(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の電気自動車の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
図1(a)は、本発明の一実施の形態の電気自動車1の概略左側面図であり、
図1(b)は、
図1(a)の電気自動車1の概略平面図である。
【0014】
また、
図2は、本実施の形態の電気自動車1におけるバッテリー交換機構100の要部の概略斜視図である。
【0015】
本実施の形態の電気自動車1は、
図1(a)、
図1(b)に示す様に、(1)車体2と、(2)車体2の骨格部を成す、平面視で略長方形状のメインフレーム3と、(3)駆動輪としての左右一対の前輪4L、4Rと、(4)従動輪としての左右一対の後輪5L、5Rと、(5)操縦ハンドル6と、(6)駆動源としてのモータ7を内蔵した駆動ユニット8と、(7)駆動ユニット8に電源ケーブル9を介して電力を供給する、交換可能なバッテリー20と、(8)バッテリー交換機構100と、(9)モータ7からの駆動力を前輪4L、4Rに左右の車軸10L、10Rを介して伝達する、ディファレンシャル機構を内蔵した動力伝達部11と、(10)座席シート12が前と後に載置されたフロアーパネル13と、(11)左右両側の前と後にそれぞれ配置されたドア(図示省略)と、を備えている。
【0016】
また、メインフレーム3は、
図1(b)に示す様に、フロントフレーム3Aとリアフレーム3Bと左サイドフレーム3Lと右サイドフレーム3Rとセンター前フレーム3Caとセンター後フレーム3Cbとにより構成されている。
【0017】
また、バッテリー交換機構100は、
図1(a)〜
図2に示す様に、(1)バッテリー20を載置するための平面視で略四角形の窪み111が上面中央に形成された、平面視で略四角形のパレット110と、(2)バッテリー20を取り出す際にはバッテリー20が載置されたパレット110を車体2の左側に向けて搬送し(
図2の矢印A参照)、また、バッテリー20を車体2の内部に収納する際にはバッテリー20が載置されたパレット110を車体2の左右幅の中央の位置に向けて搬送する(
図2の矢印B参照)、ゴム製の搬送ベルト121と駆動ローラ122と従動ローラ123とを有する搬送装置120と、(3)搬送装置120の駆動ローラ122に駆動力を伝達するために右車軸10Rの途中に配置され、傘歯車(図示省略)の組み合わせで構成された駆動力分岐部130と、(4)駆動力分岐部130により分岐された駆動力を搬送装置120の駆動ローラ122に伝達するための分岐駆動軸140と、(5)分岐駆動軸140からの駆動力を駆動ローラ122に伝達するか否かを切り替えるクラッチ(図示省略)を内蔵した連結部150と、を備えている。
【0018】
なお、本実施の形態では、搬送ベルト121がゴム製である場合について説明しているが、搬送ベルト121の材質は、ゴム製に限定されるものではない。
【0019】
また、本実施の形態の連結部150は、通常の走行時には、クラッチが常時「切り」状態を維持し、バッテリー20の交換の際には、後述する切替スイッチ160を操作することで、クラッチを「入り」状態に切り替えることが出来る構成である。これにより、通常の走行時には、搬送ベルト121は駆動しない。
【0020】
また、パレット110の4方の側面部には、後述するハンドフォークリフト300(
図3参照)のフォーク部310が挿入可能な略長方形状の孔部112が2つずつ設けられており、且つ、その2つずつ設けられた孔部112の間には、後述するフック101a(
図2参照)を引っ掛けることが可能な略円形状の引っ掛け用孔部113が2つずつ設けられている。
【0021】
また、バッテリー交換機構100は、パレット110の窪み111に載置されたバッテリー20が走行中の振動等により浮き上がらない様にするためのゴム製の帯状固定バンド101を備えている。更にまた、帯状固定バンド101は、そのバンドの両端に上述した2つずつ設けられた引っ掛け用孔部113に引っ掛けるためのフック101aが取り付けられている。
【0022】
これにより、帯状固定バンド101の両端部の2つのフック101aを2つの引っ掛け用孔部113に引っ掛けることで、ゴムの弾性力により、バッテリー20が窪み111側に常時押さえつけられるので、走行中にバッテリー20がパレット110上で振動したり、横ズレしたりするのを防止することが出来る。
【0023】
