(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蓋体及び前記保冷材又は保温材が略矩形板状であり、前記保冷材又は保温材を前記容器本体の上面開口に嵌合する大きさとしてなる請求項1記載の保冷・保温容器用蓋組立体。
請求項2記載の保冷・保温容器用蓋組立体と、該蓋組立体により閉蓋される発泡合成樹脂製の容器本体とからなる保冷・保温容器であって、前記容器本体を前記蓋組立体により閉蓋した状態で、前記容器本体の上面開口に嵌合した前記保冷材又は保温材の角部を受ける段部を前記容器本体に形成してなる保冷・保温容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の保冷容器用蓋組立体の構成では、蓋体の下面に形成する係合凹部の形状が蓄冷材をその水平移動により係止する特殊な形状であるため成形が困難であり、一対の蓄冷材を連結する連結手段(連結片及び止め具)が必要になるとともに、蓋体への蓄冷材の装着に手間が掛かる。
その上、一対の蓄冷材をこれらの互いに逆方向への水平移動操作により係止するという構造上の制約から、蓄冷材の大きさが比較的小さくなるため被保冷物を保冷できる時間が短くなる。
また、特許文献2の保冷容器用蓋組立体の構成では、蓋体の下面に形成する内拡状の孔の成形が困難であるとともに、2分割された蓄冷材を所定の力で弾撥的に拡開止定する二股状の連結部を介して連設してなる特別な形状の蓄冷材が必要になる。
その上、このような蓄冷材を蓋体の裏面に形成された内拡状の孔に挿入した後に拡開状態にして係止するという構造上の制約から、蓄冷材の大きさが比較的小さくなるため被保冷物を保冷できる時間が短くなる。
さらに、特許文献3の保冷容器用蓋組立体の構成では、蓋体に形成した蓄冷材収容部の上方開放部に別体の補助蓋を設ける必要があることから部品点数が増加するとともに、蓋体の高さ(上下方向長さ)が大きくなる。
その上、蓋体に形成した蓄冷材収容部内に蓄冷材を収容するという構造上の制約から、蓄冷材の大きさが比較的小さくなるため被保冷物を保冷できる時間が短くなる。
【0005】
これらに対して特許文献4の保冷容器用蓋組立体の構成は、蓄冷材が容器本体の上縁部に亘る大きさであるため被保冷物を保冷できる時間が長くなるものであるが、以下に示すような問題点がある。
すなわち、蓄冷材は、ブロー成形により形成される蓄冷剤用容器に蓄冷剤を封入して製造され、この蓄冷剤用容器は、ほとんどの場合高密度ポリエチレンが素材とされており、この高密度ポリエチレンの線膨張係数は約15×10
-5/K程度である。
一方、蓄冷材が装着される蓋体は、発泡成形により形成され、主にコスト面からポリスチレンが素材とされており、このポリスチレンの線膨張係数は約6×10
-5/K程度である。
したがって、冷却時に収縮し、昇温して膨張する寸法は、無視できないものであり、蓋体の内周面に形成する凹溝はアンダーカットとなるので、大きく成形するためにはシリンダー機構等の特別な装置が必要になり、特許文献4のように蓄冷材の外周面に凸条を形成し、この凸条を蓋体の内周面に形成した凹溝に係合させて蓋組立体とした構成では、凹溝と凸条との凹凸係合部に寸法変化が生じるため、蓋体から蓄冷材が脱落する場合がある。
よって、特許文献4の保冷容器では、被保冷物を容器本体に収納し、容器本体を保冷容器用蓋組立体により閉蓋した使用時において、この保冷容器の輸送並びに積込み及び荷下ろしの際に振動・衝撃等があっても蓋体から蓄冷材が脱落しないように、蓄冷材を容器本体の上縁部に亘る大きさにしている。
しかしながら、容器本体から保冷容器用蓋組立体を外した際に蓋体から蓄冷材が脱落する場合があるとともに、蓄冷材を容器本体の上縁部に亘る大きさにしていることから、蓄冷材の外側の容器本体と蓋体との間に嵌合部を形成する必要があり、したがって、蓋体の高さ(上下方向長さ)が大きくなるとともに、容器本体の側壁の厚み又は蓋体の周側部の厚みを厚くする必要がある。
