(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227802
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】液体冷却式の熱電素子
(51)【国際特許分類】
B60H 1/32 20060101AFI20171030BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20171030BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20171030BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
B60H1/32 621G
B60H1/00 101A
B60H1/00 102V
B60N2/56
A47C7/74 C
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-562010(P2016-562010)
(86)(22)【出願日】2015年5月1日
(65)【公表番号】特表2017-518912(P2017-518912A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】US2015028764
(87)【国際公開番号】WO2015171453
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2016年12月9日
(31)【優先権主張番号】61/989,063
(32)【優先日】2014年5月6日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511014862
【氏名又は名称】ジェンサーム インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Gentherm Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】スコット ウォーラス
【審査官】
田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−000922(JP,A)
【文献】
特開2006−137405(JP,A)
【文献】
特開2002−125801(JP,A)
【文献】
特開2011−063257(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0061400(US,A1)
【文献】
米国特許第06119463(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/32
A47C 7/74
B60H 1/00
B60N 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型の廃熱冷却回路を有する温度調整モジュール(6)であって、
少なくとも1つの空気入口(12)ならびに第1および第2の離間した空気出口(16、20)を有する、ハウジング(10)であって、前記第1および第2の離間した空気出口は、それぞれの第1および第2の独立の空気通路の終端部分を画定する、ハウジング(10)と、
前記ハウジング内で回転するように支持される1つまたは複数のモータ駆動インペラ(40)であって、前記少なくとも1つの空気入口ならびに前記第1および前記第2の空気通路(14、18)のうちの一方または両方と流体連通状態にある、1つまたは複数のモータ駆動インペラ(40)と、
前記ハウジング内に配置される1つまたは複数の流体再循環ポンプと、
前記ハウジングの前記第1の通路内で前記1つまたは複数のモータ駆動インペラと前記第1の空気出口との間に配置される、1つまたは複数の熱電素子(80)であって、第1の主要側および第2の廃棄側を有し、電源を印加すると前記第1の主要側と前記第2の廃棄側との間に温度勾配を発生させるように適合される、少なくとも1つの熱電素子(80)と、
前記ハウジングの前記第2の通路内で前記少なくとも1つのモータ駆動インペラと前記第2の空気出口との間に配置される、1つまたは複数の熱交換器(54)と、
(i)前記ハウジング内に全体が収容されるか、(ii)前記ハウジングの一部を形成するか、または(i)および(ii)の両方である、流体循環回路(50)であって、前記流体循環回路は、前記1つまたは複数の流体再循環ポンプと流体連通状態にあり、前記1つまたは複数の流体再循環ポンプは、流体を、
a)前記1つまたは複数の熱電素子の前記第2の廃棄側と熱連通状態にあり、そうすることで、前記1つまたは複数の熱電素子の前記第2の廃棄側によって供給される廃熱の少なくとも一部分を吸収する、1つまたは複数の廃熱用伝達プレート、および
b)前記1つまたは複数の廃熱用伝達プレートの下流に配置される、1つまたは複数の熱交換用熱伝達プレートであって、前記1つまたは複数の熱交換用熱伝達プレートは、後続の再循環のために前記1つまたは複数の流体再循環ポンプに前記流体を戻す前に、前記1つまたは複数の熱交換用熱伝達プレートから前記熱交換器に前記廃熱の少なくとも前記一部分を放出するように、前記1つまたは複数の熱交換器と接触状態にあり、前記流体は液体である、1つまたは複数の熱交換用熱伝達プレート
を通して送る、流体循環回路(50)と、
を備える温度調整モジュールであって、
前記1つまたは複数のモータ駆動インペラは、(i)前記少なくとも1つの空気入口からの空気が、前記ハウジング内の前記第1の通路を通るように方向付けられ、前記1つまたは複数の熱電素子の前記第1の主要側を通り越した後で前記第1の出口から出て、(ii)前記少なくとも1つの空気入口からの空気が、前記ハウジング内の前記第2の通路を通るように方向付けられ、前記1つまたは複数の熱交換器を通り越した後で前記第2の出口から出るように動作可能であり、
前記ハウジングは、前記1つまたは複数のモータ駆動インペラ、前記1つまたは複数の流体再循環ポンプ、前記1つまたは複数の熱電素子、前記1つまたは複数の熱交換器、前記廃熱用伝達プレートおよび前記熱交換用熱伝達プレートを収容する単一パッケージを形成し、そうすることで、前記単一パッケージは製品に組み込まれることが可能である、温度調整モジュール(6)。
