(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227758
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】スマートアンテナ
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20171030BHJP
H04L 29/06 20060101ALI20171030BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20171030BHJP
H04W 92/16 20090101ALI20171030BHJP
【FI】
H04L12/46 100B
H04L12/46 100C
H04L13/00 305B
H04W84/12
H04W92/16
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-512992(P2016-512992)
(86)(22)【出願日】2014年5月5日
(65)【公表番号】特表2016-525811(P2016-525811A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】US2014036813
(87)【国際公開番号】WO2014182622
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2015年11月20日
(31)【優先権主張番号】61/819,906
(32)【優先日】2013年5月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515297087
【氏名又は名称】ベンタス ネットワークス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】VENTUS NETWORKS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シャロット、キース
(72)【発明者】
【氏名】ツェン、ヨンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、クリス
【審査官】
野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0172290(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
H04L 29/06
H04W 84/12
H04W 92/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュアなUSB信号延長機器であって、
セキュアな施設内に配置された第1のフォーマット変換器及びブースタ装置と、
セキュアな施設外に配置された第2のフォーマット変換器及びブースタ装置と、を備え、
前記第1のフォーマット変換器及びブースタ装置ならびに前記第2のフォーマット変換器及びブースタ装置のそれぞれは、
複数のUSBポートと、
ネットワークポートと、
前記複数のUSBポートから前記ネットワークポートへの複数の信号を符号化し、且つ前記ネットワークポートから前記複数のUSBポートへの複数の信号を復号化するマルチプレクサまたはデマルチプレクサ回路と、
セキュアな施設の境界を通過して、前記第1のフォーマット変換器及びブースタ装置ならびに前記第2のフォーマット変換器及びブースタ装置のそれぞれのネットワークポートを接続するネットワークケーブルとを含む、セキュアなUSB信号延長機器。
【請求項2】
セキュアな無線ネットワーキングシステムであって、
遠隔ルータとの仮想プライベートネットワークを確立するように構成されたローカルルータであって、前記ローカルルータは、セキュアな施設内に配置され、且つ第1のフォーマット変換器及びブースタ装置を含み、前記第1のフォーマット変換器及びブースタ装置は、
前記遠隔ルータのプロセッサと通信可能に接続された複数のUSBポートと、
ネットワークポートと、
前記USBポートから前記ネットワークポートへの複数のUSB信号を符号化し、且つ前記ネットワークポートから前記複数のUSBポートへの複数のUSB信号を復号化するマルチプレクサまたはデマルチプレクサ回路とを含む、前記ローカルルータと、
セキュアな施設外に配置され、且つ第2のフォーマット変換器及びブースタ装置、複数のトランシーバ、及びトランシーバごとの少なくとも1つのアンテナを含むスマートアンテナであって、前記第2のフォーマット変換器及びブースタ装置が、
