(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重量平均分子量が125万〜300万であり、重合体を構成するモノマー単位として、炭素数が7以上の脂環式構造を有するモノマーを含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、
架橋剤(B)と
を含有する粘着性組成物を架橋してなる透明導電膜貼付用粘着剤であって、
一方の保護フィルムがポリシクロオレフィン系フィルムからなる偏光板に積層されることを特徴とする透明導電膜貼付用粘着剤。
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、前記炭素数が7以上の脂環式構造を有するモノマーを、0.5〜20質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜貼付用粘着剤。
前記炭素数が7以上の脂環式構造は、ジシクロペンタジエン骨格、アダマンタン骨格またはイソボルニル骨格を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電膜貼付用粘着剤。
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーを0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電膜貼付用粘着剤。
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシル基を有するモノマーを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明導電膜貼付用粘着剤。
前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、前記架橋剤(B)を0.2〜3質量部含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電膜貼付用粘着剤。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔透明導電膜貼付用粘着剤〕
本実施形態に係る透明導電膜貼付用粘着剤(以下、単に「粘着剤」という場合がある。)は、透明導電膜を貼付対象とし、以下に説明する粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という。)を架橋してなるものである。透明導電膜の詳細は後述する。
【0025】
上記粘着性組成物Pは、重量平均分子量が80万〜300万であり、重合体を構成するモノマー単位として、炭素数が7以上の脂環式構造を有するモノマーを含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)とを含有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
【0026】
(1)(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、炭素数が7以上の脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)を含有する。上記粘着性組成物Pにおいては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が上記脂環式構造含有モノマーを含有することで、当該(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が酸成分を含有しなくても、得られる粘着剤は、透明導電膜に対する密着性が高く、耐久性にも優れたものとなる。これは、透明導電膜と炭素数が7以上の脂環式構造との親和性や相互作用が比較的強いためと考えられる。
【0027】
炭素数が7以上の脂環式構造の炭素環は、飽和構造のものであってもよいし、不飽和結合を有するものであってもよい。また、炭素数が7以上の脂環式構造は、単環の脂環式構造であってもよいし、二環、三環等の多環の脂環式構造であってもよいが、透明導電膜に適用したときの耐久性の観点から、多環の脂環式構造であることが好ましい。脂環式構造の炭素数は、7以上であることが必要であり、好ましくは7〜15であり、特に好ましくは9〜12である。
【0028】
炭素数が7以上の脂環式構造としては、例えば、ジシクロペンタジエン骨格、アダマンタン骨格、イソボルニル骨格、シクロアルカン骨格(シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、シクロノナン骨格、シクロデカン骨格、シクロウンデカン骨格、シクロドデカン骨格等)、シクロアルケン骨格(シクロヘプテン骨格、シクロオクテン骨格等)、ノルボルネン骨格、ノルボルナジエン骨格、多環式骨格(キュバン骨格、バスケタン骨格、ハウサン骨格等)、スピロ骨格などを含むものが挙げられ、中でも、より優れた密着性・耐久性向上効果を発揮する、ジシクロペンタジエン骨格、アダマンタン骨格またはイソボルニル骨格を含むものが好ましい。
【0029】
上記脂環式構造含有モノマーとしては、上記の骨格を含む(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が挙げられ、中でも、より優れた密着性・耐久性向上効果を発揮する、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルまたは(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、上記脂環式構造含有モノマーを、0.5〜20質量%含有することが好ましく、特に0.8〜15質量%含有することが好ましく、さらには2〜10質量%含有することが好ましい。上記脂環式構造含有モノマーの含有量が0.5質量%未満であると、当該脂環式構造含有モノマーによる耐久性向上効果が得られ難く、上記脂環式構造含有モノマーの含有量が20質量%を超えると、得られる粘着剤の応力緩和性が低下して耐久性が悪化する場合がある。