この様に、バレット110の上面に窪み111を設けると共に、帯状固定バンド101を備えたことにより、簡単な構成で、バッテリー20が、走行中においてバレット110上で移動したり、振動したりすることが防止出来る。
【0024】
また、搬送ベルト121はゴム製であり、パレット110を載置する表面は滑り止め用の凹凸(図示省略)が形成されており、パレット110が、走行中において搬送ベルト121上で移動することが防止出来る。
【0025】
なお、電源ケーブル9の長さは、バッテリー交換機構100の搬送装置120によりバッテリー20を取り出すために、
図3に示す様に車体2の左側に向けてバッテリー20が搬送された場合を考慮して、長めに設定されている(
図1(b)参照)。
【0026】
また、電源ケーブル9の後端部には、バッテリー20と電気的に接続するための、手で着脱可能に構成された差し込みプラグ9a(
図1(b)参照)が取り付けられている。また、バッテリー20の左側面には、差し込みプラグ9aを差し込むためのコンセント20a(
図2参照)が設けられている。
【0027】
また、搬送装置120と、バッテリー20が載置されたパレット110とを収納する収納ケース200は、車体2の左側に開口部201(
図1(a)参照)を有する箱状部材であり、平面視でセンター前フレーム3Caとセンター後フレーム3Cbとの間に配置され(
図1(b)参照)、側面視でその上端部がセンター前フレーム3Caとセンター後フレーム3Cbと右サイドフレーム3Rに固定されている(
図1(a)、
図1(b)参照)。なお、収納ケース200の天井部は、フロアーパネル13により覆われている。また、本実施の形態の電気自動車1は、車高を高くすることで、収納ケース200が車体2の室内空間側に出っ張らない様に配置されている。
【0028】
また、左サイドフレーム3Lは、収納ケース200の開口部201の上端部に位置しており、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200内の搬送ベルト121上から取り出したり、或いは、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200の搬送ベルト121上に載せたりする際に、バッテリー20やパレット110に干渉しない様にするために、下方に突き出した部分を設けない様に形成されている。
【0029】
また、搬送装置120は、収納ケース200の底面部200aに取り付けられている。具体的には、駆動ローラ122、及び従動ローラ123を回動可能に支持する支持ステイ(図示省略)が、収納ケース200の底面部200aに固定されている。
【0030】
また、収納ケース200の開口部201には、蓋部材(図示省略)が、締結部材(図示省略)を用いて着脱可能に取り付けられている。また、蓋部材を取り付けることにより、収納ケース200の剛性を強化することが出来る。
【0031】
なお、ドアの下端部は、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200内の搬送ベルト121上から取り出したり、或いは、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200の搬送ベルト121上に載せたりする際に、バッテリー20やパレット110に干渉しない様に形成されている。
【0032】
また、収納ケース200の前側の内壁面部200bの開口部201の近傍には、搬送装置120を矢印A方向(
図2参照)、即ち「バッテリー取出方向」に回動させるか、矢印B方向(
図2参照)、即ち「バッテリー収納方向」に回動させるか、又は回動を停止させるかの何れかに切り替えるための切替スイッチ160(
図1(a)、
図1(b)参照)が設けられている。
【0033】
切替スイッチ160を、「停止」の位置から「バッテリー取出方向」の回動に対応する位置に切り替えると、車体2に設けられている制御部(図示省略)が、その切替信号を受けて、連結部150のクラッチを「入り」状態に作動させると共に、モータ7を低速で正回転させるための信号を駆動ユニット8に出力し、また、切替スイッチ160を、「停止」の位置から「バッテリー収納方向」の回動に対応する位置に切り替えると、上記制御部が、その切替信号を受けて、連結部150のクラッチを「入り」状態に作動させると共に、モータ7を低速で逆回転させるための制御信号を駆動ユニット8に出力し、また、切替スイッチ160を、「停止」に対応する位置に切り替えると、上記制御部が、その切替信号を受けて、連結部150のクラッチを「切り」状態に作動させると共に、モータ7の回転を停止させる構成である。
