(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227863
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】家畜の屠殺体を処理する装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
A22B 5/20 20060101AFI20171030BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20171030BHJP
A22B 7/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
A22B5/20
B25J11/00 Z
A22B7/00
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-246697(P2012-246697)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2013-99329(P2013-99329A)
(43)【公開日】2013年5月23日
【審査請求日】2015年9月18日
(31)【優先権主張番号】2007744
(32)【優先日】2011年11月8日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】504253072
【氏名又は名称】フンボルト ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】ウエフィング,アルノ ヘルマナス マリア
(72)【発明者】
【氏名】コスター,ニールス アントニオ ウィリアム
【審査官】
豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/042234(WO,A1)
【文献】
英国特許出願公開第02427121(GB,A)
【文献】
特開2007−167985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22B 1/00 − 7/00
A22C 5/00 − 29/04
B26D 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜の屠殺体の処理を行なうための解体ツールおよび前記解体ツールを支持して移動させる単一のロボットアームを備える家畜の屠殺体を処理する装置であって、
前記解体ツールとして第1および第2を含む少なくとも2つの同一種類の解体ツールを有し、
前記少なくとも2つの解体ツールは前記単一のロボットアームによって移動され、前記解体ツールのいずれか一方が洗浄される洗浄位置と、前記解体ツールの他方により屠殺体の解体処理が行われる処理位置とに交互に配置されるように構成されたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置は移動可能な洗浄ツールを備え、解体処理を行うサイクル中に前記解体ツールが前記ロボットアームによって移動されるときに、前記洗浄ツールは、前記解体処理を行うサイクルの間における前記解体ツールの移動経路の少なくとも一部に渡って、前記解体ツールを洗浄する目的で前記解体ツールと共に移動することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記洗浄ツールは、洗浄液供給および洗浄液放出がなされることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記洗浄ツールおよび家畜の屠殺体の処理を行なうための前記少なくとも2つの解体ツールが同一の前記ロボットアームによって支持されることを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記洗浄ツールによる前記解体ツールの洗浄位置と、前記洗浄ツールに妨害されることなく前記解体ツールが屠殺体の解体処理を行なう前記処理位置との間で、前記洗浄ツールおよび前記少なくとも2つの解体ツールが互いに連動して移動可能であることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記洗浄ツールは、固定物に移動可能に接続されていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記洗浄ツールは、処理サイクルに続いて移動する移動径路の少なくとも一部に渡って前記ロボットアームによって移動されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
