(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0007】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る製造方法により製造するローエッジVベルトBを示す。このローエッジVベルトBは、各種機械の動力伝達部材として用いられるものである。ローエッジVベルトBのベルト長さは例えば500〜3000mm、ベルト幅は例えば7.5〜32mm、及びベルト厚さは例えば5.5〜20mmである。
【0008】
実施形態1のローエッジVベルトBは、厚さ方向の内周側の圧縮ゴム層11と外周側の接着ゴム層12とを含むゴム製のベルト本体10を備えている。接着ゴム層12の厚さ方向の中間部には心線13が埋設されている。心線13は、接着ゴム層12内において、幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように設けられている。接着ゴム層12の外周側、つまり、ベルト背面には補強布14が貼設されている。ローエッジVベルトBは、外周側の補強布14、接着ゴム層12、及び圧縮ゴム層11の上部の部分が均一幅に形成され、従って、その部分の側面がベルト背面に対して垂直に形成されている。内周側のそれ以外の圧縮ゴム層11の下部の部分が内周側に向かうに従って幅狭に形成され、従って、幅方向両側の側面がベルト背面に対して内周側に向かうに従って内向きに傾斜した傾斜面に形成されている。なお、ローエッジVベルトBは、補強布14の代わりに伸張ゴム層が設けられ、圧縮ゴム層、接着ゴム層、及び伸張ゴム層によりゴム製のベルト本体が構成されていてもよい。
【0009】
圧縮ゴム層11及び接着ゴム層12は、ゴム成分に各種の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋したゴム組成物で形成されている。圧縮ゴム層11及び接着ゴム層12は同一のゴム組成物で形成されていてもよい。
【0010】
ゴム成分としては、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー(EPDMやEPR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、これらのうち1種又は2種以上をブレンドしたものを用いることが好ましい。配合剤としては、カーボンブラックなどの補強材、充填材、可塑剤、加工助剤、架橋剤、共架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等が挙げられ、圧縮ゴム層11を形成するゴム組成物に配合される配合剤としては、その他に、例えば、短繊維、フッ素樹脂粉、ポリエチレン樹脂粉、中空粒子、発泡剤などの表面性状改質材が挙げられる。
【0011】
心線13は、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維等の撚糸で構成されている。心線13には、ベルト本体10の接着ゴム層12への接着性を付与するために接着処理が施されている。
【0012】
補強布14は、例えば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、綿等の織布、編布、又は不織布で構成されている。補強布14には、ベルト本体10の接着ゴム層12への接着性を付与するために接着処理が施されている。
【0013】
(製造方法1-1)
実施形態1に係るローエッジVベルトBの製造方法1-1について
図2〜9に基づいて説明する。
【0014】
製造方法1-1は、部材準備工程、成形工程、架橋工程、及び仕上工程で構成されている。
【0015】
<部材準備工程>
部材準備工程では、圧縮ゴム層11となる圧縮ゴムシート11’、接着ゴム層12となる接着ゴムシート12’、心線13’、及び補強布14’を作製する。
【0016】
−圧縮ゴムシート11’−
ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用い、ゴム成分と配合剤とを混練した後、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によって厚肉の未架橋ゴムシート11”に形成する。そして、この未架橋ゴムシート11”から圧縮ゴムシート11’を作製する。
【0018】
圧縮ゴムシート11’は、一方側の面に、各々、直線状に延びる突条で構成された複数の圧縮ゴム層形成部11a’が並行に延びるように連設されたゴムシートである。圧縮ゴムシート11’は、製造するローエッジVベルトBの圧縮ゴム層11を複数集め、それらを並列させて隣接するものの側辺同士を結合させたような形状に形成されている。従って、複数の圧縮ゴム層形成部11a’は同一形状である。各圧縮ゴム層形成部11a’は、先端側に向かうに従って幅狭に形成されており、具体的には、断面形状が等脚台形に形成されている。圧縮ゴム層形成部11a’の大きさは、製造するローエッジVベルトBの圧縮ゴム層11の大きさと同一であってもよいが、また、それよりもやや大きくてもよい。
【0019】
このような圧縮ゴムシート11’は、
図3A及びBに示すように、未架橋ゴムシート11”を、圧縮ゴムシート11’の圧縮ゴム層形成部11a’の形状に対応した周方向に延びる台形溝21aが軸方向に連設された圧縮ゴム型付ロール21とフラットロール22との間に通過させ、未架橋ゴムシート11”の一方側の面に圧縮ゴム型付ロール21の外周面の台形溝21aを型付けして圧縮ゴム層形成部11a’を形成することにより作製することができる。このとき、未架橋ゴムシート11”を加熱して可塑性を高めてもよい。また、圧縮ゴムシート11’は、プレス成型や押出成型でも作製することができる。
【0020】
−接着ゴムシート12’−
ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用い、ゴム成分と配合剤とを混練した後、得られた未架橋ゴム組成物
(第3未架橋ゴム組成物)をカレンダー成形等によってシート状に成形して接着ゴムシート12’を作製する。
【0021】
−心線13’−
心線13’を構成する撚糸に、RFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理、及び/又は、ゴム糊に浸漬して乾燥させる接着処理を施す。これらの接着処理の前に、エポキシ樹脂溶液又はイソシアネート樹脂溶液に浸漬して加熱する下地処理を施してもよい。
【0022】
−補強布14’−
補強布14’を構成する織布等に、RFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理、ゴム糊に浸漬して乾燥させる接着処理、及びベルト本体10側となる面にゴム糊をコーティングして乾燥させる接着処理のうちの1種又は2種以上の接着処理を施す。これらの接着処理の前に、エポキシ樹脂溶液又はイソシアネート樹脂溶液に浸漬して加熱する下地処理を施してもよい。なお、補強布14の代わりに伸張ゴム層を設ける場合には、接着ゴムシート12’と同様の方法で伸張ゴム層となる伸張ゴムシートを作製する。
【0023】
<成形工程>
成形工程では、まず、成形機(不図示)に、軸方向が水平方向となるように円筒状の成形マンドレル31を回転可能に軸支し、
図4Aに示すように、成形マンドレル31上に補強布14’を巻き付け、その上に更に接着ゴムシート12’を巻き付ける。成形マンドレル31は、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。このとき、補強布14’上に接着ゴムシート12’が積層される。補強布14’及び接着ゴムシート12’は、超音波カッターやエアはさみ等でカットした上でラップジョイントで接合する。なお、所定長の補強布14’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを成形マンドレル31上に被せてもよい。また、補強布14’と接着ゴムシート12’とを積層一体化させたものを作製し、それを成形マンドレル31上に巻き付けてもよく、或いは、その積層体の所定長を、接着ゴム層12が外側となるように両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを成形マンドレル31に被せてもよい。伸張ゴム層を設ける場合には、補強布14’の代わりに伸張ゴムシートを用いて同様の操作を行う。
