【課題を解決するための手段】
【0006】
選択マーカー遺伝子および部位特異的組み換え遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するための組成物および方法。
【0007】
選択マーカー遺伝子および部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物、例えばミニブタおよびウシが提供され、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物のゲノムは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含有する自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含むように操作された体細胞、例えば線維芽細胞から導入されている。ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、ES細胞特異的転写因子が発現され活性である胚盤胞期胚の内部細胞塊内の未分化多能性肝細胞、例えばES細胞において部位特異的リコンビナーゼの転写を駆動する。したがって、遺伝子改変中に導入された選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子は、クローン化胚の発生中に多能性幹細胞のゲノムから除去され得る。
【0008】
自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトを含有するように遺伝子改変された非ヒト動物の分化体細胞が提供され、体細胞は、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含み、コンストラクトには、リコンビナーゼ遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性肝細胞、例えばES細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の発現を駆動する。分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムを、ES細胞特異的転写因子が発現され活性である除核宿主卵母細胞内または多能性幹細胞内に導入することにより、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、発生中のクローン化胚内の多能性幹細胞から、または、多能性(例えば誘導多能性(iPS細胞))となるように再プログラム化された体細胞を含む任意の多能性幹細胞から除去され得る。
【0009】
選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するための方法であって、(a)核酸コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、(b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを、除核宿主卵母細胞内に導入すことと、(c)(b)の卵母細胞を融合および活性化させて、人工的接合体を形成することと、(d)接合体が胚盤胞胚形成期に発達するまで、(c)の人工的接合体をin vitroで培養することと、(e)(d)の胚盤胞を代理母の子宮内に移植し、選択マーカー遺伝子および部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含まない遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を形成することとを含み、核酸コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、リコンビナーゼ発現カセットには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように互いに対して同じ方向に配向した組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する方法が提供される。したがって、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムが除核宿主卵母細胞内に導入され、人工的に形成された接合体が胚に発達させられると、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、ES細胞特異的転写因子が発現され活性である、発生中のクローン化胚内の多能性幹細胞のゲノムから除去される。このようにして、本発明は、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子を除去するために必要な、ES細胞の操作または任意の余分な飼育ステップを回避することができる。様々な実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化コンストラクトである。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックアウト対立遺伝子を含む。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックイン対立遺伝子を含む。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子を含む。
【0010】
選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない非ヒト動物の、遺伝子改変およびクローン化された多能性幹細胞を作製するための方法であって、(a)核酸コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、(b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを多能性幹細胞内に導入し、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない遺伝子改変およびクローン化された多能性幹細胞を作製することとを含み、核酸コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、リコンビナーゼ発現カセットには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性ES細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する方法が提供される。様々な実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化コンストラクトである。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックアウト対立遺伝子を含む。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックイン対立遺伝子を含む。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子を含む。
【0011】
組み換え部位が隣接した選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムを、ES細胞特異的転写因子が活性である多能性幹細胞または多能性となるように再プログラム化された任意の体細胞内に導入することにより、多能性幹細胞のゲノムから除去され得る。