【請求項2】
前記流体循環回路は、流体を連続して再循環させる閉ループである、請求項1に記載の温度調整モジュール。
【請求項3】
前記1つまたは複数のモータ駆動インペラは2つのモータ駆動インペラ(40A、40B)であり、一方のモータ駆動インペラは前記1つまたは複数の熱交換器全体にわたって空気を移動させ、他方のモータ駆動インペラは前記1つまたは複数の熱電素子全体にわたって空気を移動させる、請求項1〜2の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの空気入口は対向する2つの空気入口であり、前記空気入口のそれぞれは前記2つのモータ駆動インペラのうちの一方と位置合わせされる、請求項3に記載の温度調整モジュール。
【請求項5】
前記流体はグリコール、水、冷却材またはそれらの組み合わせである、請求項1〜4の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記ハウジングに入る空気が前記第2の出口に向かって移動して前記ハウジング全体にわたる空気の循環を可能にするように前記第2の出口に向かって傾斜した通気孔(22)を1つまたは複数含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項7】
前記1つまたは複数の通気孔(22)は、前記1つもしくは複数のモータ駆動インペラの周りの空気、静止空気を有する領域からの空気、またはその両方を循環させる、請求項6に記載の温度調整モジュール。
【請求項8】
前記流体循環回路は、前記流体循環回路に流体を追加できるように注入口を1つまたは複数含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項9】
前記熱交換器は、前記1つまたは複数の熱交換用熱伝達プレートの両側にフィンを含む、請求項1に記載の温度調整モジュール。
【請求項10】
前記1つまたは複数の廃熱用伝達プレートはフィンを複数含む、請求項1〜9の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項11】
前記1つまたは複数の廃熱用伝達プレート、前記1つまたは複数の熱交換用熱伝達プレート、またはその両方は、前記1つまたは複数の熱電素子、前記1つまたは複数の熱交換器、またはその両方に、それぞれ導電性粘着剤、熱グリース、はんだまたはそれらの組み合わせによって接続される、請求項1〜10の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項12】
前記1つまたは複数の流体再循環ポンプは、前記流体循環回路内の流体が循環されないように前記熱電素子が熱を発生するときはオフであり、前記1つまたは複数の流体再循環ポンプは、前記流体再循環回路内の流体が循環されるように前記熱電素子が低温を発生させるときはオンである、請求項1〜11の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項13】
前記流体循環回路は、前記1つまたは複数の流体再循環ポンプから、前記1つまたは複数の廃熱用伝達プレートに、前記1つまたは複数の熱交換用熱伝達プレートに、次いで、前記1つまたは複数の流体再循環ポンプに延びるパイプを複数含み、そうすることで、前記複数のパイプによって流体回路が作り出される、請求項1〜12の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項14】
前記温度調整モジュールには流体源への接続がない、請求項1〜13の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項15】
前記温度調整モジュールは、前記1つまたは複数のモータ駆動インペラに電力供給する電気的接続を1つまたは複数含む、請求項1〜14の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項16】
前記温度調整モジュールは、前記温度調整モジュールからの調整済みの空気を分配するための空気調和システムに接続される、請求項1〜15の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項17】
前記温度調整モジュールは車両用シートの一部である、請求項1〜16の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項18】
前記1つまたは複数の熱電素子を越えて送られる空気は温度が約10度以上変化する、請求項1〜17の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【請求項19】
前記1つまたは複数の廃熱用伝達プレートおよび前記1つまたは複数の熱電素子ならびに前記1つまたは複数の熱交換用熱伝達プレートおよび前記1つまたは複数の熱交換器は前記ハウジング内で挟まれている、請求項1〜18の何れか一項に記載の温度調整モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概して、一体型の液体冷却システムを含む熱電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
本教示は、熱電素子からの廃熱の改善された除去を提供することに基づく。現行のシステムは、廃棄空気がシステムから除去されるように、熱電素子の廃棄側を越えるように空気を移動させる。空気の流れを用いた廃棄温度の除去は調整済みの空気を生み出すのに十分である。しかし、廃棄温度(例えば、熱)の除去を改善するために液体を用いて熱電素子を冷却する試みが行われてきた。これら液体チューブは破裂する可能性があり、流体が車両用シートなどの構成要素に漏出する可能性がある。液体チューブはさらに、車両用シートの内部構成要素および/または組み込みプロセスによって孔があけられるかまたは切られる可能性があり、そうなると、システムが作動されるときに流体が車両用シート内に漏出する可能性がある。システムからの流体の漏出はシステムからの廃熱の除去を妨害する可能性があり、システムの動作は最適ではなくなる可能性があり、ユーザにとって望ましくない。
