(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6227848
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】不織布要素と発泡材要素とを備えた座席カバー用積層繊維複合材
(51)【国際特許分類】
B60N 2/58 20060101AFI20171030BHJP
B32B 5/06 20060101ALI20171030BHJP
B32B 5/24 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
B60N2/58
B32B5/06 A
B32B5/24 101
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-531144(P2017-531144)
(86)(22)【出願日】2015年10月23日
(86)【国際出願番号】EP2015074617
(87)【国際公開番号】WO2016074906
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2017年6月8日
(31)【優先権主張番号】102014116354.0
(32)【優先日】2014年11月10日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517161809
【氏名又は名称】ヨット.ハー.ツィーグラー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】J.H.ZIEGLER GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シェーンフェルダー、シュテフィ
【審査官】
増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第3451885(US,A)
【文献】
国際公開第2014/150336(WO,A2)
【文献】
独国実用新案第202009015059(DE,U1)
【文献】
欧州特許出願公開第1039005(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/103970(US,A1)
【文献】
特表2007−538162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの不織布要素(12)と、前記不織布要素(12)に結合された発泡材要素(14)とを有し、前記不織布要素(12)と前記発泡材要素(14)とが互いに機械的に結合されており、前記不織布要素(12)と前記発泡材要素(14)は互いにニードル加工されており、前記不織布要素(12)は、少なくとも1つのバインダ繊維(38)と少なくともひとつの機能繊維(26)とを備えている座席カバー用積層繊維複合材において、前記発泡材要素(14)は、1mmから6mmまでの範囲の値に等しい最大発泡材厚さを有し、前記発泡材要素(14)は、ポリウレタン−ポリエーテル発泡材又はポリウレタン−ポリエステル発泡材で具体化されており、前記機能繊維(26)は、1.5デシテックスから24デシテックスまでの値と等しい線質量密度値を有し、前記バインダ繊維(38)は、1デシテックスから9デシテックスまでの値と等しい線質量密度値を有することを特徴とする座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項2】
前記不織布要素(12)と前記発泡材要素(14)は、互いにニードル加工されており、前記発泡材要素(14)の結合面(16)全体の少なくとも5%超のところに前記不織布要素(12)の繊維(18、20)が進入していることを特徴とする請求項1に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項3】
前記不織布要素(12)と前記発泡材要素(14)は、互いにニードル加工されており、前記発泡材要素(14)の結合面(16)全体の少なくとも15%超のところに前記不織布要素(12)の繊維(18、20)が進入していることを特徴とする請求項1又は2に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項4】
前記不織布要素(12)と前記発泡材要素(14)は、互いにニードル加工されており、前記発泡材要素(14)の結合面(16)1cm2当たりに前記不織布要素(12)の少なくとも2本の繊維(18、20)が当該発泡材要素(14)に進入していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項5】
前記不織布要素(12)と前記発泡材要素(14)は、互いにニードル加工されており、前記発泡材要素(14)に進入する前記不織布要素の多数の繊維(18、20)が前記発泡材要素(14)の最大発泡材厚さ(22)の少なくとも50%まで当該発泡材要素(14)に延びていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項6】