【0012】
一態様において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含有するように操作された非ヒト動物の分化体細胞が提供され、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含み、リコンビナーゼ発現カセットには、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する。
【0013】
一実施形態において、分化体細胞は、皮膚細胞、血液細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、肝細胞、および脂肪細胞からなる群から選択される。
【0014】
一実施形態において、分化体細胞は、線維芽細胞である。一実施形態において、線維芽細胞は、マウス、ラット、ウサギ、トリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびロバからなる群から選択される非ヒト動物から得られる。一実施形態において、線維芽細胞は、ブタから得られる。さらに具体的な実施形態において、ブタは、ミニブタである。一実施形態において、線維芽細胞は、ウシから得られる。
【0015】
一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、胚盤胞期胚のES細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する。
【0017】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、第1および第2の組み換え部位の間に第2の発現カセットを含み、第2の発現カセットは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。別の実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の下流側に位置する。
【0018】
一実施形態において、選択マーカー遺伝子に作用可能に連結したプロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的プロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。
【0019】
一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo
r)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hyg
r)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puro
r)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsr
r)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される。
【0020】
一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、選択マーカー遺伝子を含まず、選択マーカー遺伝子は、分化体細胞のゲノム内の別の遺伝子座(例えばトランス)に位置し、選択マーカー遺伝子には、選択マーカーが部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、分化体細胞は、ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、条件付きノックアウト対立遺伝子には、条件付き対立遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、条件付きノックアウト対立遺伝子は、第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子をさらに含む。
【0021】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が隣接している。より具体的な実施形態において、エクソンは、内在性遺伝子の第1のエクソンである。
【0022】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が隣接している。
【0023】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、内在性遺伝子全体が相同性組み換えにより核酸コンストラクトと置き換えられ得るように、内在性遺伝子の開始コドンの上流側の5’−非翻訳領域(UTR)、および内在性遺伝子の停止コドンの下流側の3’−非翻訳領域(UTR)を含む。
【0024】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンのノックイン対立遺伝子である。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子全体のノックイン対立遺伝子である(すなわち、「遺伝子交換ノックイン」)。ノックイン対立遺伝子は、対立遺伝子を含有する動物に対し、改善された耐病性またはより大きなサイズ(例えばより大きな筋肉サイズ)等の所望の特性を付与する対立遺伝子となり得る。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子配列をさらに含み、導入遺伝子配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、導入遺伝子配列は、ヒトタンパク質(例えば、インスリン、アルファ−ラクトアルブミン、トランスフェリン、ヒト血清アルブミン、ヒト成長ホルモン、血液凝固因子等)をコードする。一実施形態において、導入遺伝子配列は、治療薬剤(例えば、治療抗体)をコードする。
【0025】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、内在性遺伝子のノックアウト対立遺伝子である。一実施形態において、ノックアウト対立遺伝子は、レポーター遺伝子を含み、レポーター遺伝子の転写が、内在性遺伝子の発現を駆動する内在性プロモーターにより開始され得、内在性遺伝子の転写が無効化され得るように、レポーター遺伝子の5’は、内在性遺伝子の開始コドン(ATG)の直前の上流側のヌクレオチド配列(すなわち、5’非翻訳領域(5’−UTR))を含む。
【0026】
一実施形態において、レポーター遺伝子は、第1の組み換え部位の上流側に位置する。
【0027】
一実施形態において、レポーター遺伝子は、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、DsRedおよびZsGreenからなる群から選択されるレポータータンパク質をコードする。
【0028】
一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、分化体細胞のゲノム内の転写活性遺伝子座に位置する。一実施形態において、転写活性遺伝子座は、ROSA26遺伝子座である。一実施形態において、転写活性遺伝子座は、CH25h遺伝子座である。
【0029】
一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される。
【0030】
一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。
【0031】