【0034】
なお、本実施の形態の車体2は、本発明の車体の一例にあたり、本実施の形態のモータ7は、本発明のモータの一例にあたる。また、本実施の形態のバッテリー20は、本発明のバッテリーの一例にあたり、本実施の形態のパレット110は、本発明のバッテリー載置部材の一例にあたる。また、本実施の形態の搬送装置120は、本発明の搬送部の一例にあたる。また、本実施の形態のパレット110の孔部112は、本発明の孔部の一例にあたり、本実施の形態の左右のサイドフレーム3L、3Rは、本発明の左右両側のサイドフレームの一例にあたる。
【0035】
次に、本実施の形態のバッテリー交換機構100の動作について、主として
図2、
図3、
図4を参照しながら説明する。
【0036】
図3は、本実施の形態の電気自動車1におけるバッテリー20の交換作業を模式的に示す概略平面図である。
【0037】
また、
図4は、ハンドフォークリフト300の概略側面である。
【0038】
本実施の形態では、セルフ式ガソリンスタンドに、バッテリー交換スペースが設けられている場合について説明する。
【0039】
また、このセルフ式ガソリンスタンドには、予め充電が完了している交換用のバッテリー20が帯状固定バンド101でパレット110に固定された状態で保管されており、そのパレット110を交換、運搬するためのハンドフォークリフト300が用意されている。
【0040】
更にまた、このセルフ式ガソリンスタンドのバッテリー交換スペースには、電気自動車1の左右一対の前輪4L、4Rを下方から回動自在に支持する前後一対の回転ローラ401(
図3参照)が配置されたローラ設備400が設けられている。前後に所定の間隔402を隔てて配置された一対の回転ローラ401の当該所定の間隔402の間に電気自動車1の左右一対の前輪4L、4Rを載せた状態で前輪4L、4Rを駆動させた場合、その前輪4L、4Rの駆動に伴って前後一対の回転ローラ401が従動回転するので、車体2自体はその場に停止した状態になる。
【0041】
なお、本実施の形態のハンドフォークリフト300は、本発明の荷役装置の一例にあたる。
【0042】
まず、電気自動車1のドライバーは、この様なローラ設備400を備えたバッテリー交換スペースに電気自動車1を移動させ、左右一対の前輪4L、4Rを上記前後一対の回転ローラ401の所定の間隔402の間に載せて車体2を停止させる。
【0043】
次に、ドライバーは、収納ケース200の開口部201に取り付けられている蓋部材(図示省略)を取り外す。
【0044】
その後、ドライバーは、収納ケース200の前側の内壁面部200bに設けられた切替スイッチ160を、「停止」の位置から「バッテリー取出方向」の回動に対応する位置に切り替える。
【0045】
これにより、車体2に設けられている制御部(図示省略)は、切替スイッチ160からの切替信号を受けて、連結部150のクラッチを「入り」状態に作動させると共に、モータ7を低速で正回転させるための制御信号を駆動ユニット8に出力する。これにより、駆動ユニット8は、モータ7を低速で正回転させるので、左右の車軸10L、10Rが低速で正回転し、駆動力分岐部130から分岐された駆動力が、分岐駆動軸140及び連結部150を介して、駆動ローラ122に伝達される。
【0046】
これにより、搬送ベルト121が矢印A方向(
図2参照)に移動し、
図3に示す様に、バッテリー20が載置されたパレット110が車体2の左側の開口部201に向けて搬送されてくるので、パレット110の左側面部が開口部201に到達したことをドライバーが目視で確認すると、切替スイッチ160を「停止」に対応する位置に切り替える。これにより、制御部(図示省略)は、切替スイッチ160からの停止信号を受けて、連結部150のクラッチを「切り」状態に作動させると共に、モータ7の回転を停止させるための制御信号を駆動ユニット8に出力するので、モータ7からの駆動力の伝達が停止し、搬送ベルト121は移動を停止する。
【0047】
次に、ドライバーは、開口部201に到達して停止しているパレット110の上に載置されたバッテリー20のコンセント20aに接続されている差し込みプラグ9aを抜く。
【0048】
次に、ドライバーは、ハンドフォークリフト300のフォーク部310の先端が、開口部201に到達して停止しているパレット110の左側面部に設けられている孔部112に挿入できる様に、高さ調整レバー320(