前記不織布要素(12)の最大不織布厚さ(24)に対する前記発泡材要素(14)の最大発泡材厚さ(22)の割合は、少なくとも1倍以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項7】
前記機能繊維(26)は、中空繊維として具体化されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項8】
前記発泡材要素(14)の体積重量は、10kg/m2超であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項9】
少なくとも1つの防犯ユニット(28)を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項10】
前記防犯ユニット(28)は、前記不織布要素(12)と前記発泡材要素(14)の少なくともいずれか一方に対して実質的に分離不能に結合されていることを特徴とする請求項9に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項11】
前記防犯ユニット(28)は、電子防犯ユニットとして具体化されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項12】
前記防犯ユニット(28)は、機械式防犯ユニットとして具体化されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の座席カバー用積層繊維複合材。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載されている積層繊維複合材で少なくとも一部が具体化されていることを特徴とする座席シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に係る積層繊維複合材に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つの不織布要素と、少なくとも1つの発泡材要素とを備え、これらが互いに結合された積層繊維複合材は既知である。既知の積層繊維複合材において、前記不織布要素と前記発泡材要素とが接着剤結合工程を経て互いに結合される。
【0003】
さらに、特許文献1〜4は、少なくとも1つの不織布要素と少なくとも1つの発泡材要素とを備え、前記不織布要素と前記発泡材要素とが互いに機械的に結合されている積層繊維複合材をそれぞれ開示している。
さらに、特許文献5から、厚さ2.5mmの不織布要素を備えた複合材は、既知であり、前記不織布要素は、ポリアクリロニトリル製の第1の繊維及びポリエーテルイミド製の第2の繊維を備えており、前記第1の繊維及び前記第2の繊維は、1デニールから4デニールの線質量密度値をそれぞれ有している。前記複合材は、発泡体層をさらに備え、該発泡体層は、厚さが2.5mmであり、しかも少なくとも0.1g/cm3の密度を有している。不織布成分と発泡体層とは、互いにニードル加工されており、当該ニードル加工工程において、ニードルは、不織布要素を貫通し発泡体層に1.55回/cm2で入り込む。
特許文献6から、30重量%から95重量%の中空繊維と5重量%から70重量%の非中空繊維とを含む不織布要素と、多孔性カバー層とを備えた合成皮革は、既知である。
特許文献7から、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の2デニールから18デニールの線質量密度値を有する中空繊維と、2デニールから6デニールの線質量密度値を有する2成分繊維とを備えた不織布は、既知である。
【0004】
本発明の目的は、一般的な
座席カバー用積層繊維複合材を作製することであり、この
座席カバー用積層繊維複合材は、特に、防犯された
座席カバー用積層繊維複合材であって、優良なドレープ性、特に、少なくとも実質的に折り目のない構成を維持しつつ、不織布要素と発泡材要素との堅固
な結合
が可能
なものであることを特徴とする。本目的は、請求項1の特徴部分による本発明によって達成されるとともに、その従属項から本発明の好適な実施形態及びさらなる改良を集積することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国実用新案登録出願公開第202009015059号明細書
【特許文献2】国際公開第97/18157号
【特許文献3】独国実用新案登録出願公開第8003911号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第1294916号明細書
【特許文献5】国際公開第2014/150336号
【特許文献6】欧州特許第1039005号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2004/103970号明細書
【発明の概要】
【0006】
[本発明の諸利点]
本発明は
、少なくとも1つの不織布要素と、前記不織布要素に結合された発泡材要素とを有し、前記不織布要素と前記発泡材要素とが互いに機械的に結合されて