第2のネットワークポートと、
前記複数のトランシーバから前記第2のネットワークポートへの複数のUSB信号を符号化し、且つ前記第2のネットワークポートから前記複数のトランシーバへの複数のUSB信号を復号化する第2のマルチプレクサまたはデマルチプレクサ回路とを含む、前記スマートアンテナと、
前記ローカルルータ内の前記第1のフォーマット変換器及びブースタ装置のネットワークポートと、前記スマートアンテナ内の前記第2のフォーマット変換器及びブースタ装置の第2のネットワークポートとの間のセキュアな施設の境界を通過して接続されるネットワークケーブルと、を備えるセキュアな無線ネットワーキングシステム。
【請求項3】
前記遠隔ルータのプロセッサが、前記複数のUSBポートのうちの2つ以上の間で発信データストリームを分割し、且つ前記複数のUSBポートのうちの2つ以上からの着信データストリームを収集する、請求項2に記載のセキュアな無線ネットワーキングシステム。
【請求項4】
前記ローカルルータにおけるマルチプレクサまたはデマルチプレクサ及び前記スマートアンテナにおける第2のマルチプレクサまたはデマルチプレクサは、前記ローカルルータにおける複数のUSBポート及びスマートアンテナにおける前記複数のトランシーバの間の1対1の信号一致を維持するように、符号化および復号化を実行する、請求項2に記載のセキュアな無線ネットワーキングシステム。
【請求項5】
前記ローカルルータにおける前記マルチプレクサまたはデマルチプレクサ及び前記スマートアンテナにおける前記第2のマルチプレクサまたはデマルチプレクサが、前記複数のUSBポート及び前記複数のトランシーバの間の信号パケットをシャッフルするように、符号化および復号化を実行する、請求項2に記載のセキュアな無線ネットワーキングシステム。
【請求項6】
信号パケットのシャッフリングは、バッファリングを含む、請求項5に記載のセキュアな無線ネットワーキングシステム。
【請求項7】
前記複数のトランシーバのうちの少なくとも1つは、前記複数のトランシーバのうちの少なくとも他の1つと異なる信号周波数で動作するように構成される、請求項2に記載のセキュアな無線ネットワーキングシステム。
【請求項8】
前記マルチプレクサまたはデマルチプレクサ回路は、前記複数のUSB信号をキャリア電力信号に符号化する、請求項2に記載のセキュアな無線ネットワーキングシステム。
【請求項9】
前記マルチプレクサまたはデマルチプレクサ回路は、前記トランシーバへのモード制御信号および前記トランシーバからの複数のモード制御信号と並列に前記複数のUSB信号を符号化する、請求項2に記載のセキュアな無線ネットワーキングシステム。
【請求項10】
前記ネットワークケーブルは、電力線ネットワークアダプタを介して前記ネットワークポートに接続されるAC電力ケーブルである、請求項2に記載のセキュアな無線ネットワーキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線データネットワークに関する。特に、本発明は、セキュアな施設、例えばテンペスト(TEMPEST)を認証された施設内のルータから無線データネットワークへの接続に備える。
【背景技術】
【0002】
或る組織(例えば、金融機関、送電オペレータ、法律事務所、工業研究組織など)は、運転の通常の進行中にデータがセキュアに記憶されなければならない複数の地理的に分散された場所であって、それらの間でデータがセキュアに通信されなければならない場所を有する。かかる組織は、以後「データ依存組織」と呼ばれる。
【0003】
データ通信は、地上通信線(銅又は光ファイバケーブルのいずれか)と同様に無線接続を用いて従来的に達成されてきた。地上通信線が、設置するのが高価で比較的情報漏洩に弱いのに対して、無線接続は、比較的都合よく(従って安く)確立し修正することができ、(例えば、コンパニオン「ルータ」アプリケーションに開示されているように、マルチチャネル送信及び受信によって)モード冗長性を提供することができ、且つ恐らく(再びコンパニオン「ルータ」アプリケーションで開示されているように、データスループットも同様に向上させることができるスペクトル拡散又は他の耐傍受プロトコルによって)情報漏洩にはそれほど弱くはない。従って、データ依存組織の分散した場所の間で無線データ送信に備えることが人気になった。
【0004】
企業レベル及びM2M使用の場合に関し、端点におけるセルラーデータ接続は、無線ルータを介して実現されることが多い。