図4参照)を操作してフォーク部310の高さを調整する。そして、ドライバーは、ハンドフォークリフト300の左右一対の取っ手部330を握ってハンドフォークリフト300を矢印B方向(
図3参照)に移動させながら、フォーク部310の先端をパレット110の左側面部の孔部112の奥まで挿入した後、高さ調整レバー320を操作してフォーク部310を少し上昇させる。
【0049】
これにより、パレット110の下面は、搬送ベルト121の表面から離れるので、その状態のまま、ドライバーは、左右一対の取っ手部330を握ってハンドフォークリフト300を矢印B方向(
図3参照)と反対方向に移動させて、バッテリー20が載置されたパレット110を車体2の収納ケース200から取り出して、所定の場所に運ぶ。
【0050】
そして、予め充電が完了している交換用のバッテリー20が帯状固定バンド101でパレット110に固定された状態で保管されているので、そのパレット110をハンドフォークリフト300を用いて電気自動車1の左側まで運び、そのパレット110を、搬送ベルト121の上面に載せることができる様に、高さ調整レバー320を操作してフォーク部310の高さを調整する。そして、ドライバーは、ハンドフォークリフト300の左右一対の取っ手部330を握ってハンドフォークリフト300を矢印B方向(
図3参照)に移動させながら、パレット110を収納ケース200の内部に挿入し、パレット110の左側面部が開口部201に位置したことを目視で確認した後、ハンドフォークリフト300の移動を停止させて、高さ調整レバー320を操作してフォーク部310を少し降下させ、フォーク部310の上面部が、パレット110の孔部112の天井部から離れたことを目視で確認した後、高さ調整レバー320を操作してフォーク部310の降下を停止させ、ハンドフォークリフト300を矢印B方向(
図3参照)と反対方向に移動させて、フォーク部310をパレット110の孔部112から完全に抜く。
【0051】
その後、ドライバーは、バッテリー20のコンセント20aに差し込みプラグ9aを差し込んで電気的接続を完了させた後、切替スイッチ160を「バッテリー収納方向」の回動に対応する位置に切り替える。
【0052】
これにより、車体2に設けられている制御部(図示省略)は、切替スイッチ160からの切替信号を受けて、連結部150のクラッチを「入り」状態に作動させると共に、モータ7を低速で逆回転させるための制御信号を駆動ユニット8に出力する。これにより、駆動ユニット8は、モータ7を低速で逆回転させるので、左右の車軸10L、10Rが低速で逆回転し、駆動力分岐部130から分岐された駆動力が、分岐駆動軸140及び連結部150を介して、駆動ローラ122に伝達される。
【0053】
これにより、搬送ベルト121が矢印B方向(
図2参照)に移動し、
図2に示す様に、バッテリー20が載置されたパレット110が車体2の左右幅の中央の位置に向けて搬送されていくので、パレット110の右側面部が搬送ベルト121の右端に到達したことをドライバーが目視で確認すると、切替スイッチ160を「停止」に対応する位置に切り替える。これにより、制御部(図示省略)は、切替スイッチ160からの停止信号を受けて、連結部150のクラッチを「切り」状態に作動させると共に、モータ7の回転を停止させるための制御信号を駆動ユニット8に出力するので、モータ7からの駆動力の伝達が停止し、搬送ベルト121は移動を停止する。これにより、バッテリー20が載置されたパレット110が車体2の左右幅の中央の位置に配置され、車体2の重量バランスを良好に保つことが出来る。
【0054】
最後に、ドライバーは、収納ケース200の開口部201に蓋部材(図示省略)を締結部材を用いて固定する。
【0055】
以上説明したことから、本実施の形態の電気自動車1によれば、例えば、セルフ式ガソリンスタンド等に、簡単な設備を備えた簡易なバッテリー交換スペースを用意しておくことで、ドライバーが自らバッテリー20の交換を容易に行えるという効果を発揮する。
【0056】
また、これにより、例えば、セルフ式ガソリンスタンド等において、バッテリー交換スペースを設置するためのインフラ投資を安く抑えることが出来る。
【0057】
なお、上記実施の形態では、電気自動車1が前輪駆動の場合について説明したが、これに限らず例えば、後輪駆動であっても良い。その場合は、駆動力分岐部130を後輪の車軸に設けることで、搬送装置120の駆動力は後輪側から分岐すれば良い。また、四輪駆動の場合であれば、搬送装置120の駆動力は前輪側又は後輪側の何れから分岐しても良い。