同じ解体処理を行なうために少なくとも2つの同一種類の解体ツールを有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
異なる解体処理を行なうために少なくとも2つの同一種類の解体ツールを有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、一群の、鋸、ナイフ、肉切り包丁、大ばさみ、刻印機、把持部およびプッシャーから選ばれる前記少なくとも2つの同一種類の解体ツールを備えることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記ロボットアームは、4軸または6軸であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記ロボットアームの出力軸は前記少なくとも2つの解体ツールおよび/又は前記洗浄ツールを支持する請求項2から4のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
第1および第2を含む少なくとも2つの解体ツールが家畜の屠殺体を処理する方法であって、
A)ロボットアームによって作動される第1の解体ツールを用いて少なくとも一つの家畜の屠殺体の解体処理を行ない、
B)同一の前記ロボットアームによって支持される第2の解体ツールを用いて第2の処理を行ない、
前記少なくとも2つの解体ツールは前記単一のロボットアームによって移動され、前記解体ツールのいずれか一方が洗浄される洗浄位置と、前記解体ツールの他方により屠殺体の解体処理が行われる処理位置とに交互に配置可能であることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記第1および第2の解体ツールを用いて、屠殺体に同じ解体処理が行なわれることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1および第2の解体ツールを用いて、屠殺体に異なるタイプの解体処理が行なわれることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
洗浄ツールによる前記解体ツールの洗浄位置と、前記洗浄ツールに妨害されることなく前記解体ツールが屠殺体の解体処理を行なう前記処理位置との間で、前記洗浄ツールおよび前記少なくとも2つの解体ツールが互いに連動して移動可能であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ロボットアームから分離されている前記洗浄ツールは、前記ロボットアームとは異なる駆動部によって移動されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ロボットアームによって作動される解体処理は、以下に示すいずれかの解体処理から構成されることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
胸骨を開くこと、陰茎を除去すること、屠殺体を裂くこと、肛門を除去すること、脚を切ること、首を切ること、恥骨を切り裂くこと、腹部を開くこと、内臓摘出、(脂肪)部の除去、すじ肉の保存、精巣の除去、および屠殺体(carcass)部分の刻印。
【請求項19】
同一種類の解体ツールによって家畜の屠殺体の解体処理が行われる間に、少なくとも一つの解体ツールが前記洗浄ツールによって常に洗浄されていることを特徴とする請求項16から18のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜の屠殺体(carcasses)を処理する装置に関する。この装置は家畜の屠
殺体の解体(dressing)処理を行なうための少なくとも2つの解体ツールおよびその解体ツールを支持するロボットアームを備える。本発明は、また、このような装置を用いて家畜の屠殺体を処理する方法に関する。家畜の屠殺体に関しては、より詳細には、牛、豚、羊の屠殺体を意味するものと理解される。用語、屠殺体(carcass)は、屠殺体の部分、
例えば、完全または不完全にそれぞれが分離された屠殺体の半体(half-carcasses)なども含むように広義に解釈されなければならない。
【0002】
家畜の屠殺体は、通常、食肉処理(slaughter)ラインで処理される。食肉処理ライン
