特許第6227817号(P6227817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6227817
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ワイパーブレードの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/38 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   B60S1/38 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-62283(P2017-62283)
(22)【出願日】2017年3月28日
【審査請求日】2017年8月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松川 浩和
(72)【発明者】
【氏名】宮田 博文
(72)【発明者】
【氏名】原 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】田浦 歳和
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第2056777(US,A)
【文献】 実公昭36−004612(JP,Y1)
【文献】 実公昭49−029877(JP,Y1)
【文献】 実開昭49−084826(JP,U)
【文献】 実開昭58−006653(JP,U)
【文献】 特開昭58−036748(JP,A)
【文献】 実開昭61−134466(JP,U)
【文献】 特開平10−181540(JP,A)
【文献】 特表2001−500088(JP,A)
【文献】 特表2001−500089(JP,A)
【文献】 特表2001−500090(JP,A)
【文献】 特表2005−508795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00 − 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーブレードをワイパーアームに取り付けるための取付構造において、
前記ワイパーブレードの中央部に設けられたブレード側接合部材と、
前記ワイパーアームの一端に設けられたアーム側接合部材と、
前記ワイパーブレードの幅方向に並んで配置された前記ブレード側接合部材及び前記アーム側接合部材を回転可能に接合するピンとを備え、
前記ピンは、円柱形状の一部に、側面が両側から切り欠かれたような平板形状となった平板部を備え、
前記ブレード側接合部材は、前記ワイパーブレードとは反対側に、前記ワイパーブレードの幅方向に亘って形成されたスリットを備え、且つ、当該スリットは奥側が円状に幅の広がったピン受容部となっており、
前記ピンは、前記平板部が前記スリットを通過して前記ピン受容部に受容されることを特徴とするワイパーブレードの取付構造。
【請求項2】
請求項1のワイパーブレードの取付構造において、
前記ワイパーブレードは、前記ワイパーアームと干渉することなく回転可能となっていることを特徴とするワイパーブレードの取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2のワイパーブレードの取付構造において、
前記平板部における平面部分は、ワイパーアームの延びる方向と略平行となっていることを特徴とするワイパーブレードの取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つのワイパーブレードの取付構造において、
前記ピンにおける前記ピン受容部に受容される部分は、他の部分よりも径が小さいことを特徴とするワイパーブレードの取付構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つのワイパーブレードの取付構造において、
前記ワイパーブレードは、ワイパーラバーと、前記ワイパーラバーを幅方向に挟持するラバー保持部と、前記ラバー保持部を幅方向に挟持するバーティブラとを備え、