【0058】
また、上記実施の形態では、バッテリー20の交換の際には、前輪の左右一対の車軸10L、10Rも同時に回転する構成について説明したが、これに限らず例えば、バッテリー20の交換の際には、前輪の左右一対の車軸10L、10Rを回転させないで、駆動ローラ122に駆動力を伝達させる構成としても良い。この構成を実現するには、例えば、モータ7からの駆動力を、動力伝達部11に伝達させるか、それとも、駆動ローラ122側に伝達させるかという伝達経路を切り替える伝達切替機構(図示省略)を、駆動ユニット8と動力伝達部11との間の伝達経路上に設けた構成としても良い。また、この様に伝達切替機構を設けた場合は、上述した連結部150にクラッチを内蔵させる必要は無いし、また、セルフ式ガソリンスタンドのバッテリー交換スペースにおいてローラ設備400を設ける必要も無い。また、この様に伝達切替機構を設けた場合は、切替スイッチ160を、「停止」の位置から「バッテリー取出方向」の回動に対応する位置に切り替えると、車体2に設けられている制御部(図示省略)は、その切替信号を受けて、伝達切替機構による伝達経路を、モータ7からの駆動力が駆動ローラ122側に伝達される様に切り替えると共に、モータ7を低速で正回転させるための信号を駆動ユニット8に出力し、また、切替スイッチ160を、「停止」の位置から「バッテリー収納方向」の回動に対応する位置に切り替えると、上記制御部は、その切替信号を受けて、伝達切替機構による伝達経路を、モータ7からの駆動力が駆動ローラ122側に伝達される様に切り替えると共に、モータ7を低速で逆回転させるための制御信号を駆動ユニット8に出力し、また、切替スイッチ160を、「停止」に対応する位置に切り替えると、上記制御部は、その切替信号を受けて、伝達切替機構による伝達経路を、モータ7からの駆動力が動力伝達部11に伝達される様に切り替えると共に、モータ7の回転を停止させる構成としても良い。
【0059】
また、上記実施の形態の電気自動車1は、車高を高くすることで、収納ケース200が車体2の室内空間側に出っ張らない様に配置されている場合について説明したが、これに限らず例えば、
図5に示す様に、収納ケース200が車体2の室内空間側に出っ張った状態に配置された他の例としての第2の電気自動車1aを構成しても良い。この構成の場合、左サイドフレーム3Lの前後幅の略中央部は、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200の開口部201から出し入れする際に、それらの部材と干渉しない様に、上方に退避する様に側面視で上側に向けて、即ち室内空間側に向けて突き出した形状に形成されている必要がある。
図5は、本発明の電気自動車の他の例としての第2の電気自動車1aの概略左側面図である。
【0060】
また、上記実施の形態の電気自動車1では、車高を高くして、フロアーパネル13の下方に収納ケース200を配置した場合について説明したが(
図1(a)参照)、この構成の場合において、車高が高くなることで生じている車体2の下方のスペースにディフューザーを取り付ける構成としても良い。これにより、車体2の下方の空気の流れをスムーズにしてダウンフォースを発生させ走行時の車体の安定性を向上させることが出来る。また、走行時に取り込んだ空気を車体2の中に流すことにより、ダウンフォースを発生させ走行時の車体の安定性を向上させる構成としても良い。
【0061】
また、上記実施の形態では、左右のサイドフレーム3L、3Rと、フロアーパネル13とが別部材である構成について説明したが、これに限らず例えば、フロアーパネルと左右のサイドフレームとが一体的に形成されたフロアーフレーム(図示省略)を備えた構成であっても良い。その構成の場合、フロアーフレームの内、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200の開口部201から出し入れする際に、少なくともその出し入れする側に位置するフロアーフレームのサイド部は、出し入れするバッテリー20やパレット110の部材と干渉しない様に形成されておれば良い(
図1(a)、
図5参照)。
【0062】
また、上記実施の形態では、バッテリー20を載置したパレット110を、表面は滑り止め用の凹凸(図示省略)が形成された搬送ベルト121の上に載せることで、パレット110が、走行中において搬送ベルト121上で移動することが防止出来る構成について説明したが、これに限らず例えば、搬送ベルト121の表面に、パレット110の前後幅に対応した幅Wの溝部121W(
