(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6227851
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】概日リズム調節剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7024 20060101AFI20171030BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20171030BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20171030BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20171030BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20171030BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20171030BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20171030BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20171030BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20171030BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20171030BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20171030BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20171030BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20171030BHJP
C07H 13/08 20060101ALN20171030BHJP
【FI】
A61K31/7024
A23L2/00 F
A23L33/105
A61K8/60
A61K36/82
A61P43/00 111
A61P3/04
A61P3/10
A61P9/12
A61P17/00
A61P25/20
A61Q5/00
A61Q19/00
!C07H13/08
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-544372(P2017-544372)
(86)(22)【出願日】2017年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2017003246
【審査請求日】2017年8月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594045089
【氏名又は名称】オリザ油化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【弁理士】
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】下田 博司
(72)【発明者】
【氏名】小波津 麻里奈
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一弥
(72)【発明者】
【氏名】村井 弘道
【審査官】
茅根 文子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−175842(JP,A)
【文献】
特開2015−157774(JP,A)
【文献】
特開2011−182703(JP,A)
【文献】
特開2013−216628(JP,A)
【文献】
紫茶エキス PURPLE TEA EXTRACT, Ver. 1.0 TK,オリザ油化株式会社,2013年10月 9日,pp. 1-32,URL,http://www.oryza.co.jp/pdf/japanese/purple%20tea%20extract%201.0.pdf
【文献】
Mol. Nutr. Food Res.,2016年,Vol. 60,pp.2565-2575
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7024
A23L 2/52
A23L 33/105
A61K 8/60
A61K 36/82
A61P 3/04
A61P 3/10
A61P 9/12
A61P 17/00
A61P 25/20
A61P 43/00
A61Q 5/00
A61Q 19/00
C07H 13/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,2-di-O-galloyl-4,6-O-(S)-hexahydroxydiphenoyl-β-D-glucose (以下、略して「GHG」という。)を有効成分とする、概日リズム調節剤。
【請求項2】
GHGを有効成分とする、概日リズム調節用食品組成物。
【請求項3】
GHGを有効成分とする、概日リズム調節用飲料組成物。
【請求項4】
GHGを有効成分とする、概日リズム調節用化粧料組成物。
【請求項5】
GHGを有効成分とする、Bmal1遺伝子発現促進剤。
【請求項6】
GHGを有効成分とする、Bmal1遺伝子発現促進用食品組成物。
【請求項7】
GHGを有効成分とする、Bmal1遺伝子発現促進用飲料組成物。
【請求項8】
GHGを有効成分とする、Bmal1遺伝子発現促進用化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、食品、飲料、化粧料等の広い分野に適用しうる植物由来の概日リズム調節剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトを含むほぼすべての生物は、約24時間周期で繰り返される概日リズム(circadian rhythm)をもっており、この体内時計によって睡眠や覚醒、ホルモンの分泌、血圧・体温調節などの生理活動が制御されている。概日リズムの異常は、時差ボケや睡眠障害、皮膚疾患を引き起こすほか、肥満や糖尿病、高血圧症などの生活習慣病などの要因となることが指摘されている。
