン酸とのモル比が約1:0.33であるように含浸させた。この部分を次に約100℃で乾燥させ、触媒3cと名付けた。触媒3cの一部を、約320℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で、石英内張管炉において流れる窒素気流(約200cm
3/分)中で処理し、その温度で約90分間保持した。それを次に、ほぼ室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒3c//N
2と名付けた。
【0102】
図4は、触媒3aおよび3bのX線回折スペクトルならびに、比較して、触媒Aおよび2aのX線回折スペクトルを示す。この図は、トリス−エチレンジアミンニッケルタングステート相を形成するためのエチレンジアミンの添加時にNiWO
4六方晶系ニッケルタングステート酸化物前駆体相の部分変換(触媒Aと比べて触媒3a)、およびクエン酸含浸時(触媒3b)にニッケルタングステート酸化物相(触媒2a)へのこの相のその後の逆戻りを示す。
【0103】
図5は、比較例1の硫化NiWO
4触媒(Aと示される)のX線回折スペクトルと一緒に、上記の手順に従って、硫化後の触媒3a、3a//N
2、3b、3b//N
2、3c、および3c//N
2のX線回折スペクトルを示す。
図5は、ニート酸化物から調製された硫化物、en単独かクエン酸単独かのどちらかを含浸させた酸化物、および不活性高温処理ありの後者2つの(002)ピークがすべてほぼ等しく鋭い(すなわち、それらが、ニート酸化物前駆体(6)と同じ(002)反射についての半分高さでの幅をおおよそ有するように思われる)ことを示す。(002)ピークの鋭さは、硫化タングステンの積重ねの数(したがって結晶子サイズ)の増加と相関すると考えられる。明らかに、enおよびクエン酸の両方を一緒に持った試料は、高温N
2処理があろうとなかろうと、はるかにより幅広い(002)ピークを示した。
【0104】
実施例4:NiWO
4/クエン酸
0.33/(en)
1/N
2およびNiWO
4/クエン酸
0.33プラス(en)
1/N
2の調製
実施例3におけるものと、同じ六方晶系ニッケルタングステート酸化物前駆体(触媒A)を使用した。NiWO
4に次に、クエン酸の水溶液を、タングステンとクエン酸とのモル比が約1:0.33であるように含浸させた。この試料を次に約100℃で乾燥させ、その後エチレンジアミン(en、水に溶解させた)を、enとクエン酸とのモル比が約1:0.33であるように、かつ、タングステンとenとのモル比が約1:1であるように、この試料の一部に(初期湿潤によって)加えた。この試料を次に約100℃で再び乾燥させ、触媒4aと名付けた。触媒4aの一部を、約320℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で、石英内張管炉において流れる窒素気流(約200cm
3/分)中で処理し、その温度で約90分間保持した。それを次に、ほぼ室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒4a//N
2と名付けた。
【0105】
別個の触媒試料を、水性クエン酸溶液をエチレンジアミンと組み合わせることによってそしてこの溶液を、各含浸工程後に約100℃で風乾させる状態で、(2つの初期湿潤工程で)触媒Aの一部上へ含浸させることによって調製した。それを触媒4bと名付けた。この試料の一部を、約320℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で、石英内張管炉において流れる窒素気流(約200cm
3/分)中で処理し、その温度で約90分間保持した。それを次に、ほぼ室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒4b//N
2と名付けた。
【0106】
触媒4a//N
2および4b//N
2の一部を、上記の手順に従って硫化した。触媒4a//N
2および4b//N
2の硫化試料のX線回折スペクトルを、
図6において硫化触媒3b//N
2のスペクトルと比較した。
図6は、ジアミン含浸が有機酸含浸の前、後またはそれと同時に行われるかにかかわらず、(002)ピークの同様な広がりがあるように見えることを示す。
【0107】
実施例5:他の有機促進NiWO
4前駆体の調製
それぞれが、比較例1のNiWO
4酸化物上へ含浸させられた、(i)ジアミンまたはアルカノールアミンおよび(ii)有機酸の両方を含有する、様々な他の試料を、実施例3の記載に類似の方法で調製した。各場合に、表1に示されるタングステン/アミンモル比を用いて、アミンを最初に含浸させ、これに、約100℃での乾燥、次に有機酸の第2含浸、約100℃での別の乾燥、次に約320℃での不活性窒素処理が続いた。
【0108】
【表1】
【0109】
それぞれが、比較例1のNiWO
4酸化物上へ含浸させられた、(i)モノアミンまたはジアミンおよび(ii)有機酸の両方を含有する、幾つかの他の試料を、実施例3の記載に類似の方法で調製した。各場合に、表2に示されるタングステン/アミンモル比を用いて、アミンを最初に含浸させ、これに、約100℃での乾燥、次に有機酸の第2含浸、約100℃での別の乾燥、次に約320℃での不活性窒素処理が続いた。
【0110】
【表2】
【0111】
表1および2に示されるある種の前駆体を上記の通り硫化し、得られた硫化物のX線回折スペクトルを
図7に示す。モノアミン前駆体(プロピルアミンおよびシクロヘキシルアミン;それぞれ5fおよび5g)から調製された硫化物がより鋭い(002)ピーク(12〜14度2Θで)を示したことを理解することができる。これは、ジアミンが二座配位を形成することができる(たとえば、1,2−プロピレンジアミンおよび1,2−ジアミノシクロヘキサン)かできないか(たとえば、1,3−プロピレンジアミンおよび1,4−ジアミノシクロヘキサン)にかかわらず、ジアミンを使って調製された硫化物におけるよりも大きい数の積重ねを示唆した。
【0112】
NiWO
4酸化物上へ含浸させられたアミンおよび有機酸の両方を含有する幾つかのさらなる試料をまた、実施例3の記載に類似の方法で調製した。これらは、調製物における異なる有機酸の挙動を比較するために調製した。これらの場合のそれぞれにおいて、ジアミンを最初に、表3に示されるタングステン/アミンモル比を用いて含浸させ、これに、約100℃での乾燥、次に有機酸の第2含浸、約100℃での別の乾燥、次に約320℃での不活性窒素処理が続いた。これらの前駆体を上記の通り硫化した。
【0113】
【表3】
【0114】
実施例6:有機促進NiW
0.975Nb
0.025O
4前駆体の調製
異なる酸化物前駆体を使用して二重促進触媒を調製した。おおよその名目組成NiW
0.975Nb
0.025O
4の試料を、約2.5モル%のタングステン成分(タングステン酸)を適切なモル量のニオブ酸で置換したことを除いては、比較例1に記載されるNiWO
4の調製と同様の方法で合成した。生じた生成物のX線回折スペクトルは、
図8に示されるように、Nbなしの材料にほぼ同一であった。Nbを含有する酸化物触媒前駆体を触媒6aと称した。触媒6aの一部に、モル比が次の通りであるように、エチレンジアミン、次にクエン酸を順次含浸させた、すなわち、約1:1の[W+Nb]/enおよび約1:0.33の[W+Nb]/クエン酸。得られた生成物を次に、実施例3に記載された方法で不活性窒素気流中で処理し、触媒6b//N
2と名付けた。
【0115】
実施例7:有機促進CoW
0.5V
0.5O
4前駆体の調製
おおよその名目組成Co
1W
0.5V
0.5酸化物の試料を、約150℃に約8時間加熱しながら、約150mLの水懸濁液中で約7.93グラムの炭酸コバルト(約0.067モルCo)、約3.03グラムの酸化バナジウム(V
2O
5;約0.033モルV)、および約8.33グラムのタングステン酸(約0.033モルW)を反応させることによって調製した。触媒7と特定される、生じた相は、
図9に示されるX線回折パターンを示し、
図9でそれは比較例1のNiWO
4についてのパターンと比較される(そしてまた
図13に示される)。触媒7の一部を、実施例3の記載に類似の方法でのエチレンジアミンおよび次にクエン酸の順次含浸のためのホスト酸化物として使用した。[W+V]とenとのモル比は約1:1であり、[W+V]とクエン酸とのモル比は約1:0.33であった。試料を、2つの含浸工程のそれぞれの後に約100℃で風乾させ、こうして触媒7aを形成した。触媒7a試料の一部を次に、約360℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で、石英内張管炉において流れる窒素気流(約200cm
3/分)中で処理し、その温度で約90分間保持した。それを次に、ほぼ室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒7a//N
2と名付けた。
【0116】
試験実施例
比較例2および実施例8〜14において、触媒活性結果を、回分式高圧反応器装置を用いて得た。回分式反応器に最初に、約65μlの触媒および約1.85mlの硫化原料を装入した。部分水素化処理された留出物原料(約570ppmの硫黄含有率および約350ppmの窒素含有率)を、触媒を硫化するために使用した。触媒硫化は、約30時間約10%H
2Sを含有する水素ガス混合物を使用して約315℃でおよび約400psig(約2.9MPag)で行った。回分式反応器アセンブリを、ガス、液体、および触媒の良好な混合を確実にするために軌道変化で振盪した。硫化後に、使用済み原料を、反応器を脱圧し、反応器アセンブリを周囲条件(おおよそ室温、または約20〜25℃)に冷却することによって除去した。空気暴露を最小限にするために、原料除去および計量分配は、窒素雰囲気下に保たれるグローブボックス内部で行った。触媒性能を次に、新鮮な(1.85ml)負荷の減圧軽油(VGO)原料を装入することによって評価した。反応器を次に、約100%H
2で約650psig(約4.6MPag)に加圧し、約357℃(約675°F)に加熱した。反応を、約24時間の総継続時間進行させ、その後反応器を脱圧し、周囲条件に冷却した。生成物液体をサンプリングし、Antek(商標)分析計を用いて総窒素含有率について分析した。あらゆる所与のランにおいて、原料のみ(触媒なし)を負荷させた約2〜3のブランク反応器をまた試験して実際の触媒活性を計算するためにさらに用いられるベースラインを設定した。固体触媒の低容積を正確に計量分配することが困難であるために、各触媒を分析天秤で秤量し、相対重量活性をこれらの重量を用いて求めた。
【0117】
実施例8〜14の活性測定のために使用されたVGOのおおよその名目組成を、下の表4に示す。
【0118】
【表4】
【0119】
Antek(商標)分析計を用いるNについての液体生成物分析に基づき、触媒性能を、基準触媒に対する相対重量活性(RWA)の観点から表した。所与の触媒についてのRWAを次に下式、すなわち、
