(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6227852
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】固縛用張力確認具及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 5/06 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
G01L5/06 Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-546920(P2017-546920)
(86)(22)【出願日】2017年9月1日
(86)【国際出願番号】JP2017031645
【審査請求日】2017年9月5日
(31)【優先権主張番号】特願2016-196226(P2016-196226)
(32)【優先日】2016年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 健次
(72)【発明者】
【氏名】池田 英一郎
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/059493(WO,A1)
【文献】
特開2007−112414(JP,A)
【文献】
特許第4932126(JP,B2)
【文献】
国際公開第2016/157679(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固縛用帯状体の張力を確認する固縛用張力確認具において、
上記固縛用帯状体の長手方向に間隔を空けて並ぶ一対の支柱と、
上記一対の支柱の両端にそれぞれ連結され、上記固縛用帯状体の幅方向両側に配置される一対の側板と、
上記一対の支柱の間において上記一対の側板に設けられ、所定の張力で変形する張力測定部とを備え、
少なくとも上記一対の側板は、それぞれ別の部品で構成され、張力測定時に上記一対の支柱に連結可能に構成されている
ことを特徴とする固縛用張力確認具。
【請求項2】
請求項1に記載の固縛用張力確認具において、
上記張力測定部は、上記一対の側板にそれぞれ基端側が連結された一対の片持ち梁であり、上記固縛用帯状体の長手方向から見たときに、該固縛用帯状体の幅方向中間部分が山形となる
ことを特徴とする固縛用張力確認具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固縛用張力確認具において、
上記一対の支柱は、基端側が上記一対の側板の一方に連結されており、先端側が他方の側板に設けた貫通孔に対して係合可能となっている
ことを特徴とする固縛用張力確認具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の固縛用張力確認具において、
上記一対の側板の少なくとも一方には、上記張力測定部が破断した場合でも、上記一対の支柱との間に上記固縛用帯状体を挟み込む抜け防止部がさらに設けられている
ことを特徴とする固縛用張力確認具。
【請求項5】
請求項4に記載の固縛用張力確認具において、
上記抜け防止部は、上記一対の支柱に対して上記固縛用帯状体の厚さ方向に間隔を空けて上記一対の側板の少なくとも一方に設けられ他方の側板へ延びる棒状部材である
ことを特徴とする固縛用張力確認具。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1つに記載の固縛用張力確認具において、
上記張力測定部を覆うと共に、上記固縛用帯状体が当接するガイド部材と、
上記張力測定部が破断した場合に、上記固縛用帯状体に押圧されて移動してきた上記ガイド部材がそれ以上移動するのを阻止するストッパ部とをさらに備える
ことを特徴とする固縛用張力確認具。
【請求項7】
請求項6に記載の固縛用張力確認具において、
上記ガイド部材は、上記張力測定部を囲む筒状部材であり、
上記ストッパ部は、上記一対の側板における上記ガイド部材の端部の通過を阻止する位置にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする固縛用張力確認具。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の固縛用張力確認具の製造方法であって、
上記張力測定部を成形する際に射出成形型の入れ子の形状を変更することで、荷重を検知する上記張力測定部と上記側板との連結部の断面形状を変更する