【0006】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、蓋体への保冷・保温材の装着が容易であり、収納物を保冷・保温できる時間が短くなることがない比較的大きな保冷・保温材を備えた構成でありながら、蓋体の高さ及び蓋体の周側部の厚み又は容器本体の厚みを大きくする必要がなく、成形しにくい形状部分がなく部品点数が増加することもない簡素な構成により製造コストを低減することができる保冷・保温容器用蓋組立体及び保冷・保温容器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る保冷・保温容器用蓋組立体は、前記課題解決のために、保冷・保温容器の容器本体を閉蓋するために用いられる、発泡合成樹脂製の蓋体及び該蓋体に支持された保冷材又は保温材からなる保冷・保温容器用蓋組立体であって、
前記蓋体
は、前記蓋体と一体に形成された、前記裏面から下方へ突出
し、下方に縮径する傾斜面、前記傾斜面の下端からさらに縮径する周溝及び前記周溝の下端から拡径する拡径部からなる複数の係合凸部を
有し、
前記保冷材又は保温材
は、前記保冷材又は保温材の厚み方向に貫通し、
前記傾斜面の傾斜と略同じ傾斜で下方に縮径する傾斜穴、前記傾斜穴の下端からさらに内方へ突出し、前記周溝に係合する鍔部及び前記鍔部の下端から下方に拡径する傾斜穴からなる、前記複数の係合凸部に係合する複数の係合凹部を
有するとともに、前記上下の傾斜穴は、水平面を対称面とする面対称に形成され、
前記蓋体の裏面側から前記保冷材又は保温材を近づけて前記係合凸部に前記係合凹部を係合させることにより一体化されるものである。
このような構成によれば、保冷材又は保温材を蓋体に取り付けて蓋組立体としているため、この蓋組立体により容器本体を閉蓋した保冷・保温容器において、保冷材又は保温材を容器本体に収納する構成と比較して収納物(被保冷物又は被保温物)の収納効率を高めることができる。
【0008】
その上、蓋体の裏面側から保冷材又は保温材を近づけて係合凸部に係合凹部を係合させることにより一体化されることから、保冷材又は保温材の蓋体への装着を非常に容易に行うことができる。
その上さらに、蓋体の裏面に一体成形された係合凸部に保冷材又は保温材に形成された係合凹部を係合する構成であることから、保冷材又は保温材を比較的大きく形成することができるため、収納物を保冷・保温できる時間を比較的長くすることができる。
その上、蓋体に特殊形状の係合凹部や内拡状の孔等を形成する構成又は別体の補助蓋を設ける構成とは異なり蓋体の下面に係合凸部を一体成形する構成であることから、成形しにくい形状部分がなく部品点数が増加することもない簡素な構成であるため、製造コストを低減することができる。
その上さらに、蓋体の係合凸部に保冷材の係合凹部を係合させて一体化し、これらを冷却すると、保冷材が収縮して係合凹部も収縮することから、係合凸部と係合凹部との凹凸係合がより強固になるため、保冷材が蓋体から脱落しにくくなる。
その上、蓋体の係合凸部の下方に縮径する傾斜面と保冷材の係合凹部の下方に縮径する上側の傾斜穴の傾斜が略同じであるため、これらの面接触により、蓋体及び保冷材はガタツキが生じることなく一体化される。
その上さらに、蓋体の係合凸部の括れ部である、傾斜面の下端からさらに縮径する周溝内に、保冷材又は保温材の係合凹部の突出部である鍔部が入るため、抜け止めがされた状態で蓋体及び保冷材が連結される。
その上、保冷材又は保温材の上下の傾斜穴が、水平面を対称面とする面対称に形成されているので、ブロー成形に好都合であるとともに、保冷材又は保温材の上下を入れ替えても使用することができる。
【0009】
ここで、前記蓋体及び前記保冷材又は保温材が略矩形板状であり、前記保冷材又は保温材を前記容器本体の上面開口に嵌合する大きさとしてなると好ましい。