図1を参照すると、典型的な設備において、セルラー無線ルータ10が、商用又はプロプライエタリ広域ネットワーク(WAN)とTCP/IP互換ポート又は他の特定用途向けI/O設備との間のブリッジを形成する。典型的には、セルラー無線ルータは、CPU、少なくとも1つのセルラートランシーバ、イーサネット(登録商標)PHY、及び統合されたセルラーアンテナ又は外部セルラーアンテナ12用の接続設備を含む。ルータと、関連する/支援された周辺装置14との間の接続は、金属回路、光ファイバ、光ブロードキャスト又は無線方式を介しても良い。これらのコンポーネントの全ては、データセンタ50などのセキュアな場所内に維持される。
【0005】
しかしながら、ルータが、セキュアな場所において他の装置と共存されなければならない多くの設置シナリオにおいて、信頼できるセルラールータ動作を支援するために、ルータにおいて適切な無線信号強度を達成/維持することは不可能である。地下のデータセンタ施設におけるルータ設置は、一例として機能し得るが、一方で建築構造内の奥に設置された現金自動預け払い機は、別である。いずれにしても、(
図1に示されているような)共存されたアンテナは、不適切な信号アクセスを提供するか又は全く提供しない可能性がある。
【0006】
図2に示されているように、論理的且つ既存の解決法は、ルータの別個のアンテナ12をデータセンタ50の外部の場所に移動させること(その場合には無線信号アクセスの改善がある)、及びアンテナから逆にルータ10までの十分に長いネットワークケーブル30にわたってRF信号を延ばすことであり得る。或る例において、このアプローチは可能であるが、しかし典型的には、ルータとアンテナとの間の最大距離は、ケーブル減衰によって厳しく制限される。細い同軸ケーブル(例えばRG−178)は、30.48cm(1フィート)の長さごとに1dBだけ、対象となる信号(3Gの供給に対して1900MHz)を減衰させる。この減衰速度において、エネルギ損失は、典型的なセルラートランシーバで91.44cm(3フィート)の追加ケーブル長さごとに2倍になる。信号距離は、専門のエソテリックケーブル型によって改善できるが、約3m(10フィート)を超えるケーブルの経路は、多くの現実世界の設備において非実用的であることが分かる。
【0007】
別の解決法は、好適な信号アクセスを備えた場所にルータ及びアンテナを移動させ、且つTCP/IP(又はLAN)ベースバンド信号領域を介して、ルータと、接続される装置との間の延長接続を達成することであり得る。このアプローチは、ルータの遠隔位置が、セキュリティ及び物理的な収容の観点から許容できる幾つかの例でうまく働くことができる。しかしながら、この構成において、ルータは、一般に、セキュアでないか又は恐らく公共の場所に配置され、LAN接続は、傍受、問い合わせ又は改竄を受け易くなり得る。更に、動作環境は、たとえ管理されていても、貧弱になる可能性がある。従って、この「解決法」は、実際には単に、ルータを管理された場所に置くことによって解決できる問題の言い換えである。
【0008】
元々の問題のかかる言い換えは、監視又はサボタージュのための、電子装置の遠隔侵入に対する能力に関する最近の発見から、特に関心がある。例えば、共通のハードウェアコンポーネント(例えば、ケーブルコネクタ、メモリチップ)は、恐らく、危険にさらされたコンポーネントを囲む129.45km
2(50平方マイル)超の範囲内の任意の場所から、デジタル命令又はデータへの無許可の無線アクセスを可能にするトランスポンダの挿入によって危険にさらされる。従って、かかるコンポーネントは、「クリア」データ、即ち、どんな暗号技術によっても保護されていないデータに対する、ほぼ検出不能なサーバサイドアクセスを可能にし得る。それによって、この新しく公開された技術は、重要なデータストリーム(例えば、金融口座データ及び振替指示、電気ネットワーク負荷データ及び配電ブレーカ位置指令)の密かな監視及び修正を可能にする。
【0009】
遠隔トランスポンダの政府所有だけが公表されているが、不法行為者がまた、公然とした購入によって、政府職員の打倒によって、又はリバースエンジニアリングによって、同様の技術を所有したことが極めてありそうに思われる。従って、データ依存組織は、悪人によるデータ傍受又は操作のサーバサイドリスクにさらされている。これは、データ依存組織、特に金融機関にとってビジネスにおいて重大な懸念であり、ますますそうなるであろう。
【0010】
従って、データ依存組織が、無線侵入に耐える施設、例えばテンペストを認証された施設内に重要なデータサーバを維持し、一方でやはり、地理的に分散された場所における重要なデータサーバ間での無線ブロードバンド通信に備える能力を保持することが望ましいであろう。