ことを特徴とする固縛用張力確認具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固縛用帯状体の張力を確認する固縛用張力確認具及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、固縛時のベルトなどの固縛用帯状体を挟み込んで、この固縛用帯状体の張力を測定する挟持式張力測定装置が知られている。例えば、特許文献1のように、一対の回転可能な支持ローラを有するベース部と、このベース部にヒンジ部を介して折り畳み開閉自在に連結される蓋部と、この蓋部の裏側に内蔵されたロードセルと、蓋部の裏側に設けられ、一対の支持ローラの間の対向する位置に配置される押圧部を有し、ロードセルを押圧可能な押圧プレートとを備え、一対の支持ローラと押圧部との間に固縛用帯状体を挟持した状態で保持可能に構成された挟持式張力測定装置が知られている。この張力測定装置では、締め込み作業を行いながらも固縛時の固縛用帯状体の張力測定ができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5972413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のような張力測定装置は、部品点数が多く、製造費用もそれなりにかかるため、もっと安価で簡単に固縛時の張力を確認したいというニーズがある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単且つ安価な構成で、固縛時の張力を容易に確認できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、固縛用張力確認具を分割式の部品で構成した。
【0007】
具体的には、第1の発明では、固縛用帯状体の張力を確認する固縛用張力確認具を前提とし、この固縛用張力確認具は、
上記固縛用帯状体の長手方向に間隔を空けて並ぶ一対の支柱と、
上記一対の支柱の両端にそれぞれ連結され、上記固縛用帯状体の幅方向両側に配置される一対の側板と、
上記一対の支柱の間において上記一対の側板に設けられ、所定の張力で変形する張力測定部とを備え、
少なくとも上記一対の側板は、それぞれ別の部品で構成され、張力測定時に上記一対の支柱に連結可能に構成されている。
【0008】
上記の構成によると、一対の側板がそれぞれ別の部品で構成されているので、固縛用帯状体で被固縛物をある程度固縛した状態で、固縛用帯状体をほどくことなく、一対の支柱と張力測定部とで固縛用帯状体を挟み込み、その後、他の側板を連結することで、張力測定可能な状態となる。そして、固縛用帯状体の張力を増していけば、予め設定された所定の張力を越えると、張力測定部が変形し、又は破断するので、所定の張力よりも大きな張力で固縛用帯状体が締め付けられたことを確認できる。張力測定部が破断すれば、固縛用帯状体の挟み込み状態が解除されるので、固縛用張力確認具を取り外すこともできる。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、
上記張力測定部は、上記一対の側板にそれぞれ基端側が連結された一対の片持ち梁であり、上記固縛用帯状体の長手方向から見たときに、該固縛用帯状体の幅方向中間部分が山形となる。
【0010】
上記の構成によると、固縛用帯状体に所定の張力がかかると、一対の片持ち梁の根元に所定の曲げ応力がかかるようにできる。このため、簡単な構成で比較的正確な張力の確認が可能となる。
【0011】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記一対の支柱は、基端側が上記一対の側板の一方に連結されており、先端側が他方の側板に設けた貫通孔に対して係合可能となっている。
【0012】
上記の構成によると、固縛用帯状体で被固縛物を固縛した状態で一方の側板側を固縛用帯状体に嵌め込み、その後、他方の側板の貫通孔に一対の支柱の先端を係合させることで、固縛用張力確認具が容易に固定される。
【0013】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記一対の側板の少なくとも一方には、上記張力測定部が破断した場合でも、上記一対の支柱との間に上記固縛用帯状体を挟み込む抜け防止部がさらに設けられている。
【0014】
上記の構成によると、張力測定部が破断してしまったような場合でも、固縛用張力確認具が固縛用帯状体に残るので、固縛用帯状体が所定の張力に保たれていることを目視で確認できる。
【0015】
第5の発明では、第4の発明において、
上記抜け防止部は、上記一対の支柱に対して上記固縛用帯状体の厚さ方向に間隔を空けて上記一対の側板の少なくとも一方に設けられ他方の側板へ延びる棒状部材である。