【0003】
概日リズムの分子機構には、時計タンパク質を発現する時計遺伝子と、その転写因子となるタンパク質を発現する遺伝子とが関与している。哺乳類の場合、時計遺伝子としてPer(Period)等の遺伝子群が特定され、転写因子に関する遺伝子としてBmal1、Clock等の遺伝子群が特定されている。これらの遺伝子群が相互に発現することにより、約24時間周期の自律的な振幅が発生する。
【0004】
このような自律的な振幅が発生する分子機構では、Bmal1遺伝子が発現することにより合成されるタンパク質(Bmal1)と、Clock遺伝子が発現することにより合成されるタンパク質(Clock)とが対になって転写因子を構成する。この転写因子が時計遺伝子に結合してその発現を促し、時計タンパク質(Per)を合成する。
時計タンパク質(Per)は、転写因子を抑制する作用をもつため、この作用によって転写因子の働きが抑えられると、時間経過とともに時計遺伝子の発現が減少し、時計タンパク質(Per)の量が減少する。時計タンパク質(Per)が減少すると、時間経過とともに転写因子が再び時計遺伝子の発現を促し、時計タンパク質の量が増加する。これに伴い転写因子の働きが再び時計タンパク質によって抑制される。
このように2つの遺伝子群が転写翻訳フィードバックループ(TTFL)を形成することにより24時間の概日リズムが刻まれることになる。
【0005】
概日リズムの主要な調節組織は脳の視床下部(中枢組織)にある視交叉上核(SCN)に存在しているが、時計遺伝子は中枢である視交叉上核(SCN)のみならず全身のほとんどの細胞に存在し、末梢組織においても概日リズムを伴って発現していることが明らかにされている。
視交叉上核の中では、Per遺伝子の発現量は昼間に多く、Bmal1遺伝子の発現量は逆に夜間に多くなることが判明しており、前述したフィードバックループに同調している。Clock遺伝子は、Per遺伝子と同様に昼間の発現がピークになるが、そのリズムがそれほど強くないことから、Per遺伝子のリズムを中心的に制御しているのはBmal1遺伝子であると考えられている。
【0006】
近年、このような概日リズムの変調による様々な症状を改善するため、時計遺伝子の発現を制御する研究・開発が進められている。既に薬品や食品の原料として用いられている安全性の高い植物から概日リズムを調節しうる有効成分を抽出する事例も報告されている。
例えば特許文献1には、プルーン抽出物等を有効成分とするBmal1遺伝子の発現活性化剤が開示されている。特許文献2には、霊芝抽出物を有効成分とするBmal1遺伝子の発現調節剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−56866号公報
【特許文献2】特開2016−56140号公報
【特許文献3】国際公開第2015/022909号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Chatterjee et al., Jounal of Cell Science 126,2213−2224(2013)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、本願発明者らは、植物由来の生理活性成分の開発の一環として、ケニア産紫茶(学名:Camellia sinensis、品種名TRFK306、以下単に「ケニア産紫茶」とする。)に含まれる特有の成分、1,2-di-O-galloyl-4,6-O-(S)-hexahydroxydiphenoyl-β-D-glucose (以下、略して「GHG」という。)の研究を進めている。
従来知られていたGHGを含む植物は、その含有量が少なく、非常に低含有のGHG組成物しか得られないか、また、高濃度に含まれているものであっても、栽培に適さない入手が困難な野生種等であったが、本願発明者らの研究によりケニア産紫茶にGHGが豊富に含まれることが明らかにされ、高濃度のGHG含有組成物が比較的容易に得られるようになった。
【0010】
GHGの生理活性としては、既に、抗酸化作用(DPPHラジカル消去作用、SOD様作用)、チロシナーゼ阻害作用のほか、本発明者らの研究成果として、脂肪吸収抑制作用および体重増加抑制作用が報告されている(特許文献3)。
【0011】
上記のようにケニア産紫茶由来のGHGの生理活性を研究する中で、本願発明者らは、生活習慣に深く関連のある体内時計に着眼し、GHGによる時計遺伝子への影響を検討するに至った。そして、鋭意研究の結果、GHGが筋芽細胞におけるBmal1遺伝子の発現量に影響を及ぼすことを知見し、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
本発明の目的は、ケニア産紫茶に豊富に含まれるGHGに新たな用途を提供するとともに、薬品や飲食品、化粧料として幅広い用途に活用しうる新規な概日リズム調節剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明の技術的特徴は以下のとおりである。
1.GHGを有効成分とする、概日リズム調節剤。
2.ケニア産紫茶由来のGHG含有抽出物を有効成分とする、概日リズム調節剤。
3.GHGを有効成分とする、概日リズム調節用食品組成物。
4.GHGを有効成分とする、概日リズム調節用飲料組成物。
5.GHGを有効成分とする、概日リズム調節用化粧料組成物。
6.GHGを有効成分とする、Bmal1遺伝子発現促進剤。
7.ケニア産紫茶由来のGHG含有抽出物を有効成分とする、Bmal1遺伝子発現促進剤。
8.GHGを有効成分とする、Bmal1遺伝子発現促進用食品組成物。
9.GHGを有効成分とする、Bmal1遺伝子発現促進用飲料組成物。
