特許第6227770号(P6227770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227770
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】駆動アームを動かす装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/06 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   H02K7/06 Z
【請求項の数】21
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-519622(P2016-519622)
(86)(22)【出願日】2014年6月11日
(65)【公表番号】特表2016-521961(P2016-521961A)
(43)【公表日】2016年7月25日
(86)【国際出願番号】US2014041966
(87)【国際公開番号】WO2014201153
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2016年3月1日
(31)【優先権主張番号】61/833,587
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/833,599
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/833,592
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/088,176
(32)【優先日】2013年11月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン,エリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブレスト,マイケル エル.
(72)【発明者】
【氏名】サナダ,ウォレス エイチ.
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−140454(JP,A)
【文献】 実開昭59−173461(JP,U)
【文献】 特開平02−027224(JP,A)
【文献】 特開2002−162666(JP,A)
【文献】 特表2011−523992(JP,A)
【文献】 特開2003−056434(JP,A)
【文献】 特開2001−281724(JP,A)
【文献】 特開昭57−116326(JP,A)
【文献】 特開2002−054903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00−7/20
H02K 33/00−33/18
G03B 9/10
G03B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター部材を回転可能に駆動するように構成される回転作動モーター;
前記モーター部材に結合され、前記モーター部材の回転により第1位置及び第2位置の間で応答可能に運動するように構成される駆動アーム;及び
記駆動アームにより動かされるように構成される作動部材であって、前記第1位置及び前記第2位置の双方において前記駆動アームから熱的に分離される、作動部材
を有する装置。
【請求項2】
前記駆動アームは、前記第1位置及び前記第2位置の間で前記作動部材に系合して進行させ、前記作動部材の動きをもたらし、前記第1位置及び前記第2位置の双方においては前記作動部材から物理的に離間されたままであるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記駆動アームはリセス部を有し、前記作動部材の少なくとも一部分は、前記リセス部の中に存在し、前記第1位置及び前記第2位置の双方において前記駆動アームから熱的に分離されたままであるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記作動部材はピンを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記駆動アームが前記第1位置及び前記第2位置の間で動かされる場合に、前記駆動アームは前記作動部材の直線的な運動をもたらすように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記駆動アームは、前記第1位置及び前記第2位置の間で回転するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記リセス部は開口を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記開口は伸長されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1位置及び前記第2位置を設定するように構成される少なくとも1つの制限部材を更に有する請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの制限部材に結合され、前記第1位置及び前記第2位置の間で前記駆動アームの運動経路長を選択的に設定するように構成される調整部材を更に有する請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記駆動アームが前記モーター部材に関してバランスがとれている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1位置及び前記第2位置の各々において前記駆動アームを固定するように構成される少なくとも1つの固定メカニズムを更に有する請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの固定メカニズムは少なくとも1つの磁石を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記駆動アームの実際の位置を検出するように構成される一対のセンサを更に有する請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記作動部材に応答可能に結合され、前記駆動アームから熱的に分離されるシャッターを更に有する請求項1に記載の装置。
【請求項16】
モーター部材を回転可能に駆動するように構成される回転作動モーター;
前記モーター部材に結合され、前記モーター部材の回転により第1位置及び第2位置の間で応答可能に運動するように構成される駆動アーム;
記駆動アームにより動かされるように構成される作動部材であって、前記第1位置及び前記第2位置の双方において前記駆動アームから熱的に分離される、作動部材及び
作動部材に応答可能に結合され前記駆動アームが前記第1位置にある場合には或る位置、及び、前記駆動アームが前記第2位置にある場合には別の位置にあるように構成され、前記駆動アームから熱的に分離されるシャッター;
を有する装置。
【請求項17】
前記駆動アームは、前記第1位置及び前記第2位置の間で前記作動部材に系合して進行させ、前記作動部材の動きをもたらし、前記第1位置及び前記第2位置においては前記作動部材から物理的に離間されたままであるように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記駆動アームはリセス部を有し、前記作動部材の少なくとも一部分は、前記リセス部の中に存在し、前記第1位置及び前記第2位置の双方において前記駆動アームから熱的に分離されたままであるように構成される請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記駆動アームは、前記第1位置及び前記第2位置の間で回転するように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記第1位置及び前記第2位置を設定するように構成される少なくとも1つの制限部材と、前記第1位置及び前記第2位置の各々において前記駆動アームを固定するように構成される少なくとも1つの固定メカニズムとを更に有する請求項16に記載の装置。
【請求項21】
回転作動モーターを利用してモーター部材を回転駆動させるステップ;
前記モーター部材を利用して、第1位置及び第2位置の間で駆動アームを動かすステップ;
前記駆動アームを利用して、作動部材を動かすステップ;及び
前記第1位置及び前記第2位置の双方において、前記作動部材を前記駆動アームから熱的に分離するステップ;
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に駆動メカニズムに関連し、特に、熱に敏感なデバイス(例えば、IRイメージングシャッターを含むが、これに限定されない)に使用される駆動アームを動かす装置及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータを含む駆動メカニズムは、従来、システムの1つ以上の部材の選択的な位置を制御するために使用される。システム設計条件は、アプリケーションに相応しい具体的な設計を決定付け、しばしばそれを制限する。状況によっては、制御及び/又は操作されるシステム部材は、可動シャッターを有する赤外線(IR)画像システムのように非常に熱に敏感であり、赤外線画像システムは低い温度で動作する真赤外線デュワー環境(true IR Dewar environment)で動作するものを含む。従来の駆動メカニズムはそのような熱に敏感なシステムには適しておらず、そのような場所では、ストレス、結合(binding)、摩耗(wear)及びシステムの食い違った動作を最小化又は回避するために、駆動するアクチュエータと駆動されるデバイスとの間に熱障壁が維持される必要がある。他の従来の駆動メカニズムは、信頼性に欠ける一貫していない駆動経路を有し、設計トレランスの範囲内で適合又は安定することが困難である。熱に敏感なシステムで信頼性高く動作し得る駆動メカニズムが望まれている。
[発明の概要]