おり、前記不織布要素と前記発泡材要素は互いにニードル加工されており、前記不織布要素は、少なくとも1つのバインダ繊維と少なくともひとつの機能繊維とを備えている、座席カバーの積層繊維複合材に係るものである。
【0007】
前記不織布要素の繊維と前記発泡材要素との間のフォームフィット結合及びフォースフィット結合の少なくともいずれか一方により、発泡材−不織布分離力に抗して前記不織布要素と前記発泡材要素との間に作用する保持力は、1N超であることが提唱される。
前記発泡材要素は、1mmから6mmまでの範囲の値に等しい最大発泡材厚さを有し、前記発泡材要素は、ポリウレタン−ポリエーテル発泡材又はポリウレタン−ポリエステル発泡材で具体化されており、前記機能繊維は、1.5デシテックスから24デシテックスまでの値と等しい線質量密度値を有し、前記バインダ繊維は、1デシテックスから9デシテックスまでの値と等しい線質量密度値を有する。「互いに機械的に結合される」は、ここでは、特に、理解されるべき少なくとも2つの要素のフォームフィット結合及びフォースフィット結合の少なくともいずれか一方、特に、不織布要素と発泡材要素とのフォームフィット結合及びフォースフィット結合の少なくともいずれか一方である。好適には、不織布要素と発泡材要素とは、物質と物質との接着なしに互いに機械的に結合される。特に好適には、不織布要素の繊維は、発泡材要素に絡まるものである。好適には、
座席カバー用積層繊維複合材は、座席カバー、特に自動車の座席カバーに少なくとも一部が実装されるように構成される。「構成される」は、具体的に設計されること、及び具体的に実装されることの少なくともいずれか一方を意味する。所定の機能のために構成されたある要素やあるユニットにより、当該要素及び当該ユニットの少なくともいずれか一方が、実装状態及び操作状態の少なくともいずれか一方において、少なくとも達成又は具体化された機能であること、或いは当該要素及び当該ユニットの少なくともいずれか一方が、当該所定の機能を達成するために詳細に設計されたことであると、特に理解されるべきである。
【0008】
前記不織布要素は、好適には、少なくとも1つのバインダ繊維(溶融繊維)及び少なくとも1つの機能繊維を備えている。ここでバインダ繊維は、特に、1デシテックス超の線質量密度値を有し、好適には、5デシテックス超、特に好適には、15デシテックス未満の線質量密度値を有する。優れて好適には、バインダ繊維は、1デシテックスと9デシテックスとの間の範囲の値と等しい線質量密度値を有する。好適には、バインダ繊維は、100℃から190℃までの範囲の値に等しい溶融温度を有する。特に好適には、バインダ繊維は130℃から160℃までの範囲の値に等しい溶融温度を有する。
【0009】
機能繊維は、好適にはポリエステル繊維、特にポリエチレン−テレフタレート繊維として具体化される。しかしながら、機能繊維が、例えば、ポリオレフィン繊維として、ポリアクリロニトリル繊維として、ポリ塩化ビニル繊維として、ポリビニルアルコール繊維として、ポリビニリデン繊維として、ポリテトラフルオロエチレン繊維として、ポリウレタン繊維として、その他のものとして具体化された、当業者に好適であるとみなされる異なる実施態様を特徴づける機能繊維であることも想定される。機能繊維は、特に1デシテックス超の線質量密度値、好適には15デシテックス超の線質量密度値、特に好適には30デシテックス未満の線質量密度値を有する。特に好適には、機能繊維は、1.5デシテックスと24デシテックスとの間の範囲の値と等しい線質量密度値を有する。好適には、機能繊維は、大きな弾力性を有する。その目的のために、機能繊維は、好適には螺旋状に丸められた態様で具体化される。特に好適には、不織布要素は、互いに絡み合う複数のバインダ繊維と複数の機能繊維とに特徴づけられる。ここで、バインダ繊維と機能繊維の少なくともいずれか一方は、紡糸繊維(ステープル繊維)又はフィラメント(連続繊維)として具体化されてもよい。絡み合うことにより、不織布要素のバインダ繊維と機能繊維の少なくともいずれか一方は、好適にはフォームフィット結合(絡み合い)、凝集及び接着の少なくともいずれか1つによって相互結合される。ここで、不織布要素を具体化するためには、バインダ繊維及び機能繊維の少なくともいずれか一方は、整列させてもよいし、もつれた状態にしてもよい。特定の不織布要素は、30g/m
2超の目付量を有し、好適には60g/m
2超、特に優れて好適には、550g/m
2未満である。特に優れて好適には、不織布要素は、50g/m
2から500g/m
2までの範囲の値に等しい目付量を有する。
【0010】
発泡材要素は、ポリウレタン−ポリエーテル発泡材又はポリウレタン−ポリエステル発泡材、特にポリウレタン−ポリエーテル裁断発泡材又はポリウレタン−ポリエステル裁断発泡材として具体化されることが好ましい。しかしながら、発泡材要素は、当業者に好適とみなされる異なる実施態様、特に、転がり可能な軟弾性であって、好適には高い空気透過性(例えば、網状発泡材)とともに高い弾性力を特徴とする軟弾性のある繊維特性を有する発泡材として、当業者に好適とみなされる異なる実施態様である、と想定してもよい。特に、発泡材要素は、10mm未満、好適には8mm未満、特に好適には0.9mm超の最大発泡材厚さを有する。特に優れて好適には、発泡材要素は、1mmから6mmまでの範囲の値に等しい最大発泡材厚さを特徴とする。