【0016】
上記の構成によると、簡単且つ成形しやすい構成で抜け防止部を設けることができる。
【0017】
第6の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記張力測定部を覆うと共に、上記固縛用帯状体が当接するガイド部材と、
上記張力測定部が破断した場合に、上記固縛用帯状体に押圧されて移動してきた上記ガイド部材がそれ以上移動するのを阻止するストッパ部とをさらに備える。
【0018】
上記の構成によると、張力測定部が破断してしまったような場合でも、ガイド部材が固縛用張力確認具の固縛用帯状体からの離脱を阻止するので、固縛用帯状体が所定の張力に保たれていることを目視で確認できる。
【0019】
第7の発明では、第4の発明において、
上記ガイド部材は、上記張力測定部を囲む筒状部材であり、
上記ストッパ部は、上記一対の側板における上記ガイド部材の端部の通過を阻止する位置にそれぞれ設けられている。
【0020】
上記の構成によると、張力測定部が破断した場合でも、その破片がガイド部材内に残る。また、破断した張力測定部がガイド部材内に残っているので、固縛用帯状体を弛めたときに固縛用張力確認具が引っ掛からず外しやすい。
【0021】
第8の発明では、第1から第7のいずれか1つの発明の固縛用張力確認具の製造方法であって、
上記張力測定部を成形する際に射出成形型の入れ子の形状を変更することで、荷重を検知する上記張力測定部と上記側板との連結部の断面形状を変更する構成とする。
【0022】
上記の構成によると、固縛用張力確認具の射出成形時に成形型の入れ子の形状を変更するだけで容易に張力測定部の連結部の断面積を変更できる。つまり、異なる入れ子を使用することで、同じ金型で異なる張力の確認が可能な固縛用張力確認具を製造できる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、固縛用張力確認具の一対の側板をそれぞれ別の部品で構成し、張力測定時に一対の支柱に連結可能に構成したので、簡単且つ安価な構成で、固縛用帯状体で被固縛物を固縛したままの状態で容易に張力を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態1に係る固縛用張力確認具を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る固縛用張力確認具を別の方向から見た斜視図である。
【
図5B】第1部材を別の方向から見た斜視図である。
【
図6B】第2部材を別の方向から見た斜視図である。
【
図7】固縛用帯状体の張力と垂直荷重との関係を示す固縛用帯状体の幅方向から見た断面図である。
【
図8A】第1張力測定部に加えられる荷重の関係を示す固縛用帯状体の長手方向から見た断面図である。
【
図8B】第1張力測定部に係る曲げモーメント線図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る固縛用張力確認具を示す斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る固縛用張力確認具を別の方向から見た斜視図である。
【
図13B】第1部材を別の方向から見た斜視図である。
【
図14】固縛用帯状体の張力と垂直荷重との関係を示す固縛用帯状体の幅方向から見た断面図である。
【
図15A】本発明の実施形態3に係る固縛用張力確認具を示す斜視図である。
【
図15B】第2側板を省略した固縛用張力確認具を示す斜視図である。
【
図15D】第2側板を省略した固縛用張力確認具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
(実施形態1)
図1及び
図2は本発明の実施形態1の固縛用張力確認具1を示し、この固縛用張力確認具1は、第1部材2と第2部材3との分割構造を有するゴムバンドなどの固縛用帯状体Bの張力を確認する部品である。固縛用張力確認具1は、例えば、樹脂成形品よりなる。固縛用帯状体Bは、ゴムバンドをはじめ、スチールバンド、合成樹脂繊維、金属繊維等により構成することができる。固縛用帯状体Bは、例えば、厚さ2mmのタイヤチューブを幅22mmに切り出したものである。
【0027】
図3及び