10.GHGを有効成分とする、Bmal1遺伝子発現促進用化粧料組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ケニア産紫茶等の植物から得られるGHGを新たな用途である概日リズム調節剤およびBmal1遺伝子発現促進剤として使用することができる。栽培に適したケニア産紫茶から有効成分であるGHGを効率よく得ることができ、薬品や飲食品、化粧料の幅広い分野に概日リズム調節剤およびBmal1遺伝子発現促進剤を適用することができる。
さらに、本発明によれば、Bmal1遺伝子の発現促進による付加的な効果として、筋肉増強作用を促すこともできる。つまり、Chatterjeeらの文献(非特許文献1)では、時計遺伝子であるBmal1遺伝子は、骨格筋における筋繊維の形成に重要な遺伝子であることが明らかになっている。これによれば、Bmal1の欠乏は筋量の減少を招く一方、Bmal1を強制発現させると、筋芽細胞の分化が強化されて筋量を増加させることができる。さらには太い筋繊維の増加と細い筋繊維の減少を期待することができる。
このように生活リズムの改善に加えて筋量を増加させることで、脂肪消費量を増やすことができ、肥満抑制やダイエットの効果を期待することもできる。メタボリック症候群の予防にも役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施例のケニア産紫茶抽出物(紫茶エキス)のHPLCクロマトグラムである。
【
図2】本実施例のケニア産紫茶抽出物(紫茶エキス)およびGHGの濃度と、Bmal1遺伝子の発現量との関係を示すグラフである。
【
図3】時計遺伝子(Bmal1遺伝子およびPer遺伝子)の発現量の周期的変化を模式的に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の概日リズム調節剤は、Bmal1遺伝子の発現促進作用により概日リズムを制御するために用いられる。Bmal1(Brain-Muscle Arnt Like Protein 1)は概日リズムの機能を決定する時計遺伝子の一つであり、ARNTL(aryl hydrocarbon receptor nuclear translocator like)と称されることもある。
例えば
図3(A)に示す正常な24時間周期の概日リズムで体内時計が刻まれている場合、Bmal1遺伝子とPer遺伝子とのそれぞれの増減が12時間毎に繰り返される。Bmal1遺伝子は、夜間に発現量が最大になり、Per遺伝子は、反対に夜間に発現量が最小になる。
時差などにより概日リズムに異常が生じた場合、概日リズムの位相・周期・振幅が正常時からズレた状態になる。例えば
図3(B)に示すように、概日リズムの位相が正常時よりも遅れている場合には、Bmal1遺伝子の発現量が増加する時間帯であるt1,t2に概日リズム調節剤を投与する。これに伴ってBmal1遺伝子の発現量の増加速度が正常時よりも速くなれば、結果として概日リズムの位相を前進させて正常時に近づけることができる。
このように概日リズムの適切なタイミングでBmal1遺伝子の発現量を制御することにより、概日リズムの位相・周期・振幅を調整することができる。
【0017】
本発明においてBmal1遺伝子発現促進作用の有効成分であるGHGは、下記化学式(1)で表される。
【化1】
【0018】
本発明のGHG含有抽出物は、ケニア産紫茶から得られた抽出物であって、GHGを3〜99質量%の含有量で含有する。その形状は液状、固形状、半固形状、ゲル状などであってよく、そのGHGの固形分換算含有量としては、3〜99質量%であることが好ましいが、飲食品や化粧料の素材として使用する場合には、その生産性を良好にするため、3〜30質量%であることが好ましく、さらには3〜10質量%であることが好ましい。特に、3〜10質量%の含有量でGHGを含有するGHG含有抽出物は、下記に説明する製造方法により効率よく得ることができる。
【0019】
本発明のGHG含有抽出物の原料となるケニア産紫茶は、ケニア政府によって交配によって開発されたチャノキであり、品種名TRFK306と名づけられている。ケニア産紫茶の茶葉はアントシアニンを含有し、これにより紫色をしているため、通称「紫茶(パープルティ)」と呼ばれている。紫茶にはTRFK306以外にも農研機構 (国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)が開発したサンルージュ等が知られるが、ケニア産紫茶には他の紫茶には存在しない特異成分であるGHGが高濃度に含まれる。
【0020】
本発明のGHG含有抽出物に使用するケニア産紫茶の部位は特に限定されず、葉、茎、根、花、種子等を使用することができ、特に葉を用いることが好ましい。より高濃度のGHGを得ることができるからである。
【0021】
本発明のGHG含有抽出物は、好ましくは例えば、生のままの、または乾燥させたケニア産紫茶の葉(以下「紫茶葉」という。)を粉砕し、極性溶媒(水をも含む。以下同じ。)を用いて抽出する方法により得ることができる。その紫茶葉には、抽出効率をよくするため、適宜、酸またはアルカリ分解、酵素分解等の化学的処理を施して、それから抽出してもよい。
【0022】
具体的には、GHG含有抽出物は以下に説明する方法により製造することができる。
すなわち、まず上記紫茶葉として、生のままの、または乾燥させた紫茶葉に酸またはアルカリ分解、酵素分解等の化学的処理を施す。
【0023】
そして、上記紫茶葉に極性溶媒を添加して、振とうあるいは加熱還流し、その溶媒中にGHGを抽出する。
【0024】
このとき、上記極性溶媒は特に限定されないが、水、アルコール類、ケトン類を用いることができる。尚、これらは1種のみ用いても良いし2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、これらのうち特に含水アルコールまたは含水ケトンを用いることが好ましい。
【0025】