前記ブレード側接合部材は、幅方向について前記ワイパーラバーよりも外側において前記バーティブラに固定されていることを特徴とするワイパーブレードの取付構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つのワイパーブレードの取付構造を用いたワイパーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車用ワイパーブレードのアームへの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントガラスを払拭するためのワイパーブレードは、振動アームに取り付けて用いられる。このための取付方法として、特許文献1では、ワイパー装置が連結具を具備し、振動アームが結合部を介して一端の枢軸に対し、連結具の棒に枢動可能に連結される。連結具は、振動アームの枢動運動における回転角を規制する手段を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−531264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、種々のワイパーブレード及びワイパーアームを回転可能に接合できるワイパーブレードの取付構造を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本開示におけるワイパーブレードをワイパーアームに取り付けるための取付構造は、ワイパーブレードの中央部に設けられたブレード側接合部材と、ワイパーアームの一端に設けられたアーム側接合部材と、ワイパーブレードの幅方向に並んで配置されたブレード側接合部材及びアーム側接合部材を回転可能に接合するピンとを備える。ピンは、円柱形状の一部に、側面が両側から切り欠かれたような平板形状となった平板部を備える。ブレード側接合部材は、ワイパーブレードとは反対側に、ワイパーブレードの幅方向に亘って形成されたスリットを備え、且つ、当該スリットは奥側が円状に幅の広がったピン受容部となっている。ピンは、平板部がスリットを通過してピン受容部に受容される。
【発明の効果】
【0006】
本開示のワイパーブレードの取付構造によると、種々のワイパーブレード及びワイパーアームに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る例示的ワイパーブレードの取付構造を模式的に示す図である。
図2図2は、図1のワイパーブレードの取付構造について、構成要素に分解して示す図である。
図3図3は、図1の取付構造において、ブレード側接合部材とアーム側接合部材との接合を示す図である。
図4図4は、ブレード側接合部材の模式的な側面図である。
図5図5は、ピンの構成を示す図である。
図6図6は、ピンの構成について、図5のV−V線による断面を示す図である。
図7図7は、アーム側接合部材とブレード側接合部材との接続について示す断面図である。
図8図8は、接続されたワイパーアーム及びワイパーブレードをワイパーブレードの背面側から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の一実施形態に係るワイパーブレードの取付構造について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態のワイパーブレードの取付構造10を模式的に示す図である。払拭面(自動車のフロントガラス等)の払拭を行うためのワイパーブレード13の背面側(払拭を行うワイパーラバーとは反対側)中央部に、ブレード側接合部材14が設けられている。また、ワイパーブレード13を揺動させるためにワイパーアーム11の一端に、アーム側接合部材12が設けられている。ブレード側接合部材14とアーム側接合部材12とは、ワイパーブレード13の幅方向(払拭を行う際のワイパーブレード13の揺動方向に略一致)に並んで配置され、ピン15により互いに回転可能に接合されている。ワイパーアーム11は、ワイパーブレード13に対し、自動車の後方側に配置される。
【0010】
図2は、図1のワイパーブレードの取付構造10について、部品に分解して示す図である。ワイパーブレード13は、払拭面を払拭するための条片であるワイパーラバー33と、ワイパーラバー33に沿って延び、ワイパーラバー33を保持するラバーホルダ31と、ラバーホルダ31に嵌合される短冊状の部材であるバーティブラ32と、これらの両端に取り付けられるエンドキャップ34とを備える。
【0011】
ワイパーラバー33は、幅方向の両側面に溝を備えることにより形成された被保持部と、払拭面を払拭するリップ部とを備える。ラバーホルダ31は、向かい合った鉤爪状の断面形状を有するラバー保持部を備え、当該ラバー保持部がワイパーラバー33の被保持部を保持する。また、ラバーホルダ31にも幅方向の両側面に溝が備えられる。更に、バーティブラ32は、長手方向に延びるスリットを備え、2本の帯状部に分かれた形状を有する。ラバーホルダ31の溝にバーティブラ32の2つの帯状部がそれぞれ嵌め込まれることにより、ラバーホルダ31とバーティブラ32とが接合されている。更に、以上のように組み合わせられたラバーホルダ31、バーティブラ32及びワイパーラバー33の両端に、エンドキャップ34がそれぞれ取り付けられている。