【0024】
次いで、
図4Bに示すように、接着ゴムシート12’上に心線13’を螺旋状に巻き付け、その上に更に接着ゴムシート12’を巻き付ける。このとき、接着ゴムシート12’上に心線13’の層が積層され、また、心線13’の層上に接着ゴムシート12’が積層される。接着ゴムシート12’は、超音波カッターやエアはさみ等でカットした上でラップジョイントで接合する。
【0025】
続いて、
図4Cに示すように、全周に渡って接着ゴムシート12’の上からローラー32で押圧する。このとき、心線13’間にゴムが流動して心線13’が一対の接着ゴムシート12’間に埋設されることにより位置固定されて全体として一体化した筒状の抗張体38が形成される。なお、この操作は、心線13’の層上に接着ゴムシート12’を巻き付けるのと同時に行ってもよい。
【0026】
そして、
図4Dに示すように、抗張体38の接着ゴムシート12’上に、圧縮ゴム層形成部11a’が外側となって周方向に延びるように圧縮ゴムシート11’を巻き付けて未架橋スラブS’を構成する。このとき、成形マンドレル31の外側に、圧縮ゴムシート11’の圧縮ゴム層形成部11a’側の形状に切り抜かれた櫛形のガイド33を、軸方向に延びると共に櫛歯33aが成形マンドレル31側を向くように設けることにより、圧縮ゴムシート11’は、各圧縮ゴム層形成部11a’が一対の櫛歯33a間に案内されて高精度に周方向に延びるように巻き付けられ、接着ゴムシート12’上に積層される。圧縮ゴムシート11’は、超音波カッター等でカットした上で突き合わせジョイントで接合する。この突き合わせジョイントは、接合強度を高める観点から、圧縮ゴムシート11’の厚さ方向に対する傾斜面同士を突き合わせて接合することが好ましい。なお、所定長の圧縮ゴムシート11’を、圧縮ゴム層形成部11a’が外側となるように両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを接着ゴムシート12’上に被せてもよい。この圧縮ゴムシート11’を筒状に形成したものが、外周面に、各々、周方向に延びる複数の突条で構成された圧縮ゴム層形成部11a’が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体36を構成する。
【0027】
以上のようにして、成形マンドレル31上に、補強布14’、接着ゴムシート12’、心線13’、接着ゴムシート12’、及び圧縮ゴムシート11’が内側から順に積層された円筒状の未架橋スラブS’を成形する。そして、この未架橋スラブS’は筒状の成形体36を含む。未架橋スラブS’における圧縮ゴム層形成部11a’の数は例えば20〜100個である。
【0028】
<架橋工程>
図5A及びBは、架橋工程において用いる架橋装置40を示す。
【0029】
架橋装置40は、基台41と、その上に立設された円柱状の膨張ドラム42と、その外側に設けられた円筒状の円筒金型43(ベルト型)とを備えている。
【0030】
膨張ドラム42は、中空円柱状に形成されたドラム本体42aと、その外周に外嵌めされた円筒状のゴム製の膨張スリーブ42bとを有する。ドラム本体42aの外周部には、各々、内部に連通した多数の通気孔42cが形成されている。膨張スリーブ42bの両端部は、それぞれドラム本体42aとの間で固定リング44,45によって封止されている。架橋装置40には、ドラム本体42aの内部に高圧空気を導入して加圧する加圧手段(不図示)が設けられており、この加圧手段によりドラム本体42aの内部に高圧空気が導入されると、高圧空気が通気孔42cを通ってドラム本体42aと膨張スリーブ42bとの間に入って膨張スリーブ42bを径方向外向きに膨張させるように構成されている。
【0031】
円筒金型43は基台41に脱着可能に構成されている。基台41に取り付けられた円筒金型43は、膨張ドラム42との間に間隔をおいて同心状に設けられる。円筒金型43は、内周面に、各々、周方向に延びる複数の圧縮ゴム層形成溝43aが軸方向(溝幅方向)に連設されている。各圧縮ゴム層形成溝43aは、溝底側に向かうに従って幅狭に形成されており、具体的には、断面形状が、製造するローエッジVベルトBの圧縮ゴム層11と同一の等脚台形に形成されている。架橋装置40には、円筒金型43の加熱手段及び冷却手段(いずれも不図示)が設けられており、これらの加熱手段及び冷却手段により円筒金型43の温度制御が可能となるように構成されている。
【0032】
架橋工程では、成形マンドレル31から未架橋スラブS’を抜き取り、この未架橋スラブS’を、架橋装置40における基台41から取り外した円筒金型43の内側に配置する。具体的には、未架橋スラブS’を、円筒金型43の内側に、未架橋スラブS’の複数の圧縮ゴム層形成部11a’のそれぞれが円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに嵌まるように設ける。後述のように成形体36を含む未架橋スラブS’を加熱すると共に円筒金型43側に押圧する前に、このように予め圧縮ゴム層形成部11a’を圧縮ゴム層形成溝43aに嵌め入れておくことにより、ゴムの伸張が小さくなるため構造の安定したローエッジVベルトBを製造することができる。円筒金型43は、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。なお、円筒金型43の内周面及び/又は未架橋スラブS’の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
【0033】
次いで、
図6Aに示すように、未架橋スラブS’を設けた円筒金型43を、膨張ドラム42を覆うように配置して基台41に取り付ける。従って、このとき、成形体36と膨張ドラム42の膨張スリーブ42bとの間に、筒状の未架橋ゴム組成物に心線13’が軸方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された抗張体38が設けられたものとなる。また、この膨張スリーブ42bの膨張前には、抗張体38と膨張スリーブ42bとの間に隙間が形成され、且つ成形体36と抗張体38とが接触するように設けられることとなる。
【0034】
そして、
図6Bに示すように、加熱手段により円筒金型43を昇温させると共に、加圧手段により膨張ドラム42のドラム本体42aの内部に高圧空気を導入して膨張スリーブ42bを径方向外向きに膨張させ、その状態を所定時間保持する。このとき、未架橋スラブS’は、各圧縮ゴム層形成部11a’が円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに嵌まった状態で、円筒金型43により加熱されると共に膨張スリーブ42bが接触することにより円筒金型43側に押圧される。つまり、成形体36の円筒金型43側への押圧を、成形体36の内側に配置された膨張スリーブ42bを膨張させて成形体36を内側から押圧することにより行う。また、未架橋スラブS’に含まれる圧縮ゴムシート11’及び接着ゴムシート12’のゴム成分の架橋が進行して一体化することにより、複数のローエッジVベルトBの圧縮ゴム層11及び接着ゴム層12で構成されるベルト本体10の連結体が形成されると共に、ゴム成分が心線13’及び補強布14’と接着して複合化し、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。加熱温度は例えば100〜180℃、圧力は例えば0.5〜2.0MPa、及び加工時間は例えば10〜60分である。
【0035】
なお、成形工程において、
図7に示すように、成形マンドレル31上にゴム製の成形用スリーブ37を被せ、その上に未架橋スラブS’を成形し、この架橋工程において、成形マンドレル31から未架橋スラブS’と共に成形用スリーブ37を抜き取り、
図8に示すように、それらを円筒金型43の内側に配置してもよい。つまり、膨張ドラム42と未架橋スラブS’との間に成形用スリーブ37を介設させてもよい。
【0036】
<仕上工程>