【0003】
さらに、液体チューブは、シート、乗員、またはその両方の動きによって捩じれかつ/または押しつぶされる可能性があり、そうなると、システムを通る流体の流れが妨害および/または阻止され、廃熱の除去は実質的に低減および/または阻止される。さらに、液体冷却システムは、組み立て中にシステムを組み込み、互いに接続できるように、組み立て工場でかつ/または組み立て中に装入および/または注入しなければならない。漏出および性能の低下の可能性があるため、液体冷却システムは自動車分野では難なく使用されることはなかった。
【0004】
熱電電気素子の冷却の例を特許文献1、特許文献2および特許文献3、ならびに特許文献4および特許文献5に見つけることができ、それらは全てそれらの全体があらゆる目的のために本明細書に援用される。
【0005】
廃熱を除去する閉ループ液体システムを有することが魅力的である。空気調和システムのためのハウジングに一体化されかつ/またはその一部である液体ループを有することが魅力的である。必要なものは、組み立て中に組み込み作業者がシステムに装入かつ/または注入することなく空気調和システムを組み込みできるように、組み込む前に装入できるシステムである。必要なものは、液体の接続がなく、電気的接続だけを含むシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,226,994号
【特許文献2】米国特許第7,587,901号
【特許文献3】米国特許第7,966,835号
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0192574号
【特許文献5】米国特許出願公開第2013/0059190号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本教示は、一体型の廃熱冷却回路を有する温度調整モジュールであって、少なくとも1つの空気入口ならびに第1および第2の離間した空気出口を有する、ハウジングであって、第1および第2の離間した空気出口は、それぞれの第1および第2の独立の空気通路の終端部分を画定する、ハウジングと、ハウジング内で回転するように支持される1つまたは複数のモータ駆動インペラであって、少なくとも1つの空気入口ならびに第1および第2の空気通路のうちの一方または両方と流体連通状態にある、1つまたは複数のモータ駆動インペラと、1つまたは複数の流体再循環ポンプと、ハウジングの第1の通路内で1つまたは複数のモータ駆動インペラと第1の空気出口との間に配置される、1つまたは複数の熱電素子であって、第1の主要側および第2の廃棄側を有し、電源を印加すると第1の主要側と第2の廃棄側との間に温度勾配を発生させるように適合される、少なくとも1つの熱電素子と、ハウジングの第2の通路内で少なくとも1つのモータ駆動インペラと第2の空気出口との間に配置される、1つまたは複数の熱交換器と、(i)ハウジング内に全体が収容されるか、(ii)ハウジングの一部を形成するか、または(i)および(ii)の両方である、流体循環回路であって、流体循環回路は、1つまたは複数の流体再循環ポンプと流体連通状態にあり、1つまたは複数の熱電素子の第2の廃棄側と熱連通状態にある流体を送り、そうすることで、第2の側によって供給される廃熱の少なくとも一部分を吸収し、次いで、後続の再循環のために1つまたは複数の流体再循環ポンプに流体を戻す前に、熱交換器に廃熱の一部を放出するように1つまたは複数の熱交換器と熱連通状態にある流体を送る、流体循環回路と、を備え、1つまたは複数のモータ駆動インペラは、(i)少なくとも1つの空気入口からの空気が、ハウジング内の第1の通路を通るように方向付けられ、1つまたは複数の熱電素子の第1の主要側を通り越した後で第1の出口から出て、(ii)少なくとも1つの空気入口からの空気が、ハウジングの第2の通路を通るように方向付けられ、1つまたは複数の熱交換器を通り越した後で第2の出口から出るように動作可能である、温度調整モジュールを提供することによって、本必要性のうちの(全てではないが)1つまたは複数を満たす。
【0008】
本明細書の教示は、驚くべきことに、廃熱を除去する閉ループ液体システムを提供することによってこれら課題のうちの1つまたは複数を解決する。本明細書の教示は、空気調和システムのためのハウジングに一体化されかつ/またはその一部である液体ループを提供する。本明細書の教示は、組み立て中に組み込み作業者がシステムに装入かつ/または注入することなく空気調和システムを組み込みできるように、組み込む前に装入できるシステムを提供する。本明細書の教示は、液体の接続がなく、電気的接続だけを含むシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】温度調整モジュールを有する通気システムを含む車両用シートを示す。
【
図4】温度調整モジュールを通る流体の流れを示す。
【
図5】温度調整モジュールのハウジングを通る流体の流れを示す。
【
図7】温度調整モジュールの流体ラインおよび再循環ポンプを示す。
【
図8】ハウジング内に通気孔を含む調整モジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に提示される説明および図表は、本発明、その原理およびその実際の応用例を当業者に知らせることが意図される。当業者は、特定の使用の要件に最も良好に合わせることができる多数の形態で、本教示を適合および応用することができる。したがって、記載されるような本教示の特定の実施形態は、本教示を網羅するものでも限定するのでもない。したがって、本教示の範囲は、上記の記載に関して判定されるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲に関して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と併せて、判定されるべきである。特許出願および特許公報を含む全ての論文および参考文献の開示は、あらゆる目的のために援用される。以下の特許請求の範囲から集められるような他の組み合わせも可能であり、それらも本明細書においてこの書面による記載に援用される。
