(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6227867
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】二軸同軸式アースオーガー
(51)【国際特許分類】
E21B 7/00 20060101AFI20171030BHJP
E02D 3/12 20060101ALN20171030BHJP
【FI】
E21B7/00 E
!E02D3/12 102
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-264964(P2012-264964)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-109163(P2014-109163A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000185972
【氏名又は名称】小野田ケミコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500029970
【氏名又は名称】エポコラム機工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100061619
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 武文
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】西尾 経
(72)【発明者】
【氏名】高倉 功樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 一雄
【審査官】
大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−068098(JP,U)
【文献】
特開2009−167714(JP,A)
【文献】
特開2002−188385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体11に回転ロッド2を装着するロッド用継手16を有する内軸5と、該内軸5の外周外側に位置する、掘削孔の内壁に当接して回転するケーシング3を装着する筒状のケーシング用継手15を有する外軸4とを設け、前記外軸4と内軸5とは互いに反対方向に回転するように構成し、前記外軸4のケーシング用継手15の上部に形成したフランジ10を前記ケース本体11の下面側に設けた本体側回転体13の下面に直接取付け、前記内軸5は、該内軸5の上部をケース本体11内に回転自在に軸装し、内軸5の下部のみをケース本体11から突出させると共に、ケース本体11より突出する内軸5の下部にロッド用継手16を直接設け、かつ、ロッド用継手16の下端を前記ケーシング用継手15内から下方に突出させ、前記ロッド用継手16およびケーシング用継手15と前記回転ロッド2およびケーシング3とは、予め用意された専用の回転ロッド2およびケーシング3との夫々がロッド用継手16およびケーシング用継手15の夫々に、互いに雌雄嵌合となって挿入可能でかつ係止用ピン21と係止用孔22とにより係止して装着される関係に設定した構成とし、もって、予め用意された以外の他の回転ロッドおよびケーシングを取り付けるための、前記ケース本体11と専用の回転ロッド2およびケーシング3の夫々との間のロッド用継手16とケーシング用継手15以外の接続部材を、省略可能に構成した二軸同軸式アースオーガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸同軸式アースオーガーに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤改良工法に使用される回転ロッドAとケーシングBとの二重軸を反対方向に駆動回転させる二軸同軸式のアースオーガーCの構成は公知である。
この公知のアースオーガーCは、
図4に示したように、回転ロッドAを装着する内軸DとケーシングBを装着する外軸Eとの二重軸構成とし、内軸Dと外軸Eは夫々上下に分割し、上側内軸Dの上部をケース本体G内に回転自在に軸装する。上側内軸Dの下部はケース本体Gから下方に突出させ、この突出部分にフランジHを設け、このフランジHに下側内軸DのフランジHをボルトにより着脱自在に取付け、フランジHを有する接合部Lを形成する。