【0012】
また、ブレード側接合部材14は、バーティブラ32に対してリベット35により取り付けられていても良い。
【0013】
バーティブラ32は軽量且つ高剛性の材料により形成する。例えばアルミ合金、ステンレス又は炭素鋼等の金属材料でも良いし、ガラス繊維、カーボン繊維等を含有する強化プラスチックを用いても良い。ラバーホルダ31は、バーティブラ32に比べて柔軟な材料、例えばポリプロピレンのような樹脂により形成する。ワイパーラバー33は、一般的なゴム材料により形成しても良い。
【0014】
また、ラバーホルダ31は、図2に示すように、ラバー保持部と反対側が傾斜してスポイラー形状を構成していても良い。
【0015】
次に、図3は、アーム側接合部材12とブレード側接合部材14とが分離された状態を示す図である(図示は省略しているが、このとき、ワイパーアーム11は図の上方に延びている)。また、図4は、ブレード側接合部材14の模式的な側面図である。ブレード側接合部材14には、ワイパーブレード13とは反対側に、ワイパーブレード13の幅方向に亘ってスリット16が設けられている。スリット16の奥側(ワイパーブレード13に近い側)において、スリット16は円状に幅が広くなり、ピン15を受容するためのピン受容部17が形成されている。スリット16は幅Bを有し、ピン受容部17は幅A(円状部の直径)を有する。
【0016】
また、図5はピン15の構成を示す図であり、そのVI-VI断面が図6に示されている。図5及び図6に示す通り、ピン15は直径Eの円柱状部19と、円柱形状の側面が両側から切り欠かれたように平板形状となった平板部18とを備える。平板部18は厚さCを有し、且つ、円柱状部19の直径Eよりも小さい直径Dの円柱の一部を成すことで幅Dを有する。更に、平板部18における円柱状部19とは反対側に、直径Dよりも大きい径を有するフランジ部20が設けられている。
【0017】
ここで、平板部18の厚さCは、ブレード側接合部材14のスリット16の幅Bと略一致し、平板部18はスリット16を通過することができる。また、平板部18の幅Dはピン受容部17の直径Aと略一致し、平板部18はピン受容部17において回転することができる。以上から、図3のように、ピン15の平板部18の向きをスリット16の向きと一致させてピン15をスリット16に通し、約90°回転させることにより、ピン15をブレード側接合部材14に回転可能に接合することができる。この状態では、平板部18の幅Dがスリット16の幅Bよりも大きいので、ピン15がピン受容部17から外れることはない。ピン15がアーム側接合部材12に固定され、且つ、ワイパーアーム11がアーム側接合部材12に接続されると、図1に示すようにワイパーブレード13がワイパーアーム11に取り付けられた状態となる。
【0018】
また、ワイパーアーム11にアーム側接合部材12が接続された状態において、ピン15の平板部18の平面部分は、ワイパーアーム11の延びる方向と略平行となっている(図2)。このことから、ワイパーアーム11とワイパーブレード13とが略直交する向きでピン15にスリット16を通過させ、ワイパーブレード13を約90°回転させると、ワイパーブレード13とワイパーアーム11とは概ね同じ方向に延びる状態となる。
【0019】
以上のようにワイパーブレード13がワイパーアーム11に取り付けられた状態について、図7に断面を示している(但し、ラバーホルダ31の保持部31aに保持されるワイパーラバー33については図示を省略している)。図7は、図1のVII-VII線における断面である。
【0020】
図7に示す通り、ブレード側接合部材14に設けられたピン受容部17に、ピン15の平板部18が納められている。ワイパーブレード13によりフロントガラス等の払拭対象を払拭する際には、図1のようにワイパーアーム11とワイパーブレード13とが概ね同じ方向に並ぶ。この状態では、スリット16の幅Bよりも平板部18の幅Dの方が大きいことにより、ピン15がブレード側接合部材14から脱離することは無い。
【0021】
また、平板部18は、円柱状部19の直径E及びフランジ部20の直径よりも小さい幅D(平板部18の断面形状が一部を構成する構成する円の直径D)を有する。これにより、ピン15は、ブレード側接合部材14に対してピンの長さ方向への移動が規制されている。
【0022】