従来技術の上記の欠点の1つ以上に対処するため、本開示で説明される一形態は、熱に敏感なシステムにおいて信頼性高く動作することが可能な熱的に分離されたアクチュエータを含む駆動メカニズムを有する。回転作動モーターを含む駆動メカニズムは、第1位置及び第2位置の間で駆動アームを回転可能に駆動するように構成され、アクチュエータはアームの動きに応答する。アクチュエータは、第1位置及び第2位置の双方において動作する部材から熱的に分離され、熱障壁を形成する。駆動アームは、第1位置及び第2位置においてはアクチュエータから物理的に分離されたままにする一方、第1位置及び第2位置の間ではアクチュエータに系合して前進させるように構成される。駆動アームは開口のようなリセス部を含み、アクチュエータは、リセス部の中に存在し、第1位置及び第2位置の双方においてアームから熱的に分離されたままであるように構成される部材を有する。駆動アーム及びアクチュエータの間の隙間(スペース)は、駆動アームが、動作の際にアクチュエータに係合する前に運動量を増進することを可能にし、作動メカニズムを、エネルギのトルク転送から運動量転送へ変換する。この追加的な運動量は、固定部材の磁性戻り止め力を克服することを支援し、存在し得る何らかの摩擦を克服することも支援する。このスペースは、必要な力マージンを大幅に増やし、比較的多くの遊び量を有するさほど精密でないソレノイドモーターの利用を許容する。好ましい一形態において、IRイメージング装置のシャッターは、アクチュエータに応答して位置付けられ、シャッターはモーター及びアームから熱的に分離されたままである。スイッチのような他の装置も駆動され得る。具体的な利点が上記に列挙されているが、様々な実施形態は列挙された利点のうちの全部又は一部を含んでもよく、全く含まなくてもよい。更に、他の技術的利点は、以下の説明及び図面を参照した当業者にとって十分に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本開示及びその利点の更なる理解を促すため、添付図面に関連してなされる以下の詳細な説明が参照される。図中、同様な参照番号は同様な部分を表す。
【0004】
図1図1は、シャッターとシャッターを位置決めするように構成される熱分離駆動システムとを含む本開示の一形態によるサーマルイメージングデバイスを示す。
【0005】
図2図2はシャッターが取り外された図1の熱分離駆動システムを示す。
【0006】
図3図3は1つの駆動メカニズムの斜視図を示す。
【0007】
図4図4は駆動システムの部分分解図を示し、シャッタースライダ部材の駆動ピン及びローラーを受ける開口として構成される細長い陥凹部(elongated recess)を有する駆動アームを示す。
【0008】
図5図5は、シャッタースライダ部材が対応する第1位置にある場合において第1の「フルオープン」位置にある駆動アームを示す。
【0009】
図6図6は、シャッタースライダ部材が対応する第2位置にある場合において第2の「フルクローズ」位置にある駆動アームを示す。
【0010】
図7図7は、第1及び第2位置におけるスライダーピン及びローラーを受ける(ただし、物理的及び熱的に分離されている)アーム及び細長い開口の平面図を示す。
【0011】
図8図8は、スライダーピン及びローラーからのアームの非対称なクリアランスを示す第1位置のアームの平面図を示し、アームはこのクリアランスに匹敵するアクチュエータの半径方向の遊びを含む。
【0012】
図9図9は、アームを含む駆動クランクの斜視図を示す。
【0013】
図10図10は、駆動アセンブリを制御するように構成されるコントローラ回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例が以下に説明されるが、本発明は、現在知られているか否かによらず任意の様々な技術を用いて実現されてよいことが、先ず理解されるべきである。本発明は、例示的な手段、図面、及び、以下に説明される技術に決して限定されるべきでない。更に、図面は必ずしも寸法を描いているわけではない。
【0015】
図1は、IRサーマルイメージングシャッター装置10の上方斜視図であり、装置10は、16A及び16Bにより全体的に示される一対の駆動メカニズムにより駆動されるように構成されるスライディング開口ブレード14及びシャッタープレート12を有するシャッターメカニズムを含む。各々の駆動メカニズム16A及び16Bは、バランスがとれた回転可能な駆動クランク22に結合されてそれを駆動する回転可能なアクチュエータピン20を有する回転モーター18(図3)を有する。各々の駆動クランク22は、半径方向に長く伸びるアーム24(図2)を有し、間もなく説明されるように、図5及び図6に示されるような第1の「フルオープン」位置及び第2の「フルクローズ」位置の間でアーム24を選択的に回転させるように構成される。各々のアーム24は図2に示されるように凹部(リセス)26を有する遠方端を有し、凹部26は、好ましくは、図示されるような好適な実施形態では引き延ばされた開口を有する。凹部26は、必要ならばスロット又はその他の開放端構造を有することが可能であり、開口に対する限定は考えるべきではない。各々のアームの凹部26は、各自の作動可能な部材30とその周りに回転可能に配置されるローター34(図4)とを受け入れるように(ただし、離間して受けるように)構成される。各々の部材30は、好ましくは、図4に示されるような開口ブレード14の各自の一方端に堅固に結合されるシャッターピンを有する。各々の部材30は、各自のスライド可能な磁性戻り止めラッチ32に堅固に固定され、そちら側に向かって下方に伸び、各々の戻り止めラッチ32は、フレーム36内で規定される各自の蟻継ぎスロット(dovetail slot)35(図2)内で堅固にかつ滑動可能に受け入れられる。