特許第6227769号(P6227769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6227769蒸気タービンとガスタービンとを所望の角度差で連結するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227769
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】蒸気タービンとガスタービンとを所望の角度差で連結するための方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 19/00 20060101AFI20171030BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20171030BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20171030BHJP
   F01K 13/02 20060101ALI20171030BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20171030BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20171030BHJP
   F16D 48/02 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   F01D19/00 J
   F01D25/00 V
   F01K23/10 B
   F01K13/02 B
   F02C7/00 A
   F02C6/00 D
   F16D48/02 640A
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-518943(P2016-518943)
(86)(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公表番号】特表2016-528415(P2016-528415A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2014061794
(87)【国際公開番号】WO2014198649
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2016年3月3日
(31)【優先権主張番号】13171947.8
(32)【優先日】2013年6月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ゲルタ・ツィマー
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−506113(JP,A)
【文献】 特開平3−153927(JP,A)
【文献】 特開2006−63975(JP,A)
【文献】 特開平10−159872(JP,A)
【文献】 特開2013−7388(JP,A)
【文献】 特開2003−13709(JP,A)
【文献】 特開2005−54583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 19/00
F01D 25/00
F01K 13/02
F01K 23/10
F02C 6/00
F02C 7/00
F16D 48/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転装置と、シャフト装置と、を連結するための方法であって、
− 前記回転装置を、前記シャフト装置の回転速度を下回る初期回転速度にまで加速するステップと;
− 前記シャフト装置と前記回転装置との間における角度差を検出するステップであって、前記角度差が、時間の経過と共に累計される、前記回転装置及び前記シャフト装置各々の累計回転角度の差である、ステップと;
− 前記回転装置を、検出された前記角度差に応じて形成される設定回転速度差と、前記初期回転速度までの加速度と、所望の目標連結角度と、から導かれる加速度値で加速するステップであって、前記設定回転速度差は、前記回転装置の回転速度と前記シャフト装置の回転速度との差であり、時間の経過と共に変化する、ステップと、
を有する方法。
【請求項2】
加速度値として、前記回転装置の前記初期回転速度までの加速が行われた値が選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期回転速度が、前記シャフト装置の回転速度を1Hz下回ることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記加速度値が、0.025Hz/sから0.075Hz/sであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記設定回転速度差から前記加速度値を設定する際に、連結の際に前記角度差が連結ねじり角度の分だけ変化することが考慮されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