一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、核局在化シグナル(NLS)を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列および核局在化シグナル(NLS)の両方を含む。
【0032】
一実施形態において、第1および第2の組み換え部位は、loxP、lox511、lox2272、lox66、lox71、loxM2、lox5171、FRT、FRT11、FRT71、attp、att、FRT、およびDre部位からなる群から選択される。
【0033】
一態様において、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するための方法であって、
【0034】
(a)核酸コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、
【0035】
(b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを、除核宿主卵母細胞内に導入することと、
【0036】
(c)(b)の卵母細胞を融合および活性化させて、人工的接合体を形成することと、
【0037】
(d)接合体が胚盤胞胚形成期に達するまで、(c)の人工的接合体を培養することと、
【0038】
(e)(d)の胚盤胞を代理母の子宮内に導入植し、選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を形成することとを含み、
【0039】
核酸コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、リコンビナーゼ発現コンストラクトには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、ES細胞特異的プロモーターは、分化体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する方法が提供される。分化体細胞の改変されたゲノムが除核宿主卵母細胞内に導入され、人工的に形成された接合体が、ES細胞特異的転写因子が多能性幹細胞内で活性であるクローン化胚に発達させられると、選択マーカーおよびリコンビナーゼ遺伝子は、クローン化胚のゲノムから除去される。
【0040】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化コンストラクトである。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックアウト対立遺伝子を含む。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックイン対立遺伝子を含む。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子を含む。
【0041】
一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0042】
様々な実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、第1および第2の組み換え部位の間に位置する第2の発現カセットを含み、第2の発現カセットは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、選択マーカーは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。別の実施形態において、選択マーカーは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の下流側に位置する。
【0043】
一実施形態において、選択マーカー遺伝子に作用可能に連結したプロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的プロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。
【0044】
一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo
r)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hyg
r)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puro
r)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsr
r)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される。
【0045】
一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、選択マーカー遺伝子を含まず、選択マーカー遺伝子は、分化体細胞のゲノム内の別の遺伝子座(例えばトランス)に位置し、選択マーカー遺伝子には、選択マーカーが部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、分化体細胞は、ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、条件付きノックアウト対立遺伝子には、条件付き対立遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下でゲノムから除去され得るように、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、条件付きノックアウト対立遺伝子は、第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子を含む。
【0046】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が隣接している。一実施形態において、エクソンは、内在性遺伝子の第1のエクソンである。
【0047】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。
【0048】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化コンストラクトであり、標的化コンストラクトの標的化アームは、内在性遺伝子全体が相同性組み換えにより標的化コンストラクトと置き換えられ得るように、内在性遺伝子の開始コドンの上流側の5’−非翻訳領域(UTR)、および内在性遺伝子の停止コドンの下流側の3’−非翻訳領域(UTR)を含む。一実施形態において、標的化アームは、内在性遺伝子の開始コドンの直前の上流側の5’−UTR領域を含む。一実施形態において、標的化アームは、内在性遺伝子の停止コドンの直後の下流側の3’−非翻訳領域を含む。
【0049】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、改変された配列は、少なくとも1つのエクソンのノックイン対立遺伝子である。一実施形態において、改変された配列は、遺伝子全体のノックイン対立遺伝子である(すなわち、「遺伝子交換ノックイン」)。ノックイン対立遺伝子は、対立遺伝子を含有する動物に対し、改善された耐病性またはより大きなサイズ(例えばより大きな筋肉サイズ)等の所望の特性を付与する対立遺伝子となり得る。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子配列をさらに含み、導入遺伝子配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、導入遺伝子配列は、ヒトタンパク質(例えば、インスリン、アルファ−ラクトアルブミン、トランスフェリン、ヒト血清アルブミン、ヒト成長ホルモン、血液凝固因子等)をコードする。一実施形態において、導入遺伝子配列は、治療薬剤(例えば、治療抗体)をコードする。