【0011】
「発泡材−不織布分離力」は、ここでは特に、発泡材要素の結合面に少なくとも実質的に直交するように延びる方向に沿って見た場合において、不織布要素と発泡材要素との間の結合の分離を誘発する虞のある、少なくとも負荷の作用する一例において、
座席カバー用積層繊維複合材に作用する力である、と理解されるべきものである。特に、発泡材−不織布分離力に抗して前記不織布要素と前記発泡材要素との間に作用する保持力は、1kN未満であり、好適には0.8kN未満であり、特に好適には10N超である。発泡材−不織布分離力に抗して前記不織布要素と前記発泡材要素との間に作用する保持力は、ここで好適には、発泡材要素内における不織布要素の繊維との絡まりからもたらされる、特に不織布要素と発泡材要素との間にフォームフィット結合及びフォースフィット結合の少なくともいずれか一方からもたらされる好ましい結果となる。本発明による態様は、不織布要素と発泡材要素との望ましくない分離を打ち消し又は少なくとも実質的に防止することを好適に可能にする。好適なことに、
座席カバー用積層繊維複合材は、当該
座席カバー用積層繊維複合材の有益なドレープ性を維持しつつ、不織布要素と発泡材要素との間の堅固な結合を特徴づけることができ、特に、少なくとも実質的に折り目のない状態での
座席カバー用積層繊維複合材の配置可能性に特徴づけられる。さらに、好適なことに、不織布要素と発泡材要素とを結合するための追加の接着手段が省略されてもよい。このことは、好適なことに、
座席カバー用積層繊維複合材が良好な加工特性を有することとなる。
座席カバー用積層繊維複合材は、対象物、特に
座席カバー用積層繊維複合材を適用可能な座席の表面のあらゆる動作/膨らみ/曲がり(凸又は凹)に好適に適応することができる。
【0012】
前記不織布要素と前記発泡材要素とが互いにニードル加工されており、前記発泡材要素の結合面全体の少なくとも5%超のところに前記不織布要素の繊維が進入していることも提案される。「ニードル加工された」という文言は、ここでは特に、不織布要素が発泡材要素に結合された場合に、少なくとも1つの繊維、特に不織布要素の複数の繊維が少なくとも部分的に発泡材要素内に延びた状態での不織布要素と発泡材要素との間の機械的結合を指す。「発泡材要素の結合面」は、ここでは特に、不織布要素が発泡材要素に隣接して結合された場合の状態における発泡材要素の表面全体のことであり、特に、投影面に投影された発泡材要素の表面であると理解すべきである。好適には、不織布要素と発泡材要素とは、ニードル加工によって互いに結合される。こうして不織布要素の繊維は、好適には、発泡材要素の中にニードル加工される。好適には、不織布要素の繊維は、発泡材要素の結合面全体の少なくとも5%超にわたって、特に結合面全体にわたって、発泡材要素の結合面を少なくとも実質的に横切る方向に沿って発泡材要素の結合面内に延びる。「少なくとも実質的に横切って」とは、ここでは特に、基準方向及び基準軸の少なくともいずれか一方に対する方向及び軸の少なくともいずれか一方の向きをいい、方向ないし軸の向きは、基準方向ないし基準軸に対して少なくとも実質的に平行であり、特に基準方向ないし基準軸に対して傾いているか又は直交している。本発明による態様は、不織布要素と発泡材要素との結合を特に好適で信頼できるものにすることを可能にする。好適なことに、発泡材要素の高度の安定性を維持することができる。これは、好適なことに、発泡材要素の弾性と耐久性の維持を可能にする。さらに、
座席カバー用積層繊維複合材を配置可能な物品の形状に対応するべく、
座席カバー用積層繊維複合材、特に発泡材要素の好適な適合性を可能にする目的で、ニードル加工の間に針が進入し貫通することによって、発泡材要素の表面張力は、好適に失われる。
【0013】
特に好適なことに、不織布要素と発泡材要素とが互いにニードル加工され、発泡材要素の結合面全体の少なくとも15%超のところに不織布要素の繊維が貫通する。好適には、不織布要素の繊維は、発泡材要素の結合面の少なくとも15%に、さらには結合面全体にわたって配分され、当該結合部に対し、少なくとも実質的に横切る方向に延びる。好適には、発泡材要素の結合面を貫通する繊維は、発泡材要素の結合表面上に少なくとも実質的に均一に分配されるように配置される。本発明による態様は、好適なことに、分離力の影響に対して耐性を有利に有し、特に安定した不織布要素と発泡材要素との間の結合を実現することを可能にする。さらに、
座席カバー用積層繊維複合材が背後にあることは、
皮革片として具体化される
追加材料に対し、好適なことに有効なものとなり、物体上にあるいくつかの
皮革片
、特に座席カバー用積層繊維複合材が配置される座席にある皮革片の結合部分を平らな継ぎ目にすることを可能にする。
【0014】
さらに、前記発泡材要素の結合面1cm
2当たりに前記不織布要素の少なくとも2本の繊維が当該発泡材要素に進入するように、前記不織布要素と前記発泡材要素とを互いにニードル加工されている。特に、発泡材要素の結合面1cm
2当たりに、不織布要素の少なくとも3本の繊維が、好適には不織布要素の少なくとも5本の繊維が、特に好適には不織布要素の少なくとも10本の繊維が、当該発泡材要素に進入する。優れて好適には、発泡材要素の結合面の1cm