【0011】
本教示の装置は1つまたは複数の製品に一体化することができる。その装置は、製品、製品のユーザ、またはその両方の冷却および/または加熱を行うことができる。装置は熱エネルギーの伝達および/または除去を行うことができる。製品は、自動車の構成要素、家事関係の構成要素、またはその両方とすることができる。好ましくは、製品は車両用シートである。製品はベッド、椅子、カウチ、冷却パッドまたはそれらの組み合わせとすることができる。製品は空気調和システムを含みかつ/またはそれに接続することができる。
【0012】
空気調和システムは、冷却、加熱、またはその両方を行うように機能することができる。空気調和システムは、空気を調整し、その空気を乗員および/またはユーザに向かって移動させることができる。空気調和システムは、1つもしくは複数の空気分配装置、1つもしくは複数のチャネル、1つもしくは複数の袋、1つもしくは複数の流体透過層、1つもしくは複数の乗員接触面領域、またはそれらの組み合わせを含むことができる。空気調和システムはヒータおよびエアムーバを含むことができる。
【0013】
ヒータは、熱を生み出すように機能するどのヒータでもよい。ヒータは、レイワイヤ(lay wire)、カーボテックス(carbotex)、抵抗性(resistive)(例えば、正温度係数ヒータ)、またはそれらの組み合わせでよい。ヒータは、車両用シートの表皮、空気調和システム、またはその両方に接続することができる。ヒータは、シートのフォームクッションを覆うようにかつ表皮の下に配置することができる。ヒータは、温度調和モジュールと共に使用することができる。
【0014】
温度調和モジュールは、空気を移動させ、調整済みの空気を移動させ、乗員および/もしくはユーザを加熱し、乗員および/もしくはユーザを冷却するか、またはそれらを組み合わせて行うように機能することができる。温度調和モジュールは冷却効果をもたらすことができる。温度調和モジュールは、熱電素子、ペルチェ素子、またはその両方を含むことができる。好ましくは、温度調和モジュールは、乗員と接触するように移動される空気ストリームに熱エネルギーを供給することができる。例えば、冷却された空気を車両用シートの乗員またはカウチの乗員に吹き付けることができる。温度調和モジュールはハウジングを1つまたは複数含むことができる。
【0015】
1つまたは複数のハウジングは、温度調和ハウジングの構成要素(例えば、流体ライン、熱電素子、インペラ)を保護するように機能することができる。1つまたは複数のハウジングは、シートに組み込まれる必要がある単一パッケージを作り出すように機能することができる。1つまたは複数のハウジングは、1つもしくは複数の空気入口、1つもしくは複数の空気出口、1つもしくは複数の空気通路、1つもしくは複数の通気孔、1つもしくは複数の流体ライン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。1つまたは複数のハウジングは流体の通過のためのチャネルを含むことができる。ハウジングは、温度調和モジュールの構成要素の全てを一緒に一体化する単一パッケージを保持するか、保護するか、収容するか、提供するか、またはそれらを組み合わせて行うように機能することができる。ハウジングは剛体材料から作製することができる。ハウジングはプラスチックから作製することができる。ハウジングは耐穿刺性とすることができる。ハウジングは、ナイロン、デルリン(delrin)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ビニル、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマー、アクリルまたはそれらの組み合わせから作製することができる。ハウジングは少なくとも1つの空気入口および2つの空気出口を含むことができる。
【0016】
空気出口は、乗員、ユーザ、またはその両方に向かう調整済みの空気の移動を可能にするように機能することができる。空気出口は、システムからの廃棄空気の除去を可能にするように機能することができる。空気出口は、調整済みの空気、廃棄空気、またはその両方を温度調和モジュールから除去し所望の位置(例えば、シートの分配袋)に移動させることができるように、1つもしくは複数の導管、延長部分、テール、通路、またはそれらの組み合わせにつながることができる。好ましくは、ハウジングは、少なくとも、第1の空気出口を有する第1の空気通路および第2の空気出口を有する第2の空気通路を含む。空気出口、ハウジング、またはその両方は、1つまたは複数の通気孔を含むことができる。
【0017】
1つまたは複数の通気孔は、空気を循環させるか、空気の層流を防ぐか、デッドスポットを防ぐか、ハウジングを通して空気を移動させるか、通路を通して空気を移動させるか、温度調和モジュールを通して空気を移動させるか、またはそれらを組み合わせて行うように機能することができる。1つまたは複数の通気孔は、入口を通して導入されることなく、ハウジング内で空気が移動されることを可能にすることができる。1つまたは複数の通気孔は、陰圧がハウジング内に生み出されることを阻止することができる。1つまたは複数の通気孔は空気が特定の方向に移動されるように傾斜してもよく、ハウジングの壁に実質的に垂直でもよく、その両方でもよい。1つもしくは複数の通気孔、1つもしくは複数の空気通路、1つもしくは複数の出口、1つもしくは複数の入口、またはそれらの組み合わせは、1つもしくは複数のインペラ、1つもしくは複数のエアムーバ、1つもしくは複数のブロワ、またはそれらの組み合わせと流体連通状態にすることができる。
【0018】