RWA=[ln(C
blank/C
final)/(触媒重量)]/[ln(C
blank/C
final)/(触媒重量)]
Ref
[ここで、C
blankは、活性ランが完了した後のブランク反応器からの生成物液体中の総窒素の濃度(wppm)を表し、ここで、C
finalは、触媒を含有する反応器からの生成物液体中の総窒素の最終濃度(wppm)を表し、そしてここで、触媒重量は、計量分配された特定容積の触媒の重量を表す]を用いて計算した。報告されるランすべてのために使用された基準触媒は、おおよその化学量論NiMo
0.5W
0.5O
4の酸化物(のみ)触媒前駆体(比較例1の触媒Bを参照されたい)から製造された比較的高活性の触媒であった。
【0120】
比較例2:比較例1の触媒の試験
表4のVGO原料についての触媒A(有機化合物がまったく存在しないバルクNiWO
4)の硫化試料の水素化脱窒素(HDN)活性を、おおよその化学量論NiMo
0.5W
0.5O
4の酸化物(のみ)触媒前駆体(触媒B)から製造された硫化基準試料のそれと比較した。触媒Aは、それが触媒Bと同じHDN活性を実際上有することを示す、1.02のRWAを有することが分かった。
【0121】
実施例8:実施例1の触媒の試験
それらのすべてが実施例1に記載された、触媒1a、1a//N
2、1b、および1b//N
2の硫化試料のHDN活性を、触媒Bから製造された硫化基準試料のHDN活性に対して比較した。これらの活性を、基準に対して重量ベースで標準化し、表5に示す。これらの二金属酸化物−アミンハイブリッド相の比較的低い密度のために、相対容積ベースの活性は、基準触媒のそれよりも小さかった。
【0122】
【表5】
【0123】
表5は、二金属酸化物−アミン前駆体の高温不活性処理が、クエン酸が含浸させられていてもいなくても、それらの活性を向上させたことを示す。これらの実施例1前駆体の、低密度、およびその結果より低い容積活性は、それらを実施例2〜7の触媒よりも好ましくないものにする傾向がある。
【0124】
実施例9:実施例3の触媒の試験
それらのすべてが実施例3に記載された触媒3a、3b、および3b//N
2の硫化試料のHDN活性を、触媒Bから製造された硫化基準試料のHDN活性に対して比較した。これらの活性を、基準に対して重量ベースで標準化し、表6に示す。
【0125】
【表6】
【0126】
表6は、基準触媒のそれよりも高いHDN活性が、とりわけ試料が硫化前に高温で不活性気流中で処理される状態で、ジアミンおよび有機酸を両方とも同時に存在させることによって達成できることを示す。アミン処理およびクエン酸処理の両方ありの触媒は、有機酸−塩がその表面をコートした混合酸化物(NiWO
4)の結晶構造(
図4を参照されたい)を示したので、酸化物相の比較的高い密度は維持され、相対容積活性はまた基準よりも高かった。
【0127】
実施例10:実施例3および4の窒素処理触媒の試験
触媒3b//N
2の硫化試料を、同じ触媒の繰り返し試料調製(触媒3b//N
2繰り返し)と一緒におよび触媒前駆体4a//N
2(同じ組成を有するが、添加が逆順の、すなわち、クエン酸を最初に、次に引き続きエチレンジアミンを加え、高温窒素処理にかけた)の硫化試料と一緒に選択した。これらの3つの試料を、触媒Bから製造された硫化基準試料と一緒に、表4に記載される減圧軽油を使用してHDN活性試験で比較した。結果を表7に示す。
【0128】
【表7】
【0129】
表7のデータは、エチレンジアミンおよびクエン酸の添加の順番が決定的に重要であるわけでないことを示す。
【0130】
実施例11:実施例5の窒素処理触媒の試験
異なる有機塩基を使った触媒前駆体の硫化試料を、実施例5の調製物から選択し、触媒Bから製造された硫化基準試料と一緒に、表4の減圧軽油を使用するHDN試験で試験した。結果を表8に示す。
【0131】
【表8】
【0132】
表8のデータは、二重有機化合物を使って観察される促進効果が、他のジアミンでおよびまたアミノアルコールで現れたことを示す。さらに、プロピルアミンを含有する、試料5f//N
2は、それが
図7において見られるようにジアミンよりも多い数の積重ねを示したが、わずかにより低い活性を有するにすぎず、有機酸での処理およびその後の不活性処理がまたある限り、モノアミンかジアミンかのどちらでも使用できることを示した。
【0133】
実施例12:実施例5のさらなる窒素処理触媒の試験
マレイン酸を含浸させた触媒前駆体の硫化試料を、実施例5の調製物から選択し、触媒Bから製造された硫化基準試料と一緒に、表4の減圧軽油を使用するHDN試験で試験した。結果を表9に示す。
【0134】
【表9】
【0135】
表9のデータは、クエン酸以外の有機酸をまた活性触媒を調製するために使用できることを示す。
【0136】
実施例13:実施例6の窒素処理触媒の試験
ニオブ含有前駆体触媒6b//N
2は、表4の減圧軽油を使用するHDN試験で触媒Bから製造された硫化基準試料と比較され、約1.53のRWAを有することが分かった。この結果は、前駆体Ni−W酸化物へのNbの添加が、二重有機促進で調製されたNi−W前駆体に著しい追加の活性を付与できることを示す。
【0137】
実施例14:実施例7の触媒の試験
触媒7(おおよその化学量論Co
1W
0.5V
0.5酸化物のみ)および触媒7a//N
2(エチレンジアミンおよびクエン酸を含浸させられ、窒素中で加熱された、おおよその化学量論Co
1W
0.5V
0.5酸化物)の硫化試料を、表4の減圧軽油を使用するHDN試験で触媒Bから製造された硫化基準試料と比較した。結果を表10に示す。
【0138】
【表10】
【0139】
表10は、二重有機促進剤および高温不活性処理ありのコバルト、バナジウム、およびタングステンを含有するこの組成物がホスト酸化物触媒よりも活性であり、基準物質の活性を超えたことを示す。
【0140】
実施例15:実施例5の触媒の流通反応器試験
本実施例においては、触媒活性結果を、3段階流通反応器試験を用いて得た。試験に用いられる3つの反応器のそれぞれは、入口に石英ウール、出口に石英ウールおよびガラスフリットガスケット付きの、約0.28インチ(約0.7cm)内径を有するステンレススチールU字型容器であった。3つの反応器のそれぞれに、試験される異なる触媒前駆体を装填し、共通の砂浴に入れ、上向流モードでランした。試験に用いられた触媒前駆は、(a)試料5b//N
2(NiWO
4//o−フェニレンジアミン
1//クエン酸
0.33//約320℃でN
2処理された)、(b)試料5g//N
2(NiWO
4//シクロヘキシルアミン
1//クエン酸
0.33//約320℃でN
2処理された)、および(c)基準触媒、触媒B(おおよその化学量論Ni
1Mo
0.5W
0.5O
4)であった。試料のそれぞれを丸薬状にし、破砕し、約35/60メッシュ(約250〜500μm)に篩い分けし、次に、容積の半分が触媒前駆体を含み、半分が石英希釈剤を含む状態で、約6ccの総容積を与えるために、約40〜60メッシュ石英粉末と混合した。
【0141】
装入された反応器を、砂浴の外部で約400psig(約2.9MPag)でのN
2でおよび砂浴の内部で約1250psig(約8.72MPag)での水素で約4時間圧力試験した後、圧力をほぼ大気圧に下げ、H
2を約48sccmで流しながら、温度を約100℃に上げた。約100℃で、圧力を約100psig(約790kPa)に設定し、H
2流れを停止し、硫化原料(ディーゼル沸点範囲ストリームに溶解させた、約7.5重量%のジメチルジスルフィド)を、約4時間各触媒上に約8ml/時で流した。次に、硫化原料を続行しながら、H
2を約48sccmの流量で各反応器に加え、圧力を約650psig(約4.6MPag)に上げ、次に温度を約4時間にわたって約235℃に上げた。このシステムを次に、さらに約12時間約235℃で等温に保った。その等温処理後に、温度を約4.5時間の期間にわたって約345℃に上げ、さらに約16時間等温に保持した。これにより、触媒の硫化が完了した。
【0142】
温度を次に、約8時間の期間にわたって約230℃に冷却し、硫化原料を次に、表11で下に規定される減圧軽油(VGO)で置き換えた。原料容器、ISCOポンプ、溜め、および装置ラインすべてを、VGO原料を流れるように保つために約80〜120℃に加熱した。圧力を約1200psig(約8.4MPag)に上げ、温度を約4時間の期間にわたって約230℃から約365℃に上げた。VGO流れを約3.3ml/時に設定し、H
2流量を約49.5sccmに設定した。これは、約1時間
−1のLHSVおよび約5000scf/bblの水素流れにおよそに等しかった。約18〜24時間後に、第1液体試料を得て、サンプリングをランの残りの間1日に1回続行した。較正ANTEK(商標)9000シリーズ分析計を用いて希釈生成物の硫黄および窒素含有率を測定した。
【0143】
【表11】
【0144】
VGO原料の水素化脱窒素についての触媒の相対容積活性(RVA)に関する結果を、窒素中約1.25次を仮定して、
図10に示す。
【0145】
実施例16.NiWO
4//(オレイルアミン)
0.23(空気250℃)/クエン酸
0.19(空気230℃)//N
2320℃の調製
実施例1からのNiWO
4に、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、NiWO
4とオレイルアミンとのモル比が約1:0.23であるように含浸させた。試料を先ず乾燥オーブンにおいて約100℃で一晩乾燥させ、次に、約250℃まで約2℃/分の昇温速度でプログラムされた、箱形炉に入れた。試料を、流れない空気中その温度で約4時間保持した。この試料に次に、水性クエン酸溶液を、NiWO
4とクエン酸とのモル比が約1:0.19であるように含浸させた。この試料を乾燥オーブンにおいて約100℃で一晩再び乾燥させ、次に、約230℃まで約2℃/分の昇温速度でプログラムされた、空気中の箱形炉に入れた。試料をその温度で約4時間保持し、次に石英ライン管炉に入れ、約320℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で流れる窒素気流(約300cm
3/分)中で加熱した。試料をその温度で約90分間保持し、次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒Cと名付けた。
【0146】
実施例18.NiWO
4//アニリン
1//クエン酸
0.33//N
2320℃の調製
実施例1からのNiWO
4に、アニリン(ACS試薬、99.5%、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、NiWO
4とアニリンとのモル比が約1:1であるように含浸させた。試料を乾燥オーブンへ入れ、約100℃で一晩維持した。試料に次に、水性クエン酸溶液を、NiWO