図2中の二点鎖線の斜線を施した部分参照)を搬送方向に沿って全周に亘り形成した構成としても良い。これにより、パレット110を搬送ベルト121の溝部121Wに、はまり込む様に載せることで、車体2の前後方向のズレがより効果的に防止出来るので、電気自動車1が急発進、急停止する場合でも、搬送ベルト121上でパレット110が前後方向にズレることを防止出来る。
【0063】
また、上記実施の形態では、バッテリー20を載置したパレット110を、表面に滑り止め用の凹凸(図示省略)が形成された搬送ベルト121の上に載せることで、パレット110が、走行中において搬送ベルト121上で移動することが防止出来る構成について説明したが、これに加えて、収納ケース200の底面部の前側と後側、又は前側と後側の壁部や天井部において、側面視でそれぞれが例えば略L字形状等を成した、一対の自動ロック式可動アーム(
図6(a)、(b)の前後一対の第1自動ロック式可動アーム500F、500B、
図7(a)、(b)の前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600B、
図7(c)の前後一対の第3自動ロック式可動アーム700F、700B参照)を設け、パレット110が搬送ベルト121上で主として上下方向に振動することを防止する構成としても良い。この自動ロック式可動アームは、例えば、走行時、即ち、切替スイッチ160が、「停止」の位置にある時は、そのアーム先端部(
図6(a)、(b)の後第1自動ロック式可動アーム500Bの先端部510B、
図7(a)、(b)の前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bの実線で示した先端部610F、610B、
図7(c)の後第3自動ロック式可動アーム700Bの実線で示した先端部710B参照)が、パレット110の前後方向の側面部に形成された孔部112に挿入されていることにより、パレット110を搬送ベルト121上で下方に押さえつけるので、パレット110の上下動及び前後左右方向への位置ズレや振動を防止する。そして、切替スイッチ160が、「停止」の位置から「バッテリー取出方向」の回動に対応する位置に切り替えられると、制御部は、切替スイッチ160からの切替信号を受けて、上述した各種動作を実行させる前に、前後一対の自動ロック式可動アームに先に制御信号を送り、アーム先端部(
図6(a)、(b)の前第1自動ロック式可動アーム500Fの先端部510F、
図7(a)の前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bの二点鎖線で示した先端部610F、610B、
図7(c)の後第3自動ロック式可動アーム700Bの二点鎖線で示した先端部710B参照)をパレット110の孔部112から抜け出す方向に移動させることにより、まずパレット110のロックを解除する構成である。また、切替スイッチ160が、「停止」の位置から「バッテリー収納方向」の回動に対応する位置に切り替えられると、制御部は、切替スイッチ160からの切替信号を受けて、上述した各種動作を実行させる。そして、パレット110の右側面部が搬送ベルト121の右端に到達したことをドライバーが目視で確認して、切替スイッチ160を「停止」に対応する位置に切り替えることで、搬送ベルト121は移動を停止すると共に、制御部が前後一対の自動ロック式可動アームに制御信号を送り、アーム先端部(
図6(a)、(b)の後第1自動ロック式可動アーム500Bの先端部510B、
図7(a)、(b)の前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bの実線で示した先端部610F、610B、
図7(c)の後第3自動ロック式可動アーム700Bの実線で示した先端部710B参照)をパレット110の孔部112に挿入される方向に移動させることにより、パレット110を搬送ベルト121上でロックする構成である。
【0064】
図6(a)は、前後一対の第1自動ロック式可動アーム500F、500Bの構成と動作を模式的に示すために収納ケース200の縦断面を左側面から見た概略縦断面図であり、
図6(b)は、前後一対の第1自動ロック式可動アーム500F、500Bの構成と動作を模式的に示すために収納ケース200の横断面を上側から見た概略横断面図である。
図6(a)、(b)に示す前後一対の第1自動ロック式可動アーム500F、500Bは、例えば、