シャフト装置と、回転装置と、前記シャフト装置と前記回転装置とを連結するための連結器と、を有する設備であって、
前記シャフト装置と前記回転装置との間における角度差を検出するための装置であって、前記角度差が、時間の経過と共に累計される、前記回転装置及び前記シャフト装置各々の累計回転角度の差である、装置と;
所定の加速度値で前記回転装置を加速するための装置と;
検出された前記角度差に応じて、前記シャフト装置と前記回転装置との間における設定回転速度差から加速度値を設定することによって、前記シャフト装置と前記回転装置との間の所望の目標連結角度を得ることを可能にする手段であって、前記設定回転速度差は、前記回転装置の回転速度と前記シャフト装置の回転速度との差であり、時間の経過と共に変化する、手段と、を有する設備。
【請求項7】
前記角度差の検出が、4msから20msか、又は、それより低いクロッキングで決定され得ることを特徴とする請求項6に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ガス発電と蒸気発電とを組み合わせた発電設備では、まずガスの燃焼によって、ガスタービンが駆動される。ガスタービンの廃熱によって、蒸気タービンのために蒸気が生成される。従って、ガス蒸気発電設備の稼働を開始する際は、まずガスタービンが稼働される。蒸気タービンは、十分な蒸気が供給されて初めて作動し得る。単一シャフト設備では、ガスタービンと発電機とが、1つのシャフトに沿って固定接続されている。蒸気タービンは、同じ軸に沿って配置され、連結器によって接続され得る。従って、蒸気タービンとガスタービンとの連結が必要である。
【背景技術】
【0002】
実際には、連結角度は無作為に生じる。特許文献1からは、連結角度を目標を定めて選択することが知られている。それによって、振動負荷が最小となる連結角度を選択することが可能である。大まかに言って、それによって、2つのタービンの不均衡をある程度補償することが可能になる。従って、特に不均衡が増大するように2つのタービンが連結されている場合の連結器に比べて、振動負荷の減少を実現することができる。この利点にも関わらず、この方法は利用されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1911939号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、所望の連結角度で連結するための改善された方法を提供することにある。同様に、対応する設備を発展させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に記載する本発明は、原則的に、極めて多様な回転装置を極めて多様なシャフト装置と連結するのに適しているものの、説明を明確にするために、常に蒸気タービンを回転装置の例として、ガスタービンをシャフト装置の例として選択する。これが、現在の観点からして最も重要な本発明の利用である。しかしながら、その他の利用も明らかに可能である。
【0006】
以下のステップを有する、蒸気タービンとガスタービンとを連結するための方法を記載する。まず、蒸気タービンを、ガスタービンの回転速度を下回る初期回転速度にまで加速させる。このためには、通常の手順を用いることが可能であり、蒸気の量が十分になると、蒸気タービンが始動される。その際、ガスタービンと蒸気タービンとの間における角度差を検出することが重要である。初期回転速度に達した場合、蒸気タービンの加速は、回転速度差及び角度差に応じて選択される加速度値で継続される。蒸気タービンとガスタービンとの間の回転速度差がゼロまで低下するとすぐに、蒸気タービンが連結され、蒸気タービンは同時に加速され続ける。すなわち、連結手順が開始する際、蒸気タービンの回転速度は、ガスタービンの回転速度と同じである。蒸気タービンはガスタービンに対して加速されるので、蒸気タービンの回転速度は、短期的にガスタービンの回転速度を超過する。
【0007】
所定の目標角度及び蒸気タービンの初期回転速度までの加速に応じて、実際に選択されるべき蒸気タービンの回転速度の設定値が、角度差及び回転速度差に応じて設定される。その際、初期回転速度、及び、蒸気タービンがガスタービンに対して初期回転速度から設定回転速度にまで加速される加速度値における角度差と、もたらされる連結角度、ここでは目標連結角度と、の間には固有の関係があるという認識が利用される。設定回転速度とガスタービンの回転速度との間の差は、設定回転速度差と称される。蒸気タービンの設定回転速度は、時間によって変化し、回転速度差及び角度差に応じて形成される。連結の間、蒸気タービンの回転速度は増大し、ガスタービンの回転速度をわずかに超過する。連結完了後には、ガスタービンの回転速度と蒸気タービンの回転速度とは必然的に同じである。
【0008】
初期回転速度における角度差、短縮して開始角度差(Start-Differenzwinkel)は、無作為に生じ、角度差の測定から知られるものである。その際、開始角度差は、いわゆる名目(nominal)開始角度差の周りの360°を包含する領域から計算によって選択される。名目開始角度差とは、蒸気タービンの加速を変わらず維持した場合に、目標角度を考慮して、連結まで、ガスタービンが蒸気タービンに先行するであろう角度である。これを、例を用いて説明すると、開始速度差が−1Hzであり、それまでの蒸気タービンの加速度が0.05Hz/sであり、目標値が0°である場合、名目開始角度差は3600°となる。