4とクエン酸とのモル比が約1:0.33であるように含浸させた。試料を乾燥オーブンにおいて約100℃で一晩再び乾燥させ、次に約320℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で、石英ライン管炉において流れる窒素気流(約300cm
3/分)中で加熱した。試料をその温度で約90分間保持し、次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒Dと名付けた。
【0147】
実施例19.NiWO
4//(オレイルアミン)
0.13/(クエン酸)
0.15//空気230℃の調製
実施例1からのNiWO
4に、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、NiWO
4とオレイルアミンとのモル比が約1:0.13であるように含浸させた。試料を乾燥オーブンへ入れ、約100℃で一晩維持した。試料に次に、水性クエン酸溶液を、NiWO
4とクエン酸とのモル比が約1:0.15であるように含浸させた。この試料を乾燥炉において約100℃で一晩再び乾燥させ、次に空気中の箱形炉に入れ、約230℃の最終温度まで約0.5℃/分の速度で加熱した。試料をその温度で約4時間保持し、次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒Eと名付けた。
【0148】
実施例20.NiWO
4//(オレイルアミン)
0.13/(クエン酸)
0.15//N
2320℃の調製
実施例1からのNiWO
4に、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、NiWO
4とオレイルアミンとのモル比が約1:0.13であるように含浸させた。試料を乾燥オーブンへ入れ、約100℃で一晩維持した。試料に次に、水性クエン酸溶液を、NiWO
4とクエン酸とのモル比が約1:0.15であるように含浸させた。この試料を乾燥炉において約100℃で一晩再び乾燥させ、次に箱形炉に入れ、約320℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で石英ライン管炉において流れる窒素気流(約400cm
3/分)中で加熱した。試料をその温度で約90分間保持し、次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒Fと名付けた。
【0149】
熱重量測定によって得られた、異なる試料の有機含有率を表12で下にリストする。
【0150】
【表12】
【0151】
触媒前駆体組成物を、上記の通り硫化し、それらの硫化XRDスペクトルを
図11に示す(触媒Aについてのスペクトルは
図1に示し、その合成は本明細書の比較例1に記載された)。第1有機化合物としてアニリンを使用して調製された硫化試料は、プロピルアミンおよびシクロヘキシルアミンを第1有機化合物として使用して得られた試料(それぞれ、試料5fおよび5g)よりもわずかな幅広い(002)ピークを示したにすぎなかった。第1有機化合物としてオレイルアミンを使用して調製された試料(触媒C、E、およびF)は、計れる程度により幅広い(002)ピークを示し、積重ねのとりわけより小さい数、したがってとりわけより小さい結晶子を示唆する。
【0152】
触媒AおよびC〜Fを、VGO原料を使用する2つの異なる3段階流通反応器試験で比較した。試験に使用されるVGOは、本明細書で上の表11に示される特性を有した。
【0153】
粉末化触媒試料のそれぞれを丸薬状にし、破砕し、約35/60メッシュ(約250〜500μm直径)に篩い分けし、次に、容積のおよそ半分が触媒試料を含み、およそ半分が石英希釈剤を含む状態で、約6cm
3の総容積を与えるために約40〜60メッシュ石英粉末と混合した。各試料を、入口に石英ウール、出口に石英ウールおよびガラスフリットガスケット付きのステンレススチールのU字形反応器(約0.71cm直径)へ装填した。3つの反応器のそれぞれを共通の砂浴に入れ、上向流モードでランした。装入された反応器を、砂浴の外部で約400psig(約2.8MPag)での窒素でおよび砂浴の内部で約1250psig(約8.62MPag)での水素で約4時間圧力試験した後、圧力をほぼ大気圧に下げた。次に、水素を約48Scm
3/分(sccm)で流しながら、温度を約100℃に上げた。約100℃で、圧力を約100psig(約690kPag)に上げ、水素流れを停止し、約8mL/時の速度で流れる硫化原料(ディーゼル沸点範囲原料に溶解させた、約7.5重量%のジメチルジスルフィド、またはDMDS)を約4時間各試料上に通した。次に、硫化原料を続行しながら、水素を約48sccmの流量で各反応器に加え、その時点で圧力を約650psig(約4.5MPag)に上げ、次に温度を次の約4時間にわたって約235℃に上げた。このシステムを次に、さらに約12時間約235℃でおおよそ等温状態に保持した。その等温処理後に、温度を約4.5時間の期間にわたって約345℃に再び上げ、さらに約16時間おおよそ等温状態に保持し、その時点で触媒硫化は完了したと考えられた。
【0154】
温度を次に、約8時間の期間にわたって約230℃に冷却し、硫化原料を減圧軽油(VGO)で置き換えた。原料容器、ISCOポンプ、溜め、および装置ラインすべてを、VGOの流れを容易にするために(たとえば、VGO原料を液体状態にするために)約80〜120℃に加熱した。圧力を次に約1200psig(約8.3MPag)に上げ、温度を約4時間の期間にわたって約230℃から約365℃に上げた。VGO流れを約3.3mL/時に設定し、水素流量を約49.5sccmに設定し、それは、約1.1時間
−1のLHSVおよび約5000scf/bbl(約845Sm
3/m
3)の水素流れに等しかった。約18〜24時間後に、第1液体試料を得て、サンプリングをランの残りの間1日に1回続行した。較正ANTEK 9000シリーズ機器を用いて希釈生成物の硫黄および窒素含有率を測定した。触媒A、C、およびDを、約20日オンストリーム後に比較した。窒素および硫黄含有率を表13に示す。
【0155】
【表13】
【0156】
触媒A、E、およびFを、同様な条件下に同様な原料で比較した。約29日オンストリーム後に、生成物中の窒素および硫黄含有率、ならびにHDN活性をベースとするRVAおよびRMAを得て、表14に示す。
【0157】
【表14】
【0158】
赤外スペクトルを、処理温度が空気中では約100℃〜約230℃に、窒素中では約320℃に変えられた(硫化前)、触媒前駆体EおよびF(それぞれ、NiWO
4//(オレイルアミン)
0.13/クエン酸
0.15/空気230℃およびNiWO
4//(オレイルアミン)
0.13/クエン酸
0.15/N
2320℃)などの一連の触媒前駆体について得た。結果を
図12に示す。
【0159】
実施例21.NiWO
4//(オレイルアミン)
0.1/(オレイン酸)
0.06//空気220℃の調製
実施例1からのNiWO
4に、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、NiWO
4とオレイルアミンとのモル比が約1:0.10であるように含浸させた。試料を乾燥オーブンへ入れ、約100℃で一晩維持した。試料に次に、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、NiWO
4とオレイン酸とのモル比が約1:0.06であるように含浸させた。この試料を乾燥炉において約100℃で一晩再び乾燥させ、次に空気中の箱形炉に入れ、約220℃の最終温度まで約0.5℃/分の速度で加熱した。試料をその温度で約4時間保持し、次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒Gと名付けた。触媒G(硫化前)のおおよその有機含有率は約17.4%であることが分かった。
【0160】
別のランを、次の条件で実施例20におけるものと同じように本明細書の表11からの同じVGO原料を使って行った、すなわち、約365℃の温度、約1200psig(約8.3MPag)の全圧、約5000scf/bbl(約845Sm
3/m
3)の水素処理ガス比率、および約1.1時間
−1の重量空間速度(WHSV)。触媒A、E、およびGのHDNおよびHDS能力を、約23日オンストリーム後に比較した。窒素および硫黄含有率を得て、下の表15に示す。圧力を(約800psig、または約5.5MPagへ)および空間速度を(約0.73時間
−1へ)低下させるための条件の変更後、約34日オンストリーム後の硫黄および窒素含有率を得て、下の表16に示す。
【0161】
【表15】
【0162】
【表16】
【0163】
実施例22.NiWO
4//(オレイルアミン)
0.13//空気230℃の調製
実施例1からのNiWO
4に、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、NiWO
4とオレイルアミンとのモル比が約1:0.13であるように含浸させた。試料を乾燥炉へ入れ、約100℃で一晩維持した。この試料を次に約230℃の最終温度まで約0.5℃/分の速度で空気中加熱した。試料をその温度で約4時間保持し、次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒Hと名付けた。触媒H(硫化前)のおおよその有機含有率は約12.2%であることが分かった。
【0164】
実施例23.NiWO
4//(オレイン酸)
0.13//空気220℃の調製
実施例1からのNiWO
4に、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、NiWO
4とオレイン酸とのモル比が約1:0.13であるように含浸させた。試料を乾燥炉へ入れ、約100℃で一晩維持した。この試料に次に、約220℃の最終温度まで約0.5℃/分の速度で空気中加熱した。試料をその温度で約4時間保持し、次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した。それを触媒Jと名付けた。触媒J(硫化前)のおおよその有機含有率は約14.7%であることが分かった。
【0165】
別のランを、次の条件で実施例20におけるものと同じように本明細書の表11からの同じVGO原料を使って行った、すなわち、約365℃の温度、約1200psig(約8.3MPag)の全圧、約5000scf/bbl(約845Sm
3/m
3)の水素処理ガス比率、および約1.1時間
−1の重量空間速度(WHSV)。触媒A、H、およびJのHDNおよびHDS能力を、約19日オンストリーム後に比較した。窒素および硫黄含有率、ならびに相対容積および相対モルHDN活性を得て、下の表17に示す。
【0166】
【表17】
【0167】
これらの結果は、同様な条件下に処理され、そして炭化水素(これらの場合には、VGO)原料にさらされたときに、第1有機化合物および第2有機化合物の両方、すなわちオレイルアミンとオレイン酸との組み合わせで処理された触媒(たとえば、表15に示されるような、触媒EおよびG)が、第1有機化合物か第2有機化合物かのどちらか、すなわちオレイルアミン単独またはオレイン酸単独で処理された触媒(たとえば、表17に示されるような、触媒HおよびJ)よりも活性であることを示す。