このような構成によれば、保冷・保温容器用蓋組立体を構成する保冷材又は保温材を容器本体の上面開口に嵌合する大きさとしていることから、保冷材又は保温材の外側の容器本体と蓋体との間に嵌合部を形成する必要がなく、蓋体の高さ及び蓋体の周側部の厚み又は容器本体の厚みを大きくする必要がないため、製造コストを低減することができる。
【0010】
また、一体化された前記蓋体及び保冷材又は保温材を、合成樹脂フィルム状物で被覆してなると好ましい。
このような構成によれば、保冷・保温容器用蓋組立体(蓋体及び保冷材又は保温材)が合成樹脂フィルム状物で被覆されていることから、蓋体からの保冷材又は保温材の脱落並びに蓋体及び保冷材又は保温材の汚染を確実に防止することができ、保冷・保温容器用蓋組立体の表面が滑らかになるため容易に洗浄することができるとともに、洗浄後に水が溜まりにくい。
その上、合成樹脂フィルム状物で被覆された蓋体及び保冷材又は保温材を繰り返して使用することができることから、保冷材又は保温材を蓋体に装着する手間が省けるため省力化を図ることができるとともに、蓋体の損傷が減少することから、再使用の回数を増すことができるため省資源化を図ることができる。
【0013】
本発明に係る保冷・保温容器は、前記課題解決のために、前記保冷・保温容器用蓋組立体と、該蓋組立体により閉蓋される発泡合成樹脂製の容器本体とからなるものである。
このような構成によれば、前記保冷・保温容器用蓋組立体と同様の作用効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る保冷・保温容器は、前記課題解決のために、前記蓋体及び前記保冷材又は保温材が略矩形板状であり、前記保冷材又は保温材を前記容器本体の上面開口に嵌合する大きさとしてなる保冷・保温容器用蓋組立体と、該蓋組立体により閉蓋される発泡合成樹脂製の容器本体とからなる保冷・保温容器であって、前記容器本体を前記蓋組立体により閉蓋した状態で、前記容器本体の上面開口に嵌合した前記保冷材又は保温材の角部を受ける段部を前記容器本体に形成してなるものである。
このような構成によれば、保冷・保温容器の輸送並びに積込み及び荷下ろしの際に振動・衝撃等があっても、保冷材又は保温材の角部を容器本体の段部が受け止めるため、蓋体からの保冷材又は保温材の脱落を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る保冷・保温容器用蓋組立体及び保冷・保温容器によれば、蓋体の裏面側から保冷材又は保温材を近づけて係合凸部に係合凹部を係合させること等により一体化されることから、保冷材又は保温材の蓋体への装着を非常に容易に行うことができ、保冷材又は保温材を比較的大きく形成することができるため、収納物を保冷・保温できる時間を比較的長くすることができ、蓋体に特殊形状の係合凹部や内拡状の孔等を形成する構成又は別体の補助蓋を設ける構成とは異なり、成形しにくい形状部分がなく部品点数が増加することもない簡素な構成であるため、製造コストを低減することができるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、保冷容器用蓋組立体及び保冷容器について説明するが、本発明は保温容器用蓋組立体及び保温容器も含むものであり、本発明の保温容器用蓋組立体は、発泡合成樹脂製の蓋体及び該蓋体に支持された保温材からなり、保温材は、保温剤を保温剤用容器に封入したものである。また、本発明の保温容器用蓋組立体は、以下に示す保冷容器用蓋組立体と同様の形状のものである。
なお、本明細書において、矩形箱状の保冷容器を水平面上に載置した状態で上下方向を定義し、平面視矩形の長辺側の側壁外面を正面とする。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る保冷容器1を構成する容器本体2は、平面視略矩形板状の底板10の端縁部に略平面視矩形の短辺側の側壁11,12及び長辺側の側壁13,14を立設した形状であり、略平面視矩形の上面開口2Aが形成される。