【0009】
目標連結角度は、通常は、連結されたガスタービン及び蒸気タービンの振動負荷の最小化が実現するように選択される。その際、好ましくは接近されるべき目標連結角度は、振動負荷の測定と、計算に基づく判断と、によって規定される。通常の場合、両方の組み合わせが用いられる。
【0010】
初期回転速度差を選択する際、及び、加速度値を選択する際には、限られてはいるものの、自由度が存在する。加速度値を選択する際には、十分な蒸気が利用可能であり、不安定性等が存在しないことが考慮される必要がある。
【0011】
初期回転速度差が約0.5Hzから約1Hzであると有利であることがわかっている。このとき、蒸気タービンの回転速度は、ガスタービンの回転速度よりも小さい。
【0012】
特許文献1において用いられている方法に対する、当該方法の実質的な利点は、保持回転速度(Haltedrehzahl)において、加速プロセスを中断する必要がないことにある。それによって、迅速に連結することが可能であり、同時に、所望の目標連結角度を得ることができる。
【0013】
蒸気タービンが初期回転速度から、蒸気タービンの速度がガスタービンの速度に達した回転速度まで加速する間、蒸気タービンは、目標角度に関して、複数回の完全な回転分だけ、ガスタービンに先行することに留意されたい。角度差の変化に関して、蒸気タービンが先行している分の完全な回転の数は、明らかに重要ではない。この完全な回転の数の変化は、さらなる自由度を与えるので、所望の目標連結角度に達するために、所定の加速度において、様々な初期回転速度差が可能であるか、又は、所定の初期回転速度差において、様々な加速度値が考慮対象となる。
【0014】
一実施形態において、所望の初期回転速度差は、所望の加速度値を設定回転速度差から設定する際に、蒸気タービンの初期回転速度への加速が行われる値が選択されるように、回転速度差領域から選択される。それによって、目標角度に達するために、加速度値を変更する必要が極力小さくなるか、理想的な場合には、変更する必要が全くなくなるということが実現し得る。
【0015】
一実施形態では、初期回転速度が、ガスタービンの回転速度を約1Hz、好ましくは約0.5Hzから約1.5Hz、特に好ましくは約0.5Hz及び約1.1Hz下回ることが規定されている。これらの値は、適切であることが明らかになっている。
【0016】
別の一実施形態では、加速度値が約0.025Hz/sから約0.075Hz/s、好ましくは約0.05Hz/sであることが規定されている。
【0017】
通常の場合、連結の際に、角度差が、連結ねじり角度の分だけ変化することを考慮すべきである。これは、通常の場合、蒸気タービンがまず設定回転速度、すなわちガスタービンの回転速度よりもわずかに上の回転速度に加速されることによるものである。この追い越し手順に続いて、連結スリーブに回し入れることによって、連結ねじり角度分の逆回転が生じ得る。連結ねじり角度の考慮によって、最終的に、振動負荷をさらに最適化することができる。
【0018】
本発明は、ガスタービン及び蒸気タービンと、ガスタービン及び蒸気タービンを連結するための連結器と、を有する、対応する設備にも関するものである。当該設備は、ガスタービンと蒸気タービンとの間における角度差を検出するための装置を有している。さらに、蒸気タービンを所定の加速度値で加速するための装置が存在している。さらに、検出された角度差に応じて、蒸気タービンを加速する際の加速度値と、連結手順が開始する際のガスタービンと蒸気タービンとの間における設定回転速度差と、を調整することによって、ガスタービンと蒸気タービンとの間の所望の目標連結角度を得ることを可能にする手段が設けられている。
【0019】
当該設備は、上述した方法を実施するのに適している。当該設備の態様によって、当該方法の様々な実施形態が実現され得る。
【0020】
ここで、記載しておくべきことに、せいぜい、蒸気タービンを駆動するための蒸気を供給する廃熱蒸気生成装置を有する、公知のガスタービン設備の、わずかながらの構造上の変更が必要である。従って、常に蒸気タービンを加速するための手段が存在している。具体的には、当該手段は特に、蒸気を蒸気タービンに誘導すべき弁と、関連する弁の作動部と、である。また、タービンの位相角度を決定することも一般的である。それゆえ、対応する測定装置が通常は存在している。とはいえ、位相角度は、従来の設備では、十分に速くは検出できないことがしばしばであった。従って、相対角度を十分迅速に検出し、検出された値を制御装置に提供するためには、追加装備が必要であろう。そのためには、約4msから約20msのクロッキング(Taktung)が通常は有利である。加えて、一般的には、先行技術と比較して修正すべきなのは、制御装置のみである。
【0021】