【0168】
実施例24.酸化物前駆体CoWO
4、CoMoO
4、Co
1.5MoO
4.5、およびCo
2.5MoO
5.5(有機化合物なし)の調製
CoWO
4前駆体試料は、炭酸コバルトとタングステン酸との間の固体−スラリー反応によって形成した。約23.79グラムの炭酸コバルトおよび約49.97グラムのタングステン酸を約800mLの水に加えて懸濁液(pH約6.4)を形成し、それを、冷却器を備えた約1Lの丸底フラスコへ入れ、それを次に約90℃に約16時間加熱した。周囲温度/室温に冷却した後、固体を濾過し、乾燥オーブンにおいて約100℃で一晩乾燥させた。
図13は、この試料のXRDスペクトルを示す。
【0169】
Co
1Mo
1O
4前駆体試料は、約23.78グラムの炭酸コバルトを、約800mLの水にスラリー化された約28.8グラムのMoO
3と反応させることによって調製した。この混合物を、冷却器を備えた約1Lの丸底フラスコへ入れ、それを約90℃に約16時間加熱した。周囲温度/室温に冷却した後、固体を濾過し、乾燥オーブンにおいて約100℃で一晩乾燥させた。
図13は、この試料のXRDスペクトルを示す。
【0170】
Co
2.5Mo
1O
5.5前駆体試料は、約59.5グラムの炭酸コバルトを、約800mLの水にスラリー化された約28.8グラムのMoO
3と反応させることによって調製した。この混合物を、冷却器を備えた約1Lの丸底フラスコへ入れ、それを次に約90℃に約16時間加熱した。周囲温度/室温に冷却した後、固体を濾過し、乾燥オーブンにおいて約100℃で一晩乾燥させた。
図13は、この試料のXRDスペクトルを示す。
【0171】
(アンモニウムイオンを含有する)Co
1.5Mo
1O
4.5前駆体試料は、先ず約17.65グラムのヘプタモリブデン酸アンモニウム四水和物(約0.1モルMo)を約800mLの水に溶解させ、これを、冷却器を備えた約1Lの丸底フラスコへ入れることによって調製した。この溶液に、約22.5mLの濃NH
4OH(NH
4OH/Coの約3:1モル比)を加え、こうしてpHを約9.4に上げた(溶液A)。この溶液を次に約90℃に温めた。第2溶液を、約43.64グラムの硝酸コバルト六水和物(約0.15モルCo)を約50mLの水に溶解させることによって調製し(溶液B)、この溶液を約90℃の温度に維持した。コバルト溶液(溶液B)を、約7cm
3/分の速度でモリブデン溶液(溶液A)へ滴加した。沈澱が溶液の約1/4を加えた後に形成し始めた。溶液AおよびBが混ぜ合わせられた後の最終pHは、約6.5であった。この懸濁液/スラリーを、温度を90℃に維持しながらもう30分間撹拌し、その後それを周囲温度/室温に冷却し、濾過し、約120℃で乾燥させた。乾燥後の総重量は約30.2グラムであった。乾燥試料のXRDスペクトルを
図13に示す。
【0172】
実施例25.CoV
0.5W
0.5O
4/(オレイルアミン)
0.67/(オレイン酸)
0.094//空気170℃の調製
実施例7からのCoV
0.5W
0.5O
4前駆体試料に、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、CoV
0.5W
0.5O
4とオレイルアミンとのモル比が約1:0.067であるように含浸させた。試料を乾燥炉へ入れ、約100℃で一晩維持した。この試料に次に、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、CoV
0.5W
0.5O
4とオレイン酸とのモル比が約1:0.094であるように含浸させた。この試料を次に約100℃で一晩乾燥させ、引き続き空気中の箱形炉において約170℃の最終温度まで約0.5℃/分の速度で加熱した。試料をその温度で約2時間保持し、次に、炉から取り出す前に周囲温度/室温に冷却した。
【0173】
実施例26.CoWO
4/(オレイルアミン)
0.13/(クエン酸)
0.15//空気210℃の調製
実施例24からのCoWO
4前駆体試料に、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、CoWO
4とオレイルアミンとのモル比が約1:0.13であるように含浸させた。試料を乾燥炉へ入れ、約100℃で一晩維持した。この試料に次に、水性クエン酸溶液を、CoWO
4とクエン酸とのモル比が約1:0.15であるように含浸させた。この試料を次に約100℃で一晩乾燥させ、引き続き空気中の箱形炉において約210℃の最終温度まで約0.5℃/分の速度で加熱した。試料をその温度で約2時間保持し、次に、炉から取り出す前に周囲温度/室温に冷却した。
【0174】
実施例27.CoMoO
4/(オレイルアミン)
0.059/(オレイン酸)
0.075//空気200℃の調製
実施例24からのCoMoO
4に、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、CoMoO
4とオレイルアミンとのモル比が約1:0.059であるように含浸させた。試料を乾燥炉へ入れ、約100℃で一晩維持した。この試料に次に、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、CoWO
4とオレイン酸とのモル比が約1:0.075であるように含浸させた。この試料を次に約100℃で一晩乾燥させ、引き続き空気中の箱形炉において約200℃の最終温度まで約0.5℃/分の速度で加熱した。試料をその温度で約2時間保持し、次に、炉から取り出す前に周囲温度/室温に冷却した。
【0175】
実施例28.Co
1.5MoO
4.5/(オレイルアミン)
0.067/(オレイン酸)
0.085//空気170℃または200℃の調製
実施例24からのCo
1.5MoO
4.5前駆体試料に、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、Co
1.5MoO
4.5とオレイルアミンとのモル比が約1:0.067であるように含浸させた。試料を乾燥炉へ入れ、約100℃で一晩維持した。この試料に次に、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、Co
1.5MoO
4.5とオレイン酸とのモル比が約1:0.085であるように含浸させた。この試料を次に約100℃で一晩乾燥させ、引き続き空気中の箱形炉において約170℃か約200℃かのどちらかの最終温度まで約0.5℃/分の速度で加熱した。どちらの加熱温度についても、試料をその温度で約2時間保持し、次に、炉から取り出す前に周囲温度/室温に冷却した。
【0176】
実施例29.Co
2.5MoO
5.5/(オレイルアミン)
0.074/(オレイン酸)
0.095//空気200℃の調製
実施例24からのCo
2.5MoO
5.5前駆体試料に、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、Co
1.5MoO
4.5とオレイルアミンとのモル比が約1:0.067であるように含浸させた。試料を乾燥炉へ入れ、約100℃で一晩維持した。この試料に次に、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、Co
2.5MoO
5.5とオレイン酸とのモル比が約1:0.095であるように含浸させた。この試料を次に約100℃で一晩乾燥させ、引き続き空気中の箱形炉において約200℃の最終温度まで約0.5℃/分の速度で加熱した。試料をその温度で約2時間保持し、次に、炉から取り出す前に周囲温度/室温に冷却した。
【0177】
実施例30.触媒試料についての水素処理試験比較
実施例25、27、28、および29に従って製造された触媒、ならびに基準触媒(アルミナに担持されたCoMo;Baton Rouge,LAのAlbemarleから商業的に入手可能な)を、以下の手順を用いて硫化した。各触媒試料を反応器容器へ装填した後、約100%純度水素を約1250scf/bbl(約213Nm
3/m
3)で流しながら、温度を約107℃まで約14℃/時の速度で上げた。約107℃でおよび約380psig(約2.6MPag)の圧力で、約1.0時間
−1のLHSVを達成するのに十分な速度で流れる硫化原料(約2.6%の硫黄含有率を達成するためにディーゼル沸点範囲原料に溶解させた、ジメチルジスルフィド、またはDMDS)を約5時間各試料上に通した。次に、硫化原料および水素原料を流し続けながら、温度を約232℃まで約14℃/時の速度で上げ、約20時間おおよそ等温状態に保持した。その等温処理後に、温度を約321℃まで約14℃/時の速度で再び上げ、約12時間おおよそ等温状態に保持し、これに約14℃/時の速度での約343℃への別の温度上昇が続き、約8時間おおよそ等温状態に保持し、その時点で触媒硫化は完了したと考えられた。
【0178】
さらに、これらの実験において、反応条件は次の通りであった、すなわち、約655°F(約346℃)EITの温度、約575psig(約3.97MPag)の全圧、約0.85時間
−1のLHSVおよび約936scf/bbl(約159Nm
3/m
3)の水素処理ガス比率。これらの硫化触媒を使用して次の特性を有するディーゼル沸点範囲原料を水素処理した、すなわち、約1.37重量%の硫黄含有率;約134wppmの窒素含有率;約33.1(度)のAPI比重;および約709°F(約376℃)のT
95。約20日オンストリーム後の水素処理ディーゼル沸点範囲生成物の硫黄含有率を得て、下の表18に示す。
【0179】
【表18】
【0180】
上の表の生成物硫黄レベルから理解することができるように、実施例28に従って製造された触媒は、(すべての他の反応条件および原料条件が一定であるので)最高の相対水素化脱硫(HDS)活性と相関させることができる、最低の生成物硫黄を示した。
【0181】
実施例31.混合バイオ原料での触媒性能
3つの触媒を、約20重量%大豆油を含有する、主としてVGO原料を使用する3段階流通反応器試験で比較した。触媒Kは、アルミナに担持された商業的に入手可能なNiMo触媒であった。触媒Lは、商業的に入手可能なバルクNiMoW触媒であった。触媒Mは、触媒Eおよび/またはGと同様な組成の、本発明による触媒であった。大豆油は、硫黄、窒素、および金属ヘテロ原子を実質的に含まず、様々なアルキル鎖長の、しかしほとんどC
18のトリグリセリドを主として含んだ。本実施例に使用されたVGOベースは、下の表19に詳述される特性を示した。
【0182】
【表19】
【0183】
触媒を、本明細書の実施例20に記載されるものと同様の手順を用いて硫化した。さらに、これらの実験において、反応条件は次の通りであった、すなわち、約680°F(約360℃)EITの温度、約1287psig(約8.87MPag)の全圧、および約5950scf/bbl(約1010Nm