図1に示した、車高を高くしたタイプの電気自動車1に適用しても良い。なお、
図6(a)、(b)では、前第1自動ロック式可動アーム500Fの先端部510Fは、ロック解除位置に移動した状態を示し、後第1自動ロック式可動アーム500Bの先端部510Bは、ロック位置に移動した状態を示している。
【0065】
また、
図7(a)は、前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bの構成と動作を模式的に示すために収納ケース200の縦断面を左側面から見た概略縦断面図であり、
図7(b)は、前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bの構成と動作を模式的に示すために収納ケース200の横断面を上側から見た概略横断面図である。
図7(a)、(b)に示す前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bは、例えば、
図5に示した、収納ケース200が車体2の室内空間側に出っ張った状態に配置されたタイプの第2の電気自動車1aに適用しても良い。
【0066】
なお、
図7(a)では、前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bの先端部610F、610Bは、ロック位置に移動した状態を実線で示し、ロック解除位置に移動した状態を二点鎖線で示している。
【0067】
また、
図7(c)は、
図7(a)、(b)に示す前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bの変形例としての前後一対の第3自動ロック式可動アームの概略図であり、前側と後側の構成は同じであるので、後第3自動ロック式可動アーム700B側の構成と動作を示した概略横断面図である。
【0068】
また、
図6(a)〜
図7(b)に示す、前後一対の第1自動ロック式可動アーム500F、500B、及び前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bは、ロック時及びロック解除時において、前後方向(
図6(a)〜
図7(b)の矢印C参照)に移動する構成であるのに対して、
図7(c)に示す、前後一対の第3自動ロック式可動アーム700F、700Bは、ロック状態において側面視で略L字形状を成し、且つ、そのロック時及びロック解除時の動作は、その略L字形状の縦方向の辺となるアーム基部720F、720B(
図7(c)参照)を回動の軸芯として、平面視で時計回り及び反時計回りに回動する構成である(
図7(c)の矢印D参照)。
【0069】
なお、
図7(c)では、後第3自動ロック式可動アーム700Bの先端部710Bは、ロック位置に回動した状態を実線で示し、ロック解除位置に回動した状態を二点鎖線で示している。
【0070】
また、上記実施の形態では、切替スイッチ160を「停止」の位置に切り替えるタイミングは、ドライバーがパレット110の位置を目視で確認して判断する場合について説明したが、これに限らず例えば、収納ケース200の内部にパレット110の位置を検知する位置検知センサ(図示省略)を設け、位置検知センサの検知結果に基づいて、制御部が自動的に搬送装置120の駆動を停止させる様に構成しても良い。
【0071】
また、上記実施の形態では、セルフ式ガソリンスタンドには、充電済みのバッテリー20がパレット110に帯状固定バンド101で固定された状態で保管されている場合について説明したが、これに限らず例えば、予め充電が完了したバッテリー20のみが保管されていても良い。その場合は、ドライバーがパレット110上からバッテリー20を取り外して、充電が完了しているバッテリー20をパレット110上に固定する作業が必要となる。
【0072】
また、上記実施の形態では、バッテリーの交換作業は、セルフ式ガソリンスタンドに設けられているバッテリー交換スペースで行う場合について説明したが、これに限らず例えば、バッテリー交換スペース(バッテリー交換所)は、どこに設けられていても良い。
【0073】
また、上記実施の形態では、パレット110は、ハンドフォークリフト300のフォーク部310の先端が挿入される孔部112が、側面部に形成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、パレット110は、その底面において、ハンドフォークリフト300のフォーク部310の先端が挿入可能な様に、搬送ベルト121の少なくとも搬送方向に沿った一対の溝部(図示省略)が平行に形成されていても良い。