図4にも示すように、第1部材2には、固縛用帯状体Bの長手方向に間隔を空けて並ぶ一対の支柱4と、これら一対の支柱4を連結する1枚の第1側板5とが一体に形成されている。支柱4の断面形状は特に限定されないが、本実施形態では、矩形状であり、固縛用帯状体Bが接する下面は丸みを帯びているのが望ましい。一対の支柱4は、第1側板5の上側に設けられており、その先端には、カエリを有する係合部4aが設けられている。係合部4aの中央には、変形用切欠4bが設けられ、後述する貫通孔7aに挿入する際に変形しやすくなっている。そして、一対の支柱4の中間で且つ第1側板5の下側には、第1張力測定部6が一体に形成されている。第1張力測定部6の根元の第1連結部6aは、他の部分に比べて破断しやすいように断面が小さくなっている。例えば、第1連結部6aの断面形状は、矩形状とする。第1張力測定部6の上面6bの固縛用帯状体Bが当接する部分は、例えば、断面が半径5mmの丸面取りが施され、
図4、
図5A及び
図5Bに示すように、固縛用帯状体Bの長手方向から見ると、山なりに湾曲している。第1張力測定部6の先端部6cは、中央が厚さが1/3程度に細くなっている。
【0028】
一方、
図6A及び
図6Bに示すように、第2部材3は、上記第1側板5と略同形状の第2側板7を有し、この第2側板7には、一対の支柱4の係合部4aが挿入される略形状の一対の貫通孔7aが形成されている。第2側板7の一対の貫通孔7aの中間で且つ第2側板7の下側には、第2張力測定部8が一体に形成されている。第2張力測定部8の根元の第2連結部8aは、第1連結部6aと同様に他の部分に比べて破断しやすいように断面が小さくなっている。第2張力測定部8の上面8bの固縛用帯状体Bが当接する部分も、例えば、断面が半径5mmの丸面取りが施され、固縛用帯状体Bの長手方向から見て山なりに湾曲している。第2張力測定部8の先端部8cは、第1張力測定部6の先端部6cが挿入されるように、二股に分かれている。
【0029】
図1、
図2及び
図4に示すように、第1部材2と第2部材3とが合体した状態では、先端部6cと先端部8cとが嵌まり合った状態で、固縛用帯状体Bの長手方向から見て上面6bと上面8bとがほぼ連続となる。
【0030】
−実施例−
例えば、固縛用張力確認具1は、ABS樹脂の成形品で構成される。ABS樹脂は、引張弾性が2,550MPaで、引張強度が52MPa、曲げ強度が82MPaである。
【0031】
次いで、固縛用帯状体Bに張力Tが加えられたとき、第1張力測定部6に働く垂直方向の荷重Fを求める。なお、第2張力測定部8に働く荷重、曲げ応力等も同様に求められる。
【0032】
図7に示すように、固縛用帯状体Bが張力Tで引っ張られると、第1張力測定部6には垂直荷重Fが加えられる。このとき、第1張力測定部6と固縛用帯状体Bとの摩擦係数を無視すれば、
F=2Tsinθ…(1)
となる。ここで、Tは、固縛用帯状体Bの張力(kgf)で、Fは、第1張力測定部6に加えられる垂直荷重(kgf)で、θは固縛用帯状体Bの傾き角(°)である。例えば、θ=19.2°で張力Tが3kgfのとき、F=1.973kgfとなる。
【0033】
次いで、第1張力測定部6の根元に発生する曲げ応力の計算をする。固縛用帯状体Bの張力が増えると、第1張力測定部6の根元に派生する曲げ応力が増加し、やがては破壊に到る。これを片持ち梁と考え、
図8Aに示すように、荷重が均等に第1張力測定部6に加えられたと仮定する。第1張力測定部6の根元の断面形状は、幅bmmで高さhmmの四角形とする。第1張力測定部6に荷重fが加えられると、
図8Bに示すように、曲げモーメントMが発生し、引っ張り側表面に最大曲げ応力σ
b kgf/mm
2が発生する。このとき式(2)が成り立つ。
【0034】
M=fL…(2)
fは、固縛用帯状体Bから加えられる荷重Fの1/2であるから、式(3)が成り立つ。
【0035】
M=FL/2…(3)
また、第1張力測定部6の第1連結部6aの断面係数Zmm
3は、
Z=bh
2/6…(4)
となる。よって、第1連結部6aに発生する最大曲げ応力σ
bは、式(3)、(4)から
σ
b=M/Z=FL/2×6/bh
2=3FL/bh
2…(5)
となる。また、式(5)より、次の式(6)が得られる。
【0037】
このσ
bに材料の破壊強度を代入すると、適正な断面形状を得ることができる。今回の設計では、例えば、L=12mm、b=3mm、σ
b=82MPa=8.3kgf/mm
2とすると、
【0039】
となる。同様に張力Tが6kgf、9kgfのときも同様に計算を行えば、hは、それぞれ2.39mm、2.93mmとなる。これにより、それぞれの張力Tに対応する高さhが計算される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、一対の側板5,7をそれぞれ別の部品2,3で構成し、張力測定時に一対の支柱4に連結可能に構成したので、固縛用帯状体Bで被固縛物をある程度固縛した状態で、固縛用帯状体Bをほどくことなく、第1部材2の一対の支柱4と第1張力測定部6とで固縛用帯状体Bを挟み込み、その後、第2部材3の第2側板7を連結することで、張力測定可能な状態となる。第2張力測定部8を固縛用帯状体Bの下に嵌め込むときには、上面が山なりに湾曲しているので、挿入しやすい。