以上のように、ブレード側接合部材14とアーム側接合部材12とがワイパーブレード13の幅方向に並んで配置されており、且つ、当該幅方向に延びるピン15によってこれらが接合されている。これについて、ワイパーブレード13を背面側から見た図8に示す。図8は、スリット16にピン15の平板部18を通過させて90度程度回転させた状態であり、概ねこの状態で払拭面の払拭を行う。図8では、見かけ上、ワイパーアーム11とワイパーブレード13とが平行となっているが、通常ワイパーブレード13は湾曲しているので、ワイパーブレード13とワイパーアーム11とが実際に平行になるとは言い難い。しかし、ワイパーブレード13及びワイパーアーム11はいずれもピン15の長さ方向に対して直交するように延びており、互いに干渉することなく回転できる。従って、ワイパーブレード13とワイパーアーム11との着脱の際、回転が自由であることから作業が容易になる。
【0023】
尚、払拭を行う際及び待機させている際にはワイパーブレード13は払拭面に触れているので、ピン15を中心としたワイパーブレード13の回転は規制される。これにより、払拭中及び待機中には、ピン15の平板部18がブレード側接合部材14のスリット16を通過できる向きにまで回転すること、更にはワイパーブレード13がピン15から脱落することは防がれている。
【0024】
ワイパーアームの構造に合わせてアーム側接合部材12の構造を設定することにより、多種多様なワイパーアームに対してワイパーブレードを固定することができる。更に、アーム側接合部材12の向きを逆にすることにより、ワイパーアーム11に対するワイパーブレード13の向きを逆にすることができ、右ハンドル車及び左ハンドル車のいずれにも対応することができる。
【0025】
アーム側接合部材12については、ピン15を固定可能であり、且つ、ワイパーアーム11の先端に接続可能な構造であれば、特に限定されない。本実施形態では、アーム側接合部材12は2つのフランジ部41の間に柱部42が挟まれ、当該柱部42にピン15が収容・固定される形状となっている(図3を参照)。また、ピン15は、アーム側接合部材12に設けられた穴に圧入した上で、リベット又はネジによって固定するか、又は、接着する等の方法によって固定しても良い。
【0026】
本実施形態におけるワイパーアーム11は板状であって、先端部が折り返すように曲がって屈曲部を構成し、当該屈曲部がアーム側接合部材12の柱部に引っかかるように固定される。この際、図示は省略するが、例えばワイパーアーム11の先端付近にストッパーとなる穴を備え、当該穴に、アーム側接合部材12に設けられた突起を勘合させることにより確実に固定されても良い。但し、このようなワイパーアームの構成は例示するものであって、様々な種類のワイパーアームが使用可能である。
【0027】
また、図7に示すように、ブレード側接合部材14はバーティブラ32の両面を覆うように延びた延伸部14aを有する。更に、バーティブラ32と、その両面を覆う延伸部14aとをいずれも貫通するリベット35によって、ブレード側接合部材14がバーティブラ32に固定されている。この際、リベット35は、ワイパーブレード13の幅方向について、ワイパーラバー33よりも外側に位置している。尚、リベットの他に、ネジやボルトによる固定も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本開示のワイパーブレードの取付構造は、様々なワイパーブレードの取付に容易に対応でき、交換も容易であるから、自動車用等のワイパーブレードの取付に有用である。
【符号の説明】
【0029】
10 取付構造
11 ワイパーアーム
12 アーム側接合部材
13 ワイパーブレード
14 ブレード側接合部材
14a 延伸部
15 ピン
16 スリット
17 ピン受容部
18 平板部
19 円柱状部
20 フランジ部
31 ラバーホルダ
31a 保持部
32 バーティブラ
33 ワイパーラバー
34 エンドキャップ
35 リベット
41 フランジ部
42 柱部
【要約】
【課題】種々のワイパーブレード及びワイパーアームを回転可能に接合する取付構造を実現する。
【解決手段】ワイパーブレードの取付構造10は、ワイパーブレード13の中央部のブレード側接合部材14と、ワイパーアーム11の一端のアーム側接合部材12と、これらをワイパーブレード13の幅方向に並べ且つ回転可能に接合するピン15とを備える。ピン15は、円柱形状の一部に平板部18を備える。ブレード側接合部材14は、ワイパーブレード13とは反対側にスリット16を備え、且つ、スリット16は奥側が円状に幅の広がったピン受容部17となっている。ピン15は、平板部18がスリット16を通過してピン受容部17に受容される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8