【0050】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、内在性遺伝子のノックアウト対立遺伝子である。一実施形態において、ノックアウト対立遺伝子は、レポーター遺伝子を含み、レポーター遺伝子の転写が、内在性遺伝子を駆動する内在性プロモーターにより開始され、内在性遺伝子の転写が無効化されるように、レポーター遺伝子の5’は、内在性遺伝子の開始コドン(ATG)の直前の上流側のヌクレオチド配列(すなわち、5’非翻訳領域(5’−UTR))を含む。
【0051】
一実施形態において、レポーター遺伝子は、第1の組み換え部位の上流側に位置する。一実施形態において、レポーター遺伝子は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、DsRed、ZsGreenおよびlacZからなる群から選択されるレポータータンパク質をコードする。
【0052】
一実施形態において、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムは、体細胞核移植技術(SCNT)により除核宿主卵母細胞内に導入される。
【0053】
一実施形態において、分化体細胞の遺伝子改変されたゲノムは、除核宿主卵母細胞の囲卵腔(すなわち、透明帯と細胞膜との間の空間)内に顕微注入される。
【0054】
一実施形態において、発現コンストラクトは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、プロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的に活性なプロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。
【0055】
一実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。一実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼの下流側に位置する。
【0056】
一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo
r)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hyg
r)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puro
r)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsr
r)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される、薬物耐性遺伝子である。
【0057】
一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される。
【0058】
一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。
【0059】
一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、核局在化シグナル(NLS)を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列および核局在化シグナル(NLS)の両方を含む。
【0060】
一実施形態において、第1および第2の組み換え部位は、loxP、lox511、lox2272、lox66、lox71、loxM2、lox5171、FRT、FRT11、FRT71、attp、att、FRT、およびDre部位からなる群から選択される。
【0061】
一態様において、遺伝子改変されたウシまたはブタを作製するための方法であって、多能性細胞内で活性であるプロモーターにより駆動されるリコンビナーゼ遺伝子、およびリコンビナーゼ部位が隣接する選択遺伝子を含む自己切断型カセットを含むように、ブタまたはウシの体細胞を遺伝子改変して、遺伝子改変されたブタまたはウシゲノムを形成するステップと、遺伝子改変されたゲノムを好適な卵母細胞内に導入し、卵母細胞を胞胚期まで培養し、好適な代理母内で胚盤胞を懐胎させ、胚盤胞を遺伝子改変された子孫に発達させるステップとを含む方法が提供される。
【0062】
一態様において、分化体細胞からの遺伝子改変されたゲノムを含む、非ヒト動物のクローン化卵母細胞であって、遺伝子改変されたゲノムは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子がES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含有する核酸コンストラクトを含み、リコンビナーゼ発現カセットには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した組み換え部位が隣接している、クローン化卵母細胞が提供される。
【0063】
一実施形態において、非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、トリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびロバからなる群から選択される。
【0064】
一実施形態において、分化体細胞は、皮膚細胞、血液細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、肝細胞、および脂肪細胞からなる群から選択される。
【0065】
一実施形態において、分化体細胞は、線維芽細胞である。一実施形態において、線維芽細胞は、マウス、ラット、ウサギ、トリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびロバからなる群から選択される非ヒト動物から得られる。一実施形態において、線維芽細胞は、ブタから得られる。さらに具体的な実施形態において、ブタは、ミニブタである。一実施形態において、線維芽細胞は、ウシから得られる。
【0066】
一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0067】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、第1および第2の組み換え部位の間に第2の発現カセットを含み、第2の発現カセットは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む。一実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の上流側に位置する。別の実施形態において、選択マーカー遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の下流側に位置する。
【0068】
一実施形態において、選択マーカー遺伝子に作用可能に連結したプロモーターは、構成的プロモーターである。一実施形態において、構成的プロモーターは、Ubcプロモーター、hCMVプロモーター、mCMVプロモーター、EF−1プロモーター、Pgk1プロモーター、ベータ−アクチンプロモーター、およびROSA26プロモーターからなる群から選択される。