含水アルコール系溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール等の含水溶媒を用いることができ、特に、含水エタノールが好ましい。また、含水ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、クロロアセトン等の含水溶媒を用いることができ、特に、含水アセトンが好ましい。
【0026】
その含水率としては、含水エタノールの場合には、エタノールを1〜99.9質量%、好ましくは30〜99質量%、さらに好ましくは40〜80質量%、最も好ましくは40〜60質量%とする。含水アセトンの場合には、アセトンを20〜99.9質量%含むものであることが好ましい。上記範囲がGHGの抽出効率が優れているからである。なお、以下、含水溶媒の含水率の表記については、簡便化のため、例えば、20質量%で含水させた80質量%エタノールのことを「80%含水エタノール」と表記する。
【0027】
本発明のGHG含有抽出物の製造方法において、その加熱還流は、上記含水アルコール系溶媒または含水ケトン系溶媒を用いて、周知の方法で行うことができる。その加熱温度は30〜95℃、さらに好ましくは30〜50℃程度、還流時間は1〜4時間程度であることが好ましい。
【0028】
また、本発明のGHG含有抽出物の製造方法において、必要に応じて適宜、振とう、攪拌等を行っても良い。
【0029】
また、本発明のGHG含有抽出物の製造方法においては、抽出後、上記溶媒を減圧留去することが好ましい。これによれば、有機溶媒を含まない組成物とすることができ、機能性食品や健康食品などの飲食品に配合するための食品素材として、その安全性の基準等に適合させることが可能である。
【0030】
さらに、本発明のGHG含有抽出物の製造方法においては、複数の溶媒で段階的な抽出を行うことができる。これにより、GHGを高濃度に含有するGHG含有抽出物を、より収率よく製造することができる。
【0031】
具体的には、例えば、紫茶葉を上記含水アルコール系溶媒および上記含水ケトン系溶媒のいずれか一方を添加し、振とうあるいは加熱還流して、その溶媒中にGHGを抽出して第1抽出物を得る。遠心分離等により抽出物とその抽出物として回収されなかった残渣に分離し、その残渣に、上記溶媒のうち選択しなかった他方を添加して、振とうあるいは加熱還流して、その溶媒中にGHGを抽出して第2抽出物を得る。そして、前記第1抽出物と第2抽出物とを混合する。なお、この第2抽出物は単独でも紫茶葉の抽出物(GHG含有抽出物)として利用可能であることはいうまでもない。
【0032】
このように、複数の溶媒で段階的な抽出を行うことにより、紫茶葉が、上記含水アルコール系溶媒または上記含水ケトン系溶媒による第1の抽出処理を受けることによって、その物性等の特性が抽出のために好適なものに変化することが考えられるので、続く第2の抽出処理の際には、上記含水アルコール系溶媒または上記含水ケトン系溶媒を用いる場合はもとより、それ以外の溶媒を用いる場合であっても、その抽出効率が改善されることが期待できる。
【0033】
上記の方法で得られる抽出液は、これをそのまま、または濃縮してGHG含有抽出物とすることもできる。さらに凍結乾燥または噴霧乾燥により粉末化して粉末状のものをGHG含有抽出物とすることもできる。
また、これらの形態に制限されるものでもない。抽出物中に含まれる不溶物は、適宜、濾過などで除くことができる。不溶物はさらに粉砕し、微細粒子状にしてもよい。
【0034】
本発明のGHGの製造方法としては、例えば、上記のようにして得られるGHG含有抽出物を、イオン交換、サイズ排除カラムクロマト法、HPLC法、ゲルろ過、膜分離等により、既知のGHGを指標にすることにより分画、精製するのが好ましい。もちろんケニア産紫茶以外の原料からGHGを抽出・精製してもよいし、適宜、有機合成法を適用してもよい。
【0035】
本発明による概日リズム調節剤およびBmal1遺伝子の発現促進剤は、その有効成分であるGHGまたはGHG含有抽出物に必要に応じて薬学的に許容される基材や担体を添加して、錠剤、顆粒剤、散剤、液剤、粉末、顆粒、カプセル剤、ゼリー状剤等の形態(医薬品または医薬部外品)にして利用することができる。
また、本発明の有効成分であるGHGまたはGHG含有抽出物は、各種の食品組成物、飲料組成物、化粧料組成物の素材として使用することができる。なお、これらの組成物は、各々用途に適した成分を何らかの技術的手段によって配合するなどして得られた物を指し、動物または植物を包含するものではない。
【0036】
本発明による食品組成物および飲料組成物の形態としては、例えば、食用油(サラダ油)、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの食品組成物および飲料組成物に本発明の有効成分(GHGまたはGHG含有抽出物)を適宜配合するとよい。
【0037】
本発明による食品組成物および飲料組成物には、その種類に応じて種々の成分を配合することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等の食品素材を使用することができる。
【0038】
さらに、健康維持機能をもった食品組成物および飲料組成物には、他の抗酸化物質や健康食品素材などの配剤、(例えば、抗酸化物質、還元型アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、還元型グルタチン、トコトリエノール、ビタミンA誘導体、リコピン、β−クリプトキサンチン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、尿酸、ユビキノン、コエンザイムQ10、葉酸、ニンニクエキス、アリシン、セザミン、リグナン類、カテキン、イソフラボン、カルコン、タンニン類、フラボノイド類、クマリン、イソクマリン類、ブルーベリーエキス、アルブチン、タンニン、アントシアニン、リンゴポリフェノール、ブドウ種子エキス、エラジ酸、コウジ酸、サージ抽出物健康食品素材、V.