上下に分割した上側外軸Eは前記内軸Dの接合部Lを包囲する筒状の大径筒部Nに形成し、大径筒部Nの下面に下側外軸E上部の大径筒部Oをボルトにより着脱自在に取付けて接合部Lを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-36767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のアースオーガーCは、回転ロッドAとケーシングBの交換を前提に、内軸Dと外軸Eは夫々上下に分割し、内軸Dと外軸Eの夫々に接合部Lを設けているので、ケース本体Gの下側部分から下方の外軸Eおよび内軸Dの長さが長くなるので、アースオーガーC全体の長さが長くなるという課題がある。
また、内軸Dと外軸Eの夫々に接合部Lを設けているので、アースオーガーC全体の重量が重くなるという課題がある。
また、上下に分割した上側外軸Eは内軸Dの接合部Lを包囲する筒状の大径筒部Nに形成し、大径筒部Nの下面に下側外軸E上部の大径筒部Oをボルトにより着脱自在に取付けて接合部Lを構成して、内軸Dの接合部Lを包囲するように形成し、また、内軸Dの接合部Lの着脱の作業を可能にするためのスペースを設けているので、この点でも、アースオーガーC全体の重量が重くなるという課題がある。
本願は、アースオーガーの構成を工夫し、アースオーガーの小型軽量化を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、ケース本体11に回転ロッド2を装着するロッド用継手16を有する内軸5と、該内軸5の外周外側に位置する、掘削孔の内壁に当接して回転するケーシング3を装着する筒状のケーシング用継手15を有する外軸4とを設け、前記外軸4と内軸5とは互いに反対方向に回転するように構成し、前記外軸4のケーシング用継手15の上部に形成したフランジ10を前記ケース本体11の下面側に設けた本体側回転体13の下面に直接取付け、前記内軸5は、該内軸5の上部をケース本体11内に回転自在に軸装し、内軸5の下部のみをケース本体11から突出させると共に、ケース本体11より突出する内軸5の下部にロッド用継手16を直接設け、かつ、ロッド用継手16の下端を前記ケーシング用継手15内から下方に突出させ、前記ロッド用継手16
およびケーシング用継手15
と前記回転ロッド2およびケーシング3とは、予め用意された専用の
回転ロッド2およびケーシング3と
の夫々がロッド用継手16およびケーシング用継手15の夫々に、互いに雌雄嵌合
となって挿入可能でかつ係止用ピン21と係止用孔22とにより係止して装着される
関係に設定した構成とし、もって、予め用意された以外の他の回転ロッドおよびケーシングを取り付けるための、前記ケース本体11と
専用の回転ロッド2およびケーシング3の夫々との間のロッド用継手16とケーシング用継手15以外の接続部材を
、省略可能に構成した二軸同軸式アースオーガーとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、外軸4のケーシング用継手15と内軸5のロッド用継手16とは、予め用意された専用の回転ロッド2とケーシング3を装着するように設定しているので、外軸4および内軸5の上下分割部分が不要となって、外軸4および内軸5の長さを短くでき、小型軽量化したアースオーガー1を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例を図により説明する。1は、例えば、掘削ビットや攪拌翼(図示省略)等を取付けた回転ロッド2とケーシング3との二重軸を駆動回転させる二軸同軸式のアースオーガーであり、外軸4と該外軸4と反対方向に回転する内軸5とを有する。
【0009】
外軸4の上部には軸心方向に対して放射方向に突出するフランジ10を形成する。フランジ10は前記アースオーガー1のケース本体11の本体側回転体13にボルト14により着脱自在に取付ける。フランジ10の中心には透孔12を形成し、透孔12には筒状のケーシング用継手15を一体状に形成する。
【0010】
前記内軸5は、該内軸5の上部をケース本体11内に回転自在に軸装する。内軸5の下部は、ケース本体11の本体側回転体13と前記フランジ10とケーシング用継手15とを貫通させて下方に突出させる。前記ケーシング用継手15より下方に突出する内軸5の部分に、ロッド用継手16を形成する。
【0011】
20は固化液(セメントミルク)供給管であり、内軸5と同心上に内軸5内に軸装している。21は回転ロッド2およびケーシング3を係止する係止用ピン、22は係止用ピン21を挿入する係止用孔、23は固定用ボルト24を螺合させる螺子孔である。
【0012】
25はケーシング用継手15とフランジ10とに跨って設けた補強用のリブであり、リブ25は上部の左右幅を前記フランジ10の半径の範囲内において最大幅に形成する。26はロッド用パッキン部材である。
【0013】
前記ケース本体11内には、外軸4と内軸5とを夫々駆動回転させる駆動回転機構Kを設ける。この駆動回転機構Kの構成は任意であり、外軸4と内軸5とが互いに反対方向に回転するように構成すればよく、例えば、複数のモータにより内軸5と外軸4の夫々を独立して駆動回転させたり、あるいは、同一の正逆転モータと遊星歯車機構により互いに反対方向に回転するように構成してもよい。