において処理すべき屠殺体(または屠殺体の部分)は、複数の処理場所(stations)を通過して運ばれる。作業者によって所定の処理を行なうべく、処理場所に作業者を配置することもできるが、解体処理の可能な限りの機械化または自動化への動向がある。ここで、特定の解体処理が自動的に行なえる1又はそれ以上のロボットアームを有する食肉処理ラインを用いることができる。家畜の屠殺体を処理するためにロボットアームを利用することの利点は、解体処理の更なる自動化が1またはそれ以上の標準的なロボットアームを活用する間に可能になることである。家畜の屠殺体を処理するために1またはそれ以上のロボットアームを利用することの欠点は、そのロボットアームの使用コストが高くなり、それらの能力が比較的制限されていることである。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、家畜の屠殺体のより効率的な処理を可能にするために、およびロボットアームを用いてなされる解体処理の品質をさらに向上させるために、ロボットアームを利用することを目的とする。
【0004】
本発明は、この目的のために家畜の屠殺体を処理する装置を提供する。この装置は、家畜の屠殺体の解体処理を行うための解体ツール、および、その解体ツールを支持するロボットアームを備え、この装置はまた、少なくとも2つの同様な解体ツールを有し、ここで、第1および第2の解体ツールは単一のロボットアームによって支持される。複数の解体ツールを有するロボットアームを提供することにより、結果として他に比べてロボットアームの使用における大きなフレキシビリティが得られ、本発明による装置の故障の影響を低減することができる。
【0005】
決定された条件にもよるが、例えば、最初にきれいな解体ツールをその都度用いて複数回の解体処理を行い、続いてロボットアームによって動かされる全ての解体ツールを単一の洗浄作業で洗浄するということを選択することが可能である。本発明による装置は、しかしながらまた、その解体処理が解体ツールの洗浄のために必要とされる時まで中止されることなく、毎回きれいな解体ツールを用いて解体処理を行なうというオプションも提供する。なぜなら、洗浄要求はもはや解体処理のクリティカル・パスの一部を形成しないからである。
【0006】
単一のロボットアームによって支持される少なくとも2つの同様な(またはそれ以上の形態で少なくとも2つが全く同一の)解体ツールを活用し、装置が少なくとも一つの転置可能な洗浄ツールを備えていることにより、第2の同様な解体ツールによって(引き続く)解体処理を行なっている間に、汚染された解体ツールを洗浄するというオプションを作る。加えてそれは例えば、所定の解体ツールが故障した場合に、故障している解体ツールと同じロボットアームによって支持される別の解体ツールによって補うこと、または、別
のロボットアームによって行なわれる追加の作業をすること、を可能にする。更なる利点は、相対的に高価なロボットアームの能力を有効に活用することができることであり、これは明らかにコスト優位をもたらす。
【0007】
変形実施形態による装置は、解体ツールのための転置可能な洗浄ツールを備えている。この洗浄ツールは少なくとも解体ツールが処理サイクルを通して動くように転置可能である。この洗浄ツールは解体ツールの洗浄のために処理サイクルの間、解体ツールに従って少なくとも転置経路の一部に渡って解体ツールと共に転置する。ここで、屠殺体の処理は衛生学上きわどい要素を含んだ処理であることに留意されたい。屠殺体の間の交差感染を防止するために、解体ツールを極めて規則正しく、好ましくは各処理サイクル毎に洗浄することが望ましい。
【0008】
本発明は、これまでは解体ツールを所定の始動位置に戻すように支持するだけの目的のための動作であった「復帰動作」(return movement)の間、解体ツールが同時に洗浄さ
れるようにすることを可能にする。そこでこの場合は解体ツールの洗浄は、もはや処理工程における少なくとも部分的なクリティカル・パスに影響しない。なぜなら、洗浄はどうしても必要な解体ツールの転置と一致するからである。従って、この装置を、ロボットアームによって駆動され洗浄の目的のために洗浄ツールの場所に設置されている解体ツールを備える装置であって、ロボットアームはその後この解体ツールの洗浄のための時間を作業場所で維持することが必要であり、全洗浄工程がサイクルタイムに加算されるような解体ツールを備える装置と比較したときに生産能力の増加をもたらす。
【0009】
他の利点は本発明による装置のこの変形実施形態により、より良い洗浄を可能にすることである。つまり、そのサイクルタイムがロボットアームによって駆動され洗浄の目的のために洗浄ツールの場所に設置されている解体ツールのサイクルタイムと同じに保たれるときに、より良い洗浄を可能にする。もちろん、単に限られた範囲内でサイクルタイムを限定することによる利益をより徹底的な(すなわち、より長期に渡る)洗浄と組み合わせて、双方を選ぶことも可能である。
【0010】