【0041】
このように、基端側が第1側板5に連結された一対の支柱4の先端側の係合部4aを第2側板7に設けた貫通孔7aに対して係合可能としたので、固縛用帯状体Bで被固縛物を固縛した状態で第1側板5側を固縛用帯状体Bに嵌め込み、その後、第2側板7の貫通孔7aに一対の支柱4の係合部4aを係合させることで、固縛用張力確認具1を容易に固定することができる。
【0042】
そして、固縛用帯状体Bの張力を増していけば、予め設定された所定の張力を越えると、第1張力測定部6及び第2張力測定部8の少なくとも一方が変形し、又は破断するので、所定の張力よりも大きな張力で固縛用帯状体Bが締め付けられたことを確認できる。なお、張力測定部が破断すれば、固縛用帯状体Bの挟み込み状態が解除されるので、固縛用張力確認具1を固縛用帯状体Bから取り外すこともできる。
【0043】
第1及び第2張力測定部6,8は、一対の側板5,7にそれぞれ基端側が連結された一対の片持ち梁であり、固縛用帯状体Bの長手方向から見たときに、固縛用帯状体Bの幅方向中間部分が山形となるようにしたので、固縛用帯状体Bに所定の張力が係ると、一対の片持ち梁の根元に所定の曲げ応力がかかるようにできる。このため、簡単な構成で比較的正確な張力の確認が可能となる。
【0044】
したがって、本実施形態に係る固縛用張力確認具1によると、簡単且つ安価な構成で、固縛用帯状体Bで被固縛物を固縛したままの状態で容易に張力を確認できる。
【0045】
−固縛用張力確認具の製造方法−
上記実施形態1の固縛用張力確認具1は、例えば、溶融樹脂材料の射出成形により製造される。
【0046】
詳しくは図示しないが、第1及び第2張力測定部6,8を成形する際に射出成形型の入れ子の形状を変更し、第1連結部6a及び第2連結部8aの切込高Hを変更することで、荷重を検知する第1連結部6a及び第2連結部8aの断面形状を変更することができる。
【0047】
例えば、H=0mm、0.6mm、1.3mmと変更することで、測定可能な張力Tが9kgf、6kgf、3kgfの固縛用張力確認具1を製造することができる。上記実施形態1は、H=3kgfの場合を例示している。
【0048】
このように、固縛用張力確認具1の射出成形時に成形型の入れ子の形状を変更するだけで容易に張力測定部6,8の連結部6a,8aの断面積を変更できる。つまり、異なる入れ子を使用することで、同じ金型で異なる張力の確認が可能な固縛用張力確認具1を製造できる。
【0049】
(実施形態2)
図9〜
図14は本発明の実施形態2に係る固縛用張力確認具101を示し、抜け防止部104が設けられている点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、
図1〜
図8Bと同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0050】
すなわち、本実施形態の固縛用張力確認具101は、その第1側板5における一対の支柱4の真下に一対の抜け防止部104がそれぞれ形成されている。この抜け防止部104は、例えば、一対の支柱4よりも細い断面矩形状に形成された棒状部材である。なお、この抜け防止部104は、支柱4の真下に設けられている必要はなく、ずれた位置に設けられていてもよく、断面は円形等でもよい。要は、この一対の抜け防止部104を設けることで、第1張力測定部6及び第2張力測定部8の少なくとも一方が破断しても、一対の支柱4と一対の抜け防止部104との間に固縛用帯状体Bが挟まれた状態が維持され、固縛用張力確認具101が固縛用帯状体Bから抜け落ちないように構成されていればよい。
【0051】
固縛用張力確認具101の使用状態では、一対の抜け防止部104と第2側板7との間には、隙間Hが確保されている。これは、支柱4の先端の係合部4aを第2側板7の貫通孔7aに挿通して係合させるときに、係合部4aが貫通孔7aから抜けきるようにして係合部4aの根元が貫通孔7aの周縁に確実に引っ掛かるようにしている。そして、この隙間Hは、固縛用帯状体Bの厚さよりも狭いのが望ましい。固縛用帯状体Bから固縛用張力確認具101が抜け落ちないようにするためである。
【0052】
このように構成することで、固縛用帯状体Bが所定の張力に保たれていることを目視して確認することができる。
【0053】
したがって、本実施形態に係る固縛用張力確認具101によると、簡単且つ安価な構成で、第1張力測定部6及び第2張力測定部8が破断してしまったような場合でも、固縛用帯状体Bに残り、固縛用帯状体Bで被固縛物を固縛したままの状態で容易に張力を確認できる。