(ビタミン)A、V.B1、V.B2、V.B6、V.B12、V.C、V.D、V.E、V.P、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸カルシウム、EPA、オリゴ糖、食物繊維、スクアレン、大豆レシチン、タウリン、ドナリエラ、プロテイン、オクタコサノール、DHA、卵黄レシチン、リノール酸、ラクトフェリン、マグネシウム、亜鉛、クロム、セレン、カリウム、ヘム鉄、カキ肉エキス、キトサン、キチンオリゴ糖、コラーゲン、コンドロイチン、ウコン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、生姜、霊芝、シジミエキス、スッポン、オオバコ、カミツレ、カモミール、セイヨウタンポポ、ハイビスカス、ハチミツ、ボーレン、ローヤルゼリー、ライム、ラベンダー、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、ビフィズス菌、フェーカリス菌、ラクリス、小麦胚芽油、ゴマ油、シソ油、大豆油、中鎖脂肪酸、アガリクス、イチョウ葉エキス、ウコン、コンドロイチン、玄米胚芽エキス、レイシ、タマネギ、DHA、 EPA、 DPA、 甜茶、冬虫夏草、ニンニク、蜂の子、パパイヤ、プーアル、プロポリス、メグスリの木、ヤブシタケ、ロイヤルゼリー、ノコギリヤシ、ヒアルロン酸、コラーゲン、ギャバ、ハープシールオイル、サメ軟骨、グルコサミン、レシチン、ホスファチジルセリン、田七ニンジン、桑葉、大豆抽出物、エキナセア、エゾウコギ、大麦抽出物、オリーブ葉、オリーブ実、ギムネマ、バナバ、サラシア、ガルシニア、キトサン、セントジョーンズワート、ナツメ、ニンジン、パッションフラワー、ブロッコリー、プラセンタ、ハトムギ、ブドウ種子、ピーナッツ種皮、ビルベリー、ブラックコホシュ、マリアアザミ、月桂樹、セージ、ローズマリー、ラフマ、黒酢、ゴーヤー、マカ、紅花、亜麻、ウーロン茶、花棘、カフェイン、カプサイシン、キシロオリゴ糖、グルコサミン、ソバ、シトラス、食物繊維、プロテイン、プルーン、スピルリナ、大麦若葉、核酸、酵母、椎茸、梅肉、アミノ酸、深海鮫抽出物、ノニ、カキ肉、スッポン、シャンピニオン、オオバコ、アセロラ、パイナップル、バナナ、モモ、アンズ、メロン、イチゴ、ラズベリー、オレンジ、フコイダン、メシマコブ、クランベリー、コンドロイチン硫酸、亜鉛、鉄、セラミド、シルクペプチド、グリシン、ナイアシン、チェストツリー、セラミド、L-システイン、L-カルニチン、赤ワイン葉、ミレット、ホーステール、ビオチン、センテラアジアティカ、ハスカップ、ピクノジェノール、フキ、ルバーブ、クローブ、ローズマリー、カテキン、プーアル、クエン酸、ビール酵母、メリロート、ブラックジンジャー、ショウガ、ガジュツ、ナットウキナーゼ、ベニコウジ、トコトリエノール、ラクトフェリン、シナモン、韃靼ソバ、ココア、ユズ種子エキス、シソの実エキス、ライチ種子エキス、月見草エキス、黒米エキス、α−リポ酸、ギャバ、生コーヒー豆エキス、フキエキス、キウイ種子エキス、温州みかんエキス、アカショウガエキス、アスタキサンチン)なども配合することができる。
【0039】
具体的な製法としては、本発明の有効成分(GHGまたはGHG含有抽出物)をそのまま、抽出物の場合は粉末デキストリンとともにスプレードライまたは凍結乾燥し、これを粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また必要に応じてアラビアガム等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし、固形食品に添加することも可能である。
【0040】
本発明による概日リズム調節剤およびBmal1遺伝子の発現促進剤を薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の形態とする場合には、薬品製剤用の原料に、本発明の有効成分(GHGまたはGHG含有抽出物)を適宜配合して製造することができる。なお、上記薬品は、ヒトに用いても良いし、ヒト以外の生物(哺乳類動物等)に用いてもよい。
上記薬品に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0041】
上記薬品の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤等の形態で経口投与することができる。また、水溶性製剤は、液剤として経口的に投与することができる。さらに非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は、本組成物等をエタノールや水など適当な可溶化剤に分散させた後、パップ剤、ローション剤、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤などの剤形で適用することができる。また本組成物等の水溶性製剤は、そのままで、あるいは分散剤、懸濁剤、安定剤などを添加した状態で、パップ剤、ローション剤、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤などの剤形で適用することができる。
【0042】
投与量は、投与方法、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、大人では、通常、1日当たり有効成分として5〜200mg、子供では通常0.5〜100mg程度投与することができる。
【0043】
本発明の有効成分(GHGまたはGHG含有抽出物)を上記薬品として使用する際の配合比は、剤型によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.01〜10wt%、非経口投与による場合は、0.01〜20wt%程度にするとよい。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要のある場合もある。医薬組成物は、本組成物等以外に、医薬分野において常用される既知の他の化合物、および経口投与に適した形態に成型するのに必要な化合物を包含していてもよい。そのような化合物と しては、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、カオリン、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0044】