仕上工程では、加圧手段によるドラム本体42aの内部の加圧を解除すると共に、冷却手段により円筒金型43を冷却した後、基台41から円筒金型43を取り外し、円筒金型43から、その内側に成型されたベルトスラブSを取り出す。
【0037】
そして、
図9に示すように、円筒金型43から取り出したベルトスラブSを、圧縮ゴム層形成部11a’を単位に輪切りし、表裏を裏返すことにより実施形態1のローエッジVベルトBを得る。なお、必要に応じて、輪切りする前のベルトスラブSの外周側の表面、或いは、輪切りした後のローエッジVベルトBの圧縮ゴム層11側の表面を研磨等の表面処理をしてもよい。
【0038】
以上のローエッジVベルトBの製造方法1-1において、未架橋スラブS’には、未架橋ゴム組成物の圧縮ゴムシート11’で形成された筒状の成形体36が含まれ、その外周面には、各々、周方向に延びる複数の突条で構成された圧縮ゴム層形成部11a’が軸方向に連設されている。また、筒状の円筒金型43の内周面には、各々、周方向に延びる複数の圧縮ゴム層形成溝43aが軸方向(溝幅方向)に連設されている。そして、この製造方法1-1によれば、未架橋スラブS’に含まれる成形体36を円筒金型43の内側に配置し、成形体36の複数の突条のそれぞれにより構成される圧縮ゴム層11となる圧縮ゴム層形成部11a’が円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに嵌まった状態で筒状のベルトスラブSを成型し、そして、そのベルトスラブSを、圧縮ゴム層形成部11a’を単位に輪切りすることによりローエッジVベルトBを製造するので、少なくとも幅方向両側の傾斜面を形成するために廃棄ゴムが発生することはなく、従って、ローエッジVベルトBの製造全体において廃棄ゴムの発生を少量に抑えることができる。
【0039】
(製造方法1-2)
製造方法1-2について
図10に基づいて説明する。
【0040】
製造方法1-2では、成形工程において、圧縮ゴムシート11’を、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応した長さに切断し、それを圧縮ゴム層形成部11a’が外側となって周方向に延びるように両端を超音波カッター等でカットした上で超音波ウエルダー等により突き合わせジョイントで接合する。この突き合わせジョイントは、接合強度を高める観点から、圧縮ゴムシート11’の厚さ方向に対する傾斜面同士を突き合わせて接合することが好ましい。これにより、外周面に、各々、周方向に延びる突条で構成された複数の圧縮ゴム層形成部11a’が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体36を作製する。
【0041】
また、製造方法1-1の
図4A〜4Cに示すのと同様、成形マンドレル31上に、補強布14’、接着ゴムシート12’、心線13’、及び接着ゴムシート12’を順に積層した後、全周に渡って接着ゴムシート12’の上からローラー32で押圧して一体化させた筒状の抗張体38を作製する。
【0042】
架橋工程において、
図10に示すように、成形体36を円筒金型43の内側に配置する。具体的には、成形体36を、円筒金型43の内側に、成形体36の複数の圧縮ゴム層形成部11a’のそれぞれが円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに嵌まるように設ける。後述のように成形体36を加熱すると共に円筒金型43側に押圧する前に、このように予め圧縮ゴム層形成部11a’を圧縮ゴム層形成溝43aに嵌め入れておくことにより、ゴムの伸張が小さくなるため構造の安定したローエッジVベルトBを製造することができる。円筒金型43は、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。なお、円筒金型43の内周面及び/又は成形体36の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
【0043】
また、成形マンドレル31から抗張体38を抜き取り、製造方法1-1の
図6Aに示すのと同様の配置構成となるように、この抗張体38を、円筒金型43に設けた成形体36の内側に、その内周面に外周面が接触するように嵌め入れる。
【0044】
そして、これらの成形体36及び抗張体38を設けた円筒金型43を、膨張ドラム42を覆うように配置して基台41に取り付ける。従って、このとき、成形体36と膨張ドラム42の膨張スリーブ42bとの間に、筒状の未架橋ゴム組成物に心線13’が軸方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された抗張体38が設けられたものとなる。また、この膨張スリーブ42bの膨張前には、抗張体38と膨張スリーブ42bとの間に隙間が形成され、且つ成形体36と抗張体38とが接触するように設けられることとなる。
【0045】
なお、抗張体38上に圧縮ゴムシート11’を被せて未架橋スラブS‘を作製し、その未架橋スラブS’を円筒金型43の内側に配置してもよい。
【0046】
また、成形体36を円筒金型43の内側に配置する一方、抗張体38を膨張ドラム42の外側に配置してもよい。この場合、円筒金型43に設けた成形体36と膨張ドラム42に設けた抗張体38との間に隙間が形成される。そして、膨張ドラム42の膨張スリーブ42bを径方向外向きに膨張させると、抗張体38が径方向外向きに膨張して成形体36に接触し、それらの成形体36及び抗張体38は、その状態で、円筒金型43により加熱されると共に膨張スリーブ42bにより円筒金型43側に押圧され、ベルトスラブSが成型される。つまり、成形体36の円筒金型43側への押圧を、成形体36の内側に配置された膨張スリーブ42bを膨張させて成形体36を内側から押圧することにより行う。
【0047】
その他の構成及び作用効果は製造方法1-1と同一である。
【0048】
(製造方法1-3)
製造方法1-3について
図11並びに12A及びBに基づいて説明する。
【0049】
製造方法1-3では、膨張ドラム42が基台41に脱着可能に設けられた架橋装置40を用い、その膨張ドラム42を成形マンドレルとして供用する。膨張ドラム42は、中空円柱状に形成されたドラム本体42aと、その外周に外嵌めされたゴム製の膨張スリーブ42bとを有し、製造方法1-1及び製造方法1-2で用いたものと基本的には同様の構造であり、膨張スリーブ42bの両端のそれぞれが固定リング42dによりドラム本体42aに固定されて封止されている。
【0050】
成形工程において、成形機(不図示)に、軸方向が水平方向となるように膨張ドラム42を回転可能に軸支し、
図11に示すように、製造方法1-1と同様、膨張ドラム42上に、補強布14’、接着ゴムシート12’、心線13’、接着ゴムシート12’、及び圧縮ゴムシート11’を積層して未架橋スラブS’を成形する。
【0051】
架橋工程において、
図12Aに示すように、未架橋スラブS’を成形した膨張ドラム42を成形機から取り外し、それを架橋装置40の基台41に立設されるように取り付ける。
【0052】
次いで、円筒金型43を、膨張ドラム42を覆うように配置して基台41に取り付ける。円筒金型43は、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応したものであって、膨張ドラム42上に成形された未架橋スラブS’の外径よりも内径が大きいものを選択する。未架橋スラブS’は、各圧縮ゴム層形成部11a’の先端が円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aの開口位置に位置付けられる。従って、このとき、成形体36と膨張ドラム42の膨張スリーブ42bとの間に、筒状の未架橋ゴム組成物に心線13’が軸方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された抗張体38が設けられたものとなる。また、この膨張スリーブ42bの膨張前には、抗張体38が膨張スリーブ42b上に設けられ、且つ成形体36と抗張体38とが接触するように設けられることとなる。なお、円筒金型43の内周面及び/又は未架橋スラブS’の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
【0053】
そして、
図12Bに示すように、加熱手段により円筒金型43を昇温させると共に、加圧手段により膨張ドラム42のドラム本体42aの内部に高圧空気を導入して膨張スリーブ42bを径方向外向きに膨張させ、その状態を所定時間保持する。このとき、未架橋スラブS’は、膨張スリーブ42bにより押圧されて径方向外向きに膨張し、各圧縮ゴム層形成部11a’が円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに進入して嵌まり、その嵌まった状態で、円筒金型43により加熱されると共に膨張スリーブ42bにより円筒金型43側に押圧され、ベルトスラブSが成型される。つまり、成形体36の円筒金型43側への押圧を、成形体36の内側に配置された膨張スリーブ42bを膨張させて成形体36を内側から押圧することにより行う。
【0054】
その他の構成及び作用効果は製造方法1-1と同一である。
【0055】
(製造方法1-4)
製造方法1-4について
図13に基づいて説明する。
【0056】
製造方法1-4では、成形工程において、製造方法1-2と同様、筒状の成形体36を作製する。また、製造方法1-3と同様、膨張ドラム42が基台41に脱着可能に設けられた架橋装置40を用い、成形機(不図示)に、軸方向が水平方向となるように膨張ドラム42を回転可能に軸支し、製造方法1-2と同様、膨張ドラム42上に筒状の抗張体38を成形する。
【0057】
架橋工程において、製造方法1-2と同様、
図13に示すように、成形体36を円筒金型43の内側に配置する。具体的には、成形体36を、円筒金型43の内側に、成形体36の複数の圧縮ゴム層形成部11a’のそれぞれが円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに嵌まるように設ける。後述のように成形体36を加熱すると共に円筒金型43側に押圧する前に、このように予め圧縮ゴム層形成部11a’を圧縮ゴム層形成溝43aに嵌め入れておくことにより、ゴムの伸張が小さくなるため構造の安定したローエッジVベルトBを製造することができる。円筒金型43は、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。なお、円筒金型43の内周面及び/又は成形体36の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
【0058】
また、抗張体38を成形した膨張ドラム42を成形機から取り外し、それを架橋装置40の基台41に立設されるように取り付ける。更に、成形体36を設けた円筒金型43を、膨張ドラム42を覆うように配置して基台41に取り付ける。従って、このとき、成形体36と膨張ドラム42の膨張スリーブ42bとの間に、筒状の未架橋ゴム組成物に心線13’が軸方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された抗張体38が設けられたものとなる。また、膨張スリーブ42bの膨張前には、成形体36と抗張体38との間に隙間が形成され、且つ抗張体38が膨張スリーブ42b上に設けられることとなる。
【0059】
そして、加熱手段により円筒金型43を昇温させると共に、加圧手段により膨張ドラム42のドラム本体42aの内部に高圧空気を導入して膨張スリーブ42bを径方向外向きに膨張させ、その状態を所定時間保持する。このとき、膨張スリーブ42bにより押圧されて抗張体38は径方向外向きに膨張して成形体36に接触し、それらの成形体36及び抗張体38は、成形体36の各圧縮ゴム層形成部11a’が円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに嵌まった状態で、円筒金型43により加熱されると共に膨張スリーブ42bにより円筒金型43側に押圧され、ベルトスラブSが成型される。つまり、成形体36の円筒金型43側への押圧を、成形体36の内側に配置された膨張スリーブ42bを膨張させて成形体36を内側から押圧することにより行う。
【0060】
その他の構成及び作用効果は製造方法1-1と同一である。
【0061】
[実施形態2]
図14は、実施形態2に係る製造方法により製造するローエッジVベルトBを示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号を用いて示す。
【0062】
実施形態2のローエッジVベルトBでは、圧縮ゴム層11が表面部の表面ゴム層111と内部のコアゴム層112とを有する。
【0063】
表面ゴム層111及びコアゴム層112は、ゴム成分に各種の配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋した相互に異なるゴム組成物で形成されている。
【0064】
ゴム成分としては、例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー(EPDMやEPR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。ゴム成分は、これらのうち1種又は2種以上をブレンドしたものを用いることが好ましい。配合剤としては、カーボンブラックなどの補強材、充填材、可塑剤、加工助剤、架橋剤、共架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤等が挙げられ、表面ゴム層111を形成するゴム組成物に配合される配合剤としては、その他に、例えば、短繊維、フッ素樹脂粉、ポリエチレン樹脂粉、中空粒子、発泡剤などの表面性状改質材が挙げられる。
【0065】
その他の構成は
図1に示す実施形態1のローエッジVベルトBと同一である。
【0066】
(製造方法2-1)
実施形態2に係るローエッジVベルトBの製造方法2-1について
図15A及びB〜17に基づいて説明する。
【0067】
製造方法2-1は、部材準備工程、成形工程、架橋工程、及び仕上工程で構成されている。なお、これらのうち仕上工程は製造方法1-1と同一である。
【0068】
<部材準備工程>
部材準備工程では、表面ゴム層111となる表面ゴムシート111’、コアゴム層112となるコアゴムシート112’、接着ゴム層12となる接着ゴムシート12’、心線13’、及び補強布14’を作製する。なお、これらのうち接着ゴムシート12’、心線13’、及び補強布14’の作製方法は製造方法1-1と同一である。
【0069】
−表面ゴムシート111’−
ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用い、ゴム成分と配合剤とを混練した後、得られた未架橋ゴム組成物
(第2未架橋ゴム組成物)をカレンダー成形等によってシート状に成形して表面ゴムシート111’を作製する。なお、この表面ゴムシート111’には、ベルト表面となる側の表面に、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
【0070】
−コアゴムシート112’−
ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用い、ゴム成分と配合剤とを混練した後、得られた未架橋ゴム組成物
(第1未架橋ゴム組成物)をカレンダー成形等によって厚肉の未架橋ゴムシート112”に形成する。そして、この未架橋ゴムシート112”からコアゴムシート112’を作製する。
【0071】
コアゴムシート112’は、一方側の面に、各々、直線状に延びる突条で構成された複数のコアゴム層形成部112a’が並行に延びるように連設されたゴムシートである。複数のコアゴム層形成部112a’は同一形状である。各コアゴム層形成部112a’は、先端側に向かうに従って幅狭に形成されており、具体的には、断面形状が等脚台形に形成されている。
【0072】
このようなコアゴムシート112’は、
図15A及びBに示すように、未架橋ゴムシート112”を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’の形状に対応した周方向に延びる台形溝23aが軸方向に連設されたコアゴム型付ロール23とフラットロール24との間に通過させ、未架橋ゴムシート112”の一方の側の面にコアゴム型付ロール23の外周面の台形溝23aを型付けしてコアゴム層形成部112a’を形成することにより作製することができる。このとき、未架橋ゴムシート112”を加熱して可塑性を高めてもよい。また、コアゴムシート112’は、プレス成型や押出成型でも作製することができる。