1つまたは複数のインペラは、温度調和モジュール、ハウジング、空気通路、通気孔、またはそれらの組み合わせを通して空気を移動させるように機能する。インペラはブロワ、エアムーバ、またはその両方の一部とすることができる。インペラはモータ駆動である。インペラは、直接的に、間接的に、またはその両方の状態でモータに接続することができる。複数のインペラを単一のモータに接続することができる。例えば、単一のモータが2以上のインペラを駆動することができる。各モータは、1つもしくは複数のインペラ、2以上のインペラ、またはそれどころか3以上のインペラを駆動することができる。2以上のインペラ間で電力を分配するためにモータと2以上のインペラとの間に差動装置(differential)を配置することができる。モータは、2以上のインペラを同じ速度で、異なる速度で、またはその両方の状態で駆動することができる。モータは2以上のインペラを選択的に駆動することができる。インペラはプラスチック、金属、または両者の組み合わせから作製することができる。インペラは空気を移動させるフィンを複数含むことができる。1つまたは複数のインペラは空気を半径方向に移動させることができる。1つまたは複数のインペラは廃棄インペラおよび主インペラとすることができる。
【0019】
主インペラは、乗員に向けて、ユーザに向けて、またはその両方に向けて調整済みの空気を移動させるように機能することができる。主インペラは、第1の通路、第2の通路、またはその両方を通して空気を移動させることができる。好ましくは、主インペラだけが第1の通路を通して空気を移動させる。主インペラは廃棄インペラに隣接して配置することができる。主インペラは廃棄空気を除去することができる。主インペラによって発生する空気流は乗員に向けてチャネルで運ぶことができ、その空気流の一部は廃棄ストリームを生み出すようにチャネルで運ぶことができる。空気流の分配は、チャネルで運ぶことによっておよび/またはハウジングに配置される通路によって調節することができる。主インペラはハウジングの第1の側に配置することができ、廃棄インペラはハウジングの第2の側に配置することができる。
【0020】
廃棄インペラは、温度調和モジュールからの廃棄物を除去するように機能することができる。好ましくは、廃棄インペラは温度調和モジュールからの廃熱を除去する。廃棄インペラは1つもしくは複数の空気通路、1つもしくは複数の出口、1つもしくは複数の通気孔、またはそれらの組み合わせを通して空気を移動させることができる。廃棄インペラはシステムの流体が冷却されるように熱交換器全体にわたって流体を移動させることができる。廃棄インペラ、主インペラ、またはその両方は、流体循環回路の一部でありかつ/またはそれとは別個のものとすることができる。廃棄インペラ、主インペラ、またはその両方は、同じ装置とすることができ、かつ/または同じモータに接続することができる。廃棄インペラ、主インペラ、またはその両方は流体循環回路に関連して働くことができる。
【0021】
流体循環回路は、温度調和モジュール全体にわたって流体媒体を還流させることによって、システムから熱を除去するように機能することができる。流体循環回路はハウジング内で全面的に密閉することができる。流体循環回路は、ハウジングを通って、ハウジングの2以上の部片間を、またはその両方で延在することができる。流体循環回路は、ハウジングの一部分に入れるか、ハウジングの一部とするか、ハウジングに接続するか、またはそれらを組み合わせた状態にすることができる。流体循環回路は、互いに接続される別々の複数のラインを含むことができる。流体循環回路はハウジングの不可分の一部とすることができる。流体循環回路は閉ループを含みかつ/または閉ループとすることができる。流体循環回路は廃熱、廃棄低温、またはその両方を除去することができる。流体循環回路はポンプを1つまたは複数含むことができる。
【0022】
1つまたは複数のポンプは流体媒体を循環させることができる。1つまたは複数のポンプは、流体媒体を間欠的に循環させるか、流体媒体を連続して循環させるか、またはその両方を行うことができる。1つまたは複数のポンプは、熱交換器を通して、流体ラインを通して、熱電素子を通して、熱伝達プレートを通して、またはそれらを組み合わせて、流体媒体を移動させることができる。1つまたは複数のポンプは、流体媒体が常に液体である位置に(例えば、廃熱交換器の後に)あってよい。1つまたは複数のポンプは、液体、ガス、またはその両方の組み合わせを移動させることができる。1つまたは複数のポンプは、ガスをポンプ輸送できるようにガスを圧縮することができる。1つまたは複数のポンプは、容積式ポンプ、歯車ポンプ、ねじポンプ、一軸ねじポンプ、蠕動ポンプ、プランジャポンプ、またはそれらの組み合わせとすることができる。1つまたは複数のポンプは、廃熱エネルギーが効率的に除去される定常状態の条件にシステムが達するように十分な流体を循環させることができる。好ましくは、1つまたは複数のポンプは、流体が1つまたは複数の熱交換器を通して連続して再循環されるように、流体媒体を再循環させる。
【0023】
1つまたは複数の熱交換器は、システムから廃熱エネルギーを除去するか、熱エネルギーを流体媒体に移入するか、またはその両方を行うことができる。1つまたは複数の熱交換器は、流体媒体の温度を変化させるように機能することができる。1つまたは複数の熱交換器は、好ましくは、流体媒体から廃熱を除去する。1つまたは複数の熱交換器は、熱エネルギーを除去しかつ/または熱エネルギーを導入するためのフィンを複数含むことができる。複数のフィンは、液体の温度が変化するように液体から気体に熱エネルギーを伝達することができる。1つまたは複数の熱交換器は、流体媒体と直接接触する状態、流体媒体と非直接接触する状態、またはその両方の組み合わせでよい。システムは、1つまたは複数の熱交換器、好ましくは、2以上の熱交換器、またはそれどころか3以上の熱交換器を含むことができる。熱交換器は、熱電素子、ペルチェ素子、またはその両方から熱を除去するように機能することができる。熱交換器は、熱伝達プレートを1つまたは複数含むことができる。熱交換器は、熱交換器を通して流体が移動されるように、流体伝達ラインを1つまたは複数含むことができる。熱交換器は、熱および/または低温が1つまたは複数の熱交換器を介してシステムから除去されるように、ある部分では流体媒体の通過を、別の部分では1つまたは複数のインペラからの空気の通過を可能にすることができる。熱交換器、熱交換器に供給する流体ライン、またはその両方は、ハウジング内に全体が配置されるか、ハウジングによって保護されるか、ハウジングに接続されるか、またはそれらを組み合わせて行うことができる。1つまたは複数の熱交換器はハウジングに接続することができる。1つまたは複数の熱交換器は、1つもしくは複数のファスナ、摩擦嵌め、締まり嵌め、ハウジング中に成形すること、またはそれらの組み合わせによってハウジングに接続することができる。好ましくは、複数のねじが熱交換器とハウジングとを接続する。1つまたは複数の熱交換器は、1つまたは複数の熱伝達プレートに接続しかつ/またはそれを含むことができる。