【0014】
この場合、外軸4および内軸5は時計回転および反時計回転のいずれの方向にも駆動回転し、この外軸4に対して内軸5を反対方向に回転させればよい。
【0015】
しかして、外軸4のケーシング用継手15と内軸5のロッド用継手16とは、予め用意された専用のケーシング3と回転ロッド2を装着するように設定する。
【0016】
従来は、各種工法に幅広く対応するように、外軸4のケーシング用継手15と内軸5のロッド用継手16の夫々に別に用意したケーシング3と回転ロッド2を選択して装着していたが、本願では、予め作業の工法を想定し、この工法のための専用のケーシング3と回転ロッド2を装着するようにし、ケース本体11と、外軸4のケーシング用継手15および内軸5のロッド用継手16との小型化を図っている。
【0017】
ケーシング用継手15とロッド用継手16は、予め用意された専用のケーシング3と回転ロッド2を装着するように設定し、ロッド用継手16の外径とケーシング用継手15の内径との間には、専用ケーシング3に合わせた所定間隔を形成している。
【0018】
また、外軸4およびケーシング用継手15はケーシング2の取付に必要な強度および長さに設定し、内軸5のロッド用継手16は、回転ロッド2の取付に必要な強度と装着に必要最短の長さとなるように、ケーシング用継手15の下端より所定長さ下方に突出させる設定とする。
【0019】
(作用)
アースオーガー1のケース本体11に、ケース本体11内の駆動回転機構Kにより正逆駆動回転するように内軸5の上部を軸装する。
内軸5の外周に外軸4の上部のフランジ10の透孔12を挿通させるようにして、アースオーガー1のケース本体11の下部に設けた本体側回転体13に外軸4の上部のフランジ10をボルト14により固定する。
そのため、外軸4と内軸5とは互いに反対方向に回転する。
【0020】
外軸4のフランジ10には筒状のケーシング用継手15を設けているので、ケーシング用継手15にケーシング3を装着する。
内軸5の下部は、ケース本体11の本体側回転体13と前記フランジ10とケーシング用継手15とを貫通させて下方に突出させて、ケーシング用継手15より下方に突出する内軸5の部分に、ロッド用継手16を形成しているので、内軸5のロッド用継手16に回転ロッド2を装着する。
【0021】
外軸4のケーシング用継手15と内軸5のロッド用継手16とを回転させて、地盤の掘削を開始すると、掘削ビット(図示省略)により掘削を先行し、固化液供給管20により固化液を吐出し、回転ロッド2とケーシング3に設けられた攪拌翼(図示省略)が掘削土砂を、互いに反対方向に回転して撹拌すると共に、撹拌土砂と固化液とを混練しつつ、所定深さまで掘進する。
【0022】
外軸4のケーシング用継手15と内軸5のロッド用継手16とは、予め用意された専用のケーシング3と回転ロッド2を装着するように設定し、外軸4の上部のフランジ10をケース本体11に取付け、内軸5の上部をケース本体11内に回転自在に軸装し、内軸5の下部はフランジ10の透孔12およびケーシング用継手15を貫通させて下方に突出させてロッド用継手16を形成しているので、外軸4および内軸5の長さを短くでき、小型軽量化したアースオーガー1を提供できる。
【0023】
即ち、外軸4のケーシング用継手15と内軸5のロッド用継手16とは、予め用意された専用のケーシング3と回転ロッド2を装着するように設定しているので、外軸4はケーシング用継手15の上部のフランジ10をケース本体11に取付ければよく、ケーシング3の装着に十分な長さにケーシング用継手15を形成すればよく、外軸4およびケーシング用継手15の上下長さを短くする。
【0024】
また、内軸5のロッド用継手16は、回転ロッド2の装着に十分な長さを有するように、ケーシング用継手15の下端より所定長さ下方に突出させて形成すればよいので、内軸5の上下長さを短くする。
そのため、内軸5のロッド用継手16と外軸4のケーシング用継手15の上下長さを短くして、アースオーガー1全体を小型軽量化する。
【0025】
また、ケーシング3と回転ロッド2を交換すると、アースオーガー1のケース本体11との上下バランスや重量バランスが変化し、掘削作業や杭打ち作業に高度な作業の熟練度が要求されることも想定されるが、本願では、ケーシング3と回転ロッド2の交換をしないので、アースオーガー1の上下バランスや重量バランスが変化することがなく、作業の容易化も期待できる。
【符号の説明】
【0026】
1…アースオーガー、2…回転ロッド、3…ケーシング、4…外軸、5…内軸、10…フランジ、11…ケース本体 、12…透孔、13…本体側回転体、14…ボルト、15…ケーシング用継手、16…ロッド用継手、20…固化液供給管、21…係止用ピン、22…係止用孔、23…螺子孔、24…固定用ボルト、25…リブ、26…パッキン部材。