【0069】
一実施形態において、選択マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo
r)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hyg
r)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puro
r)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsr
r)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、および単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)からなる群から選択される。
【0070】
一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現コンストラクトは、選択マーカー遺伝子を含まず、選択マーカー遺伝子は、分化体細胞のゲノム内の別の遺伝子座(例えばトランス)に位置し、選択マーカー遺伝子には、選択マーカー遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、分化体細胞は、ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、条件付きノックアウト対立遺伝子には、条件付き対立遺伝子が部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。一実施形態において、条件付きノックアウト対立遺伝子は、第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子をさらに含む。
【0071】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。より具体的な実施形態において、エクソンは、内在性遺伝子の第1のエクソンである。
【0072】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列には、第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している。
【0073】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、内在性遺伝子全体が相同性組み換えにより核酸コンストラクトと置き換えられ得るように、内在性遺伝子の開始コドンの上流側の5’−非翻訳領域(UTR)、および内在性遺伝子の停止コドンの下流側の3’−非翻訳領域(UTR)を含む。
【0074】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンのノックイン対立遺伝子である。一実施形態において、改変された配列は、内在性遺伝子全体のノックイン対立遺伝子である(すなわち、「遺伝子交換ノックイン」)。ノックイン対立遺伝子は、対立遺伝子を含有する動物に対し、改善された耐病性またはより大きなサイズ(例えばより大きな筋肉サイズ)等の所望の特性を付与する対立遺伝子となり得る。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子配列をさらに含み、導入遺伝子配列は、第1および第2の組み換え部位が隣接した領域外に位置する。一実施形態において、導入遺伝子配列は、ヒトタンパク質(例えば、インスリン、アルファ−ラクトアルブミン、トランスフェリン、ヒト血清アルブミン、ヒト成長ホルモン、血液凝固因子等)をコードする。一実施形態において、導入遺伝子配列は、治療薬剤(例えば、治療抗体)をコードする。
【0075】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の改変された配列をさらに含み、改変された配列は、内在性遺伝子のノックアウト対立遺伝子である。一実施形態において、ノックアウト対立遺伝子は、レポーター遺伝子を含み、レポーター遺伝子の転写が、内在性遺伝子の発現を駆動する内在性プロモーターにより開始され得、内在性遺伝子の転写が無効化され得るように、レポーター遺伝子の5’は、内在性遺伝子の開始コドン(ATG)の直前の上流側のヌクレオチド配列(すなわち、5’非翻訳領域(5’−UTR))を含む。
【0076】
一実施形態において、レポーター遺伝子は、第1の組み換え部位の上流側に位置する。
【0077】
一実施形態において、レポーター遺伝子は、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、DsRedおよびZsGreenからなる群から選択されるレポータータンパク質をコードする。
【0078】
一実施形態において、自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、分化体細胞のゲノム内の転写活性遺伝子座に位置する。一実施形態において、転写活性遺伝子座は、ROSA26遺伝子座である。一実施形態において、転写活性遺伝子座は、CH25h遺伝子座である。
【0079】
一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される。
【0080】
一実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは、Creリコンビナーゼである。
【0081】
一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、核局在化シグナル(NLS)を含む。一実施形態において、Creリコンビナーゼは、イントロン配列および核局在化シグナル(NLS)の両方を含む。
【0082】
一実施形態において、第1および第2の組み換え部位は、loxP、lox511、lox2272、lox66、lox71、loxM2、lox5171、FRT、FRT11、FRT71、attp、att、FRT、およびDre部位からなる群から選択される。
【0083】
一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、クローン化卵母細胞内で活性ではない。一実施形態において、ES細胞特異的プロモーターは、リガンドの非存在下ではES細胞特異的プロモーターの活性がオフとなるが、好適なリガンド、例えばテトラサイクリンの投与後、およびES細胞特異的転写因子の存在下ではプロモーター活性がオンとなるような様式で、リガンド誘導性プロモーター、例えばテトラサイクリン(tet)オン/オフ系に結合される。
【0084】
一態様において、選択遺伝子を有さないF0世代の遺伝子改変されたブタまたはウシを作製するための方法であって、多能性細胞内で活性であるプロモーターにより駆動される部位特異的リコンビナーゼ遺伝子、およびリコンビナーゼ部位が隣接する選択遺伝子を含む自己切断型カセットを含むように、ブタまたはウシの体細胞を遺伝子改変して、遺伝子改変されたブタまたはウシゲノムを形成するステップと、遺伝子改変されたゲノムを好適な卵母細胞内に導入し、卵母細胞を胞胚期まで培養し、好適な代理母内で胚盤胞を懐胎させ、胚盤胞を遺伝子改変された子孫に発達させるステップとを含む方法が提供される。
【0085】
