(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6227845
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】蒸気を生成するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F22B 1/28 20060101AFI20171030BHJP
F22B 27/16 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
F22B1/28 Z
F22B27/16
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-526865(P2017-526865)
(86)(22)【出願日】2016年7月20日
(86)【国際出願番号】EP2016067222
(87)【国際公開番号】WO2017021141
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2017年5月18日
(31)【優先権主張番号】15179634.9
(32)【優先日】2015年8月4日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ワドワ サヒル
(72)【発明者】
【氏名】ジアーン ヨーン
(72)【発明者】
【氏名】ブルッフィンク ウィルヘルムス ヘンドリクス マリア
(72)【発明者】
【氏名】リー チェン シーアーン
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4213299(US,A)
【文献】
特表2004−521303(JP,A)
【文献】
特公昭44−3039(JP,B1)
【文献】
国際公開第2007/114589(WO,A1)
【文献】
特開2009−30963(JP,A)
【文献】
米国特許第2505170(US,A)
【文献】
米国特許第4616122(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第2309071(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/28
F22B 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を生成するための装置であって、
水を噴霧するための開放端を持つ水出口構成と、
前記開放端を囲む水受容構成であって、前記水受容構成は、室を定義する内側面を有し、前記室において、前記開放端から噴霧された水が前記内側面上に噴霧されるよう、前記開放端が配置された、水受容構成と、
前記内側面上に噴霧された水から蒸気を生成するための温度にまで、前記内側面を加熱するための加熱要素と、
を有し、前記内側面は、2つの別個の空洞により形成され、前記開放端は、各前記空洞内に受容された噴霧ノズルを有し、各前記噴霧ノズルは、それぞれの前記噴霧ノズルが受容される前記空洞により定義される前記内側面の領域上に水を噴霧する、装置。
【請求項2】
前記内側面が湾曲した、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記内側面は凹状である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記2つの別個の空洞は、対称軸に対して対称に配置された、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記室と流体連通したチャネルを更に有し、前記チャネルは、前記水受容構成を通り、前記水受容構成の外側面まで延在する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
内側面から落ちたスケールを集めるための容器を更に有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記水受容構成は、前記加熱要素と前記内側面との間の熱的な接触を提供する鋳造材料を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記水出口構成へと水をポンピングするよう構成されたポンプを更に有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