各々の戻り止めラッチ32は、好ましくは、フレーム36内の対応する蟻継ぎスロット35の内側で、マニュアルで調整される場合に各自のシャッターピン30及びローラー34に沿って、直線的にスライドするように構成される蟻継ぎプラグにより構成され、蟻継ぎスロット35内でプラグ37を上方に押圧する設定ネジ37によって、最終的な所望の位置に配置される場合にその位置にロックされ、アクセス可能な固定特性を提供する一方、最小の追加的な線形運動をもたらす。アーム24が回転する場合に、各自の開口26は、各自のシャッターピン30を包囲する各自のローター34にかみ合い、第1フルオープンポジション及び第2クローズドポジションの間で開口ブレード14を直線的に動かし、この場合において、ローター34は、遷移の最中に開口26の中で回転し、遷移の終了の際にそこから離間される。
【0016】
図2は、シャッタープレート12及び開口ブレード14が取り外された装置10を示し、開口26を有する個々のアーム24と、シャッターピン30が無い状態の磁性戻り止めラッチ32と、アームの最終的な位置を示す一対の近接センサ40(図3)(好ましくは、ホール効果センサにより形成される)とを含む駆動機構16A及び16Bを示す。各々の駆動クランク22は近接指示アーム42を有し、近接指示アーム42は、その遠方端に配置される磁石44を含み、アーム24の位置に応じて、何れかの近接センサ40の上方に選択的に伸びる。アーム24が図5に示されるように第1フルオープンポジションにある場合、第1近接センサ40は、駆動クランク22がオープンポジションの位置にあることを示し、アーム24が図6に示されるように第2フルクローズドポジションにある場合、第2近接センサ40は、駆動クランク22がクローズドポジションの位置にあることを示す。アクチュエータ18に対して及び磁性戻り止めラッチ32において内的に生じる磁性コギングは、ストップ部50及び52の設定ネジ54に対してアーム42及び46を強制し、運動の終わりに如何なる遊びも防止する。
【0017】
図3は、アーム24が第1及び第2ポジションの間に位置する場合の一方の駆動機構16の斜視図を示し、例えば24度の範囲内のようなアームの運動経路を示すが、この経路に対する限定は考えられるべきでない。
【0018】
図4は、駆動メカニズムの位置に応じて配置されるように構成される開口ブレード14の一方端と1つの駆動メカニズム16の分解図を示す。シャッターピン30は、端部スロット26に沿ってスライドすることを防止するローラー34を捕らえる円柱状ポストにより構成され、下方の磁石は、シャッターピン30の近辺で、戻り止め磁性ラッチ32のアームに接触せずに近接する場合に、戻り止めの引力を提供する。
【0019】
各々のクランク22は半径方向に伸びるアーム46を更に有し、各々のアーム42及び46は、図5及び6並びに図9に示されるように、長く伸びるアーム24よりも短い。各々のアーム24、42及び46は、駆動クランク22の中心に対して釣り合っており(バランスが保たれており)、個々のアクチュエータピン20に結合される場合に、駆動クランク22の重心が釣り合うようにする。これは、非常に大きな衝撃条件に対してシステム10を非常に鈍感にする。各々のアーム42及び46は、ストップ部材50及び52を有する進行停止制限部を有し、ストップ部材50及び52の各々は、調整可能な進行制限設定ネジ54を含む。ストップ部材制限ネジ54は、正確な進行経路及びアーム24の限界を設定し、ひいては開口ブレード14の正確な抑止位置を設定する。更に、近接センサ40は、駆動クランク22そしてひいてはアーム24及び開口ブレード14が、2つのポジションの内の何れにあるかを示す。
【0020】
開口ブレード14がフルオープンポジションにある場合、駆動メカニズム16Aのアーム24はフルオープンポジションにあり、駆動メカニズム16Aのシャッターピン30は、図5に示されるように、シャッタープレート12の一方端に規定されるスロット60の遠方端に位置付けられる。これに対応して、駆動メカニズム16Bのアーム24はフルオープンポジションにあり、駆動メカニズム16Bのシャッターピン30は、シャッタープレート12の反対側の端部に規定される反対側のスロット60の中で外方に進められる。開口ブレード14がクローズドポジションにある場合、図1及び図6に見受けられるように逆の事柄が成り立つ。
【0021】
有利なことに、図7及び図8に示されるように、第1ポジション及び第2ポジションにある場合に、双方のポジションにおける部材間に形成されるスペース(隙間)(spacing)に起因して、各々のシャッターピン30及び対応するローラー34は個々のアーム24から物理的かつ熱的に分離されたままであり、熱障壁(サーマルアイソレーションとも言及される)を形成する。アーム24は、一方のポジションから他方への開口ブレード14の運動/作用の間の非常に短い時間期間の間に、シャッターピン30の周りに配置されるローラー34に関わり合うのみである。従って、フルオープン又はフルクローズドポジションにある場合に、駆動メカニズム16A及び16B並びにそれらの全てのパーツは開口ブレード14から熱的に分離される。シャッタープレート12及び開口ブレード14を含むシャッターメカニズムは、好ましくは、真赤外デュワー低温環境(true IR Dewar cryogenic environment)を有する真空内で構成される。
【0022】