一態様において、ウシまたはブタの分化体細胞のゲノムを改変するための方法であって、(a)(i)ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含有する自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含む第1の核酸コンストラクトと、(ii)ES細胞特異的転写因子をコードする遺伝子を含む第2の核酸コンストラクトとを含む組成物を、ウシまたはブタの分化体細胞内に導入することを含み、
【0086】
リコンビナーゼ発現カセットには、部位特異的リコンビナーゼが部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した組み換え部位が隣接し、
【0087】
ES細胞特異的転写因子はES細胞特異的プロモーターを活性化することができる方法が提供される。
【0088】
一実施形態において、ES細胞特異的転写因子は、Oct−3/4、Sox2、c−Myc、Kif4、Nanog、およびLin28からなる群から選択される少なくとも1つである。一実施形態において、少なくとも1つのES細胞特異的転写因子は、分化体細胞を多能性幹細胞に再プログラム化することができる。
【0089】
一実施形態において、核酸コンストラクトは、標的化コンストラクトである。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックアウト対立遺伝子を含む。一実施形態において、標的化コンストラクトは、ノックイン対立遺伝子を含む。一実施形態において、核酸コンストラクトは、導入遺伝子を含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
胚性幹(ES)細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を有する自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含む、非ヒト動物の遺伝子改変された体細胞であって、
前記部位特異的リコンビナーゼカセットには、前記カセットが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るような様式で、互いに対して同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、
前記ES細胞特異的プロモーターは、前記遺伝子改変された体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において前記部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する、体細胞。
(項目2)
前記体細胞は、皮膚細胞、血液細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、腎細胞、肝細胞、および脂肪細胞からなる群から選択される、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目3)
前記体細胞は、線維芽細胞である、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目4)
前記線維芽細胞は、ブタから得られる、項目3に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目5)
前記ブタは、ミニブタである、項目4に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目6)
前記線維芽細胞は、ウシから得られる、項目3に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目7)
前記ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目8)
前記ES細胞特異的プロモーターは、胚盤胞期胚のES細胞において前記部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目9)
前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子をさらに含み、前記選択マーカー遺伝子は、プロモーターに作用可能に連結している、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目10)
前記選択マーカー遺伝子に作用可能に連結した前記プロモーターは、構成的プロモーターである、項目9に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目11)
前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、選択マーカー遺伝子を含まず、前記選択マーカー遺伝子は、前記体細胞のゲノム内の別の遺伝子座に位置し、前記選択マーカー遺伝子には、前記選択マーカーが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目12)
前記体細胞の遺伝子改変されたゲノムは、条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、前記条件付きノックアウト対立遺伝子には、前記条件付き対立遺伝子が前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目13)
前記リコンビナーゼ発現カセットは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目14)
前記リコンビナーゼ発現カセットは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目15)
前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記体細胞のゲノム内の転写活性遺伝子座に位置する、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目16)
前記部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される、項目1に記載の遺伝子改変された体細胞。
(項目17)
選択マーカー遺伝子およびリコンビナーゼ遺伝子を含まない、遺伝子改変およびクローン化された非ヒト動物を作製するための方法であって、
(a)核酸コンストラクトを、非ヒト動物の分化体細胞内に導入し、遺伝子改変されたゲノムを形成することと、
(b)(a)の遺伝子改変されたゲノムを、除核宿主卵母細胞内に導入することと、
(c)(b)の卵母細胞を融合および活性化させて、人工的接合体を形成することと、
(d)前記接合体が胚盤胞胚形成期に達するまで、(c)の人工的接合体を培養することと、
(e)(d)の胚盤胞を代理母の子宮内に移植し、前記選択マーカー遺伝子および前記リコンビナーゼ遺伝子を含まない前記遺伝子改変されたクローン化非ヒト動物を形成することとを含み、
前記核酸コンストラクトは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含む自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、
前記リコンビナーゼ発現カセットには、前記カセットが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、同じ方向で配向した第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接し、