本発明の実施の形態に係る保冷容器1は、上記形状の容器本体2並びに平面視略矩形板状の蓋体3及び保冷材4からなり、図示しない魚介類、果菜類等の収納物(被保冷物)を容器本体2内に収納し、蓋体3及び保冷材4により構成される保冷容器用蓋組立体Aにより容器本体2の上面開口2Aを蓋いだ状態として、前記収納物を保管、運搬又は輸送するものである。
【0019】
ここで、容器本体2及び蓋体3は、軽量であるとともに断熱性に優れた発泡合成樹脂製であり、発泡合成樹脂としては、例えば、発泡ポリスチレン系樹脂、発泡ポリエチレン系樹脂、発泡ポリプロピレン系樹脂等の発泡ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン変性発泡ポリエチレン等のポリスチレン変性発泡ポリオレフィン系樹脂、硬質発泡ウレタン系樹脂等を用いることができるが、中でも発泡ポリスチレンがコスト等の点から好ましい。
また、保冷材4は、保冷剤を保冷剤用容器に封入したものであり、保冷剤用容器は、例えば高密度ポリエチレン製であり、一般にはブロー成形により製作されるのが通常であることから、ブロー成形が可能な形状であることが望ましい。
【0020】
図2〜
図4に示すように、本発明の実施の形態に係る保冷容器用蓋組立体Aは、蓋体3の裏面(下面)3Aに
一体成形された係合凸部5,5,…に、保冷材4に形成された係合凹部7,7,…を係合させることにより、蓋体3の裏側(下側)の凹部3Bに保冷材4を嵌合した状態で、蓋体3及び保冷材4を一体化したものである。
また、
図4に示すように、保冷容器用蓋組立体Aにより容器本体2を閉蓋した状態では、容器本体2の上端縁2Cに蓋体3の下端縁3Cが当接するとともに、保冷材4が容器本体2の上面開口2Aに嵌合し、保冷材4の下面四隅の角部4A,4A,…(
図2も参照)を容器本体2内面の四隅に形成した段部2B,2B,…(
図1も参照)が受け止める。
なお、このような保冷材4の下面四隅の角部4A,4A,…を受け止める段部2B,2B,…は必須のものではなく、蓋体3及び保冷材4の連結状態によっては、段部2B,2B,…を形成しなくてもよい。
【0021】
図1及び
図2に示すように、蓋体3の裏面3Aに
一体成形された係合凸部5,5,…は、底面視円形であり、
図5に示すように、下方に縮径する傾斜面5A、傾斜面5Aの下端からさらに縮径する周溝5B及び周溝5Bの下端から拡径する拡径部5Cからなり、周溝5Bの部分がその上下の傾斜面5A及び拡径部5Cから括れている。
また、保冷材4に形成された係合凹部7は、係合凸部5の傾斜面5Aの傾斜と略同じ傾斜で下方に縮径する傾斜穴7A、傾斜穴7Aの下端からさらに内方へ突出し、周溝5Bに係合する鍔部7B及び鍔部7Bの下端から下方に拡径する傾斜穴7Aからなり、上下の傾斜穴7A,7Aは水平面を対称面とする面対称に形成されるため、ブロー成形に好都合であるとともに、保冷材4の上下を入れ替えても使用することができる。
【0022】
したがって、
図2及び
図3に示すように蓋体3の裏面3A側から保冷材4を直線的に近づけて係合凸部5,5,…に係合凹部7,7,…を係合させることにより、
図5に示す係合凸部5の括れ部である周溝5B内に係合凹部7の突出部である鍔部7Bが入るため、抜け止めがされた状態で蓋体3及び保冷材4が連結される。
ここで、保冷材4の係合凹部7の鍔部7Bの内周面により、蓋体3の係合凸部5の周溝5Bの外径よりも若干大きい直径の丸穴7Cが形成されているとともに、
図4及び
図5のように蓋体3の係合凸部5,5,…及び保冷材4の係合凹部7,7,…が係合した状態で、係合凸部5の拡径部5Cが、係合凹部7の下方に拡径する下側の傾斜穴7A内に位置するため、蓋体3への保冷材4の装着作業を円滑に行うことができる。