【0054】
また、本実施形態では、上記実施形態1の固縛用張力確認具1に一対の受け防止部104を設けただけであるので、上記実施形態1と同様に射出成形により簡単に成形することができる。
【0055】
上記実施形態2では、一対の抜け防止部104を、その基端側を第1側板5に連結させるように形成したが、第2側板7に連結させてもよく、第1側板5に1本連結し、第2側板7に1本連結してもよい。また、第1側板5及び第2側板7にそれぞれ2本短い抜け防止部を連結し、突き合わせるようにしてもよい。
【0056】
(実施形態3)
図15A〜
図15Eは、本発明の実施形態3に係る固縛用張力確認具201を示し、主にガイド部材209及びストッパ部210が設けられている点で上記実施形態1と異なる。
【0057】
本実施形態の固縛用張力確認具201は、第1張力測定部6及び第2張力測定部8を覆うと共に、固縛用帯状体Bが当接するガイド部材209を備えている。具体的には、このガイド部材209は、例えば樹脂成形品で構成された筒状部材よりなり、山形の当接面209aと、第1張力測定部6及び第2張力測定部8のほぼ全体の全周をすっぽりと覆う筒状部209bと、当接面209aに連続して両側に広がる一対の鍔部209cとを備え、筒状部209b内に第1張力測定部6及び第2張力測定部8を収容する測定部収容部209dが形成されている。
【0058】
そして、第1側板5及び第2側板7には、それぞれ第1張力測定部6及び第2張力測定部8が破断した場合に、固縛用帯状体Bに押圧されて移動してきたガイド部材209がそれ以上移動するのを阻止するストッパ部210が、それぞれ一体に突設されている。ストッパ部210は、第1側板5及び第2側板7の下端にそれぞれ設けられており、底面視で略U字状(略コ字状)をしている。各ストッパ部210は、筒状部209bが通過可能な凹状部210aと、一対の鍔部209cがそれぞれ当接する一対の鍔部当接部210bとを備えている。つまり、鍔部当接部210bは、第1側板5及び第2側板7におけるガイド部材209の端部の通過を阻止する位置にそれぞれ設けられている。
【0059】
本実施形態では、第1張力測定部6及び第2張力測定部8が破断してしまったような場合でも、ガイド部材209が固縛用張力確認具201の固縛用帯状体Bからの離脱を阻止するので、固縛用帯状体Bが所定の張力に保たれていることを確実且つ容易に目視で確認できる。
【0060】
本実施形態では、第1張力測定部6及び第2張力測定部8が破断した場合でも、その破片がガイド部材209内に残る。このように破断した第1張力測定部6及び第2張力測定部8がガイド部材209内に残っているので、固縛用帯状体Bを弛めたときに引っ掛からず、固縛用帯状体Bから固縛用張力確認具201を外しやすい。
【0061】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0062】
すなわち、上記各実施形態では、一対の支柱4を第1側板5に設け、一対の貫通孔7aを第2側板7に設けているが、一方の支柱4を第1側板5に設け、それに対応する一方の貫通孔7aを第2側板7に設け、他方の支柱4を第2側板7に設け、それに対応する他方の貫通孔7aを第1側板5に設けてもよい。
【0063】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 固縛用張力確認具
2 第1部材
3 第2部材
4 支柱
4a 係合部
4b 変形用切欠
5 第1側板
6 第1張力測定部
6a 第1連結部
6b 上面
6c 先端部
7 第2側板
7a 貫通孔
8 第2張力測定部
8a 第2連結部
8b 上面
8c 先端部
101 固縛用張力確認具
104 防止部
201 固縛用張力確認具
209 ガイド部材
209a 当接面
209b 筒状部
209c 鍔部
209d 測定部収容部
210 ストッパ部
210a 凹状部
210b 鉤部当接部
B 固縛用帯状体
【要約】
固縛用帯状体(B)の張力を確認する固縛用張力確認具(1)において、固縛用帯状体(B)の長手方向に間隔を空けて一対の支柱(4)を並べ、これら一対の支柱(4)の両端にそれぞれ固縛用帯状体(B)の幅方向両側に配置される一対の側板を連結する。これら一対の支柱(4)の間において一対の側板に所定の張力で変形する張力測定部を設ける。このとき、少なくとも一対の側板をそれぞれ別の部品で構成し、張力測定時に一対の支柱(4)に連結可能とする。これにより、固縛用張力確認具(1)を簡単且つ安価な構成で、固縛時の張力を容易に確認できるものにする。