【0031】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、上記脂環式構造含有モノマーの他に、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましく、特に主成分として含有することが好ましい。
【0032】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することで、好ましい粘着性を発現することができる。アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸n−ブチルが特に好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを20〜99.4質量%含有することが好ましく、特に50〜98.6質量%含有することが好ましく、さらには80〜97質量%含有することが好ましい。
【0034】
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)を含有することが好ましい。水酸基は、架橋剤(B)の官能基、特にイソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と反応性が高く、それらの反応によって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は架橋剤(B)により効果的に架橋される。この架橋構造により、得られる粘着剤は、凝集力が向上して耐久性に優れたものとなる。
【0035】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられ、中でも、水酸基の反応性および共重合性の点から、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマーを0.1〜10質量%含有することが好ましく、特に0.6〜8質量%含有することが好ましく、さらには1〜5質量%含有することが好ましい。水酸基含有モノマーの含有量が上記の範囲にあることで、形成される架橋構造が良好なものとなり、得られる粘着剤がより優れた耐久性を有するものとなる。水酸基含有モノマーの含有量が0.1質量%未満では、架橋点が少なすぎて、耐久性向上効果が得られ難い。一方、水酸基含有モノマーの含有量が10質量%を超えると、架橋点が多すぎて、得られる粘着剤が柔軟でなくなり、応力緩和性が低下するおそれがある。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシル基を有するモノマー(カルボキシル基含有モノマー)を実質的に含有しないことが好ましい。酸成分であるカルボキシル基を有するモノマーを実質的に含有しないことにより、貼付対象である透明導電膜を腐食させたり、透明導電膜の抵抗値を変化させることを抑制することができる。
【0038】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、上記のモノマー以外に、所望により、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、水酸基以外の反応性官能基を有するモノマー(反応性官能基含有モノマー)であってもよいし、非反応性のモノマーであってもよい。
【0039】
反応性官能基含有モノマーとしては、例えば、アミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)等が挙げられる。アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
非反応性のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸フェニル等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性のアクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0042】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は80万〜300万であり、好ましくは125万〜250万であり、特に好ましくは140万〜200万である。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0043】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が80万未満であると、得られる粘着剤が耐久性に劣るものとなる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が300万を超えると、得られる粘着剤の粘着力が低下する。
【0044】
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、粘着性組成物Pは、上記脂環式構造含有モノマーを構成モノマー単位として含有しない(メタ)アクリル酸エステル重合体をさらに含有してもよい。
【0045】
(2)架橋剤(B)
架橋剤(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性官能基(水酸基、アミノ基等)に対して反応性を有するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が水酸基を有する場合には、当該水酸基との反応性に優れたイソシアネート系架橋剤を使用することが好ましい。架橋剤(B)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、金属キレート系架橋剤は、透明導電膜と作用したり、透明導電膜に対するリワーク性を悪化させる場合があるため、架橋剤(B)としては好ましくない。
【0046】
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。
【0047】
粘着性組成物P中における架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.05〜3質量部であることが好ましく、特に0.2〜1.5質量部であることが好ましく、さらには0.4〜1質量部であることが好ましい。架橋剤(B)の含有量が0.05質量部以上であると、当該架橋剤(B)による耐久性向上効果が得られる。架橋剤(B)の含有量が3質量部を超えると、架橋の度合いが過度になり、得られる粘着剤の粘着力が低下するおそれがある。