このようなサイクルタイムの制約にも関わらず、解体ツールの洗浄時間は、同一のロボットアームによって支持される2を超える(オプションとして共に同様の)解体ツールという本発明による装置を上記の解決策に対して加えることにより、同時にまたは独立的に拡張され得る。もし、本発明による装置が例えば3つの同一の解体ツールを備えておれば、解体ツール当たりの洗浄時間は2つの同一の解体ツールを備えている装置に比べて2倍にすることができる。
【0011】
変形実施形態において、少なくとも2つの同様な解体ツールおよび洗浄ツールは、同一のロボットアームで支持される。ここでまた、少なくとも解体ツールを洗浄ツールによって洗浄するための位置と、解体ツールが洗浄ツールに妨害されることなく屠殺体の解体処理を行なうことができる位置との間で、洗浄ツールおよび少なくとも2つの解体ツールが互いに関連して転置可能である。
【0012】
ロボットアームの「作動ストローク」の間、解体ツールは洗浄ツールによって妨げられずに処理が行なえる。そしてロボットアームの「復帰ストローク」の間、洗浄ツールは、効果的な洗浄が可能になるように少なくとも一つの解体ツールの近傍に位置する。ここで少なくとも一つの解体ツールを洗浄する間、少なくとも別の解体ツールがその洗浄ツールに妨げられずに処理を行なうことができる。
【0013】
たぶんこの場合、洗浄のために少なくとも一つの解体ツールが復帰ストロークの間使用することができない。なぜならば、それは、全体的にあるいは別の方法で洗浄ツールによ
って覆われているからである。だが、このことで不都合は生じない。結局、一つの解体ツールは、「復帰ストローク」の間において屠殺体の解体処理を正常に行なう必要はない。他の解体ツールがその一つの解体ツールの復帰ストロークの間、作動ストロークを行なうことができるからである。
【0014】
洗浄ツールおよび解体ツールの相互転置可能性によって、洗浄の間、汚染物の自由な発散が防止されるように、完全に(または実質的に完全に)解体ツールを囲むことがまた可能である。この点において、洗浄ツールは、解体ツールの洗浄の間、周囲領域にいかなる汚染も全くまたはほとんど生じないように、1又はそれ以上の解体ツールを取りまいて塞ぐことができるように、転置可能なフード、枠(casing)、またはハウジングを一体的に装備していることが望ましいことに留意すべきである。洗浄液および/または食肉処理生成物(slaughter products)の周囲領域への散布は、ここで特に防止されるべきである。これらの生成物は、結局、フード、枠、またはハウジングに集められ、それらから管理された方法で放出される。
【0015】
これに代えて、洗浄ツールを転置可能に固定物に接続することもまた可能である。これは従って、洗浄ツールがロボットアームによって支持されないことを意味する。とはいえ、洗浄ツールが引き続く処理サイクルの間に少なくとも転置経路の一部に渡って前記ロボットアームによって共に転置されるようにするのはなお可能である(洗浄ツールが事実、ロボットアームによって動かされるときがあるように)。このような状況で本発明はロボットアームに少なくとも2つの解体ツールを搭載することができる。洗浄ツールを転置するための分離された駆動部はここでは不要になる。
【0016】
ロボットアーム上の複数の解体ツールは、少なくとも2つの同様な解体ツールを備え、それらの同様な解体ツールはオプションとして異なる解体処理を行なうのに適していても良い。また別のオプションは、追加として、1またはそれ以上の他の解体ツールをさらに有する少なくとも2つの同様な解体ツールを支持するロボットアームを有して構成される。単一のロボットアームに少なくとも2つの解体ツールを集めることの利点は、例えば、サイクルタイムの増加をもたらすことなく、解体ツールの洗浄時間を大幅に延ばすことができることである。なぜなら、解体ツールは、復帰ストロークの間に洗浄されることができるのみならず、作動ストロークの間、使われていない解体ツールを洗浄することを選択することも可能になるからである。
【0017】
これはまた、故障またはメンテナンスによる食肉処理ラインの休止時間を限定することを可能にする。異なる解体処理を行なう目的で少なくとも2つの同様な解体ツールが単一のロボットアームに集められているとき、単一のロボットアームで異なる解体処理を行なうことが可能になる。
【0018】
解体ツールは、例えば、以下の解体ツール(または以下の解体ツールの組み合わせ)で構成することができる。すなわち、鋸(のこぎり)(saw)、ナイフ、肉切り包丁(cleaver)、大ばさみ(shears)、刻印機(stamp)、把持部(gripper)、据え付け用金具(bracket)、およびプッシャーである。
【0019】