【0024】
1つまたは複数の熱伝達プレートは、温度および/または熱エネルギーをシステムから除去するか、システム内の別の場所に移動させるか、またはその両方を行うことできるように、温度(例えば、低温および/または熱)および/または熱エネルギーを除去するように機能することができる。1つまたは複数の熱伝達プレートは、熱エネルギーを流体伝達媒体に導入するように機能することができる。1つまたは複数の熱伝達プレートは、流体伝達媒体と直接接触状態にあってよい。1つまたは複数の熱伝達プレートは、熱伝達を助けるためにバッフル、フィン、またはその両方を含むことができる。1つまたは複数の熱プレートは、1つまたは複数の側で、熱交換器、熱電素子、ペルチェ素子、またはそれらの組み合わせと接触状態にあってよい。1つまたは複数の熱伝達プレートは、熱グルー、サーマルペースト、ファスナ、導電性粘着剤、熱グリース、はんだ、またはそれらの組み合わせによって、熱交換器、熱電素子、ペルチェ素子、またはそれらの組み合わせに接続することができる。1つまたは複数の熱伝達プレートは、摩擦嵌め、ファスナ、締まり嵌め、圧入、またはそれらの組み合わせによってハウジングに接続することができる。1つまたは複数の熱伝達プレートは、熱伝達ラインに接続することによって、ハウジング内で接続することができる。ハウジングカバーがハウジング内で熱伝達プレートを挟むことができる。1つまたは複数の熱伝達プレートは、熱伝達プレートから流体伝達媒体を導入および/または除去するための流体ラインを1つまたは複数含むことができる。
【0025】
1つまたは複数の熱伝達ラインは、熱交換器、熱電素子、ペルチェ素子、ポンプ、またはそれらの組み合わせの間で流体伝達媒体を移動させるように機能することができる。1つまたは複数の熱伝達ラインは、印加位置から熱エネルギーを除去し、その熱エネルギーを、システムから熱エネルギーが除去される廃棄位置に移動させるように機能することができる。1つまたは複数の熱伝達ラインは、ハウジング内に配置される別個のラインとすることができる。1つまたは複数の熱伝達ラインはハウジングに接続することができる。1つまたは複数の熱伝達ラインはハウジングの不可分の一部とすることができる。1つまたは複数の熱伝達ラインはハウジングとは別個とすることができるが、ハウジングは、回路を形成するために熱伝達ラインのうちの2以上を一緒に接続することができる。1つまたは複数の熱伝達ラインは、ハウジング内に部分的に配置されるか、部分的にハウジングの一部であるか、ハウジングの外側に部分的に配置されるか、またはそれらを組み合わせて行うことができる。好ましくは、1つまたは複数の熱伝達ラインはハウジング内に全体的に配置することができる。熱伝達ラインがハウジング内に全体的に配置されるときは、熱伝達ラインに注入するために流体伝達ラインの一部分を露出することができる。
【0026】
1つまたは複数の熱伝達ラインは1つまたは複数の廃熱ラインとすることができる。廃熱ラインは、熱電素子と熱交換器との間、ペルチェ素子と熱交換器との間、またはその両方で流体媒体を供給することができる。1つまたは複数の廃棄ラインは、印加位置(すなわち、調整済みの空気がユーザに向かって移動される位置)から廃棄位置に熱エネルギーを移動させることができる。1つまたは複数の廃棄ラインは、不要な熱エネルギーをシステムから除去できる位置に不要な熱エネルギーを伝達するように機能することができる。
【0027】
1つまたは複数の熱伝達ラインは再循環ラインとすることができる。再循環ラインは、熱交換器から1つまたは複数のポンプに延びることができ、そうすることで、ポンプは、冷却された流体媒体をシステム全体にわたって循環させることができる。1つまたは複数の熱伝達ラインは冷却ラインとすることができる。冷却ラインは、ポンプから熱電素子、ペルチェ素子、またはその両方に延びることができる。1つまたは複数の熱伝達ラインは、1つもしくは複数の注入口、1つもしくは複数の排出口、1つもしくは複数の装入口、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0028】
1つまたは複数の熱伝達ラインは、注入口、排出口、装入口、またはそれらの組み合わせがなくてよい。1つまたは複数の注入口は、単一の注入口とすることができ、注入が完了すると注入口は恒久的にシールすることができる。1つまたは複数の注入口は再利用可能とすることができる。1つもしくは複数の注入口、1つもしくは複数の流体伝達ライン、またはその両方は、流体伝達媒体リザーバを含みかつ/またはそれと連通状態にすることができる。1つまたは複数のリザーバは、流体伝達媒体の相変化の際に流体伝達ライン内に一定の圧力を維持することができる。1つまたは複数のリザーバは、流体伝達媒体の過熱の際にオーバーフローを生み出し、流体伝達媒体が低温のときに、追加の流体伝達集合を加えることができる。1つまたは複数のリザーバは、熱伝達ライン内に配置するか、熱伝達ラインの近傍に配置するか、熱伝達ラインの一部とするか、またはそれらを組み合わせた状態にすることができる。
【0029】