【0048】
(3)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えば、帯電防止剤、シランカップリング剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤等を添加することができる。
【0049】
帯電防止剤としては、例えば、イオン性液体、イオン性固体、アニオン系界面活性剤、アルカリ金属塩、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられ、中でも、イオン性液体、イオン性固体およびアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0050】
イオン性液体およびイオン性固体としては、含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、含リンオニウム塩等が好ましい。また、アルカリ金属塩としては、リチウム塩、カリウム塩等が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
粘着性組成物P中における帯電防止剤の含有量は、0.5〜8質量%であることが好ましく、特に1〜5質量%であることが好ましい。帯電防止剤の含有量が上記の範囲内にあることで、帯電防止性能と粘着剤の耐久性とのバランスが良好となる。
【0052】
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と架橋剤(B)とを混合するとともに、所望により、添加剤を加えることで製造することができる。
【0053】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、通常のラジカル重合法により製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法等により行うことができる。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
【0054】
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
【0055】
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0056】
なお、上記重合工程において、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
【0057】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が得られたら、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の溶液に、架橋剤(B)、希釈溶剤、および所望により添加剤を添加し、十分に混合することにより、溶剤で希釈された粘着性組成物P(塗布溶液)を得る。
【0058】
粘着性組成物Pを希釈して塗布溶液とするための希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
【0059】
このようにして調製された塗布溶液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着性組成物Pの濃度が10〜40質量%となるように希釈する。なお、塗布溶液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着性組成物Pがコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着性組成物Pがそのまま塗布溶液となる。
【0060】
粘着性組成物Pの架橋は、加熱処理により行うことができる。なお、この加熱処理は、粘着性組成物Pの希釈溶剤等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
【0061】
加熱処理を行う場合、加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、30秒〜10分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。さらに、加熱処理後、常温(例えば、23℃、50%RH)で1〜2週間程度の養生期間を設けることが特に好ましい。
【0062】
上記の加熱処理(及び養生)により、架橋剤(B)によって(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が架橋され、三次元網目構造が形成され、本実施形態に係る粘着剤が得られる。
【0063】
本実施形態に係る粘着剤のゲル分率は、30〜90%であることが好ましく、特に70〜85%であることが好ましい。ゲル分率が30%未満であると、粘着剤の凝集力が不足して、耐久性およびリワーク性が低下する場合がある。また、ゲル分率が90%を超えると、粘着力が低くなり過ぎて耐久性が低下する場合がある。
【0064】
なお、粘着剤のゲル分率は、貼付時(養生期間経過後)での値である。具体的には、粘着性組成物を剥離シートに塗布し、加熱処理した後、23℃、50%RHの環境下にて7日間保管(養生)した後のゲル分率をいう。粘着剤のゲル分率は、養生期間経過前は、その値が変動するからである。このような観点から、養生期間が経過しているかどうか不明の場合、改めて、23℃、50%RHの環境下にて7日間保管した後、ゲル分率が上記範囲内となっていればよい。
【0065】