これらの解体ツールを用いて次のような解体処理が可能になる。すなわち、胸骨を開くこと、屠殺体を裂くこと、肛門を除去すること、脚を切ること、首を切ること、恥骨(pubic bone)を切り裂くこと(cleaving)、陰茎を除去すること、腹部を開くこと、内臓摘出(evisceration)、(脂肪)部の除去、すじ肉(sinews)の保存、精巣(testicles)
の除去、および屠殺体部分の刻印、である。
【0020】
既に上記に述べてきたロボットアームに関する限り、市場で通常入手できるロボットア
ームであればこの目的に用いることができる。支援すべき処理にもよるが、少なくとも4軸、またはより複雑な作動のために6軸のロボットアームをここで選択することができる。ロボットアームの出力軸は、通常少なくとも2つの解体ツールおよび/又は洗浄ツールをここで支持する。しかしまた、ロボットアームの出力軸以外の軸でも、少なくとも2つの解体ツールおよび/又は洗浄ツールを支持することができる。さらに別の変形では、ロボットアームの出力軸が追加の駆動部を支持することも可能である。解体ツールおよび洗浄ツールの相互転置可能性は、この追加の駆動部に少なくとも2つの解体ツールまたは洗浄ツールを搭載することにより、または、複数の利用可能な解体ツールの一つを作動モードに配置することにより、実現できる。
【0021】
洗浄ツールの良好な作動のために、液体の供給と放出をすることができる。洗浄ツールは、例えば、ノズル、機械的ブラシ素子、および保護フードなどのような他の構成要素をさらに備えることができる。
【0022】
本発明は、家畜の屠殺体の処理方法であって、以下の処理ステップを有する方法を提供する。
A)ロボットアームによって作動される解体ツールを用いて少なくとも一つの家畜の屠殺体を処理を行ない、
B)同一のロボットアームによって支持される第2の解体ツールを用いて処理が行われる。
【0023】
同様な解体処理は、第1および第2の解体ツールを用いて行なうことができる。しかし、第1および第2の同様な解体ツールを用いて、屠殺体に対して異なるタイプの解体処理を行なうこともできる。このような方法を用いることにより、本発明による装置に関して上述の効果を実現できる。
【0024】
別の変形において、洗浄ツールおよび解体ツールは、1またはそれ以上の解体ツールを洗浄するための洗浄位置と、解体ツールが洗浄ツールによって妨害されずに屠殺体の処理を行なえる作動位置との間で、処理サイクルの間、互いに関連して転置される。洗浄ツールは、ロボットアームによって、またはロボットアーム以外の駆動部によってここで転置される。一連の解体処理は、このように独立した同様の解体ツールによって行なわれ、ここで少なくとも一つの解体ツールは、常に、解体処理の間に洗浄ツールによって洗浄されている。一連の解体処理は、同様な(または同一の)処理であり得るが、お互いに異なるような解体処理にもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、以下の図に示す例示的な代表的実施形態に基づいて詳しく説明される。
【
図1A】2つの切断ツールおよび1つの洗浄ツールを有するロボットアームを備えた豚の屠殺体の処理装置の概略図である。
【
図1B】3つの切断ツールおよび1つの洗浄ツールを有するロボットアームを備えた豚の屠殺体の処理装置の概略図である。
【
図2A】2つの解体ツールを有するロボットアームおよび固定物に転置可能に接続された1つの洗浄ツールを備えた豚の屠殺体の処理装置の3つの異なる作動位置の概略図のうちの最初の1つである。
【
図2B】2つの解体ツールを有するロボットアームおよび固定物に転置可能に接続された1つの洗浄ツールを備えた豚の屠殺体の処理装置の3つの異なる作動位置の概略図のうちの次の1つである。
【
図2C】2つの解体ツールを有するロボットアームおよび固定物に転置可能に接続された1つの洗浄ツールを備えた豚の屠殺体の処理装置の3つの異なる作動位置の概略図のうちの最後の1つである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1Aは6軸のロボットアーム1を示し、これ(ロボットアーム1)は制御ライン2および電源ライン3によって外部制御装置および外部電源(図示せず)に接続されている。ロボットアーム1には固定物に接続されている脚部4が備えられている。ロボットアーム1の出力軸5は、脚部4から離れてロボットアーム1の側面に位置している。2つの同一の鋸21a、21bおよび他の部品が出力軸5に搭載されている。
【0027】
ここで、第1の解体ツールは第1の鋸21aであり、これはロボットアーム1に搭載されており、作動モードにある。豚の屠殺体7は、異なる処理場所に沿って運ばれるように、ガイド9により後ろ足8を用いてつりさげられている。ここで、第2の解体ツールは第2の鋸21bであり、これはロボットアーム1に搭載されており、示された状況においては豚の屠殺体7の処理を行なうようになっていない。