【0073】
<成形工程>
成形工程では、まず、製造方法1-1の
図4A〜4Cに示すのと同様、成形マンドレル31上に、補強布14’、接着ゴムシート12’、心線13’、及び接着ゴムシート12’を順に積層した後、全周に渡って接着ゴムシート12’の上からローラー32で押圧して一体化させた筒状の抗張体38を作製する。
【0074】
次いで、
図16Aに示すように、抗張体38の接着ゴムシート12’上に、コアゴム層形成部112a’が外側となって周方向に延びるようにコアゴムシート112’を巻き付ける。このとき、成形マンドレル31の外側に、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’側の形状に切り抜かれた櫛形の第1のガイド34を、軸方向に延びると共に櫛歯34aが成形マンドレル31側を向くように設けることにより、コアゴムシート112’は、各コアゴム層形成部112a’が一対の櫛歯34a間に案内されて高精度に周方向に延びるように巻き付けられ、接着ゴムシート12’上に積層される。コアゴムシート112’は、超音波カッター等でカットした上で突き合わせジョイントで接合する。この突き合わせジョイントは、接合強度を高める観点から、コアゴムシート112’の厚さ方向に対する傾斜面同士を突き合わせて接合することが好ましい。なお、所定長のコアゴムシート112’を、コアゴム層形成部112a’が外側となるように両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを接着ゴムシート12’上に被せてもよい。このコアゴムシート112’を筒状に形成したものが、外周面に、各々、周方向に延びる複数の突条で構成されたコアゴム層形成部112a’が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体36を構成する。
【0075】
そして、
図16Bに示すように、コアゴムシート112’上に表面ゴムシート111’を巻き付けて未架橋スラブS’を構成する。このとき、第1のガイド34に代えて、コアゴムシート112’との間に表面ゴム層111の厚さ分の隙間が形成される形状に切り抜かれた櫛形の第2のガイド35を、軸方向に延びると共に櫛歯35aが成形マンドレル31側を向くように設けることにより、表面ゴムシート111’は、コアゴムシート112’と第2のガイド35との間の隙間に規制されてコアゴムシート112’の表面を被覆するように巻き付けられ、コアゴムシート112’上に積層される。
【0076】
後述の架橋工程において成形体36を含む未架橋スラブS’を加熱すると共に円筒金型43側に押圧する前に、このように予め表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’の表面を被覆しておくことにより、表面ゴムシート111’の伸張を小さく抑えることができるので、表面ゴム層111の厚さの均一なローエッジVベルトBを製造することができる。同様に、表面ゴムシート111’の伸張を小さく抑えて表面ゴム層111の厚さを均一に形成する観点からは、第2のガイド35により表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’の表面を被覆する前に、
図16Cに示すように、表面ゴムシート111’を、幅方向の断面がコアゴム層形成部112a’と同一ピッチを有する波形を形成するように蛇腹状に加工すると共に、そのコアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)側に凸となる部分がコアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間の溝の位置に位置付けられるように設け、その溝に嵌めるようにして伸び代を持たせることが好ましい。かかる加工方法としては、表面ゴムシート111’を平坦状から蛇腹状に形成する一対の板状又はロール状の部材間に連続して通す方法が挙げられる。このとき、長さ方向に沿って蛇腹のピッチが徐々に小さくなるように加工することが好ましい。
【0077】
表面ゴムシート111’は、コアゴムシート112’に密着するように設けられてもよく、また、密着せずに単に表面に沿うように設けられてもよい。表面ゴムシート111’は、突き合わせジョイント、ラップジョイント、又は目開きジョイントで接合する。なお、所定長の表面ゴムシート111’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それをコアゴムシート112’上に被せた後、第2のガイド35を用いて筒状の表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’の表面を全周に渡って被覆することにより、コアゴムシート112’上に表面ゴムシート111’を積層してもよい。
【0078】
以上のようにして、成形マンドレル31上に、補強布14’、接着ゴムシート12’、心線13’、接着ゴムシート12’、コアゴムシート112’、及び表面ゴムシート111’が内側から順に積層された円筒状の未架橋スラブS’を成形する。そして、この未架橋スラブS’は筒状の成形体36を含む。また、この未架橋スラブS’において、表面ゴムシート111’で被覆されたコアゴムシート112’が圧縮ゴムシート11’を構成する。更に、未架橋ゴム組成物の表面ゴムシート111’でコアゴム層形成部112a’が被覆されて圧縮ゴム層形成部11a’が構成されている。
【0079】
<架橋工程>
架橋工程では、製造方法1-1で用いたのと同様の架橋装置40を用いる。
【0080】
成形マンドレル31から未架橋スラブS’を抜き取り、この未架橋スラブS’を、架橋装置40における基台41から取り外した円筒金型43の内側に配置する。具体的には、未架橋スラブS’を、円筒金型43の内側に、未架橋スラブS’の複数の圧縮ゴム層形成部11a’(表面ゴムシート111’で被覆されたコアゴム層形成部112a’)のそれぞれが円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに嵌まるように設ける。後述のように成形体36を含む未架橋スラブS’を加熱すると共に円筒金型43側に押圧する前に、このように予め圧縮ゴム層形成部11a’を圧縮ゴム層形成溝43aに嵌め入れておくことにより、ゴムの伸張が小さくなるため構造の安定したローエッジVベルトBを製造することができる。このとき、円筒金型43の内側において、成形体36と表面ゴムシート111’は、成形体36が内側及び表面ゴムシート111’が外側となるように配置される。円筒金型43は、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。なお、円筒金型43の内周面及び/又は未架橋スラブS’の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
【0081】
次いで、
図17に示すように、未架橋スラブS’を設けた円筒金型43を、膨張ドラム42を覆うように配置して基台41に取り付ける。従って、このとき、成形体36と膨張ドラム42の膨張スリーブ42bとの間に、筒状の未架橋ゴム組成物に心線13’が軸方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された抗張体38が設けられることとなる。また、この膨張スリーブ42bの膨張前には、抗張体38と膨張スリーブ42bとの間に隙間が形成され、且つ成形体36と抗張体38とが接触するように設けられることとなる。
【0082】