トリガ機構であって、ユーザにより前記トリガ機構が起動されたときに、前記水出口構成へと水をポンピングするよう前記ポンプを制御するよう構成された、トリガ機構を更に有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記水出口構成と流体連通し、前記水出口構成により前記内側面に噴霧される水を収容するよう構成された、水タンクを更に有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
水を噴霧するための開放端を持つ水出口構成と、前記開放端を囲み、前記開放端が配置された室を定義する内側面を持つ、水受容構成と、蒸気を生成するための温度にまで、前記内側面を加熱するための加熱要素と、を有し、前記内側面は、2つの別個の空洞により形成され、前記開放端は、各前記空洞内に受容された噴霧ノズルを有する、蒸気を生成するための装置において、蒸気を生成する方法であって、前記方法は、
各前記噴霧ノズルが、それぞれの前記噴霧ノズルが受容される前記空洞により定義される前記内側面の領域上に水を噴霧するよう、前記噴霧ノズルを制御するステップを有する、方法。
【請求項12】
前記内側面が交互に加熱及び冷却されるよう、間欠的に前記内側面に噴霧するステップを更に有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記内側面が交互に加熱及び冷却されたときに、前記内側面に形成されたスケールが、前記内側面の下に配置された容器へと落ちるように、前記装置を略垂直な態様で保持するステップを更に有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を生成するための装置及び対応する蒸気を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルド型スチーマは一般に、小型の水タンク、低流量のポンプ、及び低パワーの蒸気生成ユニットを、同一のハンドル部内に有する。殆どのハンドヘルド型スチーマにおいて、蒸気生成の機構は、蒸気量に応じて、瞬間沸騰又は流水型(flow-through)加熱であり、蒸気はポンピングにより、即ち熱い面に水を供給することにより、必要に応じて生成される。次いで、近くにある蒸気孔が、衣類へと蒸気を放出する。斯かる製品のサイズ及び重量の制約のため、斯かるスチーマは限られた量の蒸気しか生成しない傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ハンドヘルド型スチーマにおける瞬間的な蒸気生成については、限られた空間における大きな蒸気量は、上述した限られた空間内において大量の水及びエネルギー抽出を管理する必要があるため、達成が困難である。流水型加熱は、流れる水について熱抽出面を増大させるためにしばしば用いられ、より高い蒸気量を得ることが可能であるが、ボイラ又は加熱ボウルほど蒸気量は高くはない。しかしながら、天然の硬水が用いられる場合には、高い蒸気量は多くのスケールを導き、流水型加熱器の蒸気量が最適化された「迷路型」の設計はしばしば、より早くスケールによって詰まってしまうことに帰着し得る。斯かる流水型加熱器の内側はアクセスできないため、詰まりが取り除かれる/洗浄されることができず、製品が機能しなくなってしまう。
【0004】
米国特許出願公開US2005/169614は、高圧飽和蒸気を生成するための機器を開示している。該機器は、水タンク、ポンプ、逆止弁、噴霧ノズル、中空加熱室、及び蒸気出口を含む。該ポンプは、該水タンクと該逆止弁との間に接続される。該逆止弁は、該噴霧ノズルを介して該加熱室と接続される。該噴霧ノズルは、該中空加熱室の中へと延在し、該室に水を噴霧する。
【0005】
本発明は、上述した問題を回避及び/又は軽減し得る、蒸気を生成するための装置を提案する
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、独立請求項により定義される。従属請求項は、有利な実施例を定義する。
【0007】
本発明の一態様によれば、水を噴霧するための開放端を持つ水出口構成を有する、蒸気を生成するための装置が提供される。前記装置はまた、前記開放端を囲む水受容構成を有する。該水受容構成は、室を定義する内側面を有し、前記室において、前記開放端から噴霧された水が前記内側面上に噴霧されるよう、前記開放端が配置される。前記装置は更に、前記内側面上に噴霧された水から蒸気を生成するための温度にまで、前記内側面を加熱するための少なくとも1つの加熱要素を有し、前記内側面は、2つの別個の空洞により形成され、前記開放端は、各前記空洞内に受容された噴霧ノズルを有し、各前記噴霧ノズルは、それぞれの前記噴霧ノズルが受容される前記空洞により定義される前記内側面の領域上に水を噴霧する。
【0008】
該開放端が配置された室を水受容構成の内側面が定義するよう、水出口構成の開放端を囲む水受容構成を備えることにより、水出口構成により噴霧された水が、該内側面により均一に広がり、より効果的な加熱に導き得、より多くの蒸気が単位時間当たりに生成され得る。