3/m
3)の水素処理ガス比率。触媒Kは約0.77時間
−1のLHSVでランしたが、触媒LおよびMはそれぞれ、約1.08時間
−1のLHSV値でランした。約78日オンストリーム後の窒素および硫黄含有率を得て、下の表20に示す。
【0184】
【表20】
【0185】
得られた液体生成物は、酸素の99%超の除去で、実質的に酸素を含まなかった。酸素は、様々な形態で、たとえば水、CO、および/またはCO
2として除去された。表21は、反応器ガス流出ストリーム中のこれらの副生物のH
2Sを含まない濃度を示す。
【0186】
【表21】
【0187】
実施例32.混合バイオ原料に関する触媒性能
触媒K、L、およびMを、約20重量%大豆油を含有する、主として軽油原料を使用して3段階流通反応器試験で比較した。大豆油は、実施例31におけるものと同じものであったが、本実施例に使用される軽油ベースは、下の表22に詳述される特性を示した。
【0188】
【表22】
【0189】
触媒を、本明細書の実施例20に記載されるものと同様の手順を用いて硫化した。さらに、これらの実験において、反応条件は次の通りであった、すなわち、約625°F(約329℃)EITの温度、約1000psig(約6.9MPag)の全圧、および約2070scf/bbl(約350Nm
3/m
3)の処理ガス比率。触媒Kは、約0.78時間
−1のLHSVでランしたが、触媒LおよびMはそれぞれ、約1.11時間
−1のLHSV値でランした。約78日オンストリーム後の窒素および硫黄含有率を得て、下の表23に示す。
【0190】
【表23】
【0191】
得られた液体生成物は、酸素の99%超の除去で、実質的に酸素を含まなかった。酸素は、様々な形態で、たとえば水、CO、および/またはCO
2として除去された。表24は、反応器ガス流出ストリーム中のこれらの副生物のH
2Sを含まない濃度を示す。
【0192】
【表24】
【0193】
実施例33.水素化分解機能における触媒性能
触媒K、L、およびMを、VGO1およびVGO2と名付けられる、2つの異なるVGO原料を使用して3段階流通反応器試験で比較した。本実施例に使用されるVGOは、下の表25に詳述される特性を示した。
【0194】
【表25】
【0195】
触媒を、本明細書の実施例20に記載されるものと同様の手順を用いて硫化した。さらに、これらの実験において、反応条件は変えられた。約40日オンストリーム後の窒素および硫黄含有率を、次の条件でVGO1原料について得た、すなわち、約710°F(約377℃)EITの温度、約1.4時間
−1のLHSV、および約4000scf/bbl(約680Nm
3/m
3)の水素処理ガス比率。触媒Kは、約1875psig(約12.9MPag)の全圧でランしたが、触媒LおよびMはそれぞれ、約1275psig(約8.8MPag)の全圧でランした。結果を下の表26に示し、それは、比較的より低い圧力でさえも、本処理触媒組成物の優れた性能を示す。
【0196】
【表26】
【0197】
次に、約69日オンストリーム後の窒素および硫黄含有率を、次の条件でVGO1原料について得た、すなわち、約710°F(約377℃)EITの温度、約1875psig(約12.2MPag)の全圧、および約4000scf/bbl(約680Nm
3/m
3)の水素処理ガス比率。触媒LおよびMはそれぞれ、約2.3時間
−1のLHSVでランしたが、触媒Kは、約1時間
−1のLHSVでランした。結果を下の表27に示し、それは、比較的より高い空間速度でさえも、本処理触媒組成物の優れた性能を示す。
【0198】
【表27】
【0199】
その後、約74日オンストリーム後の窒素および硫黄含有率を、次の条件でVGO2原料について得た、すなわち、約710°F(約377℃)EITの温度、約1875psig(約12.2MPag)の全圧、約2時間
−1のLHSV、および約4000scf/bbl(約680Nm
3/m
3)の水素処理ガス比率。結果を下の表28に示し、それは、より重質の/より無反応性の原料についてさえも、本処理触媒組成物の優れた性能を示す。
【0200】
【表28】
【0201】
実施例34.NiMo
0.5W
0.5O
4//(オレイルアミン)
0.10/(オレイン酸)
0.06//空気220℃の調製
NiMo
0.5W
0.5O
4を比較例1に記載されるように調製した。それを乾燥させ、約300℃で焼成した後、それを(残りが混合金属酸化物である状態で)結合粒子の重量の約7重量%が不活性バインダーであるように、不活性バインダーを使って結合粒子へ複合化した。約6.48gのオレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、約3.08gのオレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)と混ぜ合わせ、約100℃に加熱して溶液を形成した。NiMo
0.5W
0.5O
4の約50グラムの結合粒子を同様に約100℃に加熱し、次にこの溶液を使用して有機成分を結合粒子中へ/上へ同時に共含浸させた。得られた触媒は、NiMo
0.5W
0.5O
4(オレイルアミン)
0.10(オレイン酸)
0.06のおおよその組成を有した。この含浸試料を乾燥炉において約100℃で一晩乾燥させ、箱形炉に入れ、約220℃まで約0.5℃/分で空気中加熱し、その温度で約4時間保持した。熱処理試料を次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した(触媒Pと名付けた)。この試料を、約300℃で焼成しそして(残りが混合金属酸化物である状態で)結合粒子の重量の約7重量%が不活性バインダーであるように、不活性バインダーを使って結合粒子へ複合化することによって粒子へ成形したが、その結合粒子を有機含浸にかけなかった、比較例1に記載されるNiMo
0.5W
0.5O
4(触媒Nと名付けた)に対して比較した。
【0202】
両触媒試料NおよびPを、本明細書の実施例20に記載されるものと同様の手順を用いて硫化した。硫化すると、触媒試料をそれぞれ、次の条件で実施例20におけるものと同じように本明細書の表11からの同じVGO原料と接触させた、すなわち、約365℃の温度、約1200psig(約8.3MPag)の全圧、約5000scf/bbl(約845Sm
3/m
3)の水素処理ガス比率、および約1.1時間
−1の重量空間速度(WHSV)。これらの触媒試料のHDNおよびHDS能力を、約13日オンストリーム後に比較した。窒素および硫黄含有率を得て、下の表29に示す。
【0203】
【表29】
【0204】
実施例35.NiWO
4//(エタノールアミン)
1/(クエン酸)
0.33//空気220℃の調製
NiWO
4を比較例1に記載されるように調製し、乾燥させ、約300℃で焼成した。約20グラムの焼成NiWO
4粉末に、初期湿潤技法を用いて約3.98グラムのエタノールアミンを含浸させた。含浸粉末を約100℃で一晩乾燥させ、次に周囲温度/室温に冷却した。その後、約4.18グラムのクエン酸を含有する水溶液(約4mL)を、エタノールアミン含浸粉末中へ/上へ初期湿潤点まで含浸させた。この順次含浸試料を、乾燥炉において約100℃で一晩乾燥させ、箱形炉に入れ、約220℃まで約0.5℃/分で空気中加熱し、その温度で約4時間保持した。熱処理試料を次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した(触媒Qと名付けた)。この試料を、約300℃で焼成されたが、有機含浸にかけられなかった、比較例1に記載されたNiWO
4およびNiMo
0.5W
0.5O
4試料(それぞれ、触媒AおよびB)に対して比較した。
【0205】
触媒試料QおよびBを、本明細書の実施例20に記載されるものと同様の手順を用いて硫化した。硫化すると、触媒試料をそれぞれ、次の条件で実施例20におけるものと同じように本明細書の表11からの同じVGO原料と接触させた、すなわち、約365℃の温度、約1200psig(約8.3MPag)の全圧、約5000scf/bbl(約845Sm
3/m
3)の水素処理ガス比率、および約1.1時間
−1の重量空間速度(WHSV)。これらの触媒試料のHDNおよびHDS能力を、約26日オンストリーム後に比較した。触媒QおよびBについての窒素および硫黄含有率を得て、下の表30に示す。
【0206】
【表30】
【0207】
触媒試料Q、A、B、およびFの未硫化バーション(NiMo
0.5W
0.5O
4//(オレイルアミン)
0.13/(クエン酸)
0.15//空気220℃−実施例21)を、XRD技法を用いて分析した(
図14)。約8°〜18°2シータのXRDピークは、これらの試料における硫化第6族金属積重ね高さと相関する、(002)結晶質反射を表すと考えられる。触媒試料AおよびB(有機処理なし)が、少なくとも4の積重ね高さに相当する比較的狭い、強いピークを示す一方で、触媒試料QおよびFが、それぞれ、約2.1および2.2の積重ね高さに相当する、より幅広い、より少ない強度のピークを示すことは注目に値する。
【0208】
実施例36.有機処理温度のNiW触媒への影響
NiWO
4を比較例1に記載されるように調製した。それを乾燥させ、約300℃で焼成した後、それを(残りが混合金属酸化物である状態で)結合粒子の重量の約7重量%が不活性バインダーであるように、不活性バインダーを使って結合粒子へ複合化した。オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)と混ぜ合わせ、約100℃に加熱して溶液を形成した。NiWO
4の結合粒子の3つの試料を同様に約100℃に加熱し、次に、約1:0.10のNiWO
4とオレイルアミンとのモル比を達成するのに、および約1:0.06のNiWO
4とオレイン酸とのモル比を達成するのに十分である量の溶液を使用して有機成分を結合粒子の試料のそれぞれ中へ/上へ同時に共含浸させた。得られた触媒はこうして、NiWO
4//(オレイルアミン)
0.1/(オレイン酸)
0.06のおおよその組成を有した。これらの含浸試料をそれぞれ、乾燥炉において約100℃で一晩風乾させた。3つの試料のうちの1つを周囲温度/室温に冷却し、さらなる処理なしに貯蔵した(触媒Rと名付けた)。3つの試料のうちのもう1つを次に箱形炉に入れ、約230℃まで約0.5℃/分で空気中加熱し、その温度で約4時間保持した。高温試料を次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した(触媒Sと名付けた)。3つの試料のうちの最後のものを次に、約230℃の最終温度まで約2℃/分の加熱速度で、石英ライン管炉において流れる窒素気流(約200cm
3/分)中で処理し、その温度で約90分間保持した。それを次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した(触媒Tと名付けた)。
【0209】
触媒R、S、およびTをその後、固体状態
13C NMRによって分析した。これらの分析のために、