そして、加熱手段により円筒金型43を昇温させると共に、加圧手段により膨張ドラム42のドラム本体42aの内部に高圧空気を導入して膨張スリーブ42bを径方向外向きに膨張させ、その状態を所定時間保持する。このとき、未架橋スラブS’は、各圧縮ゴム層形成部11a’が円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに嵌まった状態で、円筒金型43により加熱されると共に膨張スリーブ42bが接触することにより円筒金型43側に押圧される。つまり、成形体36の円筒金型43側への押圧を、成形体36の内側に配置された膨張スリーブ42bを膨張させて成形体36を内側から押圧することにより行う。また、未架橋スラブS’に含まれる表面ゴムシート111’、コアゴムシート112’、及び接着ゴムシート12’のゴム成分の架橋が進行して一体化することにより、複数のローエッジVベルトBの表面ゴム層111及びコアゴム層112を含む圧縮ゴム層11並びに接着ゴム層12で構成されるベルト本体10の連結体が形成されると共に、ゴム成分が心線13’及び補強布14’と接着して複合化し、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。
【0083】
その他の構成及び作用効果は製造方法1-1と同一である。
【0084】
なお、この製造方法2-1を製造方法1-3に適用し、製造方法1-3と同様の膨張ドラム42が基台41に脱着可能に設けられた架橋装置40を用い、膨張ドラム42を成形マンドレル31として供用して実施形態2のローエッジVベルトBを製造することもできる。
【0085】
(製造方法2-2)
製造方法2-2について
図18に基づいて説明する。
【0086】
製造方法2-2では、成形工程において、コアゴムシート112’を、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応した長さに切断し、それをコアゴム層形成部112a’が外側となって周方向に延びるように両端を超音波カッター等でカットした上で超音波ウエルダー等により突き合わせジョイントで接合する。この突き合わせジョイントは、接合強度を高める観点から、コアゴムシート112’の厚さ方向に対する傾斜面同士を突き合わせて接合することが好ましい。これにより、外周面に、各々、周方向に延びるコアゴム層形成部112a’が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体36を作製する。
【0087】
次いで、成形体36の表面を被覆するように表面ゴムシート111’を巻き付け、成形体36上に積層する。このとき、複数のコアゴム層形成部112a’のそれぞれが表面ゴムシート111’で被覆されて圧縮ゴム層形成部11a’が構成される。このように予め表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’の表面を被覆しておくことにより、表面ゴムシート111’の伸張が抑えられるため表面ゴム層111の厚さの均一なローエッジVベルトBを製造することができる。表面ゴムシート111’は、コアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)に密着して一体に設けられてもよく、また、密着せずに単に表面に沿うように設けられてもよい。表面ゴムシート111’は、突き合わせジョイント、ラップジョイント、又は目開きジョイントで接合する。なお、所定長の表面ゴムシート111’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを成形体36上に被せた後、表面ゴムシート111’を筒状にしたもので成形体36の表面を全周に渡って被覆してもよい。
【0088】
また、製造方法1-1の
図4A〜4Cに示すのと同様、成形マンドレル31上に、補強布14’、接着ゴムシート12’、心線13’、及び接着ゴムシート12’を順に積層した後、全周に渡って接着ゴムシート12’の上からローラー32で押圧して一体化させた筒状の抗張体38を作製する。
【0089】
架橋工程において、
図18に示すように、表面ゴムシート111’で被覆された成形体36を円筒金型43の内側に配置する。具体的には、表面ゴムシート111’で被覆された成形体36を、円筒金型43の内側に、各々、コアゴム層形成部112a’が表面ゴムシート111’で被覆されて構成された複数の圧縮ゴム層形成部11a’のそれぞれが円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに嵌まるように設ける。後述のように架橋工程において成形体36を加熱すると共に円筒金型43側に押圧する前に、このように予め圧縮ゴム層形成部11a’を圧縮ゴム層形成溝43aに嵌め入れておくことにより、ゴムの伸張が小さくなるため構造の安定したローエッジVベルトBを製造することができる。このとき、円筒金型43の内側において、成形体36と表面ゴムシート111’は、成形体36が内側及び表面ゴムシート111’が外側となるように配置される。円筒金型43は、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。なお、円筒金型43の内周面及び/又は成形体36を被覆する表面ゴムシート111’の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
【0090】
また、成形マンドレル31から抗張体38を抜き取り、製造方法2-1の
図17に示すのと同様の配置構成となるように、この抗張体38を、円筒金型43に設けた成形体36の内側に、その内周面に外周面が接触するように嵌め入れる。
【0091】
そして、これらの表面ゴムシート111’で被覆された成形体36及び抗張体38を設けた円筒金型43を、膨張ドラム42を覆うように配置して基台41に取り付ける。従って、このとき、成形体36と膨張ドラム42の膨張スリーブ42bとの間に、筒状の未架橋ゴム組成物に心線13’が軸方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された抗張体38が設けられることとなる。また、この膨張スリーブ42bの膨張前には、抗張体38と膨張スリーブ42bとの間に隙間が形成され、且つ成形体36と抗張体38とが接触するように設けられることとなる。
【0092】
なお、抗張体38上に表面ゴムシート111’で被覆された成形体36を被せて未架橋スラブS’を作製し、その未架橋スラブS’を円筒金型43の内側に配置してもよい。
【0093】
また、表面ゴムシート111’で被覆された成形体36を円筒金型43の内側に配置する一方、抗張体38を膨張ドラム42の外側に配置してもよい。この場合、円筒金型43に設けた表面ゴムシート111’で被覆された成形体36と膨張ドラム42に設けた抗張体38との間に隙間が形成される。そして、膨張ドラム42の膨張スリーブ42bを径方向外向きに膨張させると、抗張体38が径方向外向きに膨張して表面ゴムシート111’で被覆された成形体36に接触し、それらの表面ゴムシート111’で被覆された成形体36及び抗張体38は、その状態で、円筒金型43により加熱されると共に膨張スリーブ42bにより円筒金型43側に押圧され、ベルトスラブSが成型される。つまり、成形体36の円筒金型43側への押圧を、成形体36の内側に配置された膨張スリーブ42bを膨張させて成形体36を内側から押圧することにより行う。
【0094】
その他の構成及び作用効果は製造方法2-1と同一である。
【0095】
なお、この製造方法2-2を製造方法1-4に適用し、製造方法1-4と同様の膨張ドラム42が基台41に脱着可能に設けられた架橋装置40を用い、膨張ドラム42を成形マンドレル31として供用して実施形態2のローエッジVベルトBを製造することもできる。
【0096】
(製造方法2-3)
製造方法2-3について
図19A〜Cに基づいて説明する。
【0097】
製造方法2-3では、成形工程において、予め表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’を被覆し、表面ゴムシート111’で被覆されたコアゴムシート112’により圧縮ゴムシート11’を構成すると共に、表面ゴムシート111’で被覆されたコアゴム層形成部112a’により圧縮ゴム層形成部11a’を構成する。架橋工程において成形体36を含む未架橋スラブS’或いは成形体36を加熱すると共に円筒金型43側に押圧する前に、このように予め表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’の表面を被覆しておくことにより、表面ゴムシート111’の伸張が抑えられるため表面ゴム層111の厚さの均一なローエッジVベルトBを製造することができる。表面ゴムシート111’は、コアゴムシート112’に密着するように設けられてもよく、また、密着せずに単に表面に沿うように設けられてもよい。