【0011】
テンペスト防止策の使用は、意図的に遮蔽された場所とは対照的に、単に不便な場所内でのルータ設置に関する上記で説明した問題の全てを引き起こし拡大する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、セキュアなUSB信号延長機器を提供し、セキュアなUSB信号延長機器は、セキュアな施設内に配置された第1のフォーマット変換器及びブースタ装置と、セキュアな施設外に配置された第2のフォーマット変換器及びブースタ装置とを含む。フォーマット変換器及びブースタ装置のそれぞれは、複数のUSBポートと、ネットワークポートと、複数のUSBポートからネットワークポートへの信号を符号化し、且つネットワークポートから複数のUSBポートへの信号を復号化するマルチプレクサ/デマルチプレクサ回路と、セキュアな施設の境界を通過して、第1及び第2のフォーマット変換器及びブースタ装置のそれぞれのネットワークポートを接続するネットワークケーブルとを含む。
【0013】
或る実施形態において、本発明は、ケーシング内にスマートアンテナ機器を設け、ケーシングは、全方向性アンテナアレイと、アンテナアレイと電気的に接続された複数のトランシーバと、複数のトランシーバとネットワークポートとの間に電気的に接続されたフォーマット変換器及びブースタ装置とを支持する。フォーマット変換器及びブースタ装置は、複数のトランシーバからネットワークポートへの複数のUSB信号を符号化し、且つネットワークポートから複数のトランシーバへの複数のUSB信号を復号化するマルチプレクサ/デマルチプレクサ回路を含む。
【0014】
本発明の一態様において、本発明は、セキュアな無線ネットワーキングシステムの一部として設けられ、セキュアな無線ネットワーキングシステムは、遠隔ルータとの仮想プライベートネットワークを確立するように構成されたローカルルータを含む。ローカルルータは、セキュアな施設内に配置され、且つ第1のフォーマット変換器及びブースタ装置を含み、今度は第1のフォーマット変換器及びブースタ装置は、ルータプロセッサと通信可能に接続された複数のUSBポートと、ネットワークポートと、USBポートからネットワークポートへの複数のUSB信号を符号化し、且つネットワークポートから複数のUSBポートへの複数のUSB信号を復号化するマルチプレクサ/デマルチプレクサ回路とを含む。システムは、セキュアな施設外に配置されたスマートアンテナを更に含み、第2のフォーマット変換器及びブースタ装置と、複数のトランシーバと、トランシーバごとの少なくとも1つのアンテナとを含む。第2のフォーマット変換器及びブースタ装置は、トランシーバの1つとそれぞれ通信可能に接続された第2の複数のUSBポートと、第2のネットワークポートと、USBポートから第2のネットワークポートへの複数のUSB信号を符号化し、且つ第2のネットワークポートから複数のUSBポートへの複数のUSB信号を復号化する第2のマルチプレクサ/デマルチプレクサ回路とを含む。システムは、ローカルルータ内の第1のフォーマット変換器及びブースタ装置のネットワークポートと、スマートアンテナ内の第2のフォーマット変換器及びブースタ装置の第2のネットワークポートとの間で、セキュアな施設の境界を通過して接続されるネットワークケーブルを更に含む。
【0015】
本発明のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面に示されているように、本発明の詳細な説明に照らして明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】セキュアな施設に設置された従来の無線ブロードバンドルータシステムを概略図に示す。
【
図2】遠隔アンテナを備えた無線ブロードバンドルータを概略図に示す。
【
図3】本発明の実施形態に従って、ブロードバンドルータ及びスマートアンテナを概略図に示す。
【
図4】本発明の実施形態に従って、スマートアンテナのアセンブリを斜視図に示す。
【
図5】本発明の態様に従って、ブロードバンドルータ及びスマートアンテナの設置を斜視図に示す。
【
図6】本発明の別の実施形態に従って、スマートアンテナを概略図に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図3を参照すると、本発明の実施形態は、コンパニオンルータアセンブリ(companion router assembly)28から遠隔に位置するスマートアンテナアセンブリ(smart antenna assembly)26を構成するために、トランシーバごとの少なくとも1つのアンテナ22と一緒に、且つ信号延長機器(signal extension apparatus)24と一緒に、少なくとも1つの既製のRFトランシーバ20を共存させる。図示のような本発明の或る実施形態において、アンテナ22は、信号方向及び偏波の多様性のために全方向性アレイで構成されても良い。一方で、複数のトランシーバ20が、信号周波数の多様性のために設けられても良い。