2当たりに、不織布要素の10本を超える繊維が、さらには少なくとも20本から300本の繊維が、当該発泡材要素に進入する。ここで「発泡材要素に進入する」という文言は、特に、不織布要素と発泡材要素との結合状態において、繊維の不織布要素が発泡材要素中に延びている、発泡材要素に対する不織布要素の繊維の配置を意味する。本発明による態様により、不織布要素の発泡材要素への確実な結合を達成することが可能となる。
【0015】
その他、前記発泡材要素に進入する前記不織布要素の多数の繊維が当該発泡材要素の最大発泡材厚さの少なくとも50%まで当該発泡材要素に延びるように、前記不織布要素と前記発泡材要素とは、互いにニードル加工されていることが提案される。「発泡材要素に進入する前記不織布要素の繊維の大部分」は、ここでは特に、総数の少なくとも20%超、好適には30%超、特に好適には50%超までの不織布要素の繊維が、発泡材要素の中に進入することを意味する。しかしながら、不織布要素の単一の繊維が発泡材要素の最大発泡材厚さの少なくとも50%超までの発泡材要素内に延びている、或いは、発泡材要素を完全に貫通している場合を想定してもよい。「発泡材要素の最大発泡材厚さの少なくとも50%まで発泡材要素に延びる」という文言は、ここでは特に、不織布要素の繊維が、当該不織布要素の縁領域から出発して、特に発泡材要素の中に突出した、発泡材要素の最大発泡材厚さの少なくとも50%に相当する伸長部分を有することを意味する。本願発明に係る態様は、不織布要素と発泡材要素との間における特に強固な結合の実現を好適に可能にする。
【0016】
さらに、前記不織布要素の最大不織布厚さに対する前記発泡材要素の最大発泡材厚さの割合は、少なくとも1倍以上であることが提案される。「不織布要素の最大不織布厚さ」は、ここでは特に、不織布要素の主たる表面に対して少なくとも実質的に直交する方向、特に、発泡材要素の結合面に対し実質的に直交する方向に沿って見た、不織布要素の最大長さを意味し、特に互いに絡まる不織布要素の繊維の総数の少なくとも70%まで、好適には少なくとも80%まで、特に好適には少なくとも90%までで実現され、特に互いに絡まっている繊維の全体は、断面で見て多角形、例えば四角形、正方形等を形成する。ここで特に、多角形の形状を越えて延びる単一の繊維は、不織布要素の最大不織布厚さを決定するためには考慮されない。特に「実質的に直交する」という文言は、ここでは特に、基準方向に対する方向の向きを規定することであり、方向及び基準方向、特に平面で見た場合の方向及び基準方向は、90度の角度を含み、この角度は特に8°未満、好適には5°未満、特に好適には2°未満の最大偏差を有する。本発明による態様は、快適なクッション性を好適に可能にする。このように、座席クッション用フォームコアを除いて、付加的な下地縫い、あるいは接着クッション材を省略することができる。
【0017】
特に優れて好適には、機能繊維は、1.5デシテックスから24デシテックスまでに含まれる範囲の値と等しい線質量密度値を有する。本発明による態様は、好適なことに、有孔不織布要素を実現することを可能にする。したがって、好適なことに、通気性不織布要素が実現可能である。
【0018】
機能繊維が中空繊維として具体化されることも提案される。好適には、不織布要素は、中空繊維として具体化された機能繊維の少なくとも一部と、中空繊維としては具体化されていない機能繊維の一部とを備えている。「中空繊維」という文言は、ここでは特に、少なくとも1つの中空空間を含む繊維、特に、繊維の全長に沿って少なくとも実質的に延びる少なくとも1つの中空空間を含む繊維を定義することを意図しており、繊維の長軸の周りに延びる少なくともある円周面でみて、この繊維は、当該繊維の少なくとも1つの中空空間を囲うものである。繊維の中空空間は、本明細書では特に、環状、三つ股型、若しくは多角形、又は同等の態様で、囲われていてもよい。ここで、中空繊維として具体化された機能繊維は、好適には中空繊維の体積全体に対して少なくとも1%超、好適には少なくとも5%超、特に好適には8%超の中空空間を有する。特に優れて好適には、中空繊維として具体化される機能繊維は、中空繊維の体積全体に対して15%未満、特に10%の範囲の中空空間を有する。本発明の態様によれば、特に、好適に螺旋状に丸められた繊維で構成された不織布要素を実現することが可能となる。
【0019】
さらに、発泡材要素は、10kg/m
3超の体積重量を有することが提案される。好適には、発泡材要素は、15kg/m
3超の体積重量を有し、特に好適には100kg/m
3未満である。特に優れて好適には、発泡材要素は、20kg/m
3から90kg/m
3までの範囲の値に等しい体積重量を有する。本発明による態様により、好適なことに、好適なクッション特性を特徴づける積層繊維複合材が利用可能となる。
【0020】
座席カバー用積層繊維複合材は、少なくとも1つの防犯ユニットを含むことがさらに提案される。このようにして、
座席カバー用積層繊維複合材に対する攻撃に抗し、高度の安全性が好適に達成可能である。
【0021】