その上、蓋体3の係合凸部5の下方に縮径する傾斜面5Aと保冷材4の係合凹部7の下方に縮径する上側の傾斜穴7Aの傾斜が略同じであるため、これらの面接触により、蓋体3及び保冷材4はガタツキが生じることなく一体化される。
【0023】
以上のような構成によれば、保冷材4を蓋体3に取り付けて保冷容器用蓋組立体Aとしているため、この蓋組立体Aにより容器本体2を閉蓋した保冷容器1(例えば、
図1参照)において、保冷材4を容器本体2に収納する構成と比較して、収納物(被保冷物)の収納効率を高めることができる。
また、蓋体3の裏面3Aに
一体成形された係合凸部5,5,…に保冷材4に形成された係合凹部7,7,…を係合する構成であることから、保冷材4を比較的大きく形成することができるため、収納物を保冷できる時間を比較的長くすることができる。
【0024】
さらに、蓋体3の裏面3A側から保冷材4を直線的に近づけて係合凸部5,5,…に係合凹部7,7,…を係合させることにより一体化されることから、保冷材4の蓋体3への装着を非常に容易に行うことができる。
さらにまた、蓋体3の係合凸部5,5,…に保冷材4の係合凹部7,7,…を係合させて一体化し、これらを冷却すると、保冷材4が収縮して係合凹部7,7,…も収縮することから、係合凸部5と係合凹部7との凹凸係合がより強固になるため、保冷材4が蓋体3から脱落しにくくなる。
また、蓋体3及び保冷材4が略矩形板状であり、保冷材4を容器本体2の上面開口2Aに嵌合する大きさとしており、容器本体2を蓋体3及び保冷材4からなる保冷容器用蓋組立体Aにより閉蓋した状態で、保冷材4の角部4A,4A,…を受ける段部2B,2B,…が容器本体2に形成されているため、保冷容器1の輸送並びに積込み及び荷下ろしの際に振動・衝撃等があっても、保冷材4の角部4A,4A,…を容器本体2の段部2B,2B,…が受け止めるため、蓋体3からの保冷材4の脱落を確実に防止することができる。
【0025】
さらに、蓋体3に特殊形状の係合凹部や内拡状の孔等を形成する構成又は別体の補助蓋を設ける構成とは異なり蓋体3の下面3Aに係合凸部5,5,…を
一体成形する構成であることから、成形しにくい形状部分がなく部品点数が増加することもない簡素な構成であるため、製造コストを低減することができる。
さらにまた、保冷容器用蓋組立体Aの蓋体3及び保冷材4が略矩形板状であり、保冷材4を容器本体2の上面開口2Aに嵌合する大きさとしていることから、保冷材4の外側の容器本体2と蓋体3との間に嵌合部を形成する必要がなく、蓋体3の高さ及び蓋体3の周側部の厚み又は容器本体2の厚みを大きくする必要がないため、製造コストを低減することができる。
【0026】
図6に示すように、蓋体3及び保冷材4を、合成樹脂フィルム状物9で被覆することにより、蓋体3からの保冷材4の脱落並びに蓋体3及び保冷材4の汚染を確実に防止することができ、保冷容器用蓋組立体Aの表面が滑らかになるため容易に洗浄することができるとともに、洗浄後に水が溜まりにくい。
その上、合成樹脂フィルム状物9で被覆された蓋体3及び保冷材4を繰り返して使用することができることから、保冷材4を蓋体3に装着する手間が省けるため省力化を図ることができるとともに、蓋体3の損傷が減少することから、再使用の回数を増すことができるため省資源化を図ることができる。
ここで、合成樹脂フィルム状物9は、蓋体3及び保冷材4を被覆する機能を有していればよく、一般に市販されている各種のシュリンクフィルムを良好に使用することができる。素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ナイロン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
これらの素材からなる合成樹脂フィルム状物9を利用して蓋体3及び保冷材4を覆い、フィルム端部を熱シールあるいは接着等により接合して蓋体3又は保冷材4が露出しないように被覆することにより、内部にほこりや水分等が浸入しないように一体化することができるため、繰り返し使用に適した被覆を行うことができる。