【0018】
図3に示されているように、トランシーバ20及びアンテナ22の共存は、長いケーブルの経路におけるRF信号損失に関する従来の問題を除去する。代わりに、通信は、ルータ28と、その遠隔に位置するトランシーバ/アンテナアセンブリ26との間の長いケーブル30に沿って、ベースバンド領域(baseband domain)において発生する。典型的には、ケーブル30は、非シールドツイストペア(unshielded twisted pair : UTP)である。しかしながら、同軸ケーブルが、同様に使用可能な幾つかの従来のケーブルフォーマットの1つである。
【0019】
従って、本発明の実施形態による通信リンクは、業界標準のセルラーRFトランシーバを「カテゴリ」ネットワークケーブルに適応させる。
USB2.0は、商用トランシーバ及びルータに固有のインターフェースプロトコルであり、商用トランシーバ及びルータは、典型的な無線ルータアセンブリにおいて、共通のプリント配線基板(printed wiring assembly : PWA)又はマザーボード上で近くに実装される。従って、USB接続は、共存されたルータとトランシーバとの間の通信用の当然の選択である。
【0020】
しかしながら、USBが、約5m(16フィート)を超える距離で信号損失及びパケットドロップに悩まされ、その結果、ルータと遠隔トランシーバとの間のUSB接続が、トランシーバと遠隔アンテナとの間のRFケーブル接続で発生するのと同じ問題を本質的に示すことが分かる。従って、本発明の一態様において、信号延長機器24は、スマートアンテナ26とルータ28との間のUSB信号をプロプライエタリ・プロトコル(proprietary protocol)に再フォーマットし、プロプライエタリ・プロトコルは、ネットワークケーブル30にわたる長距離データ送信を達成するために、位相及び振幅変調並びに増幅を利用する。例えば、信号延長機器24は、10mを超える距離での通信を可能にする。
【0021】
信号延長機器24はまた、例えばパワーオーバーイーサネット(PoE)などの技術を用い、USBパケットを符号化する信号と並行して、トランシーバ20とルータ28との間の電力及びモードの制御信号の送信を可能にする。有利なことに、この共同送信は、符号化されたUSBパケットをマスクし得る。例えば、信号延長機器24によって実行されるプロプライエタリ・プロトコルは、振幅、位相及び/又は周波数偏移変調を用いて、マルチレベル(即ち2値を超える)データプロトコルと同様に、比較的高電圧DCキャリア信号(例えば20V〜60Vの範囲内の一定の中心電圧)を提供しても良い。例えば、データプロトコルは、周波数の8つの異なる値間の遷移と共に、キャリア電圧の3つ、4つ又は6つの値間で選択することによってデータを符号化し、それによって、各時間間隔において少なくとも1バイトのデータを符号化しても良い。
【0022】
この実施形態において、信号延長機器24は、フォーマット変換器/ブースタ(format converters / boosters 「FC/B」)として構成される1組のカスタムプロセッサ25を含む。FC/B25は、商用USB2.0準拠シグナリングとプロプライエタリシグナリングプロトコルとの間で2方向変換し、且つ多重化/多重分離を行い、このプロトコルは、或る実施形態において単一チャネルプロトコルであるが、マルチチャネルシグナリングが、UTP上で達成され得る。FC/B25の1つは、スマートアンテナアセンブリ26のケース内に配置され、且つトランシーバ20とネットワークケーブル30との間に接続され、ネットワークケーブル30は、非シールドツイストペア(「UTP」)又は同様の商用ケーブルであっても良い。FC/B25のもう一方は、ルータアセンブリ28のケース内に配置され、且つネットワークケーブル30とルータボード32との間に接続される。
【0023】
従って、本発明の一態様は、信号延長機器24が、固有のUSB信号の電気特性及び通信プロトコルで可能なケーブル距離より長いケーブル距離にわたって、USBコンポーネント間のトランスペアレントなシグナリング(transparent signaling)を可能にするということである。
【0024】