本発明の化粧料組成物の形態としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
【0045】
上記形態の化粧料には、本発明の有効成分(GHGまたはGHG含有抽出物)の他に、その作用効果を損なわない範囲で化粧料、医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
例を以下に羅列するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0046】
(1)油分の例
エステル系の油相成分:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12-18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
炭化水素系の油相成分:スクワラン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、キウイ種子油、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、シソ油、茶実油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル、フッ素変性オルガノポリシロキサン、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0047】
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2-エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0048】
(3)脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0049】
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチルジメチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸およびその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2、4、6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1、3、5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3、3-ジフェニルアクリレート、フェニルベンゾイミダゾール硫酸、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、イソプロピルジベンゾイルメタン、4-(3、4-ジメトキシフェニルメチレン)-2、5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等、およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
【0050】
(5)粉体・顔料の例
赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号ALレーキ、黄色203号BAレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、デンプン、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
【0051】
(6)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
【0052】
(7)多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1、3-ブタンジオール、1、3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
【0053】
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、BFGoodrich社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン、BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)等の両性高分子化合物、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチンおよびコラーゲンまたはその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0054】
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、免疫賦活剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キナエキス、キューカンバ-エキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セ-ジエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシンなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、フィトスフィンゴシン、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン等の免疫賦活剤、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、L-メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ-アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコールチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス、プラセンタ、ユズ種子エキス、ブルーベリーエキス、リンゴンベリーエキス、カンカニクジュヨウエキス、黒米エキス、生コーヒー豆エキス、レスベラトロール、キウイ種子エキス、イチゴ種子エキス、桜エキス等の育毛剤などが挙げられる。