更に、ローラー34からのアーム24の隙間は、各自の第1静止位置又は第2静止位置から加速するための時間を、モーター18及び個々のアーム24に提供し、そのような時間の提供は、有利なことに、個々のローラー34に系合して駆動する前にアーム24に運動量(又は推進力)を築き上げ、作動する仕組みを、エネルギのトルク転送からモーメント転送に変換する。この追加的な運動量は、シャッターピン30に対して作用し、停止ポスト50又は52に対してアーム42又は46を保持する磁気的な戻り止めラッチ32の磁気的な戻り止め力を克服することを支援する。回転の最中にローラー34に関与するアーム24の衝撃(impact)は、存在し得る何らかの摩擦力(stiction)を克服することを支援する。この隙間(スペース)は、必要な力マージンを25%ないし900%増やす。隙間は、比較的多くの量の遊びを有し従ってアーム24を直接的に駆動するには比較的相応しくない高精度でないソレノイドモーター18を、利用することを許容する。各々のアーム開口26は個々のシャッターピン30及びローラー34に関してルーズな(緩い)適合性を提供し、モーターのルーズな遊びがシャッター開口の動作を損なわないようにする。逆に、アーム開口26のルーズなトレランス(許容耐性)は、不慮のリバウンドによるリスクを緩和する。開口ブレード14は、保持アーム42又は46が各自のストップ部に接触する前に係合する内的なストップ部を有する。シャッターピン30は端部スロット26の中で堅固には系合されないので、開口ブレードは、アーム42又は46が停止設定ネジ54に接触して跳ね返る前に、跳ね返る(リバウンドする)ことが可能である。アームは開口ブレードよりも非常に大きな慣性を有しそれに応じてゆっくりと跳ね返る事実により、更なるマージンが提供される。18内のアクチュエータベアリングによる高いレベルの減衰は、アームのリバウンドの大きさを縮小する。これらの特徴は、リバウンドするアーム24がシャッターピン30及びローラー34に衝突して反対方向に進行してしまう状況を防ぐ。そのような衝突は、アームの非常に大きな慣性に起因して、シャッターピン30に非常に大きな力を及ぼす可能性がある。
【0023】
図8に示されるように、個々のローラー34とアーム開口26との間のクリアランス(隙間)は僅かに非対称であるが、必要であれば対称的であってもよい。好ましい一実施形態では、デッドゾーンと言及されてもよい約1.4度のクリアランスが存在し、これは約.011インチのクリアランスと等価であるが、この角度間隔又はクリアランスに関する限定は考えられるべきでない。ネジ54により設定されるアーム進行制限設定ストップ部は、好ましくは、デッドゾーンの1/5(約.28度)の範囲内で戻り止めがなされるように設定される。
【0024】
好ましい一実施形態では、一貫した信頼性及び調整可能なストロークを提供するように、モーター18として回転ソレノイドが使用され、これは例えばコネチカット州リッジフィールドのブランドストームインスツルメンツ(Brandstrom Instruments)により製造されるようなものである。固定モーター搭載式のストップ制限部材50及び52において進行制限ネジ54を用いる駆動クランク22の微調整機能は、そのストロークを設定する。この設計は、機能的には許容可能であるが本質的に信頼性に欠けるピエゾ駆動モーターよりも、優れている。代替的な回転モーターは、DCステッパモーターを有することが可能であるが、特定の回転モーターに限定することは考えられるべきでない。本発明は、モーターが過剰に動いて駆動部分に過度の負担をかけるおそれがあるリンク及びモーターを上回る利点を有する。
【0025】
図9は、4つの均衡したアームを含む駆動クランク22の斜視図を示す。
【0026】
図10は、各々のモーター18を選択的に駆動し、アーム24の位置を制御し、従って、第1及び第2ポジションの間で開口ブレード14を駆動するように構成される制御回路60を示す。制御回路は、駆動メカニズム16A及び16Bのモーター18とのインタフェースをなす駆動エレクトロニクス64を制御するように構成されるプロセッサを有するコントローラ62を含む。
【0027】
本発明の範囲から逸脱することなく、本願に記述されるシステム、装置及び方法に対して、変形、追加又は省略がなされてよい。システム及び装置のコンポーネントは統合されてもよいし、或いは、分離されてもよい。更に、システム及び装置の動作は、より多い、より少ない又は他のコンポーネントにより実行されてもよい。本方法は、より多い、より少ない又は他のステップを含んでもよい。更に、ステップは適切な任意の順序で実行されてよい。この文書で使用されるように、「各々」は、ある集合のメンバの各々、又は、ある集合の部分集合のメンバの各々を指す。
【0028】
添付の特許請求の範囲を解釈する際に本願により生じる任意の特許についての任意の読者及び特許庁の理解を促す観点から言及すると、「〜する手段(means for)」又は「〜するステップ(step for)」という言葉が特定の請求項で明示的に使用されない限り、本願の出願日に存在するものに関し、任意の請求項又は請求項の要素に35U.S.C.セクション112のパラグラフ6を係わらせるように出願人は意図してはいない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10