以下に、本発明を図面を用いて詳細に説明する。示されているのは以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】1Hzの初期回転速度差及びゼロの初期角度差を開始点とする、様々な相対加速度における、様々な連結角度の関係を示す図である。
図2】1Hzの初期回転速度差及び−3600°の初期角度差を開始点とする、角度差に応じた設定回転速度差を示す図である。
図3】ガスタービン及び蒸気タービンの回転速度の推移を例示的に示す図である。
図4】連結の際の角度差の推移及び連結ねじり角度を示す図である。
図5】所望の角度差での連結の原理を示す図である。
図6】所望の角度差での連結の原理を示す図である。
図7】所望の角度差での連結の原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、様々な一定の加速度値に関して、蒸気タービンの加速中の角度差が、回転速度差それぞれに応じて示されている。X軸には、ガスタービンと蒸気タービンとの間の回転速度差がHzで示されている。Y軸には、角度差が度で示されており、360°の整数の倍数も加えられている。
【0024】
最も上にある破線で示された曲線は、加速度値が0.025Hz/sの場合の関係を示しており、中間の一点鎖線で示された曲線は、加速度値が0.05Hz/sの場合の関係を示しており、下の実線は、加速度値が0.075Hz/sの場合の関係を示している。ここでは、中間の一点鎖線を用いて詳細に説明されるよう意図される。
【0025】
始点とされるのは、曲線の左下端の点である。ガスタービンと蒸気タービンとの間の角度差はゼロであり、回転速度差は−1Hzである。すなわち、ガスタービンは、蒸気タービンを1Hz上回って回転している。当該点において、すなわち蒸気タービンの初期回転速度差において、連結角度の目標を定めたアプローチが開始することになる。
【0026】
蒸気タービンは、ガスタービンに対して、一定のままである加速度0.05Hz/sで、両方のタービンが同じ回転速度になるまで加速される。そのときまでより速いガスタービンは、蒸気タービンが同じ速度を有する時点までに、蒸気タービンよりも3600°大きい角度を通過している(ueberstreichen)。すなわち、前記ガスタービンは、当該期間に、蒸気タービンよりも10回転多く回転している。ここには時間軸は示されていないことを指摘しておく。曲線から、ガスタービンと蒸気タービンとの間の角度差の変化は、速度が近づくにつれて、すなわち回転速度差が小さくなるにつれて、減少していることが確認できる。さらに、様々な曲線から、連結の開始までに通過された(ueberfahren)角度は、加速度が小さいほど大きくなることが分かる。当該効果は、基本的に、選択された目標連結角度に近づくために用いられる。
【0027】
異なる加速度値及び異なる開始角度差において、量に関しては異なる関係が適用されるが、にもかかわらず考察は類似している。例えば、開始角度差が−3600°で、相対加速度が0.05Hzである場合、連結開始のための目標連結角度は0°であろう。
【0028】
図2は、図1の逆の描写であり、加速度値が0.05Hz/sである曲線のみが示されている。ここでは、図1と比較して、0°の目標連結角度に名目上到達するために、開始角度差が−3600°に設定されている。X軸には、角度差が度で示されており、360°の整数の倍数も加えられている。Y軸には、ガスタービンと蒸気タービンとの間の回転速度差がHzで示されている。
【0029】
図2は、相対加速度が0.05Hz/sで一定である場合に、回転速度差がどのように角度差に依存するのかを示している。その際、ガスタービンと蒸気タービンとが一致する周波数において、角度差は0°であると仮定される。選択された0.05Hz/sの加速度に関して、図2は、中央の設定値曲線を表している。従って、例えば、ガスタービンと蒸気タービンとの間の速度差は、角度差が900°の場合、−0.5Hzになるはずである。すなわち、角度差が900°の場合、蒸気タービンはまだ、ガスタービンよりも0.5Hz遅い。理想的な場合、図2は、通過された角度と、蒸気タービン及びガスタービンの間における回転速度差と、の間の関係を描写している。
【0030】
現実の設備において、測定された角度差が−900°であって、速度差が大きくなる場合、一定の加速度0.05Hz/sにおいて、目標角度0°には到達せず、より大きい目標角度に到達する。この場合、蒸気タービンは遅すぎるので、より加速されねばならない。
【0031】
逆に、現実の設備において、測定された角度差が−900°であって、速度差が小さくなる場合、一定の加速度0.05Hz/sにおいて、目標角度0°には到達せず、より小さい目標角度に到達する。この場合、蒸気タービンは速すぎるので、速度を落とさなければならない。
【0032】
連結手順自体は、図3に示されている。X軸には時間が秒で、Y軸には回転速度が示されている。蒸気タービンは最初はガスタービンよりも遅いが、ガスタービンに対して加速される。点線が示すように、ガスタービンの回転速度は、50Hzにおいて一定である。蒸気タービンの速度は実線で描かれている。蒸気タービンの速度がガスタービンの速度と同じになる時点で、連結手順が開始する。すなわち、連結器の挿入(einruecken)が開始する。蒸気タービンはまずはさらに加速され、プロセス中にガスタービンを追い越し、連結器の停止部に衝突する。この位置において、速度が落とされる。その後、2つのタービンシャフトは同じ回転速度で回転する。