【0009】
更に、流水型加熱器の「迷路型の」設計の必要性が回避され、詰まりの可能性を低減し得る。
【0010】
好適な実施例においては、前記内側面が湾曲している。該湾曲した内側面は、水が噴霧される表面積を増大させ、より効果的な加熱及び蒸気生成に導く。スケールは、該内側面に形成され得る。該面が加熱されているとき(水が該面に噴霧されていないとき)のスケールの間欠的な膨張、及び該面が冷却されているとき(水が該面に噴霧されているとき)のスケールの収縮は、該内側面からスケールを剥がし得る。該面の湾曲は、該スケールの剥がれを更に促進し得る。
【0011】
好適な実施例においては、前記内側面は凹状である。
【0012】
好適な実施例においては、前記少なくとも2つの別個の空洞は、対称軸に対して対称に配置されても良い。
【0013】
好適な実施例においては、前記装置は更に、前記室と流体連通したチャネルを有し、前記チャネルは、前記水受容構成を通り、前記水受容構成の外側面まで延在する。該チャネルは、前記内側面から生成された蒸気が、該水受容構成の外側面へと通過することを可能とする。
【0014】
好適な実施例においては、前記装置は更に、少なくとも1つの内側面から落ちたいずれのスケールをも集めるための容器を有する。該容器は、該内側面の下に配置され、該内側面から剥がれ落ちたスケールが、該容器により集められるようにする。該容器は、集められたスケールをユーザが空にすることを容易化するため、該装置から取り外し可能であっても良い。
【0015】
好適な実施例においては、前記水受容構成は、前記加熱要素と前記内側面との間の熱的な接触を提供する鋳造材料を有する。
【0016】
好適な実施例においては、前記装置は更に、前記水出口構成へと水をポンピングするよう構成されたポンプを有する。
【0017】
好適な実施例においては、前記装置は更に、トリガ機構であって、ユーザにより前記トリガ機構が起動されたときに、前記水出口構成へと水をポンピングするよう前記ポンプを制御するよう構成された、トリガ機構を有する。
【0018】
好適な実施例においては、前記装置は更に、前記水出口構成と流体連通し、前記水出口構成により前記内側面に噴霧される水を収容するよう構成された、水タンクを有する。
【0019】
本発明の他の態様によれば、水を噴霧するための開放端を持つ水出口構成と、前記開放端を囲み、前記開放端が配置された室を定義する内側面を持つ、水受容構成と、蒸気を生成するための温度にまで、前記内側面を加熱するための加熱要素と、を有し、前記内側面は、2つの別個の空洞により形成され、前記開放端は、各前記空洞内に受容された噴霧ノズルを有する、蒸気を生成するための装置において、蒸気を生成する方法であって、前記方法は、
各前記噴霧ノズルが、それぞれの前記噴霧ノズルが受容される前記空洞により定義される前記内側面の領域上に水を噴霧するよう、前記噴霧ノズルを制御するステップを有する、方法が提供される。
【0020】
水受容構成の内側面を、水出口構成の端を囲むよう配置することは、該内側面に噴霧された水が、より均一に該内側面に広がるようにし、それにより水がより効果的に加熱されて、より多くの蒸気を単位時間当たりに生成するようにする。
【0021】
有利にも、前記方法は更に、前記内側面が交互に加熱及び冷却されるよう、間欠的に前記内側面に噴霧するステップを有しても良い。該噴霧は、トリガ機構を用いることにより、ユーザにより起動されても良い。該内側面が加熱されているときには、該内側面上に堆積したいずれのスケールもが膨張し得る。該内側面に水を間欠的に噴霧することは、該内側面を冷却し、スケールの収縮を引き起こし得る。反復されるスケールの膨張及び収縮が、スケールを該内側面から剥がれ落ちさせ得る。斯くしてスケールが該内側面から除去され、該内側面においてスケールが蓄積する可能性が低減される。
【0022】
有利にも、該方法はまた、前記内側面が交互に加熱及び冷却されたときに、前記内側面に形成されたスケールが、前記内側面の下に配置された容器へと落ちるように、前記装置を略垂直な態様で保持するステップを有しても良い。該内側面から剥がれ落ちたスケールは、該容器へと落ち、比較的容易な態様で集められ得る。
【0023】
本発明の実施例は、添付図面を参照しながら、単に例として以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例の装置の一部の断面図である。
【
図2】
図1に示された本発明の実施例による装置全体の断面図である。
【
図3】本発明の実施例による方法のフロー図である。
【
図4】本発明の他の実施例による方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