前記ES細胞特異的プロモーターは、前記分化体細胞ではなく、未分化多能性幹細胞において前記部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する方法。
(項目18)
前記ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記第1および第2の組み換え部位の間に位置する選択マーカー遺伝子を含み、前記選択マーカー遺伝子は、プロモーターに作用可能に連結している、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記選択マーカー遺伝子に作用可能に連結した前記プロモーターは、構成的プロモーターである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、選択マーカー遺伝子を含まず、前記選択マーカー遺伝子は、前記体細胞のゲノム内の別の遺伝子座に位置し、前記選択マーカー遺伝子には、前記選択マーカーが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目17に記載の方法。
(項目22)
前記体細胞は、前記ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、前記条件付きノックアウト対立遺伝子には、前記条件付き対立遺伝子が前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目17に記載の方法。
(項目23)
前記核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目17に記載の方法。
(項目24)
前記核酸コンストラクトは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目17に記載の方法。
(項目25)
前記核酸コンストラクトは、プロモーターに作用可能に連結した選択マーカー遺伝子を含む、項目17に記載の方法。
(項目26)
前記プロモーターは、構成的プロモーターである、項目23に記載の方法。
(項目27)
前記部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される、項目17に記載の方法。
(項目28)
分化体細胞からの遺伝子改変されたゲノムを含む、非ヒト動物のクローン化卵母細胞であって、前記遺伝子改変されたゲノムは、ES細胞特異的プロモーターに作用可能に連結した部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を有する自己切断型リコンビナーゼ発現カセットを含み、前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットには、前記カセットが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で切断され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第1および第2の組み換え部位が隣接している、クローン化卵母細胞。
(項目29)
前記非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、トリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、およびロバからなる群から選択される、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目30)
前記分化体細胞は、皮膚細胞、血液細胞、神経細胞、筋細胞、骨細胞、肝細胞、および脂肪細胞からなる群から選択される、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目31)
前記分化体細胞は、線維芽細胞である、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目32)
前記線維芽細胞は、ブタから得られる、項目31に記載のクローン化卵母細胞。
(項目33)
前記ブタは、ミニブタである、項目32に記載のクローン化卵母細胞。
(項目34)
前記線維芽細胞は、ウシから得られる、項目31に記載のクローン化卵母細胞。
(項目35)
前記ES細胞特異的プロモーターは、Oct−3/4プロモーター、Sox2プロモーター、Kif4プロモーター、c−Mycプロモーター、Nanogプロモーター、Lin28プロモーター、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目36)
前記ES細胞特異的プロモーターは、胚盤胞期胚のES細胞において部位特異的リコンビナーゼ遺伝子の転写を駆動する、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目37)
前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記第1および第2の組み換え部位の間に選択マーカー遺伝子を含み、前記選択マーカー遺伝子は、プロモーターに作用可能に連結している、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目38)
前記選択マーカー遺伝子に作用可能に連結した前記プロモーターは、構成的プロモーターである、項目37に記載のクローン化卵母細胞。
(項目39)
前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、選択マーカー遺伝子を含まず、前記選択マーカー遺伝子は、前記体細胞ゲノム内の別の遺伝子座に位置し、前記選択マーカー遺伝子には、前記選択マーカーが前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、互いに対して同じ方向に配向した第3および第4の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目40)
前記体細胞は、ゲノム内に条件付きノックアウト対立遺伝子を含み、前記条件付きノックアウト対立遺伝子には、前記条件付き対立遺伝子が前記部位特異的リコンビナーゼの存在下で除去され得るように、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目41)
前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのエクソンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目42)
前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、標的化されている内在性遺伝子の少なくとも1つのイントロンに相同性のヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列には、前記第1および第2の組み換え部位が、上流側および下流側で隣接している、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目43)
前記自己切断型リコンビナーゼ発現カセットは、前記体細胞ゲノム内の転写活性遺伝子座に位置する、項目28に記載のクローン化卵母細胞。
(項目44)
前記部位特異的リコンビナーゼは、Cre、Flp、およびDreリコンビナーゼからなる群から選択される、項目28に記載のクローン化卵母細胞。