【0055】
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
【0056】
(11)溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を具体化した実施例について説明する。下記実施例は、本発明の形態の一例を示すもので、発明の範囲がこれらの実施例に限定されることはない。
なお、本実施例ではマウス筋芽細胞を対象としてBmal1遺伝子の発現量の評価を行なったが、いずれの生物種および細胞種においても時計遺伝子のコアシステムは共通であるため、マウス筋芽細胞における評価結果は、他の生物種および細胞種にも適用しうると考えられる。
【0058】
〈紫茶エキス(GHG含有抽出物)の調製〉
ケニア産紫茶の葉50gを50%エタノール水溶液500mLに浸漬し、撹拌しながら40℃で2時間加熱還流することにより抽出した。吸引ろ過により抽出液400mLを得た。抽出液を濃縮・乾固し紫茶エキス(GHG含有抽出物)を16.6g得た。
【0059】
〈紫茶エキス(GHG含有抽出物)の成分分析〉
得られた紫茶エキス(GHG含有抽出物)について、下記の条件でHPLC分析を行ったところ、27.5minの箇所に緑茶やウーロン茶、紅茶などの一般のチャノキには含まれないケニア産紫茶に特有成分のピークを確認した(
図1の矢印部分)。
〈サンプル調整〉
紫茶エキス(GHG含有抽出物)350mgを30%メタノール水溶液に溶解し、メスフラスコで20mLに定容した。溶液を2倍希釈し、フィルターろ過後HPLC分析を行った。HPLCの分析条件は以下のとおりである。時間経過に伴う移動層Bの濃度を表1に示した。
〈HPLC分析条件〉
流速 :0.7 mL/min
移動相A :0.3%TFA水溶液
移動相B :アセトニトリル
グラジエント :下記表1のとおり
カラム :東ソーTSKGEL ODS-80TS QA(4.6×150 mm)
カラム温度 :35℃
サンプル注入量:10μL
検出波長 :280 nm
【0060】
【表1】
【0061】
上記特有成分について分離精製を行いNMR分析を行った。その結果を表2に示す。
表2に示すように、NMR分析値と文献値とを比較した結果、既知成分1,2-di-O-galloyl-4,6-O-(S)-hexahydroxydiphenoyl-β-D-glucose(GHG)と同定した。
【0062】
【表2】
【0063】
市販のGHG精製品を標準物質として、HPLCによる定量分析を行った結果、実施例1の紫茶エキス(GHG含有抽出物)中には8.70質量%のGHGが含有していた。
上述した方法と同様にして紫茶エキス(GHG含有抽出物)をさらに2回調製し、同様の方法にて抽出物中のGHG含有量を測定した結果、GHGの含有量はそれぞれ6.79質量%(2回目)、6.38質量%(3回目)であった。これにより、本実施例の方法にて調製した紫茶エキス(GHG含有抽出物)には約6〜9質量%のGHGを含有することが確認された。
【0064】
〈Bmal1遺伝子の発現促進作用の評価〉
マウス筋芽細胞C2C12に対して分化誘導と同時に紫茶エキス(GHG含有抽出物)を0.1、1、3、10 μg/mL、GHGを0.1、1、3μg/mLをそれぞれ添加して1週間培養した。その後、RNA抽出を行って逆転写されたcDNAを用いてBmal1遺伝子のmRNA量を調査した。
結果を
図2に示す。なお、
図2においてmRNA量は平均±標準偏差(mean±SD)を示し、有意差検定はDunnett法を用い、アスタリクス**はp<0.01を表す。「Control」は有効成分を添加していないもの、「PTE」は紫茶エキス(GHG含有抽出物)を添加したものを示している。
【0065】
紫茶エキス(GHG含有抽出物)とGHGについて、Controlに対するBmal1遺伝子の発現量を比較したところ、紫茶エキス(GHG含有抽出物)を添加したものでは0.1、1、10μg/mLの各濃度で発現量が増加傾向になり、GHGを添加したものでは3μg/mLの濃度で有意に発現量が増加した。この結果、紫茶エキス(GHG含有抽出物)およびGHGは、マウス筋芽細胞C2C12においてBmal1遺伝子の発現を効果的に促進することが確認された。
【0066】
〈配合例〉
以下に本発明による概日リズム調節用またはBmal1遺伝子の発現促進用の各種組成物の配合例を示した。下記配合例の紫茶エキス(GHG含有抽出物)は上記実施例と同様な方法で調製される。紫茶エキス(GHG含有抽出物)に代えて、適量のGHG精製物を配合してもよい。
【0067】
配合例1:チューインガム
砂糖 53.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 0.5
100.0wt%
【0068】
配合例2:グミ
還元水飴 40.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブドウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
ブドウ果汁 4.0
ブドウフレーバー 0.6
色素 0.02
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 1.0
100.0wt%
【0069】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.4
有機酸 2.0
香料 0.2
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 0.4
100.0wt%
【0070】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0071】
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 0.05