ここで、本実施形態に係る粘着剤の貼付対象である透明導電膜について説明する。透明導電膜としては、例えば、白金、金、銀、銅等の金属、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化亜鉛、二酸化亜鉛等の酸化物、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛ドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛等の複合酸化物、カルコゲナイド、六ホウ化ランタン、窒化チタン、炭化チタン等の非酸化化合物などからなるものが挙げられる。本実施形態では、上記の中でも、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、酸化亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO;登録商標)またはフッ素含有酸化スズ(FTO)からなる透明導電膜を貼付対象の一つとすることが好ましく、特にスズドープ酸化インジウム(ITO)からなる透明導電膜を貼付対象の一つとすることが好ましい。
【0066】
〔粘着シート〕
図1に示すように、第1の実施形態に係る透明導電膜貼付用粘着シート(以下、単に「粘着シート」という場合がある。)1Aは、下から順に、剥離シート12と、剥離シート12の剥離面に積層された粘着剤層11と、粘着剤層11に積層された基材13とから構成される。
【0067】
また、
図2に示すように、第2の実施形態に係る粘着シート1Bは、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
【0068】
本実施形態に係る粘着シート1A,1Bは、透明導電膜を貼付対象とするものである。いずれの粘着シート1A,1Bにおいても、粘着剤層11は、前述した粘着性組成物Pを架橋してなる粘着剤からなる。
【0069】
粘着剤層11の厚さは、粘着シート1A,1Bの使用目的に応じて適宜決定されるが、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲であり、例えば、光学部材、特に偏光板用の粘着剤層として使用する場合には、10〜50μm、特に15〜30μmであることが好ましい。
【0070】
基材13としては、特に制限は無く、通常の粘着シートの基材シートとして用いられているものは全て使用できる。例えば、所望の光学部材の他、レーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維を用いた織布または不織布;合成紙;上質紙、グラシン紙、含浸紙、コート紙等の紙類;アルミ、銅等の金属箔;ウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体等の発泡体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;これらの2種以上の積層体などを挙げることができる。プラスチックフィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものでもよい。
【0071】
光学部材としては、例えば、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、液晶ポリマーフィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム等が挙げられる。中でも偏光板は、収縮し易く、寸法変化が大きいため、耐久性の観点から、本実施形態に係る粘着剤(上記粘着剤層11)を形成する基材として好ましい。特に、一方の保護フィルムがポリシクロオレフィン系フィルムからなる偏光板(以下「COP偏光板」と称する場合がある。)は、収縮し易く、寸法変化も大きいだけでなく、接触角が大きく、密着性が低いため、耐久性の観点から、本実施形態に係る粘着剤(上記粘着剤層11)を形成する基材としてより好ましい。
【0072】
基材13の厚さは、その種類によっても異なるが、例えば光学部材の場合には、通常10〜500μmであり、好ましくは50〜300μmであり、特に好ましくは80〜150μmである。
【0073】
剥離シート12,12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
【0074】
上記剥離シートの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。
【0075】
剥離シート12,12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
【0076】
上記粘着シート1Aを製造するには、剥離シート12の剥離面に、上記粘着性組成物を含む溶液(塗布溶液)を塗布し、加熱処理を行って粘着剤層11を形成した後、その粘着剤層11に基材13を積層する。その後、養生期間を設けることが好ましい。なお、加熱処理および養生の条件については、前述した通りである。
【0077】
また、上記粘着シート1Bを製造するには、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物を含む塗布溶液を塗布し、加熱処理を行って粘着剤層11を形成した後、その粘着剤層11に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。
【0078】
上記塗布溶液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
【0079】
粘着シート1A,1Bにおける粘着剤層11は、ヘイズ値(JIS K7136:2000に準じて測定した値)が、1.0%以下であることが好ましく、特に0.8%以下であることが好ましく、さらには0.7%以下であることが好ましい。ヘイズ値が1.0%以下であると、透明性が非常に高く、光学用途として好適なものとなる。
【0080】
ここで、例えば、一方の面に透明導電膜が形成された液晶セルと、当該透明導電膜に積層された偏光板と、上記液晶セルの他方の面に積層された偏光板とを備えたタッチパネルの製造方法について説明する。第1の方法としては、基材13として偏光板を使用した粘着シート1Aを2枚用意し、第1の粘着シート1Aの剥離シート12を剥離して、露出した粘着剤層11と、液晶セルの一方の面に形成された透明導電膜とを貼合するとともに、第2の粘着シート1Aの剥離シート12を剥離して、露出した粘着剤層11と、液晶セルの他方の面とを貼合する。
【0081】