【0033】
連結が角度差に与える影響は、図4から明らかである。X軸にはやはり時間が秒で示されており、Y軸には回転角度差が度で示されている。破線は、角度差の設定値を示しており、ここでは0°である。実線の、当初は下側に走っている線は、実際の角度差の時間的推移を示している。始めは、蒸気タービンの回転角度は、ガスタービンの回転角度よりも250°小さい。この回転角度差は、まず、差が0°になるまで急速に減少する。その後、回転角度差は再び増大し、当該例の場合、約20°増大する。これは、連結スリーブに回し入れる際に、蒸気タービンの連結ねじり角度分の逆回転が生じることによる。連結ねじり角度の推移は、点線から認識される。
【0034】
すなわち、連結の際の所望の目標連結角度を選択する際には、連結中の、回転角度差が連結ねじり角度分だけ変化することを考慮することが重要である。
【0035】
図5図6及び図7は、上述した方法を実施するための閉ループ制御を概略的に示している。
【0036】
図5は、蒸気タービンの始動のプロセス全体の概略を示している。所定の速度差(ここでは1Hzが選択された)までは、蒸気タービンは、通常通り、所定の傾斜(Rampe)によって加速される。1Hzの速度差、すなわち初期回転速度において、目標角度を制御した連結への切り替えが行われる。そのために、現在の角度差が、0°から360°の範囲で検出され、且つ角度の範囲であって、ガスタービンが、蒸気タービンのそれまでの加速を維持する際に、連結が開始するまでに通過するであろう、角度の範囲の分だけ減少される。これは、例を用いると明瞭になるであろう:ガスタービンと蒸気タービンとの間の回転速度差が1Hzであり、蒸気タービンは0.05Hz/sで加速される。ガスタービンと蒸気タービンとが同じ速度を有する時点までには、20秒が経過する。プロセス中に通過した角度差は3600°になる。
【0037】
図6は、目標連結角度の実際の閉ループ制御を説明している。蒸気タービンのねじり角度とガスタービンのねじり角度との間の差、すなわち角度差は、特性線を用いて、蒸気タービンとガスタービンとの間の設定回転速度差に変換される。すなわち、蒸気タービンの設定回転速度は、ガスタービンの回転速度及び角度差に応じて決定される。その際、ファクタ(Faktor)「K」は、この設定回転速度差をさらに増大させる付加的な可能性を与える。その際、ファクタ「K」は、システム偏差のフィードバックファクタ(Rueckfuehrfaktor)であり、すなわち実際値の設定値からのずれである。従って、これはP制御装置である。P制御装置は、結果として生じる制御ループ全体の特性を考慮して、個々に分析され、設定されるべきである。標準規定(Standardvorgabe)では、K=1である。ガスタービンの回転速度を加えることによって、蒸気タービンの設定回転速度が生じる。
【0038】
「調整可能なオフセット」を用いることによって、計算上の規定全体を、目標角度ゼロになるように設計することを可能にする。ゼロから逸脱する所望の目標角度は、当該オフセットを通じて、ΔφとΔn設定値との間の関係について標準曲線が利用できるようにずらされる。このアプローチによって、所望の目標角度を0°にするという考えを制限することが可能になる。
【0039】
図7には、開始角度φの影響及び選択が図示されている。実際の計測は、まず、0°から360°の範囲から所定値を提供する。これについて、以下に詳細に説明する。
【0040】
ガスタービンに対して蒸気タービンを一定の加速度kHz/sで加速する際、初期回転速度差Δωを克服するためには、時間t=Δω/kが必要である。この時間内に、システムは、(Δω/(2k)の完全な回転に相当する、相対的な角度差を通過している。つまり、開始回転速度差Δωにおける角度差が無作為に−360°(Δω/(2k)であった場合、一定の加速度kは、目標角度0°を目指すのに適しているであろう。開始角度差が異なる場合はいずれも、目標角度の0°に到達するために、加速度を変更しなければならない。開始角度が、−360°(Δω/(2k)+測定された角度に設定される場合、これは、タービンが、加速度kに対して、初期回転速度まで、いくらか増大した加速度で加速されなければならないということを意味している。目標連結角度への制御されたアプローチの間、加速度をわずかに増大させることは、加速度をわずかに減少させることよりも有利であることがわかっている。開始回転速度差における角度差を上述のように設定するために選択されたアプローチは、常に加速度をわずかに増大させることを可能にする。数を用いて例示する:蒸気タービンは、90°遅れるのではなく、270°先行しなければならないと仮定した方が良い。
【0041】
本発明を詳細に、好ましい実施例を用いて図示及び説明してきたが、本発明は、開示された例に限定されるものではなく、当業者は、本発明の保護範囲を離れることなく、当該例からその他の変型例を導き出すことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7