この他、防犯ユニットは、不織布要素及び発泡材要素に少なくとも実質的に分離不能に結合されることが提案される。「少なくとも実質的に分離不能に」は、ここでは特に、分解ツール、例えば、鋸、特に機械的な鋸等及び化学的分離手段の少なくともいずれか1つによらなければ互いに分離できないように、少なくとも2つの要素が結合されていることを意味する。本発明による実施形態は、好適なことに、防犯ユニットが
座席カバー用積層繊維複合材から除去されないことを好適に可能にする。
【0022】
防犯ユニットは、電子的な防犯ユニットとして具体化されることも提案される。ここでは、防犯ユニットは、少なくとも1つの防犯要素を備え、該防犯要素は、不織布要素及び発泡材要素の少なくともいずれか一方に対し実質的に分離不能に結合されているとともに、防犯ユニットの読取装置を介して読み取り可能である。ここで防犯要素は、RFIDチップ等として具体化することができる。さらなる電子防犯ユニットの態様としては、例えば、バーコード防犯ユニットとしての具体化されるもの等、当業者によって有益とみなされているものもまた想定される。本発明による態様により、回避することが困難な防犯ユニットを実現することが好適に可能である。
【0023】
さらに、防犯ユニットは、代替的又は追加的に、機械式防犯ユニットとして実施されることが提案される。ここでは、例えば、色の異なる繊維で具体化された防犯ユニットの防犯要素を不織布要素に組み込んだり、或いはまた、例えば、UV光で発光する繊維で具体化された防犯ユニットの防犯要素を不織布要素に組み込んだりすることが想定される。当業者であれば好適であると想定されるさらなる実装も想定される。本発明による実装は、好適なことに、構造的に単純な防犯ユニットを実現することを可能にする。
【0024】
さらに、積層繊維複合材の少なくとも一部分を具体化する座席カバーが提案される。
本発明による
座席カバー用積層繊維複合材及び本発明による座席カバーの少なくともいずれか一方は、ここでは、上記の適用及び実施形態に限定されない。特に、本明細書に記載された機能性を達成する目的で、本発明による
座席カバー用積層繊維複合材や座席カバーは、多数のそれぞれの要素、構造部品及びユニットを含むことができる本明細書に記載された数とは異なる数の方法ステップを含む。さらに、本開示に示される値の範囲に関して、上記の範囲内の値は、開示され、要件に従って適用可能であると想定されるべきである。
【0025】
さらなる利点は、図面の以下の説明から明らかになるであろう。図面には、本発明の例示的な実施形態が示されている。図面、説明及び特許請求の範囲は、複数の特徴を組み合わせて含む。当業者は意図的に特徴を別々に考察し、さらに経験を積み重ねた組み合わせを見出すだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による
座席カバー用積層繊維複合材の概略断面図。
【
図2】皮製の座席カバーが本発明による
座席カバー用積層繊維複合材の上に配置されている、同
座席カバー用積層繊維複合材の概略断面図。
【
図3】皮革に被覆されているとともに、本発明による座席カバーの皮革補強材とを備えた本発明による
座席カバー用積層繊維複合材の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、少なくとも1つの不織布要素12と、この不織布要素12に結合された少なくとも1つの発泡材要素14とを有する
座席カバー用積層繊維複合材10を示す。ここで、不織布要素12及び発泡材要素14は機械的に結合されている。不織布要素12と発泡材要素14は、ニードル加工され、発泡材要素14の結合面16全体の少なくとも5%超に不織布要素12の繊維18,20が貫通している。好適には、不織布要素12と発泡材要素14は、発泡材要素14の結合面全体16の少なくとも15%超に不織布要素12の繊維18,20が貫通するように、互いにニードル加工されている。このようにして、発泡材要素14の結合面16の1cm
2当たり、不織布要素12の少なくとも2本の繊維18,20が発泡材要素14に入り込んでいる。好適には、発泡材要素14の結合面16の1cm
2当たり、不織布要素12の少なくとも10本の繊維18,20が、特に20本から300本の繊維18,20が発泡材要素14に進入する。しかしながら、また、発泡材要素14の結合面16の1cm
2当たり、不織布要素12の繊維18,20が10本を超えて、特に300本を超えて発泡材要素14に進入することも想定される。
【0028】
さらに、発泡材要素14に進入する不織布要素12の少なくとも大部分の繊維18,20は、少なくとも発泡材の最大発泡材厚さ22の最大で少なくとも50%まで発泡材要素14内に貫通する。しかしながら、単一の繊維18,20、或いは、代替的に多数の繊維18,20が発泡材要素14を完全に貫通することも想定される。さらに、単一の繊維18,20若しくは多数の繊維18,20が発泡材要素14の最大発泡材厚み22の50%を越えて奥に、或いは、代替的に多数の繊維18,20が発泡材要素14の最大発泡材厚み22の50%未満の範囲で中に進入することも想定される。不織布要素12の最大不織布厚さ24に対する発泡材要素14の最大発泡材厚さ22の割合は、ここでは、少なくとも1倍以上である。しかしながら、