第2の方法としては、粘着シート1Bを2枚用意し、第1の粘着シート1Bの一方の剥離シート12a(または12b)を剥離して、露出した粘着剤層11と、液晶セルの一方の面に形成された透明導電膜とを貼合する。また、第2の粘着シート1Bの一方の剥離シート12a(または12b)を剥離して、露出した粘着剤層11と、液晶セルの他方の面とを貼合する。次いで、第1の粘着シート1Bの他方の剥離シート12b(または12a)を剥離して、露出した粘着剤層11と、偏光板とを貼合する。同じく、第2の粘着シート1Bの他方の剥離シート12b(または12a)を剥離して、露出した粘着剤層11と、偏光板とを貼合する。
【0082】
基材13として偏光板を使用した粘着シート1A(以下「粘着剤層付き偏光板」と称する場合がある。)は、ITOからなる透明導電膜に対する粘着力(貼付1日後の粘着力)が、0.2〜15.0N/25mmであることが好ましく、特に0.5〜2.0N/25mmであることが好ましく、さらには0.8〜10.0N/25mmであることが好ましい。なお、ここでいう粘着力は、基本的にはJIS Z0237:2009に準じた180°引き剥がし法により測定した粘着力をいうが、測定サンプルは25mm幅、100mm長とし、当該測定サンプルを被着体(ITOからなる透明導電膜)に対し0.5MPa、50℃で20分加圧して貼付した後、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、剥離速度300mm/minにて測定するものとする。粘着力が上記の範囲内にあることで、ITOからなる透明導電膜への密着性に優れ、浮きや剥がれなどを防止することができる。粘着剤層が本実施形態に係る粘着剤からなる粘着剤層付き偏光板によれば、酸成分を含有しなくても、上記のような高い粘着力を達成することができる。
【0083】
また、上記粘着剤層付き偏光板は、上記透明導電膜に貼付して、14日放置した後の粘着力(貼付14日後の粘着力)が、0.5〜30N/25mmであることが好ましく、特に1.0〜25N/25mmであることが好ましく、さらには2.0〜20N/25mmであることが好ましい。このように経時による粘着力の上昇が抑制されることで、上記粘着剤層付き偏光板は、リワーク性に優れたものと評価することができる。なお、ここでいう粘着力も、基本的にはJIS Z0237:2009に準じた180°引き剥がし法により測定した粘着力をいうが、測定サンプルは25mm幅、100mm長とし、当該測定サンプルを被着体(ITOからなる透明導電膜)に対し0.5MPa、50℃で20分加圧して貼付した後、23℃、50%RHの条件下で14日間放置してから、剥離速度300mm/minにて測定するものとする。
【0084】
以上の粘着シート1A,1B(上記粘着剤層付き偏光板を含む。)は、当該粘着剤層11に含まれる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として炭素数が7以上の脂環式構造を有するモノマーを含有することで、当該(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が酸成分を含有しなくても、透明導電膜に対する密着性が高く、耐久性にも優れたものとなる。例えば、80℃の高温下や60℃・90%RHの高温高湿下に500時間おいたときにも、浮き、剥がれ、気泡等が発生することが防止・抑制される。
【0085】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0086】
例えば、粘着シート1Aの剥離シート12は省略されてもよいし、粘着シート1Bにおける剥離シート12a,12bのいずれか一方は省略されてもよい。
【実施例】
【0087】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0088】
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル重合体の調製
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸n−ブチル74質量部、アクリル酸メチル5質量部、アクリル酸イソボルニル20質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1質量部、酢酸エチル200質量部、および2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.08質量部を仕込み、上記反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。この窒素雰囲気下中で攪拌しながら、反応溶液を60℃に昇温し、16時間反応させた後、室温まで冷却した。ここで、得られた溶液の一部を後述する方法で分子量を測定し、重量平均分子量(Mw)185万の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の生成を確認した。
【0089】
2.粘着性組成物の調製
上記工程(1)で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、架橋剤(B)として、トリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネート(綜研化学社製,商品名「TD−75」)0.4質量部とを混合し、十分に撹拌して、酢酸エチルで希釈することにより、粘着性組成物の塗布溶液を得た。
【0090】
ここで、当該粘着性組成物の配合を表1に示す。なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[(メタ)アクリル酸エステル重合体]
BA:アクリル酸n−ブチル
MA:アクリル酸メチル
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
IBXA:アクリル酸イソボルニル
ADMMA:メタクリル酸アダマンチル
DCPA:アクリル酸ジシクロペンタニル
PhEA:アクリル酸2−フェノキシエチル
CHA:アクリル酸シクロヘキシル
【0091】
3.粘着剤層付き偏光板の製造