【0098】
表面ゴムシート111’によるコアゴムシート112’の被覆は、
図19Aに示すように、コアゴム層形成部112a’の形状に対応した周方向に延びる台形突条25aが軸方向に連設された表面ゴム型付ロール25と、圧縮ゴム層形成部11a’の形状に対応した周方向に延びる台形溝26aが軸方向に連設された貼合ロール26とを間隔を有するように噛合させると共に、それらの間に表面ゴムシート111’を通過させて表面ゴム型付ロール25で型付けして貼合ロール26の表面に沿わせ、次いで、
図19Bに示すように、コアゴムシート112’を、コアゴム層形成部112a’が貼合ロール26の台形溝26aに嵌まるように、貼合ロール26とフラットロール27との間に通過させてコアゴムシート112’の表面に表面ゴムシート111’を貼り付けることにより行うことができる。ここで、生産性を高める観点から、
図15A及びBに示すように、コアゴム型付ロール23を用いて未架橋ゴムシート112”からコアゴムシート112’の型付けを行うと共に、
図19Aに示すように、表面ゴム型付ロール25及び貼合ロール26を用いて表面ゴムシート111’を貼合ロール26に沿わせ、それらを合わせて、
図19Bに示すように、前者からのコアゴムシート112’に後者の貼合ロール26の表面ゴムシート111’を貼り合せることにより、未架橋ゴムシート112”及び表面ゴムシート111’から圧縮ゴムシート11’を連続して作製することが好ましい。
【0099】
架橋工程において成形体36を含む未架橋スラブS’或いは成形体36を加熱すると共に円筒金型43側に押圧する前に、このように予め表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’の表面を被覆し、しかも、表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)の表面を被覆する前に、表面ゴムシート111’をコアゴム層形成部111a’の表面に沿う形状に形成しておくことにより、表面ゴムシート111’の伸張を小さく抑えることができるので、表面ゴム層111の厚さの均一なローエッジVベルトBを製造することができる。同様に、表面ゴムシート111’の伸張を抑える観点からは、製造方法2-1の場合と同様、表面ゴムシート111’でコアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)の表面を被覆する前における表面ゴムシート112’の表面ゴム型付ロール25への供給前に、表面ゴムシート111’を、幅方向の断面がコアゴム層形成部112a’と同一ピッチを有する波形を形成するように蛇腹状に加工し、
図19Cに示すように、そのコアゴムシート112’(コアゴム層形成部112a’)側に凸となる部分が表面ゴム型付ロール25の台形突状25a間の溝の位置、従って、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間の溝の位置に位置付けられるように設け、その溝に嵌めるようにして伸び代を持たせることが好ましい。
【0100】
なお、表面ゴムシート111’によるコアゴムシート112’の被覆はプレス加工によっても行うことができる。
【0101】
このように表面ゴムシート111’で被覆したコアゴムシート112’は、製造方法2-1においては、それを接着ゴムシート12’上に巻き付けて未架橋スラブS’を成形するのに用いることができる。製造方法2-2においては、それを表面ゴムシート111’で被覆された成形体36を作製するのに用いることができる。
【0102】
その他の構成及び作用効果は製造方法2-1又は2-2と同一である。
【0103】
(製造方法2-4)
製造方法2-4について
図20A及びB並びに21A及びBに基づいて説明する。
【0104】
製造方法2-4では、成形工程において、製造方法2-1と同様(製造方法1-1の
図4A〜4C参照)、成形マンドレル31上に、補強布14’、接着ゴムシート12’、心線13’、及び接着ゴムシート12’を順に積層した後、全周に渡って接着ゴムシート12’の上からローラー32で押圧して一体化させ、その上にコアゴムシート112’を巻き付ける。
【0105】
そして、
図20Aに示すように、コアゴムシート112’上に表面ゴムシート111’を巻き付ける。このとき、表面ゴムシート111’は、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’の頂部で支持されるように円筒状に巻き付けられ、コアゴムシート112’上に積層される。表面ゴムシート111’は、突き合わせジョイント、ラップジョイント、又は目開きジョイントで接合する。なお、表面ゴムシート111’の伸張を抑えて表面ゴム層111の厚さを均一に形成する観点からは、
図20Bに示すように、表面ゴムシート111’におけるコアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間に対応する部分を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間の溝に押し込むようにしてもよい。同じの観点からは、製造方法2-1の
図16Cに示すのと同様に、表面ゴムシート111’を、幅方向の断面がコアゴム層形成部112a’と同一ピッチを有する波形を形成するように蛇腹状に加工し、そのコアゴムシート112’側に凸となる部分を、コアゴムシート112’のコアゴム層形成部112a’間の溝に嵌めるようにして伸び代を設けてもよい。また、所定長の表面ゴムシート111’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それをコアゴムシート112’上に被せてもよい。この場合、表面ゴムシート111’を筒状に形成したものをコアゴムシート112’上に被せる操作を成形マンドレル31上で行うが、成形マンドレル31からコアゴムシート112’を含む筒状体を抜き取った後に行うこともできる。
【0106】
以上のようにして、成形マンドレル31上に、補強布14’、接着ゴムシート12’、心線13’、接着ゴムシート12’、コアゴムシート112’、及び表面ゴムシート111’が内側から順に積層された円筒状の未架橋スラブS’を成形する。この未架橋スラブS’は、コアゴムシート112’を筒状に形成したもの、つまり、外周面に、各々、周方向に延びる複数の突条で構成されたコアゴム層形成部112a’が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体36を含む。
【0107】
架橋工程において、
図21Aに示すように、成形マンドレル31から未架橋スラブS’を抜き取り、この未架橋スラブS’を、架橋装置40における基台41から取り外した円筒金型43の内側に配置する。具体的には、未架橋スラブS’を、円筒金型43の内側に、表面ゴムシート111’の外周面が間隔をおいて接触すると共にコアゴムシート112’の複数のコアゴム層形成部112a’のそれぞれが円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aの開口位置に位置付けられるように設ける。円筒金型43の内側において、成形体36と表面ゴムシート111’は、成形体36が内側及び表面ゴムシート111’が外側となるように配置される。コアゴム層形成部112a’は、表面ゴムシート111’を押圧して一部分が圧縮ゴム層形成溝43aに進入していてもよい。従って、このとき、成形体36と膨張ドラム42の膨張スリーブ42bとの間に、筒状の未架橋ゴム組成物に心線13’が軸方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された抗張体38が設けられることとなる。また、この膨張スリーブ42bの膨張前には、抗張体38と膨張スリーブ42bとの間に隙間が形成され、且つ成形体36と抗張体38とが接触するように設けられることとなる。円筒金型43は、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。なお、円筒金型43の内周面及び/又は未架橋スラブS’の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