13C MAS NMRスペクトルは、約14kHzで約4nm(o.d.)MAS回転プローブを用いる約100.4MHzの
13C Larmor周波数に相当する約9.4T Varian InfinityPlus 400分光計で周囲温度/室温(約20〜25℃)で記録され、データ収集中に
1Hデカップリングありの約4μsec π/2パルス、約60秒のパルス遅延、および約436〜1536過渡信号が集められた。
13C NMRスペクトルは、ヘキサメチルベンゼンを第2内部標準として使用し、メチルピークを約17.36ppmにセットして、テトラメチルシラン(δ
c約0.0ppm)を基準とした。これらの3つの触媒についてのスペクトルを
図15に示す(最上部にR、中間にS、底部にT)。すべてのNMRデータは、Varian Inc.のSpinsight(商標)NMRデータ収集ソフトウェアを用いて記録され、すべての処理は、Acorn NMR,IncからのNutsPro(商標)(NMR Utility Transform Software−Professional)ソフトウェア・パッケージを用いて行われた。自由誘導減衰(FID)は、フーリエ変換され、同調させられ、ベースラインを5次多項式に合致させるサブルーチンを用いてベースライン補正された。不飽和炭素の相対量は、不飽和炭素および芳香族炭素に帰属させられるピーク(約160ppm〜約90ppmに広がるδ
c)の積分面積を、不飽和炭素および芳香族炭素プラス脂肪族/飽和炭素に帰属させられる積分面積の合計(約80ppm〜約10ppmに広がるδ
cでの主脂肪族/飽和ピークプラス約200ppm〜160ppmに広がるδ
Cでのおよび約−90ppm〜約−130ppmに広がるδ
cでの相当する脂肪族/飽和サイドバンドの合計)と比較することによって求めた。スピニングサイドバンド強度は、不飽和/芳香族炭素についてまったく検出されなかった(存在する場合、それらは、それぞれ、δ
c約250ppmおよびδ
c約−20ppmに現れるであろう)。NMRデータに基づく結果を下の表31に示す。
【0210】
【表31】
【0211】
この定量的なNMRデータに基づき、増加した不飽和レベルは、100℃より上の温度での有機化合物の熱処理から生じ得る。このNMR技法は、孤立または共役炭素−炭素不飽和を芳香族不飽和から区別することができず、パーセント不飽和炭素値は、芳香族不飽和炭素および非芳香族不飽和炭素の両方を表す。理論に制約されることなく、有機化合物の熱処理から生じる追加の不飽和炭素は観察できる触媒HDN活性の増加をもたらすことができると仮定される。
【0212】
有機処理からの追加の不飽和を有する触媒についての触媒HDN活性の増加というアイディアを試験するために、触媒RおよびSを、本明細書の実施例20に記載されるものと同様な手順を用いて硫化した。硫化すると、触媒試料をそれぞれ、実施例35におけるものと同じようにおよび同じ条件下に下の表32にリストされる特性を有するVGO原料と接触させた。
【0213】
【表32】
【0214】
これらの触媒試料のHDNおよびHDS能力を、約21日オンストリーム後に比較した。触媒RおよびSをこれらの条件下に使用して達成される生成物についての窒素含有率を得て、下の表33に示す。これらの結果は、100℃より上で有機的に処理された触媒のはるかに向上したHDN活性を示す。
【0215】
【表33】
【0216】
実施例37.有機処理環境のNiW触媒への影響
この実験のために、NiWO
4//(オレイルアミン)
0.13/(クエン酸)
0.15の2つの試料を調製した。NiWO
4を比較例1に記載されるように調製し、これに、乾燥および約300℃での焼成、次に周囲温度/室温への冷却が続いた。オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)をクエン酸の水溶液と混ぜ合わせ、約100℃に加熱して溶液を形成した。焼成NiWO
4の両試料を約100℃に同様に加熱し、次に約1:0.13のNiWO
4とオレイルアミンとのモル比を達成するのに、および約1:0.15のNiWO
4とクエン酸とのモル比を達成するのに十分である量の溶液を使用して有機成分を各試料中へ/上へ同時に共含浸させた。これらの含浸試料をそれぞれ、乾燥炉において約100℃で一晩乾燥させ、次に赤外分析のための準備をした。
【0217】
試料を特徴付ける透過赤外スペクトルは、MCT検出器を備えたThermo Scientific Nicolet 6700 FT−IR分光計を用いて収集し、
図16A〜Bに示す。各試料の約0.012〜0.016gを約0.04gのダイヤモンド粉末と混合し、減圧/吸着システムに接続されるIRセル中へ装填される自立ウェハーに圧入し、それは、処理ガスが赤外キャラクタリゼーションの間ずっとウェハーを通っておよびその周りを流れながらスペクトルの記録を可能にした。IRスペクトルを収集し、Thermo Scientific Omnic V7.1ソフトウェアを使って処理し、解析した。各報告されるスペクトルは、約4cm
−1のスペクトル解像度で約4000cm
−1〜約1000cm
−1の範囲にわたって約256スキャンの平均である。報告されるスペクトルはそれぞれ、空のIRセルのバックグランドスペクトルを差し引くことによって標準化された。ピーク・デコンボリューションおよび適合解析は、OriginLabまたはPeakFitなどの、他の市販ソフトウェアを代わりに用いることができるが、Omnic V7.1市販ソフトウェアを使って2000〜1200cm
−1領域における対称Gaussian(ガウス)関数を用いて行った。
【0218】
第1試料をIRセルに入れ、約100℃で約90分間ヘリウム中の約20容積%酸素の流れ(酸化性環境)にさらし、その時点で透過IRスペクトルを収集した(
図16A−1)。その直後に、その同じ試料を約230℃で約240分間ヘリウム中の約20容積%酸素の流れ(酸化性環境)にさらし、その時点で別のスペクトルを収集した(
図16A−2)。第2試料をIRセルに入れ、約100℃で約90分間約100%ヘリウムの流れ(非酸化性環境)にさらし、その時点で透過IRスペクトルを収集した(
図16B−3)。その直後に、その同じ試料を約230℃で約240分間約100%ヘリウムの流れ(非酸化性環境)にさらし、その時点で別のスペクトルを収集した(
図16B−4)。
【0219】
図16Aのスペクトルに関して、約1570〜1620cm
−1および約1380〜1450cm
−1領域に中心のある2つの幅広いバンドと一緒に、約1773cm
−1および約1715cm
−1の極大に中心のある赤外バンドがスペクトル(2)が特に興味深い。より高い温度の酸化性環境中で処理された試料(2)の適合解析は、約0.40a.u.の高さ、約63cm
−1の半値全幅(FWHM)、および約27.0a.u.の積分面積を持った約1618cm
−1〜約1812cm
−1に広がり、約1715cm
−1に中心のあるピークを特定した。約1773cm
−1に中心のある形体(feature)は、約0.16a.u.の高さ、約51cm
−1のFWHM、および約8.66a.u.の積分面積を持った約1723cm
−1〜約1841cm
−1に広がるピークと適合した。より低い波数で特定される最も目立つピークは、約0.12a.u.の高さ、約81cm
−1のFWHM、および約9.98a.u.の積分面積を持った約1290cm
−1〜約1512cm
−1に広がり、約1400cm
−1に中心があった。対照的に、より低い温度の酸化性環境中で処理された試料(1)の適合解析は、約0.26a.u.の高さ、約66cm
−1のFWHM、および約18.1a.u.の積分面積を持った約1626cm
−1〜約1816cm
−1に広がり、約1722cm
−1に中心のあるピークを特定した。約1395cm
−1に中心のある(約1310cm
−1〜約1440cm
−1に及ぶ)ピークは、約0.30a.u.の高さ、約110cm
−1のFWHM、および約34.8a.u.の積分面積を有した。この試料について1773cm
−1の周りの領域にピークはまったく特定されなかった。より高い温度の酸化性環境中で処理された試料(2)については、約1400cm
−1に中心のあるものと比べて、約1715cm
−1に中心のあるピークの高さおよび積分面積の比は、それぞれ、約3.5および約2.7であった。比較して、より低い温度の酸化性環境中で処理された試料(1)については、約1400cm
−1に中心のあるものと比べて、約1715cm
−1に中心のあるピークの高さおよび積分面積の比は、それぞれ、約0.87および約0.52であった。
【0220】
図16Bのスペクトルに関して、約1570〜1620cm
−1および約1380〜1450cm
−1領域に中心のある幅広いバンドと一緒に、約1773cm
−1および約1698cm
−1の極大に中心のある赤外バンドがスペクトル(4)について特に興味がある。より高温の非酸化性環境中で処理された試料(4)の適合解析は、約0.15a.u.の高さ、約39cm
−1のFWHM、および約6.17a.u.の積分面積を持った約1653cm
−1〜約1765cm
−1に広がり、約1706cm
−1に中心のあるピークを特定した。約1671cm
−1に中心のある形体は、約0.17a.u.の高さ、約64cm
−1のFWHM、および約11.6a.u.の積分面積を持った約1582cm
−1〜約1761cm
−1に広がるピークと適合した。より低い波数で特定される最も目立つピークは、約0.11a.u.の高さ、約29cm
−1のFWHM、および約3.31a.u.の積分面積を持った約1416cm
−1〜約1495cm
−1に広がり、約1455cm
−1に中心があった。約1410cm
−1に中心のある形体は、約0.10a.u.の高さ、約62cm
−1のFWHM、および約6.85a.u.の積分面積を持った約1324cm
−1〜約1482cm
−1に広がるピークと適合した。対照的に、より低い温度の非酸化性環境中で処理された試料(3)の適合解析は、約0.17a.u.の高さ、約66cm
−1のFWHM、および約11.81a.u.の積分面積を持った約1630cm
−1〜約1815cm
−1に広がり、約1723cm
−1に中心のあるピークを特定した。約1415cm
−1に中心のある(約1284cm
−1〜約1540cm
−1に及ぶ)ピークは、約0.14の高さ、約95cm
−1のFWHM、および約14.27a.u.の積分面積を有した。そのスペクトルについて約1773cm
−1周りの領域にピークはまったく特定されなかった。より高い温度の非酸化性環境中で処理された試料(4)については、約1410cm
−1に中心のあるものと比べて、約1715cm
−1に中心のあるピークの高さおよび積分面積の比は、それぞれ、約1.4および約0.9であった。比較して、より低い温度の非酸化性環境中で処理された試料(3)については、約1410cm
−1に中心のあるものと比べて、約1715cm
−1に中心のあるピークの高さおよび積分面積の比は、それぞれ、約1.2および約0.8であった。