なお、合成樹脂フィルム状物9が保冷材4と容器本体2との嵌合の邪魔をすることがないように、合成樹脂フィルム状物9を蓋体3及び保冷材4の外形に添わせることが必要となる場合があるが、この場合には、嵌合部形状に合致させた熱板等を接触させて合成樹脂フィルム状物9を収縮させながら成形することにより実現することができる。
あるいは、保冷材4の容器本体2の上面開口2Aに入る部分の上部周りの合成樹脂フィルム状物9を細いゴム輪等で密着させるようにしてもよい。
【0029】
蓋体3の係合凸部及び保冷材4の係合凹部の形状については、
図1〜
図6のような係合凸部5及び係合凹部7の形状が底面視又は平面視において円形のものではなく、
図7に示すように、係合凹部8を長穴としてこの長穴に係合凸部6を係合させてもよい。
図7の保冷容器用蓋組立体Aは、蓋体3の裏面(下面)3Aに
一体成形された係合凸部6,6に、保冷材4に形成された係合凹部8,8を係合させることにより、蓋体3の裏側(下側)の凹部3Bに保冷材4を嵌合した状態で、蓋体3及び保冷材4を一体化したものである。
【0030】
すなわち、蓋体3の裏面3A側から保冷材4を直線的に近づけて係合凸部6,6に係合凹部8,8を係合させることにより、係合凸部6の括れ部である周溝6B内に係合凹部8の突出部である鍔部8Bが入るため、抜け止めがされた状態で蓋体3及び保冷材4が連結される。
ここで、保冷材4の係合凹部8の鍔部8Bの内周面により、蓋体3の係合凸部6の周溝6Bの外形よりも若干大きい長穴8Cが形成されているとともに、蓋体3の係合凸部6,6及び保冷材4の係合凹部8,8が係合した状態で、
図4及び
図5と同様に、係合凸部6の拡径部6Cが、係合凹部8の下方に拡径する下側の傾斜穴8A内に位置するため、蓋体3への保冷材4の装着作業を円滑に行うことができる。
その上、
図4及び
図5と同様に、蓋体3の係合凸部6の下方に縮径する傾斜面6Aと保冷材4の係合凹部8の下方に縮径する上側の傾斜穴8Aの傾斜が略同じであるため、これらの面接触により、蓋体3及び保冷材4はガタツキが生じることなく一体化される。
【0031】
蓋体3の係合凸部及び保冷材4の係合凹部の形状は、本実施の形態以外の様々な形状であってもよく、このような凹凸係合部の個数についても
図2のような5個又は
図7のような2個に限定されるものではなく、例えば平面視(底面視)における中央部に1個のみ形成するようにしてもよい
。
また、以上の説明においては、保冷容器1が矩形箱状である場合を示したが、本発明の保冷容器1はこのような形状に限定されるものではない。また、保冷材4を容器本体2の上面開口2Aに嵌合する大きさとして保冷材4の外側の容器本体2と蓋体3との間に嵌合部を形成しない場合を示したが、本発明の保冷容器1として、特に保冷材容器の大きさや要求される気密性によっては、容器本体2と蓋体3との間に嵌合部、すなわち嵌合用段部又は嵌合用凸条及び凹条等を形成して閉蓋する一般的な構成を採用してもよい。
さらに、蓋体3に複数の保冷材4,4,…を取り付けるようにしてもよく、容器本体2を仕切って複数の収容空間を形成しておき、これらの収容空間の収容物に適合する複数の保冷材又は保温材を蓋体3により保持するようにしてもよい。
【0032】
本発明の保冷容器(保温容器)の使用方法は、保冷材(保温材)を保冷庫(保温庫)に保管して、保冷材(保温材)が目的の適温に達した後、蓋体下面に
一体成形した係合凸部に保冷材(保温材)に形成した係合凹部を係合させて一体化した保冷容器用蓋組立体(保温容器用蓋組立体)により容器本体を閉蓋して使用する。あるいは、蓋体及び保冷材(保温材)を合成樹脂フィルム状物で被覆したものでは、保冷容器用蓋組立体(保温容器用蓋組立体)をそのまま保冷庫(保温庫)に保管して保冷材(保温材)が適温に達した後、保冷容器用蓋組立体(保温容器用蓋組立体)により容器本体を閉蓋して使用する。