蒸気を生成するための本発明の実施例による装置が、図に示される(1及び2)。装置1は、ハンドヘルド型スチーマの形をとる。
【0026】
装置1は、水を噴霧するための少なくとも1つの開放端3を持つ水出口構成2を有する。装置1はまた、該少なくとも1つの開放端3を囲む水受容構成4を有する。水受容構成4は、少なくとも1つの開放端3が配置された室6を定義する少なくとも1つの内側面5を有し、少なくとも1つの開放端3から噴霧される水が少なくとも1つの内側面5に噴霧されるようにする。装置1は更に、少なくとも1つの内側面5に噴霧された水から蒸気を生成するための温度にまで、少なくとも1つの内側面5を加熱するための、少なくとも1つの加熱要素7を有する。
【0027】
液体の水が、水出口構成2から、少なくとも1つの開放端3を通り、水受容構成4の少なくとも1つの内側面5へと噴霧される。少なくとも1つの内側面5は、少なくとも1つの加熱要素7により加熱され、該液体の水が蒸気へと蒸発させられる。該液体の水は、瞬間沸騰を用いて、蒸気へと蒸発させられる。蒸気を生成するための温度は例えば、約100℃乃至約250℃の範囲内のいずれの値であっても良く、例えば約100℃乃至約200℃、約100℃乃至約180℃、約100℃乃至約130℃であっても良い。しかしながら、蒸気を生成するための温度は代替として、当該範囲外の値であっても良い。実際の温度は、圧力のような要因に依存する。
【0028】
少なくとも1つの内側面5は湾曲しており、例えば凹状の態様である。湾曲した面は、平坦な面に比べて、より大きな表面積をもたらす。水出口構成2は、噴霧ノズル2のようなノズルを含んでも良い。噴霧ノズル2は、少なくとも1つの内側面5の複数の領域に、液体の水を噴霧するよう構成される。少なくとも1つの内側面5は、少なくとも2つの別個の空洞14a、14bを形成しても良く、ここで各空洞は、少なくとも1つの開放端3の1つの開放端を受容する。
図1に示された装置1は、第1の空洞14a内に配置された第1の噴霧ノズル2と、第2の空洞14b内に配置された第2の噴霧ノズルと、を示している。少なくとも2つの別個の空洞14a、14bは、対称軸L1のまわりに対称に配置される。
図1に示されるように、水出口構成2と水受容構成4とは、同心の態様で配置されても良い。水出口構成2の少なくとも1つの開放端3の各々は、装置1の幾何学的対称軸L1に略平行なそれぞれの直線L2に沿った内側面5の第1の点p1と、線L2に沿った内側面5の第2の点p2と、の間に配置される。それぞれの第2の点p2は、それぞれの第1の点p1から離れた距離にある。
【0029】
各噴霧ノズル2をそれぞれの空洞14a、14b内に配置することは、それぞれの空洞14a、14bの内側面5において、より均一に液体の水を拡散させることを支援する。該少なくとも1つの内側面の表面積は、より効果的な加熱のため、大きく増大させられる。湾曲した内側面5は、スチーマ1のサイズを小型に保ちつつ、ハンドヘルド型スチーマ1が約40gm/分の高い蒸気量をサポートすることを可能とする。
【0030】
装置1は更に、室6と流体連通したチャネル8を有する。チャネル8は、水受容構成4を通り、水受容構成4の外側面9まで延在する。装置1は、複数の開口13を持つヘッド12を備えた外側筐体11を有する。複数の開口13は、蒸気孔13とも示され得る。内側面5において液体の水から生成された蒸気は、チャネル8を通り、水受容構成の外側面9とヘッド12との間の領域へと移動し、更に開口13を通り外部環境へと移動する。蒸気がチャネル8を通って移動するにつれて、蒸気は更に加熱される。開口13から放出される蒸気は、衣類の処置に用いられる。
【0031】
水受容構成4は、少なくとも1つの加熱要素7と少なくとも1つの内側面5との間の熱的な接触を提供する、鋳造材料4を有する。鋳造材料4は、優れた熱伝導率の材料であっても良い。更に、鋳造材料4は好適には、比較的軽量で低質量のものであっても良い。鋳造材料4の例は、アルミニウムであり得る。鋳造材料4の他の例は、Zamakであり得る。Zamakは、アルミニウム、マグネシウム及び銅の合金素材を伴う亜鉛の基礎を含む合金である。Zamakにおけるアルミニウムの組成は、約3%乃至約4%であり得る。加熱要素7は、コイルを通って電流が流れたときに抵抗により加熱する抵抗性コイルであっても良い。一実施例においては、水受容構成4は、鋳造材料4を通って延在するチャネル8との、鋳造材料4の単一の部品であっても良い。代替の実施例においては、水受容構成4は、チャネル8を定義するよう構成された鋳造材料4の幾つかの別個の部品を含んでも良い。
【0032】