【0221】
これらのスペクトルにおけるピークは、それらの波数(cm
−1)によって本明細書では特定されているが、それらのピークは、ピークの波数位置と各試料内に存在することが知られているかまたは推定される結合の物理化学的性質とを含む(がそれらに限定されない)様々な要因に基づき、特定の結合励起(伸縮、振動、変角など)と相関させることができる。理論に制約されることなく、本明細書に記載される赤外スペクトルにおいては、約1773cm
−1におよび約1715cm
−1に中心のあるピークは、それぞれ、アルデヒド型カルボニル結合におけるC=O伸縮および非芳香族不飽和炭化水素結合におけるC=C伸縮に推測的に帰属させられた。約1380〜1450cm
−1に中心のある幅広い形体は、芳香環におけるC=C伸縮からの赤外バンドの組み合わせに推測的に帰属させられ、約1570〜1620cm
−1に中心のある幅広い形体は、芳香環におけるC=C伸縮と非芳香族不飽和炭化水素におけるC=C伸縮との組み合わせに推測的に帰属させられた。上記の赤外ピークのおおよその強度に基づき、IR分光分析法によって観察される非芳香族不飽和炭化水素の濃度は、より高い温度の非酸化性環境中で処理された試料と比べて、より高い温度の酸化性環境中で処理された試料における芳香族炭化水素の濃度よりも幾分高いように思われる。
【0222】
実施例38.第1および第2有機化合物の当モル量
NiWO
4の2つの試料を比較例1に記載されるように調製し、これに、乾燥およびそれぞれ約300℃での焼成、次に周囲温度/室温への冷却が続いた。等モルのオレイルアミン−オレイン酸試料については、オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)をオレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)と周囲温度/室温で混ぜ合わせて溶液を形成した。周囲温度/室温での焼成NiWO
4の1つの試料を、約1:0.074のNiWO
4とオレイルアミンとのモル比を達成するのに、および約1:0.094のNiWO
4とオレイン酸とのモル比を達成するのに十分である量のオレイルアミン−オレイン酸溶液に暴露して有機成分を試料中へ/上へ同時に共含浸させた。等モルのオレイルアミン−クエン酸試料については、周囲温度/室温での焼成NiWO
4の他の試料に先ずオレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、NiWO
4とオレイルアミンとのモル比が約1:0.11であるように含浸させた。試料を乾燥オーブンへ入れ、約100℃で一晩維持し、周囲温度/室温に冷却した。乾燥試料に次に、水性クエン酸溶液を、NiWO
4とクエン酸とのモル比が約1:0.15であるように含浸させた。名目モル比はそれらの表面上で等モルであるとは思われないが、ひとたびそれらがそれらのそれぞれの純度(たとえば、70%オレイルアミン、90%オレイン酸など)について調整されると、実際のモル比はおおよそ等モルであることが指摘されなければならない。
【0223】
両試料を次に乾燥炉において約100℃で一晩乾燥させ、その後箱形炉(空気中の)に入れ、約220℃の最終温度まで約0.5℃/分の速度で加熱した。両試料をその温度で約4時間保持し、次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した。等モルのオレイルアミン−オレイン酸試料をOLE
EQと名付け、等モルのオレイルアミン−クエン酸試料をCIT
EQと名付けた。等モルの試料を、いかなる有機化合物でも処理されなかった基準触媒(B)に対して比較した。これらの試料を次に硫化し、実施例36におけるものと同じようにおよび同じ条件下に、上の表32にリストされる特性を有するVGO原料と接触させることによって触媒HDN活性について試験した。相対体積ベースのHDN活性(すなわち、RVA)および相対モルベースの活性(すなわち、RMA)を含む、結果を下の表34に示す。
【0224】
【表34】
【0225】
等モル量の第1および第2有機化合物を含有する試料は、アミン含有有機化合物がカルボン酸含有有機化合物に対してモル過剰で存在する試料ほどに著しい向上ではないが、明らかな向上を示すことが指摘される。
【0226】
実施例39.第8〜10族金属の含有率を低減することの影響
等モル量のニッケルおよびタングステンを含有する第1試料(NiWO
4)を比較例1に従って調製した。それを乾燥させ、約300℃で焼成した後、(残りが混合金属酸化物である状態で)押出物の重量の約7重量%が不活性バインダーであるように、それを不活性バインダーと複合化し、約1.3mmの平均直径を有する押出物に成形した。オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)と混ぜ合わせ、約100℃に加熱して溶液を形成した。焼成した等モルのNiWO
4の第1試料を同様に約100℃に加熱し、次に、約1:0.10のNiWO
4とオレイルアミンとのモル比を達成するのに、および約1:0.06のNiWO
4とオレイン酸とのモル比を達成するのに十分である量の溶液を使用して有機成分を試料中へ/上へ同時に共含浸させた。この含浸試料を乾燥炉において空気中約100℃で一晩乾燥させた。試料を次に箱形炉に入れ、空気中約230℃まで約0.5℃/分で加熱し、その温度で約4時間保持した。この試料を次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した(触媒AAと名付けた)。
【0227】
第2試料を比較例1と同様な手順を用いて、しかし原料をたったの約0.75:1のニッケルとタングステンとのモル比を提供するように調整して調製した。それを乾燥させ、約300℃で焼成した後、次に周囲温度/室温に冷却し、XRDスペクトルを取り(示されていない)、それは、焼成されたときに、等モルのニッケル−タングステン酸化物とおよそ同様な特徴を有するように思われた。オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)と混ぜ合わせ、約100℃に加熱して溶液を形成した。焼成したNi
0.75WO
3.75の第2試料を同様に約100℃に加熱し、次に、約1:0.10のNi
0.75WO
3.75とオレイルアミンのモル比を達成するのに、および約1:0.06のNi
0.75WO
3.75とオレイン酸とのモル比を達成するのに十分である量の溶液を使用して有機成分を試料中へ/上へ同時に共含浸させた。この含浸試料を乾燥炉において空気中約100℃で一晩乾燥させた。試料を次に箱形炉に入れ、空気中約220℃まで約0.5℃/分で加熱し、その温度で約4時間保持した。この試料を次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した(触媒Yと名付けた)。
【0228】
第3試料を比較例1と同様な手順を用いて、しかし原料をたったの約0.5:1のニッケルとタングステンとのモル比を提供するように調整して調製した。それを乾燥させ、約300℃で焼成した後、次に周囲温度/室温に冷却し、XRDスペクトルを取り(示されていない)、それは、より鋭い[002]積重ねピークと典型的な六方晶系ニッケルタングステートによりもヘテロポリ相立体配置に類似したピークの収集とを含む(がそれらに限定されない)、焼成された第1および第2試料とは異なる幾つかの特徴を有するように思われた。オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)と混ぜ合わせ、約100℃に加熱して溶液を形成した。焼成したNi
0.5WO
3.5の第2試料を同様に約100℃に加熱し、次に、約1:0.10のNi
0.5WO
3.5とオレイルアミンとのモル比を達成するのに、および約1:0.06のNi
0.5WO
3.5とオレイン酸とのモル比を達成するのに十分である量の溶液を使用して有機成分を試料中へ/上へ同時に共含浸させた。この含浸試料を乾燥炉において空気中約100℃で一晩乾燥させた。試料を次に箱形炉に入れ、空気中約220℃まで約0.5℃/分で加熱し、その温度で約4時間保持した。この試料を次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した(触媒Zと名付けた)。
【0229】
第4試料を比較例1と同様な手順を用いて、しかし原料を約1.2:1のニッケルとタングステンとのモル比を提供するように調整して調製し、これに、乾燥、約300℃での焼成、次に周囲温度/室温への冷却が続いた。オレイルアミン(70%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)を、オレイン酸(90%工業銘柄、Milwaukee,WIのAldrichから商業的に入手可能な)と混ぜ合わせ、約100℃に加熱して溶液を形成した。焼成したNi
1.2WO
4.2の第2試料を同様に約100℃に加熱し、次に、約1:0.10のNi
1.2WO
4.2とオレイルアミンとのモル比を達成するのに、および約1:0.06のNi
1.2WO
4.2とオレイン酸とのモル比を達成するのに十分である量の溶液を使用して有機成分を試料中へ/上へ同時に共含浸させた。この含浸試料を乾燥炉において空気中約100℃で一晩乾燥させた。試料を次に箱形炉に入れ、空気中約220℃まで約0.5℃/分で加熱し、その温度で約4時間保持した。この試料を次に周囲温度/室温に冷却し、炉から取り出した(触媒Xと名付けた)。
【0230】
これらの試料を、いかなる有機化合物でも処理されなかった基準触媒(B)に対して比較した。すべてのこれらの試料を次に硫化し、実施例36におけるものと同じようにおよび同じ条件下に、上の表32にリストされる特性を有するVGO原料と接触させることによって触媒HDN活性について試験した。相対容積ベースのHDN活性(すなわち、RVA)および相対モルベースのHDN活性(すなわち、RMA)を含む、結果を下の表35に示す。
【0231】
【表35】
【0232】
これらの実験において、0.75Ni:W比触媒のHDN活性は、二重有機処理のために、モルベースで適度の増加を依然として示したが、0.5Ni:W比触媒のHDN活性は、二重有機処理にもかかわらず、モルベースで低下を示したことが指摘される。それにもかかわらず、等モルのNi:W触媒および1より大きいNi:W比を有する触媒は、70%以上の相対モルHDN活性を示した。したがって、0.75以上のNi:W比が望ましいように思われ、ほぼ等モルから等モルより幾分上のNi:W比が、相対モル活性ベースで特に望ましいように思われる。
【0233】
本発明は、特定の実施形態を参照することによって説明され、例示されてきたが、当業者は、本発明が本明細書に必ずしも例示されない変形例に結び付くことを十分に理解するであろう。そのため、したがって、本発明の真の範囲を決定するという目的のためには添付のクレームが専ら言及されなければならない。
本明細書は、以下の態様も含む。
1.