1つまたは複数の熱伝達ラインは、流体伝達媒体に耐性があるか、熱の伝達を助けるか、損傷されずに流体の圧力を受けることができるか、またはそれらの組み合わせであるどのような材料からも作製することができる。流体伝達ラインは、天然材料、合成材料、熱可塑性物質、プラスチック、ナイロン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS、acrylonitrile butadiene styrene)、ポリ塩化ビニル(PVC、polyvinyl chloride)、ポリプロピレン(PP、polypropylene)、ポリエチレン(PE、polyethylene)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF、polyvinylidene fluoride)またはそれらの組み合わせから作製することができる。流体伝達媒体は、システムから熱および/または低温を除去するように機能することができる。
【0030】
流体伝達媒体は、熱、低温、またはその両方を急速に受け取るようにおよび放出するように機能することができる。流体伝達媒体は、水、グリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、冷却材、グリセリン、またはそれらの組み合わせでよい。流体伝達媒体は、流体が流れる十分に高い粘性とすることができる。流体伝達媒体はポンプ輸送可能とすることができる。流体伝達媒体は、熱を受け取るか、熱を放出するか、またはその両方を行うときに相変化を受けることはできない。流体伝達媒体は(例えば、液体から蒸気に移行し、次いで液体に戻る)相変化を受けることができる。流体伝達媒体は、加熱構成、冷却構成、またはその両方において相変化を受けることができる。流体伝達媒体は、相変化のときに流体伝達媒体がラインを通して移動されるように流体伝達媒体が逃げることを阻止するシールされたライン内とすることができる。流体伝達媒体は、熱電素子、熱電素子と連通状態にある熱伝達プレート、またはそれらの組み合わせを通して進みかつ/またはその近傍を進むことができる。
【0031】
熱電素子は、熱を発生させるか、低温を発生させるか、またはその両方を行うように機能することができる。熱電素子は、ハウジング、熱伝達プレート、またはその両方に接続することによって、システム内で接続することができる。1つまたは複数の熱電素子は流体伝達ラインに接続することができ、流体伝達ラインは、ハウジング内で熱電素子を接続するのを助けることができる。熱電素子は、1つまたは複数のファスナを介してハウジングに直接的に接続することができる。熱電素子は熱伝達プレートに接続することができ、熱伝達プレートは1つまたは複数のファスナを介してハウジングに接続することができる。熱電素子は主要側、廃棄側、またはその両方を有することができる。熱電素子は、熱電素子の主要側全体にわたって空気が移動されるときに空気を調整することができる。熱電素子は、熱、低温、またはその両方を伝達するためのフィンを1つまたは複数含むことができる。本明細書の教示と共に使用できる熱電素子のいくつかの例には、米国特許第6,119,463号および第6,223,539号ならびに米国特許出願公開第2008/0173022号、第2012/0305043号、および第2013/0104953号で教示されるものが含まれ、それらは全てそれらの全体があらゆる目的のために本明細書に援用される。熱電素子、流体伝達プレート、熱伝達ライン、またはそれらの組み合わせは、熱バリアを1つまたは複数含むことができる。
【0032】
1つまたは複数の熱バリアは、流体が加熱および/または冷却された後の熱伝達流体への熱エネルギーの伝達を阻止することができる。1つまたは複数の熱バリアは、熱エネルギーが外気に伝達されること、ハウジング内で空気が動く際に伝達されること、またはその両方を阻止することができる。1つまたは複数の熱バリアは、不要な熱エネルギーが乗員に伝達されないような位置にあってよい。1つまたは複数の熱バリアは断熱材とすることができる。1つまたは複数の熱バリアは、騒音バリア、振動バリア、またはその両方とすることができる。1つまたは複数の熱バリアは、熱交換、振動、音、またはそれらの組み合わせから遮断することができる。
【0033】
図1は空気調和システム4を含む車両用シート2の一例を示す。空気調和システム4は温度調和モジュール6を含み、その温度調和モジュール6は、車両用シート2の乗員に調整をもたらすために空気調和システム4に接続される。
【0034】
図2は温度調和モジュール6の一例を示す。温度調和モジュール6は、空気入口12と、第1の空気出口16を有する第1の空気通路14と、第2の空気出口20を有する第2の空気通路18とを有する、ハウジング10を含む。空気入口12により、空気がインペラ40によってハウジング10に引き込まれ、次いで、第1の空気通路14を通って熱電素子80を越えて移動し第1の空気出口16から出ることを可能にする。空気はまた、空気入口12を通ってハウジング10中に引きこまれ、インペラ40がその空気を、第2の空気通路18を通して熱交換器54を越えて移動させ第2の空気出口20から出す。
【0035】
図3は、温度調和モジュール6の一例の分解図を示す。温度調和モジュール6は、廃棄インペラ40Bに空気を供給する空気入口12を有する上部ハウジング10を有する。廃棄インペラ40Bは、熱が温度調和モジュール6から除去されるように、第2の空気通路18を通して熱交換器54を越えて空気を移動させ第2の空気出口20から出す。温度調和モジュール6は、主インペラ40Aに空気を供給する空気入口12を有する底部ハウジング10を有する。主インペラ40Aは、熱電素子80によって調整された空気が乗員を冷却および/または加熱するように、第1の空気通路14を通して熱電素子80を越えて空気を移動させ第1の空気出口16から出す。主インペラ40Aおよび廃棄インペラ40Bは、別々の2つの空気ストリームが生み出されるように背中合わせになっている。主インペラ40Aおよび廃棄インペラ40Bの両方が、インペラを回転させて空気流を作り出すモータ42を含む。熱電素子80は、熱電素子80から熱を除去するのを助けるように、流体を含む熱伝達プレート56と接触状態にある。流体は熱電素子80によって加熱され、加熱された流体は廃熱ライン58を通して熱交換器54に移動される。熱交換器54は、熱交換器の2つの部分間に配置される熱伝達プレート56を含む。空気は熱交換器54を越えて移動され、流体の熱は大気に放出され、冷却された流体は再循環ライン60を通してポンプに移動され、そのポンプは、プロセスが繰り返されるように冷却ライン62を通して熱電素子80に流体を移動および再循環させる。