座席カバー用積層繊維複合材
10が、不織布要素の最大不織布厚さに対し、少なくとも1以下の割合の最大発泡材厚さの発泡材要素14を有することも想定される。
【0029】
さらに、不織布要素12と発泡材要素14は、発泡材−不織布分離力に抗して不織布要素12と発泡材要素14との間に作用する保持力が1N超になるように互いにニードル加工される。これは、ニードル機(詳細には示されていない)によって、不織布要素12のファイバー18,20が発泡材要素14の中に入り込み、不織布要素12の繊維18,20が発泡材要素14とのフォームフィット結合及びフォースフィット結合の少なくともいずれか一方を確立する結果となるように、不織布要素12と発泡材要素14とをニードル加工する過程で達成される。このようにして、不織布要素12は、取り外し不能に、すなわち永久的に発泡材要素14と結合される。ここで発泡材要素14は、10kg/m
3超の体積重量を有する。不織布要素12は、45g/m
2超の目付量を有する。
【0030】
不織布要素12は、50デシテックス以下の線質量密度値を有する少なくとも1つの機能繊維26をさらに備えている。機能繊維26は、ここでは、不織布要素12の繊維18,20のうちの1つによって具体化される。機能繊維26は、中空繊維として具体化される。ここで、機能繊維26は、当業者によって適切であるとみなされるあらゆる断面、例えば、星形断面、正方断面、三つ股断面、馬蹄形断面、環形断面等を有していてもよい。全体として、不織布要素12は、50デシテックス以下の線質量密度値を有し、特に中空繊維として具体化された複数の機能繊維26を備えている。
【0031】
不織布要素12は、少なくとも1つのバインダ繊維38(溶融繊維)をさらに備えている。バインダ繊維38は、ここでは、不織布要素12の繊維18,20の1つによって具体化されている。全体として、不織布要素12は、複数のバインダ繊維38を備えている。不織布要素12のバインダ繊維38及び機能繊維26の少なくともいずれか一方は、その混合によって、フォームフィッティング結合(絡み合い)及び接着の少なくともいずれか一方によって相互結合される。不織布要素12を具体化する目的のために、バインダ繊維38及び機能繊維26の少なくともいずれか一方は、整列させてもよいし、もつれた状態にしてもよい。
【0032】
座席カバー用積層繊維複合材10は、座席カバーの積層繊維複合材として具体化されている。従って、
座席カバー用積層繊維複合材10は、座席カバー30、特に自動車用座席カバーを少なくとも部分的に具体化するように構成されている。この目的のために、
座席カバー用積層繊維複合材10は、織物、皮革、合成皮革等の少なくとも1つの追加材料32に結合可能である(
図2及び
図3)。このように少なくとも
座席カバー用積層繊維複合材10と追加材料32とを結合することを介して、座席カバー30を少なくとも部分的に具体化可能に構成してもよい。
図2に示される例示的な実施形態では、追加材料32は、
座席カバー用積層繊維複合材10に結合可能な座席カバー30を具体化する皮革として実施されている。この目的のために、追加材料32は、発泡材要素14の不織布要素12から離反して面する側に配置可能である。
座席カバー用積層繊維複合材10と追加材料32との結合のために、
座席カバー用積層繊維複合材10及び座席カバー30の少なくともいずれか一方は、少なくとも一種類の結合要素36を含む。結合要素36は接着要素として具体化される。ここで結合要素36は、特に、自己接着性接着剤、感圧性接着剤等として接着性不織布/接着性織物として具体化されることが想定される。接着性不織布/接着性織物としての結合要素36の実施形態において、結合要素36は網状構造を有し、特にバインダ繊維38と類似又は同一の材料で具体化されており、成分36は、50℃から140℃までの値の範囲の値、好適には90℃から100℃までの範囲の値に等しい溶融温度を有する。
【0033】
織物又は合成皮革としての追加材料32の代替的な実施形態において、結合要素36は、少なくとも部分的に発泡材要素14の一実施形態において具体化され、又は発泡材要素14に付加されるものとして具体化されており、いずれの実施形態においても、結合要素36は、熱溶着可能なものである。付加的な発泡材要素としての結合要素36を具体化する際には、当業者には既に知られている消失模型鋳造法が好適に適用可能である。ここで、結合要素36は、熱溶着を介して発泡材要素14上に配置可能であり、追加材料32は、発泡材要素14の上に既に配置されている結合要素36上に、熱溶着によって配置可能である。熱溶着の後、付加的な発泡材要素として具体化された結合要素36は、薄い接着剤層のように存在する。好適なことに、
座席カバー用積層繊維複合材10の元の厚さは、少なくとも実質的に維持可能である。代替的に又は追加的に、当業者によって好適であるとみなされ、
座席カバー用積層繊維複合材10の繊維特性を好適に維持する接着粒又は接着剤粉末、溶融印刷法、ホットメルト接着剤、接着箔、若しくは他の接着剤結合手段又は接着結合法、特にホットメルト法若しくはコールドメルト法が、追加材料32を発泡材要素14に結合するために使用される。
【0034】