元素の周期表の第6族からの少なくとも1種の金属、元素の周期表の第8〜10族からの少なくとも1種の金属、および(i)少なくとも1つのアミン基を含有する第1有機化合物と、(ii)前記第1有機化合物とは別の、少なくとも1つのカルボン酸基を含有する第2有機化合物から形成された反応生成物を含む触媒前駆体組成物であって、
反応生成物は、アミド、第1または第2有機化合物中に存在しない追加のその場不飽和炭素原子、または両方を含み、触媒前駆体組成物は、20重量%以下のバインダー、キャリアまたは他の担体材料を含む、バルク水素処理触媒前駆体組成物。
2.
アミド含有バルク水素処理触媒前駆体組成物の製造方法であって、
(a)元素の周期表の第6族からの少なくとも1種の金属、元素の周期表の第8〜10族からの少なくとも1種の金属を含む触媒前駆体組成物を、少なくとも1つのアミン基を含有する第1有機化合物および前記第1有機化合物とは別の、少なくとも1つのカルボン酸基を含有する第2有機化合物で処理して、有機的に処理された前駆体触媒組成物を形成する工程;および
(b)前記第1および第2有機化合物が反応して、その場でアミドを形成するのに十分であるが、そのように形成された前記アミドが分解するほど長くない時間、195℃〜250℃の温度で、前記有機的に処理された前駆体触媒組成物を加熱し、それによってアミド含有触媒前駆体組成物を形成する工程
を含み、
反応生成物は、アミド、第1または第2有機化合物中に存在しない追加のその場形成された不飽和炭素原子、または両方を含み、触媒前駆体組成物は、20重量%以下のバインダー、キャリアまたは他の担体材料を含む、方法。
3.
その場形成されたアミドおよび/またはその場形成された不飽和炭素原子を含有するバルク水素処理触媒前駆体組成物の製造方法であって、
(a)元素の周期表の第6族からの少なくとも1種の金属、元素の周期表の第8〜10族からの少なくとも1種の金属を含む触媒前駆体組成物を、少なくとも1つのアミン基を含有する第1有機化合物および前記第1有機化合物とは別の、少なくとも1つのカルボン酸基を含有する第2有機化合物で処理して、有機的に処理された前駆体触媒組成物を形成する工程;および
(b)前記第1および第2有機化合物が反応して、前記第1もしくは第2有機化合物、または両方に存在しないその場形成されたアミド、追加のその場形成された不飽和炭素原子を形成するのに十分であるが、(i)あらゆるアミドが実質的に分解する、および/または(ii)前記第1および第2有機化合物の合計の50重量%超が揮発するほど長くない時間、195℃〜250℃の温度で、前記有機的に処理された前駆体触媒組成物を加熱し、それによってその場形成されたアミドおよび/またはその場形成された不飽和炭素原子を含有する触媒前駆体組成物を形成する工程
を含み、
反応生成物は、アミド、第1または第2有機化合物中に存在しない追加のその場形成された不飽和炭素原子、または両方を含み、触媒前駆体組成物は、20重量%以下のバインダー、キャリアまたは他の担体材料を含む、方法。
4.
(a)が、
前記触媒前駆体組成物を、前記第1有機化合物で最初に、そして前記第2有機化合物で二番目に処理すること;
前記触媒前駆体組成物を、前記第2有機化合物で最初に、そして前記第1有機化合物で二番目に処理すること;ならびに
前記触媒前駆体組成物を、前記第1有機化合物でおよび前記第2有機化合物で同時に処理すること;
の1またはそれ以上によって達成される、上述の2または上述の3に記載の方法。
5.
第6族からの前記少なくとも1種の金属が、Mo、W、またはそれらの組み合わせであり、そして第8〜10族からの前記少なくとも1種の金属が、Co、Ni、またはそれらの組み合わせである、上述の1に記載のバルク水素処理触媒前駆体組成物。
6.
前記触媒前駆体組成物が、元素の周期表の第5族からの少なくとも1種の金属をさらに含む、上述の1または5に記載のバルク水素処理触媒前駆体組成物。
7.
前記第1有機化合物が少なくとも10個の炭素原子を含み、および/または前記第2有機化合物が少なくとも10個の炭素原子を含む、上述の1および5〜6のいずれかに記載のバルク水素処理触媒前駆体組成物。
8.
第6族からの前記少なくとも1種の金属が、Mo、W、またはそれらの組み合わせであり、そして第8〜10族からの前記少なくとも1種の金属が、Co、Ni、またはそれらの組み合わせである、上述の2〜4のいずれかに記載の方法。
9.
前記触媒前駆体組成物が、元素の周期表の第5族からの少なくとも1種の金属をさらに含む、上述の2〜4および8のいずれかに記載の方法。
10.
前記第1有機化合物が少なくとも10個の炭素原子を含み、および/または前記第2有機化合物が少なくとも10個の炭素原子を含む、上述の2〜4および8〜9のいずれかに記載の方法。
11.
上述の1および5〜7のいずれかに記載の組成物は、アミド部分、前記第1もしくは第2有機化合物、または両方に存在しない不飽和炭素原子を含有する反応生成物を、前記第1および第2有機化合物が、その場で形成するのに十分な時間、195℃〜250℃の温度に、加熱することによって製造されるバルク混合金属水素処理触媒前駆体組成物。
12.
上述の11に記載の前記触媒前駆体組成物を硫化することによって製造されるバルク混合金属水素処理触媒組成物。
13.
触媒前駆体組成物が、アミドを含む場合、アミド含有触媒前駆体組成物が、前記反応生成物アミド、第6族からの前記少なくとも1種の金属の酸化物形態、第8〜10族からの前記少なくとも1種の金属の酸化物形態、および任意選択的に20重量%以下のバインダーから本質的になるバルク金属水素処理触媒前駆体組成物である、上述の2〜4および8〜10のいずれかに記載の方法。
14.
触媒前駆体組成物が、アミドを含む場合、上述の2〜4、8〜10および13のいずれかに記載の方法に従って製造されたアミド含有触媒前駆体組成物を、硫化された水素処理触媒組成物を製造するのに十分な硫化条件下、硫化する工程を含む、硫化されたバルク水素処理触媒組成物の製造方法。
15.
触媒前駆体組成物が、アミドを含む場合、硫化された水素処理触媒組成物を製造するのに十分な硫化条件下、上述の1、5〜7および11のいずれかに記載のアミド含有触媒前駆体組成物を硫化する工程を含む方法によって製造される、または上述の14に記載の方法に従って製造される、硫化されたバルク水素処理触媒組成物。
16.
前記第1および第2有機化合物が合計で少なくとも15個の炭素原子を合わせて含む、上述の2〜4、8〜10および13〜14のいずれかに記載の方法。
17.
前記触媒前駆体組成物が、13C NMR技法を用いるピーク面積比較によって測定される、少なくとも29%の不飽和炭素原子の含有率を示し;前記触媒前駆体組成物が、13C NMR技法を用いるピーク面積比較によって測定される、70%以下の不飽和炭素原子の含有率を示す;
前記触媒前駆体組成物が、前記第1および第2有機化合物中に存在する不飽和炭素原子の総含有率と比べて、13C NMR技法を用いるピーク面積比較によって測定される、少なくとも17%の不飽和炭素原子の含有率の増加を示す;
前記触媒前駆体組成物が、前記第1および第2有機化合物中に存在する不飽和炭素原子の総含有率と比べて、13C NMR技法を用いるピーク面積比較によって測定される、60%以下の不飽和炭素原子の含有率の増加を示す;
前記触媒前駆体組成物が、1380cm−1〜1450cm−1に中心のあるデコンボリューションされたピークと比べて、1700cm−1〜1730cm−1に中心のあるデコンボリューションされたピークの赤外分光技法を用いるピーク面積比によって測定される、少なくとも0.9の不飽和炭素原子と芳香族炭素原子との比を示す;および
前記触媒前駆体組成物が、1380cm−1〜1450cm−1に中心のあるデコンボリューションされたピークと比べて、1700cm−1〜1730cm−1に中心のあるデコンボリューションされたピークの赤外分光技法を用いるピーク面積比によって測定される、15以下の不飽和炭素原子と芳香族炭素原子との比を示す
の1またはそれ以上が満たされる、上述の2〜4、8〜10、13〜14および16のいずれかに記載の方法。
18.
硫化された水素処理触媒組成物を製造するのに十分な条件下、上述の2〜4、8〜10、13〜14および16〜17のいずれかに記載の方法に従って製造された前記触媒前駆体組成物を硫化する工程を含む、硫化されたバルク水素処理触媒組成物の製造方法であって、下記、
前記硫化された水素処理触媒組成物を、水素処理条件下、減圧軽油原料に暴露すると、前記硫化された水素処理触媒組成物が、第1および第2有機化合物を使用して処理されなかった硫化触媒組成物より、少なくとも57%大きい水素化脱窒素RMAを示す;
前記硫化された水素処理触媒組成物を、水素処理条件下、減圧軽油原料に暴露すると、前記硫化された水素処理触媒組成物が、第1および第2有機化合物を使用して処理されなかった硫化触媒組成物より、最大500%大きい水素化脱窒素RMAを示す;
前記硫化された水素処理触媒組成物を、水素処理条件下、減圧軽油原料に暴露すると、前記硫化された水素処理触媒組成物が、前記第1有機化合物のみでまたは前記第2有機化合物のみで処理された硫化触媒組成物より、少なくとも10%大きい水素化脱窒素RMAを示す;
前記硫化された水素処理触媒組成物を、水素処理条件下、減圧軽油原料に暴露すると、前記硫化された水素処理触媒組成物が、前記第1有機化合物のみでまたは前記第2有機化合物のみで処理された硫化触媒組成物より、最大200%大きい水素化脱窒素RMAを示す;
前記硫化された水素処理触媒組成物を、水素処理条件下、減圧軽油原料に暴露すると、前記硫化された水素処理触媒組成物が、10個未満の炭素原子を有する単一の有機化合物のみで処理された硫化触媒組成物より、少なくとも30%大きい水素化脱窒素RMAを示す;および
前記硫化された水素処理触媒組成物を、水素処理条件下、減圧軽油原料に暴露すると、前記硫化された水素処理触媒組成物が、10個未満の炭素原子を有する単一の有機化合物のみで処理された硫化触媒組成物より、最大500%大きい水素化脱窒素RMAを示す
の1またはそれ以上が満たされる方法。