【0036】
図4は、温度調和モジュール6の流体の経路を、ハウジングを取り外した状態で示す。温度調和モジュール6は1対のモータ駆動インペラ40を含む。主インペラ40Aは、調整済みの空気が車両用シートなど所望の位置に移動されるように、熱電素子80を越えるように方向110に空気を移動させる。廃棄インペラ40Bは、熱電素子80によって発生する廃熱が温度調和モジュール6から除去されるように、熱交換器54を越えるように方向120に空気を移動させる。流体が、温度調和モジュール6全体を通して循環されて、廃熱を除去する。流体は、ポンプ52から方向100に移動され熱電素子80を通って方向102に移動される。流体は熱電素子80から方向104に移動され熱交換器54に至り、熱交換器を通って方向106に移動される。流体は熱交換器54から方向108に移動されポンプ52に至り、ここで、流体が再循環される。
【0037】
図5は、空気ストリームが第1の空気通路14と第2の空気通路18との間で分かれる、単一のインペラ40を有する温度調和モジュール6の一例を示す。空気ストリームの一部が熱交換器54を越えて方向110に移動して、熱が除去される第2の空気出口20から出る。空気ストリームの他の部分は方向120に移動され、方向120では、空気ストリームが第2の方向において下に落ち、次いで、熱電素子80(図示せず)を越えて流れて、調整済みの空気を所望の位置に輸送する。
【0038】
図6は、インペラ40を2つ含む温度調和モジュール6の断面図を示す。主インペラ40Aおよび廃棄インペラ40Bは流体に関して隔離される。主インペラ40Aからの流体は熱電素子80を越えて方向110に移動し、廃棄インペラ40Bからの流体は熱交換器54を越えて方向120に移動する。
【0039】
図7は流体循環回路50を示す。流体再循環回路50はポンプ52を含み、そのポンプ52は、冷却ライン62によって熱電素子80に、次いで、廃熱ライン58を通して熱交換器54に、最後に、再循環ライン60によってポンプ52に戻るように流体を移動させる。図示のように、再循環ライン60は、流体循環回路50を満たすための注入口(図示せず)を含むが、その注入口は流体循環回路50に沿ったどの点に配置してもよい。
【0040】
図8は通気孔22を含むハウジング10を示す。それら通気孔22は、方向120の空気の循環を促すように、予想されるデッドスペース中に空気を導入し、そうすることで、モジュール全体が冷却される。
【0041】
本発明で列挙される数値はいずれも、任意の低い値と任意の高い値との間に少なくとも2単位の隔たりがある場合、低い値から高い値まで1単位ずつ増加する全ての値を含む。一例として、構成要素の量、または例えば、温度、圧力、時間などのプロセス変量の値が例えば、1から90、好ましくは20から80、より好ましくは30から70であると記される場合、15から85、22から68、43から51、30から32などの値が本明細書に明確に列挙されることが意図される。1未満の値の場合は、1単位は必要に応じて0.0001、0.001、0.01または0.1であるとみなされる。これらは具体的に意図された単なる例であり、列挙される最低値と最高値との間にある数値の可能な組み合わせは全て、同様にして本明細書に明記されていると考えるべきである。
【0042】
別段の言及がない限り、全ての範囲が両方の端点およびその端点間の全ての数を含む。範囲に関して用いられる「約(about)」または「約(approximately)」はその範囲の両端に適用される。したがって、「約20から30(about 20 to 30)」とは、少なくとも明示された端点を含む「約20から約30(about 20 to about 30)」を包含するものである。
【0043】
特許出願および特許公報を含む全ての論文および参考文献の開示は、あらゆる目的のために援用される。組み合わせを説明する用語「本質的に成る(consisting essentially of)」は、特定の要素、材料、構成要素またはステップと、その組み合わせの基本的かつ新たな特徴に事実上影響を及ぼさない他の要素、材料、構成要素またはステップとを含むものとする。本明細書の要素、材料、構成要素またはステップの組み合わせを説明する用語「備える(comprising)」または「含む(including)」の使用は、それらの要素、材料、構成要素またはステップから本質的に成る実施形態も企図する。本明細書で用語「可能性がある(may)」を使用することにより、含まれる「可能性がある(may)」記載された任意の属性が随意的であることが意図される。
【0044】
複数の要素、材料、構成要素またはステップは、単一の統合された要素、材料、構成要素またはステップで提供することができる。あるいは、単一の統合された要素、材料、構成要素またはステップは、別々の複数の要素、材料、構成要素またはステップに分割することができる。要素、材料、構成要素またはステップを説明する「1つ(a)」または「1つ(one)」の開示は、追加の要素、材料、構成要素またはステップを除外するものではない。
【0045】
上記の記載が例示的であり、限定的でないことが意図されると理解される。上記の記載を読むと、提示される例以外に多くの実施形態ならびに多くの応用例が当業者には明らかであろう。したがって、本教示の範囲は、上記の記載に関して判定されるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲に関して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と併せて、判定されるべきである。特許出願および特許公報を含む全ての論文および参考文献の開示は、あらゆる目的のために援用される。本明細書に開示される主題の任意の態様に関する以下の特許請求の範囲における省略は、そのような主題の放棄ではなく、発明者らがそのような主題を開示された発明の主題の一部であると考えないと見なされるべきではない。