一実施例においては、少なくとも1つの内側面5は親水性であり、少なくとも1つの内側面5に噴霧された液体の水が少なくとも1つの内側面5を湿らせ、より効果的な蒸気の生成に導いても良い。少なくとも1つの内側面5は、蒸気生成を促進させる被覆(図示されていない)を有しても良い。該被覆は例えば、コロイド状の蒸気促進材であっても良い。該被覆は、液体の水が少なくとも1つの内側面5上を広がり、液体の水がより効率良く蒸気へと蒸発させられるようにする。これに加えて、又は代替として、該被覆は、少なくとも1つの加熱要素7により過度に速く液体の水が加熱されることを防止するための断熱材として機能し、それ故、液体の水と少なくとも1つの内側面5との間に水蒸気の層が形成されて液体の水が少なくとも1つの内側面5と直接に接触することを妨げ、蒸気への液体の水の効果的な蒸発を妨げる、ライデンフロスト(Leidenfrost)効果が軽減される。それ故、該被覆は、蒸気への液体の水の蒸発量を増大させるよう構成される。該被覆は多孔質であっても良く、水受容構成4の内側面5を形成しても良い。
【0033】
装置1は更に、少なくとも1つの内側面5から落ちたいずれのスケールをも集めるための容器10を有しても良い。容器10は、装置1から着脱可能又は取り外し可能であっても良い。装置1は、装置1に容器10を可逆的に装着するための装着機構(図示されていない)を含んでも良い。該装置の使用に先立ち、容器10は該装着機構を介して装置1に装着されても良い。装置1の使用の後、ユーザが容器10を空にしたいと欲する場合には、ユーザは単に装置1から容器10を取り外すことができる。装置1が該装置の使用の間垂直に保持される場合には、容器10は少なくとも1つの内側面5の鉛直方向下において該内側面5に面するよう配置される。そのため、装置1が使用の間に垂直に保持される場合には、少なくとも1つの内側面5から剥がれたスケールが、重力により容器10の中へ直接に落ちる。
【0034】
水出口構成2へと水をポンピングするため、ポンプ15が用いられる。装置1は、ユーザによりトリガ機構が起動されたときに、水出口構成2へと水をポンピングするようポンプ15を制御するよう構成されたトリガ機構16(例えばボタン)を有しても良い。水はこのとき、少なくとも1つの内側面5へと噴霧される。ポンプ15は、水の供給量、即ちトリガ機構16が起動されるたびに水出口構成2により噴霧される水が、最適化されるように構成されても良い。該供給量は、効率良く蒸気を生成するため加熱された内側面5により供給される熱エネルギーを完全に利用することが可能なほど十分に大きいべきであり、且つ各供給における液体の水が完全に蒸気へと変換されることが可能なほど十分に小さいべきである。該装置は更に、水出口構成2と流体連通した水タンク17を有する。水タンク17は、水出口構成2により少なくとも1つの内側面5へと噴霧される水を収容するよう構成される。トリガ機構16が起動されると、水がポンプ15により水タンク17からポンピングされる。
【0035】
使用の間、該少なくとも1つの内側面は、少なくとも1つの内側面5に噴霧された水から蒸気を生成するための温度にまで、少なくとも1つの加熱要素7により加熱される。水が少なくとも1つの内側面5に噴霧されると、少なくとも1つの内側面5は一時的に冷却される。内側面5の反復される加熱及び冷却は、スケールが反復される膨張及び収縮を経るため、少なくとも1つの内側面5に蓄積したスケールの剥がれを促進することを支援し得る。特定のレベルにまでスケールが蓄積した後には、該反復される加熱及び冷却が、蓄積したスケールの亀裂及び剥がれに帰着し得る。加えて、少なくとも1つの内側面5の湾曲、及び内側面5の加熱要素7に対する近接による少なくとも1つの内側面5の不均一な加熱も、剥がれに寄与し得る。実行された試験は、内側面5が湾曲させられ、加熱要素7が面5から約2mmの場合に、亀裂及び剥がれを示した。スケールが保持される接着可能な面が低減されるように平滑な内側面5を持つことにより、剥がれが更に増大させられ得る。例えば、スケールと接合する平滑な内側面上に数個の隙間又は突起があり、このことが内側面5へのスケールの接着を低減させる。ハンドヘルド型スチーマ1は垂直に保持されるため、剥がれたスケールは少なくとも1つの内側面5の鉛直方向下に配置された容器10へと(重力の結果として)落ちる。次いでユーザは、集められたスケールを空にするため、容器10を容易に取り外すことができる。スチーマ1が使用されているときのスケールの自動的な剥がれにより、スチーマ1の性能の一貫性が改善され、スチーマ1が時間経過に伴って急速に劣化する可能性が小さくなる。
【0036】