【0074】
また、上記実施の形態では、バッテリー20を載置したパレット110が車体2の左側から取り出す構成について説明したが、これに限らず例えば、車体2の右側、前側、又は後側から取り出す構成であっても良い。
【0075】
また、上記実施の形態では、本発明の荷役装置の一例として、ハンドフォークリフト300を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、乗用型のフォークリフトを用いてバッテリーを交換する場合でも本発明は適用可能である。この場合は、乗用型のフォークリフトの運転には免許が必要となるので、通常は、電気自動車のドライバーが自ら乗用型のフォークリフトを運転してバッテリーを交換するという作業は行えないが、その場合でも、バッテリー交換所においてバッテリーの交換を実施する専門の作業者は、従来に比べてバッテリーの交換が容易に行えるという効果を発揮する。
【0076】
また、上記実施の形態では、バッテリー20とパレット110は別部材として説明したが、これに限らず例えば、バッテリー20とパレット110を一体型にした構成、換言すれば、バッテリー20に、ハンドフォークリフト300のフォーク部310又は乗用型のフォークリフトのフォーク部を差し込むことが出来る孔部又は溝部を設けた構成であっても良い。即ち、この場合の一体型バッテリー800は略直方体を成し、その内部には、例えば、
図8(a)、(b)に示す様に、ハンドフォークリフト300のフォーク部310が挿入可能な、側面視で略長方形状の孔部812が、一体型バッテリー800の左右の両側面を貫通する様に2つ形成されており、且つ、上述した、前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600B(
図7(a)、(b)参照)と同様の構成の棒状の先端部610F、610Bが挿入可能なロック用孔部813が、一体型バッテリー800の前後の両側面の左右側の2か所に形成されている。ここで、
図7(a)、(b)で説明した構成部材と基本的に同じ構成部材には同じ符号を付した。
図8(a)は、バッテリー20とパレット110を一体型にして構成した一体型バッテリー800の構成と、前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bの構成と動作を模式的に示すために収納ケース200の縦断面を左側面から見た概略縦断面図であり、
図8(b)は、一体型バッテリー800の構成と、前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bの構成と動作を模式的に示すために収納ケース200の横断面を上側から見た概略横断面図である。
【0077】
この構成によれば、上述したパレット110を備える必要が無いので、収納ケース200の高さ方向の寸法を、パレット110を備えた構成の場合に比べて縮小することが出来る。そのため、例えば、
図1(a)で説明した、車高を高くするタイプの電気自動車1の場合、その車高の高くなる程度を低く抑えることが出来る。また、バッテリー20とパレット110を一体型にしたことにより、帯状固定バンド101が不要となり、前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600B(
図8(a)、(b)参照)のみで、一体型バッテリー800を収納ケース200内にしっかりと固定することが出来るので、固定構造を簡素化出来る。
【0078】
なお、
図8(a)、(b)に示した一体型バッテリー800では、その固定構造として、前後一対の第2自動ロック式可動アーム600F、600Bを用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、
図7(c)に示した前後一対の第3自動ロック式可動アーム700F、700Bを用いた構成としても良い。この場合でも、
図8(a)、(b)で説明したものと同様の効果を発揮する。
【解決手段】車体2と、左右一対の前輪4L、4Rを駆動する、車体2に設けられたモータ7と、少なくともモータ7を駆動させるための交換可能なバッテリー20と、バッテリー20を載置するパレット110と、バッテリー20が載置されたパレット110を車体2の左側に向けて搬送する、車体2に設けられた搬送装置120と、を備えた電気自動車1である。