【0028】
2つの鋸21a、21bに加えて、ロボットアーム1は、また洗浄ツール10を支持する。洗浄ツール10は、ここではノズル12が貫通して内側に突き出ているハウジング11として示されている。第2の鋸21bは洗浄ツール10のハウジング11内に位置しており、この鋸を洗浄することができる状況にある。従って、第1の鋸21aは豚の屠殺体7の処理を遂行しており、第2の鋸21bは洗浄され得ることを意味する。
【0029】
ノズル12は、流路13によって洗浄液が供給される。また、使用済みの洗浄液を排出できる排出流路14が、洗浄ツール10のハウジング11に接続されている。いったん第1の鋸21aが処理ステップを完了すると、(第1の鋸21aおよび洗浄ツール10の相対的な転置によって)、第1の鋸21aは洗浄ツール10の中に転置可能であり、第2の鋸21bが洗浄ツール10から離れて動く。追加の駆動部15は、ロボットアーム1の出力軸5上でこの目的のために位置している。いったん第1の鋸21aが洗浄ツール10の位置に位置すると、洗浄処理が始まり得る。しかし、ロボットアーム1または少なくともロボットアームの出力軸5は、同時に第2の鋸21bが豚の屠殺体7の引き続く処理、または、豚の屠殺体処理の連続する処理ステップを始めることができるような位置に転置される。
【0030】
図1Bに豚の屠殺体の処理に対する
図1Aの装置20を再び示す。しかし、ここでは出力軸5は、豚の屠殺体7の処理のために3つの同一の鋸21a、21b,21cを装着している状況である。加えて、
図1Bに示す状況では、豚の屠殺体7の腹部22は、鋸21aによって開かれつつある。鋸21aは、必ずしもそうではないが通常は回転のこぎり刃によって形成されている。豚の屠殺体7の腹部22を開いている間、鋸21aは、ロボットアーム1によって所望の動作経路に沿って正確に転置される。第2の鋸21bおよび第3の鋸21cはそれらが洗浄され得るように、しばらくは洗浄ツール10のハウジング11の中に位置している。ここで、
図1Aに示す装置に比べて第2の鋸21bの洗浄時間は倍である(第3の鋸21cもまた同様である)ことに留意すべきである。
【0031】
図2Aは、豚の屠殺体7の処理装置30を示す。この処理装置30は、2つの同一の解体ツール31、31'(この場合、2つの概略的に示された恥骨切り裂き具のうちのただ
一つが
図2Aの視界では見える)を有するロボットアーム1および固定物に転置可能に接続された洗浄ツール32を備える。洗浄ツール32は、この目的のためにガイドロッド33に沿ってスライド可能である。解体ツール31、31'の洗浄処理を
図2Bおよび2C
を参照してさらに詳しく説明する。
図2Bにおいて、第1の解体ツール31は屠殺体7へ用いられる処理が完了したところであり、この第1の解体ツール31は第2の解体ツール31'が洗浄ツール32の外側に位置している間に、そこで誘導されて洗浄ツール32の
方へ動く。
【0032】
ここでまた、解体ツール31、31'の両方が同時に洗浄ツール32の中へ案内される
ように洗浄ツール32を構成することもできることに留意すべきである。これは解体ツール31、31'の復帰ストロークの間、それらが常に洗浄されるためである。このことは
勿論、解体ツール31、31'の洗浄に対するオプションをより長いサイクルタイムにな
る必要なく拡大する。いったん第1の解体ツール31が洗浄ツール32の中へ案内されると、第1の解体ツール31の洗浄を始めることができる。この洗浄の間、洗浄ツール32は第1の解体ツール31によってガイドロッド33に沿って(図中の左の方へ)転置する。この転置は、第1の解体ツール31が洗浄ツール32から取り外され(
図2C参照)、および、豚の屠殺体7の引き続く処理を行なうことが再び利用可能になる場所に近い位置にくるように、解体ツール31、31'の両方が逆行するようになされる。
【0033】
ロボットアーム1によって支持される解体ツール31、31'の復帰ストロークの間、
第1の解体ツール31は、また同時に洗浄される。洗浄ツール32は分離された駆動部を備えている必要はない。ただ、
図2Cに示す位置から
図2Aに位置している状況へ洗浄ツール32を逆に動かすための手段を備えることは必要である。このことは、例えばバネを設置することで可能になる。すなわち、そのバネは洗浄処理(洗浄ツール32がガイドロッド33に沿って図の左側へスライドしている)の間における転置の間はテンションがかけられており、これにより発生したテンションによって、その後、洗浄ツール32をガイドロッド33に沿って逆に動かす(図の右側へ付勢する)。