本発明の別の態様は、信号延長機器24が、市販のUSBでインターフェースされたセルラートランシーバモジュールを支援するために必要な追加補助信号でUSBデータパケットを多重化するということである。例えば、多重化は、UTPケーブル30の交互の対の間で、共通モードにおける重信回路(phantom circuit)の信号伝達によって達成することができる。これらの補助信号は、動作モード制御及び内部システムの信号伝達を提供する。遠隔アンテナ動作が実行されない典型的なルータシステム実装形態において、これらのベースバンド信号は、トランシーバと局所プロセッサとの間を単純に接続する。
【0025】
発明的な解決法において、これらのシステムの信号伝達のチャネルは、遠隔アンテナ用の動作電力と協力して、プロプライエタリUSB延長信号を搬送するのと同じケーブル30上で一緒に多重化される。或る実施形態において、動作電力チャネルは、ベースバンド信号用のキャリアを提供し得る。いずれにせよ、ベースバンドシステムの信号チャネルは、USBパケット領域に埋め込まれず、従って、どんなデータセキュリティリスクも体現しない。何故なら、USBデータペイロードのどれも、ベースバンドチャネルからアクセス可能ではないからである。従って、セキュアな(secure)VPNチャネルの完全性は、USBを介して維持することができる。
【0026】
例えば、各FC/B25は、単一チャネルのプロプライエタリシグナリングプロトコルからの複数のデータストリームを多重分離し(de-multiplex multiple)、第1及び第2のUSB接続部にデジタル信号を送信するように構成することができる。例えば、スマートアンテナ26において、USB接続部が、トランシーバ20に向けられる(direct)のに対し、ローカルルータ28において、USB接続部は、FC/B25とルータプロセッサ32との間にある。各FC/B25はまた、第1及び第2のUSB接続部を介して受信されるデジタル信号を多重化するように、且つプロプライエタリシグナリングプロトコルを用い、ネットワークケーブルを介して多重化信号を送信するように構成することができる。もう一方の方向において、FC/Bは、ネットワークケーブル30から単一のデータストリームを受信し、データストリームを少なくとも2つのインターリーブサブストリームに分割し、各サブストリームが、対応するUSB接続部を介して2つ以上のRFトランシーバ20の異なる1つに行くように構成することができる。
【0027】
幾つかの実施形態において、対のFC/Bは、ローカルルータにおける複数のUSBポートとスマートアンテナにおける複数のトランシーバ20との間の1対1の信号一致を維持するような方法で、符号化し復号するように構成することができる。しかしながら、例えばUSBポートにおける信号パケットとトランシーバ20における信号パケットとの間の再現可能な一致が存在しないような方法で、信号パケットをシャッフルするように対のFC/Bを構成することが等しく可能である。後者の場合に、スマートアンテナ26からの無線送信のまさに遠端で、スマートアンテナFC/B25による復号後及びセルラーブロードバンドネットワークを介したVPN送信後に、同様に構成されたルータプロセッサ(図示せず)が、FC/Bによってシャッフルされた同じデータストリームを得るために、シャッフルされたパケットを復元できるように、ルータプロセッサ32は、ローカルルータFC/B25による符号化の前に、各パケットにタグを付けるように構成することができる。パケットシャッフリング(packet shuffling)が、トランシーバ20(単純なインターリービング)の間で且つまた時間的に(制限されたランダムバッファリング(random buffering))という両方で達成できることに留意されたい。
【0028】
別の実施形態(図示せず)において、接続ケーブルは、プラグ又はスプライス(splice)によって接続された1つ又は複数の標準60HzのAC電力線とし、電力線ネットワークアダプタが、スマートアンテナ26及びルータ28においてFC/B25にケーブルを接続することができる。かかる実施形態において、ブースト機能は、任意選択であっても良い。
【0029】