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0072】
配合例6:ソフトカプセル
ブドウ種子油 87.0wt%
乳化剤 12.0
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 1.0
100.0wt%
【0073】
配合例7:錠剤
乳糖 54.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 1.0
100.0wt%
【0074】
配合例8:顆粒内服剤(医薬品)
乳糖 30.0wt%
コーンスターチ 60.0
結晶セルロース 8.0
ポリビニールピロリドン 1.0
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 1.0
100.0wt%
【0075】
配合例9:錠菓
砂糖 76.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
【0076】
配合例10:化粧クリーム
スクワラン 20.0wt%
ミツロウ 5.0
精製ホホバ油 5.0
グリセリン 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン-
モノステアレート 2.0
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0077】
配合例11:化粧水
エタノール 5.0wt%
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ポリエチレンオレイルエーテル 0.5
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.1
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 0.1
精製水 残余
100.0wt%
【0078】
配合例12:ボディージェル
マカデミアナッツ油 2.0wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ベヘニルアルコール 3.0
ステアリン酸 3.0
バチルアルコール 1.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット
2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
セラミド 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
防腐剤 適量
ツボクサ抽出物 1.0
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 1.0
1、3−ブチレングリコール 5.0
精製水 残余
100.0wt%
【0079】
配合例13:乳液
スクワラン 4.0wt%
ワセリン 2.5
セタノール 2.0
グリセリン 2.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 1.0
L−アルギニン 1.0
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 0.5
水酸化カリウム 0.1
香料 微量
精製水 残余
100.0wt%
【0080】
配合例14:浴用剤(液状)
プロピレングリコール 50.0wt%
エタノール 20.0
硫酸ナトリウム 5.0
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 0.5
ラノリン 0.5
アボガド油 0.5
色素 1.5
香料 22.0
100.0wt%
【0081】
配合例15:シャンプー
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム
(E.O2モル) 15.0
ヤシ油脂肪族ジエタノールアミド 5.0
グリセリン 3.0
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 0.4
エタノール 5.0
香料および防腐剤 適量
イオン交換水 残余
100.0wt%
【0082】
配合例16:ヘヤークリーム
流動パラフィン 20.0wt%
固形パラフィン 3.0
ポリオキシエチレンセチル エーテル
(E.O15モル) 2.0
ソルビタンセスキオレート 1.0
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 0.2
エタノール 10.0
水酸化カリウム 0.1
グリセリン 3.0
香料および防腐剤 適量
100.0wt%
【0083】
配合例17:軟膏剤
サラシミツロウ 5.0wt%
精製ラノリン 5.0
紫茶エキス(GHG含有抽出物) 1.0
香料 0.1
ワセリン 残余
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上、説明したように、本発明の概日リズム調節剤およびBmal1遺伝子発現促進剤によれば、ケニア産紫茶に含まれるGHGによりヒトを含む生物の概日リズムを調節することができる。これにより、睡眠や覚醒、ホルモンの分泌、血圧・体温調節などの生理活動の障害を解消し、睡眠障害、皮膚疾患、肥満や糖尿病、高血圧症などの生活習慣病などを予防・治療することができる。
【要約】
ケニア産紫茶(学名:Camellia sinensis、品種名TRFK306)に豊富に含まれる1,2-di-O-galloyl-4,6-O-(S)-hexahydroxydiphenoyl-β-D-glucose (以下、略して「GHG」という。)に新たな用途を提供し、薬品や飲食品、化粧料として幅広い用途に活用しうる新規な概日リズム調節剤を提供する。
本発明の概日リズム調節剤は、Bmal1遺伝子発現促進作用の有効成分としてGHGを含有することを特徴とする。また、本発明の概日リズム調節剤は、Bmal1遺伝子発現促進作用の有効成分としてケニア産紫茶由来のGHG含有抽出物を含有することを特徴とする。