得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET3811,厚さ:38μm)の剥離処理面に、乾燥後の厚さが25μmになるようにナイフコーターで塗布したのち、90℃で1分間加熱処理して粘着剤層を形成した。
【0092】
次いで、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の一方の面をトリアセチルセルロースフィルムで保護し、他方の面をシクロオレフィンポリマーフィルムで保護してなる厚さ100μmのCOP偏光板を、上記粘着剤層の露出面と上記シクロオレフィンポリマーフィルムの表面とが接するように、上記粘着剤層と貼合し、23℃、50%RHで7日間養生することにより、粘着剤層付き偏光板を得た。
【0093】
〔実施例2〜9,比較例1〜3〕
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成する各モノマーの種類および割合、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量、ならびに架橋剤(B)の配合量を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造した。なお、実施例7では、帯電防止剤としてピリジニウム塩(広栄化学社製,商品名「IL−P18」)をさらに配合した粘着性組成物を使用した。
【0094】
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
【0095】
〔試験例1〕(ゲル分率の測定)
実施例または比較例にて粘着剤層付き偏光板の作製に使用した偏光板に替えて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET3801,厚さ:38μm)を使用し、粘着シートを作製した。具体的には、実施例または比較例の製造過程で得られた剥離シート/粘着剤層(厚さ:25μm)からなる構成体の露出している粘着剤層上に、上記剥離シートを剥離処理面側が接するように積層した。これにより、剥離シート/粘着剤層/剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。
【0096】
得られた粘着シートを、23℃、50%RHの条件下で7日間養生した。その後、当該粘着シートを80mm×80mmのサイズにサンプリングして、その粘着剤層をポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、粘着剤のみの質量を精密天秤にて秤量した。このときの質量をM1とする。
【0097】
次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤を、室温下(23℃)で酢酸エチルに24時間浸漬させた。その後粘着剤を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後の粘着剤のみの質量を、精密天秤にて秤量した。このときの質量をM2とする。ゲル分率(%)は、(M2/M1)×100で表される。結果を表1に示す。
【0098】
〔試験例2〕(ヘイズ値の測定)
測定サンプルとして、ゲル分率の測定に用いた粘着シートと同様の粘着シート(7日間養生済み)を用意した。当該粘着シートの粘着剤層(厚さ:25μm)について、ヘイズメーター(日本電色工業社製,NDH2000)を用いて、JIS K7136:2000に準じてヘイズ値(%)を測定した。結果を表1に示す。
【0099】
〔試験例3〕(粘着力の測定)
縦100mm、横100mm、厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板の片面に、厚さ155nmのITOからなる透明導電膜が形成された透明導電膜付きガラス(ジオマテック社製,製品名「FLAT ITO膜付きガラス」)を、被着体として用意した。
【0100】
実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を裁断し、25mm幅、100mm長のサンプルを作製した。このサンプルから剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を介して、上記被着体の透明導電膜に当該サンプルを貼付したのち、栗原製作所社製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。その後、23℃、50%RHの条件下で24時間(1日)または14日間放置してから、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力(貼付1日後および貼付14日後の粘着力;N/25mm)を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
【0101】
〔試験例4〕(耐久性評価)
実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を裁断し、100mm×100mmの大きさのサンプルを作製した。サンプルとしては、粘着剤層付き偏光板作製(粘着剤層形成)から23℃、50%RHの環境下にて7日間保管した後のものを用意した。このサンプルから剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を介して、試験例3と同じ被着体の透明導電膜に貼付したのち、栗原製作所製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。
【0102】
その後、下記の耐久条件の環境下に投入し、500時間後に10倍ルーペを用いて、浮きや剥がれの有無を確認した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
◎:浮きや剥がれが確認されなかった。
○:0.5mm以下の大きさの浮きや剥がれが確認された。
×:0.6mm以上の大きさの浮きや剥がれが確認された。
<耐久条件>
・80℃dry
・60℃,相対湿度90%RH
【0103】
【表1】
【0104】
表1から分かるように、実施例で得られた粘着剤層付き偏光板(粘着シート)は、透明導電膜に対する密着性および耐久性に優れていた。