装置1は更に、加熱機構のための電力を供給するための電源(図示されていない)を有しても良い。装置1はまた、少なくとも1つの加熱要素7により生成される熱を制御するための制御機構(図示されていない)を有しても良い。一実施例においては、装置1はまた、外側の筐体11と鋳造材料4との間に断熱層18を含んでも良い。鋳造材料4は外側の筐体11の近くであり得るため、外側の筐体11は使用の間に容易に加熱され得る。断熱層18は、外側の筐体11の温度を約50℃以下に制御しても良い。該断熱層は、ゴム、ポリエステルのフェルト等といった、いずれの適切な材料を含んでも良い。
【0037】
約7854mm2の湿った表面積を持つ2000Wの蒸気生成器は、時間平均で約40gm/分の蒸気量を継続的に維持することが可能となり得る。対応する平均蒸気負荷及び電力密度は、それぞれ約0.010g・cm
−2s
−1及び25W・cm
−2である。実験は、50Wcm
−2の電力密度を持つ、0.020g・cm
−2s
−1のレベルの蒸気負荷が依然として、スケール層の十分な剥がれをもたらし、スチーマの維持された蒸気性能に寄与することを示唆した。湿った表面が半球に近似される場合、半径が約36mmの半球が必要となり得るが、これはハンドヘルド型スチーマの設計上の制約内である。該半球は、約92560mm
3の体積を占有し得る。約250gmのアルミニウムが、鋳造材料として用いられても良い。加熱器アセンブリ及び外側筐体のような他の部分の重量を含め、総重量は350gmに達し得るが、これは依然としてハンドヘルド型スチーマの設計上の重量制限内である。
【0038】
装置1は、例えば蒸気アイロンのような、他のハンドヘルド型蒸気機器に対応しても良い。他の実施例においては、装置1は代わりに、水タンクを持つ別個の基部を備えた蒸気機器であっても良い。一実施例においては、水受容構成4及び水出口構成2は、ホースを介して基部に結合されたヘッドに収容される。該ホースは、液体の水を水タンクから水出口構成2へと導く。ポンプはヘッド又はホースのなかにあっても良い。他の実施例においては、水受容構成4及び水出口構成2は、水タンクを備えた基部に収容される。液体の水は該基部において蒸気へと変換され、ホースが該蒸気を蒸気機器のヘッドへと導く。
【0039】
本発明の他の態様は、装置において蒸気を生成する方法に関する。該方法は、
−水出口構成2の少なくとも1つの開放端3を囲む水受容構成4の少なくとも1つの内側面5に水が噴霧されるように、水出口構成2の少なくとも1つの開放端3を通して水を噴霧するステップS1であって、水出口構成2の少なくとも1つの内側面5は、水出口構成2の少なくとも1つの開放端3が中に配置される室6を定義するステップS1と、
−水から蒸気を生成する温度にまで少なくとも1つの内側面5を加熱するステップS2と、
を有する。
【0040】
有利にも、該方法は更に、少なくとも1つの内側面5が交互に加熱及び冷却されるよう、少なくとも1つの内側面5に間欠的に噴霧する任意のステップS3を有する。
【0041】
有利にも、該方法は加えて又は代替として更に、少なくとも1つの内側面5が交互に加熱及び冷却されたときに、少なくとも1つの内側面5に形成されたスケールが、少なくとも1つの内側面5の下に配置された容器10へと落ちるよう、該装置を略垂直な態様で保持するステップS4を有する。
以上に説明された実施例は単に例であり、本発明の技術的手法を限定することを意図したものではない。本発明は好適な実施例に関連して説明されたが、本発明の技術的手法の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の技術的手法は変更され又は同等に修正され得、斯かる変更及び修正も本発明の請求の保護範囲内となることは、当業者は理解するであろう。請求項において、「有する(comprising)」なる語は他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a又はan)」なる不定冠詞は複数を除外するものではない。請求項におけるいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【要約】
本発明は、蒸気を生成するための装置1に関する。装置1は、水受容構成4に水を噴霧するための開放端3を持つ水出口構成2を有する。水受容構成4は、室6を定義する内側面5を有し、該室において、開放端3から噴霧された水が内側面5上に噴霧されるよう、開放端3が配置される。該装置は更に、内側面5上に噴霧された水から蒸気を生成するための温度にまで、内側面5を加熱するための加熱要素7を有する。内側面5は、2つの別個の空洞14a、14bにより形成され、開放端3は、各空洞14a、14b内に受容された噴霧ノズル2を有し、各噴霧ノズル2は、それぞれの噴霧ノズル2が受容される空洞14a、14bにより定義される内側面5の領域上に水を噴霧する。このことは、水出口構成2により噴霧された水が、内側面5上で、より均一に広がるようにし、より効果的な加熱に導き、より多くの蒸気が単位時間当たりに生成され得る。