図4を参照すると、スマートアンテナアセンブリ26の作動部分は、トレイ34及び蓋36を含むケーシングに収容される。アンテナ22は、それら自体のPWA38上に実装され、可撓性リードによってRFトランシーバ20に接続され、RFトランシーバ20は、アンテナPWAの下のトランシーバモジュールマザーボード40に実装される。RFトランシーバ20は、マザーボードを介して、同様にマザーボード上に実装されたFC/B25に接続される。FC/B25は、RFトランシーバ20に対してUSB2.0信号を送受信し、一方でネットワークポート(例えば、RJ−45プラグなどの標準ジャック(jack)接続部42)を介し、UTPケーブル30に対してプロプライエタリベースバンド信号を送受信する。トレイ34は、アセンブリを建築構造(building structure)に着脱可能に固定するための磁石足44を含んでも良い。マザーボード40は、RFトランシーバ20をプログラムするためのSIMカード46を収容するためのスロットを含んでも良い。代替として、RFトランシーバは、所定のチャネル及びモードの専用であっても良い。
【0030】
用いられるベースバンドプロトコルと無関係に、ルータ28及びスマートアンテナ26は、単にローカルサーバと遠隔サーバとの間の通信リンクの中間部分であり、遠隔サーバは、IPsec又はVPNなどのセキュアな環境内に設置することができる。ローカルサーバ及び遠隔サーバの両方が、セキュアな環境(例えばテンペストを認証された施設)に維持される場合に、無線侵入のリスクは、かなり軽減される。
【0031】
例として、
図5は、ルータ28が、データセンタのラック空間50内にセキュアに位置する企業シナリオを示し、その企業シナリオは、良く管理された環境から利益を得られ、ネットワーク接続は、アクセスが制限され/管理されたエリアで発生することができる。スマートアンテナアセンブリ26は、無線信号強度が、無線ブロードバンドプロバイダ基地局との信頼できて予測可能な通信を支援する場所60に実装される。
【0032】
かかる実施形態において、
図6に概略的に示されているように、自律型マイクロプロセッサ62(例えばASIC、FPGA、RISC)をスマートアンテナアセンブリ26内に設けることが有用であり得る。スマートアンテナ内のマイクロプロセッサは、自律的なイベントトリガ型報告、即ち、GPSアンテナ及びチップモジュール64で受信されたGPS信号の変化などのスマートアンテナ26の動作状態の変化に応じた、且つ/又は承認されていない設備再配置を検出するための及び/若しくは位置報告pingなどの周期的な警告を(トランシーバ20の少なくとも1つを介して)提供するためのFCB25における電力若しくは入力データ信号の損失に応じた自律的なイベントトリガ型報告を支援するために十分であるべきである。かかる周期的pingは、スマートアンテナ26に搭載されたエネルギ蓄積装置66(例えば、バッテリ、ウルトラキャパシタ(ultracapacitor)など)を必要とする。
【0033】
更に、セキュアなデータを送信するコンパニオンルータ28と無関係な、オープンデータ(即ち、顧客又は一般大衆による使用)用の無線(例えばIEEE802.11)ホットスポット68をスマートアンテナ26上に設けることが望ましくなり得る。異なるチャネル上で、恐らく異なるプロバイダに送信する二重のトランシーバ20を設けることは、セキュアなデータからのオープンデータの完全な分離を可能にすることができる。
【0034】
無線ホットスポット68の概念に続き、例えば802.11準拠フレーム上で送信されるプロプライエタリ暗号化パケット方式を用いて、接続ケーブル30の代わりに無線接続部70を使用することもまた(
図6に更に示されているように)有用であり得る。次に、かかる場合に、信号延長機器24は、上記で言及された補助信号及びUSBデータパケットを多重化するためにプロプライエタリマルチバンドプロトコルを実行する無線モジュール75をFC/B25の代わりに組み込む。例えば、無線モジュールのそれぞれは、IEEE802.11に準拠しても良い。次に、更に、スマートアンテナ26は、今はない接続ケーブルを介して以前に供給された電力の代わりに、ローカル電力(図示せず)を必要とする。無線接続部70(ルータ28、
図6には図示せず)のもう一方の端部には、同様の無線モジュール75が設けられる。
【0035】
従って、無線モジュール75によって実行されるプロプライエタリ・プロトコルのセキュリティに依存して、セキュアな無線接続部70は、
図3に関連して上記で説明されたネットワークポート42及び接続ケーブル30の代わりに、使用することができる。
【0036】
本発明の例示的な実施形態を図面に関連して説明したが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲と一致する、形態及び詳細における様々な変更を理解されよう。例えば、ジャック接続及びUTPケーブル布線が、ローカルエリアネットワークには従来的であるが、ネジ端子接続又は同軸ケーブルなどの選択肢を提供することが、等しく実行可能である。