座席カバー用積層繊維複合材10は、例えば、フラットベッド積層機又は皮革固定機で、追加材料32に結合可能である。ここで
座席カバー用積層繊維複合材10と追加材料32とを結合するための処理温度は、特に接着性不織布/接着性織物として、結合要素36を具体化する際に好適に低く保たれる場合がある。
【0035】
図3において、座席カバー30は、
座席カバー用積層繊維複合材10及び追加材料32に加えて、少なくとも1つの補強材料34を備えている。ここで、補強材料34は、追加材料32を補強するように構成される。従って、
図3に例示的に示す
座席カバー用積層繊維複合材10の実施形態においては、補強材料34は皮革補強材料として具体化される。しかしながら、補強材料34は、当業者によって適切とみなされる異なる実施形態、特に追加材料32の実施形態に依拠した実施形態を特徴づけることも想定される。補強材料34は、
座席カバー用積層繊維複合材10と追加材料32との間に配置される。ここで、補強材料34は、発泡材要素14の不織布要素12側、特に発泡材要素14と結合要素36との間に配置される。しかしながら、補強材料34は、当業者によって好適とみなされる異なる構成に特徴づけられていることも想定される。補強材34は、織物生地として、タテ編生地として、ニット編生地として、レース編生地として、その他の生地として、皮革補強用に具体化されてもよい。好適には、補強材料34は、接着性織物(詳細には示されていない)によって発泡材要素14に固定可能である。このようにして、荷重が作用した場合において、レザーの伸張は、好適に、少なくとも実質的に抑制可能であり、或いは、少なくとも実質的に低減可能である。さらに、座席カバー30に特定の応力が加わる領域、例えば、側方エアバッグの出口部分に適切な補強部を設けることが可能である。さらに、補強材料34の適切な選択により、
座席カバー用積層繊維複合材10の少なくとも伸張特性、材料特性、特に耐えられる最大引っ張り力等が詳細に修正可能である。ここでは詳細には示されていないが、織物生地又は合成皮革としての追加材料32の代替的な実施形態において、結合要素36に加えて、化学的結合剤(ここには詳細を図示せず)を、例えば接着剤を追加材料32と
座席カバー用積層繊維複合材10の少なくともいずれか一方に塗布することが想定可能である。前記結合剤は、好適なことに、追加材料32及び不織布12の少なくともいずれか一方の繊維からの繊維ダストの追加材料32上への付着や、さらには、結合剤の後処理を少なくとも実質的に回避し、或いは少なくとも低減する。好適なことに、毛羽の保護が達成可能である。
【0036】
座席カバー用積層繊維複合材10は、座席、特に自動車用座席の難しい輪郭、例えば、ひどくひずんだ領域で出っ張った形に具体化された座席や、例えば、サイドアクセス座席の横翼等であっても、
座席カバー用積層繊維複合材
10の滑らかで折目のない配置を好適に可能にする。これに加えて、
座席カバー用積層繊維複合材10は、例えば、
座席カバー用積層繊維複合材10が当該
座席カバー用積層繊維複合材10の一部分で盛り上がり、その一部分に連続する他の部分で窪むような座席に配置される場合のように、ごく小さな半径でのドレープ性が、好適なことに高い。さらに、
座席カバー用積層繊維複合材10は、FMVSS302又はISO3795に準拠して、発火しにくい。さらに、自動車産業のすべての関連文書、例えば、排出ガス/フォギング/臭気に関する諸要件や、廃車規制等々が考慮される。
【0037】
さらに、
座席カバー用積層繊維複合材10は、少なくとも1つの防犯ユニット28を備えている。ここで、防犯ユニット28は、不織布要素12と発泡材要素14とに対し少なくとも実質的に剥離不能に結合されている。防犯ユニット28のある実施形態において、当該防犯ユニット28は、電子的な防犯ユニットとして具体化される。したがって、防犯ユニット28は、例えば、電子製品コードユニット(EPCユニット)として具体化されてもよく、或いは、当業者によって適切であるとみなされる別の実装形態を備えてもよい。代替的に又は追加的に、防犯ユニット28は、機械式防犯ユニットとして具体化される。この場合、異なる色の繊維(ここには詳細を図示せず)として具体化された防犯要素が防犯ユニット28に組み込まれることが想定される。当業者によって適切であるとみなされ、機械式防犯ユニットとして具体化された防犯ユニット28のさらなる実装形態も想定される。
【符号の説明】
【0038】
10 積層繊維複合材
12 不織布要素
14 発泡材要素
16 結合面
18 繊維
20 繊維
22 発泡材厚さ
24 不織布厚さ
26 機能繊維
28 防犯ユニット
30 座席カバー
32 追加材料
34 補強材料
36 結合要素
38 バインダ繊維
【要約】
本発明は、少なくとも1つの不織布要素(12)と少なくとも1つの発泡材要素(14)とを備えている積層繊維複合材、特に座席カバーの積層繊維複合材に関する。前記不織布要素(12)と前記発泡材要素(14)とは、機械的に相互結合されている。本発明によれば、前記不織布要素(12)と前記発泡材要素(14)は、互いにニードル加工され、発泡材−不織布分離力に抗して作用する前記不織布要素(12)と前記発泡材要素(14)との間の保持力は1N超である。