【0108】
そして、加熱手段により円筒金型43を昇温させると共に、加圧手段により膨張ドラム42のドラム本体42aの内部に高圧空気を導入して膨張スリーブ42bを径方向外向きに膨張させ、その状態を所定時間保持する。このとき、
図21Bに示すように、未架橋スラブS’は、膨張した膨張スリーブ42bが接触することにより円筒金型43側に押圧される。つまり、成形体36の円筒金型43側への押圧を、成形体36の内側に配置された膨張スリーブ42bを膨張させて成形体36を内側から押圧することにより行う。コアゴムシート112’は、表面ゴムシート111’を押圧して伸張させると共に、その表面ゴムシート111’で被覆されて圧縮ゴムシート11’を構成する。また、コアゴムシート112’の複数のコアゴム層形成部112a’のそれぞれは、表面ゴムシート111’を押圧して伸張させながら円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに進入し、圧縮ゴム層形成溝43a内において、コアゴム層形成部112a’が表面ゴムシート111’で被覆された圧縮ゴム層形成部11a’を構成する。つまり、この段階で、製造方法2-1の
図17に示すのと同様の状態が得られる。従って、未架橋スラブS’は、各圧縮ゴム層形成部11a’(表面ゴムシート111’で被覆されたコアゴム層形成部112a’)が円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aに嵌まった状態で、円筒金型43により加熱される。これにより未架橋スラブS’に含まれる表面ゴムシート111’、コアゴムシート112’、及び接着ゴムシート12’のゴム成分の架橋が進行して一体化し、複数のローエッジVベルトBの表面ゴム層111及びコアゴム層112を含む圧縮ゴム層11並びに接着ゴム層12で構成されるベルト本体10の連結体が形成されると共に、ゴム成分が心線13’及び補強布14’と接着して複合化し、最終的に、円筒状のベルトスラブSが成型される。
【0109】
その他の構成及び作用効果は製造方法2-1と同一である。
【0110】
なお、この製造方法2-4を製造方法1-3に適用し、製造方法1-3と同様の膨張ドラム42が基台41に脱着可能に設けられた架橋装置40を用い、膨張ドラム42を成形マンドレル31として供用して実施形態2のローエッジVベルトBを製造することもできる。
【0111】
(製造方法2-5)
製造方法2-5について
図22に基づいて説明する。
【0112】
製造方法2-5では、成形工程において、所定長のコアゴムシート112’を、コアゴム層形成部112a’が外側となるように両端を接合して筒状に形成することにより、外周面に、各々、周方向に延びる複数のコアゴム層形成部112a’が軸方向に連設され且つ未架橋ゴム組成物で形成された筒状の成形体36を作製する。コアゴムシート112’は、超音波カッター等でカットした上で突き合わせジョイントで接合する。この突き合わせジョイントは、接合強度を高める観点から、コアゴムシート112’の厚さ方向に対する傾斜面同士を突き合わせて接合することが好ましい。
【0113】
次いで、成形体36に表面ゴムシート111’を巻き付ける。このとき、表面ゴムシート111’は、成形体36のコアゴム層形成部112a’の頂部で支持されるように円筒状に巻き付けられ、成形体36上に積層される。表面ゴムシート111’は、突き合わせジョイント、ラップジョイント、又は目開きジョイントで接合する。なお、所定長の表面ゴムシート111’の両端を接合して筒状に形成したものを作製し、それを成形体36に被せてもよい。
【0114】
また、製造方法1の
図4A〜4Cに示すのと同様、成形マンドレル31上に、補強布14’、接着ゴムシート12’、心線13’、及び接着ゴムシート12’を順に積層した後、全周に渡って接着ゴムシート12’の上からローラー32で押圧して一体化させた筒状の抗張体38を作製する。
【0115】
架橋工程において、
図22に示すように、表面ゴムシート111’を被せた成形体36を、架橋装置40における基台41から取り外した円筒金型43の内側に配置する。具体的には、表面ゴムシート111’を被せた成形体36を、円筒金型43の内側に、表面ゴムシート111’の外周面が周方向に間隔をおいて接触すると共に成形体36の複数のコアゴム層形成部112a’のそれぞれが円筒金型43の対応する圧縮ゴム層形成溝43aの開口位置に位置付けられるように設ける。このとき、円筒金型43の内側において、成形体36と表面ゴムシート111’は、成形体36が内側及び表面ゴムシート111’が外側となるように配置される。コアゴム層形成部112a’は、表面ゴムシート111’を押圧して一部分が圧縮ゴム層形成溝43aに進入していてもよい。円筒金型43は、製造するローエッジVベルトBのベルト長さに対応したものを選択する。なお、円筒金型43の内周面及び/又は表面ゴムシート111’の外周面には、予め短繊維や樹脂粉等を付着させておいてもよい。
【0116】
また、成形マンドレル31から抗張体38を抜き取り、製造方法2-4の
図21Aに示すのと同様の配置構成となるように、この抗張体38を、円筒金型43に設けた成形体36の内側に、その内周面に外周面が接触するように嵌め入れる。従って、このとき、成形体36と膨張ドラム42の膨張スリーブ42bとの間に、筒状の未架橋ゴム組成物に心線13’が軸方向にピッチを有する螺旋を形成するように埋設された抗張体38が設けられることとなる。また、この膨張スリーブ42bの膨張前には、抗張体38と膨張スリーブ42bとの間に隙間が形成され、且つ成形体36と抗張体38とが接触するように設けられることとなる。
【0117】
その他の構成及び作用効果は製造方法2-4と同一である。
【0118】
なお、この製造方法2-5を製造方法1-4に適用し、製造方法1-4と同様の膨張ドラム42が基台41に脱着可能に設けられた架橋装置40を用い、膨張ドラム42を成形マンドレル31として供用して実施形態2のローエッジVベルトBを製造することもできる。
【0119】
[その他の実施形態]
上記実施形態1及び2では、
図1及び14に示す構成のローエッジVベルトBとしたが、特にこれらに限定されるものではなく、例えば、
図23Aに示すような圧縮ゴム層11に下コグ15が形成されたシングルコグ型のローエッジVベルトBや
図23Bに示すような圧縮ゴム層11及び伸張ゴム層16の両方に上下コグ15,17が形成されたダブルコグ型のローエッジVベルトBであってもよい。これらの圧縮ゴム層11に下コグ15が形成されたローエッジVベルトBを製造する場合には、
図24Aに示すような下コグ形成部15’が形成された圧縮ゴムシート11’を用いればよく、また、伸張ゴム層16に上コグ17が形成されたローエッジVベルトBを製造する場合には、
図24Bに示すような上コグ形成部17’が形成された伸張ゴムシート16’を用いればよい。これらの下コグ形成部15’が形成された圧縮ゴムシート11’及び上コグ形成部17’が形成された伸張ゴムシート16’は製造方法1-1、製造方法2-1、及び製造方法2-3に示したのと同様の方法で作製することができる。
【0120】
上記実施形態1及び2では、円筒金型43を用いて未架橋スラブS’を架橋させる構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、未架橋スラブを2軸間に懸架し、複数の圧縮ゴム層形成溝が溝幅方向に連設された板状のベルト型と平板型との間で未架橋スラブの一部分をプレス成型して順次周方向に送りながら架橋させる構成であってもよい。
ローエッジVベルトの製造方法では、複数の圧縮ゴム層形成溝(43a)が連設されたベルト型(43)を用いる。外周面に複数の圧縮ゴム層形成部(11a’)が連設された成形体(36)を、圧縮ゴム層形成部(11a’)がベルト型(43)の圧縮ゴム層形成溝(43a)に嵌まった状態で、架橋させてベルトスラブを成型する。ベルトスラブを、圧縮ゴム層形成部(11a’)を単位に輪切りする。